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計量経済モデルとシミ、ユレーション分析(Ⅰ   

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(1)

−・6J一  

計量経済モデルとシミ、ユレーション分析(Ⅰ   

501  

井 原 健 雄  

ま え が き  

最近,言憎経済モデル(EconometIic Model)を使った実証的研究が経済学   の領域に・おいて数多く見られるように・なってきた。この点に腰みて本稿でほ,  

まず第Ⅰとして最近に.おける計鼠経蘭学的研究の−・般的動向を概観しておく。  

第∬として,そこで用いられている計単産済モデルの理論的基礎に焦点をあ   て,それを−−・般的な形で吟味しておく。最後虹第Ⅲとして,計蔓経済モデルに   基づくVJS.ユレーVヨン分析(Simulation Analysis)の意義について若干私   見を述べて■みたい。  

Ⅰ.計量経済学的研究の動向  

「計量経済学が成長し繁栄するに至ったのほ,計量経済学会(Econometric   Society)が,その機関誌㍑Econometrica をもって1980年代に創立されて以  

(2)  

来のことである_Jとクラインは述べているが,最も初期における計量経済学の   実証的研究ほ伝統的な経済理論の妥当性をほかることであったといわれて−い  

る。そ・の具体的な内容ほ,需要関数ならびに.供給関数についての構造パラメタ   ー・を統計的に推定しようとすることであった。こ.のことほ,当時に.おける計屋   経済学的な研究対象が主としてミクロ経済学的分析に向けられていたというこ  

とを意味している。だがしかし,計量経済学的研究の適用範囲が広まるにつれ   てその研究対象も従来のミ.クロ経済学的分析からやがでマクロ経済学的分析へ   とそのウ.ェーー・トを移行した。そして最近.では,主として∴マクロの計算:が多くの  

(1)本稿をまとめるに.当つて,京都大学経済研究所,馬場正雄教授の大学院ゼミナ−ルな    らびに講義把負うところ非常に.大きい。記して心からの感謝の意を表したい。もし本稿    に誤りがあるとすれは,その式任ほ筆者自身に帰することはいうまでもない。  

(21クライン′‥「計最終済学」,宮沢∴中村訳(日本語版への序文)による。   

(2)

502  

第3$巻 第5弓   

・− 62 l  

モデルに‥おいて一行われるという様相を呈している。このマクロ的計鼠経済モデ   ルの端緒と.してまずあげられるのが,クラインの作成したケインズ・モデルで   

($)      (4) ある。彼ほケインズの経済体系を次の6本の方程式体系に凝約した○  

:貯蓄投資均衡式  

:流動性選好式  

:名目所得定義式  

:生産関数   

:名目賃金決定式   

:雇用関数  

(1)∫(㌢,y)=′(γ−,y)  

(2)肱=エ(㌢,y)  

(3)y==♪・.γ  

(4).γ=.γ(Ⅳ)  

(5)紺=川−)州)  

(6)Ⅳ=ダ(紺)  

y:名目国民所得,ざ‥名目貯蓄,′:名目投資1  

但し,  

〟:通貨供給額,グ:利子率,♪:物価水準,γモ   実質国民所得,Ⅳ:雇用豊,紺:名目賃金率,  

暫‥需要弾力性   」   

これら6本の方程式体系のうち,(1)ほ経済の実物面を,(2)ほ経済の金融面を   それぞれ代表している式であると考えられる。そして特に・この第(1)式ほ,乗数   波及効果を通じての三面等価式の成立,即ち貯蓄投資の均衡に・よる所得水準決   定のメカニズムを示す式にあたって−おり,そ・れ以後の詳細な実証研究に・おい}  

は,この三面等価式を通じての仝経済変動を説明しようとする分析意図に基づ   いてそれを支出面,生産面,分配面の各項目にそれぞれ細分化していく,とい  

(5)  

う一・般的な方向がとられるように・なった。そしてこの種の大規模なケインズ模  

(3)経済変動についての先駆者的な計鼠経済学的研究としてほ,J・Tinbergenによる An    EconometIicApproachtQBusinessCycleProblems ,(1937)および Statistical    Testingo董BusinessCycleTheories,II,Business Cyclesin the United States    ofAmerica,1919〜32 ,(1939)があげられる。−・方1936年にJMu Keynesの・一・般    理論が表わされて,マクロ経済モデルの基礎的な理論構成が可能となり,他方連立方程    式体系の計盈経済モデルに関する推定法の開発とあしミまって,各国においてマクロ的な    計量経済モデルが作成されるようになったのは1940年代の後半以降のことである○  

(4)Klein LR.,〔13、〕ppl1991 2r)0 

(5)〔35〕pp‖19−21参照。   

(3)

503   計量経済モデルとレミコ.レーンヨン分析   −6∂−  

塑に.よる実証研究の先駆を担ったのが所謂クライン′:コ・−ルドバ−ガ・−・モデ  

(6)  

ルとよはれているものである。このモデルのねらいほ,1929年から1952年に.至   るアメリカ経済について−20個の最も重要な経済指標をとりあげ,それら相互の   因果関係¢)みならずそれら以外の経済指標との因果関係をも確定することによ  

りアメリカ経済の運動法則を把握しようとすることであった。そ・してこのモデ  

ルの特徴として考えられることは,支出,生産,分配三面における各項目の変   動を詳細かつ整合的に説明しようとすることと共に,又価格体系・金融面の変   動を実物面の変動と整合的な形でとらえようと.した点をあげることが出来,そ   の意味において最もオーソドックスなマクロ・モデルということが出来る。そ   のモデルを構成する各式の推定結果等について細かく吟味すれば若干の問題点   も指摘されうるが,こ」でほその立ち入った議論ほ.避けることに=して,より基   本的なモデルの作成目的,そ・の分析意図といった点に.限定しておく。そしてそ  の意味において,このクライン:ゴ−−ルドバー・ガ・−・モデルは最も均斉のとれ   たマクロ的計妥経済モデルであるということが出来,それ以後各国経済に.つい   てより詳細な三面等価バランスの把握という分析意図のもと盲こ構成された−・連  

(7)  

のマクロ・モデルの模範転なったと考え.ることが出来るのである。   

この・−L遵のオーソドックスなマクロ・モデルのメリットは次の2点に・集約さ  

(8)  

れる。 

(i)三面等価式の成立を前提とする全経済規模(例えば,G〟P)とそ・の各   項目との整合的な説明を行いうること  

(61Klein L.Ru,Goldberger A.S.,〔16).  

