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専門高等学校における課題研究 : 建築設計教育の指導に関する研究

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(1)2002年度 学校教育研究科学位論文. 専門高等学校における課題研究. 一建築設計教育の指導に関する研究一. 兵庫教育大学大学院学校教育研究科(修士課程). 教科・領域教育専攻 総合学習系コース. MO1266D. 森田 修市.

(2) 専門高等学校における課題研究. 一建築設計教育の指導に関する研究一. 目 次. 第1章 課題研究の目標及び内容・・・・・・・・・・・・・・・…. 1. 第1節 高等学校教育課程(工業)の変遷・・・・・・・・・・…. 1. 第2節 課題研究の目標と内容・・・・・・・・・・・・・・・…. 3. ,第3節 全国建築科設置高等学校における課題研究の現状・・・…. 4. 第2章 建築設計教育の指導に関する研究の目的及び意義・・・・… 6 第1節 建築と建築空間と建築設計・・・・・・・・・・・・・… 6 第2節 建築設計教育の定義 ・・・・・・・・・・・・・・・… 7 第3節 全国高等学校建築設計競技が建築設計教育に与えた影響… 8 第4節 建築設計教育の指導に関する研究の目的、内容及び方法… 9 第5節 建築設計教育の指導に関する研究の意義 ・・・・・・… 11. 第3章 建築設計教育に携わる教師の指導資質能力・・・・・・・… 13 第1節 教師の指導評価言語に関するアンケート調査の概要と分析・・13 第2節 建築設計教育に関するアンケート調査の概要と分析・・… 15 (1)全国建築科設置高等学校における課題研究の. 現状調査結果と分析. ・・・・・・・・・・・・… 15. (2)製図に関するアンケート結果と分析・・・・・・・… 17 (3)座学、実習の興味・関心に関するアンケート結果と分析・21. (4)教師の指導資質についてのアンケート結果と分析・… 27. 第3節 教師の指導評価言語についての考察・・・・・・・・・… 39. 第4節 教師の指導資質についての考察・・・・・・・・・・・… 41. 第4章 まとめ. 参考文献. 。 。 ・ ● ● ● ・ ● ● ●43. ・. ・44.

(3) 参考資料 建築設計教育の指導実践例・・・・・・・・・・・・・… 45. 第1節 建築設計計画論…. 9・・・・・・・・・・・・・・… 46. (1)建築設計計画の進め方・・・・・・・・・・・・・… 47. (2)建築空間と造形の進め方・・・・・・・・・・・・… 48 (3)敷地・配置・平面計画の進め方・・・・・・・・・… 49 (4)住宅の基本計画構成の進め方 ・・・・・・・・・・…. 50. (5)住宅の断面構成の進め方・・・・・・・・・・・・… 51 (6)プレゼンテーションの技法 ・・・・・・・・・・・…. 第2節 建築設計教育の実践指導例. 51. ・・・・・・・・・… の53. (1)課題1「4大学主催の各建築設計競技」 ・・・… 53. 1)第16回日本工業大学建設計競技. 課題「エコロジイーの住まい」 ・・・・・・… 53 2)第21回高等学校設計コンクール2QO2建築設計競技 課題「集う住まい」・・・・・・・・・・・・… 56 3)第49回日本大学建築設計競技 課題「これからの住まい」・・・・・・・・・… 59 4)第10回九州産業大学建築設計競技 課題「既存建築物の再利用」・・・・・・・・… 59 (2)課題皿「卒業設計」・・・・・・・・・・・・・… 69. 参考資料 まとめ. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 77. 建築設計に関するアンケート用紙・・・・・・・・・・・・・・… 82.

(4) 第1章 課題研究の目標及び内容 第1節. 高等学校教育課程(工業)の変遷. 一課題解決型の学習「課題研究」が設けられた理由とその必要性を、高等学校学習指導要 領(工業科編)に記載されている教科「工業」の目標の変遷をみながら述べる。. 1947(昭和22)年3,月、教育基本法と学校教育法が公布され新しい学制が実施された。 その後、7回の改訂があり、今年で52年目を迎える。 1951(昭和26)年の「高等学校学習指導要領工業畔編(試案)」は、学習指導法の改善 を図るために職業分析の方法を取り入れ、実験・実習を中心とした授業の在り方に大きな 影響を与えた。教科「工業」の目標として「高等学校における工業教育は、将来日本工業 の建設発展の基幹である中堅技術工員となるべきものに必要な技術・知識・態度を育成す るものである。」1)とされ、工業教育発展の原型となった。. 1956(昭和31)年は、朝鮮戦争が勃発し、日本は特需:景気により経済が著しく成長した 時である㌔主な改訂点として、工業の各課程(科)は多様性に富むことから、「工業」の目 標を「高等学校における工業教育は、中学校教育の基礎の上にたち、将来の我国工業界の 進歩発展の実質的な推進力となる技術員の育成を目的とし、現場技術にその基盤をおいて、 基礎的な知識・技能・態度を習得させ、工業人としての正しい自覚をもたせることを目指 すものである。」2)としている。. 1960(昭和35)年は、生徒指導の充実強化を図るために、高等学校に「倫理・社:会」が 置かれた。また、基礎学力の充実、科学技術教育の向上なども掲げられ、「工業」の目標と して「1.工業の各分野における中堅の技衛者に必要な知識と技術を習得させる。2.工業技. 術の科学的根拠を理解させ、その改善進歩を図ろうとする能力を養う。3.工業技術の性格 や工業の経済的構造およびその社会的意義を理解させ、共同して責任ある行動をする勤労 に対する正しい信念をつちかい工業人としての自覚を養う。」3)となった。. 1970(昭和45)年は、戦後のベビーブームの子供が一挙に高等学校に入学するようにな り、各地の工業高校が次々と増設された時期である。必修クラブ活動が設置され、「工業」 の目標は、前回改訂の1、2は同様の内容であり「3.工業の社会的・経済的意義を理解させ、. 共同して責任ある行動をする態度と勤労に対する正しい信念をつちかい、工業の発展を図 る態度を養う。」4)が掲げられた。. 1978(昭和53)年は、児童生徒の間に学力差が広がり、非行の低年齢化、校内暴力や家 庭暴力が起こり、この状況の打開が急務になった。そこで人間性豊かな児童生徒の育成を 図り、ゆとりある充実した学校生活を実現させることを目標として「工業の各分聾の基礎 的・基本的な知識と技術を習得させ現代社会における工業の意義や役割を理解させるとと もに工業技術の諸問題を合理的に解決し、工業の発展を図る能力と態度を育てる。」5)と改 訂された。. 1989(平成元)年は、臨時教育審議会や教育課程審議会の諸提案をふまえっつ教育課程 の基準改善のねらいとして、①心豊かな人間の形成、②自己教育力の育成、③基礎、基本 の重視と個性を生かす教育の充実、④文化と伝統の尊重と国際理解の推進が示された。6) 改訂の大きな特徴は、教科・科目の再編成と多様化をはかり「工業1の目標として「工業 の各分辱に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、現代社会における工業の意義 や役割を理解させるとともに工業技術の諸問題を主体的、合理的に解決し、工業の発展を 1.

