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教えることを学ぶことについての一考察 : 教職実践研究Iの実践から

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(1)

教えることを学ぶことについての一考察 : 教職実

践研究Iの実践から

著者

内 健史

雑誌名

鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要

24

ページ

359-364

別言語のタイトル

A consideration about learning to teach :

through the education practice of the course

""Practical Studies for Teaching I""

(2)

BulletinoftheEducationalResearchandDevelopment,FacultyofEducation,KagoshimaUniversity

2015,Vbl24,359-364■

教 え る こ とを 学 ぶ こと につ いて の 一 考 察

一 教 職 実 践 研 究1の 実 践 か ら 一 内 健 史[鹿 児 島 大 学 教 育 学 部 附 属 教 育 実 践 総 合 セ ン タ ー] Aconsiderationaboutlearningtoteach:Throughtheeducationpracticeofthecourse "P racticalStudiesforTeachingI" UCHITakefumi キ ー ワ ー ド:教 員 養 成 、 実 践 的 教 職 科 目 、 授 業 分 析 、 学 習 指 導 案 作 成 、 模 擬 授 業

1は

じ め に

教職 実 践 研 究1は 、 「

実践 的教 職 科 目」群 の一

つ と して2年 時前 期 に実 施 して お り、 本年 度 で6

年 目の取組 とな る。 この科 目で は 、教 師 の中 心業

務 で ある 「

学 習指 導 」 の基本 につ いて 、学 習指 導

案 を作 成 して模 擬 授 業 を行 うこ とに よ り、 学 習指

導 の基 本 的な 力量 形 成や そ のた め の課題 につ いて

実 践 的 に学 ぶ こ とを 目的 と し、本 年 度 は18人 が

受講 した 。

科 目 と して の到 達 目標 は 、本 時 の レベル の 学習

指導 案 を 自分 の 力で 書 き、そ れ に基 づ いて 模 擬授

業 を行 う ことで あ り、具 体 的 には 、 まず、 小 中学

校 にお け る基 本 的な 授業 の あ り方 につ いて の講 義

や模擬的な授業を受けた りして、学習指導 の基礎 的 ・

基本 的事 項 を学び 、 次 に、 附属 学校 で の授 業参 観

を通 して 、学 習指 導 の プ ロに学 び なが ら自分 で実

際 に学 習指 導案 を作 成 し、そ して 、作 成 した 学習

指導 案 に沿 って模 擬授 業 を行 った り、 互 いの授 業

に つ いて検 討 した り して 学習 指 導 の基 本的 な あ り

方 につ いて 学 ぶ とい う、3つ の内容 に取 り組 む こ

とと した 。

本 科 目 で 学 生 が 身 に 付 け る こ と を 目指 す 学 修 目 標 は 表1に 示 す とお りで あ り 、 「授 業 デ ザ イ ン カ 」 や 「授 業 展 開 力 」 な ど の 学 習 指 導 の 基 本 的 な 力 量 形 成 を 目 指 して い る が 、 そ の す べ て を 本 科 目の み で 担 え る も の で は な い 。 し か し、 本 科 目 を履 修 す る 中 で 、 学 習 指 導 の 力 量 形 成 を 図 る た め に必 要 な 要 素 に つ い て 学 び 、 自 己 の 具 体 的 な 課 題 や 目標 を 明確 に しな が ら 「自己 改 善 力」 を高 め て い く こ とは 、 今 後 、 教 育 実 習 等 や 教 科 教 育 及 び 教 科 専 門 の 科 目 を と お して さ らな る 資 質 の 向 上 と 力 量 形 成 を 図 る 上 で 必 要 不 可 欠 で あ る と 考 え る 。 本 稿 は 、 授 業 参 観 の 視 点 に 関 す る 指 導 等 の 本 科 目 に お け る 筆 者 の 実 践 を 報 告 す る と と も に 、 そ れ ら を も と に 学 生 が 実 践 的 に 「教 え る こ と を 学 ぶ 」 こ と に 取 り組 む 中 で 大 学 教 員 が 教 員 養 成 の た め に 果 た す 役 割 につ い て 考 察 す る も の で あ る 。 表1本 科 目 の 学 修 目標 (1)児 童生 徒 に学 力 向上 を 図る授 業 を 目指 して 、授 業 前 、授 業 中 、授 業後 の各 段 階 にお け る基 礎 的 ・ 基 本 的な 事項(教 育 課程 や 指導 法 の理 解等)を 身 に付 け る とと もに、1時 間 の授 業 を構 想 し指 導案 を作成 す る ことがで き る。 【授 業 デザ イ ンカ】 ② 「学 習 指 導」 に関 す る 力量 形 成 を 目指 して 、 自 分 の課 題 を 明 らか に しなが ら、 意欲 的 に授 業参 観 を した り、指 導案 作 成 を行 った りし、 そ の解 決 に 進 んで 取 り組む ことが でき る。 【自己改 善 力】 (3)学 習指 導 の基 礎的 、基 本 的事 項 につ いて の 理解 に基 づ きなが ら、模 擬授 業 を行 っ た り、協 力 して 授 業研 究や その省 察 を行 った りす る こ とが でき る。 【授業展 開力、協 働連携 力】

