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咽頭痛で初発し髄膜脳炎に至った帯状疱疹症例

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(1)口 咽 科  2020; 33(2):111 ∼ 117. 症   例. 咽頭痛で初発し髄膜脳炎に至った帯状疱疹症例 田宮亜希子・立川麻也子・山村 幸江 野中  学 東京女子医科大学耳鼻咽喉科.  水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus:以下 VZV)の再活性化により脳神経障害を呈する症例 として,耳鼻咽喉科領域では Ramsay Hunt 症候群で良く知られており,時に第Ⅶ脳神経障害以外の下位脳神 経障害を呈することも報告されている.しかし,発症が咽頭炎のみで重症化した症例の報告は少ない.今回 我々は,初診時咽頭炎のみを認め,汎発性帯状疱疹を呈し加療されたにもかかわらず,多発脳神経障害をきた した帯状疱疹性髄膜脳炎の 1 例を経験したので報告する.  症例は 69 歳の男性.6 日前からの咽頭痛を訴えて来院した.咽頭の左側に水疱性粘膜疹を認め,水痘帯状疱 疹咽頭炎と診断した.脳神経障害はなかったが,左耳介と外耳道にも水疱性粘膜疹があった.入院の上,減圧 室管理で 1 日当たり 1,500mg の Acicrobil を 7 日間投与した.入院 6 日目に左声帯麻痺が生じ,7 日目以降か らⅦ,Ⅸ,ⅩおよびⅪ脳神経麻痺も出現した.脳脊髄液検査の結果,VZV 髄膜脳炎と診断され,1,000mg の Methyl prednisolone を 3 日間,1,500mg の Acicrobil を 14 日間投与した.入院後 41 日目には全身状態が回復し, 左顔面神経および副神経麻痺は残存したが,退院となった..  キーワード:帯状疱疹,汎発性帯状疱疹,帯状疱疹性髄膜脳炎. 旅行へ行った.旅行中は腸閉塞の再発を心配し食事量を. はじめに. 極端に制限していた.帰国後,咽頭痛を自覚した.4 日.  水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:以. 後に近医を受診,軟口蓋左側のみに白色疹がみられ,ウ. 下 VZV)の感染では,帯状疱疹に加えて,ウイルス血. イルス性咽頭炎の診断で鎮痛薬,含嗽薬を処方された.. 症を併発して全身に皮疹が散発する汎発性帯状疱疹,さ. 翌日,. らに髄膜脳炎といった重篤な病態を呈することがある.. 腫脹も出現したため,前医を再診したところ,左耳介と. これらは時間差をもって発症するため,帯状疱疹の治療. 外耳道に水疱形成を指摘された.帯状疱疹性咽喉頭炎お. にあたっては慎重な経過観察が必要である.今回我々. よび左耳介帯状疱疹が疑われ,経口摂取困難もあったた. は,咽頭痛で発症し,初診時咽頭と耳介の所見のみを示. め,当科に紹介された.. し,抗ウイルス薬投与を開始したにも関わらず帯状疱疹. 痛が増悪し経口摂取困難となり,さらに左耳介. 初診時現症. 性髄膜脳炎に至り多発脳神経障害をきたした 1 例を経験 したので報告する..  初診時身体所見:口蓋垂と軟口蓋の左側に白色粘膜疹 を認めた(図 1A).軟口蓋挙上障害は認めなかった.. 症   例. 喉頭内視鏡では中咽頭から下咽頭,声門上部にかけて喀.  69 歳の男性.. 痰とともに左側優位に多発する白色粘膜疹を認めた(図.  主訴:咽頭痛.. 1B).喉頭蓋や両側披裂部には発赤を伴う腫脹を認めた.  既往歴:腸閉塞(5 回発症),胆石,多血症,耐糖能. が,有意な上気道狭窄はなく,声帯可動性は良好だっ. 異常症.. た.左耳介は全体的に腫脹し,耳介と外耳道に発赤を伴.  家族歴:特記すべき事項なし.. う水疱を認めた.顔面神経麻痺は認めなかった.顔面を.  現病歴:20XX 年 2 月下旬から 3 月上旬にかけて海外. 含む全身には発赤を伴う水疱が散在していた. 111.

