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Title
象牙芽細胞におけるアルカリ刺激受容機構:反応性象牙
質形成機構の解明
Author(s)
木村, 麻記
Journal
歯科学報, 117(3): 253-253
URL
http://hdl.handle.net/10130/4280
Right
Description
水酸化カルシウム製剤や mineral trioxide aggregate(MTA)は,強いアルカリ性環境を作り出し反応性の 第三象牙質形成や象牙質橋形成を目的として使用されている。しかしながら,これら薬剤による象牙質形成の 詳細な細胞メカニズムについては不明である。本研究は高 pH 感受性感覚受容センサーである transient recep-tor potential ankyrin subfamily member1(TRPA1)チャネルに着目し,象牙芽細胞における高 pH 刺激の 受容機構とそれに関連する細胞膜・細胞内信号を検討した。 象牙芽細胞に高 pH 刺激を行うと細胞内 Ca2+ 濃度([Ca2+ ]i)が増加した。その[Ca2+]i増加は pH 依存性の 細胞外からの Ca2+ 流入とストアからの Ca2+ 放出によることが示された。加えてアルカリ刺激誘発性[Ca2+ ]i増 加は細胞外 Ca2+濃度依存性を示したことから細胞外 pH が高いほど細胞外 Ca2+濃度感受性が高くなることが 示された。加えて Ca2+ ストア枯渇後に細胞外に Ca2+ を投与すると Ca2+ release activated Ca2+ チャネルを介す る Ca2+ 流入(SOCE)を誘発した。SOCE は TRPA1チャネル阻害薬を含むアルカリ条件下で増加した。アル カリ刺激誘発性[Ca2+ ]i増加の減衰は Na+-Ca2+交換体抑制薬の投与で延長した。よって,アルカリ刺激は TRPA 1チャネルによって受容され,加えて SOCE を促進することで細胞内 Ca2+を増加させる。増加した細胞内 Ca2+ は Na+ -Ca2+ 交換体を介して排出されることが示された。
培養象牙芽細胞を用いて alizarin red 染色と von Kossa 染色を行った。その結果,象牙芽細胞による石灰化 は生理的,アルカリ条件下共に TRPA1チャネルが関与しておりアルカリ条件下で促進されることが示され た。 本研究で,象牙芽細胞がアルカリ刺激を受容することを明らかにした。象牙芽細胞において,アルカリ刺激 は TRPA1チャネル,SOCE 活性化による細胞外からの Ca2+ 流入とストアからの Ca2+ 放出を介した細胞内カ ルシウムシグナル経路を活性化する。したがって,水酸化カルシウム製剤や MTA を投与すると象牙芽細胞に アルカリ刺激が加わりそれを象牙芽細胞が受容することで象牙質形成を駆動することが示唆された。 <受賞論文>
High pH-sensitive TRPA1 activation in odontoblasts regulates mineralization.
Kimura M, Sase T, Higashikawa A, Sato M, Sato T, Tazaki M, Shibukawa Y. J Dent Res 2016;95⑼:1057−1064. ≪プロフィール≫ <略 歴> 平成19年3月 東邦大学大学院薬学研究科博士前期課程 (薬物治療学専攻)修了 平成19年4月 医療財団法人牧田総合病院入職薬剤部配 属 平成21年4月 東京歯科大学生理学講座受託研究員 平成22年4月 東京歯科大学生理学講座助手 平成25年4月 東京歯科大学生理学講座研究支援業務者 東京歯科大学生理学講座非常勤講師 平成26年4月 東京歯科大学生理学講座客員講師 平成27年4月 東京歯科大学生理学講座助教 現在に至る <受賞歴> 平成21年9月 第51回歯科基礎医学学術大会 優秀ポスター賞生理学部門受賞 平成22年7月 第5回トランスポーター研究会年会 優秀発表賞受賞 <研究テーマ> 象牙芽細胞の刺激受容と象牙質形成の機能連関の解明