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非対称費用情報複占ゲームの均衡

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Academic year: 2021

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(1)

非対称費用情報複占ゲームの均衡

村田省三

1.序

selten〔5〕,およびkreps=wilson〔2〕等 によって分析された,いわゆるチェーンスト アパラドックスは,非対称情報のもとでの ゲーム均衡をめぐる問題である。すなわち,

そこでの議論は,相手プレイヤーについての 情報が完全でない場合,そのことを利用した 脅し が効力を持つ可能性を示唆するもの であった。情報の不完全性は,本来,情報が 完全に知られているならば決して通用しない であろうような 脅し ないしは事前の態度 表明を無視できない状況を作り出すから,同 様の問題は寡占経済における企業行動一般を 題材として取り上げられてよい性格をもって

いる。

本稿でとりあげる,非対称費用情報のもと での数量戦略複占ゲームもそのような題材の 一つである。そこでは,複占企業のうちの1 杜が,相手企業の生産費用構造を知らないと き,その相手企業からある種の 脅し戦略 の提示をうける状況が議論される。もちろん,

この種の分析は,個別の状況を細かく設定す ることにより,無数に考えることができる。

とはいえ,これを扱った文献はけっして多く ない。

というのも, 脅し の効力が,ゲーム的 な状況下にある経済活動をめぐる意思決定の 場において興味あるレベルにまで発揮される ためには,基本的に動学的な要素をもりこん だモデルを準備しなければならないからであ

る。もちろん,短期的経済活動においても,

情報にして完全でないならば,そのことを利 用した脅し戦略は有効でありうる。しかしな がら,その場合には,意思決定を行う前に,

すでに直観的に明らかな高水準の情報不完全 性が存在していることを仮定せざるを得ない ため,分析結果は常識的推論の域を出ない。

すなわち,そこでは,大いなる恐れが,ある 企業をして,事前に相手情報を獲得していた ならば選択するはずのない不合理的行動をと らせたという図式が提示されるにすぎない。

興味ある分析とは,もちろん,そのような 常識的レベルの思考を数理分析によって複雑 に形式化することではなく,相手情報につい ての,ほんの僅かな,とるにたらないほどの 欠如が,その企業の意思決定を長期的に狂わ せる可能性を論じるところにある。すなわち,

相手プレイヤーの性質についての当初におけ る僅かな疑念が,短期的には無視しうるほど のものであったとしても,そのことを相手プ レイヤーがうまく利用して,撹乱的な事前広 告を行う結果,次第に当該プレイヤーの不安 を増幅する可能性である。期間の経過ととも にこのような不安が増幅されて,次第にそれ が殆ど疑う余地のない信念にまで昇華されて いく可能性があるとき,合理的推理能力をも つプレイヤーは,後ろ向き帰納法の推論によ って,最終期の最適行動を,さらにまた,そ の1期前の最適行動を演繹して推論するであ ろう。このことは,結局のところ,とるにた らない情報不確実性が存在しているにすぎな

(2)

い第 1期における行動にまで波及していく。

かくして,短期的分析においてはとうてい最 適とは考えられないような行動が選択される 余地のあることも指摘される。

たしかに,情報の不確実性の問題そのもの は,ゲーム理論の登場よりはるか以前から存 在していたものである。しかしながら,従来,

それは,確率論の世界でのみ考慮されてきた のであり,さらに極言するならば,期待値の 計算式のなかでのみ処理されていたといって よいのである。したがって,そこでは,その 不確実性を利用するような積極的行動は考慮 の外に置かれていた。ましてや,その不確実 の程度を示す確率そのものを意識的にコント ロールするようなゲーム戦略的行動をとる経 済主体の存在はまったく予想されていなかっ たといってよいであろう。ところが,近年の 寡占経済の進展とともに,企業聞の複雑な駆 け引き行動が常態といえるレベルにまで展開 されてきた結果,次第にこの種のゲームモデ ル分析の必要性が増大してきたのである。

