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位相拡散フーリエ変換映像法の導入によるMR深層学習再構成の高画質化

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Academic year: 2021

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(1)MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY Vol. 39 No. 2 March 2021. 59. * JAMIT2020 大会査読付き論文(研究論文)*. 位相拡散フーリエ変換映像法の導入による MR 深層学習再構成の高画質化 植 松  駿 *1 伊藤 聡志 *1 要 旨. 深層学習を利用した圧縮センシングの画像再構成は,再構成時間の短縮化と画像の高画質化のいずれ にも有効な方法として注目されている.MRI に圧縮センシングを応用する場合において二次関数状の位 相変調を利用する位相拡散フーリエ変換映像法を使用すると,再構成像の画質を改善できることが報告 されている.そこで,本研究では,交互方向乗数法(ADMM)を CNN で実現した Generic-ADMM-Net を 使用し,深層学習による画像再構成を試みた.画像再構成シミュレーションを行った結果,従来のフー リエ変換を基本とする場合,および反復的再構成を使用した場合よりも,画像の精鋭度,構造保存性, コントラスト保存性のいずれも改善された画像が得られた.本研究により,位相拡散フーリエ映像法を 利用した圧縮センシングは深層学習再構成によっても高画質化が図られる可能性が示された. キーワード:圧縮センシング,位相拡散,交互方向乗数法(ADMM),深層学習,MRI Med Imag Tech 39 (2): 59-67, 2021. 1. はじめに 核磁気共鳴現象を利用した生体映像法(magnetic resonance imaging; MRI)では,緩和による 信号の回復を待つ時間を設けるため一般的に信 号の収集時間が長く,X 線 CT に比べ撮像に多く の時間を要する.撮像時間を短縮する手法とし て多くの方法が提案されているが,圧縮センシ ング(compressed sensing; CS) [1]を MRI に応用 する圧縮センシング MRI(CS-MRI) [2]は,数 理的に撮像時間短縮を可能とする新たな高速撮 像法であり,さまざまな研究と応用が試みられ ている. CS-MRI は,L1 ノ ル ム を 含 ん だ 評 価 関 数 の 最小化問題を解く形で画像再構成が行われる. 多くの解法が提案されているが,収束保証を 伴う変数分割アルゴリズムである交互方向乗 数 法(alternating direction method of multipliers; *1. 宇都宮大学大学院地域創生科学研究科工農総合科学 専攻情報電気電子システム工学プログラム〔〒3218585 宇都宮市陽東 7-1-2〕 e-mail: [email protected]. 投稿受付:2020 年 8 月 4 日 採録決定日:2021 年 2 月 17 日. ADMM) [3]は,L1 ノルム最小化問題の解法と して一般的に知られる反復的ソフト閾値法に比 べて良質な画像を再生できると報告されている [4].しかしながら,再構成の性能と時間に影響 を与える最適な再構成パラメーターを決めるの は必ずしも容易でなく,これらを経験的に与え る場合が多い. 近年,CS-MRI の再構成に深層学習を利用する 研究が注目されている.深層学習を用いた画像 再構成は,従来の反復的解法よりも高速,かつ 高画質であることが報告されており[5-8],圧 縮センシングの画像再構成への応用に期待が高 まっている. フーリエ変換映像法の信号(以降,FT 信号と 称する)を間引きした信号から良質な画像を再構 成する深層学習を利用した再構成法に,GenericADMM-Net[6]がある.この方法は,ADMM の 反復処理の各手順を畳み込みニューラルネット ワーク(CNN)のレイヤーで構成する.GenericADMM-Net は反復再構成の手順をモデルとして いるが,各反復ステップにおける重みや係数を 学習により調整できる柔軟な構造となってい る.そのため,ADMM の反復再構成に比べて高 品質かつ高速な画像再構成が期待できる..

