言語行為論における表現内効力
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(2) . 言語行為論における表現内効力. 根. 本. 慎. ある言語表現が理解される ためには, それが用 いられる脈絡の中に置くことにより, より明確に 把握できると考えることができよう. それはまた, その表現がどのような意図 で用 いられているの t t ) とそれに伴う各種の行為との関連を r e ance かも示すことができる であろう. 本稿 では, 発話 (u 1 ( )に お l i i l l e(1969) t r ona o cu 考察する言語行為論における表 現内効力( yforces) に つ い てJ .R.Sear ける彼の所説を中心に考えてみたい.. 1 1. 我々の言語による表現活動を行為という面から考えると, いくつかの側面があることに気付く.. 2 { }の見方を取り入れながらも言語による表現行為を次のよ i Sear l t 9 75 ) n(1 e は 部 分 的 に はJ s .L .Au うに分類している, teranceacts) 1. 発 話 行 為 (ut i i lact t 2. 命 題 行 為 (propos s) ona i i l l t onaryac s) ocut 3, 表 現内 行 為 ( i l 4, 表 現遂 行 的 行 為 (pe onaryact s) r ocut. 発話行為は, 通常の文や語(句)を話し手が発する行為 であり, 命題行為は, ある対象を指示し, ing 陳述する行為を含む, 表現内行為は, ある表現を発することが同時にある行為を行う こ と (do i h i t ngi ns ng) である. 表現遂行的行為は, ある表現行為が結果的にある事態をもたらす行 ay s ome 為を指す. 例えば, 主張することによっ て相手を説得できたとすると, その主張のための表現は表 現遂行的行為とされる. しかし, これらの行為はかならずしも独立したものではない. 命題行為を 行うことは, 主張や質問などの表現内行為を同時に含むことが多い, Sea l 969 ) では, 言語表現を行為として考察するために次の様な仮定を設けている. r e(1 0 言 語 行 為 (speecha t ) は規則に則った行動 である. c s 0言語行為は, 発話行為により言明, 命令, 約束などの行為を行うこと である. 0ある文の文字通りの 意味とそれに対応する脈絡が適切・であれば, どの行為が行われているか. 原則的には定めることができる. 0ある言語行為を構成するためには特定の条件が必要 である, この条件は, ある表現が具体的 行為を示すための意味解釈規則となる. 149.
(3) . 根. 本. 慎. 0 話し手の意図は表現可能 である. 0記号, 単語, 文などは発話として用いられてこそ伝達のための単位となる. t ’ l 1 lbethere” これらの仮定から言語行為は話し手の意図を有した規則的行動 であると言えよう.t という発話は, その用 いられる状況に応じて断定, 予定表明, ある場合には警告などの表現内行為 l l i を示す可能性 を持っ ている, その様な具体的表現内 行為 を示す指標 を表 現内効力 (i ry ocut ona for ces) と 呼 ぶ こ と に す る, l Sear e は言語研究が 如 7 2 z ‘ 〃と g. 卿の迄 を区分するの ではなく運用される言語の考察こそが言語理. 解への接近法であるとする立場をとっ ている, ある言語表現が, その構造と語桑項目に基づく読み による意味ではなく, 言語が使用される場合の発話の意味を通して, 話し手の意図, 表現の意味, 聞き手 の理解に ついての関連に注目 している それはまた, 異なっ た発話 が同 一 の言語 行為を遂 . 行 できるという発話 が使用上共通に持 つ効力による意味の考察に関心を持 っ て いることに よる, ( ”のような発話によれば 話し手の意図とそ l l lc Sear lpromisethatl wi e に よ る 言 語 行 為 はt ome , の行為は文字通りの意味から一義的に確定できる. しかし, 発話の基となる文の意味から行為を直 接推定 できないことも 多い. 表現内効力を決定する要素としては, 1) 文の文字通りの意味, 2) 文の統語的特徴, 3) 発話が行われる脈絡が考えられる. 文の文字通りの意味は言語行為を推定す る最も基本的な要素 である. 特に遂行動詞の存在は表現内効力を明示する働きがある, しかし次の 3 ) ( 1 )に見られるように遂行動詞の効力は副詞などの修飾語によっ て変更を受けることもある{ . l l 斜めの夢 promise to come, ( 1 ) He wi. 統語的形態特徴 である平 叙文, 疑問文, 命令文はその構造によっ て伝えられる表現内容の一般的特 徴を与え, 表現内効力の概括的枠組を指定する-要素となる. 更に, 文の構造が表現内効力を示す l 部分と, 行為の目的を示す部分がどの程度明示されているかということも重要な手掛となる,Se r e a tment) の違 い で あ る と 述 べ て いる. は次の文における指標の有無を言質の度合 (degreeofcommi ズ たの7 2 ( ) a. ′ かの“富 sethat hク 2 8 . 〆 b, ′pか“ ? s g to come ’ lcome c 11 . 4 { } では法助動詞も表現内効力を示す能力 を持つとする見方も提出 しかし, Boydand Thorne(1969). している. 脈絡によっ て規定される要素としては, 発話の音声的特徴~ 話し手の判断,.非言語的状 況から得られる発話の効力 が考えられる. Se l r a eは当初の仮定に 基づき, これらの要素を特 定の言語行為 が成立するための必要 条件とし て, 四種の規則として提示している. i iona lcontentru l 1, 命題 内 容 規 則 (pr t opos es) l 2, 予 備 規 制‘ t (pr eparao ryrues) incer i l 3」 誠 実 規 則 (s tyru es) ia lru l 4, 必 須 規 則 (essent es). 命題内容規則は, 言語表現による伝達の可能性を保証することが満たされなければならない. また, 特定の表現内行為を発話の形 で表現する基礎となる命題 が備え持つ具体的内容に関する条件を満た すことを指定する. 予備規則は, ある表現内行為を行う状況が適切 でなけれ ばならないことを求め るもの である. 誠実規則は, ある行為の実施は話し手の意図によるものであり, . 同時に実施可能な 行為 であることを理解していなければならない旨を指定する. 必須規則の規定によると, 話し手は 命題内容を表現することにより特定の行為を行うこと であることを理解していなければならない. 例えば, 約束という表現内行為 が成立するためには命題内容は約束の内容を示すものであるから少 150.
