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中国の大学学生会における政治的社会化に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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1.章構成 序章 本研究の課題設定と分析の枠組み 第一節 研究背景 第一項 中国における政治的社会化のプロセス 第二項 中国の大学における組織基礎 第三項 思想指導とコントロール 第四項 学生グループの管理 第二節 研究問題 第三節 研究目的 第四節 研究方法 第五節 本研究の構成 第一章 先行研究の検討と分析 第一節 社会化と政治的社会化について 第一項 社会化 第二項 政治的社会化 第二節 外国の学生会について 第一項 欧米の大学学生会について(例:アメリカ、 イギリスの大学学生会) 第二項 日本の大学学生会について 第三項 旧ソ連型社会主義システムと中国に与える影 響 第三節 中国の学生会について 第一項 中国の大学学生会の歴史変遷 第二項 中国の大学学生会の性質と構成 第二章 研究方法の検討と分析 第一節 政治性がある質問項目について調査する障碍 第一項 中国の政治性が強い背景 第二項 中国の政治的社会化における歴史変遷 第二節 本論文の研究方法 第一項 調査方法と質問項目について 第二項 質問項目を選択する原因 第三章 調査事例について―二つの大学の事例 第一節 選択された調査大学の概要 第二節 質問項目についての回答 第四章 研究結果について 第一節 調査結果 第一項 調査項目の比較分析 第二項 結論 第二節 本研究の限界と今後の課題 終章 本論文についての総括と研究成果 2.研究目的 本論文では、中国大学学生会の組織化および学生会活 動の研究を通じて、中国の大学における学生会はどのよ うな役割があるか、なぜそのような役割があるかを明ら かにすることを目的とする。 本論文が明らかにしたい点は次のとおりである。まず、 先行研究を通じて、中国の大学学生会は共産党思想を伝 播する組織であることを検証した。そのため、本研究で 第一に明らかにしたい点は、学生会がどの程度共産党思 想を伝播しているかについてである。そのうえ、どのよ うなや方法・活動を通して共産党思想を伝えているか。 学生会は共産党思想を伝播している役割を除いて、ほか の役割もある。本論文は政治的社会化に関する研究であ るため、第二に明らかにしたい点を提示する。すなわち、 学生会の官員になることが将来の進路や就職とつながり があるかについてである。また、学生会は大学以外の社 会における政府組織、非政府組織の方法を反映するかに ついてである。本論文では、文献研究と事例研究によっ て、以上の点を明らかにすることができると考える。

中国の大学学生会における政治的社会化に関する研究

キーワード:中国の大学学生会、政治的社会化、思想教育、学生会活動、役割 教育システム専攻 常 婉婷

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3.概要 <序章> 本論文の流れは、まず序章において本研究の研究背景、 研究問題、研究目的、研究方法と章立てを記した。第一 節では、主に中国における政治的社会化のプロセスと中 国の大学における組織基礎及び大学での思想指導、学生 グループの管理という、四つの視点から具体的に研究背 景を紹介した。すなわち、中国において政治的社会化の プロセスは公式的な教育課程の中で、小学校から大学ま で政治と関連する授業があり、その上で、教育課程以外 に、学校で政治性を持つグループがある。それらの学校 での活動を通じて、青少年は政治的社会化がなされる。 また、中国の大学における基礎組織には、三つのレベル がある。一番高いレベルは、学校での共産党委員会(略 称:校党委)、次に、学校での共青団委員会(略称:校団 委)、そして、学生工作システムである(Yan 2014)。 校党委は、校団委と学生工作システムをコントロールし、 校党委の指導方針は校団委を通じて学生工作システムに 伝えられる。いわゆる、校団委は直接的に校党委のリー ダーシップを受け、学生工作システムを指導し、中間接 続組織として存在している。そして、思想指導の側面で は、1989 年の天安門事件以降、大学における思想政治教 育が重視され、特に、マルクス思想と鄧小平理論が授業 として設立された。さらに、学生グループの管理面では、 学生工作システムは学生グループを含み、先述のとおり、 校団委を通じて学生工作システムを指導・管理し、学生 グループは校団委の直接管理を受ける。 第二節では、二つの研究課題を提示した。レジメの第 二部分研究目的のところで説明した。そして、中国の大 学における学生会はどのような役割があるか、なぜその ような役割があるかを明らかにすることを目的とした。 本論文では、文献研究と事例研究の二つの研究方法を用 いているが、主に事例研究が本論文の中心的な研究方法 であり、それを通じて研究課題を明らかにしたい。最後 は本論文の構成を記した。 <第一章> 第一章では、本論文の先行研究をまとめている。まず、 第一節では、社会化と政治的社会化の理論的概念を記し た。社会化という概念は、いわゆる個人が自己に属する 集団ないし、社会の規範・価値・習慣的行動様式を学習 し、内面化していく過程である(社会学用語辞典)。また、 政治的社会化は、ある国民が政治に対する自分の考え方 を確立していく過程である(R・E・ドーソン K・プ ルウィット 1971)。次に、政治的社会化を形成するプロ セスと形成する方式について説明した。政治的社会化を 形成する方式は二つの方法がある。すなわち、青少年が 参加する正規の教室活動及び教科外活動と生徒の政治的 集団を通じた政治的社会化である。 そして、第二節では諸外国の大学学生会の現状、特に アメリカ、イギリスと日本における大学学生会の現状に ついて記した。中国の大学学生会は独自の特徴があるた め、欧米の大学学生会と比較分析すると、特徴ははっき り見えると考える。欧米諸国の大学学生会は自治性が強 く、学生によって活動が行われ、学生の組織である。し かし、中国の大学学生会は、表面上は民主的自治性があ る学生組織であるが、実際的には、大学教員によって管 理され、学校党委・団委によってコントロールされる場 合が多いため、自治性に欠く組織であるといえる。一体 なぜなら、中国の大学学生会は以上の特徴があるか?そ のコントロール方式はどの国から模倣しているか?それ は、次に論述したい部分である。実際に、中国は現在も、 旧ソ連のモデルを模倣しており、共産党の管理・指導は 社会の各側面に存在している。社会基層は、共産党のブ ランチ(学校での政治集団・学生会なども含む)を通じ て、共産党の思想を伝えている。中国の小学校から大学 まで、党委という組織が存在し、党委の権力は学校で最 も強く、全学校の思想を把握することができる。そして、 教育を通じて共産党思想を植え付ける伝統的な方法とし て教科書があるが、現在、課外活動においても共産党思 想を伝えている。 さらに、第三節では中国大学学生会の歴史的変遷と中 国大学学生会の性質について記した。新中国成立以前、 中国の大学学生会は自治性が強い組織であった。新中国 成立後から 20 世紀の 70 年代末までは、学生自治会は、 その名前を「学生連合会」に変え、その自治性は実質的 には弱まっていた。その背景としては、大学は中央政府