(2) 60. Med Imag Tech Vol. 39 No. 2 March 2021. 近年,汎用のフーリエ変換映像法に非線形勾 配磁界を導入すると,フーリエ変換映像法にな い性質をもつことが報告されている[9-11].一 例として,位相拡散フーリエ変換映像法[12, 13]の信号は,被写体のフーリエ変換空間の信 号であるが,一方で被写体関数の回折波に似た 信号式であることから画像空間に位置するとみ なすことができ,この性質に注目した研究が増 えつつある.CS-MRI の高画質化の一手法とし て,MRI の撮像法として汎用のフーリエ変換映 像法に 2 次の位相変調項を追加した位相拡散 フーリエ変換映像法の利用がある.位相拡散 フーリエ変換映像法に含まれる二次の位相変調 は信号間引きを行った場合に再生像の誤差を拡 散する効果があり,圧縮センシングに利用する とフーリエ変換映像法よりも高画質な再構成像 が得られることが報告されている[14, 15].ま た,位相拡散フーリエ変換映像法では,等間隔 で間引かれた信号から画像再構成を行う方法も 報告されている[16].本研究では,位相拡散 フーリエ変換映像法の信号を Generic-ADMMNet により深層学習再構成し,再構成像のさら なる画質改善について検討を行う.汎用の FT 信 号を入力とする深層学習再構成と比較を行い, 提案法の有用性を検討することを目的とする. 2. Generic-ADMM-Net 1)交互方向乗数法(ADMM) 圧縮センシングとは,信号がスパース性を満 たすとき,標本化定理を満たさない少数の信号 から元の信号を再構成する技術である.この手 法を MRI に応用すると,FT 信号を間引くことに より,撮像時間を短縮することができる.求め たい画像を x,間引き信号を y,間引きを行う関 数を U,フーリエ変換を F,スパース性を促す 関数を Ψ とするとき,画像再構成は式(1)の最 適化問題を解くことにより行われる.ここで,𝜆 は正則化パラメーターである. 1 argmin� ∥UFx − y ∥ 22 + 𝜆 ∥ Ψx ∥1� x 2. (1). ADMM は,2 つの関数を含む最適化問題に対 して新たな変数と制約条件を加え,拡張ラグラ ンジュ法を利用する方法である[3].ADMM で は式 (1)において新たな変数 z と制約条件を加. えた式(2) の最適化問題を解く.ここで,𝑔(⋅) は L1 ノルムをより一般化した正則化関数である.. 1 argmin� ∥UFx − y ∥ 22 + ∑L 𝜆l𝑔(Ψlz)� l=1 2 x,z (2) s. t. z = x …. 式 (2)に拡張ラグランジュ法を適用すると,式 (3) が得られる.. 1   Laug(x, z, h) = ∥UFx − y ∥ 22 + ∑L 𝜆l𝑔(Ψlz) l=1 2 (3) 𝜇 T(x − +(h) z)+ ∥ x − z ∥ 22 2. ここで,𝜇 を罰金項の係数とすると,新たに導 入した変数 z と元の変数 x,およびラグランジュ 未定乗数 h は式 (4)のように更新される. x(n) = argmin Laug(x(n−1), z(n−1), h(n−1)). z(n) = argmin Laug(x(n), z(n−1), h(n−1)) x. (n). h. =h. z (n−1). + 𝜇(x. (n). −z ) (n). (4). ここで,n は反復回数を示す.このように変数を 分割して最適化を行う方法が ADMM である. 2)Generic-ADMM-Net の構造 本研究で使用する Generic-ADMM-Net[6]は 上記に示した ADMM から構成される.ADMM の式 (4)から式 (5) が導かれる.ここで,𝜂 は更新 = 係数,𝛽 h/𝜇 としている. X (n): x(n) = F T(U TU +𝜇I)−1 {U Ty +𝜇F(z(n−1) − 𝛽(n−1))} (n) Z : z(n) = S˜(x(n) + 𝛽(n−1)). M (n): 𝛽(n) = 𝛽(n−1) + 𝜂(x(n) − z(n)). (5). このとき,Z (n) に関する式に含まれる S˜(⋅) は,Ψl, 𝜆l で決められる非線形演算子である.この式を 近似的に解く手法の一つとして,式(6) に示す最 (n) 急降下法を用いる.ここで,k は Z 式内で行わ れる反復回数に相当し,lr は最急降下法のステッ プ幅,𝜌1 = 1 − lr𝜇,𝜌2 = lr𝜇,𝜆˜l = lr𝜇,H(⋅) は勾配 に対する非線形変換を示す.また,k = 0 におい ては z(n,0) = x(n) + 𝛽(n−1) とする. z(n, k) = z(n, k−1) − lr{𝜇z(n, k−1) − 𝜇(x(n) + 𝛽(n−1)) + ∑l=1𝜆lΨTl H(Ψl z(n,k−1))} L. = 𝜌1z(n, k−1) + 𝜌2(x(n) + 𝛽(n−1)) − ∑l=1𝜆˜lΨTl H(Ψl z(n, k−1)) L. (6).