(5) 図る能力と実践的な態度を育てる。」7)と改訂された。また、改訂の大きな特徴は、教科・. 科目の再編と多様化を図り、エレクトロニクスの発達や情報化、産業構造、就業構造の変 化に適切に対応するために各教科・科目の内容の改善を図ると共に、科目の新設や整理を 行った。ここで「課題研究」が設けられ、問題解決型の学習が一層重視されるようになっ た。それ以外に、専門高等学校の各科で共通履修する科目として「工業基礎」、「実習」、「製 図」、「工業数:理」、「情報技術基礎」の6科目の共通履修が例示された。. 1999(平成11)年は、平成10年7月の教育課程審議会の答申を受けて、学校完全週5 日制の下で、卒業必要単位数を74単位に縮減し、原則履修科目も上記6科目から「工業技 術基礎」、「課題研究」の2科目になり、「ゆとり」のある中で「特色ある教育」を展開し、. 生徒に自ら学び考える「生きる力」を育成することを目指した。そして、各学校が創意工 夫した教育活動が展開できるように生徒の主体的な活動を促す「総合的な学習の時間」を 創設した。「工業」の目標は「環境に配慮しつつ」が付け加えられたのみであった。そして、 各学校が創意工夫した教育活動が展開できるよう生徒の主体的な活動を促す「総合的な学 習の時間」が創設された。また、従来学校によっては「課題研究」や「実習」の一部とし て産業現場で体験学習を取り組んできたが、今回は学校において就業体験の機会の確保に 配慮するとした。この科目の指導に当たっては、教師が生徒の自発的な学習活動を促し、 個性や創造性を十分に尊重したことから、1994(平成6)年の実施以来、「課題研究」は全 国の専門高等学校で飛躍的にその成果を発揮するようになった。製作過程での知識・技術 の習得だけでなく、ものづくりの楽しさや、努力、忍耐、友情、師弟愛、成就特等の生き る力を育て、産業現場での実習や職業資格取得を奨励されたこの教科は平成11年の「総合 的な学習の時間」の新設や「インターンシップ」を導入する原点となった。. 学習指導要領の「工業」の目標全体に流れる精神についていえば、1951(昭和26年)年 の「中堅技術工員」、1956(昭和31)年の「技術員」、1960(昭和35)年から1973(昭和 48)年の「中堅の技術者」の養成がうたわれたが、1982(昭和57)年以降はこの中堅の技 術者は「工業」の目標から姿を消すことになる。また、知識・技術の修得の概念について は「中堅の技衛者に必要な知識と技術まから「工業の各分野の基礎的・基本的な知識技術」 へと、工業人としての態度については「工業人の自覚」から「工業の発展を図る態度」へ と変遷しているのである。すなわち、激しい時代の変化にあっても、自らの手を通して考 え、実際の問題解決に当たる総合的な活力を備えた実践的な技術者を要求している。. そして、1999(平成11)年の改訂では「社会の発展をはかる態度」となり、国際社会を 見据え、自国のことだけはなく世界の人々と協調を図る創造的な能力と実践的な態度の育 成へと、高度に洗練された資質の育成を図っている。 また、工業に関する各学科において、総合的な学習の時間における学習活動により「課 題研究」の履修と同様の成果が期待できる場合においては、「総合的な学習の時間」におけ る学習活動をもって「課題研究」の履修の一部または全部に替えることができる。すなわ ち、「課題研究」の履修をもって、「総合的な学習の時間」に一部または全部に代替できる 科目とした。. 現在、職業に関する各学科において原則履修科目とされている「課題研究」は、各学校 の特色と地域性を生かし、知識と技術の深化、総合化を図り、問題解決能力を育てること を目的として活気ある課題研究が展開されている。 2.

(6) 第2節課題研究の目標と内容 1989(平成元)年に「情報技術基礎」とともに新設された「課題研究」の目標は、2001 (平成12)年に「工業に関する課題を設定し、その問題解決を図る学習を通して、専門的 な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態 度を育てる。」8)に改訂された。. 建築科における「課題研究」の教育課程上の位置付けは、図1−1に示すように、工業に 関する基礎的・基本的な学習の上にたって、課題を生徒自らが設定し、自らその課題の解 決を図る科目である。. 建. 建. 建. 建. 築. 築. 築. 築. 建 築. 計. 構 造. 施. 法 規. 設 計. 画. 工. 建 築 設 計 製. 実. 地. 域 習. 産 業. 図. 工. 業. 工業基礎・情報基礎・工業数理. 界. 図1−1建築科における「課題研究」の教育課程上の位置付け 「課題研究」は、(1)二二製作、(2)調査・研究・実験、(3)産業現場等における実習、. (4)職業資格の取得の4項目の内容で構成されている。また、取り扱いに当たっては、生 徒の興味・関心、進路の希望等に応じて、内容の(1)から(4)までの中から個人又はグ. ループで適切な課題を設定できる。また、内容(1)から(4)までの2項目以上にまたが る課題を設定することもできる。その際、施設・設備、費用、完成までの時間、生徒の能 力・適性などに考慮し、無理のない課題の設定が必要となる。 次に、「課題研究」の成果発表の機会を設けるように努める。成果を整理し分かりやす く発表することは、生徒自身の学習意欲を深める上で大変効果的である。このことは、研 究を深めさせるとともに、自ら学び自ら考え、主体的に判断し、問題をより良く解決する 資質や能力を育成することできる機会となる。. 3.

(7) 第3節全国専門高等学校における課題研究の現状 1998年に西日本工高建築連が実施した「課題研究」の内容アンケート調査結果ωを表 1−1一に示す。「課題研究」の実施学年は全日制では3学年で98.4%、2学年L6%で、単位 数は2単位88.5%、3単位11.5%の割合で行われている。. 表1−1課題研究内容一覧表 1998年 意匠・設計 設計競技 環境・計画. CAD. 模型製作 木工製作 造形・パース 構造計算 実務文書. %. 1.3. 3. 0.7. 1. 0.3. 8.0. 4 18. 5.3. 24.1. 17. 22.7. 9. 12.0. 4. 5.3. 63.6. CG. 2 調査研究. 3. 実. 験. 4現場. 5資格取得. 14.1 3.0. 19.7. 21.4 11.5 0.9. 100.0 38.3. 2. 10.0. 小計 施工・積算 材料 構造 測量 計画・環境. 20. 100.0. 小計 実務. 11. 30.0. 31. 3. 15.0. 19. 23.5. 5. 25.0. 10. 12.3. 3. 15.0. 19. 23.5. 1. 5.0. 1. 1.2. 1. 1.2. 3. 16.9. 27.3. 2. 18.1. 3. 27.3. 3. 27.3. 9.3. 27.5. 11. 21.6. 9. 17.6. 1. 1.9. 31.4. 100.0. 51. 100.0. 100. 0.9. 6. 1QO. 1. 100.0. 6. 100.0. 36.3. 32.4. 9.3. 22 6 38. 55.9. 2. 2.9. 3. 27.3. 3. 27.3. 1. 9.1. 小計. 11. 合計. 118. 68. 100.0 100.0. 4. 667. 12.1. 100. 81 14 16. 1. 4. 69.1. 16.5. 461. 75 6. 2級建築士 施工技術監理 管工事. 11.9. 100.0. 小計 歴史 計画設計 実務施工 コンピュータ 伝統研究 建築家研究 その他. 小計 職業資格. %. 4.0. 17.3. 1. %. 55 65 14 91 98 76 53 4. 6. 3. 2002年. %. 13. 8.8. 7.6. 1. 10.2. 100.0 100.0.

(8) 「課題研究」のテーマ設定は、事前希望調査(実施時期、テーマの提出・調整など)を、. 2年生の3学期より始め、生徒の希望を優先して決定をはかる。また、各班の人員を均等 にするため第2希望、第3希望までの調査が実施されている。一方設備、教員数によりテ ーマ数を限定する学校もある。実施段階(目標の設定、研究目誌、報告書、発表会など) では、取り組む姿勢・態度を重点に、一問予定表の作成、在学中に完結できる内容、チェ ックポイントを設けるなどを配慮し、生徒の能力に応じた目標づくりをしている。また、. 日誌・記録などを授業科目終了時に記入させ、研究の内容、今後の方向・課題、進捗状況 などを認識させる。3学期に「課題研究」発表会を実施し、意識の高揚を図り、2年生に見 学させ次年度の参考にさせている。. 【注及び引用文献】. 1) 2)3>4)社団法人全国工業高等学校長協会『社団法人全国工業高等学校長協会五十年. 史』実教出版株式会社、1970年、11∼18頁 5)文部省『改訂高等学校学習指導要領(工業科編)』大蔵省印刷局、1978年、91頁 6)文部省『高等学校学習指導要領解説(工業科編)』実教出版株式会社、1989年、3頁 7)文部省『高等学校学習指導要領解説(工業科編)』実教出版株式会社、1989年、10頁 8)9)文部省『高等学校学習指導要領解説(工業科編)』実教出版株式会社、2000年、28. 頁∼31頁 10)西日本工高建築連盟校会誌『アゴラ』1998年、53頁∼58頁. 5.

