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株式保有の機関化現象について

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(1)株式保有の機関化現象について 嶋 I. 株式保有率の推移. II. 機関化現象の背景と原因. lil. 機関化現象の問題点. IV. 個人株主増大策. V. むすび. I. 田. 昭. 孝. 株式保有率の推移. 第1表をみれば明らかなように、 昭和45年以降、 銀行、 保険、 法人企業に よる株式投資は巨大な金額にのぼった。 すなわち、 銀行は45年に2,043億円、 46年に2,370億円、 47年に7,263億円、 48年に3,955億円の株式取引を実施し、 同じく保険は45年に1,895億円、 46年に2,102億円、 47年に4,309億円、48年に 3,402億円、 法人企業は45年に3,293億円、 46年4,417億円、 47年8,508億円、 48年9,295億円の株式取引を行った。 反対に個人は45年に4,93 3億円と活発な 取引を行ったものの、 46年には2,308億円に減少し、 47年には 一 2,458億円と 売り越し、 48年1,807億円の低調な取引に終始した。 その結果、 第2表にみるごとく、 銀行、 保険、 法人企業など機関投資家の 株式保有率がいちじるしく増大した反面、 個人の株式保有率がいちじるしく 低下した。 25年には個人の株式保有率が 61. 3%、 法人の株式保有率が35.5%であった ものが、 48年には比率が逆転し、 法人の株式保有率が66. 9%であるのに対し、 個人の株式保有率は32. 8%となっている。 以上のように、 株式の保有構造が変化し、 個人の持ち株比率が低下し、 法 人の持ち株比率が増大した現象を株式保有の機関化現象と呼んでいるが、 こ. -119 (5624)-.

(2) のような現象をひきおこした背猥なり原因を究明し、 その問題を分析して、 具体的な改善策を検討するのが本稿の目的である。. 〈第1表〉投資家別株式取引状況 年. 銀. 中小企業 金融機関. 行. 晨林水産 金融機関. (!意f廿). 保 陰t. i去 人 企 業. 杉と 資 は 託. 昭和 2 9. 86. 7. 98. 3 0. 153. 6. 181. 3 I. 417. 29. 491. 3 2. 235. 15. 3 3. 215. 14. 3 4. 302. 3 5. c,.. i固. 人. 外. ;it. 人1 I. I, 614. 37. 358. 916. 161. 443. 389. I, 108. 19. 564. 1,261. 2, 829. 18. 199. 464. I, 157. 1,411. 3, 636. 3. 159. 674. 708. 1,288. 3, 196. 29. 25. 253. 963. 752. 1,288. 3, 730. 589. 38. 19. 415. 2,416. J ,413. 1,901. 6, 842. △. 3 6. 986. 53. 2. 722. 2,789. 2,838. 4,231. 11, 692. 3 7. 719. 46. 8. 625. 1,311. 2,260. 3,688. 8,730. 3 8. 829. 58. 16. 743. 810. 1,419. 3,442. 7, 319. 3 9. 917. 45. 743. 4,540. 3,899. 9, 554. 4 0. 361. 102. 22. 697. L:>2,507. 2,387. 1,385. 111. 16. 2 ,230. ,:,.J ,652. 2,472 568. 1,183. 4 1 4 2. 1,812. 65. 25. 1,996. �1.545. 540. 556. 252. 3,684. 4 3. 1,941. 27. 58. 1,378. 6.. 234. 957. 2,110. 864. 7,238 10, 464. ヽ. 826. 6.. 3,930. I ,107. 4 4. 1,396. 72. 35. 1,402. 648. 1,998. 2,298. 2, 578. 4 5. 2,043. 105. 158. 1,895. 42. 3,293. 4 ,933. 695. 13,317. 4 6. 2,370. 246. 95. 2,102. 392. 4,417. 2,308. 13, 974. 4 7. 7,263. 282. 911. 4,309. 2,426. 62,458. 4 8. 3,955. 171. 30. 3,402. 136. 8,508 9,295. 1,703 1, 346. 1,807. ,::,. 1,607. 17, 294. 22, 534. (資料)日本銀行調査局r資金循環勘定Jより作成。 注: 1)簿価ベース。 2)銀行=全国銀行銀行勘定、中小企業金融機関=相互銀行、信用金庫、信用組合。. (第2表)所有者別持株比率の推移 所\有記 度号 政府・地方公共団体. i去. 人. 金融機関 銀行・イ言 託. 生. 事 外 個. 25. 30. 35. 40. 41. 42. 43. 44. 45. 46. 47. 48. 0 .1. 0.4. 0 .2. 0 .2. 0.2. 0 .3. 0 .3. 0 .3. 0 .2. 02. 0 .2. 0 .2 66.9. 35.5. 46.0. 53.2. 54. 7. 55.5. 57.2. 57.6. 58. 4. 59.6. 62.4. 66.9. 12.6. 19. 5. 23. 1. 26.4. 26. 1. 28.2. 30.3. 30. 7. 30.9. 32.6. 33.8. 35.1. 11.8. 12.8. 13. I. 13.8. 14.0. 15.0. 15. 7. 17.4. 9.2. 10.3. 10. 8. 11.0. 11.0. 11.3. 11. 3. 11. 1. 3.3. 3 5. 3.7. 3.9. 4 4. 4.6. 4 6. 1.3. I.3. 1. 2. 保. f員 保 才父資f言訳: 証 券会社. 業 国. 法 法. 人 人 人 個人• その他 国 人 外. (%). 5.2. 4. l. 7.5. 5.6. 3.7. 2.4. l. 7. I.2. 4.0 I.4. 11.9. 7.9. 3.7. 5.8. 3.4. 4.4. 2. I. 1.4. 1.2. 1. 5. I. 8. 1.5. 11.0. 13.0. 17.8. 18.4. 18. 6. 20.5. 21.4. 22. 0. 23. 1. 23.6. 26.6. 27.5. 1. 5. 1.1. l.6. 1.7. 1 7. 2. I. 3 I. 3.0. 3.4. 3. 4. 28. 61. 3. 53.4. 46.6. 45 0. 44. 3. 42. 5. 42 1. 41.3. 40. I. 39.9. 32.9. 32.8. 61.3. 53.1. 46.3. 44.8. 44. l. 42.3. 41. 9. 41. I. 39.9. 37. 2. 32. 7. 32. 7. 0.3. 0.3. 0.2. 0.2. 0.2. 0.2. 0.2. 0.2. 0.2. 0. l. 0. I. (資料)全国証券取引所r株主分布状況謁査Jより作成. -120 (5625)-.