(3)

2授

業 の 概 要

本 年 度 の 全15時

間 の授 業 計画 は表2に 示 す と

お りで あ る。基 本 的 な 内容や 流 れ は これ まで の も

の と 同 じで あ るが 、 附属 小 ・中学校 の研 究 公 開 の

時期 等 も踏 まえ、 授 業参 観前 後 の分 析 、事 前研 究

に充 分 に時 間を取 れ るよ うに した。

ま た、 第9回 か ら第14回

まで は、 学 生 が模 擬

授業を実施するために選択 した教科等(国 語、算数 ・

数学 、英 語、 道徳)に 分か れて 実施 した 。

筆 者 は これ ら の 計 画 の 中 で 、 第4回 の 「授 業 参 観 の 視 点 と そ の 分 析(講 義 ・演 習)」 を 担 当 し 、 5人 の 学 生 が 選 択 し た 第9回 か ら第14回 の 「学 習 指 導 案 作 成 と模 擬 授 業(国 語)」 を 他1人 の 教 員 と と も に 指 導 し た 。 学 生 は 、 各 回 ご と に 気 付 い た こ と や 考 え た こ と 、 今 後 の 課 題 等 を 「振 り返 り カ ー ド」 や ワ ー ク シ ー トに 記 述 す る こ と で 、 自 身 の 変 容 や 課 題 意 識 を 明 確 に し 、 把 握 で き る よ う に して い る 。 ま た 、 第1 回 で 「学習 指 導 に関 す る 自己 診 断(課 題 チ ェ ック 表)」 を 実 施 し、 「各 教 科 等 の カ リキ ュ ラ ム に関 す る 理 解 」 「教 材 分 析 力 及 び 授 業 デ ザ イ ン カ 」 「授 業 展 開 力 及 び 授 業 評 価 力 」 の3観 点15項 目 に つ い て 自 己 の 課 題 を 診 断 す る 。 そ の 後 、 第7回 で 中 間 の 診 断 、 最 終 回 で そ れ ま で と の 比 較 を 再 度 実 施 し て い る 。 本 稿 で は 具 体 的 な 取 組 と と も に これ ら の 各 段 階 に

