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児童ポルノを受領する行為の可罰性について

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(1)法 科 大 学 院 論 集 第 4号. 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. 昼 主L J豆.. 田. 兼. 彦. 目次 I はじめに E 前提的考察 1 児童ポルノ提供罪の保護法益 2 必要的共犯 3 共犯の処罰根拠 E 児童ポルノ受領行為の可罰性 1 従来の見解 2 児童ポルノ受領行為に罰則が置かれていない趣旨・根拠. 3 共犯としての不可罰性 W むすびにかえて. I はじめに 本稿は,児童ポルノを受領する行為が児童ポルノ提供罪(児童買春,児童ポ ルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律〔以下, i 現行法Jま たは「法Jという) 7条 1項・ 4項)の共犯として可罰的かという問題を扱う ものである。 かつて筆者は,必要的共犯のうちの他者侵害的な片面的対向犯において,罰 則のない方の関与行為,たとえばわいせつ物販売罪(刑法 1 7 5条)における購 入行為が,罰則のある方の共犯として処罰されるかという問題について,次の ように述べたことがある。すなわち,片面的対向犯の類型に「特徴的なことは,. - 79-.

(2) 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. ほとんどが『取引型の犯罪』であり,かつ,取引の当事者のうち罰則が置かれ ているのは不特定又は多数人を相手に取引をする側だけであるということであ る。これは,不特定又は多数の者を相手方とする取引行為のみが,刑法上不法 とされている(可罰的な違法性があるとされている)ことを意味する。つまり, ここでは,類型的に不特定又は多数人を相手方とする取引活動としてなされる 行為だけが,刑法上許されない方法で法益を侵害できるとされているのである o このことは,混合惹起説に立てば,正犯を介した間接的な侵害であっても変わ らな L、。したがって,それ以外の行為は,許されない危険を創出するものでは ないから,共犯としても処罰されな L¥ j,と 1)。これによれば,わいせつ物販売 罪における購入行為は,類型的に不特定または多数人を相手方とする取引活動 としてなされる行為とはし、えな L、から,執劫に働きかけて販売するよう仕向け た場合を含め,わいせつ物販売罪の共犯として処罰されることはないというこ とになる o 同じことは,不特定または多数人を提供の相手方とする児童ポルノ 提供罪(法 7条 4項)における児童ポルノ受領行為についてもいえる(法は, 児童ポルノを受領する行為については罰則を置いていな L、 ) 。 しかし,このような説明は, i 特定少数人」を提供の相手方とする児童ポル ノ提供罪(法 7条 1項)における受領行為については使えな L、。そのため,当 時は,この場合の回答を留保し,その検討は他日に期すこととしていた2')。本 稿は,この残された課題に取り組むことを目的とするものである。. E 前提的考察 本題に入る前に,まず,その前提となる諸事項,すなわち,児童ポルノ提供 罪の保護法益,必要的共犯論,共犯の処罰根拠論について整理しておきた L 。 、 1)豊田兼彦「狭義の共犯の成立要件について」立命館法学3 1 0 号 ( 2 0 0 7 年) 2 6 5頁 。. 2)豊田・前掲注 1 )2 6 9 頁 。. n o.

(3) 法 科 大 学 院 論 集 第 4号. 1 児童ポルノ提供罪の保護法益 児童ポルノ提供罪の保護法益に関しては,大別して,これを被写体となった 児童の個別具体的な利益と解する個人的法益説 3),児童一般の健全育成等の利 益や健全育成のための良好な社会環境といった社会的な利益と解する社会的法 益説4),両者を保護法益と解する混合説 5) の 3つの見解がある。 ( 1 ) 個人的法益説とその問題点. 個人的法益説は,その根拠として,①児童ポルノ規制は,わいせつ表現規制 (刑法 1 7 5条)と比べて性描写要件が緩慢で,規制行為類型も広範であり,さら に法定刑もより峻厳であることから,憲法上の表現の自由保障に対するより広 範な制約であることになるが,このような制約は,その規制利益を被写体児童 の個人的利益と解することでしか正当化されえないと解されること,②被写体. 5条 1項 , 児童の保護等に係る条項(法 1. 1 6条)の存在や立法者意思から,法が. 描写対象として実在児童を前提としている(漫画等の絵ゃいわゆる擬似的児童 ポルノを客体から除外している)と解されること,③客体が画像・映像媒体 (状態)に限定されていること,などを挙げる. 6) 。. この見解は,たしかに,上記②を容易に説明できるという点で,現行法の解 釈としては,社会的法益説よりも有利である(社会的法益説を一貫させれば, 被写体児童の実在性は不要であると解される)7)。しかし,この点は,社会的法 益説を支持できない根拠とはなりえても,混合説を排除すべき理由には必ずし もならない。混合説を採ったとしても,混合される個人的法益と社会的法益と 3)永井善之「サイパー・ポルノ規制と刑事法改正」刑法雑誌4 5巻 3号 ( 2 0 0 6 年) 3 4頁,渡溢卓也 『 電脳空間における刑事的規制 J( 2 0 0 6 年) 2 1 3頁など。 4)上野芳久「児童買春と児童ポルノの刑事規制」西原春夫ほか編 『佐々木史朗先生喜寿祝賀・刑事 法の理論と実践J( 2 0 0 2年) 5 2 7頁以下。 5)森山民弓=野田聖子編著 『よくわかる改正児童買春・児童ポルノ禁止法J( 2 0 0 5年) 9 3頁,佐久 8巻 9号 ( 2 0 0 5 年) 間修「国民の生活環境に対する罪一一わいせつ犯罪を中心として(1)J警察学論集5 2 0 6頁. 2 0 8頁以下など。 6 )永井・前掲注 3 )3 4頁参照。 7)上野・前掲注 4 )5 2 9頁. 5 3 1頁. 5 3 4頁。. - 81-.

