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微量重金属イオンの凝集除去と共存フルボ酸との関係 利用統計を見る

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(1)

微量重金属イオンの凝集除去と共存フルポ酸との関係

加藤健司 風間ふたば 田村勝 (昭和61年9月1日受理)

Relation of Fulvic Acid to the Removal of Trace

Concentrations of Heavy Metal Ions from Water by

Inorganic Coagulants

KenjiKATO FutabaKAZAMA MasaruTAMURA

      Abstract    The effectiveness of Cu2+, Cd2+and Zn2+removal from extremely diluted solution by inorganic coagulant such as alum and ferric chloride was measured with fulvic acid present and absent.       Afactorial experimental design and analysis of variance were used to determine the effect on heavy metal ion removal of the individual variables pH, heavy metal ion concentra. tion, coagulant concentration and fulvic acid concentration and their combinations. The fulvic acid used in the experiment was separated from lake deposit by means of Schnitzer&Skinner’ s5)method applying ion−exchange resin process.    The analyses of variance showed that the most effective variable was the pH, followed by the coagulant concentration and their combination among the variables under consideration.    The presence of fulvic acid appeared to rather enhance the heavy metal ion removal in most experiments. Under the experimental condition in diluted concentration of coagulant added, the fulvic acid acted to lower the heavy metal ion removal effects. Consequently, the interactive effect observed between coagulant concentration and fulvic acid concentration had to be examined more carefully from view points of metal ion complex formation with fulvic acid in water.    The concentration of heavy metal ion ranging from 500 to 1000 ppb did not give any remarkable influence on the removal effects.

1.緒

言   土壌の有機物の大部分をしめるものは腐植(フミン 質)と称せられる物質群である。しかし,この定義や 区分についてはさまざまな意見があり,統一されたも のになっていない。現実的には,土壌からアルカリ溶 液によって抽出される有機物のうち酸沈澱部と酸可溶 部をそれぞれフミン酸とフルポ酸と称している。その 中でフミン酸については抽出,分解,精製が比較的容 易であるためか数々の研究がなされているものの,フ *環境整備工学科,Department of Environmental Engineering ** サ,宇都宮大学工学部,Faculty of Engineering, Utsunomiya ルポ酸の研究は比較的すくない。   ところが近年において,水道水の消毒剤として使用 されている塩素と水中の微量なフミン質とが反応し, 発ガン性の疑いのあるトリハロメタンを生成する1)こ とが指摘されたり,また環境化学の観点からフミン質 (特に親水性の強いフルポ酸)が無機,有機の微量な 汚染物質を取り込み,環境中に広く分散させたり2),有 害金属がフミン質と錯体形成することによってその毒 性に変化が起こることなどが明らかになっている。こ のことから,フミン質が,Scavenger3)とかModifier of metal−ion chemistry2)などとも呼ばれるようにな ったりして注目を浴びるようになった。  一方,水処理プロセスとして広く用いられている凝 University

(2)

