IRUCAA@TDC : 日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究
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(2) 331. 番 著日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究* 舟 津 聡 松本歯科大学口腔解剖学第-講座 (指導:恩田千爾教授) 年12月1日受付) 年12月7日受理). Anatomical Study of the Ascending Palatine Artery in Japanese Subjects Sou FUNATSU Depa_rtment of Oral Anatomy, Matsumoto Dental College (Director : Prof. Senji Onda). 上行口蓋動脈は顔面動脈から,その起始部付近で生じ. いて同様に上行口蓋動脈の起始,経過および分布につい て記している。しかし,いずれの報吾においても,様々. 茎突舌筋と茎突咽頭筋の問を上行し上咽頭収縮筋と内側. な部位から生じ待る上行口蓋動脈の様相を考慮した編か. 翼突筋の問へと進む。そして,さらに上行して口蓋帆挙. な分楽および,その分幾に蓋づく出現頻度等の詳細な報. 筋の近くで二つの枝に分かれる。 1枝は上咽頭収縮筋の. 吾はなされていない。また,上行口蓋動脈の分枝につい. 上縁を輝えて屈曲し軟口蓋および口蓋腺を養い反対側の 同名枝や,大,小口蓋動脈と吻合し,他の枝は上咽頭収. ても,各々の枝の出現強度および,その分布領域につい. 縮筋を貫通し口蓋后桃あるいは耳管を養い,顔面動脈の. 顔面動脈の后桃枝,上行口蓋動脈,上行咽衰貢動脈,小口. 后桃枝や上行咽頭動脈の枝と吻合すると. 蓋動脈,舌動脈舌背枝および中硬膜動脈の枝等が分布す. 緒 言. ての詳編な報吾は見当たらない。さらに,口蓋后桃には. るといわれているが,それらの出現強度についての報吾. および上修11)らによって記載されている。 また,顔面動脈の后桃枝は内側巽実筋と茎突舌筋の間を. は為されていないかあるいは極めて不十分なものである。 また,ドイツ人において は上行口. 上行し口蓋后桃の高さで上咽頭収縮筋を貫き,口蓋后桃. 蓋動脈の起始,経過および分布について調べている。し. と舌根に分枝を与えるといわれている。 これに類似する報吾も数多く見られる は. かし,日本人との間の上行口蓋動脈の起始,経過等の異. 日本人成人123例を観察し上行咽頭動脈との関連で上行. 同についてはほとんど知られていない。そこで,本研究. 口蓋動脈の起始動脈を,また,そのうちの104例では上. は上記のように従来なされている報吾では禾十分であり. 行口蓋動脈の経過における茎突舌筋との位置的関係につ. 暖昧さを残していた部分を明確にすると共に,報吾の見. いて調べているO また は冒本人胎児7例につ. 当たらない上行口蓋動脈の分枝,各々の枝の出現頻度お よびその分布厘域を精査した。また. *本論文の要旨は第32回日本口腔科学会中部地方会(辛 成元年11月18日,松本),第51回日本解剖学会中部地方会 (平成3年9月28日,浜松),第33回松本歯科大学学会例 会(平成3年11月16日,塩尻),第97[司日本解剖学会総会 (平成4年4月2日,松山),第34回松本歯科大学学会総 会(平成4年6月13日,塩尻),第35回松本歯科大学学会 例会(平成4年11月7日,塩尻),第248回東京歯科大学学 会例会(平成5年3月13冒,千葉)において発表した。. 13)らによるドイツ人における報吾との比較考察を行な い,その異同についても明らかにした。 材料と方法 1.観察材料. -49-. 材料は松本歯科大学口腔解剖学第-講座所蔵の解剖実.
(3) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 332. 習に使用した標本で,ホルマリン10%溶夜と色素剤を大 腿動脈より庄入し アルコールで固定した日本人の 頭頚部67体132側(男性2体,各々左側および右側につい. 素剤の法人が良好であったと思われる標本を選んで剖出 し観察した(表2)o調査した標本の年麻,性別および観 察側については表1と表2に示した。 2.観察項目 1 )上行口蓋動脈の起始 (1)顔面動脈起始 (2)外蟹動脈起始 (3)舌動脈起始 (4)上行咽頭動脈起始. ては材料が剖検に不適当のために除いた)において上行 口蓋動脈の起始,経過および分枝等を調べた(表1)。ま た,上行口蓋動脈の枝や口蓋后桃に分布する枝について は血管が纏いので表1に示した材料の中から比較的,色 表1 観察材料1 個 *. 体. 数. 例. (5)舌・顔面動脈幹を作る場合の上行口蓋動脈の起始 2 )上行口蓋動脈起始部の外径 3 )薗面動脈起始部から上行口蓋動脈起始部までの距離. 数. # 男 性. 40 - 49. 1. 5O T 59. 3. 女 性. 計. 2. 右 側. 左 側. 計. 1. 1. 1. 2. 5. 5. 5. 10. 60 { 69. 7. 3. 10. 10. 10. 20. 70 - 79. 13. ll. 24. 23. 23. 46. 80 【89. 5. 16. 21. 21. 21. 42. 90 ll99. 1. 5. 6. 6. 6. 12. 計. 30. 37. 67. 66. 66. 132. 4 )内,外肇動脈分岐部より顔面動脈起姶郭までの距離 5 )上行口蓋動脈と茎突舌筋の位置的関係 6)上行口蓋動脈の分枝 付)后桃枝の起始動脈 3.観察方法 上行口蓋動脈の定義は起始部が一定しないので,経過 中,茎突舌筋の浅層あるいは深層を通り上咽頭収縮筋の. 表2 観察材料2 観 標本番号. 年. 性 麻 男. 別. 性. 察. 例. 上 行 口 蓋動 脈 の枝 女. 性. 右. 側. 左. 后 挑 に分 布 す る枝 側. 右. 側. 左. 側. 56. 68. ○. ○. ○. ○. ○. 131. 84. 〇. ○. ○. (⊃. ○. 149. 81. ○. ○. ○. ○. ○. 167. 83. ○. ○. ○. ○. ○. 175. 76. ○. ○. ○. ○. 180. 93. ○. ○. ○. ○. 203. 86. ○. ○. ○. ○. ○. 231. 87. ○. ○. ○. ○. ○. 233. 80. (⊃. ○. ○. ○. ○. 240. 78. 〇. ○. ○. 304. 84. 〇. 3 54. 70. 3 69. 79. 38 0. 〇. ○. ○. ○. ○. ○. 〇. ○. ○. ○. ○. 85. ○. ○. ○. ○. ○. 38 1. 77. ○. 386. 77. ○. 395. 64. 405. 80 計 合. 〇. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○. 13. 15. 16. 16. 18. 〇. 5 計. ○. 18. 31 50-. 34.
(4) 歯科学報. 94, No. 4 (1994). 333. 上線を越えるか,あるいは貫通して軟口蓋,鼻腔および. な,主だった変異を何ら示さない顔面動脈から生じるも. 口蓋后桃に分布する動脈を上行口蓋動脈とした。. のを顔面動脈の直接枝とした。それは顔面動脈起始80側 中67側 右側30側,左側37側)と大部分で観察され たo さらに,舌・顔面動脈幹より起始するものは右側の み1側 舌・顔面動脈幹より分かれた顔面動脈よ り生じるものは12側 右側7側,左側5側)であっ たo また,男性の場合,顔面動脈直接枝29側 舌. 観察は肉眼的に剖出して行った。計刺は 副 尺付ノギスを用いた。 また,外径については上行口蓋動脈の起始後直ぐの所 で計測した。 4.統計学的取扱い. ・顔面動脈幹より1側 そして動脈幹より分かれ た顔面動脈より4側 であり,女性の場合,顔面動 脈の直接枝38側 舌・顔面動脈幹より分かれた顔 面動脈より8側 であった。出現率において男女間 に有意な差は認められなかった(表4,図 。 2)外頚動脈起始. 計測値については統計学的処理法により,平均値,檀 準偏差 および標準誤差 を求めた。 平均値の比較による有意差の有無は,正規分布あるい はt分布により,割合の比較では2項分布による検定を 行った。. 外頚動脈起始は132側中31側 右側16イ臥 左側15 側)において観察された。 上行口蓋動脈が外頚動脈より直接分かれる場合,顔面 動脈の分岐部よりも上方で分岐するものは外頚動脈起始 31側中 右側7側,左側12側)と大部分を占 め,顔面動脈分岐部の後方より生じるものは右側のみ3 側 下方は6側 右側3側,左側3側)の出. 観察所見および結果 1.上行口蓋動脈の起始 上行口蓋動脈の起始および,その出場率については表 3に示した(表3)。 なお,上行口蓋動脈の欠如が11側 右側7側, 左側4側)で認められた。また,茎突舌筋の浅層あるい は深層を経過して軟口蓋及びその周囲に分布する動脈が. 現頻度であった。また,顔面動脈の下方で分かれるが上 行目蓋動脈が顎下腺へ分布する腺枝と共同幹をなすもの は右側のみ2側 上行目蓋・腺・オトガイ下動脈 幹を形成するものは右側のみ1側 で観察された。 これは顔面動脈の顛枝(上行口蓋動脈,腺枝,オトガイ 下動脈)および顔面枝(下唇動脈,上唇動脈,鼻背枝)が 外璽動脈より別々に分かれ顔面動脈が2本存在していた. 見当たらず,顎動脈あるいは上行咽頭動脈等の他の動脈 からの枝による分布も確かめることができなかったもの (5側 右側3側,左側2側でそうであった)は不 明として扱った。 1 )顔面動脈起始 顔面動脈起始は132側中80側 右側38側,左側42 側)において観察された。. 稀な例である。なお,男性の場合,顔面動脈の上方より 分岐するものは8側 下方より4側 腺・ 上行口蓋動脈幹および上行口蓋・腺・オトガイ下動脈幹 を形成するものは共に1側 であった。女性の場. 上行口蓋動脈の顔面動脈起始については,顔面動脈と 舌動脈が共同幹を形成する場合があるため 側中28側 右側13側,左側15側でみられた),共同幹を形 成しない,つまり,一般的に成書に記戴されているよう. 表3 上行口蓋動脈の起始. 男 右 側. 動 脈. .n. (% ). 性. 女. 左 側 n. (%. 計 ). n. (% ). 右 側 n. (%. 性 ==:計. 左 側 ). n. (%. ). n. (% ). 右 側 n. ( % ). 左 側 n. (%. ). n (%). 16 (55. 17) 18 (62.0 7) 34 (58.62) 22 (59.46) 24 (64.86) 46 (62.16) 38 (57. 58 ) 42 (63.64) 89(60. 61) 8 (27.59) 6 (2 0.69) 14 (24.14) 8 (2 1.62) 9 (24.32) 17 (22.97) 16 (2 4.2 4) 15 (22.73) 31 (23. 48) 外 棄 動 脈 1 ( 1.35) 2 ( 3. 03) 1 ( 1.52) 3( 2.27) 1 ( 3.45) 1 ( 3`45) 2 ( 3.45) 1 ( 2. 70) 舌 動 脈 顔 面 動 脈. 1 ( 3.45). 1 ( 上 72). 3 (10.34). 1 ( 3.45). 4 ( 6.90). 4 (10.8 1). 1 ( 3.45). 2 ( 6. 90). 3 ( 5.17). 2 ( 5.4 1). 上行咽頭動脈 上行口蓋動脈欠如 禾 明 計. 29. 29. 58. 37 -51. 1 ( 1.35). 3 ( 8.ll). 7 ( 9.46). 7 (10.61). 4 ( 6.06) ll( 8.33). 2 ( 2.70). 3 ( 4.55). 2 ( 3.03). 37 -. 2 ( 3.03). 1 ( 2.70). 74. 66. 66. 2( 1.52). 5( 3.79) 132.