もちろん,古典的な寡占経済分析において も,企業聞の駆け引きを暗示するようなモデ ル分析は存在している。いわゆる屈折需要曲 線モデルはその代表的なものである。よく知 られているように,そこでは,相手企業の価 格引き上げにたいしてはそれに追随せず,価 格引き下げには同調するという寡占企業行動 が前提されている。ただ,そこでは,この戦 略的行動が, どのような基準にてらして最適 でありうるかといったような根源的な問いに たいして十分に納得のいく解答を与えている とはいいがたい。たしかに,相手企業の価格 引き上げにたいして自企業が価格を据え置く ならば市場シェアは自企業に優位に展開して いくであろうが,数理的な意味で厳密な利潤 最大化をかんがえるならば,相手企業の価格 よりも僅かに低い価格付けのみで十分であ

り,そしてそれが最適価格水準となるためで ある。

もちろん,上記のことは,ある程度まで,

屈折需要曲線モデルの分析のなかで考慮され ており,けっしてそれらのことが無視された わけではないが,どのように理論的根拠によ って,そのような寡占企業行動が最適行動と なりうるかについての完備した分析は存在し なかったといってよい。いうまでもなく,屈 折需要曲線モデルの主たる分析目標が需要曲 線の屈折そのものにはなかったという事情は 追加考慮されるべきであるが,そのさいゲー ム理論を援用した十分な分析がおこなわれな かったことも指摘せざるをえないのである。

本稿で考察する非対称費用情報複占モデル については,分析の完備性を追求する視点か ら,たんにゲーム均衡をのみ探究して分析を 終了するようないきかたではなく,逐次的均 衡の定義にもとづいた後ろ向き帰納法的推論 によってゲーム均衡となりうるような戦略 は,これの経済上の意味の検討もふくめて,

網羅的にとりあげるような考察を心掛けた い。このことは,従来,この種の分析が,と もすれば数理分析に重点が置かれすぎてい て,ゲーム均衡を求める数学の応用問題以上 のものにならなかったうらみがあることに対 する反省である。

2.数量戦略複占ゲームの基本モデル いま,二つの企業が同質な製品を生産して いるものとしよう。すなわち,供給複占であ る。それらの企業を第1企業および第2企業 ということにする。また,これら二つの企業 の生産費用構造はまったく同じであり,第 l 企業(第2企業)の生産費用,C1(C2)

(q = 2 1, E ( , 4)  C2(q2)=2ql, q2ε(14) 

︑ ︑ .

︐ ︐ ︐

︑ ︑ .

︐ ︐

F'EA

向 〆

︐ ︐ a E︑ ︑ ︐

a

(3)

︑ ︑ . ︐

F︐ ︑ ︑

︐ ︐ ︐

' E A a 4 z  

a︐ ︐

︑ ︐ ︐

︐ . ︑

4J  4J  C1(qd=2ql' qlE(l,  (q 1) 0, E ( , 

このとき,第 l企業の真の費用関数は(1)であ ると仮定する。したがって,実際には,第 l 企業と第2企業は同ーの費用構造をもってい

ることになる。ただ,相手企業である第2 業はそのことを知らないままに戦略(生産数 量)を決定しなければならない。本稿では,

さらに,このゲームの2回繰り返しゲームを 考察することとする。

一方,第2期におけるゲームの第2企業は,

1期におけるゲームの第2企業とは別の企 業であるものとする。したがって,相手企業 の費用関数についての情報を保有している第 1企業は,その戦略によって,第l企業の費 用関数の性格を確定しえていない第2企業に たいしていわゆる 脅し戦略"をもちいるこ とができるのにたいして,第2企業の方は,

1期でも第2期でも共にそのような戦略を とることができない。相手企業の費用関数に ついての確定をおこなえない第2企業は,た だ,期首における信念にもとづいて,期待利 潤最大化を実現する戦略を決定するにとどま であると仮定しよう。両企業の製品は同質で