(3) 61. Med Imag Tech Vol. 39 No. 2 March 2021. 図 2 位相拡散係数 h と信号拡がりの関係.. 図 1 Generic-ADMM-Net の構造.. 上記の式(6)は c1(n,k),c2(n,k),h(n,k),畳み込み演算 子 D を用いて以下の式で表される. C1(n,k): c1(n,k) = Dz(n,k−1). H (n,k): h(n,k) = H(c1(n, k)). C2(n,k): c2(n,k) = Dh(n,k). (7). A(n,k): z(n,k) = 𝜌1z(n,k−1) + 𝜌2(x(n)+ 𝛽(n−1))− c2(n,k). Generic-ADMM-Net の 構 造 を 図 1 に 示 す. ADMM の n 回目の反復は n 番目のステージに 対応し,そのステージは再構成層(X (n)),Z (n) 層,乗数更新層(M (n))から成る層で構成され る.さらに Z (n) 層は,加算層(A(n,k)),畳み込み 層(C1(n,k), C2(n,k)),非線形変換層(H (n,k))から成 る層により構成されており,式(7)は図 1 の紫部 に対応する.先行研究[6]では,この GenericADMM-Net の入力を間引いた FT 信号とし,出 力を再構成された MR 画像としていた.そこで 本研究では,位相拡散フーリエ変換映像法の信 号を入力とし,出力を再構成 MR 画像とした場 合の画像再構成について検討を行った. 3. 位相拡散フーリエ変換映像法 位相拡散フーリエ映像変換法(phase scrambling Fourier transform imaging; PSFT)は,位相 エンコード方向勾配磁界に同期して二次関数状 の磁界を一定期間印加するか,あるいは線形勾 配磁界を印加のもと周波数変調された RF(radio. frequency)励起パルスを照射するなどの方法に より,被写体内のスピンの位相を規則的に拡散 してからフーリエ変換映像法の撮像シーケンス を実行する手法である[12, 13].𝜌(x, y) を xy 平 面のスピン密度分布,b を二次関数状磁界の係 数,𝜏 をその印加時間,𝛾 を核磁気回転比とす ると,PSFT 信号は式 (8)で与えられる.ここで kx = 𝛾𝑔xtx,ky = 𝛾𝑔yty としており,𝑔x と 𝑔y はそれ ぞれ x 方向と y 方向の線形勾配磁界の係数,tx を 読み出し用勾配磁界 𝑔x の反転時間を考慮しな い印加時間,ty を 𝑔y の印加時間とする. v(kx, ky). ∞. =�. {𝜌(x, y)e−j𝛾b(x. }e−j(kx x+ky y)dxdy. 2 + 2). −∞. y. (8). PSFT 信号からの画像再構成には,式(8)の信号 を逆フーリエ変換した後,与えた二次の位相変 調項の逆位相を乗じればよい. 𝜌(x, y) = e j𝛾b𝜏(x. F −1v(k x, k y). 2 + 2). y. (9). 式(8) と (9)に含まれる撮像パラメーター 𝛾b𝜏 の 無次元化を考える.簡単化のため,x 方向で考 え, デ ー タ 数 を N, 画 素 幅 を ∆x と す る と,x 方向の画像空間全体で標本化定理を満足する値 (𝛾b𝜏 とする)は 𝜋/(N∆x2) となる[16].この 𝛾b𝜏 と新たに導入する位相拡散係数 h により, 𝛾b𝜏 は h𝛾b𝜏 と表現することができる.なお, ∆y ≠∆x の場合や x と y 方向でデータ数が異なる 場合,𝛾b𝜏 は y 方向で異なる値になる. 256 点のデータ列の中央に 200 点の幅をもつ 矩形密度分布を置き,位相拡散係数 h を 0.2, 0.5,1.0 とした場合の PSFT 信号の強度分布を図 2 に示す.h が大きいほど信号が広い領域に分布 する形になる.ここで,h が 0 の場合はフーリエ 変換映像法に相当する. 汎用的なフーリエ変換映像法において信号を ランダムに間引き収集すると,この間引きによ.

