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生活科における保幼小連携のあり方と教師の力量形成との関連性の考察 : 共に学び・共に育つ子どもと教師

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生活科における保幼小連携のあり方と教師の力量形成との関連性の考察

∼共に学び・共に育つ子どもと教師∼

Collaboration Between Nursery Schools, Kindergartens, and Elementary Schools in Life

Environment Studies & Its Relationship with Teacher Competence Building

∼How Children and Teachers Learn and Grow Together∼

藤 池 安 代

・山 田 希代子

** 要 旨 学校教育における生活科の果たす役割の中に保育園・幼稚園や地域との連携を核にした教育活 動が強く求められている。生活科カリキュラムを作成する上で保幼小連携を反映したカリキュラ ムの具体例を提示するとともに授業構築・実践を通して教師の授業力向上を図る手だてを明らか にしていきたい。保幼小の連携のあり方とその効果については1つの授業実践を通して分析を行 い、幼児・児童・教師の変容から教員としての力量形成のあり方について考察を加えた。 キーワード:生活科教育、保幼小の連携、教師の力量形成、授業環境設定

はじめに

生活科の学習活動で重要視されている「保幼小の連携」については、多くの研究実践が報告 されている。一般的には、担当者の打ち合わせ等の煩雑さがクローズアップされ、子どもの学 びの成長やその効果に目を向けていない教師も多くいる。どこの学校でも無理なく交流が出 来、双方の子どもたちにとっても確かな多くの学びがあることを示すと共に教師の授業力向上 に大きな効果を生み出すことを立証することにより、「保幼小の連携」がよりスムーズにしか も教師の授業力向上の方策が明らかになると考える。

.保幼小連携の果たす役割と必要性とその意義

新学習指導要領(平成32年度実施)の改訂にあたって、中央教育審議会答申で「社会に開 かれた教育課程」の実現を目指し、学習指導要領等が学校、家庭、地域の関係者が幅広く共有 し活用できる「学びの地図」としての役割を果たすことが出来るように、次の6点が設定され その枠組みを改善すると共に、各学校において教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好環境 *神戸親和女子大学 発達教育学部 児童教育学科 教授 **元神戸市立北須磨小学校校長

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を生み出す「カリキュラム・マネジメント」の実現を目指すことが求められた。 ①「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力)  ②「何を学ぶか」(各教科等を学ぶ意義と、教科間等・学校段階間のつながりを踏まえた教 育課程の編成)  ③「どのように学ぶか」(各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実) ④「子供一人一人の発達をどのように支援するか」(子供の発達を踏まえた指導) ⑤「何が身に付いたか」(学習評価の充実) ⑥「実施するために何が必要か」(学習指導要領を実現するために必要な方策)1) また、生活科改訂の趣旨において幼児教育との連携については、 ・幼児期の教育において育成された資質・能力を存分に発揮し、各教科等で期待される資質・ 能力を育成する低学年教育として滑らかに連続、発展させること。幼児期に育成された資質・ 能力と小学校低学年で育成する資質・能力とのつながりを明確にし、そこでの生活科の役割 を考える必要がある。 ・幼児期の教育との連携や接続を意識したスタートカリキュラムについて、生活科固有の課題 としてではなく、教育課程全体を視野に入れた取り組みとすること。 とある。 今回の改訂で、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」がまとめられ、幼児期の教育と小 学校教育との円滑な接続を図るための手掛かりが示されている。小学校へ入学した児童にとっ て生活科は、低学年における教育全体の充実を図る上で重視すべき方向を表しており、教科等 間の横のつながりと、幼児期からの発達の段階に応じた縦のつながりとの「結節点」であるこ とを意識することが大切であるとしている。 幼児教育 ↓ 生活科(結節点) ↓↑ 教科等 スタートカリキュラムは、幼児期の教育と小学校教育を円滑に接続する重要な役割(結節点) を担っている。 低学年の児童は、多様な人々と実際に触れ合い一緒に活動する具体的な活動や体験をとおし て、相手意識が生まれ、一緒に活動することの良さに気付いていく。幼児期の教育から小学校 への円滑な接続を図る一環として、幼児としての生活を振り返り児童が自らの成長を実感でき るよう、低学年の児童が幼児と一緒に学習活動を行うことなどに積極的に取り組むことが求め られている。

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その際、教師の相互交流を通じて、指導内容や指導方法についても相互理解を深める重要性 が指摘されていることからも、改めて近隣の幼稚園や保育所など、幼児期の教育に携わる人々 と交流し、協力体制づくりに努める必要がある。加えて、幼児と児童との交流が互恵的、継続 的、計画的に行われるよう、相互に年間計画に位置づけたり、事前や事後の打ち合わせを行っ たりすることが大切である。交流の学習では、幼児期の教育に携わる人々と指導方針を確認し 役割を分担し協力して指導に当たることが求められる2) このように、学校内外の人々の協力体制を整えることは、教育課程の適切な管理運営に不可 欠なものとなる。