(3) II (I). 機関化現象の背景と原因. 金融緩和. 前述のように、 昭和45年以降、 株式保有の機関化現象を進展させた背憬と して、 国際通貨制度の変化、 および それに伴って発生した. 「. 過剰流動性」の. 増大を指摘しておかねばならない。 すなわち、 昭和43年 3月、 金の二重相場制採用を契機として、 米国の通貨 制度が改革され、それまで通貨の発行に当って、発行額 の4分の 1 に相当する 金準備を実施していたFR B (連邦準備制度)が、 公的ル ー トを通じるドル の金交換要求に応じるために、 金準備を廃止することに踏切った。 同時に各国政府に呼びかけて、 ドルの金交換要求を自粛するように協力を 求めた。 一方、 自由市場における金価格に介入していた金プ ー ル会議が解散 し、 金価格の形成は需給関係にまかせられることになった。 しかし米国がドルの価値保持に努力し、 国内金融を引締めていた時期は小 康状態を保っていたものの、 国内不況の脱出のために金融緩和に転換した45 年以降、 米国国際収支の赤字が拡大し、 ドルの海外流出に拍車がかけられた。 それに対応して、 わが国や西独のドル蓄積額は45年以降、 急激な増加をみ せるにいたった。 第3表に示したように、 43年まで、 20億ドル台で推移して いたわが国の外貨準備は44年末に34億96 00万ドル、 45年末に43億9900万ドル、· 46年末に152億3500万ドル、47年末に183/意6500万ドルに増大した。 このようなドルの米国からの流出、 それに対応する諸外国のドル保有の増 大によって、 もはやドルの金交換要求に応じ得ないという判断から、 米国は 46年8月、 全面的なドルの金交換廃止を通告するにいたった。 その結果、 ド ルを碁軸通貨とする固定為替制度が動揺し、 スミソニアン協定で 一 応の解決 策が樹てられたものの、 それも役に立たなくなり、 国際通貨制度は戦後最大 の混乱期に直面することになったのである。 この間、 わが国政府は、 輸出産業保護の見地から、 円の対外為替交換レ. -121 (5626)-. ー.

(4) 卜切り上げを極力防止する政策を採り、 一方、 国際協力の立場から、 国内殻 気の拡大策を採用することによって、 外貨保有高の増大を抑制する方針を継 続してきた。 とくに46·47年において、 金融の超緩和政策と財政の積極政策 が推進されたのである。 (第3表)先進国の通貨量(日銀統計月報より) B. 本. 国. 米. �I鵠ドル. M, 億円. 月末残高 西 1,\1暉マルク. 英 国 ・ M百hポンF. 独. 仏. M. I鵠フラン. 12. 912 13. 394 13 954 14. 498. II. 3 II. 2 7. 3 8. 0. 70.8 73.5 75.0 81.5. 7. I 8. 2 77 8. 5. 188.34 194.76 194.66 199.53. 1.4 6. 6 7. 5 8. 6. 14. 371 14. 891 14. 973 15. 654. 6. 0 2. 4 3. 6 2. 9. 75.8 79.5 80.8 88.4. 10. 2 10. 7 11.1 5. 9. 190.90 207 .62 209 .24 216.68. 10. 8 4. 4 3. 9 0. 6. 3. 3 15. 236 3. 3 15. 253 I. 3 15. 518 3. 8·16.111. 1. 7 7. 3 7. 8 9. 2. 83.5 88 .0 89.8 93.6. 6. 6 4. 7 5. 5 9. 7. 211 .52 216.81 217 .40 217 .98. - 1. 5 - 2. 8 - 1.4 7.5. 15. 497 16. 367 16. 724 17. 596. -37.5 -39. 9 -39. 0 -37. 1. 89.0 92.1 94.7 102.7. 9. 4 13. 6 13 3 12. 7. 208.41 210 .82 214.32 234 .40. 11. 0 15. 4 15. 0 11. 0. 7. 9 9. 3 12. 7 12. 2. 9. 691 9 831 10. 201 11. 070. 16. 0 19. 6 16. 9 14 3. 97 .4 104.6 107.3 115.7. 15. 5 15. 5 14.4 14. 0. 231.26 243 .39 246.50 260.18. 11. 9 13. 0 15. I 15. 3. 230.8 242.6 248.3 264 .2. 5. 5 4. 7 0. 6 5. 6. II. 241 11. 753 II. 930 12. 653. 9. 7 12. 1 8. 0 5. 1. 112.5 120 .8 122.8 131.9. 13. 5 5. 3 0. 5 0. 8. 258.83 275 . JI 283.63 300.11. 11.4 11.7 8. 4 10 7. 15. 4 15 7 10.1 11. 5. 243.5 253.9 249 .8 279 .I. 6. 4 6. 5 5. 0 2. 5. 12. 333 13. 175 12. 882 13. 303. 3. 6 0. 0 •. 9 10. 8. 127 .7 127 .2 123 .4 132.9. - 0. 8 5. 4 9. 6 12. 2. 288 .27 307 .23 307 .58 332 . JO. 8.3 11 6 8.4 15. 3. 9. 8. 259.2 270 .5 262.3 286.1. -3 1967 4 -6 S42 7-9 r 10-12. 113,776 114,851 116,476 133,688. 13. 8 17. 0 13. 8 13. 4. 170 .3 173 .2 176.1 191.9. 5. 8 5. 8 74 6. 2. -3 '68 4-6 S43 7-9 r 10-12 I -3 '69 4 -6 S44 7-9 r 10-12. 129,462 134,429 132,563 151,555. 14. 5 16. 3 19. 7 20. 6. 180.1 183 .2 189.1 203 .8. 6. 7 5. 0 4. 3 3. 8. 148,170 156,334 158,650 182,825. 20. I 18. 8 17 I 16.8. 192 .1 192 .4 197 .2 211.6. -3 '70 4-6 S45 7-9 r I炉12. 177,962 185,775 185,761 213,595. 19. 0 25. 2 29. 7 29. 7. !?8.5 198.7 199 7 219 .7. 7. 8 11.7 10. 3 7. 2. -3 '71 4-6 S46 r7-9 10-12. 211,873 232,536 240,976 276,931. 27. 7 19. 9 19. 6 24. 7. 214.0 221 .9 220.3 235.5. -3 '72 4-6 S47 r7-9 10-12. 270,625 278,776 288,134 345,261. 27. 4 29. 9 27. 0 16. 8. -3 '73 4-6 S48 r7-9 10-12. 344,753 362,053 365,878 403,115. -3 '74 4 -6 S49 r7-9 10-12. 397,788 418,998 402,953 449,512. '75 ssol I-3. 436,712. '. 12. 272 13.175 13.513 14. 739. -122 (5627) -. 126.7 134.1 135.3 149.1. 312 .21 342 .90 333 .29 382 .76.