(4) 62. Med Imag Tech Vol. 39 No. 2 March 2021. り生じるアーティファクトはランダム雑音状に なり,除去しやすくなる.一方 PSFT 法では二次 関数状の位相変調と再構成における復調操作に より,信号間引きに伴う誤差は画像空間と信号 空間で拡散する.このため,PSFT 法では信号空 間の間引きは必ずしもランダムである必要はな くなる[16]. 4. PSFT 信号を入力とした Generic-ADMMNet PSFT 信 号 を 入 力 と す る Generic-ADMM-Net を構築した.間引きされた PSFT 信号を入力と した場合の Generic-ADMM-Net の X (n) 層の処理 を式 (10)に変更する. X ′(n): x(n) = QT(U TU +𝜇I)−1. {U Ts +𝜇Q(z(n−1) − 𝛽(n−1))}. (10). ここで,s を間引きされた PSFT 信号,Q を画像 空間から PSFT 信号空間への変換(式(8)),QT をその逆変換(式(9))とする.この式(10)は, 従来の X (n) 層のフーリエ変換 F を Q,逆フー リエ変換 F T を QT,間引き FT 信号 y を間引き PSFT 信号 s に変更したものとなる.また,この 式は順伝播の処理変更であるため,逆伝播にお いても同様の処理変更を行う.本研究では,上 記のように処理を変更したネットワークを用い て,間引きされた PSFT 信号を入力とした場合 の深層学習再構成について検討した. 5. 実験方法 1)実験条件と画質評価法 Generic-ADMM-Net の学習条件は,エポック 数を 300,ステージ数 n を 10,反復回数 k を 1, 畳み込みフィルターのサイズと数をそれぞれ 5 × 5,128 とし,パラメーター更新手法を Adam [17]とした.一般的に MR 画像は主磁界の不均 一性や信号受信系および生体の磁化率の相違な どにより位相を含んだ複素画像となる.撮像部 位や撮像法により空間的な位相変化量は異なる が,位相変化量が小さく,高い精度で位相を推 定できる場合は,位相補正処理により近似的に 実関数画像とみなすことができる.そこで本研 究では,位相情報をもたない実関数画像を想定 できる場合の画像再構成シミュレーションを実. 表 1 計算機環境. CPU. Intel Core i7-8700(3.2 GHz). GPU. NVIDIA GeForce GTX1070Ti. RAM. 32 GB(DDR4-2400). Software. MATLAB R2017b CUDA Toolkit 9.0 / cuDNN 7.0.5. 施した.学習とテストに使用した MR 画像は, 一般的に公開され,使用が許可されている IXI Dataset[18]に含まれる,256 × 256 画素の頭部 の MR 画像を用いた.IXI Dataset は,Philips 社製 (1.5T,3T),および GE 社製(1.5T)の MRI を用 い,承諾を得て撮像された健常ボランティア画 像から構成される.本研究では,81 名の頭部 T2 強調像を使用した.Generic-ADMM-Net に入力す る信号は,位相を含まない二次元画像をフーリ エ変換,あるいは PSFT 信号への変換により二 次元複素信号を生成し,信号収集点分布に従い 計算機内で間引き処理を行った.間引き処理で は,臨床で使用されることの多いカルテシアン 座標系を用いた.再構成像は位相を含まないの で位相補正処理は行わず,実関数画像を出力像 として評価を行った.本研究で使用した計算機 環境を表 1 に示す.Generic-ADMM-Net の学習に は GPU を用いた.PSFT 信号における 𝛾b𝜏 の値 は,N = 256,∆x = 0.1 cm とするとき,1.227 rad/ cm2 となる. 再構成像の定量評価には,ピーク信号対雑音 比(peak signal-to-noise ratio; PSNR),および両画 像間で対応する局所領域内での輝度やコントラ スト,構造の相似性を評価する SSIM(structural similarity index) [19]を使用した.PSNR は式 (11) により計算される.