.研究設定と授業構築

小学校教育の課題の一つとして、幼児教育での育ちを生かしきれていないことがあげられ る。園児は保育園・幼稚園でできることをふやし、自分の成長に自信を持ち、年長者として年 少者の世話もして小学校に入学している。しかし、小学校では、援助が必要な存在として受け 入れられるきらいが見られる。 小学校に入学すると、自力登校が始まり、慣れていた保育園・幼稚園・先生や友達から離れ る。生活も変わり、分からないことや不安なことも生じ、不安定になりがちである。そんな新 しい環境の中で1年生がスタートする。そこで、幼小連携の実践事例を取り上げ、分析し、幼 小連携が園児・児童や教師にどのような影響を与えたのか考察していく。豊かな幼児教育を受 けてきた子どもたちが小学校教育への橋渡しの中で安定したスタートが切れるように、また、 多くの経験と学びを持った子どもたちの基礎的潜在能力を生かした学校教育が行われることを めざして、研究を進めてきた。 本実践では、公立小学校とその校区にある私立幼稚園との連携実践を示している。 少子高齢化の波は押し寄せ、出生率の低下に伴い幼児数も減少し、公立幼稚園が減少する中 で、今後は私立幼稚園・保育園や認定子ども園との連携が求められている。本実践における私 立幼稚園との連携のあり方を探ることも、幼小連携の可能性を広げるものであると考える。 (1) 小学校の年間カリキュラムの作成とその位置づけ 幼小連携は目的ではない。接続校が子どもを主軸において連携することで子どもの健やかで 連続性のある学び・成長を滑らかに継続させることをねらいとしている。そのために小学校の 教育活動における位置づけを明確にしておくことが前提となる。 当該小学校では、豊かな校内・校区の自然・社会・人的環境を生かし、時間の流れを縦軸に、 空間の広がりを横軸として、6年間をかけて立体的に地域がつないできた「命」を学ぶことを テーマとしている。 第1学年は、その入り口となる。生活科を核として学校内の自然に親しみ、かかわり、それ

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らを学習の対象として学んでいく。同時に、学級→学年→異学年→学校の教師・職員→公園で 出会う人→地域に暮らす人へと認識を広げ、その中の一つとして近隣幼稚園の園児との学習活 動が位置づけられている。 具体的には、年間計画の「ともだちいっぱい あきいっぱい」の単元で、「みつけたあき」 を園児に紹介し、「ふゆを たのしもう」で地域の高齢者に教わった伝統的な遊びを習得し、 園児に教えにいく。学年の最終単元「だいすき北須磨小学校」で1年間見つけてきた学校の良 いところを園児に紹介する。 年間7単元のうち、3単元に園児との交流学習を組み入れ、さらに、それぞれ表現の場・表 現の相手として、位置づけている。 このことは、以下の学びを作り出す構想となっている。 学 び を 作 り 出 す 構 想 ・表現の活動の相手を設定することで、児童にとって学習の必然性が生まれる。 ・年下の幼児への表現が設定されることで、自身への自負心や学習の意欲が高まる。 ・ 表現すなわち、気付きへの振り返りの学習過程を学習者の中で重きがおかれることで自己 の気付きや思考を深めることを促すことができる。 ・ 「表現」の基本となる、正確であること・分かりやすいこと・伝わりやすいことが求めら れ、表現力の基礎が身につくことが期待できる。 ・相手に合わせて表現する表現力が必要とされる。 ・ 三つの単元で園児に表現することが繰り返されることにより、園児や表現への理解も深ま り一回目でうまくできなかったことへの再挑戦が可能となり、学びのスパイラルが構成さ れる。 ・ 学級、学年の友達、園児とかかわることで、コミュニケーション能力の高まりも期待される。 ・ 友達や園児と一緒に活動するよさに気付く。 ・ 単元の振り返りで、幼稚園児も視野に入れた自分の成長に気付く。

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[年間カリキュラム 参考例]

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(2) つけたい力の明確化 ① 単元づくり 単元「ともだちいっぱい あきいっぱい」(全17時間)内 他教科との関連(国語1時間、 図工4時間、学級会1時間) では、児童の実態をもとに、以下のようにつけたい力を設定 している。 〔実態〕 ・好奇心にあふれ身近な動植物に興味を持ち、中には見つけてきた虫や花を図鑑で調べよう とする児童もいる。一方、興味の持続が難しく、発見したことを身近な限られた友達には 発信できるが学級全体に広めようとする児童が少ない。  〔つけたい力〕 ・体全体を使って、秋を感じたり楽しんだりする力 ・幼稚園との交流を通して、園児のことを考えながら計画し、行動する力 ・同じグループの仲間と協力しようとする力 〔単元目標と評価〕 ・裏山へ行って秋を探し、体全体を使って秋を感じたり楽しんだりする。 【関心・意欲・態度】 ・みんなで集めた落ち葉や木の実で遊ぶものを作ったり、遊んだり遊び方を工夫したりそれ を学年の友達や幼稚園の園児に伝える。【思考・表現】 ・秋祭りの活動を通して、友達の良さや協力することの大切さに気付く。【気付き】 「単元のねらいと教師の願い」には、「『児童・園児が共に楽しめる』ことをめあてにするこ とで、さらに工夫の幅が広がり、友達と協力する大切さを感じるであろう。」と表記されてお り幼小連携を図ることで生まれる効果が記されている。幼小連携で生まれる児童の学習の多様 性に対し、学習のぶれを生じさせないように、児童の実態をしっかりと把握し、つけたい力を 明確にして単元づくりが行われていることが分かる。 ② 幼稚園のカリキュラムとの関連 幼小連携において重要なことは、招かれた園児にも幼稚園での学びが達成されることであ る。決してお客様になってはならない。園児も学びの主体として小学校で学習することが幼稚 園のカリキュラムにも位置づけられており、関連づけられていることが重要である。該当幼稚 園では、小学校の「ともだちいっぱい あきいっぱい」の時期には、秋に親しむ活動が組まれ、 「だいすき北須磨小学校」では、劇音楽発表会の準備時期で、卒園・入学を強く意識させる時 期と重なっており、互いの学びが関連づけられている。