あると想定しているのであるから価格戦略は とりにくく,したがって数量が基本的なコン

トロール変数となるわけである。

一方,消費者については完全競争状態を仮 定して,価格コントロールの余地は与えない こととしよう。このとき,さらに,簡単のた め線型需要関数を想定すれば,両企業の製品 が同質であることなどから,

のような逆需要関数を想定しでもよいであろ

また,先手・第2企業が,後手・第1企業 の費用関数について確定した知識をもたない ものと仮定する。もとより,相手企業につい て何らの情報も持たないのであれば,論理的 な意味での合理的戦略を想定することは困難 である。そのため,ここでは,あらかじめ2 種類の費用関数が知られており,そのうちの

どちらかが第 l企業の真の費用関数であるこ とは分かつている状況を想定する。

いま,二つの費用関数を次のようなものと 仮定しよう。

(3)  P=10‑(ql +q2), 

12  3 0  3 12  0  1628 3 162840  2528132510 13162813161218 9 6 18241512  9 15  6 3 6 

6 3 12  0 6 3 12  0 6 3 12  0 6 3 12 (1  6 3 12  0 6 3 12  0 6 3 12  0 6 

︑ 円

1

. ︑

sI 

図1.非対称費用情報繰り返し複占ゲーム

(4)

るのである。このとき,このゲームの展開形 は以下のように表示される。

図中における記号の用法は以下のとおりで ある。

。 第 1期ゲームの期首において後手

‑第1企業が強力企業(生産費0 であるケース)である確率。(信念) 01 第 1期のゲーム結果が,第 1企業

の生産量4.第2企業の生産量4 であったとき,第2期ゲームの期 首において,後手・第 1企業が強 力企業である確率。(信念) 02'""''04  : 01と同様に説明される。

α 1期において,先手・第2企業 が生産量4を選択する確率。

:第 1期において,先手・第2企業 が生産量4を選択したとき,後手

・第l企業が生産量4を選択する 確率。

'""''s 4 1と同様に説明される。

1 1期において,第2企業が生産 4を選択し,第1企業も生産量 4を選択したとき,第2期におい て先手・第2企業が生産量4を選 択する確率。

'""''r 4 : 1と同様に説明される。

.均衡戦略と信念の斉合性

ところで,村田(7Jによれば,前節のゲー ムモデルにおいて均衡戦略とともに成立する 可能性のある信念は,以下の3つのケースの みであることが分かっている。

(a)  01 = 1 / 4. 02 > 1 / 4. 03 > 1 / 4 

4>1/4.

(b)  01> 1/4. 02= 1/4. 03> 1/4 

4>1/4.

(c)  01=1/4.02=1/4.03=1/4. 

4=1/4.

以下では,そのような信念を形成するよう なゲーム戦略を具体的にもとめる。

まず,信念(a)については,それが,

01=1/4.02>1/4.03>1/4. 

4>1/4.

であることから,これをもたらす戦略は,

情報集合 A1で,生産量 1 4の選択は 無差別,

情報集合A2で,生産量4の選択,

情報集合A3で,生産量4の選択,

情報集合A4で,生産量4の選択,

をともなうことが判明する。

すると,第 1期ゲームの後半における情報 保有企業lの期待利得は,情報集合 B1を起 点としてかんがえることにより,

nJl=(3rl+12(1‑rl))sl+(l‑sl) 

̲ (12‑9 1) 6. 