ここで,𝜌max を再構成像の 最大値,MSE を平均二乗誤差とする. PSNR = 20 log10. 𝜌max  MSE. (11). SSIM は式(12) により計算される.ここで,𝜇x, 𝜇y を画像 x,y の注目点近傍の局所平均,𝜎x,𝜎y を局所分散,𝜎xy を局所共分散とする.係数 C1, C2 は,C1 = (0.01𝜌max)2,C2 = (0.03𝜌max)2 と し た [19]. SSIM =. (2𝜇x𝜇y + C1)(2𝜎xy + C2)  (12) (𝜇x2 + 𝜇y2 + C1)(𝜎x2 + 𝜎y2 + C2).

(5) 63. Med Imag Tech Vol. 39 No. 2 March 2021. (a) 図 3 信号収集点分布(信号収集量:33%,中央 30 点を連続的に収集) .. 式 (11)と(12)の計算において,雑音が支配的な 背景領域を計算から除くため,およその近似と して 𝜌max の 8%以上を像領域とし,計算を行った. 2)位相拡散係数 h の検討 図 3 の信号収集点分布を用い,位相拡散係数 h と PSNR および SSIM の関係について検討を 行った.ここで,信号の間引き法は信号収集比 率を 33%としたランダム間引きとし,信号空間 の中央 30 点は連続的に収集した.25 種類の MR 画像を学習に用い,ミニバッチサイズを 5 とし, h を 0.1 か ら 1.0 ま で 0.1 間 隔 で 再 構 成 実 験 を 行った.テストには,学習で使用した画像と重 複のない 20 種類の MR 画像を使用した.なお, 本研究で行った再構成実験では,すべて同じ 20 種類の MR 画像を共通して使用した. 3)撮像法と再構成法による比較 撮像法の比較として,PSFT 法と汎用法であ るフーリエ変換映像法を使用する場合とで得ら れた PSNR と SSIM の値を比較した.学習には 100 種類の MR 画像を使用し,ミニバッチサイ ズは 20 とした.信号収集点分布は図 3 のものを 使用し,位相拡散係数 h は 5.2 節の検討で良好 な結果が得られた 0.9 を使用した. 画像再構成法の比較では,深層学習を利用 しない従来型の方法として ADMM を利用する C-SALSA-B[20]を利用した.ここで,C-SALSA-B で は ス パ ー ス 化 関 数 に ウ ェ ー ブ レ ッ ト 変換(Daubechies,N = 3)を使用した(以降, C-SALSA-B を反復再構成と称する).また,画 像の構造保存性を評価するために,再構成像に おける輝度の変化が大きい領域 A と変化が小さ い領域 B を定め,各領域の PSNR と SSIM を比 較した.. (b). 図 4 中央を連続的に収集しない場合の信号収集 点分布(信号収集量:33%).(a)ランダム間引き, (b)等間隔間引き.. 図 5 図 3 の信号収集点分布を用いた場合の位相 拡散係数 h と PSNR,SSIM の関係.. 4)ランダム間引きと等間隔間引きの比較 信号空間全体を一様に間引いた信号を使用し た画像再構成実験を実施した.図 4 は信号収集 率を 33%とし,信号空間の中央部を連続的に収 集せずに, (a)はランダム間引き, (b)は等間隔 間引きを行った信号収集点分布である.学習画 像は前節と同じ 100 種類を使用した.まず,そ れぞれの間引き法で位相拡散係数 h と PSNR お よび SSIM の関係を調べた.次に,再構成像に おいて輝度の変化が小さい領域 C と変化が大き い領域 D の PSNR と SSIM を求め,比較した. 6. 実験結果 1)位相拡散係数の検討 位相拡散係数 h と PSNR および SSIM の関係 を図 5 に示す.エラーバーはそれぞれの値の標 準偏差である.学習に必要な時間は,各条件 で約 7.5 時間であった.位相拡散係数 h が大き くなるほど PSNR と SSIM は高くなる傾向があ り,h を 0.9 としたときに PSNR と SSIM はとも に最大となった.これは,信号収集量を 25%と したときも同様であった..