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(3) 生活科で保育園・幼稚園と連携を図る手順 スムーズな連携を図る上で、管理職の役割と教師同士の連携の取り方が明らかになった。 ① 管理職の役割 以下の内容を管理職同士で事前に話し合うことが必要である。  ○ 児童・園児は同じ地域にくらし、願いを託される子どもたちであることの共通認識 ○ 接続校として、主軸は児童・園児の健やかな成長・学びであることへの理解 ○ 小学校・幼稚園の学校教育目標・経営方針のすり合わせ ○ 安全確保のための指導・方策・配慮 ○ 互いの学校・園での要配慮事項の確認 ○ 互恵性をもつ連携のねらいの確認と双方の必要の理解 ○ 全教職員への周知と質疑応答 ○ PTA会長への連絡 ○ HP・広報・学校だより・学年だより等での保護者・地域への発信 ○ 予想される課題への対応方針 ○ 緊急事態の連絡、対応についての確認 ○ 実務の担当者の紹介 生活科でなくとも、接続校・他種校等と連携を図ろうとするときは、管理職の果たす役割が 大きい。児童・園児の命を預かり、学びへの責任も負っている。その保証や了解もないところ での連携はあり得ない。 活動時に予想外の問題が発生したり、新たな課題が発生したりすることもある。児童や教師 を見守り、必要に応じて声かけをして常に相談にのる姿勢を示す。多忙な管理職ではあるが、 行事のある時だけではなく何もない時に互いに訪問し合い雑談ができる関係を築くことが肝要 である。 ② 教師同士の連携の取り方 風土の異なる校種で連携を図ろうとする時、共通理解の不足が思わぬ大きな不測の事態を招 き、ねらいの達成を妨げることがある。生活科を核にして連携を行う場合、1年生・2年生・ 幼稚園児と低年齢の子どもたちが対象となる。実際に児童・幼児を指導する両者が共通理解す る時間をしっかりと確保することは重要であり、たとえ煩雑に感じることがあっても抜かして はならない手順でもある。実務担当者で話し合う際のポイントは、以下のとおりである。 〔実施すべき手順〕 1) 文字化・数字化された文章での確認

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) 互いの年間カリキュラム・単元構想をもとにした位置づけの確認 3) 要配慮事項について伝達 4) 活動時期・活動時間・活動場所の調整 5) 双方のねらいの確認 6) 指導内容・指導方針の確認 7) 主になって計画する教師・指導する教師等の役割確認 8) 児童・園児の実態 9) 指導案を見ながらの確認 公立小学校と私立幼稚園が連携をとる場合、守秘義務の問題が発生する。本連携では守秘義 務に関することで支障は見られなかった。幼稚園が校区内に立地していたため、共通の地域や 保護者をもち卒園児も多く、兄弟姉妹もいることが要因としてあげられる。園児・児童の様子 を常に観察し、気がかりなことはすぐに確認し合う姿勢を忘れてはならない。教師が互いに児 童・園児一人一人への適切な指導を行うことができていた。 (4) 授業構築する上での配慮事項 R-PDCAサイクル 本単元では、幼小連携のねらいが達成できるように実際にパーティーに招待するまでのス モールステップが組み込まれている。教育活動をチェックするため、授業改善を図る一般的な 手段としてのR-PDCAサイクルを多いに活用する。 1)幼稚園にて 10月中旬…対象のリサーチ           「忍者になって、幼稚園の子どもたちは何がすきなのか、見に行こう」 2)幼稚園にて 10月下旬… 交流① 「読み聞かせをしよう」 3)小学校にて 11月下旬… 交流②            「あきげんていカラフルパーティー」に招待しよう   ステップとしてのR-PDCAサイクルは以下のとおりである。 ○ Research(調査)  幼小連携で、園児に「秋の発表会」で見つけた秋を楽しんでもらうため、児童が園児理解 をする必要が生まれた。園児を理解しなければ、分かりやすい表現がどのようなものなのか を考えることもできない。気付きの質を上げ、表現の工夫ができるように事前に園児と交流 し「園児の様子を見に行く・園児に読み聞かせをする」という触れ合いの段階の手立てとし ている。読み聞かせ後は、一緒に園庭で遊び距離を縮める関係を作っている。  ○ Plan(計画) それぞれが見つけた秋を「幼稚園の友達と一緒に楽しむ」ことをねらいとしてパーティー の計画を立てる。ペアの園児が楽しむことを想定して考えることが表現の工夫をしやすい手