け)アメリカ経済について,1955年までに作成された9個のモデルの詳細な比較が,CIlfト    StC・F・, OnEcon?metricModelsoftheUnitedStatesEconomy 北与えられ    カナダについては,BrownT・M・, Canadian Experiencein For?CaSting from    EconometIic ModeZs, があるといわれるが,聾者は.まだ目を通していない。さらにアメ   リカ経済についてほ,短期予測用のモデルとして,D.B・Suits,を中心とした所謂 Mi−   

cbigan Model があり,その構造ほ階差モデルとなって.いる。〔25〕参照。東南アジア    諸国についてほ,アジア経済研究所長期成長調査室において各国別に計測した簡単なモ    デルがあり,インド経済についてほⅠ.C−U= 郎こよっでマクロ・モデルが作成されて■い    る,とのことである。  

(8)〔35〕p121 

(4)

504  

第38巷 第5号   

血 64 −−  

(ii)」二忍の尖物面経済指標と同時掟金融・調整両経済指標との生別勺な説   明を行いうること   

以上のことから容易に推論し得るように.,オ】−・ソドックスなマクロ・モデル   の構成ほ顎存する統計資料の範囲ならびにそ・の精度によって大きな制約を受け   ることはいうまでもない。又たとえ.,基礎的な国民所得資料が十分に.整備され   ていたとしても,いまモデル構成を行う人の分析意図が三面等価バランスの把   握ということ紅あるのでほなく,当該国民経済の核となる部分のみの変動を明   らか軋することであるとするならば,その国民経済の核となる部分を戦略的に  取り出して,その核を説明することに素点をおき,出来ることなら付随的に金   経済の動きをもそれと関連させで把握し得るモデルを望むであろう。例えば,  

幾つかの重要な産業の指標をまず説明し,さらに.これらの指標から統計式を媒   介として:マクロ全体額を説明し得るようなモ・デルを構成することが考えられ   さ。従ってこのようなモデルほ,三屈等価にかかわらずに全経済の動きを説明  

(9)   

しようとする意味において,戦略的なマクロ・モデルとよぶことが出来る。   

そしてこの戦略的なモデルの典型としてまずあげられるのが,1961年に発表   されたクライン,ボ−ル,へ・イズルウッド,プアントー・ムの四人に.よるイギリ  

(10)  

ス経済についての計鼠経済モデルである。これほ2つのモデルより成り立って   おり,その1っほ年べ・−スの原型モデル(Prototype Model)であり,・他の1   つは四半期べ−・スのモデルである。後者のモデルは前者のモデルの構造をもと  

に.してさらに.産業別又ほ品目別に.細分化し,季節変動を除去するために.ダミー  変数(Dummy variable)を導入した指数表示のモデルであることがその特徴    としてあげられる。   

以上,2つのタイプのモデルはいずれもケインズ・モデルの発展としてとら   えることが出来ると思うが,それらと考干おもむきを異に・するもう1つのタイ  

く11)  

プのモデルとして,オランダ・モデルをあげるこ.とが出来よう。このモデルの  

(9)〔や5〕p.27 

(10)Ⅹlein L R.,Ba11R.JりHazlewood A.,Vandome P.,〔二17〕.  

(11)CentralPlanning Bureau,〔1〕・   

(5)

計螢経済モデルとレミュレ ・ション分析   w− β才一h  

505  

特徴としてまずあげられることば,変数に対前年変化率をとっているというこ   とであり,分析のクェ−・卜を生産能力ならびに.価格形成に.おいた短期予測用の  

(12)  

モデルであるという点にある。さらにこのオランダ・モデルほ短期的な政策効   果の分析にも適しており,このメリットを生かしたモデルとして−,インド経済  

(13)  

についての短期的引画モデルをあげることが出来る。  

(14)   

さらに最近彪大なモデルがあらわれた。それほ所謂∫.∫.忍.C.モデルとよ   ばれているものであり,短期的予測を目的としたアメリカ経済に.ついての四半   期べ一−−スのモデルである。各部門ごとに担当者を決め,それぞれ独自の観点か  

ら構造方程式の想定(Specification)を行い,それらを整合的に.とりまとめ   た最終的なモデルの規模は,構造方程式が150本,定義式が75本に.も及ぶとい   われている。   

以上を午・おいで我々ほ,諸外国におけるマクロ的な討鼻緒済モデルの仙般的な   動向をみてきたが,それらのモデルによる分析対象という観点からいま一度ふ  

りかえってみると,過去の経済変動を計測し説明するという構造分析から,さ   ら軋モデルを使って経済の予測を行い,又その予測と密接不可分な関係に・ある   政策の効果を分析しようとする政策効果の分析に.までその儀域を広げてきてい  

(15)  

る,ということが班来るであろう。   

こゝで我が国紅おけるマクロ・モデルの発展のあとを簡単にふりかえってお  

(18)  (17)  

こう。1957年に.発表されたでCg屈・モデル′ほ.,我が国において一計屈経済学的   n2)残差項(residualterm)に.ついて,′ その−=部を工ag効果K,含めていることも,J   

Ti山)eIgen.以来のオランダ・、モデルの1っの特徴としてあげられる。  

姻 NaI・aSimhamN.V叫ん・,〔24〕.  