(5) 第3表をみればわかるように、 1969年(昭和44年)の米国のマネ. ー. サプラ. イは、 年率 3%台の増加率であった。 それが1970年、 71年には10%以上の増 加率となっている。 このような影響をうけて、 1970年以降、(英国を除いて) 先進各国の通貨供給鼠はいちじるしい増加傾向を示している。 わが国のばあ い、 昭和年44年(1969年)に、 16-7%の増加率であったものが、 45年には29. 7%に激増している。 このような傾向は46年、 47年7 -9月までつづいた。 その結果、 法人企業の手許流動性はいちじるしい余裕をみせるにいたった。 そこでこのような余裕金をもって法人 の株式取得、 土地取得が積極化してきた のである。 株式取得に関しては、 単に余 裕金がふえただけでなく、 つぎにあげる. (第4表)手元流動比率の推移(全産業) 40上期 1.16カ月 46 J: 期 1.19カ月 下期 I.JI,, 下期 1.22 ,, 41上期 1.17,,.. (2) 資本自由化と TOB. 下期 1.09� 42上期 1.07 ,, 下期 1.04 ,,. 昭和39年4月に、 わが国はOECD (. 43上期 1.05 <-. ような事情があったことも見逃せない。. 経済協力開発機構)に加盟したが、 それ に伴って、「OECDの資本移動の自由化 に関する規約」(OECDの自由化コ ー ド) を守る義務を負うことになった。. 下期. 1.03ヶ. 47上期 1.30'-' 下期 1. 26 ,, 48 l: 期 1.10 ,,. 下期 0.92.,. 49上期 0.82 ,, 下期. 44}_期 1.01,, 下期 0.97 ク 45上期 0.99,,, 下期 1.04 ,,. 同規約によると、 自由化の対象となる 資本取り引きは37項目に分類されているが、 そのうち18項目について自由化 を留保していたわが国は、 昭和42年7月の第1次自由化以降、 44年 2月の第 2次自由化、 45年9月の第3次自由化、 46年8月の第4次自由化を通じて、 しだいに完全自由化の方向をたどることになった。 このような自由化のスケジュ. ー. ル推進につれて、 外国資本によるわが国株. 式への投資額はしだいに増大する傾向を示した。 同時に昭和46年7月に実施された証券取引法の改正によって、「株式の公開 買付け制度)「米国のtake-over bid、 英国のtender offerの制度をとり入れたも. -123 (5628)-.

(6) の)の導人が外国資本によるわが国株式の買い占めを容易ならしめたことを 指摘しておかねばならない。 既発行の株式については、 外国人による株式取得に関して、 総額が発行済 み総数の20% (制限業種の場合15%)まで、 また 同 一 名義人のばあいは7% までという制眼がなされているものの、 ダミ ー を通じて、 企業を支配し得る ような株式取得が、 従来より、 容易になったことは否定しがたい。 以上のような、 外人投資家による株式取得を防止し、 企業の支 配権争奪 を防止する目的をもって、 45年以降、 法人が熱意をもって系列企業の株式安 定化を推進したことを、 株式保有の機関化現象の原因の 一 つにあげることが できる。 とくに自動車産業は、海外における、 米国 3 大自動車メ ーカ の教訓に鑑み、 系列部品メ ーカ. ー. ー. の乗取り事件. の株式安定工作に非常な努力を払ったこと. が特筆される。 これはGMによるいすずの株式取得、 およびベンデイソク ス社による東証. 2 部の自動車機器株に対するわが国初の TOB 実施によって拍車がかけられ たものといえよう。 (3) 産業構造の変化と経営多角化 昭和40年の不況を克服し、 48年の高度成長のピ ー クに達する間に、 わが国 の産業構造は大きな変貌を遂げた。 すなわち、 これまでわが困の産業の中で 主要な地位を占めていた石炭、 水産、 砂糖、 紡績、 繊維、. パ ルプ、. 道などの業種は相対的に地位が低下し、 代って住宅、 レ ジャ イン ケミカ. ル、. ー. 映画、 鉄. 、 流通、 ファ. 環境衛生、 教育、 保健、 電+機器、 公害防止などの関連産. 業の地位が向上した。 ところが相対的地位が低下した石炭、 水産、 砂糖、 紡績、 繊維、. パル. ブ、. 映画、 鉄道など、 いわゆる斜陽産業の中には会社設立いらい歴史が長く、 過 去の蓄積の豊富なものが多い。 とりわけ、 時価の急上昇した士地や株式を大 量に保有していたので、 それらの 1 部を売却することによって源資を獲得し、. -124 (5629) -.