(5) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 334. 表4 上行口蓋動脈の顔面動脈起始. 男 右 側. 動 脈. n. (% ). 鹿. 女. 左 側、 n. ( % ). 計 n. (% ). 右 側 n. ( % ). 性 左 側. n. (% ). 計 n. (% ). 右 側 n. (%. 左 側 ). n. (% ). 顔面動脈 直接枝 12 (75. 00) 17 (94.44) 29 (85.29) 18 (8 1.8 2) 20 (83.33) 38 (82.61) 30 (78.95) 3 7 (88. 10) 舌・顔面動脈幹 1 ( 6. 25) 1 ( 2. 94) 1 ( 2.63) 動脈幹の顔面動脈 3 (18. 75) 1 ( 5.56) 4 (1工 76) 4 (18. 18) 4 (16.67) 8 (17.39) 7 (18.42) 5 (ll.90) 16. 18. 34. 22. 24. 46. 図1顔面動脈起始(標本番号366右側 92歳女性). 図2 舌・顔面動脈幹起始(標本番号95右側 91歳男性) -52-. 38. 42. n (%) 67(83. 75) 1( 1.25) 12 (15. 00).
(6) 歯科学報. 335. 合,顔面動脈の上方より分岐するものは11側 後 口蓋動脈が外頚動脈から,顔面動脈分岐部の上方で起始 方3側 下方2側 であり,腺・上行口蓋動 する場合,顔面動脈は舌動脈と共同幹を作るものが19側 脈幹を形成するものは1側 であったo 出場頻度に 中15側 右側5側,左側10側)と高い頻度で認めら おいて男女間に有意差は認められなかった(表5)。上行 れた(表6,図 。 表5 上行口蓋動脈の外空貢動脈起始. 男 右 側. 動 脈. n. 顔面動脈 上方 顔面動脈 後方 顔面動脈 下方 腺・上行口蓋動脈幹 上行口蓋・腺・ オトガイ下動脈幹. 女. 性 左 側. (% ) n. 計. ( % ) n. 右 側. (% ). n. 性. 合 計. 計. 左 側. (% ) n. ( % ) n. 右 側. (% ) n. (% ). 左 側 n ( % ). 4 (50.00) 4 (66.6 7) 8 (57.14) 3 (37. 50) 8 (88.89) ll (64.71) 7 (43.75) 12 (8 0. 00) 3 (37. 50). 3 (17.65) 3 (18.75). n (%) 工29) 3( 9.68). 2 (25.00) 2 (33.33) 4 (28.57) 1 (12. 50) 1 (1工11) 2 (ll.76) 3 (18.75) 3 (2 0. 00) 6(19. 35) 1 (12.50). 1 ( 7.14) 1 (12. 50). 1 (12.50). 1 ( 7.14). 8. 6. 14. 8. 9. 1 ( 5.88) 2 (12.50). 2( 6.45). 1 ( 6.25). 1( 3.23). 17. 16. 15. 表6 外棄動脈の顔面動脈上方で起始する場合の舌・顔面動脈幹の有無. 男 右 側 n. 性. 女. 左 側. (% ). n. ( % ). 計 n. (% ). 2 (50.00). 3 (75. 00). 5 (62.50). 2 (50.00). 1 (25. 00). 3 (37.50). 4. 4. 8. 右 側 n. ( % ). 健 左 側. n. 3 (100. 0). 3. (%. 計 ). n. (%. 右 側 ). n. (% ). n. ( % ). 7 (87.50) 10 (90.91). 5 (71. 43) 10 (83.33 ). 1 (12.50). 2 (28. 57). 8. 1 ( 9.09) ll. 7. 図3 外頚動脈起始(顔面動脈上方) (標本番号188左側 71歳男性) - 53-. 左 側. 2 (16.6 7) 12.
(7) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 図4 外璽動脈起始(顔面動脈下方) (標本番号296右側 50歳男性). 図5 腺・上行口蓋動脈幹(標本番号251右側 74歳女性). 3)舌動脈起始 舌動脈起始は132側中3側 右側2側,左側1 側)において観察された。 舌動脈の置接枝は舌動脈起始3側中右側のみ1側 %,共同幹をなすものが同一個体の左右側2側で,腺・ 上行口蓋動脈幹を形成するものと上甲状腺・腺・上行口 蓋動脈幹を形成するものであった。特に後者は上甲状腺 ・舌動脈幹から分かれた舌動脈より腺・上行口蓋動脈幹 一 54. が分かれる報告の見当たらない稀な例であった(表7, 図 。. 4)上行咽頭動脈起始 上行咽頭動脈起始は132側中左側のみ2側 におい て観察された。 上行口蓋動脈が上行咽頭動脈と共同幹をなす場合は非 常に少なく,顔面動脈起始部の上方で外褒動脈より分か れている場合と顔面動脈起始郭の下方で分かれている場.
(8) 歯科学報 VoL. 図6 腺・上行口蓋動脈幹(標本番号179右側 66歳男性). 図7 上行口蓋・腺・オトガイ下動脈幹(標本番号242右側 74歳男性) 表7 上行口蓋動脈の舌動脈起始 男 動. 脈. 右 側 n. (%. 女. 性 左 側. ). n. (% ). 右 側. 計 n. (%. ). n. (%. 腺 . 上行 口蓋動脈 幹. 1 (100.0). 上 甲状腺 . 腺 . 上 行 目蓋 動 脈 幹. 1 (100. 0). 計. 1. 合. 左 側 ). 1 (100.0). 舌 動 脈 直 接 枝. 性. n. ( % ). 計 n. (%. ). 1 (100.0). n. (%. 2. ). n. (% ). 2. ( % ). 1 (33. 33) 1 (33. 33). 1 (50.00) 1. n. 1 (33.3 3). 1 (50.00) 1 (100.0). 1. 計. 左 側. 1 (5 0.0 0) 1 (50. 00). 1. 右 側. 計. 1. 3. 合が共に左側に1側ずつみられた(表8,図 ものが,共同幹を形成する28側中15側 右側5 5)舌・顔面動脈幹を作る場合の上行口蓋動脈の起始 側,左側10側)と多く見られ,次いで顔面動脈起始12側 舌・顔面動脈幹を作る場合,上行口蓋動脈は外蟹動脈 右側7側,左側5側),舌・顔面動脈幹起始は右 の直接枝となり舌・顔面動脈幹起始部の上方より起こる 側のみ1側 の慮度で観察された(表9)。 x 2検定を 55 -.
(9) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 図8 舌動脈起始(標本番号227右側 81歳女性). 図9 舌・腺・上行口蓋動脈幹(標本番号403左側 83歳男性) 行った結果,上行口蓋動脈の顔面動脈あるいは外璽動脈 起始と,舌・顔面動脈幹の有無の2つの属性の間には1 %の危険率で関係があることが認められた。すなわち, 上行口蓋動脈の起始は舌・顔面動脈幹の有無によって変 化し,無い場合は顔面動脈起始が,有る場合には外頚動 脈起始がより多くなる(黍lo)。 以上述べた上行口蓋動脈の起始について,観察標本 132側における各々の出場頻度は服に次のようになる。 顔面動脈起始 顔面動脈直接枝 舌・. 顔面動脈幹起始 舌・顔面動脈幹より分かれた顔 面動脈起始 外頚動脈起始 舌・顔面動 脈幹分岐部の上方起始 顔面動脈分岐郭の上方 起始 分岐部の後方起始 分岐部の下方起 始 腺・上行口蓋動脈幹工 上行口蓋・腺・ オトガイ下動脈幹 舌動脈起始 舌動脈直 接枝 腺・上行口蓋動脈幹 上甲状腺・腺 ・上行口蓋動脈幹 上行咽頭動脈起始 顔 面動脈分岐部の上方起始 分岐部の下方起始. -56 -.
(10) 歯科学報. 図10 上甲状腺・舌・腺・上行口蓋動脈幹(標本番号403右側 83歳男性) 表8 上行口蓋動脈の上行咽頭動脈起始. 男 右 側. 動 脈. n. 顔面動脈上方 顔面動脈下方. ( % ). 性. 女. 左 側 n. (%. 計 ). n. (% ). 右 側 A. ( % ). 性 左 側. n. (%. 汁 ). 1 (100.0) 1 (100.0) 1. n. (%. 右 側 ). n. (% ) .n. 1 (100.0). 1 (100.0) 1. 1. 左 側 (% ). n (%). 1 (50. 00). 1(50. 00). 1 (50. 00). 1(50. 00). 1. 2. t・上メ行口蓋動脈 ヽ. 、顔面動脈. 図11上行咽頭動脈起始(標本番号126左側,内側面 89歳女性) - 57 -.