(4) . 言語行為論における表現内効力. くとも未来の行為 を表現することを含み, 予備規則の指定により, 約束の行為が聞き手にとり好ま しいものであり, 約束という行為 がいつも,,または未来においても容易に行われ ,る可能性 のないこ となどが含まれる. 誠実規則を満たすためには 話し手が約束をす る意志があれば良い 必須規則 を . 満たすために, 命題内容を含 む発話を行うことが約束の行為となることを理解している必要がある . これら四種の規則によると, 表現内行為を示す発話は表現内効力 を示す部分と命題内 容を示す部分 から成っ ている, しかし, 脈絡から話し手の意図が明らか であれば命題内容の発話の み でも表現内 行為は成立する ことになる.. 1 1 1. l 前節では, Sea r eによ ,る発話が持つ表現内効力 設定の手順を概観した. 発話の意味を文 字通りに 理解してよく, それによっ て, 命題内容と表現内効力が明示されている限りでは, 表現内行為は- ● しかし 文字通りの意味 という 限定を取り除くと運用面での発話の意 義的に定め ・ることができる , , 味内容は多様になり得る, 本節では, 表現内効力設定に関する問題点をあげてみたい . l 先 ず Sear e による表現内効力設定のための四種の規則について考えてみたい これらの四種の規 , 則は, 発話の満たすべき, 命題内容, 話し手の意図, 特定の行為成立のための必要条件について規 定するもの である. しかし必須規則に従えば, 話し手はどのような発話によっ て・どのような行為を 遂行するのか理解・ し, そのように行動 しようとする. この規則を満たすことは同時に命題内容規則. と誠実規則を満た・ すことができる. 更に, 依頼という行為を考えると, 依頼という 行為を適切なも のとする予備規則を考慮しな 、くとも必須規則さえ満たされていれば依頼の行為は成立する, その場 合に依頼する相手 が居れば話し手は自由に依頼という行為が・ できることになる. 次に脈絡を考慮しても暖昧な発話 はどのように扱われると良いのだろうか 例え ば”Canyou pass . 5 ) l ( t と methe s a l なのか疑問文と解すべきなのか暖昧である, 975 ) r e(1 ・いう表現は依頼の表現● .Sea i では文字通りの意味がその場面に即さないときは, 慣習表現と受け取るか, Gr ceの 「協力の原則 ivep i i l (cooperat ) 」による聞き手の推論が大きな働きをなす r nc e としている p .全体としてこの原則 が守られているときに話し手が原則 の一部に従わない発話をしたとすると, 聞き手は状況と事実に 基づいて話し手の真意を理解しようとする. そこ で得られた会話の含意は話・ し手の真意に合致する 保証はない, 含意と言っ ても, 文字通りの意味が基本となっ ている含意と現実の状況か ら推定され た意味とは, かなり異なる. 次の文(3 a) で話し手が正確な場所を知らないと いう含意と(3b) t ”と同等の意味を引き出すのではその含意に違いがある C1 i からt osethe w ndow! . ivessomewhereinthe South ) a. Shel ( 3 . l din here, b. エビsco 6 ( }では 語用論的性格を持つ表現内効力を「会話の公式(conver Gordonand Lak f f(1 97 5) o i l t s a ona ,. l t t ) s u 」 により生成意味論の中に位置づけようとしている. 彼らの 「会話の公式」 は発話の文 a es po 字通りの意味と脈絡が与えられた上 で発話の効力 を示そうとするもの である. Go don and Lakoff r 4 )が依頼という共通の表現内効力を持つことを説明するために次の様・ は( な公式を与えて いる. ( 4) a. 工 Wantyou totakeoutthe garbage. 、 arba e? b Can vout ake outthe g g , . . d you be Wi l l ingtotake outthe garbage? c. vvou 7 ( ) d vv i l . k t t you a e ou the garbage? ・ 151.