(4) 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. の関係を「または」ではなく「かっ」の関係. ( i 択一的」ではなく「重畳的」. な関係)と解し,本罪の成立には両者の侵害が必要であると解するならば,被 写体児童の実在性を要求することとの聞に矛盾は生じな L、からである。 ①の論拠にも,疑問の余地がある。そこでは,わいせつ表現規制との比較が 行われているが,わいせつ物頒布等罪における社会的法益(健全な性風俗)と 児童ポルノ規制において主張されている社会的法益(児童一般の利益,児童の 健全育成のための社会環境など)とでは,その内容は,一部重なるとしても, まったく同ーというわけではな L、。したがって,児童ポルノ規制の合憲性を説 明するために個人的法益説を採用しなければならないとする必然性はな L、。む しろ,合憲性の説明は,児童の個人的法益と社会的法益とを重畳的に保護する と解する混合説の立場からなされる方がわかりやすいと思われる. 8)。. さらに,個人的法益説には,立法者意思や,国際動向との協調を掲げる現行 法との整合性が保たれているかという疑問もある o 立法者は,児童ポルノの提 供等が「児童を性欲の対象としてとらえる風潮を助長することになるとともに, 身体的及び精神的に未熟である児童一般の心身の成長に重大な影響を与える」 ことに鑑み,法の目的は,被写体児童の個人的利益の保護だけでなく, i 児童一 般を守るとともに,児童を性欲の対象としてとらえることのない健全な社会を 維持すること」にもあると考えている. 9) 。また,法の目的規定(法. 1条)は,. 「児童の権利の擁護に関する国際動向を踏まえ Jると述べているところ,国際的 にも,児童一般ないし健全な社会環境の保護を児童ポルノ規制の目的に含める 傾向にあると考えられるのである 10)。 8) 混合説の立場から児童ポルノ規制を憲法に違反しないと述べた裁判例として,大阪高判平成 1 2・ 1 0・ 2 4高等裁判所刑事裁判速報集(平成 1 2 年度) 1 4 6頁。なお,児童ポルノ提供の相手方が不特定 多数人の場合の加重処罰の根拠も,混合説による方がより容易に説明できるように思われる。. 9) 1 9 9 9 年 5月1 2日衆議院法務委員会における円より子参議院議員答弁(第 1 4 5回国会衆議院法務委 1号)参照。 員会会議録 1 1 0 ) この傾向は. 2 0 0 0 年に国連で採択された児童の権利条約選択議定書が「児童ポルノの撲誠J .r 児 童ポルノに対する消費需要」の減少を目標に掲げていることや,それらを踏まえた各国の取組みの. n o.

(5) 法 科 大 学 院 論 集 第 4号. ( 2 ) 社会的法益説とその問題点. 他方,社会的法益説は,被写体児童の実在性を要しない擬似的児童ポルノや 絵を規制客体とする方向では有利な見解であるが,それは現行法の採る立場で はないと思われる。また,この見解では,特定少数人に対する児童ポルノ提供 の可罰性を説明するのは困難である。さらに,被写体児童に対する現実的な利 益の侵害を離れて, もっぱら抽象的に「児童の健全育成にとって良好な社会環 境」を保護することに法の目的があると解するならば,それは,法が「望まし い性的価値観」を強制することにつながりかねず,問題であろう11)。 以上の検討からすると,少なくとも現行法を前提とするかぎり,児童の個人 的法益と社会的法益の両方が重畳的に(しかも前者は直接的,後者は間接的に) 保護されていると解するのが妥当であろう o そのような意味での混合説が支持 2 )。 されるべきである 1. 2 必要的共犯 13) ( 1 ) 児童ポルノ提供罪と必要的共犯. 児童ポルノ提供罪における「提供」とは,当該児童ポルノまたは電磁的記録 その他の記録を相手方において利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切 の行為をいい,必ずしも相手方が現に受領することまでは必要ではない(たと えば,プロパイダを経由する場合,児童ポルノを内容とする電磁的記録を電子 メールで相手方に送信し,プロパイダ内で相手方の受信箱に入れる行為がこれ. 状況などからうかがえる。 1 1 ) 渡遁・前掲注 3) 2 0 9頁,園田寿『解説児童買春・児童ポルノ処罰法J0999年) 2 6頁参照。 1 2 ) ドイツの通説も,被写体児童の個人的利益の保護に加え,児童虐待の間接的促進の匝止による児 童一般の保護も児童ポルノ規制の目的であると解している。 Vg . letwaHerbertTrondle/Thomas. F i s c h e r, S t r a f g e s e t z b u c hundN e b e n g e s e t z e, 5 4 .Auf , . l2001, ~ 1 8 4 bRdn.2 . 1 3 ) 必要的共犯について,詳しくは,豊田兼彦「必要的共犯についての一考察(1)- ( 4・完)J立命館 法学2 6 3 号 0999 年) 1 8 6頁以下,同 2 6 4号(同年) 4 2 8頁以下,同 2 6 5号(同年) 6 0 1頁以下,同 2 6 6 号(周年) 8 3 0頁以下参照。. - 83-.