(9) 第2章建築設計教育の指導に関する研究の目的及び意義 第1節 建築と建築空間と建築設計 建築とは何かを考えると、宮川英二の著書からドイツの地理学者Ewalt BanseDが学問 を分類した表2−1がある。下に行くにしたがって純粋科学であり、上に行くほど純粋芸術 である。彼によると、建築とは科学と芸術との過度形態として位置付けている。したがっ て、われわれが今日取り扱う建築というものは、科学的要素と芸術的要素をある程度含ん でいる中間的な存在であるということができる。 表2−1E. Banseの示す建築の位置 ローマ時代の建築家Vitruviusは、. 「科学と芸術、この2つは建築の両 面であって、単独では、その一面に ↑. すぎない。」2>と語り、彼は科学者. であるとともに、すぐれた芸術家で あり、冠人でこの両面を成し遂げた。 彼によると建築の中にある科学と芸 術との度合いは、①時代(建築に対 する社会の男方、要求)、②人(建 築をつくる人、利用する人)、③建. 築物の種類(建築が工場であるか美 術館であるとか)によって異なって くる。フランスの詩人Valeryは建. 科学. 築を3つの種類に分けて考え①沈黙 の建築とは単なる素材(材料)の堆 積にすぎない、②語る建築とは建物 の用途(機能)を満足し、その性格 をはっきり表現しているもの、③歌. 音楽 文学 造型美学 建築 地理学 歴史学 民族学 経済学 地質学 動物学 人類学 植物学 法律学 言語学 心理学 化学 物理学 論理学 数学 哲学. 純粋芸術. 芸術と科学 の過渡形態. う建築とは芸術的感銘のあふれる建 築である3)と述べている。. 目的からこれを見ると建築とは「人間の生活を入れる器である」ということがで また、 Corbusierが「建築は住むための機械である」4)と極 きる。かつてフランスの建築家Le 端な言葉で表現しているが、建築物の本質をみごとに表現している。なぜなら、建築物は 外的から身を守るシェルターとしての役割、雨や風、暑さや寒さ、音または光などの調整 が適切に行われ、その中に暮らす人間が、安心して生活や仕事に営めるように計画されな ければならない。さらに、建築物には人間が社会生活を営むための器として、人々の生活 を支え、様々な要求を満たすことが求められる。また、単なる生活を営むだけでなく、人 間的な、快適で、能率的な生活を営むために構築された空間、それが建築である。建築物 は人間の存在そのものを真正面からとらえて、その生活に密着したものになるように様々 な工夫をして行くことが重要であり、そうしてはじめて「住むための機械」から「人間の ための空間」へと変貌できるのである。. 人間のための空間を創造するには「建築空間とは何か」ということを十分に考慮しなけ ればならない。もちろん、人間がその中で生活する器である以上.機能を重視した合理的 6.

(10) な計画が優先されるが、建築物が社会の要素の一つとして存在することを考えると、建築 物に接するすべての人に配慮したノーマライゼーションの考え方も重要になる。. さらに、人間のもつ美的感覚にも留意し、造形的な美しさを追及する必要性が生じてく る。それには建築空間を構成している寸法の美しさ、使用材料の質感、肌触り、また色調 などが混然一体となってつくり出される独特の雰囲気や、内部空間の構成にも造形的な美 しさが求められる。このように、建築物を計画する際には、総合的造形物として建築空間 を創造していかなければならない。このように人為的に、意欲的につくりだされた空間が 建築空間である。. このような空問ができれば、必ず人の心を動かし、人の心にうったえるある表現が生ま れてくる。Nikolaus Pevsnerは「自転車小屋も建物であり、リンカーン大会堂も1つの 建築である。人が入るのに十分な広さを取り込んだものすべて建物(building)であるが、. 建築(architecture)という言葉は、美的感動を目標に設計された建築のみに用いる」5> と区別しでいる。. その建築空間をつくりだす人が建築家(architect)であり、その任務を遂行する操作が 建築設計なのである。したがって、人間の生活空間をどう考えるか、というところから出 発するのである。いいかえると、人生観、世界観がその根底となる。今日、自由主義諸国 の目指す建築と、社会主義諸国の目指す建築とは自らの様相を異にしている。建築設計は、 単なる自然科学的な操作でなく、設計された建築物にも設計者その人の哲学が必ずにじみ でてくることになるのである。. 1933年近代建築国際会議(CIAM>の第4回会議、アテネの憲章では「人間が住むた めの必要な人間のための空間には、太陽、空気(空間)、緑の3つが必要である」6)と提案 された。この3要素は、建築設計をする上でのハード的な基本的要素となっている。また、. フィンランドの建築家Alvar Aaltoは「建築において大切なことは、近代的であるとか、 伝統的であるとか、いうことでもなければ、機械時代の象徴であるとか、風土の表現であ るとかでもない。なによりまず、人間的であることであり、人間のための建築でなければ ならない。」7)と滋味深い言葉を残している。このことは、建築設計をする上でのソフト的 な要因といえることができる。. また、建築物を形象として建築空間として考えて見ると、形にはsolid(充実した立体、 外観)とvoid(中空の立体、内観)がある。彫刻の場合には、 solidだけが問題になるが、. 建築の場合には、建築物を外から見た形(solid)と、建築物を中に入って壁、天井、床が つくる内観(void)が同時に問題となる。壁に開けられた窓は、外から見ても内から見て も、ちょうど適当な位置に調和を持つものとして設計する。. このように、人間の生活、要求、造形美などの調和を求め続け、建築物を生み続けるも のが建築である。. 第2節 建築設計教育の定義 建築教育の中心は設計教育であり、「建築科に設計製図あり」と、教える側も教わる側も. 言われ続けそう信じこんでいる。建築設計教育の定義づけは建築学術用語にはなく、建築. 士法第2条5項では、「設計図書とは建築物の建築工事実施のための必要な図面及び仕様書 を、設計とはその者の責任において設計図書を作成することをいう。」8)と定義されている。. 7.

(11) 言い換えると建築物の形態、性能、価額について建物が実存する以前に建て主と業者が取 り決めの根底になるのが建築設計図書である。建築設計とはこの設計図書を作成する業務 である。また、建築大辞典での建築設計とは「実在していない建築物を立案し図面などを 表現すること(建築士法第2条4項)狭くは建物のうち、構造設計や設備設計・造園設計・ 家具設計などの分野を除いた設計分野。」9)と記載されている。. すなわち、建築設計における設計教育とは「実際の社会で実施されている厳密なもので なく、設計のプロセスを模倣することや、製図や模;型の製作を通じて設計の何たるか、建 築がいかなるものか体得し育成することである。」と言える。さらに、専門高等学校におけ. る設計製図は、生徒の自主的な学習の核として、建築科員の指標として用いられるのであ る。建築設計教育が総合的な教育効果を意図して生まれたものというより、建築の存在自 体が総合体としてのまとまりを本来有しているものである。. 第3節 全国高等学校建築設計競技が建築設計教育に与えた影響 現在、建築を学ぶ生徒の日常勉学の中で、研師努力を重ねた成果を発表する場としての 建築設計競技は専門高等学校に大きな影響を与えた。歴史の古い順に掲げると、日本大学 全国高等学校建築設計競技、高等学校建築コンクール建築設計競技、日本工業大学建築設 計競技、九州産業大学建築設計競技が開催されている。この4大学主催の建築設計競技を 4大コンペと呼び、毎年盛大に行われている。各大学の設計課題は住宅を基本としながら、 併用住宅、バリアフリー、民家再生など課題が年々多様化し、時代の流れとともに作品の 質・内容・プレゼンテーションなどレベルが著しく向上している。 穀粉大学全国高等学校建築設計競技は歴史が一番古く、1954(昭和29)年に第1回が開 催され今年で第49回をむかえる。この設計競技は作品の内容・質とも高く、課題とサブタ イトルとの融合、地域とのコミュニケーションを取り入れる必要がある。また建築物の20 年30年先のライフスタイル、ライフステージがどうように変化し、どのように対応できる かまでのプランを考える必要がある。敷地面積、延べ面積が規定されているが、平面図、 立面図などの縮尺が1/50∼1/100のため、A1サイズ(594×841㎜)ケント紙をふるに活 用し、その中にさまざまな内容や表現を可能にすることができ、毎年素晴らしい内容の作 品が入選を果たしている。この設計競技の審査員は理工学部、工学部、生産工学部、短期 大学部の先生方が集まり、1次審査、2次審査、最終審査と審査方法・内容を解説し、各入 選作品の詳しい講評発表を行っている。オープン的かつ民主的な審査といえことができる。. 本年度からは、日本大学理工学部で入選者が口頭で作品内容を説明し、審査委員の他に一 般審査員を加え公開討論審査会で賞を決める薪しい方式を行っている。. 高等学校建築コンクール建築設計競技は1982(昭和57)年に始まり、第21回をむかえ る。第1回から毎年有名な建築家を審査委員長にむかえ、審査委員長が設計課題をきめて いる。今年度の第21回建築家青木茂、第20回建築家工藤和美(設計集団シーラカンス)、 第19回建築家隈研吾、第18回建築家石井和紘など挙々たる建築家が審査委員長となって いる。設計課題は、高等学校の教科書レベル以上の内容が多く、また設定条件が自由なた め住宅設計の枠を超えた楽しさがある。設計規模、表現方法も自由であり、CGの作品で も可能となっている。ただ、全国の専門高等学校でCGの設備の完備されている学校は稀 有なため、まだ手書きの作品が中心となっている。 8.