(5) . 根 本. 慎. *→REQUEST(巧 わ Q) ) α,Q) ( ) a. SAY(仏 わ 5 , , WANT( 8 ( ) * わ b. ASK (巧 む CAN( ) →REQUEST(巧 な Q) , Q) 6 ) (. )→ WANT( SINCERE( α α,REQUEST(巧 む Q) ,Q) )→ b. SINCERE(仏 REQUEST( α ,な Q) a.. c.. ASSUME(α ) , CAN(わ , Q) SINCERE(仏 REQUEST(仏 わ )→ , Q). d.. ASSUME(α ING(白 ) , WILL , Q) S工NCERE(仏 REQUEST(仏 わ )→ASSUME(仏-Q) , Q). ’{ 9 } w彰 だ Q Z S げ 物〃大形” FUT の ○ 偽 刷り〔も w辺 の αc云尺 〕. ( 5 )では依頼に関する発話が話者の立場に立っ た表現と聞き手の立場に立っ た表現があることを仮定 して いる, (6 a) は話者の立場からの依頼の意図の表現, (6b) は聞き手の依頼を満 たす可能性 を仮定した表現, (6c) は聞き手が依頼を好意的に扱う ものと仮定した表現, (6d) は, 近い未 来に依頼が実行される であろうとの仮定によっ て導き出された表現 である, この様な定式が必要と さ れるならば,次のような表現に対しても同様に仮 定を設けて文法内に組み込ま なければならない. ’ tyoutake outthe garbage? ( 7 ) a. Can he garbage,could you? b Take outt . ,. fyou cantake garbage? C 公虹ayla sk youi . d l wonderi f.Can ask you totake outthe garbage? .. l o ) l 975)では慣習的な定式表現であると考えている{ r ( 4 )に見られる異 なっ た依頼表現を Sea e(1 ) 7 . ,( しかし, 依頼表現に見られる法助動詞の使用, 命令形による表現, 依頼行為自体に確信を持てない 表現の存在などは依頼行為に対する話し手の 心態表現と考えることも できる であろう. 話し手は命 題内容を どのように受け取っ ているか, その内容をどのように伝達するか, 依頼という行為がどの きる. それは, 依頼という行為 , 程度の結果を生むかなどについての判断を発話の中に表すことがで をどの程度明示することができるかに 影響を与える. 語用論から見ると依頼, 要求, 命令な どの表 現内効力には関連があり, 命令の効力は忠告や示唆などとも結びつく, これらの行為は全体として 他者に課したり, 与える効力を持つ. これは, 一つの表現が複数の表現内効力を持つことができる からである. もしこれらの表現内効力 を文法の中に組み込むとするなら, 全ての状況を指定し, そ れに伴う表現内効力を予知 できなければならない.極めて話し手の主観的判 断に依存する行為を「会 話の公式」 として設定するのは無理があると思われる.. 表現内効力の設定は, 儀式としての宣言, 命名 が一 定の手順と役割によっ て適切な一つ の慣習的 行為が成立するのと同様の構造を持つ. 儀式においては一 定の集団が同一 の意図を持ち一つの行為 に参加するからこそ他の行為と峻別 できるものとなる. 明示的な指標を持たない 多くの発話行為は その満すべき条件の拘束が儀式の場合ほど強くはなく, 異なっ た効力 を持つものと理解される場合 がある. しかし言語行為の考察におけるいくつかの問題点や否定的見通しがあっ たとしても言語運 用面の考察が不必要 であることにはならない. 言語運用におげる発話の 流れや全体の枠組を理解す ることにより, 従来の文を対象とする考察のみからは得られなかっ た発話の意味をより広い視野の 中で捉える手掛りを期待 できるからである. 152.
(6) . 言語行為論における表現内効力. 〔注〕 l i i dge Un ) 1)J e v es s .Pr . .R,Sear ,s虎総力 Ads(Cambr 1 d d idge L A i 品 D as iv 物 2 お t 財 井 伊 ぜ ) r :Ha れ a r 2)J u s n o z U o s rva rd Un es s ” 加 那 ,(Camb . .Pr . ,N ., , , t tGr “ ”“ ” 40 36 1 l i d1 F t twoch t a mm a ra n o C u 3) see A,Mi o n a r o r c e g 4 y , , , . “ ” i f Moda IVer bs 4)王 cso . .BoydandJ .P.Thorne , ノ乙 ,5 ,57一74 , TheSemant t ‘ “ l i l dJ t 5)J e nd r c s3′S i粥ぽ物 A c符 e 嶺・ rgan ectSpeech Ac s ,P.Co ,し. Mo ‐ ,ed .R.Sear ,l , in 砂“超#”〃αSa榊α煽ぎ (New York:AcademicPr ) es s . .59-82 ,pp. .in S れ加xα”dsの明α煽 れ 3′S鳶此れ Ac ion副 Pos l l r t tu tes / 6) D,GordonandG,Lakof ℃onver sa a e s ed y .P.Co andJ rgan .L, Mo .83-106 . ,pp. 7) 恥zは P .p .85 . 8) 必須, ,86 . ,P d b 9) Z z , .85 . ,P. 1 ) 〇汐 0 . ,び云 P.6 &5 (本学助手・岩見沢分校). 153.
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