となるから,そこでの期待利潤最大化戦略は,

sl

9/12  (0.  1 

>.  sl =  を満足しなければならない。

ところが,この内容を個別に検討すれば,

sl 吟 情 報 集 合B1で生産量1が選択 される。その結果。。の水準に 関係なく,情報集合A1におけ る信念の値が010となり仮 定に矛盾する。

sl ゆ 情 報 集 合B1で生産量4が選択 される。その結果。。の水準に 関係なく,

1=00となり,初期信念はそ

(5)

のまま情報集合Alでの信念に 移行する。したがって,仮定

と無矛盾であるためには,

0=1/4

であることが必要であるけれ ども,その場合,情報集合 B3 でも生産数量4が選択される

ことから,

3=1/4

も同時に成立してしまう。し たがって,このケースについ ても仮定との矛盾がおこる。

したがって,ここでの信念値は,んが0 または 1になるという極端な戦略(純戦略) にともなってもたらされることはない。すな わち,もしも均衡戦略が存在するとすれば,

それは,情報集合 Blにおいて情報保有企業 である後手・第l企業が,生産数量1または 4を適当な正の確率で選択するような戦略を とる場合に限定されるということである。実

色 虫 色

αosl+(l‑{}o)α Os3 h

{}osl+(l‑{}o) 

というベイズ式から,この値がちょうど1/

4となるような,情報集合 Blでの戦略れを もとめれば

p‑1‑80 

1一寸万‑,

となることがわかる。なお,このとき,情報 集合 B2における信念の値 ({}2)をも確認し ておけば,れがちょうど 1である場合を除 いて,

α

(1‑sd  1/4,  {}oα

(l‑sl)+O

が成立しており矛盾は発生しない。

一方,情報集合 A3および A4における信

念({}3および、{})については,情報集合B3 および B4における戦略が純戦略になること から,初期信念れがそのまま持ち越される。

すなわち,

3={}4={}0'

となるが,このことと仮定によって,結局の ところ,

0>1/4

であることが要請される。

したがって,もとめるゲーム均衡の特徴は,

初期信念({}0) 

0>1/4

2期ゲーム開始時点での信念({}"'{} 4 

1=1/4'{}2>1/4,{}3>1/4,  {}4>1/4, 

情報集合B1"'B4での戦略 (s"'s 

sl=(l‑{}o) /3{}0,ん=1,s3=1,  s4 1 

となる。このことから,第 1期ゲームの情報 集合 A。における,情報非保有プレイヤーで ある先手・第2企業の期待利得(lIlo) 確定して,

{}(¥ 

lIAo =~V α

(0x3f{}0! Lx{}0+12x  {}0 (1θ

A 1{}0+(1{}o) 

+( α

)(3{}0+3(1‑{}0))

(l6{} 07)α。+3, 

となる。もとめるゲーム均衡戦略は,この期 待利得を最大化するようなものでなければな らないから,第1期ゲームでの先手・第2 業の戦略は, {}1/4を超える水準であ

(6)

に,このような事態が発生したものとみて差 し支えない。

その結果,第l期における先手・第2企業 の強気戦略(大生産量戦略)のみにたいして,

情報保有企業である後手・第 1企業の,いわ ゆる 威嚇戦略"が有効となるわけであるが,

その他の情報集合においては,もはや何らの 有効戦略も存在していないといえるであろ う。そこでは,各企業は,まさに,その正体 どおりの行動を行うだけなのである。このと き,第l期ゲームの情報集合 B1における後 手・第 1企業の戦略決定 (sdについては,

初期信念(())が高水準であるほど,強気 戦略(大生産量の戦択)の可能性が低くなる ことは注目されてよい。このことは,初期信 念(())が高くなるにつれて,情報非保有 企業の迷いが少なくなり,それを迎え撃つ情 報保有企業(後手・第 l企業)は相手を威嚇 することが困難になるという常識的な推論結 果に対応している。

なお,このケース(a)におけるゲーム均衡に おいては,第 1期での初期信念(())の水 準が7/16を超えるかどうかにもとづいて,

情報非保有プレイヤーである先手・第2企業  )