仏側 聾者ほ,まだその最終的な構造をみていないが,基本的な考え方は〔4〕によって知    ることが出来る。  

(15)この点について,より厳密紅考えるならば,次の4っを区別する必要がある。( i)経    済の運動法別の把握・構造の解明,(ii)過去の経済変動の説明,(iii)将来の経済変動    の予測,(iv)政策樹立へ・の応用,福地崇生,〔6〕pp.231∴247.  

〈1薗〔35、〕pp,.14一・15に「月本経済に関する巨視的計盈経済モデルー一億象」が記載されて    し、る。又,福地崇生,〔6〕pp・248・−284参照。  

α切 Tokyo CemteI・fo‡・Econonic ReseaI℃b の略。産業計画会議,r■昭和35・40年紅お   

けるわが国経済動向の予測.」1957年8月に発表。間接的には〔35〕pp.44−45よりそ   

の構造な知ることが出来る。尚,福地崇生,〔6〕p248の脚註参照。   

(6)

506  

第38巻 第5号   

ー 66 −−  

分析の手法を実際の経済分析の場に用いた巌初のモデルであるということに・そ   の意義を認庭ることが出来る。それに続く1・2年ほ計巌経済学的分析の勅芽  

期にあたり,東京経済研究センター・(TokyoCenterforEconomicResearch)  

がその中心となって,アメリカ経済について作成されたクライン;ゴ−−・ルドパ  

(18)  

−ガー・  モデル,あるいほクラ−ク・モデルを模倣することから始め,さらに  それに対する検討から日本経済についての計鼻経済学的分析の進め方を研究す   るという方向がとられるようになった。そ・して:1960年に.至ってようやく我が国   の計窟経済学的分析もその本格的な発展の基盤を築くようになった。   

マクロ・  モデルの作成意図も,その当初は(i)経済変動の説明ならびに.構造  

(19)  

の推定−−・一例えば,rC百度・モデル,Ⅱ,皿,ノはJrJ・モデルⅠなど】・−であ   ったが,さらに(ii)より長期の経済成長ならびに腐造変動を説明する方向−−  

(20)   (21)  

例えば,rCβ忍・モデルⅣ,上野第Ⅱモ・デル,クライン・モデル,クライン:  

(22) 新開・モデルなど−およぴ(iii)政府の行動に.注目した政策効果の分析に応用  

(2$)  

する方向−一例えほ,′Cこ/・モデルⅠ,Ⅱ,rCβR・モデルⅤ,凡打77・モデ   ルⅢなど・】−−−へと発展していることが窺える。   

だがしかし,これまでの我が国に.おけるマクロ的計鼠経済モデルほ.,−・部の   例外を除いていえほすべて経済の実物面のみを追求する 

O.8)Clark C..,〔.21〕pp.93q・124 

(19) MinistIy OfInternationalTradeandIndustry の略。通商産業大臣官房潔査統    計部編,「昭和34年日本産業の現状」,1959年10月○  

伽)上野裕也,「日本経済の長期モデル,1920−1958年」,経済研究,第12巻,第3号,  

1961年7月。  

(21)Klein L.R., A ModelofJapanese Economic Growth,1878−1937 ,Econome−   

tIica,Vol.29 No.3..Tuly1961.  

但2)Ⅹlein LR.,ShinkaiYn, An EconometLic ModelofJapan,1939N59 ,Inter−   

nationalEconomic Review.Vol.4.No.1.January1963 

(23) LInternational 

関表・ミクロモデルによる日本経済の政策的予測(1960〜1970)(所得倍増計画批判)」,  

「経済行動研究」,第2巻3号,第3巻1号,福地崇生,「月本経済総合模型(ICtJ,塑・  

ⅠⅠ)」,−Tanua【y1964 

(24Iその1つの理由として,我が国の場合貨幣・金融面の式のフィットが非常に悪いとい   

うことがあげられる。   

(7)

討畳経済モデルとレミュレ丁・ション分析   −67】  

507  

(24)  

といえる。現実の経済はたゞ動こ実物面だけでほなく,名目面,さら紅実物・  

名目両面を魂整する物価面をも・その側面として合わせもっているのである。と   すれば,単に実物面中心のマクロ・モデルというものよりも,名目面・物価面   をもそ・の申に包括したマクロ・モデルを構成する方が数段すぐれてし、ることほ  

(25)  

いうまでもない。そしてこの観点から接近するトっの試みとしてあげられるの  

しご6)  

が,経済企画庁経済研究所に.よって作成されたβ且4・短期金融モデルであり,  

その意味でこのモデルは注目するに.値しよう。   

さらに.我が国の場合,実物面だけのモデルに限ってみたところで,その経済   構造のモデル化がまだ十分な形で行われて.いるとはいえない。特に.,在庫投資  

(27)  

関数,設備投資関数など′紅ついてほ満足な結果が得られていない。そして−この   大きな問題に対処す・るために.,敢えて:私見を述べるならば,単に・集計畳(aggf e・ 

gates)を取り扱うマクロ・レベルでの研究から,もう一度個別企業の行動原   理について研究するミクロ・レベルでの十分な検討といった地味な研究以外に  はないと思うのである。  

ⅠⅠ.計量経済モデルの理論的基礎  

これまで実証的なマクロ・モデルについて概観してきたがその理論的な構造   ならびに.その意義についてほ触れなかった。こ・」でほ.その点紅注目しようと思  

う。   

ヴアラブァニスに.従えば,「計登経済学老の仕事は,経済理論を数学的術語に   よってあらわし,そ・れを統計的方法で確かめられるようにすることである。そ   してある経済変数の他の変数に蘭=する影響を計測し,将来の出来事の予測や,  