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立てとなる。 ○ Do(実行) 事前に、1組と2組の児童が、パーティーの店づくりをして児童役と園児役に分かれてゲー ムやクイズ等を楽しみパーティーを行う。 ○ Check(評価) 園児役にもらったアドバイスと自分たちが実際に他の学級のゲームやクイズ等で遊んだ体 験をもとに、自分たちの店のゲームやクイズ等を評価し、園児に適した説明の仕方やルール・ 場の工夫の改善を話し合う。 ○ Action(改善) 以上のステップを踏み、自分たちの活動に評価・修正を加えて園児を招待するパーティー を開く。 1年生は、運動会で「忍者」の表現運動をしている。忍者になりきって壁やフェンスに身を 隠しながら幼稚園児の様子をうかがい、どんなことをしているのかを見ている。その後、国語 で学んだ音読表現を生かし、園児に読み聞かせをして触れ合いの時間を設定している。事前に 図書の時間に園児が喜びそうな本を選び音読の練習を重ねている。   生活科だけではなく、他教科や領域と関連させることで児童の意識を継続させ意欲を高める 指導の工夫が見られる。 (5) 学習指導案が示す学びのサポート  どのような指導・支援の工夫がなされているか学習指導案をとおして検証する。 ① 指導計画(全17時間)の展開 第1次  秋をさがそう(7時間) 第2次  秋を楽しもう(2時間) 第3次  見つけた秋を紹介しよう(8時間)   ・秋祭りの計画を立てよう   ・幼稚園の子どもについて調べよう   ・秋の自然物を使って、おもちゃをつくろう   ・1組と交流し、アドバイスをしあおう【本時】   ・「あきげんていカラフルパーティー」をしよう ここでは、園児が楽しめるかどうか、アドバイスをする学習場面を設定している。児童が実 際に園児役を体験することを通して、園児の立場に立ち「園児が楽しく活動できるかどうか」 の視点で活動を評価している。これは、「幼稚園との交流を通して、園児のことを考えながら 計画」するための気付きの質を高める学習場面として効果的なステップである。

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② 本時の学習指導案 本時の目標 パーティーを楽しみながらさらに園児に楽しんでもらえる方法を考える。 ・役割の設定―お客(園児)役・お店役・お客(園児)案内役 ・準備物―みつけたよカード・小黒板・ホワイトボード・赤白帽・修理用具 ・学習形態―ペアによる学習活動・グループによる学習活動・学級学年による学習活動 ・学習環境の設定―体育館の活用・みつけたよカード記入机とその配置 ・支援― めあての確認、児童の発見・気付き・思いを他児童に広げる支援、カードの使い方 の的確な約束設定、具体的な学習方法を促す支援 これらは、児童がアドバイスをしやすい工夫やアドバイスを生かしやすい指導者の工夫であ る。児童が主体となって、「園児に楽しんでもらえる方法」を考える学習環境設定が行われて いる。 次にどのように機能しているのか、授業の実際を通して検証していく。 (6) 実施授業と授業後の検証  〈授業の流れ〉 ① 体育館の両端で各学級に分かれ、前時の振り返りと今日のめあての確認をする。    1組 園児役・赤い体操帽、園児の案内役・白い体操帽 ←  ペア学習    2組 お店屋役 ←  グループ学習 ② 体育館の中央にカード記入机を配置し、周りにお店を並べてパーティーをする。    1組 気付いたことをカードに記入して、お店屋の小黒板にはる。    2組 事前に園児が楽しむことを考えた遊びをする。 ③ パーティーの振り返りをする。    1組 学級で自分たちがみつけた2組のお店の工夫について話し合う。    2組 もらったアドバイスを参考にし、さらに園児が楽しめるようにグループで話し 合い改善していく。 ④ 感想を伝え合う。    1組・2組が一緒に気付きや感想を伝え合い、授業の振り返りをする。

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【授業の中で見られた児童の様子】 ・1組の児童は、園児役と案内役となり、二人が手をつないでペアになって行動していた。 ・店屋役の児童は赤い体操帽の園児役に応対し、案内役の児童は案内の役割を意識して行 動していた。 ・店で遊びを楽しんだ後、カードに気付いたことを記入。中央の大きなカード記入机を利 用してすぐに書き入れていた。 ・あちらこちらで、二人一緒に頭を寄せ合って相談しながらアドバイスを書く姿がみられ た。 ・書き手の児童は、良い点や改良点のアドバイスを楽しそうに記入していた。 ・カードを記入し終わるとすぐに、店のそばの小黒板にセロテープではり付けていた。 ・活動の途中でも、はりつけられたカードのアドバイスを見て、その場で説明の仕方やゲー ムを改善していた。 ・もらったカードを同じ種類に束ねたり、内容ごとに同じ丸の中にまとめたりして、仲間 分けのカード操作をしながら話し合いをしていた。 ・ホワイトボードを活用し、意見を書き表しながら活発に改善策の話し合いをしていた。 【実際に書かれていた内容例】  ①けんだまけんけんゲーム ― 簡単コースと難しいコースがあって選べて楽しめると思う。 ②たのしいわなげやさん ― 松葉の輪が壊れてしまった。 ③たからさがし ― 落ち葉の中に手を入れてまつぼっくりを探すのが楽しかった。          まつぼっくりに色がついているともっと楽しくなる。 ⑤どんぐりいれゲーム ― どんぐりが入りにくかった。 ⑥どんぐりめいろ ― 時間が長くかかった。       ルールが分かりにくかった。 ⑦フーフーぱっちんゲーム ― 入れにくいから、立つ線をもっと前にしたらいい。 本授業で児童の動きは複雑である。しかし、児童は自分の役割を意識し友達と協力しながら 全員が学習活動に参加している。「先生どうするの」、「先生これでいいの」と、教師にたずね たり判断を求めたりする姿は見られなかった。 授業後の教師の振り返りでも、「徹底して園児の立場に立って、お店の工夫について考える ことができた。」、「児童同士で、スムーズに話し合いをすることができた。」と授業評価してい る。児童が主体的に学ぶ姿が多く見られた。 これは、園児とともに学ぶことをきっかけとして、教師が児童の動きを細やかに予測し、綿 密に授業が構成された成果といえる。