集沈澱法は,水中の懸濁物質を除去するのみならず, 微量の重金属イオンやフミン質のような有機物質をも 共沈除去できることが知られている。 そこで本研究においては,硫酸アルミニウムや塩化 第2鉄のような無機凝集剤を用いて凝集処理を行う場 合,その反応を支配する重要な因子と,有機物とくに フルポ酸などの共存が微量の重金属イオンの凝集除去 に及ぼす寄与の度合とを明らかにするため,数理統計 学的実験計画法を用いて実験を組み立て,その効果に ついて分散分析法によって要因の解析を試みたのでこ こに報告する。なお,実験に用いたフルポ酸は湖底堆 積物より抽出分離したものである。 2.実験計画の作成と実験方法  2.1 実験計画の作成  数理統計学的実験計画法は現在持っている情報を最 大限に利用し,最小の費用で最大の情報を得るために どのような実験を行ったら良いかを,固有技術と数理 統計学とを利用して,計画し,実行し,結果を分析し て結論を得る方法である4)。実験計画法を策定するに あたって,最も重要となるのは因子の選定と,その因 子の水準の設定である。因子についてはより多くの予 備知識をもとにして,実験目的に対し寄与度の大きい と考えられるものを選ばなければならない。  本実験の実施にあたっては,要因配置実験計画法を 用いて計画を組み立てた。すなわち,凝集による重金 属イオンの除去率に影響を及ぼすと考えられる主要な 因子として,(1)除去対象となる重金属イオン濃度,(2) 凝集剤濃度,(3)pH,(4)フルポ酸濃度の4因子を選定し た。これら4因子についてそれぞれ高値(+),低値 (一),中間値(0)の3点を選び,24+6回(4因子2水準 の24回の実験と,誤差分散を求めるための中間値6回 の繰り返し実験)合計22回の実験を1クールとして Cu2+, Cd2+, Zn2+についておのおのの重金属イオンご とに行った(Table 2参照)。分散分析に当たっては, それらの実験結果について,16回の実験から要因効果 の分散(V)と6回の繰り返し実験からの誤差分散 (Ve)との比,すなわち,分散比(F。)について重金 属イオン除去に関する要因の寄与の度合を検定した。 この場合,要因効果による分散が誤差分散に比較して 十分に大きいほど、その要因寄与は当然大きいと考え られ,本実験計画では分散比(F。)が16.26より大きけ れば99%の有意でその効果があると検定できる。  2.2 実験材料および試薬  a)重金属イオン濃度:それぞれ銅,カドミウム, 亜鉛の金属標準溶液(和光純薬,原子吸光分析用標準 液1000ppm)を希釈し,25 ppm,37.5 ppm,50 ppm 濃度の重金属イオン溶液を作成した。この各重金属イ オン濃度の一定量をとり,実験液の重金属イオン濃度 をそれぞれ,500ppb,750 ppb,1000 ppbとした。  b)凝集剤:硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3・18H20 ヨツハタ化学特級試薬)ならびに塩化第2鉄(FeCl3・ 6H20和光純薬特級試薬)をそれぞれ純水に溶かし, 別々に実験時の50倍濃度の硫酸アルミニウム溶液お よび塩化第2鉄溶液を作成して,その一定量をとり実 験に供した。なお,塩化第2鉄溶液は実験直前に作成 した。  c)フルポ酸溶液:フルポ酸は1985年9月山梨県南 都留郡山中湖の湖心から採取した底泥の風乾試料か ら,SchnitgerとSkinnerの方法5)にて抽出分離したも のを凍結乾燥して粉末試料6)とした。実験にあたって は,このフルポ酸の粉末試料を純水に溶解して実験に 供した。また,このフルポ酸は全酸度として15.6meq/ 9,カルボキシル基10.8meq/9であるので,フェノー ノレ1生水酸基は,4.8meq/gであることを確かめた。

 2.3実験方法

 2.1で記述した実験計画法に基づき,次のような凝集 実験を行った。フルポ酸溶液,重金属イオン溶液,無

機凝集剤溶液の各1mlを50m1ビーカーにとり,純

水で約40 mlにした。スターラーで撹はんしながら

0.01Mもしくは,0.001MKOH溶液でpHを調整し

たのち,50 mlメスフラスコに移し,純水で全量を50 mlとした。5分間激しく振り混ぜたのち,30分間放置 して生成したフロックを沈澱させた。これをニューク レオポアフィルター(孔径0.4μm)で吸引ろ過し,ろ 液を直nt 100 mlメスフラスコに受けた。つづいて,約 25 mlの純水で50 mlメスフラスコとろ過装置をよく 洗い,この洗液と,ろ液の入った100 mlメスフラスコ に有害金属測定用濃硝酸1.0 ml,1.00 M KNO3溶液1. O mlを加えて振り混ぜたのち,純水を加えて100 ml にした。この溶液の重金属イオン濃度をフレーム原子 吸光光度計(島津AA−640−12)で測定し,重金属イオ ンの初濃度よりこの凝集処理後の残留重金属イオン濃 度を差し引き,その百分率より重金属イオン除去率を 算出した。 ’別に,バックグランドを確かめるため,凝集剤を加 えない空実験も行い,器具への付着などによる重金属 イオンの損失率をも測定した。 3.1 3.結果および考察 バックグランドによる重金属イオンの損失につ  いての検討