るという前提のもとで,

α

1,  αo (0, 

E

E

0>7/16 

(}o=7/16 

(}o7/16 α

。 =

0, 

となることが必要である。

実際,これらの戦略はすべてゲーム均衡を 構成することになる。以下の図解(図2)に

よって,その要点は把握されるであろう。

この均衡において特徴的なことは,情報集 A1における信念。lの水準が1/4に特定 化されることによって,実は,第2期ゲーム における先手・第2企業の(情報集合 A1 おける)戦略71

に固定されることである。ケース(a)において は,第 l期ゲームの後半以降における戦略は,

すべての情報集合において確定しているため と特定化されるとともに,第 1期ゲームにお ける後手・第l企業の(情報集合 B1におけ る)戦略んも,

sl =( ‑(}o)/3(}o, 

71 = 9/12, 

15  6  3 12 

¥ 話 f

1 e f P I =

>1/4.‑JAo ao=l  (00>7/ =(007/16) 2415 

3 12  18  9 

3 12  25 

t'''AUdF 

B

: ︒

.

ーヮ︑︐

e l

yt li li

7

︑ 丹 ︑

uv

︑ :

︑ ︑

4 F  .• B

4v

・ ・

FO  

. 1  

.  

28  40 

16 

28 

{a}のゲーム均衡 2

(7)

の生産数量が変更される点に注目すべきであ る。先手・第2企業の戦略変更を発生させる 信念水準の境界値は,第2期ゲームにおいて 1/4であるから,そこには,

/16‑1/4 1/16, 

だけの差が存在していることになる。このよ うな差がもたらされる原因は,第 1期ゲーム での後手・第 1企業の戦略的生産量決定にも

とめられるが,実際,

ん = (1 ‑fJo)/3fJo, 

という第 1期ゲーム後半における戦略は,

fJo

1/4fJo1, 

という値をとるとき,後手第 l企業が生産数 量 1をとる確率 (s1)を単調に減少させる

ものの,

1/4fJo7/16

の範囲では,後手・第 l企業が大生産量(4) 選択する確率 (sdは十分に大きい。その ために,後手企業による 脅し戦略"は有効 に機能するのである。このことが影響して,

先手・第2企業は強気(生産量4)戦略を純 戦略として決定しえないとみられる。

もちろん ,fJ 0がさらに大きくなってくれ ば,んの水準はさらに低下して,そのこと からの直接的な影響(期待利得減)が小さく なると同時に,逆に,後手・第 1企業が小生 産 量 ()を選択する確率は上昇して,第1 期ゲームにおける先手・第2企業に利得12

もたらす可能性が高まるので,先手・第2 業による生産量4の決定が純戦略化すること

も当然であろう。

.均衡戦略の分析(b)

ケース(b)における戦略構造も,ケース(a) 同様に分析することができる。この場合,第

2期ゲームにおいて無差別状況においこまれ る情報集合 A2(そこではわ=1/4にな る)をめぐる分析が中心となるが,この信念 水準をもたらすものは,第 1期ゲームでの後 手・第 1企業の,情報集合 B3における戦略 である。というのも,第 1期ゲームにおける 後手・第 1企業の,その他の情報集合 (B1,  B2'  B4)での選択は,すべての純戦略の意 味で確定しているからである。

実際,情報集合 B3では,後手・第 1企業 の期待利得(IIa3)

rra3=16s3+(1372+25(1‑72))(1‑s3) 

=(1272‑9)s3‑1272,  となり,

s3 

72 = 吟 んε(01], 

s3= 1

であることが半リ明する。ところが,

わ =

10となり矛盾,

=0 fJl=fJo>l

4より,

2>1/4となり矛盾,

であることがわかる。

また ,3が任意,すなわち729/12 ときも,

8oαoc1 ‑sd 

0;α0(1 ‑sd+C180)α0(1‑s3) 

1/4,  において,

sl = 0, 

(8)

を考慮すれば,

s3=1‑400  θ

でなければならないことが理解されるけれど も,実は,このような戦略決定は,ただちに,

。 。 く

1/4 を要求する。

すなわち,ケース(b)においては, 00の水 準が1/4以上であるような場合,情報集合

A2での信念 (02) を無差別水準 (1/4) 