ある結果を欲するときとられるべき経済政策について・の助言を可能にすること  

(28ノ  

である」という。そしてこの定義ほ計量経済学の研究段階として次の4っがあ   

㈹ 分析目的に応じて異ってこようが,いずれにせよ,実物面と金融面とを整合的に包托    した−・種の親モデルの存在が望ましいことはいうまでもない。  

C6) Economic Planning Agency,,の略。経済企画庁経済研究所,「日本経済の短期金融    モデル(Ⅰ)」.1963年8月。  

提Ⅵ この分野での研究として,〔21〕,〔22:〕,〔23〕をあげることが出来る。  

(28)Valavanis S.,〔:36〕,川勝昭平訳p‖17 

(8)

508   肇38巻 第5弓   

6β−  

ることを示唆している。   

その第l段階をなすものほ,型の想定(Specification)とよほれるものであ  

る。これほ主として先験的(α♪′∠b7・∠)な経済理論を,又ある場合に.は経験的な   基礎に立脚した 

(29〉  

て表わすことであり,その意味でこれほ又モデルの構成(Modelbuilding)と   もよほれている。これを最も簡単な例で説明しよう。いま今期の消費(C√)ほ   前期の所得(n_1)に依存し,その依存の仕方ほ所得の同額の増分がサーぺてそ   れらが如何なる所得水準に‥おける増分であったとしても,常に同額の消費増分   をもたらす,と想定する。(これは1つの簡単な理論であると解釈されよう)と   すれば,rこれほ次のように慮式化出来る。  

Cfニα十∂y才._1  

(30)  

そしてこの事続こそ既に述べた塑の想定(Specification)に他ならない。ちな   みにこの方程式におけるα,∂は儲造パラメターとよばれ,特盲ここの場合に限っ   て〃を最低消費水準(又ほ,基礎消費水準),∂を限界消費性向とよぶことが出   来る。   

次に滞2段階をなすものとし七,推定(Es極nation)をあげることが出来   る。そしてこ」での問題ほ,うえの例に即していえば構造パラメターα,みを正   確に推定するということである。こゝで「正確に.」という言莫を使った理由   は,C亡と坑_1との関係を規定している〃,∂についてその兵の値を我々は知ら   ないし,′又知り得ないということのために他ならない。これは本質的に・重要な  

ことがらである。それゆえに〔.そ我々ほ.消費(qや所得(y)について利用   可能なあらゆる知識や経験をもと古こして−それらのより信粘度の高い推定値を  

(29) ・Specificationシ,というとき,これは必ずしも方程式の形(つまり,数学的な関係)   

をとる必要はないと思う。それにもかゝわらず,敢えて数学的表現を周いる理論的な根    拠として,少くとも次の2点があげられよう。(i)記号の使用による概念の明確化(数    学の言語としての機能),(ii)仮説から定理を導出しうるということ。聞この点につい J    てほ,今川正,(8〕p.64(544)参照。  

冊 数理経済学の領域において取り扱うモデルは,計量経済学の領域に・おいて取り扱うモ   

デルとほ区別され,後者のモデルではさらに確率変数(Ⅰando皿VaIiable)が導入され   

る。この点についてほ後述。   

(9)

計巌経商モデルとジミュレ−レヨン分析  

509   

ー・6.9 −  

「統計的」軋J求めようと努力するのである。そしてこの信頼度に.対するメルクマ  

・−ルとして,既に.幾つかのものが考案されている。「相関係数.」(Cof托ユation  

(31)  (32)  

Coefficient),「■推定値の標喪誤差」(StandardError ofEstimate),「ダ・一・ピ  

(こミこl)  

ン・ワトソン係数」(Durbin〜WatsondStatistic)といったものがそ・れである。  

さら笹又,モデルに.おける構造パラメター・・のより正確な推定値を求めるため   に,各種の推定法が考案され,又それに改」良が加えられていることほいうまで  

(31)  

もないよ   

第8段階は,評価(Evaluation),あるいは換証(Verification)とよばれる  

く$5)  

ものである。こ.」での仕事ほ,さきに.右デル化した理論的仮説を経験的なデヤ   タをもとにして,予め設けられた一山虐の基準と照らし合わせて棄却(恥ject)  

するか,あるいは採択(Accept)するかを判定することである。従っ\てそれほ   統計的腱測(StatisticalInference)の問題である,といえ.る。  

lニー【t:、   

最後に.第4段階として:,予測(Prediction)をあげることが出来る。さきをこ   引用した消費関数の例をこ.Lでもうー…皮取り上げてみよう。いまこの消費関数  

(37)  

の構造パラメタ・−・が,ある推定法(例え.ば,単純最小2乗法)に.よって求めら   れていると仮定する。そのときこの消費関数を用いて予測を行おうとするなら   ば,まず求めた消費関数が将来に.おいてどの程度妥当するかを吟味してかゝる   必要がある。この点をさらに.細かく考えるならば,次の2つの要因に分けるこ  

とが出来よう。  

(i)その構造関係が過去の実際の動きを説明するものとして良好なもので   あるか否か   

(31)例えば,ⅠIoelP.G.,〔7〕pp・117−12年参!損。  

C;2)例えば,Ezekie=帆,Fox KAり〔3〕ppィ・118−126参膵。  

(33)例えば,JohnstonJ・,〔11j p小192参照0  

(弛 推定法についてほ,例えば.Iohnston.†lり〔11〕pp‖252−274参照。尚,福地崇生,  

〔6)のpp.177−一一195にほ各種推建法の比較が試みられており,又p.】73に掲載され    ている図は大いに参考になる。  

(35)Ⅴalavanisほ,hVerification ,という言葉を用いている。Valavanis S.,i:36〕p.2.  