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の統一管理を受け、学生会は学生を管理・教育するため の専門道具となった。その後、80 年代初期から、学生会 の自治性は再び強まった。しかし、80 年代末期の「天安 門事件」をはじめとする政治的混乱により、学生会はま た政府によって厳密なコントロールを受けた。学生会固 有の自治性が奪われたのである。そこで、歴史的変遷の 流れに従い、現在中国大学学生会の性質と組織構成を分 析した。現在、中国大学学生会の性質は、表面上自己管 理・自己服務の自治性がある学生組織とされているが、 実際的には学校党委・団委によってコントロールされ、 自治性に欠く組織である点について記した。 <第二章> 第二章では本論文の研究方法を具体的に分析した。ま ず、第一節では、中国の政治性が強い背景と中国の政治 的社会化の歴史的変遷を記した。中国全社会において政 治性は強いのが現状であり、そのうえ、中国が 1949 年に 建国されてから 80 年代まで、中国のメディア、インター ネット、学校と試験制度の四つの側面から中国の政治的 社会化過程について記した。最も強調したいのは、学校 を通じて、政治的社会化を実現していることである。 1978 年以後の大学統一入学試験の回復にあたり、九年制 義務教育も次第に普及した。小学校から高校までの完全 な教育システムが設立されたのである。学校テキストの 内容は政治性が強く、必然的に学校は青少年の政治的社 会化を発展するための役割を担うようになった。実際に、 学校の課程で政治的社会化の内容を加えるのは特色では なく、中国で特色があるのは、政治の学習課程の中で、 今の政治という内容を加え、期末試験の内容として勉強 させているのである(李、张2008)。これは、生徒に現 在の政治方針と政治政策を理解させるためである。その 他、大学のなかで、各学院(日本の学部相当)で政治的 カウンセラーという管理職を設定し、この管理職を通じ て、大学生の思想動態を把握し、大学生に対して思想上 の動向を指導しながら、共産党の新しい政治文化と意識 形態を伝えている。これは共産党と政府が現在実施され ている政策を認める一つの方式である。同時に、大学で、 政治理論性が強い学生組織がある。学生会は、その中の 一つである。本節で、中国社会の政治背景を分析するの は、政治と関係がある質問項目について調査される障碍 の原因を説明したい。 そして、第二節は本論文の研究方法を選択する原因を 分析した。第一項では調査方法と質問項目について、ま ず、本論文は聞き取り(インタビュー)調査の方法を選 んだ。その理由として、萱間(2010)と谷(2009)によ れば、調査対象者(インフォーマント)から、その人物 の個人のことやその人物の所属している集団や組織につ いての情報を得ることになり、それは既存の文字化され ていない事実を発見するために実施される場合が多く、 文献や資料にはない知識や情報を入手することになるか らである。それから、本論文の六いつの調査質問を記し た。すなわち、①学生会はどのような組織であるか②な ぜ学生会に参加したかったか?(将来の進路にとって影 響があると思ったか?)③学生会に参加して以降、生活 と勉強面にとってどのような影響があったか?④あなた は党員であるか?学生会は、共産党の思想を伝播する組 織であると思うか、党員の継承者を養成する組織である と思っているか?⑤学生会はどのような活動を担当して いるか?行われる活動はどのような特徴があると考えて いるか?⑥中国における就職状況が厳しい現状について どう考えているか?これらを踏まえ、質問項目を選択し た要因を分析した。本論文における質問項目は、特に研 究問題に適した項目を設定した。第一研究問題を分析す る質問項目は、①番、③番、④番、⑤番の四つであり、 第二研究問題を分析する質問項目は、②番と⑥番の二つ の質問項目を設定した。 <第三章> 第三章では、実地調査について記した。選択された調 査対象の概要と学生会の構成を説明した。すなわち、中 国北部のある都市の A 大学と B 師範大学を選び、実地調 査を行なった。中国北部の大学を選択する理由として、 まず、現在中国の政治の中心は北部にあり、南部の大学 と比べ、北部の大学はより中央政府の政策に従う場合が 多い。また、南部の大学は自由性を重視する傾向にある。 そのため、政治的社会化を題目として研究する場合、北 部の大学を選択することで、より代表性があると考える。 また、二種類の大学を選択する理由としても、まず、中