(3)

Table l Background metal ion losses in the     absence of alum Metal ion pH FA*Metal ion loss(X)  (ppb)        (PP■) Cu2◆   Cd2+  Zn2◆ 7    20    7.5   4.5   1.8 5  20  −0.7 r−’O.9  0.4 7  20  12   1.8  1.4 5   0  −0.8  0.9  0 6    10    6.0   4.1   1.0 Table 2 per cent metal ion losses for the 24十6 factorial experiment−1(Alum) (1)Low concentration:   10∼50PPi 1000 1000 1000 1000 750 *FA:Fulvic Acid  凝集沈澱による重金属イオンの除去を検討するに先 立ち,凝集以外の要因による重金属イオンの損失をあ らかじめ確かめておくため,重金属イオン濃度1,000 ppbあるいは750 ppbの溶液を用い,凝集剤を加えな いで同様の操作をし,バックグランドによる重金属イ オンの損失率を求めた(Table 1)。その結果,損失率 は,だいたい1∼7%程度で,pH 7でフルポ酸の存在す る場合のCu2+が12%と異常に高い一例があるのみだ った。また,外部からの混入と思われる重金属イオン の増加を示すマイナス値も数例認められたものの,い ずれも1%以下で,一般にバックグランドは小さい値 を示すものと考えられる。また,この損失率はpHによ って大きく支配され,pH 5ではいずれも1%未満であ るが,pH 7では比較的高い値を示すことよりこのpH では不溶性の重金属水酸化物の生成も考えられる。ま たバックグランドの損失率としては,容器その他への 付着によるものも当然考えられるが,これらを明瞭に 区別することは困難である。したがって,凝集実験の 結果よりバックグランドによる損失を単純に差し引く ことは適当でないと考えられるので,今回はとくにこ のような測定値の修正は行わなかった。 3.2硫酸アルミニウムによる重金属イオンの凝集除

   去実験

 硫酸アルミニウムを通常の浄水処理に多く用いられ ている程度の低濃度(A12(SO4)3・18H20として10∼50 ppm)添加した場合と,100∼600 ppm程度の高濃度に 添加した場合とに分け,Cu2+, Cd2+, Zn2+について, それぞれ22回の要因配置実験を行った結果をTable 2−1および2−2にまとめた。  3.3塩化第2鉄によるCu2+の凝集除去実験  さきの硫酸アルミニウムによる凝集除去実験で比較 的除去率が高かったCu2+について塩化第2鉄を添加 し,さきと同様の実験を行った。実験にあたっては FeC13・6H20として10∼30 ppmを添加した場合と, 50∼250ppm程度の高濃度添加した場合とに分けて行 い,それらの結果をTable 3−1および3−2にまとめた。 1,eve 1 Variablet +  0  一 C=pH D=FA ppm   Experiments 儲}?ξ。三991sfi三8 ,,.1°9871⑪5!⑪  7  6  5  20 10  0 Per cent losses No. A B C D Cu2◆ Cd2◆ Zn2†

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90 18 63 85  5 27 10  2  0 2  0  0 4  5  1 46  3  9 0  0  0 −2  0 −2 96 20 56 92  7 37 16  3  2 4  0  0

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 Experi日eots  Per cent losses No. A B C D Cu2◆  Cd2◆ Zn2◆