(6) 64. Med Imag Tech Vol. 39 No. 2 March 2021. 表 2 図 3 の信号収集点分布を用いた場合の PSNR と SSIM. PSFT-Net. 39.51±1.19. PSNR [dB]. 0.9936±0.0032. FT-Net. 32.48±1.58. 0.9718±0.0100. PSFT- 反復再構成. 34.59±1.12. 0.9815±0.0080. 再構成法. SSIM. 2)撮像法と再構成法による比較 撮像法と再構成法による PSNR と SSIM の比 較を表 2 に示す.PSFT 信号を入力とした GenericADMM-Net において最も高い PSNR と SSIM が 得られた.図 6 に撮像法と再構成法別に得られ た再構成像を示す.画像(e)∼(h)は,(a)∼(d) に対応する領域 B の拡大像である.輝度の変化 をわかりやすくするために,グレースケール画 像をカラー画像に変換して示した.反復再構成 による再構成像(d)にはアーティファクトの残 留がみられた.撮像法による比較では,FT 信号 に比べて PSFT 信号を入力とした場合の方が, 赤枠で示す部分においてコントラストの保存性 に優れていた.また,図 6(a)の領域 A と領域 B の PSNR と SSIM を表 3 に示す.いずれの局 所領域でも PSFT 信号を入力とした Generic-ADMM-Net において高い PSNR と SSIM が得られ た. 学習に要した時間は,FT 信号を入力した場合 に約 29 時間,PSFT 信号を入力した場合に約 30 時間であった.また,画像 1 枚当たりの再構成 時間は,FT 信号を入力として CPU と GPU を使 用する場合に,それぞれ 2.77 s と 0.98 s であっ た.PSFT 信号を入力とする場合は,それぞれ 2.81 s と 1.02 s であった.反復再構成は CPU 利 用で 10.66 s であった. 3)ランダム間引きと等間隔間引きの比較 位相拡散係数 h と PSNR および SSIM の関係 を図 7 に示す.ランダム間引きを採用した場合 は h を 1.0,等間隔間引きを採用した場合は 0.5 としたときに最も高い PSNR と SSIM が得られ た.また,再構成像の PSNR と SSIM を表 4 に 示す.この結果より,PSFT 信号では,図 3 よ りも図 4 の信号収集点分布を用いる場合の方が 高い PSNR と SSIM を得ることが示された.図 4 の信号の間引き法による比較から,ランダム 間引きよりも等間隔間引きを用いたほうが高 い PSNR と SSIM が得られた.図 8 にランダム. 図 6 図 3 の信号収集点分布を用いた場合の再構 成像の比較:(a)目標画像, (b)PSFT 信号を入力と した Generic-ADMM-Net, (c)FT 信号を入力とした Generic-ADMM-Net, (d)PSFT 信号を入力とした反 復再構成, (e)∼(h)それぞれ(a)∼(d)の領域 B 拡 大像.. 表 3 領域 A,B の PSNR と SSIM.表中は[(入力信号)(再構成手法)]と示している.ここで「Net」は GenericADMM-Net の略である. 再構成法 PSFT-Net 領域 A. 領域 B. PSNR [dB] 37.27. 0.9837. SSIM. FT-Net. 29.86. 0.9494. PSFT-反復再構成. 32.08. 0.9569. PSFT-Net. 39.84. 0.9874. FT-Net. 29.80. 0.8822. PSFT-反復再構成. 32.17. 0.9391.

