• 検索結果がありません。

被虐待高齢者の救援活動時に生じるストレスとコーピングの影響 : バーンアウトとPTSDに着目して

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "被虐待高齢者の救援活動時に生じるストレスとコーピングの影響 : バーンアウトとPTSDに着目して"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)被虐待高齢者の救援活動時に生じるストレスとコーピングの影響 一バーンアウトとPT S Dに着目して一            学校教育学専攻            臨床心理学コース.            M09086J            西村玲子        一 背景と問題  平成21年度の在宅高齢者の虐待相談・通報件 数は23,404件であった(厚生労働省2010)。この 報告は2006年度から毎年されており、通報件数 は年に約9%増加している。虐待に至る背景要因と して認知症が関係している。高齢者人口の増加に 伴い、要介護高齢者、認知症高齢者も急増してお り、今後更に高齢者虐待が深刻化するのではない かと懸念される。高齢者虐待に関することは2006 年4月に施行された高齢者虐待防止法で規定され ており、虐待防止のための実施機関として地域包 括支援センターがある。虐待・権利擁護に関する ことは社会福祉土と主任介護支援専門員が中心 に担っているが、警察官や消防士のような業務に 特化した訓練をうけてはいない。配属と同時に虐 待対応を行っているが、その救援活動において救 援者自身に大きなストレスが生じている。        皿 目的  本研究では、被虐待高齢者救援業務に従事して いる者に焦点を当て、どのような救援活動内容が 強いストレスを生じさせるのか、そのストレスを 解消するために個人が行っているコーピング方 略を明らかにする。また、バーンアウトおよび心 的外傷後ストレス障害(以下、PTSD)の実態も明 らかにする。併せて、ストレスとコーピングの関 係から、バーンアウトとPTSDへの影響も検討し、 被虐待高齢者救援業務に従事する者に対し、メン タルヘルスの維持・向上に向けて予防的な視点か ら提言を行うことを目的としている。.        皿 方法 1.調査対象者  地域包括支援センターの被虐待高齢者救援業 務に従事している社会福祉士及び主任介護支援 専門員等である。. 2.調査時期.  平成23年8月1日から平成23年9月15目 3.調査方法  A県内の全地域包括支援センター204ヶ所に、 自記式質間調査票を送付し、調査対象者ごとに個 別(無記名)に郵送にて回収した。. 4.調査内容 ①属性に関する調査として、年齢、性別、職種、 設置主体、勤務年数、研修の有無、スーパーハイ ズ体制の有無、得意分野の有無、業務を通して得 たものの有無等で構成した。 ②質問紙法による調査として、被虐待高齢者救援 活動時に生じるストレス(12項目)、コーピング 方略を目的に3次元モデルにもとづくコーピング 対処方略尺度(24項目)、バーンアウトの把握を 目的にMas1achBum.utInventory尺度(17項目)、. PTSDの把握を日的に改訂出来事インパクト尺度 (22項目)を用いた。(いずれも、5件法). ③自由記述調査として、被虐待高齢者救援業務に おける一番の悩みごと、被虐待高齢者救援業務を 継続させている原動力、個人的なストレス解消法 等、全5項目の自由記述を求めた。        1V 結果  有効回答数は258部(96.27%)であった。男性 79名(30.6%)女性179名(69.4%)、年齢構成は 20歳代25名(9.7%)、30歳代87名(33,7%)、40. 歳代79名(30.6%)、50歳代52名(20.2%)、60. 歳代15名(5.8%)であった。社会福祉士115名 (44.6%)、主任介護支援専門員81名(31.4%)、そ. の他62名(24.0%)であった。. 1.被虐待高齢者救援活動時に生じるストレスの 結果について.  救援業務に従事する者が最もストレスを感じ ている項目は介入の難しさで、あまりストレスに 感じていない項目が二次受傷関連であった。この 二次受傷関連の2項目を除くとストレス度合に大 差はなく、虐待救援活動時に生じるストレスが限 定したストレスというよりも複合したストレス という結果となった。        (表1). 2.コーピング方略尺度の結果について  救援時ストレスに対して用いているコーピン グ方略は、情報収集、計画立案、カタルシス、肯 定的解釈、気晴らし、回避的思考、の順であった。. しかし、ストレス解消法として個人的に用いてい るコーピング方略は、ほとんどが気晴らし方略で あった。両者の共通点は、問題回避的コーピング. 一92一.