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H

発 鷺 lo8 藷 篇 19 }§ 1§ ll 49 31 21 −1 −1 5 4 −1 −1 16 30 −2 −5 6 6 −2 −5 2 0 4 4 5 4 73 74 4 4 60 52 6 6 80 71 4 8 60 54 0 4 23 31 25 28 28 28 また,重金属イオンの除去と密接な関連を持つと考え られる水酸化鉄フロックの沈降率に関するデータを付 記した。  3.4 要因配置実験結果の概要

(4)

Table 3 Per cent metal ion losses for 24十6factor− ial experiment−2(Ferric chloride) (1)Low concentration:10∼30PPm 1.eve1 Variables +  0 鯉1;、61i:1 PP田 1°217{85!8 C=pH      7  6  5       20 10  0D=FA ppm  Experi薗ents     Per cent losses No. A B C D Cu2◆  Fe3◆

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}{:‡:: }]二:‡士 }1二::± 17 0 0 0 0 18 0 0 0 0 19 0 0 0 0 20 0 0 0 0 21 0 0 0 0 22 0 0 0 0 85  97 95  100 21  97  4  12 24  42 83  100  2  47  2  42 74  86 100  100 28  97  0  13 19  53 77  100  5  57  5  31 63  98 61  97 52  97 50  95 47  96 43  98 〈2)High concentration:ca.50∼25ePPm 1.eve 1 Variables +  0 ‖:CBI6蹴。 PP頂 11桝ll Sll        7  6  5 C=pH D= FA  ppm      20   10   0  Experi咀ents     Per cent losses No. A B C D Cu2“ Fe3◆

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18 0 0 0 0 19 0 0 0 0 20 0 0 0 0 21 0 0 0 0 22 0 0 0 0 100 100 40 67 98 100 30 24 100 100 51 51 100 100 36  2 94 91 99 94 93 94 100 100 98 99 100 100 98 99 100 100 100 86 100 99 100 11 100 100 100 100 100 100 硫酸アルミニウムを低濃度添加した場合(Table 2− 1)について見ると,まずCu2+がCd2+やZn2+にくらべ て全般的に除去率(損失率)は特に高く,そのpH(C) とAlum(B)およびフルポ酸(D)とが共に高値(十)の 場合は90∼96%もの高い除去率を示した。このように (B)(C)(D)がともに高値(+)の場合に高い除去率を 示す傾向は,Cd2+やZn2+の場合にも認められるが,そ の除去率は高いものでもCd2+で18∼20%, Zn2+では 37∼63%である。

 硫酸アルミニウムの添加濃度が100ppm以上にな

ると(Table 2−2),いずれの重金属イオンについても, その除去率は上昇する場合が多く,また硫酸アルミニ ウムの添加濃度が異なっても,その他の条件が変わら なければ除去率に明らかな差異は認められない。全般 的には,pH(C), Alum(B),フルポ酸(D)の濃度が共 に高値を示すときはCu2+とZn2+とは除去率の向上が 著しいが,Cd2+は多少その様相が異なるようである。 なお,本実験の硫酸アルミニウム濃度の低レベルでの 一連の実験結果はTruitt&Weber7)の結果とほとん ど一致している。  一方,塩化第2鉄を添加した場合は,10∼30ppmの 低レベルでは,pHが7,塩化鉄濃度が30 ppmと,と もに高値(+)を示す場合は70∼100%と極めて高い除 去率を与えるが,pH 7,塩化鉄濃度30 ppmでフルポ酸 が存在しない場合,500ppbのCu2+の除去率が100% であったものが,フルポ酸20ppm存在すると74%に 低下することが注目される。