(11) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 340. 表9 舌・顔面動脈幹を作る場合の上行口蓋動脈の起始. 男 右 側. 動 脈. n. ( % ). n. 顔 面 動 脈. 3 (50. 00). 舌・顔面動脈幹. 1 (16.67). 外 褒 動 脈. (顔面動脈上方). 性. 女. 左 側. 2 (33.33). 計. ( % ). n. 1 (25.0 0). (%. 右 側 ). 4 (40.00). n. (% ). 4 (57. 14). 3 (75. 00) 4. 5 (50.00). 3 (42. 86). 10. (%. ). 4 (36.36). n. (% ). 8 (44. 44). 7 (63.64) 10 (55. 56). 7. 始. 檀. 有. 計. 顔 面. 動 脈. 67. 13. 80. 外 頚. 動 脈. 16. 15. 31. 83. 28. 111. %)であった。 各々の上行口蓋動脈の起始の分岐型による分幾及びその 出場率については模式化した図を用いて明示した(図12)。 上行口蓋動脈の起始は,男性の場合,顔面動脈起始34 側 外褒動脈起始14側 舌動脈起始2側 および上行咽頭動脈起始1側 であった。女性 の場合,顔面動脈起始46側 外頚動脈起始17側 舌動脈起始および上行咽頭動脈起始は共に1側 の出現率を示した。 出場頻度において,左右側聞および男女間で有意差は 認められなかった。 なお,個体別にみて左右側の起始動脈が同一のもの は,顔面動脈起始では59体のうち21体 顔面動脈 直接枝47体中20体 舌・顔面動脈幹から分かれた 顔面動脈起始11体中1体 であり,外璽動脈起始で は28体のうち3体 顔面動脈分岐部上方起始17体 中2体 顔面動脈分岐部下方起始5体中1体 %)であった。舌動脈起始3体ではいずれも左右側の起 始動脈は異なり,上行咽頭動脈起始2体では反対側の上 行口蓋動脈は1体では欠如,他の1体では不明であっ 2.上行口蓋動脈起始部の外径 上行口蓋動脈が起始して直ぐの所で外径を計測した。 顔面動脈起始80側の平均値は 右側38側. 18. n. ( % ). 左 側 n. (% ). n (%). 7 (53.85). 5 (33.33) 12 (42. 86). 1 ( 7.69). 1( 3.57). 5 (38.46) 10 (66. 67) 15 (53. 57) 13. 15. れなかった。顔面動脈起始のうち,顔面動脈直接枝67側 では平均 右側30側 左側37側 舌・顔面動脈幹より分かれた顔面動脈起始12側 では平均 右側7側 左側5側 mm)であった(義 外空貢動脈より起始する上行口蓋動脈28側ではその外径. (庄)x2検定により表頭と表側の2つの属性の間には 1 %の危険率で関係があることが認められる。. た。. ll. 右 側. mm,左側42側 最大 鼻小 であった。なお,男性34側の平均値は 女性46 側の平均値は であり男女間に有意な差は認めら. 表10 上行口蓋動脈起始部と舌・顔面動脈幹の有無. 計. n. 計. 1 (10.00). 6. 起. 性 左 側. の平均値は 右側13側上 左側15側 最大 最小 であった。なお,男 性12側の平均値は 女性16側の平均値は mmであり,男女間に有意差は認められなかった。 また,外褒動脈起始のうち顔面動脈分岐部の上方で分 かれるもの19側ではその平均値は 右側7側 工 左側12側 下方で分かれる場合6 側では平均値は 右側3側 左側3側 工 であり,いずれの場合にも,上行口蓋動脈の 起始部の違いにより外径に有意な差は認められなかった (表12)。 3.顔面動脈起始部から上行口蓋動脈起始部までの距離 顔面動脈起始(全体)80側での平均値は 右側 38側 左側42側 最長 鼻 短O mmであったo顔面動脈起始のうち顔面動脈直接枝 67側では平均 右側30側 左側37側 最長 最短Ommであり,舌・顔 面動脈幹より分かれた顔面動脈より上行口蓋動脈が生じ る場合12側では,平均18, 右側7側 左 側5側 最長 鼻短 であっ た.顔面動脈直接枝の場合と舌・顔面動脈幹を作る場合 で,その平均値の間には1 %の危険率で有意差が認めら れた(義 なお,鼻短Ommというのは,顔面動脈の外聖動脈か. -58-.
(12) 歯科学報. 341. I.顔面動脈起始. % 6 7 0 5. 0.76% 9.09 %. II.外頚動脈起始. 十 、.「・ふ ll.36%. 1.52% 0.76%. 3.03%. Ⅳ.上行咽頭動脈起始. 舌動脈走始. I Phar.asc.. 0.76% 0.76%. 0.76%. I.顔面動脈起始 a.顔面動脈直接枝 例中67例) b.舌・顔面動脈幹蓮始 ( 1例) C.舌・顔面動脈幹より分かれた顔面動脈産地(12例) I.外頚動脈蓮始 d.舌.顔面動脈幹分岐蔀の上方蓮始 〈 15例) e.顔面動脈分岐蔀の上方蓮始 ( 4例) 後方産地 ( 3例) g. 〝 下方起始 ( 6例) h.腺・上行口蓋動脈幹 ( 2例) 主上宥口蓋・鹿.オトガイ下動脈幹 (1例). I.舌動脈蓮始 j.舌動脈直接枝 (1例) k.腺・上行目蓋動脈幹 ( 1例) 主上甲歌腺・腺・上行口蓋動脈幹( 1例) rV.上宥喝頭動脈蓮始 n.顔面動脈分岐蔀の上方蓮始 ( 1例) 下方起始 ( 1例). 図12 模式図による分岐型の分章及びその出現塵度 -59-.
(13) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 342. 表11上行口蓋動脈起始部の外径(顔面動脈起始) (単位 mm) . 右 動. 脈. 顔 面 動 脈 (全 体 ). 顔面 動脈直接枝. 舌 . 顔面動脈幹. 舌 .顔 面動脈幹 の 顔. 面. 動. 側. 左. 側. 合. 計. 性別. 脈. 最大. 最小. 0.05. 1.8. 0.5. 0.05. 2.0. 0.5. 0.35. 0.04. 2.0. 0.5. 1. 0 9. 0.30. 0.06. 1.8. 0.5. 工22. 1. 2 8. 0.21. 2.0. 0.5. 67. 1. 16. 0.35. 0.04. 2 ∴0. 0.5. 1. 1.50. 4. 1.28. 0.36. 0.18. 1 ∴6. 0.8. 0.12. 8. 1.08. 0.28. 0.10. 1.6. 0. 8. 0.10. 12. 1.14. 0.3 1. 0.09. 1.6. 0. 8. 例数. 平均. S .D .. S .E .. 例数. 平均. S .I) .. S .E .. 例数. 平均. S .I) .. S `E .. 男性. 16. 1.13. 0.37. 0.09. 18. 1.ll. 0.27. 0.06. 34. 1. 12. 0. 3 1. 女性. 22. 1.22. 0.28. 0.06. 24. 1.17. 0.44. 0.09. 46. 1. 2 0. 0. 3 7. 計. 38. 1.18. 0.32. 0.05. 42. 1.15. 0.37. 0.06. 80. 1. 16. 男性. 12. 1.06. 0.35. 0.10. 17. 1.ll. 0.28. 0.07. 29. 女性. 18. 1.24. 0.28. 0.07. 20. 1.21. 0.46. 0 . 10. 38. 計. 30. 1.17. 0. 3 2. 0.06. 37. 1.16. 0.39. 0.06. 男性. 1. 1. 5 0. 男性. 3. 1. 3 0. 0. 4 4. 0.25. 1. 1.20. 女性. 4. 1. 1 5. 0. 3 4. 0.17. 4. 1.00. 0.23. 計. 7. 1. 2 1. 0. 3 6. 0.14. 5. 1.04. 0.22. 表12 上行口蓋動脈起始部の外径(外頚動脈起始) (単位 mm) 右 動. 脈. 顔 面 動 脈 上 方. 顔 面 動 脈 後 方. 顔 面 動 脈 下 方. 左. 側. 合. 計 最大. 例数. 外 撃貢動 脈 (全 体 ). 側. 性別 平均. S .D .. S .E .. 例数. 平均. S .D .. S .E .. 例数. 平 均. S .D .. S .E .. 最小. 男性. 6. 1. 2 0. 0. 6 4. 0. 2 6. 6. 1. 2 5. 0.36. 0.15. 12. 1.23. 0.49. 0.14. 1.9. 0. 5. 女性. 7. 1. 14. 0. 3 5. 0. 1 3. 9. 1. 1 9. 0.73. 0.24. 16. 1.17. 0.31. 0.08. 上7. 0. 5. 計. 13. 1. 1 7. 0. 4 8. 0. 1 3. 15. 1. 1 5. 0.52. 0.13. 28. 1.16. 0.49. 0.09. 1. 9. 0. 5. 男性. 4. 1. 2 0. 0. 6 6. 0. 3 3. 4. 1. 2 0. 0. 4 3. 0.22. 8. 1.20. 0.52. 0.18. 1. 9. 0. 5. 女性. 3. 1. 17. 0 . 15. 0. 0 9. 8. 1. 13. 0. 2 5. 0.09. ll. 1.14. 0.22. 0.07. 上5. 0. 9. 計. 7. 1. 1 9. 0.4 7. 0. 18. 12. 1. 15. 0. 30. 0.09. 19. 1. 1 6. 0.36. 0. 0 8. 1. 9. 0. 5. 女性. 3. 1. 0 0. 0.50. 0.2 9. 3. 1. 0 0. 0.50. 0. 2 9. 1. 5. 0.5. 男性. 2. 1.20. 0.85. 0.6 0. 4. 1. 2 8. 0.51. 0. 2 6. 1. 8. 0.6. 女 性. 1. 1.50. 2. 1. 6 0. 0.14. 0. 10. 1. 7. 工5. 計. 3. 1.30. 6. 1. 2 2. 0 .8 4. 0. 3 4. 1. 8. 0.6. 0.62. 0.3 6. 2. 1. 3 5. 1. 1. 7 0. 3. 工13. 0.2 1. 1. 1 7. 0. 1 5. 0. 6 7. らの起始部で共に塗じているもので,顔面動脈管壁から 起始するものは顔面動脈起始として,そうでないものは 外頚動脈起始として扱った。 上行口蓋動脈が外報動脈より起始する場合,顔面動脈. (右側3側 左側3側 最長 mm,鼻短 であり,男性において,右側2側の 平均値は 左側2側の平均値は であ り,この左右側聞の平均値の差は5 %の危険率で有意で. の上方で起始するもの19側では,その平均値は (右側7側 左側12側 最長. 脈の上方で分かれるもののうち,舌・顔面動脈幹を形成 するもの15側では,その平均値は 形成しない. あった(表14)。なお,共同幹を形成する場合,その共同 幹の長さは上行口蓋動脈が顔面動脈から生じる場合13側 では平均 右側8側 左側5側8.9 最長 最短 外暫動脈起始15側 では平均 右側5側 左側10側 最長 鼻短 であった。 4.内,外蟹動脈分岐部より顔面動脈起始部までの距離 上行口蓋動脈が顔面動脈より起始する場合80側ではそ. もの4側ではその平均値は であったo顔面動脈 下方より分かれるもの6側ではその平均値は. の平均値は 右側38側 左側42側 最長 最短 であった。このう. mm,鼻短 である。また,この場合,男性8側 の平均値は 女性11側の平均値は であ り両者の平均値の間には5 %の危険率で有意差があり男 性に比べて女性の方が大きな値を示した。また,顔面動. -60-.