(6) 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. に当たる)と解されている 14)。しかし,そこでも児童ポルノを受領する相手方 の存在は当然の前提とされているし,. i 提供」に当たる行為の中には相手方が児. 童ポルノを現に受領することを必要とする行為も含まれる。したがって,その ような意味において,あるいは一定の範囲において,児童ポルノの提供と受領 とは必要的共犯の関係にあると解することができる。そのように解した場合, 児童ポルノの提供の相手方となる行為には罰則が置かれていないことから,児 童ポルノ提供罪は,必要的共犯の中でも,対向関係にある一方にのみ罰則が置 かれているタイプの対向犯,すなわち片面的対向犯に分類される。片面的対向 犯においては,罰則の置かれていない方の関与者が他方の共犯として処罰され るかが問題となる。児童ポルノ提供罪の場合,提供の相手方となる行為,すな わち児童ポルノを受領する行為が,提供罪の共犯に当たるかが関われることに なる。. ( 2 ) 立法者意思説と実質説 片面的対向犯の問題については,これまで立法者意思説(形式説)15),実質 説 16)などが主張されてきた。立法者意思説は,対向関係にある関与者の一方の みに罰則が置かれていることに着目し,その反対解釈によって,罰則のない方 の関与者に共犯が成立しないことを説明する見解である。これに対し,実質説 は,この場合の関与者には,被害者であるから違法性がないとか,犯人が他人 に蔵匿を頼む場合にも犯人には期待可能性(責任)がないので,犯人による自 己蔵匿の教唆は不可罰である,といったように,実質的な理由に着目して個別 的に共犯の成否を考える見解である17)。 1 4 )森山=野田・前掲注 5 )9 5頁,島戸純「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保 護等に関する法律の一部を改正する法律」ジュリスト 1 2 7 4号 ( 2 0 0 4 年) 6 4頁など参照。 1 5 ) 団藤重光 『刑法綱要総論[第 3版 ]J ( 1 9 9 0 年) 4 3 2頁など。判例弘基本的に,この見解に立っ と理解されている 。最判昭和 4 3・1 2・2 4刑集2 2 巻1 3号 1 6 2 5頁参照。 1 6 )平野龍一 『刑法総論 1 1J0 975 年) 3 7 9頁以下など。 1 7 )なお,最近では,立法者意思説と実質説を併用する見解もみられる 。西国典之 『刑法総論J( 2 0 0 6 年) 3 5 5頁以下,丸山雅夫「必要的共犯」西田典之ほか編 『刑法の争点 J( 2 0 0 7 年) 1 1 5頁参照。. - 84-.