お ける学 生 の振 り返 りの記 述 を も とにテ ーマ に関

す る考 察 を行 う こと とす る。

3授

業 参 観 の 視 点 に つ い て

授 業参 観 につ いて は、 一人 ひ と りにそ の経験 の 差

は あ りもの の学校 体 験 や観 察実 習 、教 科 教育 にお

け る学部 授業 参 観等 で ほ とん どの学 生が 経験 済 み

で ある。 しか し、そ の際 の視点 はオ リエ ンテー シ ョ

ン等 で の事 前指 導が あっ た に もか か わ らず 、決 し

て明確 にな って いな い とい う実態 が あった 。 また、

実 際 の授 業参 観 にお いて も、 どう して も授業 を行

う教 師 の指導 法 や指 導 内容 にのみ 目が いきが ち な

よ うで あ る。

そ こで 、筆 者 が担 当 した第4回 の 「

授 業参 観 の

視 点 とそ の分 析(講 義 ・演 習)」 で は、 学 習 指 導

案 作成 の視点 、 す なわ ち授 業 をデ ザ イ ンす る立 場

で公 開授 業 を参 観で き る よ う、以 下 の三 つ のね ら

いか ら指導 の手 立て を工 夫 した。

一 つ 目は

、教 師か らの次 の三 つ の 「

問い」 を も

と に学生 に主体 的 に参 観 の観点 ・視点 等 を獲 得 さ

せ る ことで あ る。

問①

授業 を どのよ うな視点 で 参観 す る か?

(参観 の視 点)

問②

授 業 の どこ を観 るか?(参

観 の観 点)

問③

授業 を どのよ うに参観 し、 分析 す る

か?(授

業 参観 ・授 業研 究 の方法)

二 つ 目は 、 これ らの 問 い に対 す る 自分 の考 え を

文 章化 して深 く追究 した り、相 互 に意 見 交換 しな

が ら考 え を拡 げた り、 批正 した りす る等 の言 語活

動 を通 して 、必 要 な知 識 を受動 的 に与 え られ るの

で は な く、 これ か らの 大学 にお ける実 践 的 な学 び

の場 で生きて働 くもの として獲得 させ る ことである。

三 つ 目は 、現 場 の教 員が 授業 参 観や 授 業参 観 の

際 にそ の質 的改 善 に実 際 に用 いて い る、 内容 が 異

な る複 数 の資 料 を提 供 し、比較 させ る こ とで 、 授

業 参観 の視点 ・観点 や 授業 記録 ・分析 の手法 は 決

して 一つ で はな く、 自身 のね らいや必 要 に応 じて

取 捨選 択 した り、不 断 の努 力 に ょっ て よ りよ い も

の に して い かね ば な らな い こ とに気付 か せ る こ と

であ る。

これ らのね らい と手 だて に基 づ く具 体 的 な授 業

の概 要 は 、次 の とお りで あ る。

(4)