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(7) 教師・児童・保護者の分析 ① 児 童 発達段階では、1年生は自分が楽しみたい時期であるにもかかわらず、園児を楽しませる工 夫をすることに目を輝かせている。その理由の一つに、園児たちにかっこよく思われたいとい うプライドが生じていることが考えられる。幼稚園の年長時に最上級生として年中や年少の園 児の世話をしてきた豊かな体験が生きてくる。普段なら我慢のできにくいことや挑戦しにくい ことへも、粘り強く対象にかかわる態度も生まれる。思いやりが生まれ、友達と協力する場面 が増加している。 教師の振り返りの言葉では、児童の変容がこう表現されている。「発表する対象を保護者や 上級生ではなく『幼稚園のお友達』としたことで、1年生自身がお兄さん・お姉さんとなり、 1年間の成長を感じる場面を多く見ることができた。初めて園児と対面した時は考えていたこ とを伝えることで精一杯だった子どもたちも、会う回数を増やすごとに園児に対する話し方や 接し方に変化が見られた。」とある。 児童の変容―「自分が楽しむ」から「相手を楽しませる」成長と喜び       園児にとって先輩というところに位置している自分への自覚       友達との協同性・学びへの主体性の向上 ② 教 師 本時の目標を達成するための学習活動の流れの検討・児童一人一人の個性や実態を考慮した 学習形態の精選・それらを可能にする学習環境の場の設定・準備物や支援のあり方等よく工夫 されている。 ペア学習を取り入れることで、字を書くことに抵抗がある児童や自分に自信をもちにくい児 童も安心して自己表出し表現できる。ペア・グループや他学級児童と交流して互いの気付きを 共有しながら自分の対象への気付きと比較し、気付きの質が高まる工夫が見られる。 「みつけたよカード」には、にっこり顔とびっくり顔が印刷されている。児童にとって、園 児が楽しめるか否かというアドバイスの基準が明確である。どちらかの顔に印をつけること で、意思表示や「そのわけ」を記入しやすい。この形式は、同時に読み手にとっても書き手の 意図が理解しやすい効果を生んでいる。 小黒板やホワイトボードが各グループに準備され、文字化・見える化したことで学習活動に ぶれが生じず、根拠を明確にした話し合い活動ができる。 「つぶやきを教師がひろい、工夫につなげさせる」「今すぐできそうなカードがないか声をか け、必要であれば店ごとに話し合いの時間を設けさせる」「課題を分かりやすくするために、カー ドを内容別に分けさせる」等、教師が児童の気付きやよさの価値を見出し、児童に広げる支援

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や学び方を学ぶ支援が多く見られる。 ・教師の変容―授業力の向上        人とかかわる力を高める指導の工夫        児童の学びの主体性を伸ばす支援 ③ 保護者 当初より好意的な受け止めで我が子の様子をよく見ており、次第に帰宅後も楽しそうに話を する様子を伝える等の変化も見られた。幼稚園の保護者については、園児が知らない場所に行 き見知らぬ1年生に会う緊張した様子から、学校に行くのを楽しみにするようになった変化と 保護者の安心した様子が幼稚園の教師を通して伝えられた。 ・保護者の変容―不安から安心への変化         入学前に小学校がどんなところで、どんな人がいて、どんなことをす         るところなのかを体験することにより園児が安心することへの気付き (8) 現職教師の授業力向上と変容 生活科で幼小連携を図ることで、学校は実に多くの人にかかわっていることが分かる。 秋 みつけでは、学校内外の豊かな自然を探しにでかけたり、保護者と一緒に秋探しビンゴゲーム をしたりする。また、冬の伝統的な遊びを高齢者に教えてもらったり、学校のよいところを見 つける時には調査活動の一つとして地域の博士にもおたずねをする機会を設けたりしている。 地域に開かれた教育活動である。 教師は幼稚園・高齢者や専門の知識をもつ方々と連携を繰り返し、コーディネート力の向上 が見られる。教師自身に人とかかわる力が育っている。直接地域の声を聞くことで学校の意義 や教育の意義を幅広くとらえる傾向が生まれている。 また、繰り返し園児と接することで、幼稚園の学びに出会う機会を増加させ、園児が豊かな 経験を積んでいることに気付く。1年生は単に最下級生であるという理解から、幼稚園で学ん できた連続性をもつ存在として認識するように変化している。 入学当初でも、幼稚園でやってきていることを基盤としての指導をするようになる。 授業づくりや指導学習案においても、幼稚園の保育日案や支援のあり方が刺激となってい る。これらは生活科に求められる児童を主体とした学びへの指導のあり方や児童とのかかわり 方に影響を与える。 幼小連携で高まった児童の意欲を確実な育ちにつなげるため、どのような資質や能力を伸ば すのか、どのように学ばせていくかと学びの自立に向けた授業改善がなされている。