 塩化鉄濃度が50ppm以上の高レベルになると

Cu2+の除去率は向上し,とくにpH 7では塩化鉄濃度 の変動に関係なくほぼ100%の値を示し,低レベル添 加の場合に見られたようなフルポ酸の存否はこの除去 率の向上にほとんど影響を与えていないように見え る。  3.5 分散分析による各因子の寄与についての考察  さきの要因配置実験の結果に基づき,フルポ酸が共 存する場合としない場合とに分けて,分散比(F。)を 算出し比較解析したので,これら一連の結果をTable 4および5に掲げた。なお,塩化第2鉄の凝集実験に関 しては,加水分解による水酸化鉄の沈降率に関するデ ータを付記し参考に供した。なお,50ppm以上の高濃 度の塩化鉄を添加した実験では,その中間値(145 ppm)におけるFeの沈降率が総て100%となり,誤差 分散を求めることができなかったので,Table 5−2に はCu2+の除去率に関する分散分析結果のみを記載し た。また下線を引いた値は有意水準99%のものであ る。  まず,10∼50ppmの低レベルの硫酸アルミニウム濃 度での重金属イオンの凝集実験結果について分散分析 を行った結果をまとめたTable 4について検討してみ る。

(5)

Table 4 Water treatment experimental F statis・    tics−1(Alum)  (1)Low concentration:   10∼50pp亀 FA Presefit FA Abs ent Factor* Cu2◆ Cd2◆ Zn2◆  Cu2◆ Cd2◆ Zn2◆ A   10  1 10 B      297   51 1481 C  7ワヲ IMπぢす D  「ib可1「師 AB  T 一τ 一I AC   1  0  7 AD   1  0 21 BC     194   28 13re BD  “百7 −1一獅 CD  5丁 15「M ABC  一σ 0 −5 ABD   2  0  7

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0  0  2 (2)High concentration:>100ppm FA Pres ent FA Abt ent Factor* Cu2◆ Cd2◆ Zn2◆  Cu2◆ Cd2◆ Zn2◆ A   ll B   18 C  869 D  一頂 AB  −3 AC    g AD   12 ㏄    l BD   1 の    1 ABC   2 ABD   3 ACD   l BCD   l ABCD  14  3  0 119 ,,拶 一σ一丁 2  1 1  1 7  0   37 2  7 2  1 10  1 18  2

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10  1  0  0  0 14 62 396 1i用  6  2  0  7 13  0 0 62 22 14  2  2 Underlined va〕ue indicatet 99X confidence level significance. *Facters A,B,Cand D are metal ion concen− tration, coagulant concentration, pH and fulv iC acid concentration, respectively Table 5 Water treatment experimental F statis−    tics−2(Ferric chloride) (1)Low concentrati。a:10∼30pp FA Present FA Absent Factor*  Cu2◆  Fe3◆ C曽2◆ Fe3◆ A B C D AB AC 姐 BD CD ABC ABD ACD

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3

磐  26 157

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1 Underlined value indicates 99X confidence level significance. *Facters A, B, C and D are ●etal ion concent− ration, coagulant concentration, pK and fulvic acid concentration. ret pectively.  除去すべき各重金属イオンとも,少なくとも500 ∼1000ppbの濃度範囲においては濃度変化に有意性 はほとんど認められない。また,各重金属イオンとも フルポ酸が共存する方が,重金属イオンの除去に及ぼ す各因子の寄与は向上し,とくに凝集剤濃度(B)と pH(C)の組合わせ効果の寄与が増す。とくにZn2+に ついてフルポ酸の共存による寄与が顕著である。  これに対して,100ppm以上の高濃度の硫酸アルミ ニウムを添加した場合は,フルポ酸が共存すると,さ きに指摘した低レベルのものと同様に,凝集剤濃度 (B)やpH(C)の寄与は増すものの,その程度は低い。 しかし,凝集剤濃度(B)とpH(C)との組合わせ効果 は,Cd2+とZn2+については寄与を増大し,とくにCd2+ において著しいが,これに対してCu2+の場合はこの (B)(C)組合わせ効果の寄与は認められなかった。  また,塩化第2鉄の場合(Table 5),その濃度が10 ∼30ppmの低レベルであるときは,フルポ酸が共存す るとCu2+の除去に対するpH(C)の効果の寄与が増大 し,塩化鉄濃度(B)も有意となる。しかしながら,水酸 化鉄フロックの生成に伴う鉄の沈降についてみると, フルポ酸の共存により,凝集剤濃度(B)の寄与は幾分 増すが,もっともその寄与の高いpH(C)については 分散比はむしろ減少しその寄与を低下させており,ま た(B)(C)組合わせ効果の寄与も低下する。これを Cu2+除去率についてみると,さきに指摘した高レベル の硫酸アルミニウムの場合と同様,(B)(C)の組合わ せ効果が有意ではないことがわかる。  これに対して,50ppm以上の塩化酸を添加した場合