㈹ 第3嘩階の評価(Evaluation)を広義に解釈すれば, こ・の第4段階としての予測(Pre  diction)ほ第3段階の中に含められるであろう。  

(37)例えばJohnstonJ.,し11〕pp.9−13参照。   

(10)

第38巻 第5号  

510  

■・■・・7(ノ ー  

(ii)その構造関係が過去におけるのと同じように.将来においても妥当する   か否か  

この(i)の要因に対して部分的に.は,統計分析的な角度から答え.るこ.とが出来   る。それは既に.第2段階の推定のところで述べた「推定値の標準誤差」を測定   するということに.よって部分的に.ほ可能となるのである。そこで次の(ii)の要  

(き8)  

因に対する答え.と.しては,所得(y)と消費(C)ならびにそれら以外の諸条件軋対   する判断が必要になってくる。もしこの2っの条件がともに∴満たされるなら  

ば,経済の新しい局面に関する情報が入手次第,それをモデルに.導入すること   に.よって我々はより信頼すべき予想を得ることが出来るように.なるのである。  

そしてこのことは,とりもなおさずよりすぐれた政策策定の基礎を与えること  

(89)  

に、つながるのである。   

計量経済学についての以上4っの研究段階をふりかえってみるとき,第2段   階以降ほもっぱらメカニカルに.決ってくる。その意味で主として統計学の問題  

(40)  

に属するといってもよいであろう。「はじめこそ,おわりなり一」という言葉があ   るが,計量経済学的研究に・とってか−・番重要な仕事ほやほり第1段階とレての   型の想定(ModelSpecificaion)1にあると思うのである。このことは,モデル   の型を想定するということがそのモデルによる分析を試みようとする人の目的   あるいは考え方によって大きく左右されるということのため軋他ならない。こ   の事実ほ特に重要である。従ってモデルを利用して分析を試みようとする人   は,まず最初に.モデルの作成目的あるいは分析意図を明確に.しでおく必要があ   る。これをデー・タについて例示的に.説明しよう。いま仮に「国民所得.」という   概念をモデルに.導入しなければならないと想定しても,それを年単位でとるか   あるいは四半期別に.とるかは目的に可成大きく依存する。さらに.四半期別デー   鯛「他の事情にして等しければ」という cg≠βγ査ざ♪α7・よ∂〟ざ, の条件についての吟味を   

意味する。  

(3g)この点についてH。Theilは GouveIner C,est p一色VOir (統治は予見である)と    いう言葉を引用して,政策の合理的策定のための条件としては, 

測すること,欝2として政策手段の効果を予測することである,と指摘している。Tbeil    H.,〔27〕,岡本哲治訳p・5 参照。  

(40)イギリスの詩人,Shelleyの言葉として,筆者が大泉行雄教授に教わった言葉である。   

(11)

封盛経済モデルとレミ.ユレ−・ション分析   −7J−  

511  

タを採用すると決めれば,季節変動を如何に処理するかという新たな問題が生  

(41)  

じてくる。又変数固有の性質として,ストック変数(stock vaI・iable)をとるか  

(42)  

プロ「p変数(flow variable)をとるかの区別も必要に.なるであろう。デ・一夕   の期間に港患を払うならば,晦系列デー・タ(time・Seriesdata)を用いるのと,  

横断面データ(cross−SeCtion data)を用いるのとでほ異った構造パラメタ・−・の  

(48)  

値を得るであろう。さらに.その双方のデ・一夕を合わせ用いること(poolingとい  

(44)  

う)も又考えられ,これらの問題ほすべてさきの分析意図と密接に絡み合って   いるのである。   

さてこ・」で,計鼠経済学的研究に・おいて構成される計嵐経済モデル(Eco−  

nometricModel)の有している基本的な性質について吟味しでおこう。「数理経   済学の歴史的発展ほ,生活の経済的領域における人間関係の類型の取扱い,し   かもそ・こに意味される関係ほ厳格に.満たされるかのようにして.−の取扱いの中に  されてきた。計量経済学の場合に成そうではなくて,そこでほ数理経済学に.よ  

● ●.● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●   (45)  

って示唆される類型からの,偶然的帝離がその図式の本質的な特徴である」と   クラインほ述べているが,計義経済モデルが別名,確率モデル(stochastic   model)とよばれる理由ほこ⊥に.ある。計鼠径済学的分析紅おいてほ,経済的   な諸関係に.対して確率項(畠tochastic term)を明示的に.導入する。   

このことを,さきに.引用した消費関数の例に.ついて考えてこみよう。今期の消   費(G)は前期の所得(yf_1)に.依存して決まるという卜っの理論的仮説を統計   的に検証しようとすれほ,まず最初紅その消費と所得との関係に.ついての型を  

値1)季節渦巻済みのデー・タを使うか,又ほ.ダミ・一変数を導入するかといった問題を意慄す    る。  

㈹ 「■ストック変数」とはtime dimensionをもたない変数であり,ある1時点におい    て測られるもの。これに対して「フロ一変数」字は,timedimensionをもら,ある単    位時間当りで測られるもの。  

(畑 「時系列デ∵タ」とは,ある1時点から次の時点にまたがっで変動した数佑の変化の    記録であるのに対して,「横断面デrタ」とほ.ある1時点における臭ったSampleの    間の変化の記録である。  

舶 「時系列データ」と「横断面データ」とのpoolingについてほ.,Ⅹ1ein L.R,〔15〕   

pp73−74参照ム  

㈹ Klein L− R.,〔14〕,宙崎・中村訳p・2。但し引用文[lコの傍点の付加ほ聾者による。   

(12)

第38巻 第5弓   512  

・・l7ご一一  

想定してかゝらねほならない。そのlつとして例え.ば   C右=α+∂y;..1  

のような最も簡単な線型関係をあげることが出来る。これ以外に.も蔑つか考え   られる。その例として  

C首=αβゥ G=緒−?,   析㍉  C古ニα+∂  

−、161  

といった式をあげることも出来るであろう。   

2変数の関係についての型の想定として,これらの式のうちいずれを選ぶか   といった問題に対してほ予めその理論が答えを与えて.いる場合があるかもしれ   ない。こ」では最初の最も簡単な線型関係の式を選んだものとして詔を進める   ことに.する。  