(2) 口 咽 科  33 : 2. 田宮亜希子,他 3 名. 図 1 初診時身体所見 A:口腔内所見.口蓋垂と軟口蓋の左側に白色粘膜疹を認めた(矢印) . B:喉頭内視鏡所見.中咽頭から喉頭蓋,声門上部にかけて左側優位に 白色粘膜疹が多発していた(矢印)..  初診時検査所見:. 面神経麻痺(柳原法で 30/40 点)が出現した(図 2) .10.  血液検査所見;白血球数は 6,420/μl(好中球 75.8%,. 日目に左肩挙上制限が出現し,頸回旋では右側と比較し. リンパ球 15.0%)で,上昇は認めず,CRP は 7.15mg/dl. 左側優位に減弱していた(図 2) .また内視鏡下嚥下機能. と上昇していた.HBs 抗原,HBs 抗体,HCV 抗体,HIV. 検査にて,左咽喉頭麻痺,喉頭反射の消失があり,誤嚥. 抗体は全て陰性であった.VZV IgG は 72.0 と上昇し,. を呈していたため,経鼻胃管を挿入し,経口栄養管理と. VZV IgM 0.57 は正常であった.HSV IgG 261 は上昇し,. した.以上より帯状疱疹に伴う第Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ・Ⅺ脳神経. HSV IgM 0.14 は正常であった.CMV IgG は 23.6 と軽度. 障害と判断し,入院 14 日目に脳神経内科に診察を依頼し. 上昇し,CMV IgM は 0.39 で正常だった.梅毒反応は,. た.髄液検査が施行され,帯状疱疹性髄膜脳炎と診断さ. 定性(Q.TPLA,脂質抗体) , (E.TPLA,脂質抗体)とも. れた(表 1) ,同日より Aciclovir 1,500mg/ 日 7 日間およ. 陰性であった.咽頭ぬぐい液:性感染症(淋菌,C. トラ. び methylprednisolone 1,000mg/日を 3 日間 投 与した.. コマチス)は陰性,溶連菌感染も陰性であった.. 入院 17 日目に嚥下造影検査を施行したところ,患側梨状.  以上から,帯状疱疹性咽喉頭炎と左耳介帯状疱疹の診. 陥凹の残留と,喉頭挙上の患側での制限が認められた.. 断で,初診日に緊急入院した.. 喉頭挙上位の左右差を改善するために嚥下時の頰. 位を. 指導した結果,誤嚥は改善したため,経鼻胃管を抜去し. 入院後経過. た.ペースト食から開始し,徐々に食上げした..  入院後の所見の経過(図 2)と治療の経過(図 3)を.  入院 21 日目に髄液検査を再施行(表 1),髄液中の細. 示す.入院日に皮膚科を受診し,汎発性帯状疱疹と診. 胞数の上昇,蛋白の上昇は残存していたため,髄膜炎が. 断された.陰圧室管理のもと Aciclovir 1,500mg/day を. 遷延していると判断して,Aciclovir 1,500mg/日をさら. 7 日間投与した.咽頭痛が強く,経口摂取が困難のた. に 7 日間投与した.その後は,臨床症状及び検査所見と. め,絶飲食とした.第 3 病日に CRP は 17.38mg/dl と上. もに改善し,左顔面神経麻痺と左副神経麻痺が残存する. 昇し,血中酸素飽和度が 80%台後半まで低下した.陰. のみとなったため,入院 41 日目に退院した.. 圧室管理であり胸部レントゲン施行が困難だったが,.  VZV 抗体価の推移を示す(図 4) .VZV-IgG は入院時. 膿性喀痰の排出が著明であり,炎症反応も上昇してい. と 2 週間後に再検した値を比較すると約 13 倍と著明に. たことから,喀痰の誤嚥による肺炎を疑い,Sulbactam. 上昇していた.また IgM は入院時から上昇していなか. Sodium Ampicillin Sodium 6g/day を 開 始 し た. そ の. ったことから,VZV の再活性化と判断した.. 際,喀 痰 培 養 検 査を施 行したところ,Staphylococcus. 考   察. aureus(MSSA)が検出されたが,感受性が認められた ため,8 日間投与を継続した.入院 6 日目までに左耳介.  VZV は初感染では水痘になるが,加齢や基礎疾患,. や顔面,全身の水疱は痂皮化し,咽頭喉頭内の粘膜疹も. ストレスなどによる免疫低下状態になると,神経節に. 消退したため,陰圧室管理から一般病棟での管理に変更. 潜伏していた VZV が再活性化し,帯状疱疹を呈する.. した.入院 6 日目に左声帯麻痺が出現し,7 日目に左顔. 耳鼻咽喉科領域における VZV 再活性化の代表的な病態 112.