(6)

には,フルポ酸の共存はpH(C)の寄与を増すが, Cu2+ の濃度(A)や,この(A)とpH(C)との組合わせ効果さ え寄与が明らかではなくなり,凝集剤濃度(B)とpH (C)の組合わせ効果も,その寄与を低下させる。これら のことより,50ppm以上の高濃度の塩化鉄が添加され るときは,共存するフルポ酸は幾分pH(C)の効果に 寄与するものの、それ以外はCu2+の除去に関してあま り寄与していないように見え,フルポ酸の存否はCu2+ の除去に大きな影響を与えることはない。  以上の検討結果より,無機凝集剤による重金属イオ ンの凝集除去において,もっとも大きな影響力をもつ ものはpH(C)であることは間違いないが,そのpH (C)の効果について硫酸アルミニウム添加の場合を取 り上げ,それぞれCu2+, Cd2+, Zn2+についてフルポ酸

が20ppm存在する場合としない場合とに分けて

Table 6にまとめてみた。これらの結果をまとめてみ ると,各重金属イオンともpH 7においては凝集除去 されるが,pH 5になるとほとんど除去されない。また, 凝集剤濃度が50ppmと高レベルにあるときは,フル ポ酸20ppmの共存により,重金属イオンの除去率は 増加する傾向があるが,凝集剤濃度が10ppmの低レ ベルの場合は重金属イオンによってその効果はまちま ちである。すなわち,Cu2+はフルポ酸の共存により除 去率は64%から4%に激減し,Zn2+の場合も同様15% から4%に低下している。しかし,Cd2+の場合はフルポ 酸の共存の影響はほとんど認められなかった。  3.6総合的考察  先述の重金属イオンの凝集除去に関連する主な因子 の寄与の度合とそれら因子の組合わせ効果について試 みた分散分析の結果を要約してみよう。なお,組合わ せ効果は「一つの因子の水準の違いによる効果のうち 他の因子に影響される部分を示す」4)ものであり,今回 のような実験と解析でその効果を検定できるのも,こ の実験計画法の利点の一つでもある。  1.硫酸アルミニウムと塩化第2鉄のいずれの凝集 実験についても,500∼1000ppbの濃度範囲では,重金 属イオン濃度(A)の単独効果の有意性は認められず, また他の因子との組合わせ効果についても認められな かった。これは重金属イオン濃度が500ppbから1000 ppbの範囲で変化しても重金属イオン濃度が凝集沈澱 による重金属の除去率に影響を及ぼさないことを示す ものである。  2.凝集処理による重金属イオンの除去を支配する 因子のうち最も重要な役割を演ずるものはpH(C)で あり,凝集剤濃度(B)がこれにつぎ,組合わせ効果につ いても(B)と(C)との組合わせがもっとも支配的であ Table 6 1nfluence of pH to metal ion losses with    relation to fulvic acid present or absent  (1)Cu2◆ Al2(SO4)3 Cu2◆ pH  18H20  (ppm)  (ppb) Cu2◆ 10sses  (%) FA Opp田  20pp■ 50 50 50 50 10 10 10 10 1000 7 1000 5 500 7 500 5 1000 7 1000 5 500 7 500 5 85  90  +5 2  10  +8 92  96  +4 4  16  +12 46  4  −42 −2  0  +2 64  4  −60 4  4  土0 (2)Cd2◆ A12(SO,)3 Cda◆ pH  18H20  (PP髄)  (ppb) Cd2◆ 10sses  (%) FA Opp●  20pp■ 50 50 50 50 10 10 10 10 1000 7 1000 5 500 7 500 5 1000 7 1000 5 500 7 500 5 5  18  +13 0  2  +2 7  20  +13 0  3  +3 3  5  +2 0  0  +0 5  4  −1 −1  1  +2 (3)Zn2’ Al2(SO4)3 Zn2◆ pH  18H20  (ppm) (ppb) Zn2◆ 】osses  (X) FA Opp■  20pp■ 50 50 50 50 10 10 10 10 1000 1000 500 500 1000 1000 500 500 7 5 7 5 7 5 7 5 27 0 37 0 9 −1 15 −1 63 0 56 2 1 0 4 −1 +36 ナ0 +19 +2 −8 +1 −11 tO る。 本実験におけるpH(C)の重要性は硫酸アルミニウ ムや塩化第2鉄のような無機性凝集剤の実験過程で起 こる加水分解がpHに極端に依存していることからも 当然予想される。また,pH 5∼7ではCd2+, Zn2+, Cu2+ が不溶性の金属水酸化物を生成することが理論的にも 困難である。しかし,例外的にバックグランドの実験 においてpH 7でフルポ酸が存在するとき, Cu2+の不 溶化によると思われる12%に達する損失が認められ た。  3.フルポ酸の共存はpHと関連して重金属イオン の除去に影響を与えた。すなわち,凝集剤濃度が低い ときは,pH 5ではフルポ酸が共存しても重金属イオン の除去率に変化は認められないが,pH 7では,除去率 を低下させる傾向が認められ,またその傾向はCd2+や Zn2+に比べCu2+の場合に顕著だった。これらの事実