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国の師範大学は最も代表性があると考える。中国教育体 制の特徴は、教師中心であり、教員は学生の代表的な模 範としてクラスに存在している(郑 2014)。教員の話し 方、思想や振る舞いなどは、学生に大きな影響を与える。 そのため、師範大学の思想政治教育は他の大学と比べ、 より重視される傾向にある。そして、二つの大学を調査 し、比較することで、調査の妥当性を高めることができ ると考える。 また、 第二節では、質問項目についての回答を記した。 ここで、典型的・代表性のある回答を記し、全てのイン タビュー調査の内容は添附資料として論文の最後に載せ る。 <第四章> 本章では、研究結果についての内容を記した。第一節 では、調査結果の比較検討である。まず、質問項目に対 して、二つの大学の学生会幹部の回答の共通点と相違点 を分析した。共通点としては、特に学生会幹部の話し方 の側面から分析した結果、すべての被験者の話し方が表 面的、かつ固定的であるという特徴があった。相違点と しては、特に二つの大学の学生会主席の回答方法が中立 的で厳密であった。二つの大学の学生会主席の回答から 見れば、A 大学主席の回答は中立的であり、B 師範大学主 席の回答は厳密である。すなわち、B 師範大学の学生会 幹部は、政治性が強い質問に対して答え方がさらに中国 の政府官員のように、公式的、表面的な話し方という特 徴がある。また、本論文の結論として「文献研究と実地 調査を比較研究し、中国の大学学生会が中国共産党思想 を伝播する組織を検証した結果、ある程度までであるが、 学生会は共産党の継承者を育成する組織であるといえる。 また、学生会に参加することで、将来の進路に対する影 響があった。そして、学生会の活動は政府の方法を反映 する。」という結論が出た。 しかし、結論は出たものの、それは厳密なものではな い。そのため、第二節では本研究の限界と今後の課題に ついて論述した。実際に、学生会活動への参与調査は難 しく、客観的な分析が困難である。学生会のどのような 特徴的な活動を通じて、共産党の思想を伝えているかに ついては、まだ不明瞭である。そのため、今後の課題と して研究することで全体像を把握することができると考 える。また、学生会に入ることで、将来の進路に影響を 与えているかについて、主にインタビュー調査を行なっ たが、調査の結果は「ある」と答えた人が多かった。し かし、具体的なデータはないため、どの程度将来の進路 に影響を与えるかについては、明確ではない。そのため、 これも今後の課題としたい。 <終章> 本章では、本論文についての総括と研究成果について 記した。本論文の成果について、オリジナリティとして は、「中国の大学学生会がどのような役割があるか、なぜ そのような役割があるか?」について分析した点である。 これまでの先行研究では、現代中国の大学学生会に関す る制度や組織に関する研究が多かったものの、学生会に どのような役割や機能があり、なぜそのような役割があ るか、学生会がどの程度その役割を反映しているかに関 する研究は少ないため、本研究を通じてそれらを明らか にすることができたといえる。 4.主要参考文献  R・E・ドーソン K・プルウィット「政治的社会 化」1971 年 読買新聞社 菊池章夫訳  萱間真美 「質的研究実践ノート」2010 年 医学 書院  高橋 弘司 「組織社会化研究を巡る諸問題」1993 年 経営行動科学第8巻第1号  社会学用語辞典 1985 年 文学社  谷富夫・芦田徹郎 「よくわかる質的社会調査―技 法編」2009 年 ミネルヴァ書房  Yan Xiaojun(2014):‘Engineering

Stability :Authoritarian Political Control over University Students in Post- Deng China’The China Quarterly,218,June 2014, pp474-492  魏 敏敏 「 高校学生会运行与制度研究」 2009 年 华中科技大学 高等教育学  郑媛媛 「以教师为中心和以学生为中心的教学结 构的探讨」 2014 年第 53 期 教育教学研究 考试 周刊  李紅丹 張小山 「政治社会化視野下转型期中国政治 合法性的构建」 2008 年 6 月 重庆工商学院学报(社 会科学)第 22 卷第 6 期

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