(7) 65. Med Imag Tech Vol. 39 No. 2 March 2021. (a). (b) 図 7 図 4 の信号収集点分布を用いた場合の位相 拡散係数 h と PSNR,SSIM の関係.(a)PSNR,(b) SSIM. 表 4 図 4 の信号収集点分布を用いた場合の PSNR と SSIM. ランダム間引き. PSNR [dB]. 41.45±1.55. 0.9953±0.0027. 等間隔間引き. 44.74±1.94. 0.9978±0.0015. 信号収集点分布. SSIM. 図 8 図 4 の信号収集点分布を用いた場合の再構 成像の比較:(a)目標画像,(b)ランダム間引き, (c)等間隔間引き,(d)∼( f )それぞれ(a)∼(c)の 領域 C 拡大像. 表 5 領域 C, D の PSNR と SSIM.. 間引き,等間隔間引きによる再構成像を示す. (d) ∼( f )には領域 C の拡大画像をカラー画像に 変換して示した.ランダム間引きに比べ,等間 隔間引きを使用したほうが赤枠で示した部分の コントラストの表現が良好であった.また,図 8(a)の領域 C と領域 D の PSNR と SSIM を表 5 に示す.いずれの局所領域でも,等間隔間引き を用いたほうが高い PSNR と SSIM を示した. 7. 考 察 図 5 より,PSNR と SSIM はいずれも位相拡 散係数 h の値を大きくするほど高くなる傾向 があった.また,表 2 より,FT 信号と比べて PSFT 信号を使用する場合のほうが高い PSNR と SSIM が得られ,かつ,標準偏差のばらつき が小さかった.PSFT 信号式に含まれる二次の位 相変調は,間引き収集された信号から反復的に. ランダム間引き. PSNR [dB] 38.93. 0.9574 0.9792. 信号収集点分布 領域 C 領域 D. SSIM. 等間隔間引き. 42.62. ランダム間引き. 42.63. 0.9871. 等間隔間引き. 45.41. 0.9918. 画像再構成を行う場合に誤差を拡散する効果が あるが,これは反復的な再構成をネットワーク 化した Generic-ADMM-Net においても同様に作 用したため,再構成像の品質を改善できたと考 える. 信号の間引き収集法として信号空間の中央を 連続的に収集する図 3 の方法と連続収集を行わ ない図 4 の方法を比較すると,表 2 と表 4 から, 連続的な信号収集領域をもたない方法のほうが 高い PSNR と SSIM を得た.一般的に,FT 信号 は信号エネルギーが信号空間の中央部に集中す.