(7) 法 科 大 学 院 論 集 第 4号. 立法者意思説によれば,罰則を欠く方の関与行為は共犯としても不可罰とな るo 児童ポルノの受領者を必要的共犯と解するならば,受領行為は提供罪の共 犯としても不可罰と解されよう。なお,立法者意思説の中には,関与行為が通 常の程度を超えた場合には,共犯の成立が肯定されるとするものがある 18)。こ れによれば,たとえば,積極的に働きかけて児童ポルノを提供するよう仕向け た場合には,児童ポルノ提供罪の教唆犯が成立することになろう o また,必要 的共犯とは相手方の行為を必要とする場合であり,相手方の存在が必要である にすぎない場合はこれに含まれないと解する見解 19) によれば,児童ポルノ提 供罪は,先述したように,相手方の受領行為を必ずしも必要としていないと解 されるので,少なくとも,受領行為を必要としない場合については,立法者意 思説を適用して受領者を不可罰とすることはできないと解する余地が生じる。 実質説によれば,児童ポルノを受領する行為について,これを不可罰とすべ き実質的な理由(違法性の欠知・軽微性,責任の欠如・軽微性)があるか否か を検討し,それが肯定される場合には,受領行為は不可罰ということになる o. 司 ( 提供の相手方(被写体児童,それ以外の第三者) ところで,児童ポルノ提供の相手方としては,①被写体児童自身と,②それ 以外の第三者とが考えられる。立法者意思説に立った場合には,①と②とで結 論に違いは生じな L、。しかし,実質説によれば,児童ポルノ提供罪の法益理解 によっては,結論に違いを生じうる。個人的法益説や,個人的法益と社会的法 益の両方を重畳的に保護すると解する混合説に立った場合,①は本罪の被害者 ということになるので,その受領行為は違法性が欠け,不可罰になると解する ことになろうが,②は被害者ではないので,このような説明は妥当しな L、。他 方,社会的法益説に従えば,関与者が①②いずれの場合であっても,社会的法 益を侵害する点で変わりはな L、から ,①と②とで結論に相違は生じな L 。 、. 。 白. 1 8 ) 団藤・前掲注 1 5 )4 3 3頁など。 1 9)団藤・前掲注目) 4 3 3頁。. Fhu.

(8) 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. ( 4 ) 従来の見解の問題点. 以上のような立法者意思説,実質説のそれぞれに対しては,すでにいくつか の疑問(立法者意思説にいう通常の関与行為の範囲は不明確である,実質説に よると被害者でもなく期待不可能でもない関与者はすべて共犯として可罰的と なってしまう,など)が示されているが 20),これについては,ここでは論じな い。両説に残された検討課題として理論的に重要と思われるのは,共犯の処罰 根拠との関係をどのように考えるか,それとの整合性をいかにして確保するか という問題である。必要的共犯,とりわけ片面的対向犯の問題は,共犯の成否 に関わる問題である以上,それを解決するには,共犯の一般理論である共犯の 処罰根拠との関係および整合性の問題を避けて通ることはできないと思われる。 実質説の中には,共犯の処罰根拠を意識した見解 21)もある o しかし,それ は,共犯の処罰根拠から内在的に片面的対向犯の不可罰性を説明するものでは なく,実質説の主張内容(違法性の欠知,責任の欠知)を外在的な不処罰根拠 として援用するにとどまっている o そうではなくて,共犯の処罰根拠から内在 的に,あるいはそれとの整合性を担保した上で,片面的対向犯の不可罰性を説 明することが望ましいように思われる。このことは,児童ポルノ受領行為の可 罰性の問題にも当てはまる。. 3 共犯の処罰根提22) しかし,いずれにしても,児童ポルノを受領する行為が児童ポルノ提供罪の. 2 0 )西田・前掲注 1 7 )3 5 3 頁 , 3 5 5頁,丸山・前掲注 1 7 )1 1 4頁以下参照。 2 1)大越義久 『 共犯の処罰根拠J0 981年) 2 6 0 頁。 2 2 )共犯の処罰根拠について,詳しくは,高機則夫 『共犯体系と共犯理論J0988 年) 9 1頁以下,同 2 0 0 7 年) 1 5 2頁以下,山口厚 『刑法総論[第 2版 J J( 2 0 0 7 年) 2 9 4頁以下, 『 規範論と刑法解釈論J( 2 0 0 3 年) 2 7 5頁以下,豊田兼彦「共犯の処罰根拠と客観的帰属(1)J 松宮孝明 『 刑事立法と犯罪体系 J( 愛知大学法学部法経論集 1 6 6 号 ( 2 0 0 4 年)1頁以下参照。なお,近時の論考として,小野上真也「わ が国における 『 共犯の処罰根拠論』の意義」早稲田大学大学院法研論集 1 2 2号 ( 2 0 0 7 年) 4 9頁以下 がある。. -8 6一.

(9) 法 科 大 学 院 論 集 第 4号. 共犯として可罰的か否かという問題は,共犯の成否が問題となる一場面である から,それは,共犯の一般理論の 1つである共犯の処罰根拠論をも視野に入れ て検討されるべきである。共犯の処罰根拠に関する学説の分類方法は必ずしも 一致していないが,ここでは,責任または不法共犯説,従属性志向惹起説(修 正惹起説),純粋惹起説,混合惹起説に分類しておく。 ( 1 ) 責任共犯説・不法共犯説. 責任共犯説・不法共犯説は,正犯を罪責または不法に陥れたことに共犯の処 罰根拠があるとする見解である o これによれば,児童ポルノ受領行為は,それ が被写体児童自身によるものであれ,それ以外の第三者によるものであれ,正 犯を児童ポルノ提供罪の罪責または不法に陥れる行為と解されるので,提供罪 の共犯として可罰的となる。. ( 2 ) 従属性志向惹起説(修正惹起説) 従属性志向惹起説は,構成要件で保護された法益の侵害の惹起に共犯の処罰 根拠を求める見解であるが,それは,構成要件上の法益の侵害の惹起を本質的 とみる点で,一方では,責任共犯説や不法共犯説と異なり,他方では,純粋惹 起説および混合惹起説と共通する(なお,わが国では, しばしば因果的共犯論 という言葉が使われるが,それは,これら 3つの惹起説の最大公約数である, 構成要件上の法益の侵害の惹起という点に着目した見解であると理解してよい であろう)。しかし,従属性志向惹起説は,共犯不法の独立性を完全に否定して 共犯不法をもっぱら正犯不法から引き出す点,つまり,構成要件上の法益の侵 害が正犯者の側にあれば足り,その法益侵害が共犯者にとって構成要件に該当 するものでなくてよいとする点で,純粋惹起説や混合惹起説とは異なる o この見解によっても,児童ポルノ提供罪が成立する(正犯である提供者の側 に提供罪の構成要件に該当する法益侵害が認められる)以上,受領者が被写体 児童自身であると第三者であるとを問わず,受領行為は従属的に提供罪の共犯 として可罰的となる o. - 87-.