(7) 成長部門に投資して、 経営の多角化をはかる企業が多かった。 ところが新しい産業分野に進出するに当って、 他企業との間に新しい関係 が成立し、 それに伴ってその企業の株式を保有するにいたるケー ス、 または、 はじめに株式を取得して、 企業との関係を強化したのち、 意閉する産業への 進出をはかるケー スがふえてきた。 また、 経営を多角化するに当って、 別会社を子会社として発足させ、 その 会社に 自社株を保有させるケー スもみ られた。 (4). 株式の質的変化. 元来、 株式は企業が 自己資本を調達するための手段として発行する証券で ある。 ところで企業が発行した株式を投資家が取得するのは、 本質的には、 株式の所有によって法的に認められる株主権の獲得を目的とするものである。 もちろん、 株式を取得しても、 名義の書換えを申請せず、 株主権の行使を 目的としないで、 単に株式価格の上昇によってキャ ピタルゲインを獲得する ことを目的としている投資家が存在することは否定できない。 しかし株式価格の形成は株式の投資価値を基盤としてなされていることは 明らかである。 そして株式の本質的な投質価値とは株主権である。 法律によって保証されている株主権のなかで、 とくに投資家に重視されて いるのは配当請求権と株主総会における議決権である。 そして 一 般株主はと くに配当請求権を重視し、 会社の経営に参加を希望する株主はi義決権を重視 している。 そこで配当請求権を重視する一 般株主は株式を利潤証券とみ なし、 議決権 を重視する株主は株式を経営参加証券、 ないし企業支配証券とみ なしている のである。 ところで資本主義が高度化するにつれて企業の経営支配が進展し、 それに ともなって経営者による配当政策、 および資金調達方式に変化があらわれ、 それにつれて株式の利潤証券的性格が弱まってきたと考えられる。 すなわち 昭和40年代になって、 経済の高度成長が企業の財務体質を改善させ、 利益の. -125 (5630) -.

(8) 内部留保を厚くさせた結果、 内部金融による資金調達のウエイトが高まり、 外部からの資金調達が相対的に低下したことに起因するところが大きい。 し かも外部からの資金調達に関連して、 過剰流動性の増大は金融機関の貸出し 金利を低下させると同時に、 企業の銀行借入れを容易ならしめた。 その結果、 増資による資金調達の必要度が低下したことは否定できない。 以上の諸事実が影響して、 いわゆる 「 株主軽視」の風潮が生じたものと考 えられる。 その端的な 現われが、 配当性向の低下、時価発行増資の盛行、 公 募、 ないし第3者割当て増資の増大である。 これらの傾向が増大するにつれ て個人株主の市場離脱がふえたものとみられる。 (5). 株式発行方式の変化. 戦後、 株式の利回りが 一 般利子率を下回るにいたったいわゆる. 「. 禾lj回り革. 命」と呼ばれる現象がおこったのは、 一つは株式投資にインフレヘッヂの機 能が認められたからであるが、 いま一 つの理由として、 増資の機会の増大と、 増資に当って、 額面による株主割当て制度が慣習として採用されてきたこと をあげねばならない。 すなわち新株式の払い込み金額と株式時価との差額が 増資プレミアムとして、 旧株主に与えられてきたことが、 株式を利回り採算 水準以上の高価格で売買させる原因となったのである。 ところが40年代後半になって、 株式発行方式が多様化し、 時価発行方式、 および公募ないし第3者割当増資が増大するにおよんで、 従来、 旧株主に与 えられていた増資プレミアムが株主からハク奪されるケ. ー. スがふえてきた。. 時価発行増資擁護論の立場に立てば、 時価発行増資の採用によって、 株主 の手から会社側に取り上げられた増資プレミアムは、 経理上、 資本準備金勘 定に入れられるが、 いずれ無偵増資を実施することによって、 株主に還元さ れるのだから、 長い目でみれば、 株主にとってマイナスにはならないと主張 されている。 しかし、 時価発行によって生じた増資プレミアムの株主還元についての不 確定性を否定するわけにはゆかない。 このことが堅実な 一 般個人投資家を株. -126 (5631)-.