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本時の授業としてパーティーの前段階の授業を取り上げたのは、授業力の向上とその成果が 顕著に見られたからである。 同時に、教材についての深い理解をするようになった。学習活動案の単元のねらいと教師の 願いには、「これらの活動を通して、動植物や友達、園児など命あるものの気持ちを考えたり 一緒に生きているということを感じたりできる豊かな心を育んでほしいと願っている。」とある。 大切なことは、命を対象として単に理解することではない。体験を通して主体的に対象にか かわり、かかわり方に変容が生まれることである。つまり、やがて入学してくる園児を自分の 後輩・同じ地域に住む友達として認識し、かかわり方を自分事として身に付ける。それが、「一 緒に生きていく」資質を育むことであるとしっかりとらえられている。ここにも、教師の大き な変容を見出すことができる。   (9) 本実践の果たす役割と課題  翌年度の児童・教師・保護者・幼稚園・地域のそれぞれの様子の中にも、大きな変容を見出 すことができる。 1年児童 入学後のくらしや学習が安定している。 「今度は自分たちが幼稚園の子を招待して楽しませる番だね」と教師に 話す。 2年児童 園児が新1年生として入学してきた時、親しみをもってかかわっている。 学校探検でも仲良く校内のオリエンテーリングの案内をしている。 教  師 昨年度の資料をもとに昨年度よりスムーズに幼小連携の計画を立てる。 新1年生へ、幼稚園の経験を呼び起こしながらの声かけをしている。 保 護 者 「小学校に入学してくる全幼稚園と交流してほしい。」との要望がでる。 幼 稚 園 卒園生が、小学校の生活に慣れるのが早く例年に比べ安定していた。で きれば、今年は交流する園児の幅を広げたいと連絡がある。 地  域 「引き続きこのカリキュラムを継続してほしい。」と発言する。 上記より、入学生の適応が早く、安心して小学校生活を開始したことが読み取れる。幼小連 携により、児童は幼稚園時の交流で1年生に憧れを抱いてきたことも分かる。今度は自分があ の憧れの1年生になるという喜びにつながっており、「学びのモデル」となっていたことが示 された3)

.保幼小との連携の効果と今後の課題

今回の実践から見いだされたことは、新1年生は入学してきたその日から顔見知りの先生に アピールを始め、入学後の1・2年生の関係構築にかかる時間が短く、新1年生もその保護者

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も大きな不安を感じず、安心し安定した小学校生活のスタートを切ることが出来たことである。 教師も新1年生への児童理解が早く、昨年の資料を手にして両者の理解のもとに連携した授 業ができるので、前年より段取りよく連携ができている。 また、幼小連携を図り適切な指導を行うことで、児童の学びの質の向上や教師の指導力の向 上が見られることは前述の通りである。 幼小連携は、園児の入学時の安定を図り、小1プロブレムを減少させていることや生活科の 実践が幼稚園と小学校をつないでいたことが分かり、幼稚園と小学校の暮らしと学びをつなぐ 重要な役割を果たしていることを幼稚園や小学校の教師が実感したことであるといえる。 【今後の課題】 本実践を通して、見られた課題は以下の通りである。 ① 幼小連携をどの範囲で行うのが幼稚園・小学校にとって適切なのか、年度末に両者の振 り返りの時間の確保をする。 ② 担任が入れ替わり、担当教諭が変わっていく。資料の蓄積を図り、引継ぎも計画の一つ に位置づける。 ③ 園児と児童が、同じ活動や学習をする交流を考える。共通するところを理解した上で、 互いの個性や発達がよく理解できる。 ④ 幼小連携の機会が持てず、交流学習を経験してきていない児童への配慮を検証して指導 に生かす。 ⑤ 入学前に交流のある児童とそうでない児童を含む学級経営のあり方を検証し、指導に生 かす。 ⑥ 幼小連携では互恵性が今後の大きな課題となる。本論では、園児や児童の姿をもとに連 携の意義を検証していった。幼稚園・小学校の双方に学びがあり、互いに役割を果たし ていくための学年当初にカリキュラム上の位置づけの確認をする。 ⑦ 幼小連携が理念を忘れ年間行事のように継続され、形骸化された活動として引き継がれ ることも予想される。管理職が幼稚園とも連絡を取り合い、教師の負担も考慮しながら カリキュラム管理する。 ⑧ 保育の形態も変化し、幼稚園・保育園・認定こども園とそのあり方を探っている現況に ある。互いの立場を理解しながら、時代の要請も加味して保幼小連携も進化させていく。 ⑨ 入学してくる全ての幼稚園と連携をとることは不可能に近い。どのような立場で何をね らいとして連携を進めていくのかを明確にして、常に原点に立ち返り、説明責任を果たす。 上記に記した連携活動で見いだされた効果や課題を考慮しつつ、地域の保育園、幼稚園、認 定こども園と小学校の取り組みのあり方についてまとめていく。

