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高齢期の住宅改善に関する研究 ―実住戸を用いた体験学習機会の構築を通じて―

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Academic year: 2021

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(1)高齢期の住宅改善に関する研究 ―実住戸を用いた体験学習機会の構築を通じてー. 1563228 指導教員 1.. 研究の背景・目的. 地域包括ケアを実現するために、高齢者が住み慣. 大原一興教授. 末永. 萌. 藤岡泰寛准教授. しに関する様々な問題が顕在化してきている。 2.2 調査方法. れた地域で自分らしく暮らすことのできる環境が必. 本研究では、左近山団地一階にある一住戸において. 要とされている。しかし、地域に暮らす高齢者の自. 簡易住宅改善を施した住まい体験の場をつくり、そ. 宅に目を移すと、必ずしも高齢期に安心して暮らせ. の来場者を対象にアンケート調査を行った。また、. る環境が整っているとは言い難い現状にある。単身. アンケートをとりながら気になった点などについて. 高齢者の増加等の状況もふまえれば、孤立を防ぎつ. はその場でヒアリング調査も行った。実施年月、回. つ安心できる住宅と住環境を獲得していくことが社. 収数、対象者属性は以下の通りである。 表1. 会要請となっている。 . アンケート配布・回収状況. これらの課題に対して、住宅改善の観点からの既. (. (. 2. 往研究ⅰ)ⅱ)では、体験による意識啓発の可能性や、 自分でもできる DIY リフォームの条件などが事例的. ). 32. 2. に明らかとされている。個人差はあるが一般に、高. %. 5. 91. ,. 2. 1 2. 齢期に大がかりなリフォームだけでは現実的ではな. ). 2 4,. 2. 1. 0. く、かつ将来生じるニーズを流動的に想定せざるを. 表2. 参加者の概要. えない状況もふまえると、自分の住まいについての 理解を深めながら小さな改善を積み重ねていくこと も有効であろうと考えられる。 そこで本研究では、実住戸を用い、こうした小さ な改善を実際に体験できる機会の構築を通じて、高 齢期の暮らしの現況と住宅改善に対する具体的ニー ズを把握することを目的とする。 2. 2.1. 研究の方法 研究対象地概要. 3.. 実施した住戸改善の概要. 高齢期の住まいのあり方を考える上で、本研究で. 研究対象地には神奈川県横浜市旭区にある左近山. は冬の寒さに着目し、断熱性の低さ、開口部の多さ. 団地を選定した。左近山団地は、高度経済成長期に. 等の改善を住宅改善の目標とした。具体的には、住. 建てられた集合住宅団地で、昭和 43 年の入居開始か. 戸の窓・床・壁のそれぞれにおいてヒートショック. ら 50 年以上が経ち老朽化が目立つ。また、高齢化の. 対策につながる複数の温熱環境改善策を考えた。 . 加速にともない、高齢者にとって暮らしづらい住環. また、高齢者の住宅改善意欲をひき出すこと自体. 境(エレベーターがない、交通アクセスが悪い、無. も重要であるとの立場から、既往研究ⅱ)を参考に、. 断熱である等) 、地域コミュニティの希薄化など暮ら. 以下の点を意識した住戸改善とした。 .

(2) 4.. 高齢者向け住宅改善のあり方. 4.1. 的な制作時間・かかった金額などもあわせて示し. 自宅で改善したいと思う箇所 表3. た。改善箇所の効果は実感してもらえたが、一方で. 自宅で改善したい箇所. 「実際に自宅でできそうか」という質問で回答に差 が出た。例えば、北側居室の畳下断熱材は費用もか からず制作時間も短いが、設置の難易度が高いと判. 1 2 ) 34. 断されたため、「自宅でできそうか」という問いに. (. はマイナスの評価が多い結果となった。 老朽化した団地という立地の特性上、共通して温 熱環境に改善の必要性を感じていることがわかる。 4.2. 断熱効果の実感度合い. 5.. 体験学習機会の構築による効果. 参加者の反応から、体験することで初めて理解が 深まり、住宅改善意欲が⾼まったことがわかった。 また、「効果的なものは知り合いにも教えたい」. 窓. (4.61). (13/14)、「自宅はもう改修済みだけど住まいの悩み を改善したいという人がいたら提案して手伝ってあ. 床 (4.77) (. 壁. ) 0%. 1. 図4. (4.79). 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2. 3. 4. 5. (平均点). 断熱効果の実感度合い(1.全く実感できない→5.とても実感できる). 窓・床・壁それぞれの断熱効果の実感度合いを点. げたい」という声もあり、住民同士の助け合いによ って住宅改善が普及していく可能性も示唆された。 6.. 結論. 今回の実験的取り組みからわかったことは以下の 通りである。. 数化し、平均点が最も高いのは壁であった。この結. ①⾼齢期には簡易な住宅改善ニーズがあるということ。. 果から、一般に断熱性を上げるというと窓の対策が. とがわかったこと。. 強調されるが、壁の断熱性が低い高経年の住宅につ. も⽰唆されたこと。. いては壁の断熱性を上げる工夫も重要であるという. 住まいをどうするかは、高齢期の自己決定に関わ. ②⾼経年の住宅ならではの課題が体験を通じて実感できるこ ③具体的な対策のあり⽅として住⺠同⼠の助け合いの可能性. 住民の気づきにつながったと考えられる。. る重要なテーマであるが、本研究を通じて住み継ぐ. 4.3. 人への配慮や自分が楽しみながら取り組むこともポ. 高齢者が望む改善レベル. 「なるべくお金はかけず自分でできる範囲で改善. イントであることがわかった。当初はあまり関心が. したい」(4/14)、「自分がいなくなった後そのまま. なくても、体験を通じてやってみたい、知人に教え. 若い人に住みつなげるように取り外しできるものが. たいという考えに変化する高齢者もいた。. いい」(1/14)、「趣味として DIY を楽しみながら改. 住民同士の助け合いの仕組みをどのように構築す. 善したい」(1/14)という声から、理由は様々だがリ. るか、建築や福祉の専門職がどのように関われるか. フォームなど大掛かりな住宅改修ではなく比較的簡. 等の検討が今後の課題である。. 易な住宅改善を望んでいることがわかった。 表5 , ( ). 改善箇所の概要. (-‑ ,. -‑. , ). -‑. , ( , (. (. -‑. ,. (. (. (. +. (. -‑ -‑. (. 今回の住宅改善では、それぞれの改善箇所に平均. [参考文献] ⅰ)藤岡泰寛,田中稲子:高齢化の進む長期経過団地における DIY ヒートショック対策技術の開発研究,日本福祉のまちづくり会, 2015.8 ⅱ)大野隆司:DIY による高齢化に対応する住宅改修作業-DIY によ る住宅改修作業の可能性に関する調査研究 その 3-,日本建築学会 計画系論文集,2002.5 [謝辞] 本研究実施に際して住⼾をご提供いただいたオーナーの⽅、参加 協⼒や制作協⼒をいただいた皆様に感謝申し上げます。 なお、本研究は科研費(課題番号 17K00781、18K04478)を受け て実施した。実施に際しては、「⻑期経過団地における実住⼾を ⽤いた温熱環境改善体験プログラムの構築」(株式会社翔設計との 共同研究)の⼀環としても取り組まれた。 ここに記して謝意を表します。.

(3)

参照

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