(10) 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. ( 3 ) 純粋惹起説. 純粋惹起説は,従属性志向惹起説とは反対に,共犯の不法を正犯の不法から 完全に切り離して理解する見解である。すなわち,それは,共犯の不法を共犯 固有の不法,つまり,共犯の立場からみて構成要件に該当する法益侵害を共犯 自身が惹起したということのみで構成する。 これによれば,児童ポルノ提供罪の法益理解によっては,受領者が被写体児 童の場合とそれ以外の第三者の場合とで結論が異なりうる o すなわち,個人的 法益説,あるいは混合説(児童ポルノ提供等罪は個人的法益と社会的法益の両 方を重畳的に保護している,換言すれば,同罪の構成要件の実現には両法益の 侵害が必要であると解する見解)に立てば,被写体児童の受領行為は共犯とし ても不可罰になる o 児童の個人的法益は,当該児童による侵害からは構成要件 的に保護されておらず,これを当該児童自身が構成要件該当的に侵害すること はできないと解されるからである o これに対し,被写体児童以外の第三者によ る受領行為は,いずれの法益理解によっても,純粋惹起説の上記の定義を形式 的に当てはめれば,可罰的となる。 もっとも,純粋惹起説に立ったとしても,共犯固有の不法を共犯の処罰根拠 とする点に着目し,これを前提に,客観的帰属論の許されない危険創出の要件 を共犯の一般的成立要件に取り込めば 23),許されない危険の創出が欠けること を理由に,第三者による受領行為の可罰性を否定することができるように思わ れる。この点について詳しくは,後で述べることとする(後述 i l l 3参照)。 位) 混合惹起説. 混合惹起説は,共犯固有の不法と正犯不法の両方を共犯の処罰根拠とする見 解である。純粋惹起説を基礎にしつつ,正犯不法の存在を共犯処罰の必要条件 とする見解であるといってもよい。これによれば,児童ポルノ受領行為の可罰 性については,純粋惹起説と同様の結論が導かれる。客観的帰属論の許されな 2 3 ) 豊田・前掲注 1) 2 5 1頁以下参照。. - 88-.

(11) 法 科 大 学 院 論 集 第 4号. い危険創出要件を応用した場合の結論も同様である。. E 児童ポルノ受領行為の可罰性 1 従来の見解 ( 1 ) 絶対的児童保護説. 児童ポルノを受領する行為が児童ポルノ提供罪の共犯に当たるかという問題 は,これまで個別的に詳論されたことはほとんどなかったが,この問題に関す る数少ない見解の 1っとして,絶対的児童保護説とも呼ぶべき見解2 4 ) がある o この見解は,児童ポルノを除くわいせつ物(以下, I わいせつ物」という)の 購入は不可罰であるが,児童ポルノの購入は(共犯として)可罰的であるとす る。その具体的内容は,以下のとおりである 25)。 この見解によれば,わいせつ物販売罪は,子供たちが性感覚において健全に 成長し,子供も大人も性活動を重んじ,女性に対しても男性に対しても敬意を もって接することが可能となる環境,すなわち「性領域における見えざるイン フラ」を保護しようとするものである o わいせつ物の販売行為と同様,購入行 為にも,このインフラを破壊する危険性があるが,その危険性は小さく,そこ にはきわめてわずかな違法性しかな L、。よって,わいせつ物購入行為は不可罰 とされるべきである。また,わいせつ物の受領行為を可罰的とすると,社会に 大きなマイナス効果が発生することが容易に予想されるのであり,功利主義的 見地からも,わいせつ物を購入する行為は不可罰と解するべきである o これに対し,この見解の論者によれば,客体が児童ポルノの場合には,わい せつ物の場合と異なり,性的搾取・濫用から児童を保護することへの「正義」 の要請が強く働く o ここでは, I あらゆる比較衡量から切り離して,絶対的に, 2 4 ) 曲目統「わいせつ物を購入する行為の可罰性について」現代刑事法 6巻 2号 ( 2 0 0 4 年) 9 6頁以下。 2 5 ) 曲目・前掲注2 4 )9 4頁以下参照。. - 89-.