(14) 歯科学報. 343. 表13 顔面動脈起始部から上行口蓋動脈起始部までの距離(顔面動脈起始) (単位 mm) 右 動. 脈. 顔面動脈 (全体). 顔面動脈 直接枝. 舌 . 顔面動脈幹. 舌 . 顔面動脈幹 の 顔 面 動 脈. 側. 左. 側. 合. 計. 性別 例数. 平均. S .]〕.. S .E . 例数. 平均. S .D .. 男性. 16. 13.39. 6.65. 1.66. 女性. 22. 12.55. 6.00. 1.28. 18. 12. 78. 4. 98. 1.17. 24. 13.03. 6. 00. 1.23. 計. 38. 12.90. 6.21. 1.01. 42. 12.92. 5.52. 男性. 12. 13.29. 女性. 18. 10.93. 6.62. 1.91. 17. 12.30. 5.17. 1.22. 20. ll.63. 計. 30. ll.88. 5.80. 1.06. 37. ll.94. 男性. 1. 9.20. 男性. 3. 15.17. 8.78. 5.07. 1. 2 1.00. 女性. 4. 19.80. 3.87. 工93. 4. 20.03. 2. 18. 1. 09. 計. 7. 17.81. 6.27. 2.37. 5. 20.22. 1.93. 0. 87. 最長. 最短. 0. 99. 23.5. 2.0. 0. 88. 25.2. 0.0. 5.82. 0. 65. 25.2. 0.0. 12.71. 5.48. 1. 02. 22.5. 2.0. ll.30. 5.30. 0. 86. 22.5. 0.0. 67* ll.91. 5.38. 0. 66. 22.5. 0.0. S .E . 例 数. 平均. S .I).. S .E .. 34. 13.07. 5. 74. 46. 12.80. 5. 94. 0.85. 80. 12.9 1. 4.68. 1.14. 29. 5.52. 工23. 38. 5.0 9. 0.84. 1. 9.20. 4. 16.63. 7.74. 3.8 7. 23.5. 6.0. 8. 19.91. 2.9 1. 1. 03. 25.2. 16.0. 12* 18.82. 4.93. 1.42. 25.2. 6.0. (淫 の危険率で両者の平均値間に有意差あり 表14 顔面動脈起始部から上行口蓋動脈起始部までの距離(外褒動脈起始) (単位 mm) 右 動. 脈. 上 方 の うち舌 . 顔面動脈幹 あり. 上 方 の うち舌 . 顔面動脈幹 な し. 側. 合. 計. 平均. S .D .. S .E .. 例数. 平均. S .I) .. S .E .. 例数. 平均. S .D .. S .E .. 最小. 男性. 4. 6. 7 5. 3.57. 1.79. 4. 5.50. 3.24. 1. 62. 8*. 6.13. 3.23. 1. 14. 9. 5. 1. 5. 女性. 3. 6. 6 7. 2.26. 1.30. 8. 13.53. 6.75. 2.39. 11*. ll.65. 6.57. 1. 9 8. 2 1. 0. 0. 5. 計. 7. 6. 7 1. 2.84. 1.08. 12. 10.85. 6.89. 1. 99. 19. 9.33. 5.99. 1. 3 8. 2 1. 0. 0. 5. 男性. 2. 8. 8 5. 0.92. 0.65. 3. 5.17. 3.88. 2 . 24. 5. 6.64. 3.44. 1. 5 4. 9. 5. 2. 0. 女性. 3. 6.67. 2.26. 工 30. 7. 14.10. 7.08. 2 . 68. 10. ll.87. 6.89. 2 . 18. 2 1. 0. 0. 5. 計. 5. 7.54. 2.05. 0.92. 10. l l. 4 0. 7. 4 4. 2 . 35. 15. 10.13. 6.35. 1. 6 4. 2 1. 0. 0. 5. 男性. 2. 4.65. 4.46. 3.15. 1. 6.50. 3. 5.27. 3.33. 1. 9 2. 7. 8. 工5. 1. 9.50. 1. 9.50 1.5. 女性 計. 顔 面 動 脈 下 方. 左. 最大 例数. 顔 面 動 脈 上 方. 側. 性別. 2. 4.65. 4.46. 3.15. 2. 8.00. 2 . 12. 1. 5 0. 4. 6.33. 3.44. 上 72. 9. 5. 6.75. 3.89. 2.75. 2★ 26.25. 1. 0 6. 0.75. 4. 16.50. ll . 5 0. 5. 7 5. 27.0. 4.0. 2. 12.50. 0.7 1. 0. 5 0. 13.0. 12.0. 6. 15.17. 9 . 15. 3. 7 3. 27.0. 4.0. 男性. 2★. 女性. 1. 12.00. 計. 3. 8.50. 4.09. 2.36. 1. 13 . 0 0. 3. 2 1. 8 3. 7. 6 9. 4.44. (淫 の危険率で両者の平均値問に有意差あり ★ : 5 %の危険率で両者の平均値間に有意差あり ち,顔面動脈直接枝67側では平均 右側30側 左側37側 最長 最短2. 0 mmであった。また,男性29側の平均値は 女 性38側の平均値は であり,この男女間の平均値 の差は1%の危険率で有意であった。また,上行口蓋動 脈が舌・顔面動脈幹より分かれた顔面動脈から生じる場 合12側では平均値は 右側7側 左側 5側 最長 最短 であり,比 較的その距離は短いが顔面動脈直接枝のものと比べてそ. の差は有意ではなかった。 上行口蓋動脈が外頚動脈から生じるもの28側では,そ の平均値は 右側13側 左側15側 重義 最短 であり,そのうち, 顔面動脈分岐部の上方から生じるもの19側では平均 mm(右側7側 左側12側1工 最長 mm,最短 であり,顔面動脈分岐部下方からの もの6側では平均 右側3側 左側3 側 最長 鼻短 であったO. -1 61 I.
(15) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 344. 顔面動脈直接枝での,その距離の平均値 と外 よび顔面動脈分岐部下方起始6側の平均値 の間 璽動脈起始で顔面動脈分岐部上方から生じるもののうち には,それぞれ5 %および1 %の危険率で有意差が認め 舌・顔面動脈幹を形成するもの15側の平均値 お られた(義 表15 内外顛動脈分岐部より顔面動脈起始部までの距離(顔面動脈起始) (単位 mm) 右 動. 脈. 顔 面 動 脈 (全 体 ). 顔 面 動 脈 直接 枝. 舌 .顔面動 脈幹. 舌 .顔面動 脈幹 の 顔. 面. 動. 側. 左. 側. 合. 計. 性別. 脈. 鼻 長. 最 短. 1. 5 2. 38.0. 7.5. 工 15. 40.0. 2.0. 9 . 12. 1. 9 2. 40.0. 2.0. 2 1. 9 9. 9. 10. 1. 6 9. 38.0. 7.5. 16 . 2 6. 7. 9 4. 1. 2 9. 40.0. 2.0. 6 7 ★ 18 . 74. 9. 3 8. 1. 15. 40.0. 2.0. 例数. 平均. S .D .. S .E .. 例数. 平均. S .I) .. S .E .. 工90. 18. 20.44. 9.94. 2.34. 34. 2 1. 4 6. 8.85. 2.56. 24. 14 . 4 7. 8 . 19. 1. 6 7. 46. 15 . 7 7. 7. 8 2. 1. 4 3. 42. 17 . 0 3. 9.36. 1. 4 4. 80. 1 8 . 19. 7.46. 2. 15. 17. 20.76. 1 0 . 15. 2.46. 29*. 7.39. 1. 7 4. 20. 15 . 4 1. 8.50. 1. 9 0. 38*. 9.20. 1. 6 8. 37. 17 . 8 7. 9.55. 1. 5 7. 例数. 平均. S .I) .. S .E .. 男性. 16. 22.61. 7.60. 女性. 22. 14.46. ll.99. 計. 38. 19.47. 8.80. 男性. 12. 23.73. 女性. 18. 17.19. 計. 30. 19 . 8 1. 男性. 1. 26.00. 男性. 3. 17 . 0 0. 8 . 19. 4. 73. 1. 15 . 0 0. 女性. 4. 1 7. 18. 8.02. 4. 01. 4. 9.75. 4.5 7. 2. 2 9. 計. 7. 1 7. 10. 7.38. 2. 79. 5. 1 0. 8 0. 4.6 0. 2. 0 6. 1. 26.0 0. 4. 16 . 5 0. 6. 76. 3.38. 24.0. 8.0. 8. 13 . 4 6. 7. 2 3. 2 . 56. 29.2. 3.0. 12. 1 4. 4 8. 6. 93. 2 . 00. 29.2. 3.0. # &. 最短. (注 の危険率で両者の平均値問に有意差あり ★ :表16の*との間で5 %の危険率で両者の平均値問に有意差あり 表16の★との間で1 %の危険率で両者の平均値間に有意差あり. 表16 内外頚動脈分岐部より顔面動脈起始部までの距離(外頚動脈起始) (単位 mm) 右 動. 脈. 顔 面 動 脈 上 方. 顔面動 脈上 方 の うち 舌 . 顔 面動 脈 幹有 り. 顔面動 脈上 方 の うち 舌 . 顔 面動 脈 幹無 し. 顔 面 動 脈 後 方. 顔 面 動 脈 下 方. 左. 例数. 平均. 6. 2 5. 1 7. 7. 1 9. 96. 1 7. 32. 6.55. 計. 13. 2 2 . 36. 15 . 0 7. 男性. 4. 2 3. 75. 男性 外 肇 動 脈 (全 体 ). 側. 側. 合. 計. 性別. 女性. S .D .. S .E l. 例数. 平均. 12 . 94. 5.28. 6. 2 7. 50. S .D .. S .E .. 例数. 平均. S .D .. S .E .. 2 0.41. 8.33. 12 16. 26.33. 16.34. 4 . 72. 60.0. 1 0. 0. 16.71. 15.09. 3.77. 5 1. 0. 3. 2. 28. 2 0.83. 16.09. 3.04. 6 0. 0. 3. 2. 9. 1 4. 18. 13.62. 4.54. 4.18. 15. 1 9. 5 1. 17.33. 4.48. 14 . 30. 7.15. 4. 1 5. 50. 8.39. 4.19. 8. 19.63. ll.71. 4 . 43. 4 0. 0. 1 0. 0. 8. 9. 83. 4. 1 3. 1.46. ll. ll.46. 5.55. 工 67. 24.0. 5. 8. 19. 14.90. 9.36. 2.15. 4 0. 0. 5. 8. 女性. 3. 1 5. 83. 7. 42. 0.23. 計. 7. 2 0 . 36. l l. 7 7. 4.45. 12. l l. 68. 6.15. 1.78. 男性. 2. 21.25. 14 . 5 0. 10.25. 3. 1 6. 6 7. 9.87. 5.70. 5. 18.50. 10.37. 4.64. 3 1. 5. 1 0. 0. 女性. 3. 1 5 . 83. 7 . 42. 4.29. 7. 1 0 . 26. 4.26. 1.60. 10. 1上 93. 5.62. 1.78. 2 4. 0. 5. 8. 計. 5. 18.00. 9 . 43. 4.22. 10. 1 2 . 18. 6.58. 2.08. 15*. 14.12. 7.83. 2.02. 3 1. 5. 5. 8. 男性. 2. 26.25. 19.45. 13.75. 1. 12.00. 3. 21.50. 16.02. 9.25. 4 0 .0. 1 2. 0. 1. 6.80. 1. 6.80. 2. 9.40. 4. 17.83. 15.01. 7.50. 40.0. 6. 8. 3. 13.73. 16.71. 9.65. 33.0. 3. 2. 4. 39.75. 17.29. 8.65. 60.0. 1 8. 0. 2. 50.00. 1.41. 0.00. 51.0. 49.0. 6★ 4 3 . 1 7. 5.88. 0.14. 60.0. 18.0. 女性 計. 2. 26.25. 19.45. 13.75. 女性. 3. 13.73. 16.71. 9.65. 男性. 2. 28.00. 14.14. 10.00. 女性. 1. 51.00. 計. 3. 35.67. 1 6 . 62. 9.60. 2. 51.50. 1. 49.00. 3. 50.67. 3.68. 12.02. 4.98. (庄) 辛 :表15の★との間で5 %の危険率で両者の平均値問に有意差あり ★ :表15の★との間で1 %の危険率で両者の平均値間に有意差あり -62-. 2.60. 8.50. 0.10.