(3) 口 咽 科  33 : 2. 咽頭痛で初発し髄膜脳炎に至った帯状疱疹症例. 図 2 入院後の所見の経過. 図 3 治療経過. 表 1 髄液検査の推移 入院 14 日目. 入院 21 日目. 入院 27 日目. 微黄色 混濁 ± キサント ±. 無色透明 ― ―. 無色透明 ― ―. 細胞数(個 /μl). 75.3. 12.0. 8.7. 細胞数 L(個). 64.3. 9.7. 8.0. 細胞数 N(個). 0.0. 0.0. 0.0. 細胞数その他(個). 11.0. 2.3. 0.7. 蛋白定量(mg/dl). 72. 62. 43. 糖定量(mg/dl). 70. 64. 72. VZV IgG. 8.80. 7.20. 4.53. VZV IgM. 0.22. 0.18. 0.19. 髄液外観. 113.

(4) 口 咽 科  33 : 2. 田宮亜希子,他 3 名. 1,200. 960. 1,000 800. 516. 600 400 200. 72.0. 0 1. VZV-IgG. 14. VZV-IgM. 35. 図 4 血清 VZV 抗体価の推移. が,膝神経節 VZV の再活性化による,耳介帯状疱疹,. 間かかり5,7,大学病院でも 2∼4 日を要するのが現状で. 第Ⅶ・Ⅷ脳神経障害を主徴とする Ramsay Hunt 症候群. ある.また VZV-DNA は皮疹出現時期のみに証明され. 1. である .Hunt 症候群では第Ⅶ・Ⅷ以外の脳神経障害も. ることが多く,陽性率が低い7.そのため,VZV 再活性. 生じるとされ,宮崎ら2 は,第Ⅸ・Ⅹ脳神経障害の合併. 化を疑った場合は,検査結果を待たずに治療を先行する. 頻度が最も高いとし,村上ら3 は約 2.5%に第Ⅸ脳神経障. 必要がある6.. 害や第Ⅹ脳神経障害を合併したと報告している.また室.  本症例では,第Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ・Ⅺ脳神経障害に加えて汎. 4. 井ら が検索しえた声帯麻痺を合併した VZV 感染 26 症. 発性帯状疱疹を生じていた.汎発性帯状疱疹は,帯状疱. 例で,第Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ・Ⅺ脳神経障害を合併した症例は,. 疹が出現した後にウイルス血症を起こし,全身に水痘. 自験例を含めて 1 例のみであり,今回の症例は非常に稀. 様皮疹が播種した病態で,発症頻度は帯状疱疹全体の. だったと考えられる.. 2-10%であり,帯状疱疹発症から 4-11 日経過してから.  VZV 再活性化による脳神経障害の診断にあたっては. 原発部位から離れたところに小水疱による散布疹が 20. 痛に加え. 個以上認められるものとされる9,10.汎発性帯状疱疹や. て一側性の皮疹や粘膜疹を伴う場合は VZV 感染を疑う. 帯状疱疹性髄膜脳炎の危険因子には HIV や悪性腫瘍な. が,皮疹や粘膜疹を伴わない場合は診断や治療開始が遅. どの基礎疾患,放射線治療後,抗癌剤投与などによる細. 痛の確認も重要である.本症例のように,. 5, 6. れることがある .また口腔内や咽喉頭内の粘膜疹は,. 胞性免疫の低下があげられるが 9,11,12,基礎疾患のない. 皮膚所見と比し早期に消失する場合が多いために VZV. 症例も報告されている.また汎発性帯状疱疹が生じた場. 感染が見過ごされることがある7,8.皮膚・粘膜所見がな. 