(12) 日本工業大学建築設計競技は1988(昭和63)年から始まり、今年で第15回をむかえる。. 第1回から第6回まで審査委員長に東京工業大学名誉教授清家清をむかえ、木構造住宅が 中心となり、上位入選作品には彼の計画論の基礎にあるrSimple is bestj無駄のない、 すっきり整理整頓されたプランが上位入選となっていた。第7回から第12回までは、元東 京工業大学名誉教授宮坂修吉を審査委員長にむかえ、今までの木構造の枠が外され、自由 な構造形式が可能となり多種多様のプランが生まれ出してきた。しかし、ケント紙がA1 サイズで縦型使用であり、設計課題の住宅の敷地面積・延べ面積などが規定され、中規模 程度の住宅しか設計できなかった。また平面図、立面図などが縮尺1/50と規定され余自的 なスペースが取れず、プレゼンテーションとレイアウトに四苦八苦する設計競技である。 しかし、第13回に建築家山下和正(元東京工業大学教授)、第14回に建築家富田玲子(象 設計集団)、第15回に建築家曽我部昌史(みかんぐみ共同主宰)、第16回に建築家難波和 彦(大阪市立大学教授)と建築界での一線級の建築家を審査委員長にむかえ、多様な設計 課題が設定されてきた。当然、課題の規模も大幅に緩和され、自由な創造性豊かな新しい 設計プランが多く目立ってきた。入選作品基準のマンネリズムの脱却をはかり、新鮮な観 点での審査がおこなわれてきている。入選作品は、第1回からモノクロ冊子、第8回から はカラー印刷冊子となり、その影響は大きく全国レベルの設計競技作品の内容・質・プレ ゼンテーションをいち早く伝え各高校への設計内容、表現指導のレベル向上を浸透させて 行った。. 九州産業大学建築設計競技は1993(平成5)年に始まり、今年で第10回をむかえる。 この設計課題の特徴は作品用紙が一般的なB2(515×841㎜)サイズである。これは大変書 きやすい大きさであり、必要最小限の図面表現で作品を完成することができる。逆に、最 小図面で最大のプレゼンテーンに仕上げる必要があり、このことが最大の難問である。年々、. 内容・質ともにレベルが向上し、入選作品はモノクロ冊子で参加生徒全員に配布されてい る。. 上記の4大学主催の建築設計競技によって、 ①作品全体のプレゼンテーションの技法(着色、ロットリング仕上げ、シール活用など)。 ②設計課題とコンセプトの捉え方。 ③設計課題とサブタイトルとの融合。 ④コンセプトの多様化。. ⑤平面図・立面図・断面図のデザイン・構成。 ⑥外観透視図から建築模型(一部コンピュータグラフィックへ)。. 以上の6項目が建築設計教育に大きな影響を与えた。この建築設計競技が全国専門高等学 校の生徒作品の内容・質共にレベルを向上させ、生徒の競い合いの精神、教師への正しい 建築設計教育の方向性を示唆してくれた。 第4節 建築設計教育の指導に関する目的、内容及び方法 (1)研究の目的. 本研究の目的は、建築設計教育に携わる教師に求められる指導内容と指導資質能力のあ り方に焦点をあて、好ましい指導評価言語ができる教師、好ましい設計教育を指導できる 教師としての資質能力に示唆を得ようとするものである。それには、建築設計教育に携わ 9.

(13) る教師について、. ①好ましい指導評価言語を明らかにする。 ②生徒に建築設計教育を経験させることの必要性とその意義を明らかにする。 ③教師の建築設計教育の教科指導内容、指導資質を明らかにする。 ④建築設計教育の実践での教育的効果・成果を明らかにする。 を建築設計教育の研究目的とする。 (2)研究の内容及び方法. 建築設計教育は、設計主体の価値観や知識・人生経験などにも深く関わるといった意味 においても構造設計や設備設計に関する工学的な教育とは異なった難しさがある。. 1)「作品の指導評価言語に関するアンケート調査」の実施と分析 教師が生徒に教える言葉の難しさは年毎に増している観がある。特に課題作品を完成 するまでの建築エスキス*Dなど、日々の生徒との会話(言葉)での指導の重要性が作 品に大きく影響を与えている。この指導評価言語が、成長途上にある生徒の感性を傷つ けることなく育むという特別な役割をもっていると考える。そこで「作品の指導評価言 語に関するアンケート調査」を実施し、生徒の作品・課題を教師の発する評価言語が、 生徒に及ぼす影響を調査する。. ①生徒にやる気を起こさせ、大いなる成長を促す好ましい言葉。 ②生徒のやる気をなくし、才能の芽を摘む好ましくない言葉。. を明らかにする。特に専門高校の教育において、教師の評価(指導)言語の意義や影響 に注目したものは殆どなく、本研究は意義あるものである。 2)「建築設計教育に関するアンケート調査」の実施と分析. 建築教師が身につけておくべき教科指導内容、指導資質能力を育成とする①から⑤の 内容・方法を明らかにするため、全国の建築科設置高等学校へ「建築設計教育に関する アンケート」の調査を実施する。 ①製図の授業内容に自由設計、建築設計競技、卒業設計を取り入れているか。 ②生徒の基礎学力について、建築座学、実習、製図の興味・関心の度合いはどうか。 ③建築教師にどのような指導資質が求められるか。 ④自由設計の指導上で、建築科目・内容等はどのような関連性をもっているか。 ⑤上記②③④を重要視した授業で教育的効果・成果を実践する。 (3)研究の方法. 「作品の指導評価言語に関するアンケート調査」を平成14年7,月1日から同年7,月14. 日を調査期間とし、本校建築科2年生男子32名、女子4名、計36名、3年生男子28名、 女子9名、計37名、デザイン科2年生男子5名、女子37名、計42名、3年生男子9名、 女子28名、計37名、合計152名の生徒に協力を得て実施した。ホームルームに時問に担 任よりアンケート用紙を配布し、生徒の気持ちを理解するために、アンケートの趣旨を説 明した。回答は無記名とし、生徒のプライバシーを考え、放課後各職員室前回収ボックス を設けた。. 「建築設計教育に関するアンケート調査」は、平成14年7月1日から同年7,月31日を *1)エスキス:コンセプトに基づいた、イメージを固めるための下絵づくりのこと。. 10.

