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Boucher-Neuhäuser症候群における新規PNPLA6遺伝子変異の同定 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 髙 紀信 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 医 学 ) 学 位 記 番 号 医工博4甲 第156号 学 位 授 与 年 月 日 平成27年3月18日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 先進医療科学専攻 学 位 論 文 題 名 Boucher-Neuhäuser 症候群における新規 PNPLA6 遺伝子変異の 同定

(Identification of novel mutations in the PNPLA6 gene in Boucher-Neuhäuser syndrome 論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 宮澤 恵二 委 員 准教授 平野 雅己 委 員 講 師 中澤 匡男

学位論文内容の要旨

(研究の目的) 遺伝性脊髄小脳変性症のうち低ゴナドトロピン性性腺機能低下症および網脈絡膜変性症を伴う疾 患はBoucher-Neuhäuser症候群と呼ばれている。Boucher-Neuhäuser症候群はこれまでの症例の蓄積か ら常染色体劣性遺伝性疾患と考えられており、極めて稀な疾患で世界においても20家系ほどの報告に とどまっている。本邦では2家系4症例の報告がなされており、今回Boucher-Neuhäuser症候群の原因 遺伝子の同定を行うことを目的に研究を行った。さらに、Boucher-Neuhäuser症候群においては過去 に2家系において好中球の過分葉が指摘されているため原因遺伝子変異と好中球の過分葉の関連性に ついても検討を行うこととした。 (方法) 本邦で報告されているBoucher-Neuhäuser症候群2家系からそれぞれ1名ずつのDNAサンプル(症例1 および症例2)を収集した。家系1の臨床情報の収集と家系2の論文からの臨床情報の収集を行った。 家系1の症例に関しては親子3名でのエクソーム解析を行った。 エクソーム解析の結果得られた変異については常染色体劣性遺伝という仮定の下に新規のホモ接 合性の変異と複合ヘテロ接合性変異を抽出した。その後、直接塩基配列決定法を用い変異の有無を確 認した。 症例1において末梢血塗抹標本を作製し過分葉好中球の比率を検討した。 (結果) 症例1は近親婚のない孤発例の32歳男性である。性腺機能低下症、小脳失調、網脈絡膜変性症を認

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めBoucher-Neuhäuser症候群と診断した。 症例2は近親婚のある57歳女性である。性腺機能低下症、小脳失調、網脈絡膜変性症を認め Boucher-Neuhäuser症候群と診断した。 2症例においてエクソーム解析により十分な解析データを得た。 解析の結果、Boucher-Neuhäuser症候群の原因遺伝子の候補としてホモ接合性の遺伝子変異を3個、 複合ヘテロ接合性変異を8個抽出した。更なる解析の結果ホモ接合性の変異は日本人の正常多型に存 在することがわかり候補から除外した。複合ヘテロ接合性変異では8個のうち7個が両親のどちらかま たは両方においても複合ヘテロ接合性に存在していることがわかった。そのため候補遺伝子としては PNPLA6 遺 伝 子の み が 抽 出 さ れ た 。 本 研 究 進 行 中 に 本 研 究 と は 独 立 し てPNPLA6遺 伝 子 が Boucher-Neuhäuser症候群の原因遺伝子であることが報告された。そこでPNPLA6遺伝子変異が本邦の Boucher-Neuhäuser症候群の症例についても原因である可能性が高いと考えた。この複合ヘテロ接合 性変異はc.2329A>G, p.T795A/c.3523_3524insTGTCCG, p.1175_1176insVSであった。

また症例2においてもPNPLA6遺伝子にc.3534G>C, p.W1178C変異をホモ接合性に認めた。 症例1は好中球200個中18個で過分葉を認めた。症例2は過去の報告で184個中52個で過分葉があった と報告されている。 (考察) 本研究において本邦Boucher-Neuhäuser症候群2家系において新規のPNPLA6遺伝子変異を同定した。 PNPLA6は、当初常染色体劣性遺伝性痙性対麻痺(SPG39)の原因遺伝子として検出された。2014年には PNPLA6遺伝子変異によりBoucher-Neuhäuser症候群、Gordon Holmes症候群、spastic ataxiaも発症す ることが明らかとなった。これまでに本邦でのPNPLA6遺伝子変異は報告がなく、今回の2症例が初の 報告である。

PNPLA6はNeuropathy target esteraseをコードしており有機リン酸エステルの代謝に関与し、脊椎 動物において四肢麻痺などの神経障害を起こすことが知られている。 またPNPLA6は中枢神経やライディッヒ細胞に発現していることが知られている。しかし性腺機能異 常をきたす理由については今後の解析が必要である。 好中球の過分葉についてはこれまでの2家系に加えて本家系においても認めた。また好中球の過分 葉を認めた3家系のうち2家系においてPNPLA6遺伝子変異を検出した。このことからPNPLA6遺伝子変異 により好中球の過分葉が起こっていると推測される。最近Boucher-Neuhäuser症候群以外にも性腺機 能異常と好中球の過分葉を認めた症例も報告されており関連性がある可能性も考えられる。 小脳機能、性腺機能、免疫機能におけるPNPLA6遺伝子の関連やそれぞれの関連性について更なる知 見を得るためにも今後の症例の蓄積が必要である。

論文審査結果の要旨

1. 学位論文テーマの学術的意義 Boucher-Neuhäuser 症候群は遺伝性脊髄小脳変性症のうち、性腺機能低下および網脈略膜変性を伴 う疾患であり、現在までに世界でも30家系しか報告されていない。本研究において高紀信氏は、本 邦の2家系について解析をおこない、その原因遺伝子PLPLA6 の新規変異を同定した。PLPLA6 遺伝

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子の変異は、他にもGordon Holmes 症候群、spastic ataxia などの遺伝性疾患に見られる事が報告され つつある。したがって、新規変異の情報は、遺伝子産物の機能変化と症状との関係を明らかにする上 でも有用な情報となると考えられ、十分な学術的意義を有する。 2. 学位論文および研究の争点、問題点、疑問点、新しい視点等。 今回の研究は次世代シークエンサーを駆使した遺伝子変異の解析が中心であり、病因遺伝子の新規 変異を見いだしたことは評価される。今後は、PNPLA6 遺伝子の変異による遺伝子産物の機能変化の 解析等、角度を変えたアプローチが重要になるであろう。変異と症状との対応が明らかにされれば、 脊椎小脳変性症の理解が深まることが期待される。 3. 実験およびデータの信頼性 シークエンスデータが中心なので、実験に関しては特に問題は見受けられなかった。 4. 学位論文の改善点、等々。 提出された学位論文には修正すべき細かい点が認められた。修正した論文は委員長が確認の上、最終 的に合格と判断した。

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