『SENCO アップデート』ガイド
SENCO の役割の変化
The Role of the SENCO in England (UK)
英国バーミンガム大学
クリストファー・ロバートソン
(Christopher Robertson)
日本側責任者:福岡大学徳 永 豊
過去 10 年間の、英国の通常の学校における特別な教育的ニーズ・コーディネーター (SENCO) の役割や地位に対 する関心の高まりを受け、英国政府は、政策を見直し、学校における特別な教育的ニーズ(SEN)に対する支援を できるだけ効果的なものにするために新たな規則や訓練の導入を計画している。ここでは、学校および地方当局の 特別な教育的ニーズへの支援の実践に影響を及ぼした重要な政策と、今まさに起ころうとしている重要な変化につ いて概説する。 1.SENCO の役割および地位 : 不確実性の 10 年1997 年、教育雇用省(DfEE) は、SENCO ガイド(SENCO Guide)を出版した。これは、SENCO の役割が実際 にどのように実行されているか、教員が個別教育計画(IEP)をどのように利用しているか、また学校が SEN に関 する方針をどのように策定しているかに関する調査結果を基に作成された小冊子である。この、通称“小さな赤 本”は、幾つかの実践的な提言を行った。また、1994 年に発行された最初の実施規則(Code of Practice)が、かさ ばって扱いにくいうえ、SENCO の役割についての明確なガイダンスが提供されていなかったことも暗に認めてい た。役割についての明確なガイダンスがなかったことから、多くの学校において、SENCO が SEN への対応につい て全面的に単独責任を負い、場合によっては、すさまじい量の仕事(すべての同僚教員のために長い IEP を書くな ど)をこなさざるを得ない状況につながった。こうした事実は、1990 年代半ばに幾つかの調査で明らかにされた。 SENCO ガイドで詳述された提言の幾つかは、2001 年の特別な教育ニーズに関する実施規則(Special Educational Needs Code of Practice)の改訂版に盛り込まれた。この実施規則は、(新しいガイダンスが採用されるまで)SEN 実 践の基準となる。 2001 年の実施規則には、SENCO の役割に関する重要な記述が含まれていた。例えば、第 1 章では: 特別な教育的ニーズのある生徒への対応は、学校全体で取り組むべき課題である。理事会に加えて、学校 の校長、SENCO または SEN チーム、その他すべての職員が重要な責務を有する。実際面では、日々の 任務の分担は各学校の状況や規模、優先事項、理念に関わる問題である。(p.13、 1.31 項) 実施規則は、SENCO の正式な定義を提示していなかったが、用語解説欄(p.206)に以下の記載がある。 SEN コーディネーター(SENCO): 学校または早期教育機関の職員で、校内の特別な教育的ニーズ(SEN) への対応を調整する役割を担う。小規模な学校では、校長または副校長がこの役割を果たす場合がある。 大規模な学校では、SEN 調整チーム(SEN Coordinating team)が組織されることもある。
この記述は、SENCO が資格のある教員であることを前提としていたかもしれないが、その点を明確にしていな かった。実施規則の筆者は、学校労働力における変化(英国では、1997 年から 2008 年の間で、教員以外の学校職 員の数は 2 倍に増え、現在では 300,000 人以上に達している ) や、教員資格のない SENCO が任命される可能性に ついて十分認識していなかったようである。
実施規則はまた、初等・中等学校(および早期教育機関)における SENCO の役割について詳しいガイダンスを 提示した。さらに、実践にあたっては、学校教育の各段階に特有な組織的な違いやその他の違いを考慮する必要が あることにも言及した。実施規則は、SENCO の役割のリーダーシップの側面については強調不足であったかもし れないが、以下の点について明確に謳っている。 SEN コーディネーター(SENCO) は、校長および理事会と協力し、子どもの学力向上のため、学校の SEN に関する方針及び手だての戦略的開発を左右するような重要な役割を果たす。(p.50、5.30 項 [ 初 等 ] および p.65、6.32 項 [ 中等 ]) 言い換えれば、実施規則は、SENCO の仕事は、日々の業務だけでなく、学校全体レベルでの広範かつ長期的な SEN 計画に影響を及ぼすべきであるとしている。 