(16) 歯科学報. 345. 上行咽頭動脈起始は2側のみで,顔面動脈上方が1側 で,その距離は 顔面動脈下方が1側で mmであった。 5.上行口蓋動脈と茎突舌筋の位置的関係 上行口蓋動脈が顔面動脈より起始する場合では80側 [札 浅層を経過するもの39側 右側18側,左側21 側),深層を通るもの41側 右側20側,左側21側) であった.なお,顔面動脈起始のうち顔面動脈直接枝と なるもの67側では,浅層を経過するもの32側 深. 層35側 であり,舌・彦貢面動脈幹より分かれた顔面 動脈から起始するもの12側では浅層7側 深層5 側 であった(図 外頚動脈より起始する場合では28側中,浅層を通るもの は5側 右側1側,左側4側)と少なく,深層を通る ものは23側 右側12側,左側11側)と多くみられた。 全体では110側中,浅層を通るもの44側 右側19 側,左側25側),深層を通るもの66側 右側32側, 左側34側)の頻度であった(義. 上行口蓋動脈. 図13 上行口蓋動脈が茎突舌筋の浅層を経過している(標本番号369左側 79歳女性). 図14 上行口蓋動脈が茎突舌筋の深層を経過している(標本番号369右側 79歳女性) -63-.
(17) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 346. 表 上行口蓋動脈と茎突舌街との位置的関係(男性) 右 動. 脈. 浅 層 n. 顔. 動 脈. (全. (%. 左. 深 層 ). n. (%. 側. 浅 層 計. 舎. 深 層. 計. 浅 層. 深 層. 計. ). n. ( % ). n. ( % ). 計 n. (% ). n. (% ). 体). 7 (43.75). 9 (5 6 . 2 5 ). 16. 9 (5 0 . 0 0 ). 9 (5 0 . 0 0 ). 18. 1 6 (4 7. 0 6 ) 1 8 ( 5 2 . 9 4 ). 34. 顔 面 動 脈 直 接 枝. 5 (41.67). 7 (5 8 . 3 3 ). 12. 8 (4 7. 06 ). 9 (5 2 . 9 4 ). 17. 1 3 ( 4 4. 8 3 ) 1 6 ( 5 5 . 1 7 ). 29. 1 ( 10 0 . 0 ). 1. 1 (100.0). 1. 1 (3 3 . 3 3 ). 3. 1 ( 2 5. 0 0 ). 4. 舌. 面. 側. . 顔 面 動 脈 幹. 舌 . 顔面動脈幹の顔面動脈 外 蟹. 動. 脈. 2 (6 6 . 6 7 ). 1 ( 1 0 0. 0 ). 1. 3 ( 7 5. 0 0 ). (全. 体). 6 (1 0 0 . 0 ). 6. 6 ( 10 0 . 0 ). 6. 12 (100.0). 12. 4 (1 0 0 . 0 ). 4. 4 ( 10 0 . 0). 4. 8 ( 1 0 0. 0 ). 8. 2 (1 0 0 . 0 ). 2. 2 ( 10 0 . 0 ). 2. 4 ( 1 0 0. 0 ). 4. 1 ( 10 0 . 0 ). 1. 1 ( 1 0 0. 0). 1. 1 ( 10 0 . 0 ). 1. 1 ( 1 0 0. 0 ). 1. 16 (6 4 . 0 0 ). 25. 1 6 (3 4 . 0 4 ) 3 1 ( 6 5. 9 6 ). 47. 顔. 面. 動. 脈. 上. 方. 顔. 面. 動. 脈. 後. 方. 顔. 面. 動. 脈. 下. 方. 上 行 咽 頭 動 脈 (全 体) 顔. 面. 動. 脈. 上. 方. 顔. 面. 動. 脈. 下. 方. 計. 7 (3 1 . 8 2 ). 15 (6 8 . 1 8 ). 9 (3 6 . 0 0 ). 22. 表 上行口蓋動脈と茎突舌筋との位置的関係(女性) 右 動. 脈. 側. 浅 層. 左. 深 層. 側. 浅 層. 深 層. 計 n 顔. 脈. (全. ). n. 計. 浅 層. 深 層. 計. ( % ). n. ( % ). n. ( % ). 計 n. ( % ). n. (% ). 体). l l (5 0 . 0 0 ). l l (5 0 . 0 0 ). 22. 12 (5 0 . 0 0 ). 12 (5 0 . 0 0 ). 24. 2 3 (5 0 . 0 0 ) 2 3 ( 50 . 0 0). 46. 顔 面 動 脈 直 接 枝. 9 (5 0 . 0 0 ). 9 (5 0 . 0 0 ). 18. 10 (5 0 . 0 0 ). 10 (5 0 . 0 0 ). 20. 1 9 (5 0 . 0 0 ) 1 9 ( 50 . 0 0). 38. 舌 . 顔面動脈幹の顔面動脈. 2 (50.00). 2 (5 0 . 0 0 ). 4. 2 (5 0 . 0 0 ). 2 (5 0 . 0 0 ). 4. 4 (5 0 . 0 0 ). 4 ( 50 . 0 0 ). 8. 外 頚. 1 (14.29). 6 (8 5 . 7 1 ). 5 (5 5 . 5 6 ). 9. 5 (3 1. 2 5 ). l l ( 68 . 75 ). 16. 5 (6 2 . 5 0 ). 8. 3 (2 7 . 2 7 ). 8 ( 72 . 73 ). ll. 3 ( 10 0 . 0 ). 3. 舌. 面 動. (%. 合. . 顔 面 動 脈 幹. 動. 脈. (全. 体). 7. 4 (4 4 . 4 4 ). 顔. 面. 動. 脈. 上. 方. 3 (1 0 0 . 0 ). 3. 3 (3 7 . 5 0 ). 顔. 面. 動. 脈. 後. 方. 3 (1 0 0 . 0 ). 3. 顔. 面. 動. 脈. 下. 方. 1 (100.0). 1 (1 0 0 . 0 ). 1. 1. 上 行 咽 頭 動 脈 (全 体). 1 (1 0 0 . 0 ). 顔. 面. 動. 脈. 上. 方. 1 (1 0 0 . 0 ). 顔. 面. 動. 脈. 下. 方 18 (5 2 . 9 4 ). 計. 1 2 ( 4 1 . 3 8 ) 1 7 (5 8 . 6 2 ). 1 6 (4 7 . 0 6 ). 29. 2. `0). 1. 1 ( 10 0 . 0 ). 1. 1. 1 ( 10 0 . 0 ). 1. 34. 2 8 (4 4 . 4 4 ) 3 5 (5 5 . 5 6 ). 63. いは外頚動脈から起始するかによって,その経過にも大. ○. 上行口蓋動脈が顔面動脈より起始する場合, 80側中浅 層を経過するものは39側,輝層を経過するものは41側, 外報動脈起始の場合, 31側中浅層6側,深層25側で,こ の値をx2検定を行った結果,顔面動脈起始あるいは外 報動脈起始と,茎突舌筋の浅,深層経過の2つの属性の 間には1 %の危険率で関係があることが認められた。す なわち,上行口蓋動脈が顔面動脈より起始するか,ある. きな違いがみられ外頚動脈起始では顔面動脈起始に比べ 深層を経過するものが非常に多く観察された(表18)。 6.上行口蓋動脈の分枝 17体31側(左側の1側および右側の1側については上 行口蓋動脈は欠如し,さらに右側の1側については剖検 に不適当のために除いた)を詳細に調べ,次の枝がある ことが分った。. -64一.