合は髄膜脳炎を続発しやすいため13,慎重な経過観察が. い場合に重要となるのが,耳内や咽喉頭,側頭部等の. 必要である.本症例は,69 歳と比較的高齢である以外. 痛であり,. に明らかな基礎疾患はなかったが,発症前の極端な食事. 痛を伴う脳神経障害では積極的に VZV 感. 染の関与を疑うべきである.. 制限が免疫力低下の一因となり発症した可能性がある..  VZV 再活性化の証明には,血清や髄液における抗体価.  本邦における汎発性帯状疱疹に髄膜炎や脳炎および脳. 上昇もしくは PCR 法で VZV-DNA を確認する.抗体価. 神経障害を合併した症例を,検索し得た限りのものを表. 測定法には,補体結合(CF)法,酵素抗体法(enzyme. 9,11,12,14-21 .咽頭炎のみを初発とし汎発 にまとめた(表 2). immunoassay:EIA)法などがあり,2 週間程度空けて. 性帯状疱疹と帯状疱疹性髄膜脳炎を合併した症例は,自. CF 法で 4 倍以上,EIA 法で 2 倍以上の上昇が認められ. 験例だけであった.髄液検査については,未施行の報告. 7. れば陽性と診断できる .今回の症例では,VZV-IgG は. 例では,髄膜刺激症状や中枢神経症状がないために施行. 入院時と 2 週間後に再検した値を比較すると約 13 倍と. されなかったとみられるが,汎発性帯状疱疹は髄膜脳炎. 著明に上昇していた.また IgM は入院時から上昇して. の危険因子であり 7,髄膜脳炎では本症例のように髄液細. いなかったことから,初感染ではなく,VZV の再活性. 胞数に応じた追加治療が必要となる.帯状疱疹による髄. 化と判断した.しかし,抗体価の確認には通常は約 1 週. 膜脳炎の予後は比較的良好とされているが 7,13,約 30% 114.

(5) 口 咽 科  33 : 2. 咽頭痛で初発し髄膜脳炎に至った帯状疱疹症例 表 2 本邦における汎発性帯状疱疹に髄膜炎や脳炎および脳神経障害を合併した症例 報告者. 報告年. 年齢・性別. 14. 1968. 13・男. 久野ら15. 1988. 87・男. 佐藤ら16. 1992. 53・女. 17. 佐藤ら. 1999. 中根ら18. 2000. 山中ら19. 2006. 小田桐ら9. 2009. 溝上ら. 2012. 津布久ら11. 2013. 松尾ら20 葭本ら21 自験例. 福士ら. 12. 初発症状. 髄液検査. 右上眼瞼の水疱. 脳神経障害の有無. 陽性. なし. 陽性. なし. 右背部痛. 陽性. なし. 9・女. 発熱・頭痛. 陽性. なし. 71・男. 左頰部水疱. 陽性. Ⅶ,急性膵炎. 85・女. 咽頭痛・耳痛. 未施行. Ⅶ,Ⅷ. 74・男. 発熱・左顔面皮疹. 未施行. Ⅶ,Ⅷ. 45・男. 咽頭痛・発熱. 未施行. Ⅶ,Ⅷ. 31・男. 咽頭痛・右耳痛. 未施行. Ⅵ,Ⅶ,Ⅷ. 2016. 74・男. 左側頭部痛. 未施行. Ⅸ,Ⅹ. 2017. 70 代・男. 頭痛. 陽性. なし. 2018. 69・男. 咽頭痛. 陽性. Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ,Ⅺ. 左三. 神経第 1 枝領域の. 痛. の症例で運動麻痺や脳神経障害などの後遺症が残る.従. 脳炎に至った帯状疱疹症例を経験した.. って髄膜刺激症状や中枢神経症状が出現した場合に限ら.  ・帯状疱疹では,発症早期には咽頭などに所見が限局. ず,汎発性帯状疱疹や脳神経症状の増悪を認める場合は. していても,経過とともに髄膜炎や脳炎をきたす可能性. 