〈 講義 ・演 習 「授 業参観 の視 点 とそ の分析 」の 実際〉 ① 授 業 を受 け る立 場で 「見 る 」 こ とと、 っ くる立 場で 「観 る 」 こ ととの 差異 に つ いて考 え 、本 時 の テー マ を理解 す る。 ● 「見 る」 と 「観 る」 ・ 児 童 生徒 の視点 か ら教 師の視 点 へ ・ 授 業 設計 の視点 か らの 授業参 観 V ② 資料 を も とに 「参 観 の視 点 」 に つ いて 理解 し、 指導 案 を作 成す る ため に は どの よ うな視点 を もつ べ きか を考 え る。 ア 指 導技 術 と授 業の基 盤 づ く りを中心 イ 授 業 デザ イ ン と目標 達 成 を中心 ウ 学習指 導案 と授 業 者の 意図 を 中心 工 研 究仮 説 の検証 を中心 ● 共通理 解 の大 切 さ どの よ うな視点 で行 う授業研 究 か? ③2種 類 の参 観 シー トを比 較 す る ことで 、参 観 の 仕方 に よ って観 点 が異 な る こと を理解 し、具 体 的 な観点 を考 え る。 <パ ター ン1> ・ 「観 点」 を分 類 … 学習 目標 、発問、板書、学習形態,資 料、指 導過 程 。教 室環境 、 人間 関係 等 くパ ター ン2> ・ 「時 間軸 」 に沿 って …導入 ・展 開 ・終末 ④ 授 業参観 をとお して得 た 気づ き をよ り深化 ・拡 充す る ため の方 法 につ いて 、 授業 の記 録 映像 を見 なが ら考 え る。 ア 時系 列… 授業 全体 の流 れ に沿 って イ 概 念化 …研 究(協 議)の 視点 を定 め て (例)発 問、意 欲づ け、 学習 支援 ウ 指 導案 … 指導案 と実際 の授業 を対 比 工 自由討論 …参観 者 各 自の気 づ き ⑤ 講 義 を振 り返 り、 多 様 な視 点 か ら授 業 を参 観 、 分析 し合 う ことの意 義 と教 師 と して省 察す る こと の大切 さを理解 す る、 「省察 的実 践家 」 … 教 師 の専 門性 の中核 に ● 自らの実 践 を多面 的 に捉 え る力 → 実 践 にお ける思考 ・判断 ・取捨 選択 実 際 の 場 面 に お い て は 、 教 師 か ら の 問 い か け や 発 表 や 話 し合 い と い っ た 進 め 方 に戸 惑 っ て い た 学 生 も 、 学 習 が 進 む に つ れ 、 全 員 が 以 下 の 授 業 後 の 感 想 に 伺 え る よ うな 気 づ き や 知 識 を 得 ら れ た よ う で あ る 。 〈 授 業 参 観 に お け る 視 点 ・観 点 の 獲 得 〉 ○ 授業参観 の視点 は今 まで ぼんや りとした ものであっ た が 、今 回 の講義 で どのよ うな視 点 を 持 って参 観 して い くのか 、 ベー ス をつ かむ ことが で きた よ う に感 じた 。教 師 と して の視点 を持 って 取 り組 む こ とが主 で あ った が、 生徒 、教 材 との関 係性 に まで 目を 向け てで き る と良 いな と思 っ た。 今回 の視 点 は今 後 大切 に した い。 ○ 授 業 を参観 す る とき の視 点や 観点 は 、 いつ も分 か らな いまま参加観察や体験 学習 に行 って いま した。 何 を見 れ ば いい のか 分か らなか っ たの で、 と りあ え ず思 っ た こ とを メモ して い ま した。 次 の授業 参 観 で は、 少 しで も 自分 の見 るべ き と ころ を しぼ っ て見 れ そ うな の でよ か った です 。 しか し、 ま だ ま だ 自分 の参 観 の視 点 を定 め る こ とはで きて い ない の で 、詳 しい見方 につ いて教 え て ほ しいで す 。 ど ん なポ イ ン トで見 た ら、 授 業 をす る時 に どの よ う にいか せ るのか知 りた いです 。 〈 自 己 の 課 題 の 明 確 化 と 解 決 へ の 意 欲 〉 ○ 今 日は 今 まで 自分 が どの よ うに授 業 を見 て きた か を振 り返 る こ とがで き、 それ をふ ま えた 上 で 、 今 後 の授 業 を参観 して い こう と思 った 。観 る こ と にお いて 児童 ・生徒 、教 師 、教 材 の関 係性 は難 し い ものだ な と思 った が、 この講 義が 終 わ るま で に は 「自分 な りの答え を必ず見 つけ出す!」 と思 った。 ○ 研 究授 業 を観 に行 く前 に授 業 を観 る上で の観点 、 視点 を学 べた ことは とて もうれ しかった。で きれば、 授 業記 録 を とる練 習 まで で きた らと思 った 。 ○ 今 回の 講義 で授 業 を どの よ うな視 点 で ど こを観 るか 、 とい う こと を学び ました 。今 ま で は発 問や 板 書 な ど見 える とこ ろ しか 見て い ませ んで した 。 しか し、 これ か らは 、 自分 でめ あて を 立て 、子 ど もた ち に期待 す る と ころへ意 図 を もっ て進 め てい かな ければいけません。 もっ と多 くの視点 を持 って、 現場 の先生 方か ら学 んで い きた いです ○ 今 まで 授業 を見 る とき、 発問 や板 書 、先 生 の振 る舞 いな ど漠 然 と 自分 も児 童た ち と同 じよ うに見