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「子どもの発達と学びは連続している」ことを意識し、連携を図っていく必要がある。 今回提示した授業実践においても、幼稚園教育要領で示されている通りの効果が顕著に見ら れた。幼児は、児童に憧れの気持ちを持ったり、小学校生活に期待を寄せたりしている。実際 に交流を行う中で、幼児は児童と一緒に遊んだり、一緒に活動して過ごしたりする体験は自分 の近い未来を見通すことが出来るようになる。また、小学校での活動は、校舎や校庭、学校生 活の一端を知る良い機会になり、小学校生活に安心感と期待感を持つことにもつながってい る。また、幼稚園の教師にとっても幼児の成長を感じている。保護者にとっても小学校入学に 対する不安感を取り除く効果もあった4) 児童にとっては年下の幼児と接することで、自分の成長に気付き、思いやりの心を育むこと にもつながった。 これらの成果や効果に至るまでには、前述したように幼稚園・小学校が意義ある活動にする ために実施にあたって年間計画を作成したり、交流活動についての事前の打ち合わせをした り、交流活動後の意見交換があってのことである。 幼児教育や生活科・総合的な学習で大切なことは、子どもの思いや願いは勿論のこと興味や 関心等「引き出してあげる」教師の姿勢が必要で、「教える」ではなく「引き出す」ことだと 言われている。 保幼小連携は、幼児期から児童期への発達の流れと学びの連続性を双方の教師が理解する必 要がある。互いの教育内容や指導方法の違いや共通点について理解を深めることが大切であ る。それぞれの生活や活動、学習を理解し、その上で幼児教育や小学校教育が行われなければ ならない5) 打ち合わせ等に時間的ゆとりがないと手をこまねくよりも、多くの成果が得られることを認 識し合同研修会を開き、双方の思い・願いを入れたおおよその年間の活動の流れを構築し、実 際に連携実践をしていくことである。そこで見えてくる問題点や改善点を修正していく中で、 双方にとっての効果が明らかになるのである。 少子化で子ども同士が交流する機会も減っていくことを考えると、この保幼小の連携活動は 人間性・道徳性・社会性・人間関係構築力・コミュニケーション力等を育てていく重要な位置 づけとなってくる。

.大学の講義「教科教育法・生活」と学生の習得すべき力量形成

授業では保幼小の連携の重要性について、生活科の学習指導要領の解説を通して伝えていく と共に、スタートカリキュラムを作成する上での配慮事項としても押さえていく。 具体的な活動例の一つとして、「幼稚園・保育園を卒園して小学校に入学し、少し日にちが 経過する頃、幼稚園・保育園に近況を伝えに行き、先輩として園児に小学校生活を紹介する機 会を設定する。」というのも実現可能な活動である。

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生活科の内容の取扱いについての配慮事項(5)に「具体的な活動や体験を行うに当たって は、身近な幼児や高齢者、障害のある児童生徒などの多様な人々と触れ合うことができるよう にすること。」とある。少子化・高齢化などの影響もあり、人と人とのつながりが希薄化して いる中、このような機会をつくることが重要になってくる。 保幼小の連携を実施するに当たって、特に重視する点がある。前述したように幼児教育と小 学校教育双方の教師がよく話し合い、理解し合い、お互いにメリットがある活動を実践すべき である。保幼小の連携が進んでいる保育所・幼稚園、小学校では年間指導計画が確立され0歳 児から5歳児、第1学年から第6学年の子どもたちの活動や到達したい目標等が具体的に示さ れている。幼稚園教育要領や保育所保育指針「健康」等に関わる目標に、子どもたちの姿が活 動内容と共に重ねてみていくことが出来る。 《多くの実践校が行う具体例として》 ○主に行事への参加(音楽会に参加し鑑賞する、運動会に参加し園児も演技をする)   ・幼小合同運動会…高学年と園児が一緒に遊ぶ   ・作品展の見学 ○授業への参加(・家庭科・総合的学習・保育体験の一環として一緒に遊び交流する)   ・生活科「秋見つけ」… 園児と一緒にドングリ拾いに行く、日を改めてどんぐりランド で一緒に遊ぶ   ・生活科「お店屋さんごっこ」…1・2年生が再現したお店に、園児が買い物に行く   ・生活科「昔遊び」…地域の人に教わった昔遊びを園児に教える   ・生活科「学校探検」…小学校のことを紹介し、案内する   ・生活科「おもちゃランド」…作ったおもちゃで一緒に遊ぶ   ・総合的学習… 田植え、稲の収穫、脱穀を見学したり、一緒に体験したりする          収穫したお米を使って一緒に調理する ○給食体験(ランチルーム等で一緒に配膳し、食べる。学校探検後一緒に食べる。) このように、あらゆる機会を生かした活動が可能である。それぞれの活動の目標を達成する ことができるだけではなく、園児は小学校への親しみ、あこがれや期待感を持ち、小学生は園 児との交流で自分の成長を強く感じ、年少者へのかかわり方や思いやりの気持ちを育てること ができる。 上記の活動に示したように、第3学年以上は教科や総合的な学習の時間との学習活動が組み 込まれ実践されている。幼児教育の目標もしっかり達成でき、小学校の教科等の目標も同時に 達成できる活動が必要である。双方にとってお互いが「お客様」的な扱いでは、子どもたちの 学びも期待できないし、継続できない活動として位置づけられてしまう。