最後に、実施規則 (pp. 29-30、5.33 項∼ 5.36 項、および p.42、6.36 項∼ 6.40 項 ) は、初等・中等学校の SENCO には、 SENCO としての職務を果たすために授業をしない時間(non-contact time)がかなり必要であることを明記している。 ここで注目すべきことは、「授業をしない時間」の不足についての懸念が様々な報告書や政策批評などで度々表明 されてきたにも関わらず、政府はいまだにこの重要な提言を取り上げていないということである。児童・学校・家 庭省(DCSF)のスタンスとしては、「授業をしない時間」の設定については、校長と理事会が決定すべきであると いうことのようである。 SEN 戦略の改訂 目標達成への障壁の除去 : 2004 年に発表された政府の SEN 戦略。教育技能省(DfES) は、英国における現在お よび将来の SEN 対応に関する方針および計画の概要を示した。学校の首脳部に SENCO を含めることの重要性に ついても明確に述べている。 SENCO は、指導と学習の質を向上させるため、学校全体の SEN に対する教育的手だての調整を図るとともに、学級担任 教師と教科担当教師の連携を図るなど中心的な役割を果たす。我々は、SENCO が学校全体の改善方針の策定に影響力を 行使できるよう、SENCO をシニア・リーダーシップ・チームの主要メンバーであると認めることを望む。(p.58、3.14 項 ) この主張にも関わらず、全国各地で、学校における SENCO の役割に関する懸念の声が上がり続け、その結果、 この問題が英国下院の教育・技能特別委員会の SEN への対応に関する調査(2006-2006 年)で取り上げられること になった。 2.特別委員会による SENCO の役割についての検討:2006 年 7 月 この要約は、英国下院教育・技能特別委員会の SEN に関する報告書 (2006 年 ) で言及された SENCO に提供すべ き支援に対する委員会の懸念に焦点を当てている。また、改善のための提言についても概説している。 概 要 2006 年 7 月に発行された SEN に関する教育・技能特別委員会の報告書は、様々な口頭または文書による証拠、 および関連研究に基づき、SENCO の役割について簡潔だが重要な分析を掲載している。報告書は、方針と実践と のギャップを強調し、以下の事実について言及している。教育技能省(DfES)(現、子ども・学校・家庭省 [Department for Children, Schools and Families: DCSF])は、SENCO に非常に多くの責務を負わせたが、
… これらの重要な責務を果たせるように、SENCO に対し適切な訓練-もしくは適切な権限-が提供されるよう保証しな かった。また、SENCO を上級管理チームに加えるべきとする実施規則の提言にも関わらず、そうでない場合が多い… (p.73、
319 項 ) 報告書は、この点を強調するために、ウォーノック女史の証言を引用した。 当初、彼らは上級教員であった。しかし […] 今では、教員ではなく、経験のないティーチング・アシスタントが SENCO の役割を担っているという学校が非常に多い。彼らはもはや上級管理チームのメンバーではなく、学校内で何らかの特別な 手だてを受けている子どもが何人いるかを調べるというような瑣末な仕事をしている。(p.74、 319 項 ) ここでの要点は、ティーチング・アシスタントが重要ではないということではなく(実際、彼らは生徒の支援 や、SEN に対する手だての実施や管理において重要で大変効果的な仕事をしている)、SENCO の戦略的な指導的 役割が過小評価されるようになってしまったことと、この問題がもしかすると計画・準備・評価(PPA: planning, preparation and assessment)時間と指導学習責任(TLR: teaching and learning responsibilities)の影響で悪化している ということである。特別委員会の報告書が出された時点では、SENCO のなかには、同僚の PPA 時間をカバーしな ければならないという“要求事項”のせいで、SENCO としての役割を果たすための時間が無くなっているという 証拠事例が次々に明らかになっていた。また、指導学習責任手当(TLR payments)が導入された結果、SENCO の 役割が過少評価されていることを示す証拠もあった。