(9) 式投 資 か ら 遠 ざ け た ことは否 定 しがたい が、 時 価 発 行 増 資 の増 大 にとも な っ て、 株式保 有 の機 関化現 象 が促進せ ら れた他 の側 面 を指摘する ことができる ようで あ る。 それは時価 発 行 増資 によっ て、 発行 会 社 に与え ら れる増資 プ レ ミ ア ム を増 大 させる 目 的 をも って、 自 社 株 の時価 を高 く つり 上 げ ようとする政 策 がと ら れた ことと関 連する。 す な わち 、 企 業 間 の株式持 ち 合 い が増大 した原 因 と し ては、 企 業 間 の業 務提 携 の増大 や 系 列 の強化、 お よび TO B の防 止 な どとと も に、 高 株 価 対 策 を指摘する ことができるようで あ る。 会 社 法 で 禁 止 されて い る自 社 株 取得 の か わり に、 A 社 が B 社 の株式を買 い 、 その 見 返 り と し て B 社 がA 社 の株式を 買 う な ら ば 、 容 易 に 自 社 株 の時価 を高 く つり あ げ る こと ができる。 そのようにして高 値 につり上 げ ら れた段 階 で 、 公 券 な い し第3 者 割 当 て方式で時価 発 行 増資 を実施すれば 、 多額の増資 プ レ ミ ア ム を獲 得する ことができるわけ で あ る。 も ち ろ ん 、 公幕 や 第3 者 割 当 てに応 ず る投 資 家 が な け れ ば 、 そのよう な 目 的 の時価 発 行 は成 功 し な い で あ ろ う。 し か し企 業 業 積が好 調 で 、 か つ金 融 市場 、 資本市 場 が活 況 を呈 してい る時期 に、 時価 より い く ぶ ん デ ィ ス カ ウ ン ト された価 格 で時価 発 行すれば 、 失 敗する危 険性は低 い とい え よう。 このように、 時価 発行増資 に 当 って、 発 行 価 格 を時価 より 若 干 低 く する ことにより 、 引受 会 社 の売 れ残 り による危 機 を回 避 し な が ら 、 発 行 会 社 には額面 をオ. ー. バ ー した払 い 込 みよっ て増資 プ レ ミ ア ム を確保させる. 方式は、 幹 事 証券会 社 、 発 行 会社 の相 方 に メ リ ッ ト をも た ら した。 そしてそ のよう な メ リ ッ ト 追 求 を動 機 として、 引受 幹 事 会 社 の競 争 が激化し、 その結 果、 発 行 会 社 の幹 事 会 社 指 定 をめ ぐ って、 証券会 社 が株 価 工 作 に努 力 する こ とにも な った。 その株 価 工 作 の一 環 として、 法 人による株式保 有 の増 大 がは か ら れた点を否 定する ことはでき な い で あ ろ う。 (6). 株式税制. 現 行 税 制 によると、 企 業 の支 払 う配 当 は受 取株 主 の段 階 で 、 法 人と個 人と でち がった取扱 い を行 な ってい る。 す な わ ち 、 法 人のば あ い 、 ④ 受 取配 当 が. -127 (5632)-.

(10) 支払い配当をこえ る 場合、 そのこえ る部分の2 5%は益金に算 入 され 課 税され る ( 租 税特 別措 置 法4 2 条 の 3 ) 。 @借 入 金があ る 場合、 受 取配当から所定の 負 債 利子を控 除した残額が益金算 入とな る ( 法人税法23 条 3 項)。 ◎配当金 取 り を目的と し た短期売買 ( 配当支払会社の決 算 8 前 1 8 以内に取得 し 、 か つ その決 算 H 後 2 月 以内に譲 渡 し た場合)の場合、 これについ て 得た配当金 は益金算 入 され 課 税され る ( 法人税法23 条 2 項) 以上、@ @◎の場合を 除 い て 、 法人の受取配当は原 則 とし て 益金 不 算 入で非 課 税であ る 。 これに対し て 個 人株主のばあい、 所得税法によ り 源泉 課 税 (15% ) となっ て お り 、 確 定申告をおこなえば、 1 0 % の配当控 除 ( 課 税所得が1000万 円 をこ え る部分は 5 % ) が認められ て い る 。 た だ し 1 銘 柄につ き 1 期配当 5万円 ( 年 1 回 決 算のばあいは1 0万 円 )以下の場合は確 定申告しな く て よい ( 租 税特 別措置 8 条の 5 ) 。 配当金を申告しなければ、 1 5%の源泉 税の課 税 だ けで済 む 。 なお 1 銘 柄 につ き 1 期配当が2 5万 円 未 満 (年1 回 決 算 のばあい50万 円 未 満 ) で、 かつ その株数が発行済み 株式数の 5 % 未 満の場合、 申告総合 課 税の 代 り に源泉 分離 課 税 (年2 5% ) の 選 択 が 可 能 ( 租 税特別措 置 法 8 条 の4) と なって い る 。 また株式の売買益につい て は、 年間の売買 回 数が50 回 以下でかつ売買件数 が合計2 0万株以下のばあいは非 課 税となって い る が、 それをこえ る ばあいは 総合課 税の対象となって お り 、 申告を義務づけられ て い る 。 以上のような配当税制におけ る 法人と個 人の差 別、 ならびに売買益に関す る 税制が個人の株式投資を阻害し て い る 点は否定しえないところであ る 。. 皿. 機関化現象の 問 題 点. 以上にのべ たような株式保有の機関化現象は投資家、 証券業者、 発行会社、 および国民経済にさま ざ まな 問 題を提 起 し、 その弊 害を 除 去す る ための具体. -128 (5633) -.