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小学校の生活科や他教科でも実践する合科的な学習活動や他教科との関連的な学習活動にお いてもその活動が、両教科の目標を同時に達成できる活動にしなければならないのと同様であ る。 学生には、具体的な実践例を示しその効果を把握した上で、自分たちも交流授業の計画を立 て、模擬授業を経験していくことを通して、保育園・幼稚園、小学校の双方にとっても有益な 活動の意義を体験し、学びを深めていくことが出来るようにしていきたい。 そのためには、生活科の理論と実践、目標把握をするとともに保育所・幼稚園の目標理解も 同時進行させていきたい。 生活科の体験活動は、子どもたちの五感を活用し、思考を伴った表現活動につながり、それ が自分自身の成長の自覚につながり、「自立の基礎を養う」ことに通じていく。生活科で養う 自立には3つあり、「生活上の自立」、「精神的な自立」、「学習上の自立」である。これは、小 学校入学までの幼児教育で多くの学びが培われた上に構築していくものである。 以上の点を指導した上で、学生たちに「今、自分たちが実践したい保幼小の連携活動とその 効果について」と課題を出した。以下が主な活動例である。 〈大学生の考える保幼小連携の活動〉 ・運動会を一緒にしたり、公園や学校で遊んだりする。 ・学校行事に参加する。(運動会、音楽会、にこにこ祭り、お店屋さん) ・入学前に小学校を訪問し、校内探検やお楽しみ会をする。 ・一緒に地域探検をする。 ・教室で授業を体験したり、給食を一緒に食べたりする。 ・秋見つけなどの生活の授業を体験する。 ・休み時間に一緒に遊ぶ。 ・遠足に行く。 ・絵本の読み聞かせをする。 ・交通のルールを教える。 ・高齢者に教えてもらった昔遊びを教える。 ・園児に絵本の読み聞かせをする。 〈保育園児・幼稚園児のメリット〉 ・小学校に興味がわく。 ・年長者への意識が働く。 ・小1プロブレムの予防になる。 ・小学校は楽しい所として、不安を取り除くことが出来る。 ・教えてもらった小学生に対して、あこがれや自分もあのようになりたいという気持ちが芽生える。 ・小学校への見通しが持てる。

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〈小学生のメリット〉 ・年少者の手本になれるよう頑張る。 ・色々な事を教えたい、色々な事を知ろうとする。 ・保育園、幼稚園時代よりできることが増えて自信が持てる。 ・保育園、幼稚園の頃を思い出して、自然に積極的にかかわろうとする。 ・兄弟が出来たような感覚になり、責任感が芽生える。 ・年長者としての自覚や責任感が持てる。 ・自己有用感が感じられる。 ・相手の気持を考えることが出来る。 ・コミュニケーション力が付く。 上記のように実際に保幼小の連携活動を経験していない4回生から出てきた具体的な事例か ら、大学の学びの中で保幼小の連携の意義と効果については概ね理解できているととらえるこ とが出来る。これらの学びが、教育現場で活動することでより生きていく。 また、実践することで見えてくる新たな活動とその効果について、子どもたちにとっても教 師にとっても確かな学びとなって、子どもや教師の力量形成に期待できると考える。生活科の 講義で保幼小連携の重要性と授業実践のあり方についての学びをシラバスの中に位置づけるこ とが大切である。

.結果の考察と今後の課題

保幼小の連携を行う上で、保育士・幼稚園教師は小学校の生活や学習を見通した上で、保育・ 幼稚園教育を行う必要がある。小学校教師も同様に保育園・幼稚園の「環境」のねらいに沿っ た活動や「遊び」の意義を把握し、「遊び」を中心にした総合活動を理解した上で教育活動を 行うことが求められている。また、それぞれの教育活動は中学校、そしてその先の学校教育の 中に深くつながっており、その中で保育園・幼稚園・小学校の果たすべき役割について理解を 深めることも大切である。 新学習指導要領や保育指針、幼稚園教育要領の文言を十分に押さえながら、「子どもの発達 や学びの連続性」を念頭に置いた「保幼小の連携のあり方」の研究をさらに推進していきたい。 子どもたちが保育園や幼稚園で培ってきた力が小学校生活で十分発揮され、充実した学校生活 が過ごせるような円滑な接続の方策についても継続して考察を加えていく。また、授業実践研 究を通して、教師の指導力向上の手立てや大学における学生の生活科における授業力向上のあ り方についても具体的な方策を示していきたい。

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)中央教育審議会(第109回)次期学習指導要領答申について)小学校学習指導要領解説 生活編 平成29年6月 文部科学省)研究内容等の詳細については、下記の文献を参照。 ・日本生活科・総合的学習学会第26回全国大会東京2017研究紀要 p67, p75 ・保幼小連携の子どもの育ちー接続期カリキュラムの意義と作成ポイントー上越教育大学大学院 木 村吉彦 p7∼8 ・KITASUMA神戸市パイロットスクール事業研究発表会「いのち」をつむぐ神戸市立北須磨小学校 研究冊子p33∼p42 ・神小研 教育研究2015 NO48 神戸市小学校教育研究会発行p18∼p20 4)幼稚園教育要領  平成20年度  文部科学省)保育所保育指針 平成29年3月 厚生労働省告示第117号

参照

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