にまで低下させることが不可能なのである。

ところが,かりに00

。 。 く

1/4

であったとしても,情報集合 A2での信念水 準は1/4設定可能であるとしても,こんど

0>1/4

が達成不能になってしまう。このあたりの事 情については,以下の図解(図3)が理解の 助けになるであろう。

結局のところ,ケース(b)には均衡戦略が存

28  16  40  3  0  3 

在しない。そこにおいて決定的なことは,

第 l期ゲームの情報集合 Blにおける純戦略 (生産量 1の選択)であろう。すなわち,第 1期において,情報保有企業である。後手・

第 1企業は,小生産量という弱気戦略を選択 して,情報非保有企業である第2企業にたい して 弱み"をみせたのである。したがって,

2期ゲームの開始時点における情報集合 A2での信念の値だけは,辛うじて1/4 でに上昇させたものの,それだけで万策っき て,他の情報集合 (A1)の信念水準への配 慮まではできない状況に追い込まれてしまっ たのである。

このことは,理解に苦しむ状況である。

00が十分に小さく oに近いような場合,

情報非保有企業にとっては,相手企業(後手

・第 l企業)は強大企業であると,ほとんど 確信しているのである。そして,そのことを 第 1企業も知っているのであるから,そこに は,各期において先手・第2企業が弱気戦略 (生産量 1)を選択して,後手・第 1企業は 強気戦略(生産量4)で迎え撃つという自明 な均衡が存在するとおもわれるからである。

もちろん,

28  16  18  24 15  3  0  3 12  12 

12  3  3 12 

U

︑ 十

 

3 12  'B E' nu

 

3 (b)の戦略構造

(9)

であれば,

s1=s2=s3=s4=1,  80=1/4, 

10, 

でなければ矛盾することは容易に確認され る。第1期ゲームにおける後手・第1企業の 戦略がこのようなものでなければ,すべての 信念 (81)がすべて同じ水準にはならない。

実際,このケースを図解したものが図4であ る。向図より明らかに,第1期の先手・第2 企業について,

α

。 =

0, 

が確認される。以上のような戦略によって,

信念の斉合性はすべて満足されるのである が,このとき,各企業の期待利潤の最大化は 達成されているであろうか。以下では,この

ことを検討する。

まず,情報集合 B1以降における,後手・

第 1企業の期待利得 (Ira1)

という極端なケースは本稿の分析対象ではな いが,それにかぎりなく近い状況については すべて,そのような自明均衡が存在しえない というのはなんとも奇妙な現象であるといわ ざるをえない。このことを理解するには,ふ たたび前述の分析を再考するしかないのであ るが,その要点は,信念の斉合性にかんする 理論的な要求と,上記のような自明な均衡の もつ純戦略性が互いに矛盾するという事実に もとめられる。とはいえ,これが意味するも のを常識的に理解することは容易でない。お そらく,そこには,逐次的均衡の概念に再考 をせまる内容が含まれているであろうo その ことについては後に検討する。

.均衡戦略の分析(c)

IIa1=(3r1+12(I‑r1))s1+(6r2  +15( 1 r2)( ‑sl) 

(3r2‑3r1 ‑)s1 +15‑9r2,  さて,第2期ゲームの開始時点における信

念の水準がすべて 1/4である場合である

1=82 =83 =84 = 1/4, 

st= 

︐ ︐ 

︐ !