これらの問題はどちらも−今なお学校では顕著かもしれない が− SENCO の役割の本質が明確にされていないことを示すものだった。 特別委員会の報告書は、これらの問題や関連する懸念に対して非常に明確な回答を示すとともに、政府に対する 具体的な勧告も行った。以下に、勧告の概要を示す。 勧 告 SENCO の役割について特別委員会が出した二つの主要な勧告は : 特別な教育的ニーズ・コーディネーター(SENCO)は、SEN 実施規則で勧告されている通り、いかなる場合でも、資格 を有する教員で、学校の上級管理職の地位に就いていなければならない。また、政府が学校に SEN 実施規則を“尊重する” ことを求めるというのではなく、より確固たるガイドラインが必要である。SENCO の役割は、SEN の取り組みについて 学校内における優先順位を反映しなければならない。 ( 勧告 84) 特別な教育的ニーズ・コーディネーター(SENCO)には、知識を常に最新の状態に保つために研修を継続的に提供する とともに、学校に在籍する SEN を有する子どもの数に応じて、授業をしない時間を十分に提供されなければならない。 SENCO に、勤務中および勤務外に研修を提供するという基本的な規範は、専門学校(アカデミー)や信託学校(トラス ト・スクール)を含むすべての学校に適用すべきである。各学校は、それぞれの SEN に関する方針のなかに、すべての SENCO がその重要な役割の遂行に際し、適切に監視・支援されることを保証する具体的措置を明記しなければならない。 ( 勧告 85) これらの勧告をさらに細かく見ていくと、以下の主要な措置が求められている。 ・ SENCOは、いかなる場合も資格を有する教員でなければならない。 ・ SENCOは、SEN実施規則で勧告されている通り、勤務する学校の上級管理職の地位になければならない。 ・ 政府が学校に対し、SEN実施規則を“尊重する”ことを求めるというのではなく、より確固たるガイドライ ンが必要である。 ・ SENCOの役割は、SENの取り組みについて学校内における優先順位を反映しなければならない。 ・ SENCOには、知識を常に最新の状態に保つために研修を継続的に提供しなければならない。研修は勤務中お よび勤務外の両方で実施すること。 ・ SENCOには、学校に在籍する特別な教育的ニーズを有する子どもの数に応じて、授業をしない時間を十分に
提供しなければならない。 ・ SENCOに勤務中および勤務外に研修を提供するという基本的な規範は、アカデミー(専門学校)やトラス ト・スクールを含むすべての学校に適用しなければならない。 ・ 学校は、それぞれのSEN方針のなかに、すべてのSENCOがその重要な役割の遂行に際し、適切に監視・支 援されることを保証する具体的措置を明記しなければならない。 注:特別な教育的ニーズ I 巻 : 報告書は、公式議事録(下院教育・技能特別委員会、2005-2006 セッション第 3 報告書)とともに、 2006 年 7 月 6 日に出版された(参照 HC478-I)。ロンドン:ザ・ステイショナリー・オフィス(The Stationery Office Ltd.) 3.特別委員会への政府の返答:2006 年 10 月 2006 年 10 月 10 日に出された教育・技能特別委員会の特別な教育的ニーズに関する報告書 1 に対する政府の返 答には、特別な教育的ニーズ・コーディネーター(SENCO)の役割を強化するという重要かつ歓迎すべきコミッ トメントが含まれていた。これは以下の声明の中で明らかにされた。 特別な教育的ニーズ・コーディネーター(SENCO)は、校内の SEN に関する事柄に関して他の職員にアドバイスを行う とともに、子どもの親と連携を図るという極めて重要な任務を担っており、子どもの SEN に対応する学校の能力およびス キルの向上に鍵となる役割を果たす。各学校は、規則により、SEN のある子どもに対する教育的手だてを調整する役割を 担う職員の名前を公表しなければならない。我々は、校長および理事会に対し、SENCO を任命する際は以下の要素を考 慮に入れることを要求する。 ・ 役割に関連して必要とされるスキルおよび経験と、候補者の現在のスキル・経験の程度、または将来獲得する可能性が あるスキル・経験の程度 ・ 学校内のSENの範囲および複雑さ ・ 教員、保護者および外部関係者と連携を取る上での権限(信用)など、実際的な問題 (pp.23-24、20 項) 政府の返答は、以下の点についてさらに詳細に述べている。 SENCO の重要性 我々は、特別委員会の SENCO に関するコメントを注意深く検討した。SENCO の重要性について、我々は委員会と同じ 見解を持っており、主要な責任を担う者はその学校の教員で、シニア・リーダーシップ・チームの一員であるべきであると 考える。(p.24、21 項 ) 役割の強化