(12) 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. 児童個人の権利が守られなければならない」。購入行為といえども,児童の性 的被害者を出すことに現実に力を与え,かつ児童の犠牲から利益を得る行為に 他ならない。その意味で,購入行為の違法性および規範的非難を僅少と判断す るのは合理性を欠く。したがって,違法・非難に応じた刑事責任という正義の 観点からみる限り,児童ポルノ購入行為は可罰的共犯とするのが合理的である。 以上が絶対的児童保護説の内容である(なお,この見解は,特定少数人に対 する児童ポルノの提供を可罰的とした 2 0 0 4年改正以前に主張されたものである が,その主張内容によれば,提供の相手方が特定少数人か不特定多数人かで結 論が異なることはないであろう)。この見解は,児童ポルノ規制の根拠にさか のぼって,児童ポルノ購入行為の可罰性を個別具体的に論じているところに特 色があり,注目される。しかし,この見解に対しては,次のような疑問がある。 第 1に,この見解は,. I あらゆる比較衡量から切り離して,絶対的に,児童. 個人の権利が守られなければならな Lリという児童保護の絶対性を児童ポルノ 購入行為の可罰性の根拠とするが,そのような根拠は,児童ポルノの取得行為 や単純所持に罰則を設けていない現行法の立場と調和しないように思われる。 この疑問に対しては,これらの行為は児童ポルノ提供罪の共犯として処罰でき るので罰則を置かなかっただけである,との反論も予想される。しかし,児童 ポルノの取得行為には,提供罪の共犯として処罰できない場合も含まれる(拾 得の場合,児童ポルノと知らずに取得した後に児童ポルノと気づいた場合な ど)。また,単純所持それ自体を提供罪の共犯とみるのは困難である o そのよ うな場合であっても,児童個人の利益は侵害されうる。児童個人の権利を「絶 対的に」保護すべきだというのであれば,そのような場合も処罰されてしかる べきだということになり,そのために罰則が置かれたはずである o しかし,そ うなっていない。だとすれば,法は,. I あらゆる比較衡量から切り離して,絶対. 的に,児童個人の権利が守られなければならな Lリとまでは考えていないと解 。 、 さざるを得な L. - 90-.

(13) 法 科 大 学 院 論 集 第 4号. 第 2に,この見解においては,児童ポルノの受領行為に罰則が置かれていな い点についての検討がなされておらず,罰則が設けられていないという事実が 十分に考慮されていないように見受けられるが,これにも疑問がある。児童の 「絶対的」保護の観点からは,罰則がなくても共犯に該当する以上可罰的と解す べきであるということなのかもしれな L、。しかし,罰則が設けられていない点 の検討ないし考慮を抜きにした解釈は,現行法の解釈としては,必ずしも説得 的であるように思われない。 ( 2 ) その他の見解. 以上の見解のほか,学説には,児童ポルノ受領行為の可罰性の問題について は,違法・責任阻却の問題として不可罰を基礎づけるか,共犯の因果性を問題 とするしかないとしたうえで,実質的観点からは,被写体児童以外の第三者の 不処罰を根拠づけることは困難であるとする見解 2 6)がある o そこでは,根拠づ けが困難であるとする理由は明確には述べられていないが,おそらく,必要的 共犯に関する実質説を前提に,第三者による受領行為については,被害者でな い以上違法性に欠けるところはなく,また責任の欠加も認められないので,こ れを不可罰とするのは難しいとされたのであろう o しかし,ここでも,児童ポルノを受領する行為に罰則が設けられていない点 の検討は十分になされていな L、。法が罰則を置いていない趣旨ないし根拠を解 明することによって,児童ポルノ受領行為の不処罰を根拠づけることができな いか,さらに検討する必要があるように思われる o. 2 児童ポルノ受領行為に罰則が置かれていない趣旨・根拠 ( 1 ) 因果論的アプローチとその限界. まず,地侵害の有無・程度に着目する因果論的アプローチが考えられる。 これによれば,被写体児童による受領行為については,社会的法益説に立たな 2 6 ) 渡遁・前掲注 3)2 1 6頁以下。. - 91-.