 

1 0  

︒ ︐ー ︐

qd n u

︑ ︑

h

FO  

a

 

(c)の戦略構造 4

(10)

が 満 足 さ れ な い か ぎ り , そ こ で の 純 戦 略 (s )とのあいだに矛盾をひきおこす ことになる。なお,情報集合 B4については,

以上のような分析によらなくても,純戦略 (B)がもたらされることは自明であ

以上のような条件が満足されるとき,それ らはすべて逐次的均衡戦略になるのである が,そのような条件を満たすれ(i=1 , 

3, 4)としては,たとえば,

r2 >r 11/4 より,

r2>rl+1/3, 

でなければ矛盾することが理解される。そう でなければ,利潤最大化戦略によってん=

1がもたらされない

また,情報集合B2以降の期待利得 (lIri2)についても,同様の分析をおこな えば,

2,  1I ri  2 (15r 24 ( 

+18( 1 ‑r4)) (1 ‑s2) 

‑3 4) 18‑9 

rl=O, r2=1  r3=1, r4=1  などがある。すなわち,これもたいへん奇妙 なことだが,このケースについては純戦略均 衡が存在しているのである。しかも,ここで の戦略構造を注意ぶかく検討してみると,第 2期ゲームの終了時点では,情報非保有企業 である先手・第2企業は後手・第1企業の正 体を確認する結末となっているのである。こ の場合の均衡戦略は,図.14によっても理解 されるとはおもうが,念のために図5として,

その構造を記述しておこう。信念の斉合性や,

各プレイヤーの期待利得極大化などがすべ より,

r4>r3‑2/ 3, 

でなければ矛盾をもたらすことになる。

さらに,情報集合B3以降の期待利得 (lIri3)については,

lIri3=(16rl+28(1‑rd) s3+(13r2 

25 ( 

= 3  (1‑4rl+4r2)s3+25 12r 2, 

より,

12  3  3 12  15  6 

3 12  2415 

12  18  9 

3 12  16 

28 

13  25 

28 

40 

16 

28 

(c)の純戦略均衡 5

U

   

(11)

て達成されていることを確認されたい。

いうまでもないことだが,このケースにお いては,第1期において,先手・第2企業は 生産量1を,後手・第1企業は生産量4を選 択する。それにたいして,第2期では,こん どは,先手・第2企業が生産量4を,後手・

1企業は生産量1を選択して,利得(1512) が実現されることになる。最終期である第2 期末においては,情報保有企業である後手‑

第 1企業が弱気戦略(生産量 1)を選択する ことから,結局のところ,情報保有企業であ る後手・第1企業の正体は弱気 (C=2q) であることは判明するものの,それは事後的 にそう分かるというだけであって,そのこと を利用する戦略が構成しえないことはいうま でもない。

.純戦略均衡と信念の構成

本稿でとりあげているような非対称費用情 報複占ゲームにおいては,初期信念の水準が 特殊なもの (1/4)であるケースを除けば,

そこにはいわゆる純戦略均衡が存在しないこ とを前節までであきらかにした。ところが,

このことは常織的な直観によっては理解しが たい状況である。というのも,かりに,第1 期ゲームの開始点において,情報非保有企業 が形成する信念の水準が十分に小さい (00

==;: )か,あるいは逆に十分に大きい (00

==;: )ような場合,それは事実上のところ完 全情報ゲームに類似のものとみなされて,そ の結果,自明な純戦略均衡が形成されると予 想されるからである。

これまでの分析によれば,そのようなケー スにあっても,斉合的な信念が構成不可能な ために,逐次的均衡戦略は,理論上は,存在 しえないことが分かつているのであるが,実 際,たとえば,初期信念。。が,

。。今0

であるとき,情報非保有企業である先手・第 2企業は,情報保有企業である後手・第1 業の正体を強大企業 (C0)であると 信 じて疑わない"のであり,また,後手・第 1 企業も, 先手・第2企業が,第1企業の正 体は強大企業であると信じて疑わない"とい うことを信じて疑わないので,第 1期のゲー ム結果は,

先手・第2企業は生産量lを選択する,

後手・第1企業は生産量4を選択する,

という自明戦略のケース以外には想定しにく いのである。また,第1期の結果がそのよう なものであれば,第2ゲームの開始時点にお ける信念水準もまた,初期信念 (00)がそ のまま持ち越されてくる他はなく,