(2) 方略ではない点である。職務では意識的に問題解 決・サポート希求型方略を、個人的には気そらし 型コーピング方略を用い、その両者により、緊張 と弛緩のバランスをとっていると考えられた。 3.バーンアウト尺度の結果について  下位尺度の平均値は、「情緒的消耗感」が13.62 (SD4.72)、「脱人格化」は11,06(SD4.37)、「個. 導入と、SV体制の構築、専門研修の機会を設け、. 得意分野を持てるように職場環境の整備を図る ことが重要である。. 表1救援活動時ストレスの平均値とSD及び比率 平均値   SD   % 介入ω業1’さ. 2,90. 人的達成感」は15.25(SD4.25)であった。また、. 隻1寸入れ横目不足. 田尾・久保(1996)による自己診断基準得点区分に. 虐待権I,iω菱しさ. 当てはめると、危険域(95%以上)に該当する者. 0.88. 9,99. 2,13. 1,14. 9,40. 2,69. 0,90. 9,28. 対応ω不安. 2,69. 1,08. 9,28. が「情緒的消耗感」では7名(2.7%)、「脱人格化」. 被虐待者と虐待者の値人的問題. 2,64. 0,95. 9,08. では12名(4.7%)、「個人的達成感」の後退では26. 緊急性の判断の難しさ. 2,58. 1,02. 8,88. 処遇決定の難しさ. 2,53. 0,93. 8,73. 橘神的負担が大きい. 2,53. 1,15. 8,73. 介入1;よる悪化の蟹念. 2,49. 1,07. 8,57. 開係機関との連携の維しさ. 2,16. 1,17. 7,42. 二次量。. 1.60. 1.15. 5.51. 148. 107. 511. 名(10.1%)であった。. 4.改訂出来事インパクト尺度の結果について  IES−Rの平均は17,28(SD14.67)で、カットオフ. 値により低群と島群に群分けすると、71名 (27.5%)がPTSD相当の高ストレス群となった。. 5.有意な差が生じた主な従属変数について  各下位尺度別にt検定を行った結果、有意な差 が生じた主な従属変数は、SV体制あり、被虐待高 齢者救援業務で得意分野があるもの、またその業 務から得たものがある者、救援時ストレス低群、 IES−R低群、MBI低群であった。    (表2) 6.救援活動時に生じるストレスとコーピングが バ]ンアウト及びPTSDに及ぼす影響について  バーンアウトを従属変数にして、重回帰分析を 行った結果、男性は回避症状、肯定的解釈ができ ない、救援業務で得たものがない、放棄・諦めの 項目が有意な時にバーンアウトのリスクが高ま る。また、女性は、覚醒光進症状、救援業務で得 たものがない、勤務年数の増加、SV体制がない、 放棄・諦め、虐待対応時における周辺的不安要因 が有意な時、バーンアウトのリスクが高まること が明らかになった。         (表3) 7.自由記述から明らかになった被虐待高齢者救 援業務に求められる人物像について  被虐待高齢者像を極言すれば、80歳代の認知症 になった母が息子から身体的虐待を受けている となるが、その男性の虐待者に対して、多くの場 合、年下の女性職員が対応しているという状況で ある。そこで、救援業務に求められる人物像は、 被虐待者にも虐待者にも傾聴かつ寄り添いなが ら、解決に向けて知識や経験を駆使し、チームア プローチのもとに冷静沈着に判断できる専従者 で、なおかつストレス解消法を持ち、オンオフが. 二1=よる客的の重し. 表2 有意な差が生じた主な従属変数 意差が生じた主な  (甲,舶〕    帥畠リ  o高分野あリ oたもω高目 ストレス個冒 唱苫一R{冒 ”副哩葛. 岨  〔一㎜〕 __固__‘市10司   ‘r1瑚   胆__ 融握盲●伽不冒■囲                          軸‡. 日待対応時ω目迎的要田                      軸‡.   ω中 的                         ‡. 錆報収集 計画立案 カタルシス. 肯定的解駅 気確らし. 国竃的思考 放棄・論め 任. 他端的消清蟹 脱人格化 個人的速成 肩体腕・o大曲邊田‘怯. 回籠症状 賞竈克推症状 ‡βく.05,^‡ρく.01. ‡‡ヰρく.O01. 表3バーンアウトに与える影響について(n工258)       _3膝L_          __皇峻__.       」L__          _」L__ 回避症状       .48}   覚醒元進症状      .32端 肯定的解釈     一3.27揃  救援業務で得たもの    130榊 救援業務で得たもの  一2.05}  勤務年数        .19−. jL  SV体制               一15ヰ R2      .63  放棄・諦め     .1ブ ‡ρ〈05 ホ‡ρ〈01 榊ホρくO01    」欧___ β=模準偏回帰係数        ㎡. 、41. ‡ρ<.05, ホ‡ρく.01, ‡ホ‡ρ〈.001. β1標準偏回帰係数.         主な引用文献 ・厚生労働省(2010):平成21年度高齢者虐待の防. 切り換えられる人であった。. 止・高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に 基づく対応状況等に関する調査結果. 8.メンタルヘルスの維持・向上にむけて  個人の精神的負担度を把握できるシステムの.        主任指導教員  岩井 圭司          指導教員  海野千畝子. 一93一.

(3)

参照

関連したドキュメント

ここで,図 8 において震度 5 強・5 弱について見 ると,ともに被害が生じていないことがわかる.4 章のライフライン被害の項を見ると震度 5

従って、こ こでは「嬉 しい」と「 楽しい」の 間にも差が あると考え られる。こ のような差 は語を区別 するために 決しておざ

成績 在宅高齢者の生活満足度の特徴を検討した結果,身体的健康に関する満足度において顕著

と言っても、事例ごとに意味がかなり異なるのは、子どもの性格が異なることと同じである。その

災害発生当日、被災者は、定時の午後 5 時から 2 時間程度の残業を命じられ、定時までの作業と同

   がんを体験した人が、京都で共に息し、意 気を持ち、粋(庶民の生活から生まれた美

■はじめに

巣造りから雛が生まれるころの大事な時 期は、深い雪に被われて人が入っていけ