(11) 策の検 討を進るにいたった。 そこでまず機関化現象が各 方面に惹 きおこした 問 題 点を明ら か にして おこう。 (1). 投 資 家 に と っ ての問題点. 投資 家にとって 一 番 大きな 問 題 点は、 法人の株式投資 が圧 倒 的に増大し、 株式保有の機関化現象が進 展 するにつれ て 、 市 場における株価形 成 が大きな 変化を生 じ たことである。 すなわち、 前にものべたように、. 一. 般個人株主は株式に利潤 分 配証 券 的価. 値を認め て 、 配当、 ないしは その源 泉 である純 利益を甚礎 と し て 株価を算定 するのに対し、 支配証 券 、 ないし経営 参 加 証 券的価値 観に立 脚 し て 投 資 をお こなう法人は、 株価算定に当って 、 配当、 および純利益 を そ れ ほ ど重 視 して いないわけである。 したがって そのような機関投資 が増大 す れ ば、 株価の形 成は当然個人主導 型 か ら機関主導 型に変化し て く る。 し か も個人主導 型 の株 価形 成は配当、 および禾I] 潤に対する予測 に 基 づ い て なされ るので、 比較的予 測 が 可 能である、 そ れ に対して 機関主導 型 の株価形 成 は外部投 資 家 に 予 測 が む つ か しいといえる。 換 言 す れ ば、 従来、 利回りとか P E R など、 株式投 資 に当って 基準とされ て いた物差しが用を足 さなくなって しまい、 一 般投資 家 は 計 器 なしに悪 天 候 を飛 行 するパイ ロ ッ トに似た不 安を感 じ させら れ るにいたったのである。 また、 株式保有の機関化現象が進 展 するにつ れ て 、 浮動株が減少し、 少量 の売買によっ て 大きく株価が変動するようになったことも否定できない。 す なわち、 株価形 成 が浮 動株の減少によって 投機的性格を強めたといえるので ある。 そ れ は単 に機関投資 家の投資 行動によって のみもたらされ た現象では なく、 株式保有の機関化現象の進 展 によって 、 株式の需 給 構造に変化がおこ り、 その変化に着 目し て 、 浮 動株の減少を利用し て 、 株価の変動幅 を拡 大し、 そ れ によって 利益を得ようとする投機家の市 場参入によって 増幅 さ れ た現 象 だといえよう。 いずれ にせよ、 株式保有の機関化現象は 一 般個人株主にとっ て 、 株価予 測. -129 (5634) -.

(12) を困 難 なら し め 、 かつ 株価変動をより投機的なら し め た。 その結果、 個 人株 主の市場離脱がおこり、 それがさらに株式保有の機関化現象を 促 進させる方 向 に作用 し たのである。 (2). 証 券 会社 に と っ ての問題点. 前 章の( 5 )においてのべたよ う に、 証券会社は時価発行増資に当って 引 受 幹 事会社に指定されることを目的と し て、 発行株式の時価の安定をはかり、 積 極的に機関投資家による株式保有を推進 し てきたが、 そのことは 引 受 業務を 認 め られている総合証券会社と、 それを認 め られない中小 証券会社の格差を 増 大させることになった。 同時に株式保有の機関化現象が進展す るにつれて、 浮動株が減 少 し 、 個 人株主が減 少 す. れば、 その結果、 株式の 回 転 率 が落ちて くるものと 予 想される。 このことは す でに米国では立証済み の事実であり、 機関投資家の証券業への進出、 および機関投資家による証券会社の売買委 託 手数料 引 下げ要求の増大とともに、 米国における証券業経営の 問 題 点となっ ている。 (3). 発行会社 に と っ ての問題点. 時価発行増資に当って、 増資プ レ ミ ア ム の拡大を目的と し てなされる株価 対 策は、 一 方において資本 コ ス ト の増大につながることに留意 し なければな らない。 す なわち、 企業間でお互 いに株式を持ち合 う ばあい、 相手企業の株 式を保有す るた め に多額の資金を固定化 し なければならない。 また系 列 強化、. TOB 防止、 経営多角化などの目的をもってなされる多企業の株式保有に つ いても、 同 様に多額の資金を固定化 し なければならない。 と ころが、 他方に おいて多額の借人れ金を抑 いで、 それによって他企業の株式を保有 し たばあ い、 支払い禾I] 息 と受取り配当金 の 差額は企業の収益を圧 迫 す るこ と になる。 し たがって株式保有によるメ リ ッ ト と株式保有による コ ス ト 増大を勘 案 す る 必 要が生 じ たことは 当 然である。 その結果、 持ち合い関係にある企業の相手 方 が、 金融上、 その他の 事 情にもとづ うて株式を売却 し たばあい、 当 然 、 片 方の企業も それに対応 し て相手方企業の株式を売却 し て、 持ち合い関係を解. - 130 (5635) -.

(13) 消する行動を と るこ と に な るが、 その時の売 却 価格が必 ず しも取得価格を上 回 わっている と は 限ら な い。 したがって株 式の持 ち 合いは単 に コ ス ト の面 だ け に と どまらず、 株価変動 に よる危 険 負 担 に も さ ら さ れているこ と に 留意 し な け れば な ら な い。 また持 ち 合い関係 に も と づ く 株 式保有 以外のばあい( 経営多角化、 T O B 防 止、 系列強化 な どの理由 で 、 株 式 がもたれるばあい ) 、 保有会社は コ ス ト の 増大を恐れて、 増資 に よる発行株 式の増大を歓 迎し な い。 その た め に 発行会 社の資 本調達が 阻 害 さ れたり、 また経営の主体性を損われるこ と も考 え られ る。 このよう に 株 式を保有する側 と 持たれる側の利害得失が相 反 する ケ. ー. ス. も大い に あり得るこ と と い え よう。 (4) 国民経済 に と っ て の 問 題 点 株 式保有の機関化現象が進展するこ と は、 経済の 民 主化を破 壊し、 資 本主 義の存続を否 定する危 険性をもっているこ と に 最 大の 問 題 点がある。 す な わ ち 、 機関化現象の進展は個 人 と 企業 と の結びつきを希 薄化 し 、 個 人 の企業 活 動へ の参加意識を な く すこ と に よって、 両 者の 対 立を強 め る恐れ がある 。 また、 企業 に と っては安定的 な 資 金の調達 パ イ プを弱 め るこ と に な る と と も に 、 株 式市場 に お け る 資 金の適 正配分機能 を 阻 害するこ と に よって健然 な 経 済成長を そこ な う恐れがある。 同時 に 、 機関化現象の進展は系列の強化、 競 争の制限 な ど に よって、 独占 価格の形成 に つ な がる恐 れがある。 また企業間の株 式 持 ち 合いは 双 方の 公称 資 本の水増し と な り、 資 本の充 実を形骸 化するものである。 投 資 家 に と って、 機関化現象の進展は資 産 運用 対象をせばめ るこ と に の な る。. - 131 (5636) -.