髄液検査を複数回施行し,結果に応じて本症例のように. があるため,早期の治療開始と慎重な経過観察が必要で. 追加治療を行うか決めることが望ましい.. ある..  汎発性帯状疱疹および帯状疱疹性髄膜脳炎の治療には. 付   記. 抗ヘルペスウイルス薬およびステロイドが用いられるが, 標準投与量は確立されておらず各施設で異なる 9,11-21..  本論文について申告すべき利益相反を有しない.. 我々は汎発性帯状疱疹に対し,まず Aciclovir 1,500mg/. 文   献. 日を 7 日間投与したが,投与終了間際に帯状疱疹性髄. 1)Hunt JR : The symptom-complex of the acute posterior. 膜脳炎を呈した.そのため髄液検査所見を確認しなが. poliomyelitis of the geniculate, auditory, glossopharyngeal. ら,Aciclovir 1,500mg/日をさらに 14 日間投与継続し,. and pneumogastric ganglea. Arch Intern Med 1910;5:. methylprednisolone 1,000mg/日 3 日間投与した.追加. 631-675.. 投与の際には,特に高齢者の場合,腎機能障害やアシク. 2)宮崎雄生,田島康敬,須藤和昌,他:嗄声と嚥下困難にて. ロビル脳炎などの合併症に注意しつつ22,他科と連携し. 発症した Ramsay Hunt 症候群の 1 例―合併脳神経障害と. ながら治療継続を行う必要がある.. その伝播機序についての考察 ―.臨床神経学 2002;42:.  なお,本症例では海外渡航歴から鑑別診断として性感. 855-858. 3)村上信五,羽藤直人,堀内譲治,他:Ramsay Hunt 症候. 染症も疑い,初診時に HIV 感染,梅毒感染,クラミジ. 群の臨床像と予後に関する検討.日耳鼻 1996;99:1772-. ア感染,淋菌感染の検査を施行した.口腔内に白色粘膜. 1779.. 疹を呈する代表的な性感染症として梅毒が挙げられる. 梅毒は進行分類として 4 期に分けられ,第 2 期では. 4)室井昌彦,亀井民雄,安岡義人,他:頭部帯状疱疹感染症. 桃. の 7 例.日気食会報 1987;38:434-440.. や軟口蓋に butterfly appearance と呼ばれる左右対称性. 5)杉崎洋紀,井坂奈央,増田文子,他:水痘帯状疱疹ウイ. の隆起性の乳白斑が認められる23.性感染症では HIV の. ルスによる舌咽・迷走神経麻痺の 1 例.耳展 2012;55: 223-229.. 合併を念頭に置く必要があり,特に帯状疱疹は HIV 感. 6)千年俊一,梅野博仁,濱川幸世,他:水痘・帯状疱疹ウイ. 染の日和見疾患の 1 つであるとともに24,HIV 感染が汎 発性帯状疱疹の危険因子であることから. ルスによる一側性第Ⅸ,Ⅹ脳神経障害.耳鼻 2004:50:. 11, 12, 18. ,汎発性. 481-487.. 帯状疱疹や帯状疱疹性髄膜脳炎を疑う症例では HIV 感. 7)山脇建盛:水痘-帯状疱疹ウイルス脳炎・髄膜炎.神経内. 染有無の確認も必須と考える.. 科 2007;66:413-421. 8)能美 希,児玉 悟,川野利明,他:水痘帯状疱疹ウイル. 結   語. スによる多発脳神経障害をきたした 3 例.耳鼻臨床 2008; 101:577-585..  ・咽頭痛を初発とし汎発性帯状疱疹を呈した後,髄膜 115.

