日本人における6mmショートインプラントの有用性
に関する臨床研究
著者
竹下 賢仁
号
53
学位授与機関
Tohoku University
学位授与番号
歯博第898号
URL
http://hdl.handle.net/10097/00130089
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論 文 内 容 要 旨
欠損補綴治療において,インプラント治療は信頼性の高いオプションのひとつである。臼歯部欠損 に対して,インプラント治療を行う場合に,上顎洞や下顎管などの解剖学的構造が制約となり,サイ ナスリフトや骨移植などの骨造成手術が必要となるが,外科的侵襲が大きく,治療期間が長くなり, 患者の苦痛は大きくなる。そのため,骨造成手術を回避するためショートインプラントの使用が見直 されており,海外ではその有用性を示す報告が多くみられるようになってきた。しかしながら,日本 人を対象としたショートインプラントの有用性を示した臨床報告は少ない。そこで,超高齢化社会を 迎え,健康寿命も長い日本において,6 mmショートインプラントを用いた低侵襲インプラント治療の 有用性を確認するため,周囲骨および周囲粘膜組織の状態の変化と患者満足度について臨床統計学的 検討を行った。 平均年齢60歳の患者16名(男性5名,女性11名)に埋入した26本の6 mmショートインプラントを対 象とした。インプラント周囲骨の変化は,上部構造装着時と2年後の経過観察時に,単純X線撮影を行 い算出した。インプラント周囲粘膜の評価は,上部構造体装着時と2年後の経過観察時に,歯周ポケッ トプローブを用いてインプラント周囲のプロ-ビングデプスを測定し比較した。また,患者満足度は, 口腔衛生影響プロファイルのOHIP 14を用いて,治療開始前と上部構造装着から2年後の経過観察時に 採点した。 単純X線写真により算出したインプラント周囲骨量は,インプラントショルダー最下部を基準点とし て,基準点から根尖部の骨レベルはマイナスで表し,基準点から歯冠方向の骨レベルはプラスと記載 した。上部構造装着時の近心側骨レベルの平均は-0.05 mmであり,遠心側骨レベルの平均は0.37 mm であった。上部構造装着から2年後の経過観察時の近心側骨レベルの平均は0.33 mmであり,遠心側骨 レベルの平均は0.53 mmであった。近心側および遠心側それぞれの,上部構造装着時と2年後の経過観 氏 名(本籍) : 竹たけ 下した 賢けん 仁じ(大分県) 学 位 の 種 類 : 博 士 ( 歯 学 ) 学 位 記 番 号 : 歯 博 第 8 9 8 号 学位授与年月日 : 令和 2 年 9 月 25 日 学位授与の要件 : 学位規則第4条第1項該当 研 究 科 ・ 専 攻 : 東北大学大学院歯学研究科(博士課程)歯科学専攻 学 位 論 文 題 目 : 日本人における 6mm ショートインプラントの有用性に関する臨床研究 論 文 審 査 委 員 : (主査)教授 江 草 宏 教授 山 田 聡 教授 髙 橋 哲- 2 -
察時の骨レベルの変化は,Wilcoxon signed-ranks testで有意にインプラント周囲の骨形成を認めた。 プロービングデプスの平均値は上部構造体装着時で3.03 mm,2年後の経過観察時の平均値は3.33 mm と増加する傾向がみられたが,変化量に有意差は認められなかった。また,患者満足度調査では治療 開始前と2年後の経過観察時の比較において,満足度の向上を認めた。 以上の結果より,骨量の不足した部位に対して6 mmショートインプラントを使用して治療を行うこ とは,骨造成を施さず,患者の利益に大きな治療オプションとなりうる。日本人を対象に行った今回 の臨床研究は,上部構造装着時と2年経過後の比較であり,この追跡期間においては6 mmショートイ ンプラントの使用は有効な治療法であると考えられる。しかしながら,今後は6 mmショートインプラ ントの臨床転帰に対する,より長期的で詳細な検討が必要である。