(18) 歯科学報. 347. 表 上行口蓋動脈と茎突舌筋との位置的関係(男性+女性) 右 動. 脈. 側. 浅 層 n. 左 浅 層. 深 層. (% ). n. 側. n. (% ). n. 計. 浅 層. 深 層. 計 (% ). 舎. 深 層. 計 (% ). n. (% ). n. 計 (% ). 顔 面 動 脈 (全 体) 18 (47.37) 20 (52.63). 38. 21 (50.00) 21 (50.00). 42. 39 (48.75) 41 (51.25). 80. 顔 面 動 脈 直 接 枝 14 (46.67) 16 (53.33). 30. 18 (48.65) 19 (51.35). 37. 32 (47.76) 35 (52.24). 67. 舌 . 顔 面 動 脈 幹. 1 (100.0). 1. 舌.顔面動脈幹の顔面動脈. 4 (57.14). 3 (42.86). 7. 外 頚 動 脈 (全 体). 1 ( 7.69) 12 (92.31). 13. 顔. .面 動 脈 .上 方. 7 (100.0). 7. 顔 面 動 脈 、後 方. 3 (100.0). 3. 2 (66.67). 3. 強 面 動 脈 下 方. 1 12. 5. 4 (26.67) ll (73.33). 15. 5 (17.86) 23 (82.14). 28. 3 (25.00). 12. 3 (15.79) 16 (84.21). 19. 3 (100.0). 3. 4 (66.67). 6. 3. 上 行咽 頭 動脈 (全 体). 2 (100.0). 2. 2 (100.0). 2. 顔 面 動 脈 上 方. 1 (100.0). 1. 1 (100.0). 1. 顔 面 動 脈 下 方. 1 (100.0). 1. 1 (100.0). 1. 25 (42.37) 34 (57.63). 59. 19 (37.25) 32 (62.75). 1 (33.33). 9 (75.00). 7 (58.33). 5 (41.67). 2 (40.00). 2 (66.67). 計. 1 (33.33). 3 (60.00). 1 (100.0). 51. 2 (33.33). 44 (40.00) 66 (60.00) 110. 表 上行口蓋動脈と茎突舌筋との位置的関係(総括). 」. 男 右 側. 位 置. n 浅 層 深 層. (%. 性. 左 側 ). n. 7 (31.82). 女 計. (% ). n. (%. 右 側 ). n. (% ). 性. 左 側 n. (% ). 計 n. ( % ). 右 側 n. (%. 左 側 ). n. (%. ). n (%). 9 (36.00) 16 (34.04) 12 (41.38) 16 (47. 06) 28 (44.44) 19 (37.25) 25 (42.37) 44(40. 00). 15 (68. 18) 16 (64.00) 3 1 (65.96) 17 (58.62) 18 (52. 94) 35 (55.56) 32 (62.75) 34 (57.63) 66(60. 00) 25. 22. 47. 29. 34. 浅層. 深層. 計. 顔 面 動脈. 39. 41. 80. 外 撃貢動 脈. 6. 25. 31. 計. 45. 66. 111. 51. 59. (5)咽頭枝 (6)后桃枝 (7)鼻枝 (8)軟口蓋枝 これらの枝の出現頻度は軟口蓋枝が最も多く. 表18 上行口蓋動脈起始部と茎突舌筋との位置 起始. 63. 内側巽突筋部(内側某突筋内面を経過する問に分かれ る枝) (1)后桃枝 (2)茎突舌筋,茎突咽頭筋枝. 次いで鼻枝と内側巽突筋枝が共に そして咽衰貢部の 后桃枝が の服であった。 なお,各々の枝の分枝及びその出現頻度については模 式図を用いて明示した(図15)。 (1)后桃枝 后桃枝が上行口蓋動脈の起始部近くで生じる場合,上 行口蓋動脈は茎突舌筋を越える前,あるいは越えて直ぐ にこの枝を分岐する。この部分で分かれる后桃枝は31側. (3)咽頭枝 (4)内側巽突筋枝 咽頭部(上咽頭収縮筋の上線を越えるか貫いた後,堰 頭で分かれる枝). 中5側 右側15側中3側,左側16側中2側)で観察 されただけであるo この枝は少し前上方へ経過して咽頭 壁を薯き舌椴部および口蓋后桃に分布していた。なお, この枝は上行口蓋動脈が外褒動脈から顔面動脈分岐部の. (庄) x2検定により表頭と表側の2つの属性の間には 1 %の危険率で関係があることが認められる。. -65-.
(19) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 348. 及び上行咽頭動脈の枝も分布することが観察された.. 咽頭壁 /. (4)内側翼突筋枝. /. 鼻枝. 上行口蓋動脈は内側翼突筋の直ぐ内側を経過するた. ∫. 欧口蓋枝-・. ∫. め,内側美突筋枝の出場率は非常に高く31側中28側 咽頭枝. %(右側15側中14側,左側16側中14側)で観察された。し かも数本の枝が分かれていた。上行口蓋動脈からの内側. 扇桃枝l. 葉突筋枝の欠如例では顔面動脈あるいは外暫動脈からの 直接枝,上行咽頭動脈の枝及び顎動脈の掌突筋枝がその. 咽頭枝. 代償をしていた。 (5)咽頭枝(咽頭部). 28 (90.32). 咽頭部で分かれる咽頭枝は,上行口蓋動脈が咽頭壁を 貫いて直ぐに分かれる枝で,咽頭壁の前方より後方へ反. .咽頭枝. 転して分布していた。この枝は31側中左側のみ3側9.7. I-一茎突舌筋. %に認められ.内側葉突筋部の咽頭枝よりも低率であっ たO咽頭枝が内側巽突筋部あるいは咽頭部のいずれかに 存在するものは16側 で認められた。 (6)后桃枝 咽頭部で分かれる后桃枝は軟口蓋枝や鼻腔へ向かう枝 と分かれて下行し口蓋后桃及び咽頭壁に分布していた。 (庄) * :観察標本31側中の出現例数および百分率を示 した。. 出現率は31側中16側 右側15側中7側,左側16側 中9側)であったo なお,内側業突筋部と咽頭部のいず. 図15 上行口蓋動脈の分枝. れかに后桃枝を有するものは右側10側,左側10側,計20. 上方で起始する場合には全くみられなかった。なお,こ. 側 と高率であるが両部位にあるものは左側に1側 観察されただけであった。 (7)鼻枝. の枝が発育が尋飢\かあるいは欠如する際には顔面動脈か らの直接枝によって代償されていた。. この枝は軟口蓋へ行く枝と上行口蓋動脈の終枝を形成. (2)茎突舌筋,茎突咽頭筋枝. し鼻腔へと上行し咽頭上部の口蓋帆挙筋等の深部の筋肉. 上行口蓋動脈が茎突舌筋付近を経過する際に分かれる. 及び鼻腔の後方に分布していた.出現率は31側中28側. 枝で31側中15側 右側15側中6側,左側16側中9. 右側15側中13側,左側16側中15側)と高い頻度で. 側)で観察され,茎突舌筋及び茎突咽頭筋には1本ある. 観察された。この枝及び軟口蓋枝の分布領域には上行咽頭. いは数本の枝が分布していた。この他,茎突舌筋や茎突. 動脈の枝が分布することも比較的多くの例で観察された。 (8)軟口蓋枝. 咽頭筋には顔面動脈や外頚動脈の直接枝,上行口蓋動脈 の枝の咽頭枝あるいは内側巽突筋枝の枝が分布すること も観察された。. 上行口蓋動脈が鼻枝と分かれて水平に前方へ経過し, 口蓋帆挙筋,口蓋帆張筋,口蓋垂筋等の軟口蓋を構成す. (3)咽豆貢枝. る筋肉及びその周囲組織に分布していたO出現率は31側. 咽頭枝は上行口蓋動脈の経過中,様々な部位で分かれ. 中30側 右側15側中14側,左側16側中16側)で,ほ. 数も多い。内側葉突筋枝の分岐前に分かれるものは31側. とんどのものにみられた。欠如した1側では上行咽頭勤 脈の枝によって代償されていた。. 中10側 右側15側中6側,左側16側中4側),分岐 後に分かれるものは31側中6側 右側15側中2側,. なお,各々の枝の出現頻度において左右側聞で有意な. 左側16側中4側)で認められた。このうち,前,後の両. 差は認められなかった(表19)。. 部位で分かれるものは右側の1側のみである。これらの. 付,后桃枝の起始動脈 18体34側(右側の2側については剖検に不適当のため. 枝は直ちに咽頭壁中に入り咽頭壁を構成する咽頭収縮筋 及びその周囲に分布していたo なお,咽頭壁には他に内. に除いた)を調査し次の結果を待たo. 側翼突筋枝,后桃枝からの綿枝,外頚動脈からの直接枝 - 66 -. 口蓋后桃に分布する后桃枝は上行口蓋動脈の枝が最も.