(5)

て いた な と思 いま した 。 これ か ら 自分 が授 業 をす るた め に、 先生 た ちの どのよ うな 意 図や メ ッセー ジや 込 め られ て い るの か を今 回習 っ た観点 か ら見 てい きた いです 。 さ ら に 、 以 下 の 感 想 か ら読 み 取 れ る よ う に 、 筆 者 は 意 図 し て い な か っ た の だ が 、 授 業 を 受 け る 立 場 か ら授 業 者 の 教 授 法 や 授 業 展 開 に ま で 目 を 向 け た 学 生 も い た 。 大 学 教 員 の 授 業 も 学 生 に と っ て は 一 つ の モ デ ル で あ り、 学 校 や 教 育 行 政 の 現 場 で 経 験 を 積 ん で き た 立 場 の 者 と し て 、 こ れ か ら も意 識 を 高 く持 ち 、 学 生 に 示 唆 を 与 え られ る モ デ ル で あ りた い と改 め て 感 じ る機 会 とな っ た 。 <教 員 の 教 授 法 か らの 学 び> O先 生 の 講 義で 、 児 童 生徒 自身 が 「考 え る こと」 に とって も大 きな学 習効 果 が あ る とい う ことを 身 を もって 感 じる ことが で きた 。他 の人 の意 見 を多 く聞 くこ とで、 た だ教 わ るよ りも、 よ り刺 激 を も らい、納 得 した り、考 えた りす る ことが で きる と 感 じた。 教 え込 む教 師 で はな く、 教 え導 く教 師 の あ り方 をもっ と深 く考 えて いき たい ○ 隣 の 人 とペ ア にな って話 し合 いを した りす る の は最 初 は少 しや りづ らか った が、 話 し合 いや 意見 の交換 を繰 り返す ことで慣 れて い く ことが で きた。 これ は 自分 が教 え る立場 にな って も必 要 にな っ て く る ことな ので 、大 切 だ と感 じた 。 また 、先 生 は 自分 た ちの意 見 に対 して いい と ころ を見 つ けて く れて い たの で、 自分 もそ のよ うな 評価 が で きる よ う に真 似 して いき た いと思 う。 こ の 後 、 学 生 は 附 属 小 ・中 学 校 の研 究 公 開 を 参 観 し 、 そ こ で の 記 録 や 気 づ き を持 ち 寄 っ て 、 各 教 科 ご とに 「授 業 観 察 で 学 ん だ こ との振 り返 り ・協 議 」 に 臨 ん だ 。 学 生 の 授 業 参 観 記 録 は 、 記 録 の 様 式 や 参 観 の 観 点 が 具 体 的 に 示 さ れ た こ と も あ り、 概 ね 全 員 が これ か ら 自 身 で 授 業 設 計 を し て い く 者 と し て 具 体 的 な 観 点 か ら詳 細 に 記 録 さ れ 、 自 身 の 気 づ き も 細 や か に 記 述 さ れ て い た 。 