我々は、「教育・監察法案(Education and Inspections Bill)」を改正し、学校理事会に対し、SEN を有する子どもに対 する教育的手だてを調整する目的で、SENCO の任命を行うことを要求するとともに、役割・責務・必要とされる経験お よび訓練に関する規則を制定する権限を国務大臣に与える。(p.24、21 項 ) 研修および認定 我々は、学校研修開発庁(TDA)に、関係者と協力して、SENCO の資格認定システムを開発することを委任した。シス テムの中核をなすのは、SEN に関する方針の実行や、外部機関からの支援の確保といった一般的な側面だけでなく、自閉 症スペクトラム障害(ASD)などの重要分野の知識の両方をカバーする調整スタッフのための合意を得た研修カリキュラ
ムである。我々は、新たに任命された SENCO 全員に国家認定の研修を受けることを要求する。(p.24、22 項) この委任された任務の第一段階として、また規則を告知するため、TDA は、学校における SEN および障害のある生徒へ の対応を主導し、進展させていく者に要求される役割、知識、スキル、経験などの主要要素について明確に提示するように する。我々は、システムの開発にあたり、現在 SENCO の任務に就いている人をはじめ、様々な関係者を巻き込むとともに、 現在行われている学校の統率に関する調査を考慮に入れる。 (p.24、23 項 ) これらの措置については、教育技能省が 2006 年 12 月に発表した文書にさらに詳しく述べられている2。この文 書は、政府が SENCO を学校のシニア・リーダーシップ・チームに加えることを求めていることを明確にした。 これにより、SEN のある生徒(判定書が作成された生徒、そうでない生徒のどちらも)それぞれの特定のニーズを考慮し て、主要方針が決定されることになるだろう。学校のシニア・リーダーシップ・チームのメンバーに加わるということは、 SENCO が SEN への対応に関する戦略的な方針策定に参加できるということを意味する。 これらの提案された措置は(シニア・リーダーシップ・チームのメンバーとしての地位に関するものを除き)、 学校の統率および管理において定められた役割を果たせるよう、SENCO は適切な訓練を受けた資格のある教員で あることを徹底させるために、新しい規則を導入しようという子ども・学校・家庭省(DCSF)の提言に直接関わ る内容である。これらの提言の実行を支持する審議について以下に概説する。 注 1. 特別な教育的ニーズに関する特別委員会報告書に対する政府の返答(2006 年 10 月 )(Ref: Cm 694) 発行元:TSO(ステイショナリー・オフィス) 価格:£12.50 www.tsoshop.co.uk. Teachernet(http://www.teachernet.gov.uk/docbank/index.cfm?id=10429) らもダウンロード可能 2. 詳細は、SENCO アップデート 82(2007 年 2 月 )、1-2 に掲載
4. SENCO の役割・地位(DCSF)および SENCO 研修(TDA)に関する審議:2008 年
すべての SENCO を資格のある認定された教員とすべきであるとする提言に関する子ども・学校・家庭省 (DCSF)の審議:2008 年 3 月
この DCSF の審議では、SENCO が学校の統率および管理において定められた役割を担う資格のある教員であ ることを確実にするために新しい規則を導入しようとする提言について討議された。また、新たに任命された SENCO に対する国家認定研修カリキュラムの開発作業(TDA が実施)の進捗状況についても概説された。 SENCO に関する懸念事項について報告した教育・技能特別委員会(Education and Skills Select Committee)の「SEN に関する報告書」(2006 年 7 月 ) を受けて、幾つかの提言がまとめられた。 審議文書で提案された規則では、SENCO は以下のいずれかに該当することを求めている。