(14) 調査期間とし、全国高等学校建築科設置校を対象にアンケート用紙を送付し調査を実施し. た。同一学年に建築科が2クラス設置されている高校には2部、他の高校には1部のアン ケート用紙を用意し、建築設計製図に携わる教師に回答をしていただくようお願いした。 回答は無記名とし、記入後は封筒に入れ返送してもらう方式とした。. 第5節 建築設計教育の指導に関する研究の意義 現在、専門高等学校には半数が希望入学、残りが不本意ながら入学してくる生徒である が、後者が年々増加傾向にある。高校卒業資格のみの希望、必要最低限の勉強、学習意欲 の低下、基礎学力の不足が目立つ生徒が多く見受けられる。本来の専門教育を身につける 授業とはほど遠く、専門高等学校での深刻な問題として現実に起きている。 そんな中、少しでも生徒に授業での意欲・関心・興味をもたせ自信をっけさせることが、 豊かな人間性を育む専門教育のありかたのひとつであり、教師自身への指導力量と指導資 質の向上が求められている。. 本研究は、全国建築科設置校の建築設計教育に携わる教師の視点を手がかりに、授業実 践を通して建築設計教育の理論的な基礎づけを行う点に意義がある。 現在、建築科設置専門高等学校は、東日本工高校建築連盟と西日本工高建築連盟に大き く分かれ、九州地区のみがいずれの連盟にも属していない。各連盟での繋がりはあるもの の、全国規模での「建築設計教育に関するアンケート調査」は、本研究が初めてである。 大学での建築設計教育では、日本建築学会計画系論文で西村伸也『設計教育初期段階に あるスケッチ空間と知覚』lo>、高橋和也『設計における創造的手法に関する研究』ll)、稲. 葉武司『建築設計教育における学習障害について』12)、横山ゆりか『問題解決行動として みたときの建築プロセスの特徴』13)、横山ゆりか『非専門家の住宅設計プロセスに見られ る描図順序の影響』14)等が先行論文として上げられるが、高校生を対象とした内容、方法. 論にはまったくそぐわないものであり、建築教師の指導資質のあり方を闇うものではない ものである。本研究は、建築設計教育に携わる教師の資質能力の探求を企図したものであ り「建築科教師の力量形成」に関して、新しい知見を得るという意味において研究の意義 をもつ。. 【注及び引用文献】 D2)宮川英二『建築計画ノート・総論』理工図書、1966年、1頁、3)4)2頁、5)3頁、6)7). 4頁 8)国土交通網住宅局建築指導課・日本建築技術者指導センター『基本建築法令集〔法令編〕』. 霞ヶ関出版、2000年、529頁 9)下出源七『建築大辞典』彰国社、1985年、454頁 ゆ西村伸也『設計教育初期段階にあるスケッチ空間と知覚』設計教育における準実験:的試. み1、日本建築学会大会学術講演梗概集、1998年、703∼704頁 11.

(15) m高橋和也『設計における創造的手法に関する研究』設計教育における準実験的試み6、. 日本建築学会大会学術講演梗概集、2001年、555頁∼556頁 12)稲葉武司『建築設計教育における学習障害について』日本建築学会大会学術講演梗概集、. 1996年、555頁∼556頁 13)横山ゆりか『問題解決行動としてみたときの建築プロセスの特徴』ドローイングを伴う. 空間デザインプロセスの研究、日本建築学会計画系論文集、1999年、133頁∼137頁 14)横山ゆりか『非専門家の住宅設計プロセスに見られる描図順序の影響』ドローイングを 伴う空間デザインプロセスの研究2、日本建築学会計画系論文集、2001年、153頁∼157 頁. 12.

(16) 第3章建築設計教育に携わる教師の指導資質について 第1節生徒の指導評価言語に関する調査の概要と分析 現場の教師が、数多くの生徒から安心して本音が聞ける機会が意外なほど少ない。もち ろん、限られた生徒との個人的なコミュニケーションは教室内外での機会があるが、その 情報は客観性や信頼性の乏しいものになりがちである。しかも、本来教育的な配慮をより 多く必要とする「目立たない生徒」や「引っ込み思案の生徒」の声は、どうしても教師に 届き難くなる。. このアンケートのねらいは、生徒にとって好ましいあるいは好ましくない教師の態度を 率直に尋ね、その結果を多くの教師に知らせることは、今後の建築設計教育にとって大き な意義のあることであると考える。なお、教師の生徒に対する態度が大きな問題となる局 面として現実的に想定されるのは、主として「実技課題の指導過程」と「作品提出の講評 時」であるが、今回のアンケートにおいては、調査の焦点を「作品の指導評価に関わる教 師の言語」に絞った。. 平成14年度7月上旬、建築科2・3年生(73名)、デザイン科2・3年生(79名)で生 徒の気持ちを理解するため、アンケートの主旨を説明し表3−1の用紙を配布した。. 表3−1評価の表現(言語)に関するアンケート用紙 指導評価言語(言葉)に関するアンケート 建築・デザイン科 2・3年 男・女. あなたが自分の作品(設計課題、実習課題など)に対して、教師 から発する(評価・コメント)の言語(言葉)について率直に答 えて下さい。. 1.そう言われると愉快になる(嬉しい・ありがたい)言語 例えば. ■.そう言われると不愉快になる(悲しい・悔しい・辛い)言語 例えば. m.そう言われると頑張ろうという気持ちが強くなる言語。 例えば. IV.そう言われると頑張ろうという気持ちが弱くなる言語。 例えば. (1)指導評価言語アンケートの結果と分析. 1)指導評価言語の回答結果 アンケート項目1からWの「自由記述形式」の回容数の多いものを順に記す。. 13.

(17) 1.「そう言われると愉快になる(嬉しい・ありがたい)指導評価言語」の回答結果 ①「すごい、うまい、よくできた(30)」. ②「これいいね・ええやんか、工夫したところをほめてくれる(22)」 ③「よく頑張ったな(21)」. ④「だいぶ良くなった・いい感じになった(9)」 ⑤「よう(きれいに)書けてる(8)」 その他、「前より上手になってきた(5)」、「これいいね(5)」、「この辺がすばらしい(5)」、. 「レベルが上がってきたな(4)」、「おもしろい作品だ(4)」などの回答を得た。. H. 「そう言われると不愉快になる(悲しい・悔しい・辛い)」指導評価言語の回答結果 ①「何がしたいのか分からない(15)」 ②「やり直し、書き直し(13)」 ③④「全然駄目(11)」、「下手、汚い(11)」. ⑤「無言で返されたとき(7)」 その他「真剣にやってるか(5)」、「何書いてるかわからん(4)」、「意味がわからない(4)」、. 「才能がない・センスがない(5)」、「ここは違うやろ(3)」、「何ですかこれは(3)」などの. 回答を得た。. 皿.「そう言われると頑張ろうと言う気持ちが強くなる」指導評価言語の回答結果 ①「順調やな、この調子で頑張れ(28)」 ②「ここを工夫すればもっとよくなる(27)」 ③「だんだん上手くなっている(8)」 ④「やったらできるやん(8)」. ⑤「合格OK(7)」 その他「賞金が大きいです(6)」、「頑張ったらそこそこいけるぞ(5)」、「もう少しで終了だ (4)」、「よう頑張ったな(3)」などの回答を得た。. IV.「そう言われると頑張ろうと言う気持ちが弱くなる」指導評価言語の回答結果 ①「いくらやっても無駄(15)」 ②「やり直し(11)」. ③「やる気があるのか(10)」 ④「わけがわからん(7)」. ⑤「この科に向いていない(5)」 その他「才能がない(4)」、「全然あかん(4)」、「何も言ってくれない時(4)」、「AHOの世 界です(4)」、「来年がんばれ(3)」、「もう少し考えろ(3)」、「こら∼あかんわ(3)」などの 回答を得た。. 2)指導評価言語の分析結果. 教師の主観的な指導評価言語が多く、生徒作品の悪いところばかりを批判する傾向が強 く、評価らしい評価をしていない傾向が見られる。さらに、生徒のやる気や努力を疑問視 し、可能性や将来性を非難している指導評価言語が目立っ。 生徒は教師に提出作品を丁寧に見てもらい、具体的な指導を望んでいる。作品の良し悪 しとは別に、努力した姿勢や完成提出の褒める言葉を望んでいることが明らかになった。 教師は生徒の作品の意図や工夫を理解し、共に取り組んで行く姿勢が必要である。 14.