(14) 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. いかぎり,被害者による関与であることを理由に不可罰と解することができる。 問題は,被写体児童以外の第三者による受領行為である。 児童ポルノ提供罪のうち,不特定または多数人を相手方とする提供罪(法 7 条 4項)については, 1"わいせつ物を積極的に伝播する行為(頒布・販売)は. 当罰的な違法性を備えているが,その相手方として伝播を可能にするにとどま る行為については当罰性が低 Lリ27) という説明を援用することもできょう O し かし,特定少数人を相手方とする提供罪(法 7条 1項)については,このよう な説明を援用することは困難である O 児童ポルノ提供罪の法益理解について, いずれの見解を採ったとしても,特定少数人間の児童ポルノの取引においては, 法益侵害の程度という点では,児童ポルノを提供する行為とこれを受領する行 為との聞に大きな違いはないと解されるからである 28)。特定少数人を相手方と する提供罪をも視野に入れるならば,法益侵害の有無・程度だけではなく,構 成要件レベルでの法益侵害の具体的な「態様J(構成要件化された法益侵害「行 為」の特徴)にも着目する必要があるように恩われる。. ( 2 ) 流通起点行為(供給側の行為)の処罰 そこで,試みに,児童ポルノの受領行為と同じく罰則が置かれていない,児 童ポルノの単純所持に着目してみよう o 現行法は,同じ所持であっても,提供 目的の所持は可罰的(法 7条 2項),単純所持は不可罰としている o 両者の違い は,児童ポルノ流通の起点となる行為か否かにある。つまり,法は,所持につ いて,流通の起点となる所持のみを, (広義の)刑法上許されない法益侵害(可 罰的違法,不法)と評価していると解することができる o このような視点から他の行為類型をみてみると,法が処罰の対象としている 2 7 ) 山口厚 『刑法各論[補訂版J J(2005年) 504頁。 2 8 )永井善之「サイパー・ポルノ規制と刑法および児童ポルノ法の改正」刑法雑誌4 5巻 1号 ( 2 0 0 5 年) 1 3 8頁は,個人的法益説に立つならば,児童ポルノを「そうと知りつつ取得する行為については, それがのちの交付や公開等の行為を目的とするものではない場合にも,その当罰性は低いとは必ず しもいえな L、」と述べるが,このことは,社会的法益説や混合説に立った場合にも当てはまるであ ろう 。. - 92-.

(15) 法 科 大 学 院 論 集 第 4号. 行為は,すべて流通の起点となる側の行為(供給側の行為。以下,. I 流通起点. 行為」という)であることがわかる 2 9 )。これに対し,児童ポルノの単純所持や, 同じく罰則が置かれていない児童ポルノ受領行為は,流通起点行為とは L、えな い行為である(提供目的受領行為については,流通起点行為に含まれると解す ることも不可能ではなかろうが,それは所持の前段階であり,それ自体を流通 起点行為とみるには早すぎるように思われる)。以上のことからすると,法は, 児童ポルノの規制にあたり,流通起点行為(供給側の行為)であるか否かに着 目して,刑法上許されない法益侵害(可罰的違法,不法)の範囲を画定したも のと解することができるであろう。 ( 3 ) 流通起点行為か否かで区別した実質的理由(立法理由). では,なぜ現行法は,処罰の対象を流通起点行為に限定したのであろうか。 そこには,多種多様の政策的判断(捜査の濫用・プライバシー侵害の危険に対 する考慮,捜査・訴追機関の過重負担の問題の考慮など)があると思われるが, 理論的に重要な根拠としては,以下の 2つを挙げることができる。. 1つは,比例原理である o ここにいう比例原理とは,行為自由の制限は,そ れが法律目的の達成にとって最も適切かつ最も穏やかな手段である場合にかぎ り許されるという,法治国家原則ないし憲法の基本権から導かれる法原理のこ とである。現行法が処罰範囲を流通起点行為に限定したことは,比例原理の観 点から説明することができる o もう 1つは,流通起点行為に含まれない行為は,流通起点行為に比べ,期待 可能性の程度が類型的に低いと考えられることである。このことは,インター ネットを利用した場合の児童ポルノの取引において顕著である。インターネッ トを利用すれば,比較的簡単に,かっ平穏な形態で,児童ポルノを入手するこ とができるから,インターネットを利用した児童ポルノの入手は,児童ポルノ 2 9 ) 提供目的のない児童ポルノ製造行為も可罰的とされているが(法 7条 3項),そのような製造行 為も,流通の高度の危険性を創出する点で,流通起点行為に含まれると解される。. - 93-.