1) 導入期間(induction period)を満足のいく成績で完了した資格のある教員、2) 校長もしくは任命された校長代理(それぞれの職務に加 えて、SENCO の業務を担っている場合もある)、3) 規則の施行以前に 6 ヶ月以上 SENCO の任務に従事している人 で、資格のある教員になり、規則の施行から 2 年以内に導入期間を完了する見込みの高い人 提言では、SENCO は学校のシニア・リーダーシップ・チームのメンバーであるべきとする特別委員会の勧告 については取り上げていない。これは、実務上の理由によって意見が変更された - 特別委員会に対する教育技能 省(DfES)の返答(p.24、21 項)ではこの考えを支持していた – ということを意味している。提言では、むしろ、 SENCO はそれぞれの学校における SEN と障害の擁護者として任命されるべきで、SEN の取り組みが強化される ことによって恩恵を受けるべきであるとしている。
新規則は、審議 (2008 年 6 月終了 ) 後に修正を加えたうえで、以下のスケジュールで施行される。 ・ 2008年9月 規則制定 ・ 2009年9月 規則施行 ・ 2011年9月 規則が制定された時点でSENCOの役割を担当している(2009年9月以前に6ヶ月以上 SENCOの業務に従事している)人が、規則に従って資格を取得しなければならない期限 これらの規則は、わずかに修正された形で、2008 年 11 月 21 日に国会に上程(承認)された。その結果、新し い規則は2009年9月に施行されることになった。また、規則の名称は「教育(特別な教育的ニーズ・コーディネーター) (英国)規則 2008(The Education (Special Educational Needs Co-ordinators) (England) Regulations 2008)」と決まった。
この新しい規則の最も重要な部分は、恐らく、SENCO の主要な責務に焦点を当てたセクションであろう。ここに 記載された責務が、今後、SENCO の役割がどう理解され、展開されていくかについての雛形になると思われる。 以下はその概要である。 当該学校の理事会(校長を含む)は、SENCO が担当する主要な責務を決定し、それらの責務遂行の効 果を監視しなければならない。SENCO の主要な責務には、以下の業務の遂行、または遂行のための調 整が含まれるであろう。 (a) SENCO が特別な教育的ニーズを有するかもしれないと考える登録生徒一人一人について、各生徒の親に 対し、合理的に可能な限り早く、子どもに特別な教育的ニーズがあるかもしれない旨通知すること (b) 特別な教育的ニーズのある登録生徒一人一人に関して、 (i) その生徒の特別な教育的ニーズを特定すること (ii) それらのニーズに対応するために行う特別な教育的手だての調整 (iii) 生徒に対する特別な教育的手だての有効性の監視 (iv) 必要な場合、生徒に対する関連サービスの提供 (v) 生徒の特別な教育的ニーズ、および、それらのニーズに対応するために実施した特別な教育的手だての記 録および更新 (vi) 生徒の親と連携を取り、生徒の特別な教育的ニーズとそれらのニーズに対応するために実施している特別 な教育的手だてについての情報を定期的に提供すること (vii) 生徒が他の学校や教育機関に転校する場合、その学校/教育機関の理事会、または ( 場合によっては ) 責 任者に対し、その生徒の特別な教育的ニーズおよびそれらのニーズに対応するために実施した特別な教育的 手だてに関する情報をすべて伝えること (viii) 生徒の学校コミュニティへの統合と、学校のカリキュラム・施設・課外活動へのアクセス促進 (c) 特別な教育的ニーズのある生徒をサポートする学習支援アシスタントの選定・監督・訓練 (d) 学校の他の教員に、特別な教育的ニーズのある生徒一人一人のニーズに合わせた個別化された教授法につい てアドバイスをすること (e) 学校の教員に対し、(b) 項で言及された業務の遂行を支援するための実地研修を実施すること
( f )「1999 年教育(特別な教育的ニーズ)(情報)(英国)規則(Education (Special Educational Needs) (Information) (England) Regulations 1999)の下で理事会に公表が義務付けられた情報の作成・見直し、 及び、規則の付則1、第 1 項で言及されている特別な教育的ニーズへの対応、ならびに特別な教育的ニーズ 方針に関する理事会の目標の作成・見直し