(14) N. 機関化現象の 改 善 策 個 人株主増大策. 以上のように株 式 保有の機関化現象は各方面 にいろ ん な弊 害を生み 、 かず かずの 問 題 点を提 起しているが、 それに対処して株式保有の機関化現象をく いとめ、 積極的に個 人株主を増大するための具体策が検 討されつつあり 、 す で に実践に移された対策もある。 そこで それらの対策を検 討し 、 若 干 の批判 を試み ることにする。 (1). ディ ス ク ロ ー ジャ. ー. の徹底. 昨年の商 法改 正 によって、 資本金10億 円以上の会社は決 算書について 公認 会 計 士の監 査をうけねばならなくなった。 従来も上場会社は株式総会後 、 大 蔵 省 に提 出する有価証券報告書について 、 公認会 計 士の監 査をうけていたが 、 公認会 計 士の監 査意見が 問 題 になったことはなかった。 しかしこ ん ご は それ が株主に送 付されることになったので 、 特定引当金 に関する 公認会計 士の監 査意見は大いに注 目 されることになり 、 利益性引当金の積立てによって、 内 部留 保を任意に厚くし、 配当を制限することは困 難 になっな とおもわれる。 しかし株主に送 付される決 算 書 だ けでは不充 分であり、 米国におけるよう な詳細な報告書を用意して 、 経理内容のデ ィ スク ロ. ー. ジャ. ー. に努力する 必要. があるようにおもわれる。 同 時に必要に応じ適 時 公 開 の制度を導 人 する必要があるで あろう。 (2). 上 場 基 準の強化. 個 人株主を増大させるためには 、 投資対象としての株式の質の向 上をはか らねばならない。 そこで 株式の上場基準を強化し 、 資本金規 模 、 浮動株式数を決めて 、 一部 から二部へ の指定替え、 および上場廃止措 置をとることになった。 すなわち、 資本金規模については 、 3 億 円以上 を 5 億 円以上に引上げ、 現 在上場している会社については53年4月までに、 この基準に達するようにす. -132 (5637) -.

(15) れ ばよいこ とになって いる。 浮動株数につい て は、500株以上 5 万株 未 満 の株式を所有する株主の所有株 数 をふ や し 、 株価形 成を公正、 かつ円 滑ならしめよ う とするもので、 一 部指 定 基準は 資 本金30億円未 満のばあい上場株式数 の25%+ 300 万 株以上 、 同 30億 円以上 のばあい同 10%+ 1200 万 株以上となっ て いる。 二 部 指 定 替え基準と し て は、資本金30億 円 未 満のばあい上場株式数 の20%未 満 、 同 30億円 - 100億 円 未 満 のばあい同 8 %+ 720万株未 満、同 100 億円以上の 1まあい 届] 60%+ 1 120 万 株未 満 となって いる。上場廃 止 基準と し て は 、 資 本金30億 円 未 満 のばあい上場 株式数 の 10% 未 満 、 同 30億円以上の ばあい同 4%+ 360 万 株未 満 となって いる。 (3). 時価発行 に 対 す る 規 制. 時価発行の増大が、 増 資 プ レ ミアムを株主から奪 う こ とになり、 投資 魅 力 を失わせ、 個 人 株主を市場から離 脱させた こ とは n 章 の(5)で述 べた。 そ こ で 増資 プ レ ミアムを一 定 期 間 内に無償 交 付 などによって 株主に還元する こ と、 および、 配 当 性向を低下させないよ う 発行会社 に 求 める 申 し 合わせが引受 会 社によって なされた。 こ のよ う な 申 し 合せに違 反 し た発行会社 に対して は 、 つ ぎ の時価発行を慎 重に行な う よ う 大蔵 省 では指導 し て いる。 また時価発行 価格の決 定 方式や 、 親 引 け 制度 ( 発行会社が新株の引き取り 先 を決める こ と ) に関して も 、 検 討 の 余 地 があろ う 。 (4). 営 業の 自 主 規 制. 個 人 株主を増大させ 、 株式保 有の機関化現象を是 正 するためには、 証 券 会 社 の営業姿 勢を、 真に投資 家本位に改める必要があるとの認識に立っ て 、 大 蔵 省 は昨年末 、 証 券 局 長 名 の通 達を発 し 、 業 界 に営業の 自 主規 正を制 定 する よ う に求めた。 日 本 証 券 業 協 会 は 大 蔵 省 の通 達 に 応 じ て 、 証 券 業務 特 別 委 員 会を設 け 、 自 主 規 削 を設 定 し て. 、. 3 月 1 日 以降 、 同 規 則を守る こ と になった 0 3 月 7 fl 付. 株式新聞に掲載さ れ た H 本 証 券 業協 会 会 長 H 高 源 氏 の. 「. 自. t Iレ ー ル の制 定 に. つい て」と題 する記 事によると その骨子はつ ぎ のとおりである。. -133 (5638) -.