1=00 (0), 

の成立が予想されることになる。

常識的に判断するかぎり,このような戦略 決定には何らの意外な要因も,したがってま た,何らの不合理的な行動もふくまれてはお らず,ただ自分の信ずるところ(信念)にし たがう行動結果が叙述されているだけである から,このような企業行動も申し分のない均 衡戦略となるものと予想される。そこで,本 節では,このようなゲーム戦略決定に不合理 性が存在しうる理由を直観的に理解可能なか たちで再考してみることにしようo

初期信念。。の水準がどのようなものであ るにせよ,第2期の後手・第l企業の戦略は 支配戦略の意味で確定している。また,第 1 期ゲームの情報集合 B4における後手・第 1 企業の戦略も支配戦略の意味で確定する。そ

うすると,

(12)

s4 

'であることから,第2期ゲームの情報集合

A 3における信念。3の水準は,初期信念。。を 上回ることができない。そのため,情報集合

A 3における先手・第2企業の選択は生産量 lにならざるをえず,

r3 0, 

となり,その結果,情報集合 B2における生 産量4が,すなわち,

s2  1

が,支配戦略の意味で確定する。さらに,

のことは,

40, 

すなわち,

0,  を確定させる。

にー

このあたりの事情は,図6によって明確に 理解されるであろう。なお,同図中の太線は,

確定している選択である。そうすると,検討 28 

16 

40 

12 

、 話 了

16 

すべきところは,情報集合 B1および B3 の後手・第 1企業の戦略である。

常識的に考えれば,情報非保有企業である 先手・第2企業は,

0 =0, 

すなわち,第 1企業の正体を強大企業である と,ほとんど確信しているのであるから,そ れに対しで情報保有企業である後手・第 1企 業が,わざわざ弱気戦略(生産量 1)を選択 すると推定される積極的な理由は存在しにく

そこで ,B1およびB3において,図中の破 線で示されるような戦略を第 1企業がとるも のとしてみよう。すなわち,

sl  1 s3  1

である。このとき,あきらかに,

10

(130 となり,

18  9  3 12 

V.FJB2 

2415  3 12 

BI 

6 強大企業の確信とゲーム戦略(i)

(13)

r1 = 0,  0, 

となる。これらの戦略も,図中に破線で示し ておいた。

ところが,このような戦略は,事実上ほと んど均衡戦略になっているとはいえ,ただ情 報集合 B1における第1企業の選択のみにお いて矛盾を抱えている。利潤極大化の条件は,

そこにおいて,

s1 0, 

となることを要求するからである。

しかも,さらにやっかいなことには,かり に,情報集合 B1における生産量 1(s 1

)をとるとしても,こんどは,情報集合

A2における信念水準が変更をうけ,

2,  となることから,

r2 , 

ふたたび ,s1 1が要求されるという矛盾 をひきおこす。この状況についての理解には,

28  16  40  28  3  0  3  0 

7が有効であろう。

以上の分析は,情報集合 B3における選択 が,生産量1,すなわち,

s3 0, 

の場合にもほとんど同様におこなうことがで きる。

それでは,混合戦略であればよいかという と,基本的にはそうではない。すなわち,こ こでの分析を注意深く検討すれば,結局のと ころ,第2期ゲームの開始時点における信念 水準が,

1 =1/4, 

あるいは,

2=1/4

とならないかぎり,状況は決定的には変化し ないのである。そして,初期信念が,

。 。 キ

0

というような極端な確信的状況下にあって,

2期ゲームの開始時点までに,その水準を,

16  18  9  24 15 

3 12  3 12 

4o'{.I fhO

/  I

3 12  3 . 12 

~冶ど Vf 、 う が ケ

、 セ 了 、 〉 ラ ユ 。

b.1 

7 強大企業の確信とゲーム戦略(ii)

参照

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