(18) 第2節 建築設計に関するアンケート調査の概要と分析 このアンケート調査は、全国建築科設置高等学校146校(回収率約70%)から建築設計 教育の指導に携わる教師からの回答を表3−2調査のフェースシートに示す。 このアンケート調査から次の内容を求める。. ①全国建築科設置校における課題研究の現状調査 ②製図に関する授業について実態調査と設計教育の必要性 ③生徒の基礎学力、座学、実習、製図との関連性 ④教師の自由設計を指導する上で重要視する科目内容 ⑤建築教師に求められる資質 アンケート調査の回答結果より、性別では男性94.5%、女性5.5%とまだ女性教師の進 出が少なく、年齢構成も40代43.2%、50代38.3%と高年齢化が目立った。これは、普通 科への進学志向が強く、さらに専門高等学校の縮小・統廃合、生徒数の減少、教師の新採 用の減少等が要因として考えられる。教職年数は20年以上が63.3%、平均年齢46.3才と ベテラン教師からの回答を得た。また、「教職以外の経験があるが」が54.3%で、本来の 建築現場、建築の納まりが理解できている教師から回答を得られたのは意義ある結果を得 ることできた。また、建築士・施工管理技術者の受験資格で実務経験を必要とするのは、 図面上の寸法の納まりと現場での原寸図・施工図の違いや、現場経験では教科書では学ぶ ことが出来ない様々な構造形式や法規等の規制の経験を持っているためである。従って、 経験者からのアンケート回答は意義のあるものである。. 表3−2調査のフェースシート. N 性 別 年忌齢. 教職経験. @年数. 男女. 20歳代 R0歳代 S0歳代 T0歳代 5年未満 P0年未満 P5年未満 Q0年未満 Q0年以上. 教職以外の. ある. E場経験. ネい. %. 138. 94.5. @8. T.5. 9186356. 6.2. P2.3. S3.2 R8.3 5.5 U.8. P2.3 P2.3. U3.3. ウ回答 合計. 80 T6. 54.8. P0. U.8. 146. 100.0. R8.4. (1)全国建築科設置校における課題研究の現状調査結果と分析. 第1章、第3節の表1−1に示す、今回の「課題研究」の内容アンケート調査結果と1998 年の西日本工高建築連実施の調査結果を比較すると、「作品製作」が約7割近くを占め、 その中で建築設計競技、意匠設計、CADが65.2%と大半を占めている。いずれも建築設 計製図が基本となり、その応用として各テーマが設定されている。またコンピュータによ るCADの普及が著しく増加している。特に大きく位置付けられているのが建築設計製図 15.

(19) であり、その能力を発揮でき評価される場として建築設計競技が大きく注目されている結 果であると考えられる。. 「資格取得1では、国家資格である建築施工技術者試験が3年次に受験可能となり、4 年前と比較して56%の大幅増加となっている。この資格は、実務経験を経て2級建築施工 管理士の学科一部免除の特典があり、今後大幅に増加する可能性がある。. 「調査研究」ではコンピュータを用いたものが多く、歴史、計画実習でソフトを用いた 教材研究が進められている。「実験」に関しては、従来の材料実験、積算、測量と現場での 実用性を重視した内容が多く見られる。「現場実習」は,わずかながらもインターンシップ の一部が課題研究として注目され増加している。. 指導下の問題点は、長期にわたる作品製作や研究がなされるため、週単位・月単位の目 標を設定するなど、途中経過の把握が必要となる。内容が細分化されるため、生徒の自主 的な研究活動を支援する体制づくりが必要となる。またテーマにより、生徒の希望が偏っ たり、進度や達成度が異なることが予想され、研究内容に注意を払うとともに、生徒の自 主性を損なわない配慮も必要である。個人の意欲差、時間的な制約、補習などにともなう 教員の負担増、教員の研修、学校外での様々な指導上の問題点等もあげられていた。 評価方法については、生徒の自己評価を参考にする総合的評価、指導教員全員の平均点 による評価などの方法が多く用いられている。また評価に大きな差を付けない、細かく項 目を立て評価する学校もあった。評価項目として、関心・意欲、取組む姿勢、計画性、創 造性、表現力、態度、完成度などの項目が多く使用され、A、 B、 Cの3段階評価と1から5 の5段階評価が多く用いられている。. その他、予算不足により、結果として費用のかからない研究内容になる場合が多く上げ られ、施設・設備面では、実習室の不足・重複、作品の保管場所の不足が指摘されている。 教員に関する面は、生徒の多様なテーマに対応する教員不足が指摘され、課題設定の方 法についての問題が指摘されている。また生徒のテーマ選択については、自主的にテーマ を選択できない問題点が上げられた。. 表3−3 平成15年度実施の「総合的な学習の時間」の回答結果 新しく取り組む N%. 29 Q0.3. 「課題研究」の代替え 98 68.5. 未定. 合 計. 16. 143. 11.2. P00. 平成15年度から実施される科目「総合的な学習の時間」は、本年度の表3−3のアンケ ート調査結果から、次のことが明らかになった。. 「課題研究1画代替え処置で取り組む専門高等学校が全体の68.5%、新しく取り組む学 校が20.3%と、まだまだ「課題研究」が根強く残っている。理由の一つ目として、学校全 体の取り組みがまだできていない。二つ目として、工業科の共通専門科目及び普通科目の 選択科目数の増加により、専門科目単位数が減り国家資格や他の資格試験履修に影響し、 必要最低限履修単位確保のため、新たに「総合的な学習の時間」の授業が設置しにくい状. 況となっている。また、工業科原則共通履修科目6科目が来年度から「課題研究」と「情 報技術基礎」の2科目になるなど、基準の大綱化、運用の弾力化が前面に出され様子をみ ながらの「総合的な学習の時間」の実施展開が予測される。. 16.

(20) (2)製図に関するアンケート結果と分析. 1)自由設計についての回答結果 一「製図に自由設計を取り入れていますか」という設問についての回答結果を表3−4に示 す。「はい」が全体の90.0%であり、「いいえ」が10.0%である。「はい」と答えた科目は 「製図」で54.7%、「課題研究」で36.8%、「選択」で5.2%の割合で取り組んでいる。ま た、対象学年が学校は、2学年36.6%、3学年52.2%をしめ、対象人数は2学年全員が32.1%、. 3学年全体が36.8%、一部が23.1%となっている。これは各学校の教師の人数:、生徒の能. 力差によって異なってくると考えられる。また、全国的に専門高校の一括募集が進み、1 年次における専門科目の授業がカリキュラム上困難となってきている。以前は3年間で教 えることのできた専門科目を、一括募集により2・3年次の2年間での詰め込みカリキュラ ムになっているのが現状である。「自由設計を取り入れない」学校も、89.7%が「自由設計 の必要である」と回答している。課題内容においても自由記述形式から「住宅」「設計コン ペ」の回答が全体の61.0%を占め、高校では住宅設計が基本であるといえる。 表3−4 「製図に自由設計を取り入れていますか」の回答結果 (複数回答可) 自由設計を取り入れています. ゥ. はい 108 X0.0. 「はい」と答えた科目は何で. キか. 製図 104. T4.7. 可学年で行われていますか. 1学年 13 U.3. 対象生徒は何人ですか. T.7. ィたずねします。自由設計は K要だと思いますか. 12. N=120 刀≠P00. 10.0. 課題研究 70. 選択. 10. 36.8. 5.3. 2学年. その他. 6. 3学年. 75. 107. 36.6. N=190 刀≠P00. 3.2. 4学年. 10. 52.2. N=205 刀≠P00. 4.9. 1学年全員 2学年全員3学年全員4学年全員 一部 12. 「いいえ」と答えられた方に. いいえ. 68. 78. 32.1. 36.8. はい 26. いいえ 3. W9.7. 10.3. 5. 49 2.3. 飛二212 23.1. 刀≠P00 Nニ29. 刀≠P00. 「自由設計を取り入れていますか」の設問に「はい」の回答理由として 「設計能力をつけさせるために必要(8)」、「自由な発想のもとで設計する意義がある (5)」、「2級建築士の演習(5)」、「自由な発想のもとで設計する意義がある(5)」、「自. 由設計でないと身にっかない(5)」、「絶対に必要である(4)」、「建築の集大成である (4)」、「興味をもたせることができる(4)j、「応用力の育成ができる(4)」、「模写だけ. は指導の成果がわからない(2)」、「学習の効果を各自が確認できる(2)」、「考えさせる. 力が必要である」、「発想を豊かにできる」、「基礎知識が高まる」、「能力のある生徒を 伸ばす」などの回答を得た。. 上記の設問に「いいえ」の回答理由として 「自由設計ができない(5)」、「一部の生徒で良い(4)」、「時間的に無理(3)」などの回. 答を得た。. *()は回答数. 17.