(16) 1 . 証券業協会の行なう措謹. ①. 「協会員 の投資勧 誘 、 顧 客 管 理な ど に関する規制」 を新たに制定する。. ②. 「 広告に関する規 則 」 の 一部を改正 する と と もに、 広告審 査専門委 員. 会を設置する。. ③. 「証券従業員 に関する規 則 」 の 一部を改 正 する。. ④ 苦 情相談 室の機能を強化する。 2 . 協会の 規 削 に基づいて証券会社が行う措 醤 ① 証券会社各社において顧 客 管 理 に関する社内規則 を制定する。 ②. 「 営業 員 服務規定」 の 一部を改正 する。. ③ 投資勧 誘にあたっての営業 員 ガ イド ブ ッ ク を作成する。 3 . 総合証券会社の グル ー プで行なう措潤引受業務の充 実について、 総合証 券会社 1 1 社間の 自主ル ー ルを整備改善する。 (5). そ の他 、 検討 中 の 対 策. 以上の諸 対 策以外に、 目 下 、 関係各 方 面 で 検 討されつつある対 策 と し て、 つ ぎの諸項目があげられる。 1 . 従 業員 持ち株制度の普 及 2. 配当二 重 課 税の排 除. 3 . 配当による再投資プ ランの採用 4 . 優 先 株の利用. 5 . 投資機関の育 成強化 6 . 投資顧 問 制度の制定. 7 . 独 禁 法強化による持ち株制限. v. むす び. 株式保有の機関化現象を生じた原因、 およ び そ の背 景 は以上にのべ た と お りである。 また そ の弊 害 と 、 そ の 是 正 に 対 し て採られた対 策についても明ら. -134 (5639) -.

(17) かに し たとおりで ある。 ところでこのような株式保有の機関化現象が 一 時的な現象にす ぎないのか、 または長期的にわが国証券市場の構造 問 題 と し て定着 し たものなのかは、 い まのところまだ断言 できる段 階でない。 なぜなら 国際通貨不 安 、 および石油 問 題の発生を契機と し て、 世 界 経済はきわ め て流動的な諸要因に取り巻か れ 、 混乱期を脱す るのにかなりの年月を必 要 と す るようにおもわれる。 かりに過剰流動性が吸収されて、 マ ネ ー サ プ ラ イ が適 正 な 安 定 水準に囮 復 し たとき、 企 業の保有 し ていた株式が市場を通じて個 人の手 許に還流 し て く るものなのか、 ど うか。 す でに昨年あたりから、 法人の株式売却が増大 し 、 株式分布構造に変化 がみ え はじ め ている。 また48年1 月をピ ー クと し て株価 は大きな値 下がりを演じている。 傾 向的にこの値下 がりが長期にわたり、 利 回 りの向上によって、 個 人投資家が 一 般利子率 との比 較 惑 に基づいて株式投 資意欲を取り戻 す にいたるものなのか、 どうかについても見通 し は む つか し し). ゜ それに し ても、 自 由 主義経済 の 建て前を守り、 企 業の投資活動を放 任 し た. ばあい、 資本主義経済 は本 質 的に、 系列強化、 独占体制強化の方向をたどる 公算が強い。 したがって民主主義のル ー ルを確 立 し 、 資本主義の安定的発展をはかる目 的 で、 証 券 界 を中心 として、 関係各方面 が、 個 人株主の増大策を講じる必 要 性はきわ め て高いといわねばならない。 本稿は島本教授の退 職 記 念 論 文 集という性格上、 時間的制約によって、 じ ゅ うぶんな実証に基づく建設的提 言 を行なうだ け の 余 裕 がなかった。 後 H 、 稿を改 め て補 足 し たいとおも う 。. - 135 (5640) -.

(18) (参 一. ①. 新証券論. ②. 法 人 資 本 主 義 の 構造. ③. 企 業 と 証 券 市場 を め ぐ る 諸 問 題. ④. ⑤. 戦後 日 本的. 住. 「. ,. i.I佐. 郎編. ソ. ー. 奥村宏著. 考. 文. テ ッ ク社. 献) 50 .. 日 本評論社. 4. 75 .. 証 券 問 題研 究 会. 2 49 .. 7. 持 ち 合 い 」 に よ る 肥満 児 的 財 務 特質 と 「 所 有 な き 支 配 」. 証 券 経済 年 報 10 号. 50 .. 企 業 の 社 会的責任. 河本一郎. 片 山 fii -. 5 証券経済時 報特別 号. H 本証券経済研究所. 1975. aprNo.46 ⑥. 個 人 株 主の 増 大 策 に つ い て. 片 山 f五 ー. 証 券 ア ナ リ ス ト 78 号. 1975 / 3 No. 2. 50 .. l . 30. ⑦. 載 後 日 本 の 株価 形 成. ⑧. 個 人株主拡大方策. ⑨. 株 式 所 有 構 造 の 変 化 と 証 券 市 場 の あ り 方 一 個 人 株 主 の 増 大 策 に つ い て 一'. ⑩. 株 式 構 成 の 変 化 と 資 本 市場 の あ り 方 に つ い て. ⑪. 株 主 構成 の 変 化 と 資 本市場の あ り 方. ⑫. 大 衆 株 主 の 復 権 は 可 能 力、. 引 所証 券 政 策 委 員 会. 財務調査. 野村総合研究所. 49.. 1974.. 明治生命財務調査諜. 3 東京証券取. 6 . 18 証券取 引 審 墳会特別 委 員 会. 50 .. 3.. 17. 寺田徳. 橘本 貞 夫. フ ァ イ ナス. M A Y ' 75. 74 . l l . 26. エコ ノ ミ ス ト. 49 . l l . 18. ⑬. 時 価 発 行 増 資 が個 人 株 主 減少 要 因 か. ⑭. 証 券 市 場 の 構 造 変 化ー 増 大 す る 法 人 の 株式所 有 を 中 心 に. ⑮. 米 国 証 券 市場 の 機 関 化 に 関 す る 調 査 報 告 書 ー 機 関 化 の イ ン パ ク ト と 対 策. 72 .. 1973.. 山 田英雄. 金融財政事情. 岡 本勝 美. 金融 ジ ャ. ー. 9. 9 月号. -136 (5641) -. 「証券」. ナル.

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参照

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