(8) 66. Med Imag Tech Vol. 39 No. 2 March 2021. る性質があるが,PSFT 信号は図 2 に示すよう に,h の値を大きくすると信号空間の広い領域に 分布する形となる.よって,Generic-ADMM-Net においても,広い領域に分布した PSFT 信号を 一様に間引いたほうが信号の高周波成分を多く 収集することになるために,高画質化されたも のと考える. 図 4 に示すランダム間引きと等間隔間引きの 比較では,表 4 に示すように等間隔間引きを使 用したほうが高い PSNR と SSIM が得られた. ランダム間引きでは信号の収集点が乱数によっ て決定されるため,収集点の間隔が大きくなり 信号の収集密度が局所的に低下する領域が生じ ることがあるが,等間隔間引きでは信号空間の 低域から高域まで等密度で信号を収集できるの で,再構成に関わる誤差を軽減できたと考える. 本法は被写体が実関数であるという拘束条件 を使用できる前提で検討を行った.Generic-ADMM-Net は,原理的に位相変化を含む画像の画 像再構成も可能である.この場合は,実関数画 像を使用した場合と比べてアーティファクト除 去性能に変化が生じることが考えられる.位相 画像の再構成についてはさらなる実験が必要で あり,今後の課題としたい. 8. まとめ 位相拡散フーリエ変換映像法を利用した Generic-ADMM-Net による深層学習再構成につ いて,フーリエ変換映像法との比較,および信 号収集法の検討を行った.被写体が実関数であ るという拘束条件を使用できる場合の結果とし て汎用のフーリエ変換映像法による信号を入力 する方法に比べ,画質の精鋭度,構造保存性, コントラスト保存性の点でも優れる結果となっ た.また,ランダム間引きに比べ等間隔間引き を使用したほうが高い PSNR と SSIM が得られ ることが示された.以上から,位相拡散フーリ エ変換映像法を利用した圧縮センシングの MRI 応用は,深層学習再構成を適用した場合でも高 画質化が図られることが示された. 謝 辞. 本 研 究 の 一 部 は, 科 学 研 究 費 助 成 金 (19K04423),および柏森情報科学振興財団の助 成により実施された.また,本研究を遂行する. 際に利用した IXI Dataset を提供する Information eXtraction from Images プロジェクトに感謝の意 を表します. 利益相反の有無. なし. 文 献 [ 1 ] Donoho DL: Compressed sensing. IEEE Trans Inform Theor 52: 1289-1306, 2006 [ 2 ] Lustig M, Donoho DL, Santos JM, et al.: Compressed sensing MRI. IEEE Signal Process Mag 25: 72-82, 2008 [ 3 ] Glowinski R, Marrocco A: Sur l approximation, par éléments finis d ordre un, et la résolution, par pénalisation-dualité, d une classe de problèms de Dirichlet non linéares. ESAIM: Math Model Numer Anal 9: 41-76, 1975 [ 4 ] Wang Y, Yin W, Zeng J: Global convergence of ADMM in nonconvex nonsmooth optimization. arXiv: 1511.06324, 2015 [ 5 ] Wang S, Su Z, Ying L, et al.: Accelerating magnetic resonance imaging via deep learning. IEEE 13th International Symposium on Biomedical Imaging, Prague, 2016, pp. 514-517 [ 6 ] Yang Y, Sun J, Li H, et al.: ADMM-net: A deep learning approach for compressive sensing MRI. arXiv: 1705.06869, 2017 [ 7 ] Han YS, Lee D, Yoo J, et al.: Accelerated projection reconstruction MR imaging using deep residual learning. In proceedings of 25th Annual Meeting of International Society for Magnetic Resonance in Medicine, Hawaii, 2017, O690 [ 8 ] Yang Y, Sun J, Li H, et al.: ADMM-CSNet: A deep learning approach for image compressive sensing. IEEE Trans Pattern Anal Mach Intell 42: 512-538, 2018 [ 9 ] Hennig J, Welz AM, Schultz G, et al.: Parallel imaging in non-bijective, curvilinear magnetic field gradients: A concept study. MAGMA 21: 5-14, 2008 [10] Ito S, Yamada Y: Alias-free image reconstruction using Fresnel transform in the phase-scrambling Fourier imaging technique. Magn Reson Med 60: 422-430, 2008 [11] Stockmann JP, Ciris PA, Galiana G, et al.: O-space imaging: Highly efficient parallel imaging using secondorder nonlinear fields as encoding gradients with no phase encoding. Magn Reson Med 64: 447-456, 2010 [12] Maudsley AA: Dynamic range improvement in NMR imaging using phase scrambling. J Magn Reson 76: 287305, 1988 [13] Wedeen VJ, Chao YS, Ackerman JL: Dynamic range compression in MRI by means of a nonlinear gradient pulse. Magn Reson Med 6: 287-295, 1988 [14] Ito S, Yasaka S, Yamada Y: MR image reconstruction of a regularly undersampled signal using quadratic phase scrambling. In proceedings of IEEE International Conference on Image Processing(ICIP2015) , Quebec City,.

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参照

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