さ ら に 、 筆 者 が 担 当 し た 国 語 科 の グ ル ー プ の 協 議 に お い て は 、 第4 回 で 学 ん だ 授 業 参 観 の 観 点 を も と に 、 整 理 し た り 関 連 づ け た り し な が ら 話 し 合 う こ と で 、 「教 材 を 読 む だ け の 授 業 に な らな い よ う に 学 習 目標 を 明 確 に し 、 授 業 船 体 の 見 通 し を 持 っ た 模 擬 授 業 が で き る よ う に し た い 。」 「児 童 が 主 体 とな っ て 学 び 、 友 達 と の 交 流 な ど を 通 し て 自 分 の 考 え を 広 め 、 よ り 根 拠 の あ る 文 章 を つ く れ る 授 業 に し た い 。」 等 、 一 人 ひ と り の 学 生 が 具 体 的 な 授 業 へ の ね が い や ね ら い 、 そ し て 自 己 の課 題 を 持 つ こ とが で き た 。 4授 業 設 計(学 習 指 導 案 の 作 成)と 模 擬 授 業 に つ い て 各 教 科 グ ル ー プ に 分 か れ て 行 った 国 語 科 の 演 習 ・ 協 議 等 に お い て は 、 附 属 小 学 校 の 研 究 公 開 に お け る 二 つ の 授 業(1年 「は な の み ち 」、5年 「百 年 後 の ふ る さ と を 守 る 」)の 学 習 指 導 案 を も と に 学 生 が 選 ん だ 教 材 の 本 時 案 を 作 成 し、 模 擬 授 業 を行 っ た 。 そ の 具 体 的 な 内 容 ・方 法 を 以 下 の表3に 示 す 。 表3教 科 グ ル ー プ に お け る 授 業 計 画 回 内 容 ・ 方 法 100「 学習指 導案 の検 討 ・作成 」① 【演 習 ・グル ー プ討議 】 授 業 の 目標 と内容 ・方法 の 整合性 ・発 問、板 書 、教 具資料 等 の整備 110「 学習指 導案 の検 討 ・作成 」② 【演 習 ・グル ー プ討議 】 学習 指導案 のプ レゼ ン と学 習指 導案 の練 り 直 し ・指 導案 の修正 、発 問 計画 ・板書 委 計画 の 作 成、教 材資 料等 の準 備 ・教 材資料 等 の準備 ・授 業 シュ ミ レー シ ョン 120「 模 擬授 業 と授業 研究 」 【演 習】 ・ ・模 擬授業 の実 施 と相互 評価 13・ 模 擬授業 の授 業研 究 140「 学習指 導案 作成 と模 擬授 業 の振 り返 り」 【協 議】 ※授 業記 録 ビデオ 視聴 ・各 模擬授 業 につ いて の検 討(評 価 で きる 点 と課題) ・授 業設 計 ・指導 案作 成で 重要 な こ と及 び