(7)

は,重金属イオンとフルポ酸の錯安定度定数が強く pHに支配されることと深い関連を持っていることを 示す。Bresnahanら8)はCu2+一フルポ酸錯体はpHが4 から6に増加すれば,錯安定度定数は4倍に,配位数 が3倍に増加することを指摘している。また,Cd2+や Zn2+のフルポ酸錯体の錯安定度定数は, Cu2+の場合に 比べてかなり低い(Mantoura eta11978)9)。  一方,凝集剤の加水分解により生じた水酸化鉄フロ ックがフルポ酸と結合して凝集除去されることもすで によく知られている。本実験でも凝集剤濃度(B)とフ ルポ酸濃度(D)との組合わせ効果が有意であること は,この事実と関連している。  したがって,凝集剤濃度(B)が低いレベルの場合,塩 化第2鉄はpH依存性が特に大きいためその傾向は必 ずしも明瞭ではないが,硫酸アルミニウムの場合に pH 7で重金属イオンの除去率が低下したのは,硫酸ア ルミニウム10ppm程度では共存している20 ppmの フルポ酸は生成する水酸化鉄アルミニウムフロックに よって完全に凝集除去されず,かなりのフルポ酸が溶 離した状態で残留し,これが重金属イオンと親水性の 錯体を形成して重金属イオンを水酸化物フロックから 引き離す効果となり,そのために重金属イオンの除去 率が低下したものと考えられる。  これに対して凝集剤濃度(B)が十分に高レベルにあ り,またpHが十分に高いとき(pH 7以上)は,重金 属イオンのあるものはその高pHのため不溶化が進み 水酸化鉄フロックと共沈し,また大量のフロックは単 独に存在するフルポ酸はもちろん,重金属イオンと可 溶性錯体を形成しているフルポ酸をも含めて吸着し, その結果として必然的に重金属イオンの除去率が増加 したものと考えられる。  3.7 凝集の問題に関して数理統計学的実験計画法    を導入することの限界  さきに指摘したように,凝集沈澱にはさまざまな要 因が複雑に影響を及ぼしあっており,その一つ一つを 細かく実験するには非常に多くの労力と費用を費やす ことになる。このようなとき,最小限の実験回数で, より多くの情報を得る手段として数理統計学的実験計 画法は確かに有効である。この方法により因子の単独 効果のみならず,他の因子との組合わせ効果をも検定 することができるので,その要因解析をして検討すれ ば能率的に有効な情報を得ることができる。このよう にして,本実験では凝集沈澱におけるもっとも重要な 因子としてpHが指摘されたが,実際に凝集によって 重金属イオンの除去を行う場合には最適pHの設定が 最重要であることはわかっても,他の因子との具体的 な組合わせ効果による除去率の変動の予測は必ずしも 容易ではない。このような要因解析も多種の因子につ いてその寄与率の範囲を検定評価したにすぎないこと を忘れてはならない。