C汗用+椚㌦.1  

●● と書けほ,これは今期の消費(G)が前期の所得(n・−1)だけで決まるということ  

を意味して−いる。それゆえ.に,こゝでは確率的な要素が何ら介入していない。  

(non・・StOChasticな性質である,といえ.る)だがしかし,現実の経済デーータに  ついて観察するとき,それらの卓がある直線(あるいは又数学的な曲線)上に  厳密に.は位屈していないことが判明する。この問題に.対処するものとして我々   ほさき軍関係式に確率項(u8)を導入するのである。  

G=〃ヰあyJ_1・十叛   

こ」で確率項(批)を導入したことに対するその理論的な根拠として次の8  

(47)  

点を指摘することが出来る。  

(i)すべての説明要因を数騒的に.表わすことほ不可能であり,又仮に.可能   であったとしても事に負えない程の大きな個数となる。従って,それら   説明要因のうち特に重要だと考え.られる少数のものの明示的な関数とし   て被説明変数を表わし,除外された変数の純効果を批として表わすこ  

(姻 これらの式は,変数にある変換を施すことによつて線型化するこ・とが出来る。Jobm  StOn.一.,〔11〕p4参照。  

(47)これらの3点は必ずしも互いに排他的 ごほない。尚,この.鉛明購〔Johnston.丁.,〔ニ11〕   

に従った。pp.4一−7参照。   

(13)

計嵐経滴モデルとレミュレ一山シ ョン分析  

−7こ才 一  

513  

(48)  

と。  

(ii)関連のあるすべての説明要因の全効果の他に,人間の行動の申にほ本   来予言不可能な非合理的要因があって,それほrandom変数の項を導入  

(49)  

することによってほじめて適当に表わすことが出来るということ。  

(iii)経済変数のデー・タについて,観測あるいほ測定の誤差が不可避的に.伴   う。そしてこの誤差を偶然的とみなすことはしはしば現実的であり,そ  

(50)  

して又妥当なことであると考えられること。   

以上8つの理由に.より,我々は測定誤差ならびに.理論値(又は,推定値)と   現実値(又ほ,観測値)との帝離による誤差を個々について検討し,その原因   を完全に・把握することが困難であるという認識に・風脚して,それらを1っの確  

lさ−1)  

率的な変数として−−・般的な確率図式の中に潮み入れるのである。   

現実の経済デー・タを用いて経済分析を試みようとするとき,部分的なデータ   しか使えないのが通常である。だがしかし,我々の欲していることほ経済全体   の動きに.ついてであり,そのためにはノ我々にとって利用可能な部分的デ・−・タを   もとに.して全体の動きを推定するより他に.取るペき方法がないであろう。その   意味常.おいて経済分析とは,1つの標本(Sample)に.基づいて−・般的知識(母   集団−Population・−の特性ともいえる)を導出することであるということが   出来よう。とすれは,これは統計的推測(StatisticalInference)に.おける基本   的な問題となる。そこに.おいては,母集団と標本との関係が決定的に重要であ   り,その標本は母集団の性質を最もよく代表する 

い。そしてそ・の最適な方法としてあげられるのが,「髄作剃山軋」(Ⅰandom  

(4g)数多くの要因が含まれていることを考慮して,中心極限定理(CentralLimit Theo・   

rem)を通風すれぼ,uが正.規分布(normaldistribution)をしていると考えられる。  

掲9) 

誤差項(eI・Ⅰ・Or teIm)ともよ 

伽)(ii)の式の誤差と(iii)の測定誤差とがまざり合っている場合も考えられる。  

(51)誤差項に関して普通とられ七いる仮定についてほ,例えば,Valavanis S・,〔36〕,川   

勝昭平訳pp.25−36参照。尚,、 Heteroscedasticityりについては,JohnstonJ一・,〔11〕   

pp.207−211参昭。   

(14)

第38巻 第5号  

514  

ーアイ ーー  

(52)  

sampling)なのである。だがしかし,現実の経済現象 K.目をやるとき,この条   件を厳密に満たしているものほ皆無といってよい程である。現実の経済変数の   間に.ほ何らかの意味で相互依存の関係が働くと考えられる。さらに.さきの消費   関数において,もしデモンストレ・−Vヨン効果(demonstr・ationeffect)を考   慮するだけでも無作為抽出の条件に.反することが判明する。だがしかし,、我々  

ほ観測に.基づいて得られた経済デー・タを1つの標本であると考え,その標本を  

●●● 

●●●  

敢えて無作為標本であるとみなすのである。従って統計分析上の厳密さを考慮   する限りに.おいて,統計的推測を適用した経済分析ほ非常にあらっぽい(Ⅰ・ougb   である)といわざるを得ない。   

多くの社会現象に.おいて,制御された実験を行うことが出来ない,という事   実こそ・社会科学に背負わされた1つの宿命なのである。この冷徹なる事実のた  

ゞなかにあって我々が主として頼りに.しなければならないのほ,過去より現産  

(53)  

に至る経済過程を観察することに・よって梅られた経済統計なのである。この経   済統計に基づいて,取捨選択を行い,より本質的なものを究明し,それら相互   間の連関関係を明らかにすることに.よって社会の央の運動法則を見極めること   こそ社会科学者に.課せられた1つの義務であると考える。そしてこの経済諸変   数間の連関関係の究明を試みるとき,数学的なモデルの構成が薇も有力な造兵  

(tool)としての機能を果すことが出来,そこに筆者ほモデル分析の意義を認め  

(54)  