(6)

今 後 の課題 ・指 導案 の修 正 各 回 ご と に 、 学 生 は 指 導 案 を作 成 ・修 正 した り、 お 互 い に 検 討 し て ア ドバ イ ス し合 っ た り し 、 担 当 教 員 は 具 体 的 な 作 成 ・指 導 方 法 や 、 授 業 を デ ザ イ ン し た り展 開 し た りす る 上 で 必 要 と な る 手 法 や 知 識 に つ い て 、 全 体 の 流 れ や 個 の 実 態 に 応 じ て 指 導 した 。 しか し、 教 育 実 習 で 学 習 指 導 案 を 作 成 し た り授 業 を行 う とい う経 験 が ま だ な い 学 生 に と って は 、 大 変 時 間 が か か り 困 難 を 伴 う学 習 活 動 で あ っ た 。 そ こで 、 各 担 当 は 学 生 に オ フ ィ ス ア ワ ー を 活 用 して 講 義 と講 義 の 間 に 次 回 に 向 け た 個 別 指 導 を 受 け さ せ る よ う に し た 。 当 初 は 計 画 ど お り に模 擬 授 業 を 実 施 で き る よ う に す る こ とが 主 なね ら いで あ っ た が 、3、4回(各1時 間 程 度)の 個 別 指 導 を 重 ね る 中 で 、 双 方 に大 切 な 気 づ き や 変 容 が あ っ た よ う に感 じ て い る 。 そ れ は 、 対 話 や 問 答 、 指 導 案 の 修 正 等 を 重 ね る 中 で 、 改 め て 講 義 の 中 だ け で は 得 られ な い 、 そ の 学 生 の 特 性 や 実 態 に応 じ た 教 材 へ の 向 き 合 い 方 や 授 業 デ ザ イ ン の 方 法 が 明 確 に な っ て い っ た と い う こ とで あ る 。 教 員 側 は 、 事 前 に こ れ だ け は 身 に 付 け て ほ し い 、 こ の よ うな 方 法 で 教 え た い と い っ た 見 通 し を持 っ て 指 導 に 臨 む が 、 学 生 が 授 業 デ ザ イ ン や 授 業 展 開 に つ い て 持 っ て い る 意 識 や 知 識 、 力量 や 意 欲 ・関 心 は 実 に 多 様 で あ り、 教 員 と学 生 が 一・対 一・で 向 き 合 っ て 適 切 に 指 導 し た り示 唆 を 与 え た り す る と い う 時 間 は 、 本 実 践 の ね ら い を 達 成 す る 上 で 必 要 不 可 欠 で あ る と感 じ た 。 以 下 は 、 各 回 ご と の 振 り返 り を 通 して 、 学 生 が 授 業 デ ザ イ ン や 授 業 展 開 に つ い て 考 え を 深 め 、 意 識 を拡 げ た 一 例 を示 す 。 〈 学 生Aの 意 識 の 変 容 〉 ① 学 習 指 導 案 作 成 指 導案 を作 成 して 考 えた ことは 、学 習 のめ あて を明確 に し、そ こに達す るに は どの よ う段 階 をふ まえ た らよ いか考 えて い く ことが大 切 だ と い うこ とだ 。学 習者 が 能動 的 に授 業 を受 け る ことが で き るよ う に板 書や 発 問の計 画 を立て て いき たい。 ② 模 擬 授 業(評 価) 2人 の模擬 授 業か ら参 考 に なる点 が た く さん見 つか った 。例 え ば板 書 は見 る だけ で授 業 の内 容が イ メー ジで き る もので あ るべ きだ し、 学習 者 へ の か かわ り発 言 を しっか り受 け止 めて 応答 す る こ と が大 切 だ。来 週 に生 か してい きた い。 ③ 模 擬 授 業(実 施) 時間 配分 が うま くいか ず 、 自分 のや りた い部 分 ま で行 き着 け なか っ た。 で も、次 につ なげ る経 験 とな った。 また、学習 者 との対 話や声 かけな どもっ と重 視 して いき たい と思 った。 ④ 振 り返 り①(教 科 グ ル ー プ) 他 の人 の授 業 を改 めて 観て 、 良 い点や 真似 した い と思 う点 をた くさ ん見 つ け られ た 。 また 、 自分 の模 擬 授業 の 映像 を見 て 、 これ まで 気付 か なか っ た点 もわ か った し、他 の 人が 良 い と感 じ られ る点 もあっ たの で今後 に生かそ うと思 った ⑤ 振 り返 り②(全 体) 他 の教科 の グル ー プの 人 と もう ま くいか なか っ た点 を中心 に話 し合 った 。私 は授 業 の シ ミュ レー シ ョンが 不 十 分 だ った の が 一番 の 反 省点 だ った 。 授業 は流れ が 全て で はな く、それ を受 けて い る子 どもた ち が いる とい う こ とを意識 した 上で 、発 問 や板 書 、声 か けな どを計 画す る ことが とて も大 切 だ と学 んだ 。 これ ら の 文 章 か ら も読 み 取 れ る とお り 、 学 生 が 授 業 デ ザ イ ン や 授 業 展 開 に 必 要 な 力 を 身 に 付 け る た め に は 、 知 識 や 方 法 を 伝 達 す る だ け で な く 、 教 え る プ ロ と し 必 要 な 力 を 身 に 付 け て い く た め に 他 者 と協 働 しな が ら学 ば せ て い く こ とが 重 要 で あ る と考 え る 。

5「

教 え る こ と を 学 ぶ こ と 」 に つ い て の

考 察

これ まで、 教職 実 践研 究1に お け る具体 的 な取

組 や学 生 の感 想等 を とお して、 教 師 の中心 業 務 で

(7)