(20) 歯科学報. 349. 表19 上行口蓋動脈起始部と枝の起始郭 上 行 顔 面 動 脈 蕃 接 枝. 口 蓋 動 脈. の 起 始. 舌. 顔面動脈幹の顔面動脈. 外褒動 脈(上). 合. 計. 枝の起始部. 后. 桃. 枝. 右 側. 左 側. 計. 右 側. 左 側. 計. 左 側. n (% ). n (% ). n (% ). n (% ). n (% ). n (% ). n (% ). 2 (18.18) 1 (12.50) 3 (15.79) 1 (25.00) 1 (50.00) 2 (33.33). 内 側 茎 突 舌 筋 枝 4 (36.36) 翠 咽 頭 枝 4 (36.36) 突 筋 内側翼突筋枝 10 (90.91) 部 咽 頭 枝 2 (18.18). 咽 頭 部. 咽. 頭. 枝. 后. 桃. 枝. 右 側. 左 側. n (% ) n (% ). 計 n (% ). 3 (20.00) 2 (12.50) 5 (16.13). 6 (75.00) 10 (52.63) 2 (50.00) 2 (100.0) 4 (66.67) 1 (16.67) 6 (40.00) 9 (56.25) 15 (48.39) 2 (25.00) 6 (3上58) 2 (50.00) 1 (50.00) 3 (50.00) 1 (16.67) 6 (40.00) 4 (25.00) 10 (32.26) 6 (75.00) 16 (84.21) 4 (100.0) 2 (100.0) 6 (100.0) 6 (100.0) 14 (93.33) 14 (87, .50) 28 (90.32) 1 (12.50) 3 (15.79). 3 (50.00) 2 (13.33) 4 (25.00) 6 (19.35). 1 (12.50) 1 ( 5.26). 2 (33.33). 3 (18.75) 3 ( 9.68). 5 (45.45) 5 (62.50) 10 (52.63) 2 (50.00) 2 (100.0) 4 (66.67) 2 (33.33) 7 (46.67) 9 (56.25). 上61). 鼻. 枝 10 (90.91) 7 (87.50) 17 (89l47) 3 (75.00) 2 (100.0) 5 (83.33) 6 (100.0) 13 (86.67) 15 (93.75) 28 (90.32). 軟. 口 蓋 枝 10 (90.91) 8 (100.0) 18 (94.74) 4 (100.0) 2 (100.0) 6 (100.0) 6 (100.0) 14 (93.33) 16 (100.0) 30 (96.77). 上行口蓋動脈. ll. 8. 19. 4. 2. 6. 6. 15. 16. 31. (庄)内側美突筋部あるいは咽頭部のいずれかに分岐しているものは咽頭枝16側 后桃枝20側 である。. 多く34側中19側 右側16側中10側,左側18側中9 側)の強度で観察された.このうち,上行口蓋動脈が顔 面動脈から直接起始するものでは19側中12側 舌. の起始動脈について次のように記している。顔面動脈起. ・顔面動脈幹の分かれた顔面動脈からの起始では6側中 5側 外報動脈起始では6側中2側 の出現 率を示した。 次いで,上行咽頭動脈8側 右側16側中4側, 左側18側中4側),顔面動脈からの直接枝7側 右 側16側中3側,左側18側中4側),外褒動脈3側. 始1例 である。この値と筆者の調査した値を比べ. (右側16側中1側,左側18側中2側),舌動脈は左側のみ 2側 そして舌・顔面動脈幹は左側のみ1側 の 出場頻度で観察された。口蓋后桃に分布する枝が見当た らないものは不明として扱い,右側に2側 認めら れたo上行口蓋動脈が外頚動脈から起始する場合には, 顔面動脈起始に比べて顔面動脈からの直接枝が后桃に分 布することが比較的多く認められた(外頚動脈起始では6 側中4側 顔面動脈直接枝では19側中1側 。 また,口蓋后桃が単一の動脈からの枝によって主とし て分布されていたものは34側中23側 で,複数の動 脈からの后桃枝によって養われていたものは34側中9側 であった(表20,図 一 一. 始85例 外頚動脈起始26例 上行咽頭動脈 起始10例 後項動脈起始1例 および舌動脈起 てみると上行咽頭動脈から生じるものは5倍以上の頻度 で観察されかなり多い。これは が上行口蓋動 脈と上行咽頭動脈の分岐部と経過のみを観察し分布部位 を調査しなかったため上行咽頭動脈が2本ある場合も含 めているのではないかと考えられる。あるいば らも述べているように上行咽頭動脈の枝が 頭蓋底から弓状に下行し軟口蓋等に分布するような例も 少なからず観察され らは50例中4 例 で観察している),このようなものも上行口蓋動 脈とみなしていることによるのかもしれない。いずれに しても上行口蓋動脈の定義については明記されていない ので比較は為し難い は胎児7例について調査 し顔面動脈起始4例 外褒動脈起始2例 お よび上行咽頭動脈起始1例 と記している.筆者の 調査した値と似ているが例数が少なく,また,起始動脈 のみの調査であるので,その報告を蓋にして成人と胎児 との比較考察は行ない歎い。また,顔面動脈は舌動脈と 共同幹を形成することが比較的高頻度でみられる。従来. 一 〇. の幸匡告にみられる,顔面動脈から起始するという表現で は共同幹から分かれた顔面動脈から生じたものなのか,. 考 察. それとも共同幹をつくらない顔面動脈から起始したもの. 1.先人の報害した日本人との比較. なのかが明らかではない。共同幹を形成しない顔面動脈. 1 )上行口蓋動脈の起始動脈 は日本人成人123例を観察し,上行口蓋動脈. から生じるもの(顔面動脈直接枝として分致したもの)は. - 67 --.
(21) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 350. 表20 上行口蓋動脈の起始と后桃枝 上 行 口 蓋勤 脈 の 起始 顔 面 動 脈 直 接 枝 高. 跳. 舌 . 顔面動脈幹の顔面動脈. 贈 動脈(月. 右 側 n (% ). 左. 側. n (% ). 左 側. 計. 左 側. 右 側. 左 佃. 計. 右 側. 左 側. 計. a (% ). 負(% ). 負(% ). 負(% ). 負 (% ). 負 (% ). 負 (% ). n (% ). n (% ). n (% ). 負 (% ). 7 (63.64) 5 (62.50) 12 (63.16) 3 (75.00) 2 (100.0) 5 (83l33) 2 (33.33) 3 (27.27) 1 (12.50) 4 (21.05) 1 (25.00) 1 (50-00) 2 (33.33). 顔 面 動. 脈. 1 ( 9.09). 外 頚 動. 脈. 1 ( 9.09) 2 (25.00) 3 (15.79). 舌. 脈. 1 (12.50) 1 ( 5.26 ). 1 ( 5.26) 1 (25l00). 10 (62.50) 9 (50.00) 19 (55.88) 2 (100.0) 2 (66-67) 4 (25.00). 1 (16.67) 4 (66-67) 1 (100.0). 1 ( 6.25) 2 (1工11) 3 ( 8-82) 2 (ll.ll) 2 ( 5-88). 1 (16l67). 1 ( 5.56) 1 ( 2.94). 2 (10.53 ). 2 (18.18). `22) 8 (23-53). 1 (33.33) 3 (18.75) 4 (22.22) 7 (20.59). 1 (50.00) 1 (33.33). 舌 . 顔面動脈幹 明. 計. 右 側. 上 行咽 頭 動 脈. 不. 合. 計. 上行 口蓋 動 脈. 動. 上 行 口蓋 動 脈 欠 如. 枝. 2 (12.50). 2 ( 5.88). 単 一枝 の 分 布. 6 (54-55) 7 (87.50) 13 (68.42) 3 (75.00) 1 (50l00) 4 (66.67) 5 (83.33) 1 (100.0) 1 (50.00) 2 (66.67) 10 (62.50) 13 (72.22) 23 (67-65). 複 数枝 の分 布. 3 (27.27) 1 (12.50) 4 (2 1.05) 1 (25.00) l (50l00) 2 (33.33) 1 (16.67). 調 蚕. 例 数. ll. 8. 19. 4. 2. 6. 6. 1 (50.00) 1 (33.33) 4 (25.00) 5 (27-78) 9 (26-47) 1. 2. 3. 16. 18. 34. 図 上行口蓋動脈后桃枝(標本番号395右側,外側面 64歳男性) 成書あるいは先人の報吾に述べられている顔面動脈起始. 上行口蓋動脈は茎突舌筋の浅層を経過することが比較的. という表現があてはまるものと思われるが,このような. 高額度でみられる。反対に,上行口蓋動脈が外頚動脈よ. 例は実際はあまり一般的にみられるものではなく132側. り顔面動脈の分岐部下方で起始する場合には顔面動脈は. 中67側 とはぼ半数で観察されただけである。. ほとんどの例で,総てではないが,高位分岐する。以上. また,舌・顔面動脈幹を形成するものでは内,外蟹動. のことからも,一つの動脈の動態を調べる場合にはその. 脈分岐部から共同幹起始部までの距離は短く,より低位. 親動脈の動態も考慮にいれた,より細かな分幾を行なっ. で分岐するようになり,それとともに上行口蓋動脈の外. ておく事が必要ではないかと思われる。. 蟹動脈起始も多く認められるようになるo また,上行口. また,動物での上行口蓋動脈の起飴について中島ら16). 蓋動脈が顔面動脈から生じる場合にも顔面動脈起始部か. はラットでは舌動脈より鼻も多く分岐し,次いで外空貢動. ら上行口蓋動脈起始部までの距離は共同幹を形成するこ ともあり,より長くなる.そして,そのような場合には. 脈,顔面動脈の服であり, -ムスターでは外璽動脈が最 も多く,次いで舌動脈,顔面動脈の服,ウサギでは総て 68.
(22) 歯科学報. 351. 図 上行口蓋動脈后桃枝(標本番号395右側,内側面 64歳男性). 図 上行咽頭動脈后桃枝(標本番号180左側,外側面 93歳女性). 2 )上行口蓋動脈と茎突舌筋の位置的関係. 顎動脈の枝であると記している。また はサルを調査し上行口蓋動脈は舌・顔面動脈 幹から生じると述べているoサルの分岐形態はヒトに近 いものではないかと患われる。この事からも,様々な動 物との比較を行うことはヒトで認められる動脈の様々な 分岐形態を考察するうえに,また,機能との関連を明ら かにする為にも非常C.こ有用なことだと考えられる。. は上行口蓋動脈の経過について104例を観察 し,茎突舌筋の浅層42例 茎実舌筋筋束を貫くも の3例 茎突舌薪と茎突咽頭筋の間54例 お よび茎突咽頭筋の深層2例 と記している。筆者は 茎突舌筋の浅層と深層の2つに分けて観察した。すなわ ち,茎突舌筋を貫くもの,茎突舌筋と茎突咽頭筋の間を 経過するものを総て深層経過とした。それは茎突舌筋の. -69-.
(23) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 図 上行咽頭動脈后桃枝(標本番号180左札 内側面 93歳女性). 図18- 1顔面動脈后桃枝(標本番号240右酢 外側面 78歳女性). 発育がまちまちで茎突咽頭筋との区別のはっきりしない 筋束がみられたからである。. 脈より分かれる場合に比べ浅層を経過する強度が高くな る。また,上行咽頭動脈より分かれる場合は浅層を経過. の報吾における筋束を貫くもの,茎突舌筋. するものはなく総て深層を経過するO上行口蓋動脈は蟹. と茎突咽頭筋の間および茎突咽頭筋の深層を経過するも. 部の後方で分岐する程,茎突舌筋の深層を通る率が高く. のを総て茎突舌筋の深層を経過するものとすれば,その. なると考えられる。. 塵度は59例 となり筆者の浅層経過 深層60%. 3)后桃枝の起始動脈. とほぼ同頻度となる。. 口蓋后桃への動脈分布は浅野3)が胎児20例について学. 上行口蓋動脈が顔面動脈より分かれる場合には外頚動. 会で発表したものが最も詳純な報吾である。すなわち,. - 70-.