新しい規則のコピーは teachernet ウエブサイトからダウンロード可能
5. 新任 SENCO に対する国家認定研修に関する TDA(Training and Development Agency for Schools) の審議 学校研修開発庁(TDA)の提言に関する審議は 2008 年 6 月に始まった(2008 年 10 月 15 日終了)。審議では、 現在及び将来の研修提供者にとって重要な問題に焦点が当てられたが、認定研修プログラムの修了者に期待される 最小限の資質についても簡単に検討された。以下は審議内容の概要である。 SENCO 研修の内容 以下の要約は、TDA 審議の重要な側面を紹介している1。国家認定の SENCO 研修プログラムを無事修了した 教員に期待される資質を中心に取り上げている。 ここに提示されている国の定める最小限の資質は、SENCO として仕事をするために必要とされる職業的属性、 知識、理解、スキルを示すものである。 国家認定の「特別な教育的ニーズ・コーディネーター研修プログラム」を修了するためには、教員は以下の職業 的属性・知識・理解およびスキルを有していることを示さなければならない。 職業的属性: ・ SENおよび/または障害をもつ生徒、彼らの親または介護者と、尊敬の念に満ち、公正で建設的な協力関係 を築く。 ・ SENおよび/または障害をもつ生徒の学習成果を向上させるため、校長、シニアリーダーを含む同僚が関与 するようにする。 ・ 仕事の優先順位をつけ、時間を効果的に管理し、責任及び業務の移譲を適切に行い、それらが効果的に遂行さ れていることを確認する。 ・ SENおよび/または障害をもつ生徒への手だてについて、問題を予想し、解決するとともに、事実に基づい た決定を下し、正しい判断をする。 ・ 口頭及び文書で自分の意見を明確に表明する。また、他人の意見に耳を傾け、理解する。 ・ 自分自身および同僚の業務のやり方を改善するために、調査の証拠や外部からの助言を活用する。 ・ SENおよび障害に関する事柄について常に最新情報を把握するとともに、自分自身の継続的な専門能力開発 (CPD: continuing professional development)に対して責任をもつ。
専門的知識と理解 :
・ SENに関する法律及び関連のガイダンス(特別な教育的ニーズ実施規則に定められている方針および手順を 含む)だけでなく、それらの学校・SENCO・その他に対する影響や実践の仕方について知っており、理解して いる。
・ 『子ども一人ひとりが大切な存在(Every Child Matters)』というタイトルの白書の基本理念および望ましい 成果について、また、これらの成果を達成するためにどのようにSENCOが子どもを支援できるかについて知っ ており、理解している。 ・ 障害で差別しない、平等や均等に関連する法律、及び、これらの法律で義務付けられている障害のある生徒に 対する支援措置と最善の実行方法について知っており、理解している。 ・ 子どもの発達の仕方や、子どもの発達が様々な要因(SENおよび/または障害、学習の物理的・社会的環境 など)によってどう影響されるかについて知っており、理解している。 ・ 一般的なSENおよび障害―行動・情緒・社会的ニーズ、特定の学習困難(失読症を含む)、言語障害、言 語・コミュニケーションニーズ、自閉症スペクトラム障害(ASD)、中程度の学習困難―と、これらがどのよ うに子どもの学習に影響しうるかについて知っており、理解している。
・ アセスメント・計画・指導・学習に関する様々なアプローチ、戦略、リソース(情報通信技術(ICT)を含 む)について理解しているとともに、学習障壁を取り除き、SENおよび/または障害のある生徒一人一人に合 わせた手だてを行うためにそれらを効果的に使用する方法を知っている。 ・ 学校の自己評価と改善の方針と、それらがどのようにSENおよび/または障害をもつ生徒の教育成果を向上 させることに関係しているかについて知っており、理解している。 ・ 子どもの特別な教育的ニーズへの対応に関するベスト・プラクティス、研究結果について知っている。 ・ 外部機関の範囲・役割と、SENおよび/または障害をもつ生徒のために専門家の支援およびリソースを得る 方法について知っており、理解している。 専門的スキル: ・ すべての生徒がカリキュラムにアクセスでき、順調に進歩し、より幅広い学校生活に参加することができるよ う、上級の同僚や管理者と密接に協力して、学校のカリキュラム開発やリソースの使用に関する包括的な理念や 方針、優先事項の戦略的開発についてアドバイスを行い、影響を及ぼす。 ・ SENおよび/または障害があるかもしれない生徒を(学級観察、データ、アセスメント、その他の監視活動 などによって)特定し、一人一人の生徒に適切な学習目標を設定するとともに、学習障壁を取り除くあるいは最 小限にするために、各自のニーズに対応するための手だてを計画し、経過を評価する。 ・ 様々な専門家による評価を利用し、SENおよび/または障害のある子どもに対する適切な指導および学習方 法を開発する。 ・ 全国テストなどの総括的評価を利用して、生徒の学習進度を常に把握し、適切にプログラムを変更する。 ・ SENおよび/または障害のある子どもへのアプローチの仕方に個別の配慮をしながら、すべての生徒の形成 的評価を実施するよう他の教員に促す。 ・ 全国テストに際して子どもがすべき必要な準備を十分余裕をもって特定し、同僚と協力してそれらを実行する (教室での練習や、実際のテストにおいて)。 ・ SENおよび/または障害のある子どもに対する教育的手だてを計画するための「手だての配置状況(プロビ ジョン・マッピング)」や「計画マネジメント」などのツールを利用し、効果的でない手だてや足りない手だて を特定する。 ・ SENおよび/または障害のある生徒を支援するために、スタッフの効果的な配置・管理を行う。 ・ 学習や指導の観察、アドバイスおよびフィードバックの提供、直接指導および効果的手法のモデリング、指 導・相談、研修や能力開発の計画・実施などによって、同僚のSENおよび/または障害のある生徒のニーズに 対応する能力を向上させる。 ・ 学校の自己評価および改善計画を報告するために、他のスタッフと協力して、SENおよび/または障害のあ る生徒に対する教育的手だての効果について調査・評価する。 ・ SENおよび/または障害のある生徒と建設的な関係を築けるよう同僚を援助するとともに、SENおよび/ま たは障害のある生徒が学習に従事し、成果を収められるような風土を創ることによって、SENおよび/または 障害のある生徒自身が、適当と認められる場合はいつでも、自分自身に提供される教育的手だての計画・合意・ 見直し・評価に参加できるようにする。 ・ SENおよび/または障害のある生徒の学習と発達を促進するために、親および介護者と効果的に連携する。 ・ ボランティア団体を含む他の組織・機関の専門家と協力し、調整のとれた首尾一貫したSENおよび/または 障害のある生徒に対する支援方法を開発する。 上記の成果(および最終版に記載されている成果)は、今後の新任 SENCO(おそらく 2009 年 9 月から)の継 続的な専門能力開発(CPD)の根拠となるものであるが、これらの重要性はどんなに高く評価してもしすぎること
はない。SENCO 国家基準(SENCO National Standards)はもともと 1998 年に導入されたが、残念ながら、基準の 遵守は義務ではなかった。そのため、継続的な専門能力の開発を促すためや、学校の SEN 方針および実践に影響 を及ぼすために、系統だって使用されることはなかった。明確な国の CPD 枠組みにつながる新しい成果の導入と、 適切なキャリア構造は、普通学校における SEN への対応の質に段階的な変化をもたらす可能性がある。 注釈 1)これらの期待される成果は、TDA の審議の一環として発行された「特別な教育的ニーズ(付録 3)のある生徒に対する手だ ての調整役に新たに任命された教員のための国家認定研修の仕様書(案)」に記載されている。これらは、修正を加えて最終 版とする。新しい SENCO 研修案に関する審議中の反応は、概して協力的であった。
2)教員教育庁(TTA)(1998 年 )『特別な教育的ニーズ・コーディネーターのための国家基準(National Standards for Special Educational Needs Co-ordinators)』ロンドン:TTA
TTA はまた、2001 年に、『特別な教育的ニーズ・コーディネーターのための国家基準の利用(Using the National Standards for Special Educational Needs Co-ordinators)』を出版した。この小冊子は、現在 SENCO の任務を担っ ている教員に対し、職務上適切で、特殊な教育的コンテクストに注意深く関連させた個別化された専門能力開発(CPD)を 実践するために、基準(または成果)を如何に効果的に利用するかについて役立つ助言を提供している。