(6) 口 咽 科  33 : 2. 田宮亜希子,他 3 名. 9)小田桐恭子,濱田昌史,飯田政宏,他:汎発性帯状疱疹を. 重症化した帯状疱疹脳炎の 1 例.脳神経 2000;52:43-47.. 合併したハント症候群の 1 例.耳鼻 2011;57:7-12.. 19)山中 伸,南 裕隆,松本達始:汎発性帯状疱疹を合併し. 10)山本剛伸:帯状疱疹の診断 ― 典型例,非典型例 ―.MB. たハント症候群例.耳鼻臨床 2006;99:737-741.. Derma 2016;241:7-16.. 20)松尾梨沙,土井春樹,水元俊裕,他:舌咽神経麻痺によ. 11)津布久崇,福田 篤,松村道哉,他:汎発性帯状疱疹に. る嚥下障害をきたした汎発性帯状疱疹の 1 例.皮膚臨床. 伴い対側滑車神経麻痺を合併した Hunt 症候群の 1 例.. 2016;58:595-598.. Facial N Res Jpn 2013;33:175-177.. 21)葭本倫大,中村裕之,菊地一博:ウイルス性髄膜炎を来し. 12)溝上大輔,田中伸明,栗田昭宏,他:健常成人に発症し. た帯状疱疹の 1 例.市立釧路医誌 2017;29:33-36.. た汎発性帯状疱疹を伴うハント症候群の 1 例.Otol Jpn. 22)出雲明彦,酒井賢一郎,田村恭久:高齢者におけるアシク. 2012;22:53-57. 13). ロビル脳症の 1 例.日臨救急医会誌(JJSEM)2017;20:. 口由美子,森嶋隆文:帯状疱疹にみられる髄膜炎現象に. 763-768.. 関する研究.日皮会誌 1988;98:721-730.. 23)野村研一郎,金谷健史,唐崎玲子,他:咽頭梅毒症例.耳. 14)福士 堯,山内 晢:髄膜炎を併発した汎発性帯状疱疹の. 鼻臨床 2004;97:423-426.. 1 例.臨皮 1969;23:611-615.. 24)田沼順子,岡 慎一:海外渡航者関連疾患の対策 HIV 感. 15)久野一典,篠原正一,橋本英世,他:髄膜炎を併発した汎. 染および STD.臨牀と研究 2008;85:1229-1232.. 発性帯状疱疹の 1 症例.Pain Clinic 1988;9:216-220. 16)佐藤俊樹,近江良一,藤岡 良,他:髄膜炎を伴った汎発 性帯状疱疹の 1 例.中通病院医報 1992;33:41-43.. (令和元年 6 月 12 日 受理). 17)佐藤和子,佐藤晶論,福田 豊,他:汎発性帯状疱に髄膜. 別刷請求先:. 炎を合併した 9 歳女児の 1 例 ―PCR 法の診断および治療.  〒 162-8666 東京都新宿区河田町 8-1. 効果判定への応用―.小児感染免疫 1999;11:125-129.. 東京女子医科大学耳鼻咽喉科. 18)中根俊成,本田裕之,浜崎真二,他:健常成人に発症し,. 田宮亜希子. Ramsay-Hunt 症候群,汎発性帯状疱疹,急性膵炎を合併し. 116.

(7) 咽頭痛で初発し髄膜脳炎に至った帯状疱疹症例. 口 咽 科  33 : 2. A case of herpes zoster which onset was throat pain and subsequently developed meningoencephalitis Akiko Tamiya, Mayako Tachikawa, Yukie Yamamura and Manabu Nonaka Department of Otorhinolaryngology, Tokyo Woman s Medical University.   The varicella-zoster virus(VZV)can cause meningitis and lead to multiple central nerve involvement. A 69-year-old man complaining of sore throat and progressively worsening difficulty with oral intake for 6 days was referred to our hospital with a diagnosis of varicella zoster pharyngitis. A physical examination identified vesicular eruptions on the left auricle, external ear canal, and left side of the oropharynx, accompanied by scattered vesicles throughout his body surface. However, there was no evidence of cranial nerve involvement. Therefore, he was hospitalized in a depressurized room, and 1,500mg of Acicrobil was administered per day. By day 6 of hospitalization, most of the vesicles had scabbed over, but left vocal cord palsy manifested. On day 7 to 10 of hospitalization, palsy of cranial nerves Ⅶ, Ⅸ, Ⅹ, and Ⅺ appeared. The results of cerebrospinal fluid examination suggested that the patient suffered from VZV meningoencephalitis. Therefore, additional Acicrobil and Methylprednisolone therapy was administered. On day 41 of hospitalization, the patient was discharged on foot. However, paralysis of the left side of his facial nerve and accessory nerve remained. Key words : varicella zoster virus, generalized herpes zoster, varicella zoster virus meningoencephalitis. 117.

(8)

表 1 髄液検査の推移   入院 14 日目 入院 21 日目 入院 27 日目 髄液外観 微黄色 無色透明 無色透明混濁±―― キサント± ― ― 細胞数(個 /μl) 75.3 12.0 8.7 細胞数 L(個) 64.3 9.7 8.0 細胞数 N(個) 0.0 0.0 0.0 細胞数その他(個) 11.0 2.3 0.7 蛋白定量(mg/dl) 72 62 43 糖定量(mg/dl) 70 64 72 VZV IgG  8.80 7.20 4.53 VZV IgM 0.22 0.18 0.19図2 

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