(16) 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. を欲する者にとってきわめて誘惑的な方法ということができる o その分だけ, 期待可能性の程度が低いと解しうる O 児童ポルノの刑事規制を求めるサイバー 犯罪条約 9条は,児童ポルノ取得罪については留保可能としているが,それも, 刑法理論上は,以上のような理由に基づくものと考えることができょう o. 3 共犯としての不可罰性 以上のような不処罰の根拠(形式的には「流通起点行為」に含まれないとい うこと,実質的には「比例原理」あるいは「期待可能性の程度の低さ J )は , 児童ポルノを受領する行為を児童ポルノ提供罪の共犯として見た場合にも,同 様に当てはまるであろう O したがって,現行法を前提とするかぎり,児童ポル ノ受領行為は,児童ポルノ提供罪の共犯としても処罰されるべきではな L 。 、 このことを,共犯の処罰根拠論を含めた共犯の一般理論と関連づけて説明す れば,以下のようになる。 共犯の処罰根拠としては,共犯固有の不法に加えて,正犯の不法も共犯の処 罰根拠に取り込む見解,すなわち混合惹起説が妥当である。責任共犯説,不法 共犯説,従属性志向惹起説によれば,一般に不可罰と考えられている片面的対 向犯,たとえば嘱託殺人罪における嘱託行為やわいせつ物販売罪における購入 行為が可罰的となってしまうし,正犯不法を考慮に入れない純粋惹起説に立っ と,正犯なき共犯が肯定され,共犯の従属性に反することになってしまうから である。 共犯固有の不法(正犯不法から独立した不法)を認める混合惹起説を採用す れば,客観的帰属論における許されない危険の創出・実現の要件を共犯に転用 することができる。すなわち,可罰的な共犯が成立するためには,間接的な結 果惹起行為それ自体が結果発生の許されない危険を創出し,この危険が実際に 構成要件該当結果の中に実現したことが必要である,と解することができる 30)0 3 0 ) 豊田・前掲注 1) 2 5 8頁参照。このように解することの実益は,とりわけ,いわゆる中立的行為. - 94-.

(17) 法 科 大 学 院 論 集 第 4号. そして,先に述べたように,現行法においては,児童ポルノ流通の起点となる 側の行為(流通起点行為)のみが,刑法上許されない法益侵害とされている O し たがって,そこに含まれない児童ポルノ受領行為は,児童ポルノ提供罪の法益 を因果的に侵害することはできても,刑法上許されない方法でこれを侵害する ことは不可能である。それゆえ,児童ポルノを受領する行為は,許されない危 険を創出することができず,児童ポルノ提供罪の共犯としても不可罰となる。 これに対し,任意的な関与行為,たとえば,受領行為者以外の者が児童ポルノ の提供を勧める行為は,流通起点行為(児童ポルノを供給する側の行為)に含 まれるから,児童ポルノ提供罪の共犯に当たると解される o なお,本稿は,児童ポルノ提供罪は被写体児童の個人的法益と児童一般など の社会的法益の両方を重畳的に保護するものであると解する混合説を支持する ものであるが(前述 I 1参照),これによるならば,児童ポルノ提供の相手方 が被写体児童自身の場合には,自己侵害的な関与行為の不処罰の観点 31)から (も),受領行為の不可罰性を説明できる o. 1 111. W むすびにかえて 本稿が献呈されるべき鈴木茂嗣教授は,片面的対向犯の可罰性について,次 のように述べておられる o すなわち,. r 教唆犯・従犯は,教唆・帯助によって. 基本的犯罪類型該当の結果を惹起する犯罪であり,たとえばわいせつ物販売罪 であれば,. r 教唆・帯助によるわいせつ物販売』罪として,その基本構造を理. 解すべきものである o しかるに,わいせつ物の販売を教唆し自己に有償譲渡さ せた者は,教唆によりわいせつ物の販売をした者ではなく,教唆によりわいせ に よ る 常 助 の 不 可 罰 性 を 説 明 す る 際 に 認 め ら れ る 。Vg . letwaClausRoxin,StrafrechtA l l Bandn ,2003,S.206ff. ;BerndSchunemann, i n:LK, 1 2 .Auf . l,2007,~ 2 7Rdn. g e m e i n e rT e i l, 1 7 f f. 31)豊田・前掲注 1)2 6 4頁参照。. - 95-.

(18) 児童ポルノを受領する行為の可罰性について. つ物を購入した者といわねばならない。したがって,わいせつ物を単純に購入 した者は勿論,執劫に働きかけて購入した者も,ともに教唆犯ないし従犯の犯 罪類型性を欠くものといわざるをえない J . と32)。 このような教授の見解によれば,児童ポルノ提供罪における受領行為も,わ いせつ物の購入行為と同様,共犯としての犯罪類型性を欠き,不可罰になると 思われる。本稿の結論は,これと一致する o 理由づけについても,共犯固有の 不法(および正犯不法)に共犯の処罰根拠を求める混合惹起説から出発する本 稿の見解は. r 対向犯における対向行為の可罰性の問題は,まずは共犯の犯罪類 型性の問題として検討されなければならな Lリ33) とする鈴木教授の見解と,基 本的な視点において異なるところはな L、。筆者によれば,ただ,結論を導く過 程で客観的帰属論を援用する点に違いがあるにすぎな L、。その意味で,本稿の 見解は,鈴木教授の見解を異なる手法によって構成しようとしたものとして理 解することもできるであろう。. 3 2 ) 鈴木茂嗣 『刑法総論〔犯罪論)J( 2 0 0 1年) 1 9 3頁以下。 3 3 ) 鈴木・前掲注3 2 )1 9 4頁 。. - 96-.

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参照

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