るのである。  

ⅠⅠⅠシミュレーション分析とその意義  

t5功 い‡andom sampling,,であるための条件として−,基本的にほ次の2っがあげられる。  

(i)与えられた母集団からある個体を抽出するとき,そ・の個体の各々  が等しい。  

(ii)各々の個体ほ相互に独立(mutuallyindependent)でなければならない。  

I53)ある経済統計をもとにして分析を行なおうとするに当っては,まず最初にそのよって   

立つ経済統計の信びょう性とその限界とに・ついて十分な枚討を加える必要があること咋    いうまでもないととである。  

(54)最初の予定では,さらに「相関関係と因果関係」,「連立方程式体系としての分析モデ    ルと政策モデル」等について論じるつもりであったが,紙数の都合で割愛する。後日,   

稿を改めて論じてみようと温っている。   

(15)

計量経好モデルとジミュレ−ジョン分析  

−7β−   

515  

水師でほり まず最初にシミユレ・・−ジョン分析の内容を簡単に説明し,次にそ   れをこ対して筆者の抱いている考えを述べることにする。  

「シ′ミ.ユレーレヨン」(Simulation)という言葉は, Similar (類似,,あるい   ほ相似)と由じ語源をもつといわれる。これに対する適当な訳語は見当らず,  

又その概念規定も可成難しいが,−・般的に.は「ある類似(相似)なものを作る   ことである.」というように.理解してよいであろう。その意味を計患経済学的な   モデル分析との関連において捉えるならば,「 シ1∴ユレーションとほ.,観察対象   として実在する現実世界に.対して,その変動を支配するメカニズムを抽出し,  

それによっで構成されたモデルを資料に.基づき推定した計恩経済モデルを媒介   として,組織的な模擬的操作(operation)を行うことに.よって,既にL起った,  

あるいは起る可能性のある,現実のメかユズムの働きを明らかにすることであ   

(甲)  

る.」と述べることが出来る。このことは,経済諸変数間の連関関係の究明を試   みる為に.構成された計量経済モデルの構造方程式を,総合的に評価することで   ある,とい一」かえて−もよいであろう。従って,シミ.ユレー・ジョンを行うことに  ある意味をもたせる為に.ほ,次の2っの条件が満たされていなければならな   

(56)  

い。  

(i)モデルが現実のメかニズムを十分に反映していなけれほならないとい   うこと  

(ii)モデルのオぺレ・−ジョンが可能であり,しかも現実そのものを操作す   るよりはるかに.容易でなけれほならないということ  

この(i)の条件についてほ,妥当な計量経済モデルが構成出来るか否かが問題   となり,(ii)の条件についてほ,そのモデルの解を容易に・求めることが出来る   か否かが問題となる。   

まず(i)の条件に.ついでであるが,この条件を満たしているか否かを判定   する為の理論的紅完璧な方法ほ今のところ存在しない。だがそれへの1っのア   ブローーチとして,現実値とモデルから得られる理論値との畢離の轟度を各変数  

\脚 上野裕也,森敬,〔31〕p小672,森敬,〔19〕pl191参照。  

(56)森敬,〔−19〕pp・1pl−192 

(16)

肇38巻 第5号  

ーー76→   5ユ:6  

について吟味するということが考えられ,この判定方法を我々は「シ ミュレ・−  

ジョン・テスト.」とよんでいる。   

このシミュレ・〜ジョン・テストの臼的ほ.計量経済モデルの現実に対する適合   性をテストすることであるが,この適合性のテストに.は次の3っの段階が考え  

られて:いる。即ち,「部分テスト」(partialtest),「全体テスト」(totaltest),  

「最終テスト」(finaitest)がそ・れである。最初の「拓分テスト」とほ,モデルを   構成する各構造方程式軋対して,説明変数の全部(内生変数,ラグ付内生変数,  

外生変数を含む)に,その実績値(現実値)を代入して,被説明変数(従属変   数)の計算値(理論値)とその実績値とを比較検討するものである。2番目の  

「 全体テスト」と8番目の「最終テ∴スト」とは,ともに.もとのモデルに.ついて   の誘導型(ReducedForm)を用いるが,前者はモデルに・おけ 

数(ラグ付内生変数,外生変数を含む)に実績値を代入して得られる被説明変   数の計算値とその実績佑とを比較検討する方法であるの檻対して,後者は先決   変数のうち外生変数に.のみ実績値を代入し,ラグ付内生変数についてほある初   期値を与え.て得られる計算値を遂次代入して−,その結果求められる被説明変数  

(57)  

の計算値とその実績値と.を比較検討する方法である,といえる。従って−,経済  

即 これを,行列を使って\表わせば次のようになる。(週し,モデルの線型性を仮定し    ておく。)構造モデルは次のように番ける。草γ=√z+払11)ここで,.γは(Gxl)の同    時内生変数のベクトル,Zは(gxl)の先決変数のベクトル,αは(Gxl)の残差ベ  

クトル,βは(GxG)の同時内生変数の係数推定値の行列,rほ(Gx∬)の先決変数    の係数推定値の行列,をそれぞれ表わすものとする。  

いま,先決変数のベクトルZを,(∬1×1)の先決内生変数のベクトル5(。γ−ヾ)と,  

(」‰×1)の外生変数のベクトル・ガと,定数項(スカラ−)の3つに分頬し,それぞれに 

対応する係数推定値の行列を(Gx∬1)のr 1,(Gxg2)のr2,(、Gxl)のr−3とすれば,  

(1個次のように苛き表わせる。但し,茸1+j弘十1=∬であり,ぶは時椙1遅れ等を伴う線    型関数である。β.γ=r1・5(.γ一丁)−け2・∬+J■31一弘(2)  

モデルの各構造方程式ほ,(1),(2)に応じて.γ豆=−・滅・g.γg+r£Z 十的,(≠=1,2,G)  

(3)又は,.γ =−名β慮・名.γよ【l−r 1;・ギ(.γ−)J+r2占・∬J+r 鋸十〜仏(f=1,2‥,G)(4)となる。   

但し,左側に.添字のついた行列又はべクレレは,グ列を除いた残りの行列又はベクトル    を表わす。け‖≒・0ならば,構造モデルの誘導型(Reduced For■m)は,  