(21) 2)建築設計競技、コンクールなどについての回答結果 「建築設計競技、コンクールなどを取り入れていますか」の設問についての回答結果を 表3−5に示す。建築設計競技、製図コンクールを「取り入れている」学校が全体の79.1%、 「取り入れていない」学校が20.9%である。取り入れている科目は「製図」で45.5%、「課 題研究」で41.9%である。また、取り入れていない学校も、74.1%が必要と回答している。. 実施学年は3学年48.7%、2学年30.2%、1学年17.9%である。3学年がほぼ半数を占め るのは、ある程度建築の専門科目を履修した上で、製図の総合的なカが必要となることが いえる。また、対象人員は「一部の生徒」が全体の43.2%、全学年19.1%、3学年19.1%、. 2学年16.8%となっている。特に「一部の生徒」の指導が全体の半数近いのは、建築設計 競技、製図コンクールには個々に行き届いた指導が必要であり、生徒の能力差が影響して いる。また、各学校とも出品する建築設計競技は、東和大学主催のコンペ以外は、ほぼ同 じ比率で出品されている。従って、建築設計競技が全国的な規模で位置付けられているこ とがいえる。さらに、都道府県の建築士会による住宅の設計競技も盛んに行われている。 表3−5 「建築設計競技、製図コンクールなどを取り入れていますか」の回答結果 (複数回答可) 建築設計競技、製図コンクー 撃 取り 黷トいますか. はい. いいえ. 102. 27. V9.1. 「はい」と答えた科目は. ツですか. 製図 課題研究 選択 その他 65. 60. S5.5. ロ学年で行われています. ゥ. 1学年. 9. 6.3. 2学年 92. 30.2. N=143 刀≠P00. 6.3. 3学年. 57. P7.9. 4学年. 6. 48.7. N−189 刀≠P00. 3.2. 五学年全員 2学年全員3学年全員4学年全員 一部 25. 22. P9.1. どの設計競技、コンクー 撃ノ出品しますか. 9. 41.9. 34. 対象生徒は何人ですか. N=129 刀≠P00. 20.9. 16.8. 日本大学 41 P4.3. 25. 1. 58. 19.1. 0.8. 43.2. 日本工大 九州産大 56. 33. 19.5. 18. 11.5. 製図コンクール 51. 東和大 建築協会 34. 6.2. その他 54. P7.8. N=131 刀≠P00. 18.8. N=287 刀≠P00. 「いいえ」と答えられた. はい. 福ノおたずねします。自由 ン計は必要だと思いますか. 30. 8. N=38. V9. 21. 刀≠P00. いいえ. 「建築設計競技やコンクールを取り入れていますか」の設問に「はい」の回答理由として 「トレースでは意味がなく、設計競技は必要である(6)」、「興味のある生徒には必要で ある(5)」、「生徒の製作意欲を高めるのに良い方法である(4)」、「生徒の能力を引き出. す効果がある(3)」、「楽しいアイデアがでる(3)」、「自分の力をためすことができる (4)」、「生徒の目的意識、達成感を高めるのに必要である(3)」、「楽しいアイデアがで. 18.

(22) る(3)」、「チャレンジ精神が養われる(2)」などの回答を得た。. 上記の設問に「いいえ」の回答理由として 一一一眼間が取れない(5)」、「必要を感じない(3)」、「高校のレベルでは無理(4)」などの. 回答を得た。. *()は回答数. 3)卒業設計についての回答結果 「卒業設計を取り入れていますか」の設問についての回答結果を表3−6に示す。「取り入 れている」学校は全体の76.6%であり、「取り入れていない」学校は23.4%である。実施 している科目は「製図」で67.7%、「課題研究」で28.3%、「選択」で2.4%である。対象. 学年は3学年、定時制では4年生と最終学年で取り組んでいるのは、建築の総合的な製図 力が必要なためであると考えられる。対象生徒は3学年が全体の74、8%であり、建築の集 大成的な設計課題となる。課題内容は、住宅関連が30.4%、公共施設が29.6%、課題自由 は27.8%となっている。また、「取り入れていない」学校でも、71.42%がその必要性を回. 答している。また、手書き模型製作から、CAD、 CGによる作品が少しずつ浸透してき ている。. 表3−6 「卒業設計を取り入れていますか」の回答結果 卒業設計を取り入れてい. ワすか. はい. いいえ. 95. 29. V6.6. 「はい」と答えた科目は値. ナすか 何学年で行われています. ゥ. 対象生徒は何人ですか. N=124 刀≠P00. 23.4. 製図 84. 課題研究 35 3. U7.7. 28.3. 1学年. 選択 2. 2.4. 2学年. その他. N=124 1.6. 3学年. 0. 0. 98. 4. O. 0. 96. 4. 刀=E100. 4学年. N=102 灯l100. 1学年全員 2学年全員3学年全員4学年全員 一部 1. 1. P. どんな課題ですか. (複数回答可). 77. 1. 2. 74.8. 24. 住宅 世帯住宅 ケ用住宅 @美術館. ノおたずねします。卒業設 ン計は必要だと思いますか。. 25 V1.4. N窯103. 21.4. }ンション @ホテル 共施設 @図書館 @コンペ. @幼稚園 はい. 22. 集合住宅. T6223. @学校 「いいえ」と答えられた方. 1.8. 2222122. 自由 P級建築士 Q級建築士. 刀≠P00 32 Q4. N=111. いいえ. 10. N=・35. 刀≠P00. 28.6. 「卒業設計を取り入れていますか」の設問に「はい」の回答理由として 「3年生の学習成果、集大成である(10)」、「自由設計のチャンスである(5)」、「総合的 な学習である(5)」、「個性を伸ばして、頑張ろうとする意識が強くなる(4)」、「発展的. な学習である(3)」、「意欲のある生徒だけ選択してやらせる(4)」などの回答を得た。. 19.

(23) 上記の設問に「いいえ」の回答理由として 「全体指導は無理である(5)」、「生徒の能力低下でできない(4)」、「スタッフの力量・ 指導に差がある(4)」、「創造性・表現性の不足(4)」、「必要と思うが生徒に熱意がない (3)」、「時間的な余裕がない(3)」、「多様化している生徒には必要がない(3)」などの. 回答を得た。. *()は回答数. 4)自由設計、建築設計競技、コンクール、卒業設計の分析結果 アンケート集計結果から、「自由設計を取り入れていますか」の設問に90%の「はい」 回答を得た。「自由設計を取り入れない」学校においても、89.7%の学校が自由設計の必要. であると回答している。主な理由として ・自由で豊かなな発想のもとで設計する意義がある。. ・応用力の育成につながり、考えさせる力が必要である ・学習め効果を各自が確認できる。 ・模写だけでは指導の成果がわからない。 「建築設計競技、コンクールを取り入れていますか」の設問に79.1%の「はい」の回答 を得た。また「いいえ」と回答した学校の79.0%が建築設計競技、コンクールの必要性を 答えている。主な理由として、. ・チャレンジ精神が養われる ・生徒の目的意識、達成感を高めるのに必要である。 ・生徒の製作意欲を高めるのに良い方法である。 ・生徒の能力を引き出す効果がある。 ・自分の力を試すことができる。 「卒業設計を取り入れていますか」の設問に76.6%の「はい」の回答を得た。また、「取 り入れていない」学校でも、71.42%がその必要性を回答している。主な理由として、. ・3年生の集大成である。 ・総合的な学習ができる。 ・発展的な学習である。 などの意見が回答として得られた。. 以上のことから、明らかに教育現場での自由設計、建築設計競技、コンクール、卒業設 計の必要性が実証された。取り組めない理由には、生徒の意識、能力差、教育課程・設備 などの諸問題もあげられるが、教師側の消極的な現状が一部浮き彫りにされている。建築 設計教育を通して教師の指導資質、指導内容・方法を研究することによって、生徒に活気 ある「生きる力」を育成できる授業を展開する必要性がある。. 20.

