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エゾウコギ抽出物の摂取が陸上競技長距離走者の血液性状および競技パフォーマンスにおよぼす影響について

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Academic year: 2021

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(1)

291

財滋賀県体育協会 Shiga Sports Association

順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科

Graduate School of Health and Sports Science, Juntendo University 291 順天堂スポーツ健康科学研究 第 1 巻第 2 号(通巻14号),291~292 (2009)

〈報

告〉

エゾウコギ抽出物の摂取が陸上競技長距離走者の血液性状

および競技パフォーマンスにおよぼす影響について

一郎

;



・澤木

啓祐

In‰uence that intake of drink with Ezo Ukogi (Acanthopanaz senticosus. Harms)

extract on blood components and performanc in track and ˆeld distance runners.

Ichiro SAKA

;

and Keisuke SAWAKI

.

スポーツ科学の進歩に伴い,栄養補助食品(サプ リメント)と呼ばれる分野の食品は様々な形で普及 してきた.それらは,タンパク質やビタミン類ある いは糖質類などを補助的に摂取することを目的とす るものが多いが,最近の新しい傾向としてエネル ギー代謝に影響を与え,競技パフォーマンスにも機 能的に作用することが期待されるものも商品化され てきている. ドーピング対象外であることを前提として開発さ れてきた食品のなかに,持久的運動能力に有効に作 用するものとして注目を集めている植物群サプリメ ントのエゾウコギがある. エゾウコギとはウコギ科ウコギ属で,蝦夷に生育 す る ウ コ ギ ( 五 加 ) と い う 意 味 で 学 名 は Acan thopanaxsenticosusHAMSと い わ れ , ロ シ ア 名 は 「エテウテロコック」中国名は「刺五加」である. エゾウコギの効果には「ストレス疲労に対しての 回復作用や疲労遅延,免疫機能を高める,集中力お よび持久力の増強,最大酸素摂取量の向上,運動能 力のアップ,鎮静作用による緊張の緩和,精神安 定」等があげられる. しかし,これまでにアスリートを対象にしたサプ リメントとしてのエゾウコギ抽出物の摂取による科 学的有効性を検討した研究は見当たらない. 大東文化大学の箱根駅伝に出場した選手において エゾウコギの摂取が競技力に反映したという内省報 告1)は長距離種目にとっては注目すべき点である. そこで,本研究では,エゾウコギ抽出物の持久的 運動能力におよぼす有効な作用に着目し,長距離走 者を対象にエゾウコギ抽出物を一定期間摂取させ, 血液性状,および競技パフォーマンスにおよぼす影 響について検討し,科学的に検証することを目的と した.

.

順天堂大学陸上競技部に所属する長距離走を専門 とする男子学生15名を対象とした.実験はクロス オーバー法を用い,摂取群と非摂取群の 2 群にわ け,両群を入れ替える形で 2 回実施した. 摂取群は,通常トレーニングに加え,エゾウコギ 抽出物入りドリンクを20日間連続摂取した.1 日当 たりの摂取量は200 ml とした. 摂取群・非摂取群とも実験開始日と実験終了日に 4000 mビルドアップ走を行い,その後 2, 5, 10分後 の乳酸測定を実施した.また,試験食品摂取および 非摂取終了日に5000 m の記録を測定した.さらに 5000 m 記録会の翌日に採血を実施した.実験期間 中のトレーニングメニューは被験者全員が同一のト レーニングを行った. 体調調査と練習内容把握のため,生活アンケート を行った. 試験食品は,エゾウコギ抽出物である株式会社サ ン・クロレラ社製「商品名=サン・クロレラドリン ク」を用いた.ドリンクの成分はエテウテロサイド B, B1, E,イソフラキシジン,クロロゲン酸,であ る.

(2)

292 図 1 摂取群における4000 m ビルドアップ走後の血 中乳酸 図 2 非摂取群における4000 m ビルドアップ走後の 血中乳酸 292 順天堂スポーツ健康科学研究 第 1 巻第 2 号(通巻14号) (2009)

.

結果と考察

 血中乳酸 摂取群における4000 m ビルドアップ走後の血中 乳酸の測定値を摂取前測定値と摂取後の測定値に分 け,2 分後,5 分後,10分後についてそれぞれ測定 した.非摂取群においても実験前の測定値と実験後 に分け,2 分後,5 分後,10分後についてそれぞれ 測定した. 摂取群および非摂取群ともに,試験食品接取前と 摂取後の血中乳酸値を比較検討したが,有意差は見 られなかった. 澤木2)は長距離走者における記録向上の要素の一 つとして,疲労を残さない適切なトレーニングが常 に行えることをあげていることから,血中乳酸の測 定は持久性能力の目安として実施した.しかし,実 際に4000 m ビルドアップ走を実施した日は摂取は 終了しており,血中にイソフラキシジンが飽和して いなかった可能性が考えられる.4000 m ビルドア ップ走直前に摂取していれば持久的運動に何らかの 作用が見られたかもしれない. よって,本研究においてはエゾウコギ抽出物の摂 取が運動後の血中乳酸値に影響を与えなかったと考 察される.また,エゾウコギの有効性として疲労に 対しての回復作用や疲労遅延効果があるといわれて いるが,それらの効果も反映されなかったと推測で きる.  血液性状 競 技 会 に よ る 5000 m 走 翌 日 に 血 液 検 査 を 実 施 し,血液性状の変化をみた. 結果は,各検査項目とも摂取群と非摂取群では有 意 な差 は みら れな か った . 疲労 の指 標 とし て, GOT, GPT, LD, CKなどがあげられるが,これら の値が,一般的に用いられている基準値と比較する と,摂取群,非摂取群とも高い値を示したのは, 5000 m 走による筋損傷によるものだと考えられ, 競技会による5000 m 走運動負荷は非常に高かった と推察される.20日間のエゾウコギ抽出物の摂取 は,少なくとも血液性状に影響を及ぼすものでない ことが明らかになった.  競技パフォーマンス 競技パフォーマンスの検討については,摂取時と 非摂取時の5000 m の記録会で比較検討をした.摂 取群は5000 m の記録の短縮が仮説として考えられ たが,有意差はみられなかった. 本研究では,実験中のトレーニング内容は同一 で,同一レースでの競技パフォーマンスを検討した ことから,レース展開や気象条件等は統制されてい たと考えられる.一般的にトレーニングの効果は 3 か月以上でなければ判定しづらいことからも,20日 間の摂取は,5000 m 走の記録に何ら影響がないと 考察された.そこでエゾウコギ抽出物の摂取期間が 長期であれば,本結果とは異なる結果が得られたか もしれない.

.

陸上競技長距離走者におけるエゾウコギ抽出物の 摂取は,最大下運動負荷後の血中乳酸,5000 m 走 後の血液性状および5000 m の記録の向上に有意な 変化をもたらさず,競技パフォーマンスに影響を及 ぼさなかった. (当論文は,平成20年度順天堂大学大学院スポー ツ健康科学研究科の修士論文を基に作成されたもの である)

参 考 文 献

1) 黒木睦彦エゾウコギの不思議 第 1 版2426二見書 房 東京(1987) 2) 澤木啓祐陸上競技長距離走のトレーニング体育の 科学 29(9) 611614 (1977)日本体育学会編 杏林書 院    平成21年 3 月31日 受付 平成21年 3 月31日 受理   

参照

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