(24) 歯科学報. 353. 舌. 図 顔面動脈后桃枝(榎本番号240右側,内側面 78歳女性). 上脊口蓋動脈. 図 外空貢動脈后桃枝(標本番号354左側,外側面 70歳男性). 小口蓋動脈 外頚動脈 上行口蓋動脈 顔. 背枝( 1例)を挙げている。谷口20)も胎児を調べ同様の報. 面動脈后桃枝 舌動脈の舌背枝 上行咽頭動. 吾を行っているが調査例数は不明である.. 脈咽頭枝 および上喉頭動脈の直接枝10%と記して. それらの値は筆者の調査した値に比べて,上行口蓋動. いるが,各々の動脈の調委例数が一定せず出現率も不明. 脈および上行咽頭動脈の出場率が非常に高率であるが調. 瞭である。. 査例数が少ないこともあり,それが成人と胎児の年麻の は胎児25例を調査し上行口蓋動脈と上行咽. 達いによるものなのかどうかは不明である。. 頭動脈に加えて顔面動脈后桃枝(16例)および舌動脈の舌 -71. -.
(25) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 図 外撃貢動脈后桃枝(標本番号354左側,内側面 70歳男性). 図 舌動脈后桃枝と上行口蓋動脈后桃枝(標本番号395左側,外側面 64歳男性). 2.他人種との比較 1 )上行口蓋動脈の起始動脈 ドイツ人を調査した によると上行 口蓋動脈は50側中,顔面動脈より起始するもの31側62 %,そのうち舌・顔面動脈幹から生じるものは4側であ り,さらに,外空貢動脈の直接枝13側 上行咽頭動脈 と共同幹をなすもの2側4%の頻度で観察している。筆 者の調査した値とほぼ同様である。また,外頚動脈より. 起始するもの及び上行咽頭動脈と共同幹を形成するもの の出現率はやや高いが有意な差であるとは思われない。 また は顔面動脈,時に外撃貢動 脈や上行咽頭動脈から起始すると記している。すなわ ち,ヒトではいずれの報吾も上行口蓋動脈は顔面動脈よ り最も多く起始している。 筆者はこの他 の認めていない舌 動脈より分岐する上行口蓋動脈など7側 を認め. - 72-.
(26) 歯科学報. 355. 図20- 2 舌動脈后桃枝と上行口蓋動脈后桃枝(標本番号395左側,内側面 64歳男性) たo その中には外頚動脈より起始する腺・上行口蓋動脈. 校的その変化は少ないように思われる。したがって,上. 幹,上行口蓋・腺・オトガイ下動脈幹,舌動脈より起始. 行口蓋動脈が外撃貢動脈から起始する場合にこの距離を計. する腺・上行口蓋動脈幹および上甲状腺・腺・上行口蓋. 測することは主に顔面動脈の起始部の位置的変化の程度. 動脈幹等が含まれ,とくに外撃貢動脈より起始する上行口. を知る一つの目安となる.また,顔面動脈から起始する. 蓋・腺・オトガイ下動脈幹は顔面動脈の頚部の枝であ. 場合には上行口蓋動脈の起姶郭の普遍的な位置とその変位. り,この個体では,その共同幹の上方から顔面郭の枝で. の幅をある程度正確に把擾することに役立っと患われる。. ある下唇動脈,上唇動脈および鼻背枝を分ける顔面動脈. は,上行口蓋動脈が顔面動脈より. があり2本の顔面動脈が存在する稀な例であった。顔面. 起始する場合,その距離の平均値は 重大20. 部の手術に際し注意が必要ではないかと思われる.. mm,最小2mmと記している。筆者の調査したもので. 2 )上行口蓋動脈起始部の外径. は平均 最大 最小Ommでありほぼ. は上行口蓋動脈の起始部における 48側の外径の平均値について 最小. 同じであった。筆者の計測値において舌・顔面動脈幹か ら分かれた顔面動脈から起始するものでは共同幹のない. 最大 と記載している.また,外頚動脈から分か. ものに比べて平均7mmその距離は長くなるが,それは. れる場合は平均 顔面動脈から起こる場合. 共同幹の長さの平均値とほぼ同じであることは興味深く. mmそして上行咽頭動脈と共同起始する場合では. 思われる。. mmとしている。筆者の調べた上行口蓋動脈起始郭の外. また らは上行口蓋動脈が外褒動. 径の平均値は で,最小 最大 と. 脈から生じる場合,顔面動脈あるいは舌・顔面動脈幹の. の値よりやや纏いが大差はないo ま. 遠位が50側中10側 近位1側 同高2側4. 0. た,外撃貢動脈そして顔面動脈より起始する場合は共にそ. %と記している。筆者の値と比較すると遠位(上方)は. の平均値は であり,上行咽頭動脈起始では. によるもののほうが6%程多く,近位. mmであった.上行咽頭動脈起始以外はいずれも. (下方)は 同高(後方)は の出現率であった。. の値より小さな値を示した0. 4 )内,外褒動脈分岐部より顔面動脈起姶部までの距離. 3 )顔面動脈起姶郭から上行口蓋動脈起姶郡までの距離. この距離を計測することは,比較的位置的変化の少な. この距離を計測することは以下のことに役立っと患わ れる。. いと言われている内,外空貢動脈分岐部を室準とすること. 上行口蓋動脈の分岐する位置は多少の変位はあるが比. 対的に比較することに役立っと思われる。また,顔面動. によって上行口蓋動脈および顔面動脈分岐部の位置を相. - 73-.
(27) 舟津:日本人上行口蓋動脈の解剖学的研究. 356. 脈起始部から上行口蓋動脈起始部までの距離の計測値と. 7 )后桃枝の起始動脈. 合わせて内,外頚動脈分岐部より上行口蓋動脈起始部ま での距離を算出することも出来る。. と は小口蓋動脈,上行口蓋 動脈,顔面動脈后桃枝と舌動脈舌背枝 は小. は,顔面動脈の起始は内,外肇動 脈分岐部の遠位 で外報動脈から生じると記してい. 口蓋動脈,上行口蓋動脈,顔面動脈后桃枝と上行咽頭動 脈を口蓋后桃に分布する動脈であると記している.. るが,他の起始例における計測は行っていない為,筆者 の値と比較することは出来ない。. いずれの報告にも記載されている口蓋后桃に分布する 枝は上行口蓋動脈と顔面動脈の后桃枝である。. 上行口蓋動脈が外頚動脈から顔面動脈分岐部の上方で. また らは后桃枝について,上行. 起始する場合その距離は短く,下方から起始するもので. 口蓋動脈から生じるものが鼻も多くその強度は で. は著しく長いO しかし,内,外栗動脈分岐部から上行口. あり.次いで顔面動脈の直接枝 そして1例にお. 蓋動脈起始部までの距離を比べてみると顔面動脈分岐部. いて外頚動脈からの直接枝を観察している。その他, 21. の上方より起始する19側では,その平均値は. %のものでは上行口蓋動脈および顔面動脈の両動脈から. (右側7側 左側12側 下方起始6側. の后桃枝がみられ,また,上行咽頭動脈の枝が后桃に分. ではその平均値は 右側3側 左側3. 布することも30%の頻度で認められたと述べている。筆. 側 であり,わずかに下方起始の方が高い位置. 者のものと比べて上行口蓋動脈からのものが多く反対に. から起始するが大きな差は認められなかった。. 顔面動脈からのものは幾分少ない。. 5 )上行口蓋動脈と茎突舌筋の位置的関係. 3.計測値に有意差の認められた項目について. 茎突舌筋や茎突咽頭筋と上行口蓋動脈との位置的関係. (1)男女間での有意差について. は によると46側中28側 で両筋. ① 上行口蓋動脈が外撃貢動脈から顔面動脈分岐部の上. の間を通り, 11側 で両筋の浅層(吻側)を経過, 4. 方より起始する場合での顔面動脈起始部から上行口蓋動. 側 で両筋の深層(背側)を経過するO また, 2側は. 脈起始部までの距離(男性8側の平均値 女性. 茎突舌筋を1側は茎突咽頭筋を貫いて経過する。これに. 11側の平均値. ついても の場合と同様に,茎突舌筋の浅層お. ② 顔面動脈起始のうち顔面動脈直接枝の場合での. よび深層を経過するものの二つに分数してみると浅層を. 内,外頚動脈分岐部より顔面動脈起始部までの距離(男. 経過するものは11側 深層は35側 となる。. 性2 9側の平均値 女性38側の平均値. あるいは筆者の値と比べ浅層を経過するも. ①の項目では男性に比べて女性のはうが, ②の項目で. のが少ない.この事については らも. は男性の方が大きな値をとる。 ①の項目では標本数は10. 述べているように人種的な差なのかもしれない。. 例前後と少なく男女各々の計測値の誤差率も約20%と高. 6)上行口蓋動脈の分枝. いものであるから真に有意差が有るとはいえないかもし. ヒトについては らによって調査さ. れない。しかし, ②の項目では各々の例数も多く誤差率. れ后桃枝,口蓋枝および付加枝としてa)茎突舌筋およ. も共に8 %未満であるので,その統計結果には信東がお. び茎突咽頭筋への枝, b)内側翼突筋への枝およびC). けると思われる。. 咽頭枝などが述べられている。同様に は口蓋. 総頚動脈の内,外褒動脈分岐部から顔面動脈起始部ま. 枝,后桃枝および内側掌突筋や咽衰貢収縮筋への枝を記. での距離を計測するにあたり,内,外頚動脈分岐部自体. し,また )と はい. の位置も重要だと思われるが は内,外頚動. ずれも1枝は軟口蓋へ,他枝は口蓋后桃へ分布するとし ている。. 脈分岐部の位置について,日本人では総額動脈は一般的. 筆者はそれらの枝の出現率を詳編に調べた。先人の報. 変動する)で分岐すると記している。また,男女間およ. に第4蟹椎の前結節の上線(第2および第6空貢椎の間を. 吾と同様,筆者の調査でも軟口蓋枝 扇桃枝. び左右側聞ではほとんど差は認められないが年麻と総棄. %と, 2枝とも高い頻度で観察された。. 動脈分岐部の高さの間にはわずかな相関が見られると述. と は耳管に分布する枝を記して. べている。また,ドイツ人において は左右側. いるo この枝は筆者の調査した鼻枝が上行咽頭動脈及び他. 共に第3, 4撃貢椎の間にあり左側は幾分(約1/5頚椎高). 動脈の枝と吻合して分布するのではないかと考えられる。. 低い位置にあると記しているが男女間における差につい ては触れていない。 ∼74一.
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