(24) (3)座学、実習に関するアンケート結果と分析. 1)今の生徒の基礎学力不足についての回答結果 「今の生徒は基礎学力不足と言われていますが、どう思いますか」の設問について5段階 法で回答を求めた結果を表3−7に示す。「そう思う」が52。9%、「どちらかといえばそう思 う」が39.3%で、両方を合わせると92.2%、「そう思わない」「そう思う」の回答が7.8%. の値を得た。全体の9割以上が基礎学力不足であるという高い結果を得た。 表3−7 「今の生徒の基礎学力不足について」の回答結果 どちらかといえ. そう思う. そう思わない. @ばそう思う. 74. 55. T2.9. R9.3. N=140. @%. どちらかといえ. わからない. ホそう思わない 96.4. 00. 21.4. さらに、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の回答理由を、自由記述で多い項目 順に図3−1にグラフで示す。 60. 一. 「. 7r. ■. 一 ㌧ く. 」. f. L「 ・. ’. 」. い1 ’. h. 50. 40 攣・・. 30 22. 20. 20. 15. r,ゴ」. 暖. π 脚「 L. 10 、. 0. 数学基礎 基礎学力・ 理解力. 読解力. 基本生活. 目的意識. その他. (学力)不足. 図3−1 基礎学力不足の理由 回答の理由内容は、「数学の基礎学力不足(48)」、「基礎学力の不足(30)」、「理解力の 低下(22)」、「読解力の不足(20)」、「基本的生活習慣の不足(18)」、「目的意識の不足(18)」. などが多くあげられた。また、「近年子供っぽい傾向である」、「入学生徒の学力の開きが大 きくなった」、「パターン化されたことは覚えるが、少し目先を変えただけで行き詰まる」、 「不登校生徒が多い」、「2次募集での入学者が多い」、「建築科への不適格入学者の増大」、 「自己中心が多い」、「根気不足」、「輪切り入学が多い」、「努力しない」、「デジタル的な思. 考には力があると思いますが、アナログ的思考には弱い」などが得られた。 この結果、①数学の基礎学力不足、②読解力・理解力の低下、③基本的生活習慣の不足、. ④目的意識の不足と言った傾向が強いことが明らかになった。. 21.

(25) 2)建築座学の興味・関心にいついての回答結果 「建築座学に興味・関心をもっていますか」の設問について、5段階法で回答を求めた結 果を表3−8に示す。「そう思う」が9.3%、「どちらかといえばそう思う」が38.6%、両方 あわせるとの47.9%である。また「そう思わない」が25.7%、「どちらとも言えない」が 22.1%、両方合わせると47.8%で「そう思う」「どちらかといえばそう思う」とほぼ同じ 値を得た。. 表3−8 「建築座学に興味・関心をもっていますか」の回答結果 どちらかといえ. そう思う. @%. R8.6. X.3. どちらかといえ. わからない. ホそう思わない. @ばそう思う 54. 13. N=140. そう思わない. 36. 31. Q5.7. Q2.1. 64.3. さらに、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」に回答した興味・関心の多い科目順を 図3−2にグラフで示す。 35. 噛壱】. N. A. R0 30. 一. 25 20 く. 16 15. 12. 12. 10 10. 7. 5. A‘1. r’. 0. 建築計画. 建築構造. 建築施工. 構造設計 建築法規 その他 経験談話. 図3−2 建築座学に興味・関心をもつ科目 回答の理由内容は、暗記すればよい座学である「建築計画」、「建築構造」が回答数の50% 以上を占め、「建築構造設計」、「建築法規」、「建築施工」になると興味・関心の度数が減少. している。理由として、「建築構造設計」は建築物の構造計算をする内容であり、単純梁の. 反力、応力図、トラスの解析、静定・不静定構造物、固定モーメント法など数学の苦手な 生徒や基礎学力の積み重ねが必要な生徒は、興味・関心が低い科目である。「建築法規」は、. 建築座学の全体を把握した上で、建築基準法令集を片手に、難しい法令用語を用いて各建 築基準を調べるため、文章の読解能力や理解能力を必要する。「建築施工」も、基礎工事、. 現場での用語、納まりなど、机上での空論が多く、実際見て体験しないとわからない部分 があまりにも多いためである。. 以上のことから、本を読み図や写真から内容の理解できる座学には、高い興味・関心を もつが、考える能力や計算能力を必要とする座学は興味・関心が低くなっている。中でも 「経験談話に興味・関心をもつ」が10.2%とあり、生徒は教科書では学べない、現場での 経験談話は生きた教材として興味関心をもつことが明らかになった。. 22.

(26) 3)建築実習(製図を除く)の興味・関心についての回答結果 「建築実習(製図を除く)に興味・関心をもっていますか」の設問について、5段階法で 回答を求めた結果を表3−9に示す。「そう思う」が28.3%、「どちらかといえばそう思う」 が53.9%、両方合わせると82.2%であり、「そう思わない」「どちらとも言えない」は全体. の16.3%である。建築実習は8割以上の生徒が興味・関心をもっている。. 表3−9 「建築実習(製図を除く)の興味関心をもっていますか」の回答結果 どちらかといえ. そう思う. @%. 15. T3.9. Q8.3. どちらかといえ. わからない. ホそう思わない. @ばそう思う 76. 40. N=141. そう思わない. 85.7. 21.5. P0.6. さらに、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」に回答した興味・関心のある科目内 容を図3−3にグラフで示す。 40. . F. 1. R5 35. 30. 32 Li. @ 「. 25 誌 き. 1. 攣・・. 1. 、.. 15 ヒ. ヒ. 10 遷. 5. 、}1 ξ. 0. 測量. 木工実習. CAD. 施工実習 材料実験. 模型. その他. 心3−3 建築実習(製図を除く)に興味関心をもつ内容. 回答の理由内容として「測量実習(38)」は、平板測量、レベル測量、トランシット測 量と測量器具の操作さえ覚えれば、比較的分かり易い実習で、学校外に出る機会が多く興 味・関心度が高い。「木工実習(35)」は、鋸、鉋、盤を用いて仕口、継ぎ手などを木材加 工し、「施工実習(24)」は、板図、方枠、溶接など現場実習の一部を学び、体を使って作. 品製作や作業ができる楽しさがある。「CAD(32)」に関しては、時代の流れで興味・関 心が高い。「材料実験(19)」、「模型(19)」でも前述同様のことが言える。その他に、ログ. ハウス、インテリア、パース、墨だし、鉄筋・鉄骨の配筋などが上げられた。 上記の科目以外に「製作をともなう実習は熱心である(13)」、「体を動かすのが好きで ある(8)」、「生徒が生き生きしている(6)」、「体験学習を好む(6)」、「座学より熱心(4)」. の意見回答が得られた。. 以上のことから、実習は座学とは異なり、作品製作を中心に生き生きと熱心に取り組む 生徒の様子が明らかになった。. 23.

(27) 4)製図の興味・関心についての回答結果. 「製図に興味・関心をもっていますか」の設問について、5段階法で回答を求めた結果 を表3−10に示す。「そう思う」が9.6%、「どちらかといえばそう思う」が37.1%、両方あ わせると46.7%である。また「そう思わない」が34.1%、「どちらとも言えない」が13.3%、. 両方あわせて47.4%と、ほぼ同じ値を得た。生徒が製図に対する現状であり、半数は興味・. 関心をもち、残り半数が興味・関心がないことがわかる。 表3−10 「製図に興味・関心をもっていますか」の回答結果 そう思う. N=135. @%. 13 X.6. どちらかといえ. そう思わない. どちらかといえ. わからない. ホそう思わない. @ばそう思う 50 R7.1. 46. 18. R4.1. P3.3. 85.9. さらに、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」に回答理由を図3−4にグラフで示す。. 図3−4製図に興味・関心をもつ理由 回答の理由内容として、「意欲的に取り組む(32)」、「集中して取り組む(27)」、「CA Dに興味関心が強い(20)」、「建築設計競技に興味を持っている(17)」、「自分の考えを表 現したい気持ちを持っている(15)」、「建築家を志望している(12)」、「完成時の満足感」、. 「形となって分かり易い」、「建築士を取りたい」などの回答が得られた。また、反対意見 として、「提出日にでない」、「書きたくない雰囲気が強い」、「一部の生徒だけ取り組んで いる」、「少しつつでしか書けない」、「書き上げる力の不足」、「興味のある生徒とない生徒. と両極端である」、「図面を書くのが嫌いな生徒が増加している」などの意見が得られた。. 以上のことから、教科書中心の模写(コピー)製図では、生徒の興味・関心が半分程度 しか得られないことが明らかになった。. 24.

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