4.総

括  無機凝集剤として硫酸アルミニウムまたは塩化第2 鉄を使用し,凝集処理によって微量の重金属イオンの 除去を行う場合,その効果を支配する主要な因子とし て重金属イオン濃度,凝集剤濃度,pHおよび共存有機 物などがあげられるが,これらの因子の重金属イオン 除去に及ぼす寄与のウェイト付けをするため要因配置 実験計画法に基づいて実験計画を設定し,その効果に ついて分散分析法による要因解析を試みたが,それら の結果を要約する。なお,共存する有機物としては湖 底堆積物からSchnitzer&Skinner法5)により抽出分 離されたフルポ酸を用いた。  (1)いずれの凝集剤を用いる場合でも,凝集処理に よる微量重金属イオンの除去に最も大きな影響を及ぼ す因子はpHで,ついで凝集剤濃度であり,しかもこれ らの因子の組合わせ効果も見逃すことはできない。  (2)通常使用されているような比較的低濃度の凝集 剤で凝集処理を行う場合,フルポ酸が凝集剤に対して 過剰に存在するとき,重金属イオンの除去率は低下す る。これは過剰のフルポ酸が重金属イオンと安定な親 水性錯体を形成して凝集剤フロックから重金属イオン を引き離すためと考えられる。これに対して添加した 凝集剤濃度が十分高い場合は,フルポ酸が存在すると 重金属イオンの除去率は増加する傾向がある。これは フルポ酸自体も,重金属イオンと錯形成したフルポ酸 も大量に生成された凝集剤フロックに吸着されるた め,結果的には重金属イオンが効率よく共沈するため と考えられる。  (3)本実験に用いられた500PPbから1000 PPbの 重金属イオン濃度範囲では,この重金属イオン濃度が 多少変動しても重金属イオン除去率にほとんど影響を 与えることはない。  (4)実験に先立ち,凝集剤を添加しないで行ったバ ックグランドの検討の結果より見て,本実験ではバッ クグランドの影響はほとんど無視できるものと考え る。

参考文献

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(8)

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Table l Background metal ion losses in the     absence of alum Metal ion pH FA*Metal ion loss(X)  (ppb)        (PP■) Cu2◆   Cd2+  Zn2◆ 7    20    7.5   4.5   1.8 5  20  −0.7 r− O.9  0.4 7  20  12   1.8  1.4 5   0  −0.8  0.9  0 6    10    6.0   4.1   1.0 Ta
Table 3 Per cent metal ion losses for 24十6factor− ial experiment−2(Ferric chloride) (1)Low concentration:10〜30PPm 1.eve1 Variables +  0 鯉1;、61i:1 PP田 1°217{85!8 C=pH          7  6  5           20 10  0D=FA ppm  Experi薗ents     Per cent losses No. A B C D C
Table 4 Water treatment experimental F statis・    tics−1(Alum)  (1)Low concentration:   10〜50pp亀 FA Presefit FA Abs ent Factor* Cu2◆ Cd2◆ Zn2◆  Cu2◆ Cd2◆ Zn2◆ A   10  1 10 B      297   51 1481 C  7ワヲ IMπぢす D  「ib可1「師 AB  T 一τ 一I AC   1  0  7 AD   1  0 21 B

参照

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