あ る 「

学習 指 導」 の 基本 につ いて 、学 生が 授 業参

観や 学 習指 導案 作 成 ・模 擬授 業 を行 う中で 、 学習

指導 の基本 的 な 力量 形成 や 自己 課題 につ いて 実践

的 に学 ぶ ため に教 員 は どの よ うに かか われ ば よ い

か を考 えて きた。

筆 者 が学 習指 導 の 力量 形成 につ いて考 える 際 に

そ の姿 が浮 か ぶ、 これ まで学 校 現場 で で あ った教

師 たち が い る。そ れ らの指導 のス タイ ルや パ ー ソ

ナ リテ ィ は多様 で あ るが 、共 通 して いる のは 、 自

他 の授 業へ の確 か で 豊か な見 方 と、そ こで の 学び

を広 く深 く他者 と共 有 しよ う とす る態度 、そ して 、

他者 のア ドバ イス や気 づ き を柔 軟 に受 け入 れ なが

らも、 日々の研 鑛 と研 修 、深 い教材 研究 に裏打 ち

さ れた 授業 へ対 す る確 固た るね が いや確 か で 多様

な指 導 の手 だて を持 って いる とい う ことで ある。

これ まで 筆 者 は、 教諭 と して 、指 導 主事 と して

数多 くの教 育 実習 生 や現 場 の先 生方 と接 し、授 業

を参 観 した り指 導 助言 を行 った りす る中で 、確 か

な教 員 とと して の力 量形 成 を図 る ため に は、 教員

養 成 の段 階 で 身 に付 け るべ き 知識 ・技 能 が あ り、

大学 段 階で そ れ らにつ いて の指 導 がな され る べ き

あ る と感 じて いた。 そ の思 いは今 も変わ らな いが 、

今 回、 実践 的 教職 科 目に携 わ る中 で、 未来 の 教員

を 目指 す学 生 が、 質 の高 い教 育 実践 を行 って い る

教員 た ち の教 え方 に学び 、実 践 す る こ との意 味 を

見 いだ しなが ら、 自身 の取組 を批正 しつつ 振 り返

る取 組 を積 み 重ね て 成長 して い く ことの大 切 さ を

実感 した 。

今 回の実 践 は学 生 どう しで の模擬 授 業 の取組 で

あ った が 、教 育実 習 で の授業 、 さ らに教育 現 場で

の授 業 とな る と、 目の前 には多 様 な学 習者 の 実態

があ り、そ こで は複雑 な授 業の要素 を実感 しなが ら、

学習 者 の コ ミュニ ケ ー シ ョン を組織 した り、 教師

と学 習 者、 また は学 習者 ど うしの認 識 を共 有 で き

る よ うに した りす るな ど、 さ らに 高度 な能 力 や姿

勢が 求 め られ る。

教 員養 成 の 場 にお いて 学 生た ち が 「

教 える こと

を学 ぶ こと」 に 、教 員 と して ど うかか われ ば よ い

か と い う ことは実 に奥が 深 く、 答 え を出す の は容

易 な こ とで は な い こ とを 日々実 感 して い るが 、本

実践 と この考察 を出 発点 と して 、未 来 の教 員 の養

成 に取 り組 んで いき たい。

【参 考 文 献 】 秋 田 喜 代 美 ・佐 藤 学 編 著(2010)「 新 し い 時 代 の 教 職 入 門 」 有 斐 閣 L・ ダ ー リ ン グーハ モ ン ド&J・ バ ラ ッ ツ ース ノ ー デ ン編 秋 田 喜 代 美 ・藤 田 慶 子 訳(2009) 「よ い 教 師 を す べ て の教 室 へ 」 新 曜 社 木 村 優(2013)「 授 業 参 観 の 『視 点 』 と授 業 分 析 の 『ね ら い 』 一 一 つ の 『型 』 を越 え て 一」、 『福 井 大 学 教 師 教 育 研 究Vol.6』pp239-246

参照

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