γ=β ̄1(rz+〟)15)又は.γ=かl(rl・5(グー。)十r2・ガ十r8+〟)…6)となる。   

「部分テスト」とほ,(3)又は射の右辺の説明変数に実績値な代入するテ不卜であると    いうことが出来,「全体テスト」と「巌終テスト」とほ,ともに誘導型旧)又はr6)を用い   

るが,前者ほ,右辺の先決変数全体に実績値を代入するテストであるのに対して1後   

(17)

計晶経商モデルとンミユレーション分析   −77【  

517  

の全体の構造,即ち諸変数間の連関関係に対してそ・のモデルが如何に適合して   いるかという観点より当該モデルの総合的評価な与えようとすれは,「 ̄部分テ   スト」よりも「全体テスト」,「全体テスト」よりも「最終テスト」の方がより   すぐれている,という帰始を得る。  

(58)   

次に(ii)の条件が要請して−いるモデルの操作性(operationality)の概念ほ,  

既に述べた型の想定(ModelSpecification)と密接に関連していると考え.られ   る。例えば,出来るだけ小さくしかも効率の高いモデルを考えるこ.とほ,操作   性を高めるだけでなく経済の流れをつかみ易くするというメリットがあり,そ   の患味で望ましいとほいえるが,逆に変数の選択が難しくなってくる。又モデ   ルの作成目的が内容豊富であればそ・れに応じてモデルの規模も又大きくならざ   るを得ないであろう。、だがしかし,計鼻経済モデルはそれを作成することだけ   に.意義があるの■ でほなく,そのモデルを用いて各席の分析を試みるこノとの方に  より大きな意義を筆者ほ認めるものである。その意味で,計遍経済モデルを用   いて実証分析を試みるとき,モデルの操作性(operationality)を十分に.考慮し   てかゝる必要があるであろう。   

上記2つの基本的な条件が満たされていると判定されるならば,そのモデル   が現実に可成よく Simulate していることを示すと同時に.,又そのモデルに.基   づく各種実験の可能性が保証されていることを示している。この前提に基づい   てさら紅計蛋贋済モデルに・加えられる実堺としてほ,(i)初期値テスト,(ii)  

安定性テスト,(iii)鮒繍する反応テスト,(iv)構造変隼の効紆三59〜・,等  

が考えられている。この一・連のジミュレ−ジョン分析の意義として,筆者は次   の2点を特に.強張しておきたい。  

その1咋,モデルの構成作米の観点より総合的なモデルの改良を行い得る,   

者は,先決変数のうち外生変数紅のみ実絵値を代入し,先決内生変数には求めた内生変    数の理論値をフィ−rF・パック(逐次代入)して5(.γ一丁)を計辞し,それを代入するテ    ストであろ,ということが出来る。森 敬,〔20〕p‖47参照。  

伽)概念の操作的意味についてほ,今川正,〔8)pp.75−78参照。  

(5切 これらの詳細についてほ,例えば,内田忠夫,森 敬,〔30〕pp.219−233参照。尚,   

「政策効果のテスト」を独立に取り出している場合もあるが,筆者はこれを(iii)撹乱   

に対する反応テスト の1部と考えたい。   

(18)

518  

寛38巻 節5号   

ー7β − 

ということである。このことは,計義経済モデルの構成l]的が経済諸変数間の   連関関係の究明に.あるとするならば,単に個別的な構造方程式の改良もこの連   関関係という総合的観点に,立脚して行わなけれはならないということであり,  

そ・の意味でレミュレージョン分析が有力な判定基準に成り得ると考えられるか  

(60) らである。   

その2ほ,ジミーユレ−ジョン分析に付与されて■いる実験的な性格の強張であ   る。シ′ミユレ−ジョン分析とは,既に.指摘したように.「現実の動きに・ついての   模擬的操作を行うことである」と考えられるが,そこでの模擬的操作とは,あ  

る操作可能な範囲内に.限定すれば,こめジミュレ−ジョン分析によって現実の   経済ゐメカニズムを,既に実現された状態についてのみならず,仮想的卑将来   の状態についてもある程度考察すること鱒可能である,ということの為に他な  

(61)  

らない。政策効果の分析ほ,その一・一例として指摘されるであろう。   

しかしながら,こ√の種の理論的実験がモデルの完全性軋立脚して行われるの   でなけれほ,その実験より得られる帰結も決定的なものとしては考えることが   出来ず,さらに.又モ・デルの完全性に.対する完璧な判定法も今のところ存在して  いないという事実は特に注意を要することであろう。1それに.もか・」わらず,我々ノ   がこの点について十分な考慮を払う限りにおいて,レミ.ユレ−ジョン分析の現   実的意義はそれをCoverして−なお余りがあると筆者は考えている。  

参  考  文  献  

〔1〕Cent工alPlanning Bureau,=CentalEconomic Plan1961 (1961)  

〔2〕Clark C., A System of Equations Explaining the United States Trade Cy・   

cle, 

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(1963)  

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Cation,TheBrookings−S.S.R。C.QuarteIlyEconometricModeloftheUnited   States:ModelProperties ,in American Economic Review(1965)  

鱒功 この点については,森敬氏が「蘭合的なモデル作成法の提唱」として・指摘されでいる    が,筆者もこれに大きく賛成する者の1人である。森 敬,〔20.〕参照。特に第1図ほ    味わうべきものがある。  

(61)具体的に計患経済モデルについて政策効果のシミュレ−・ジョン分析を試みたものとし    て,中期マクロモデルに関するジミュレ」−ション分析をあげることが出来る。詳細は,  

〔10〕ppい79−1∩2参照。   

(19)

519   計鼠径濁モデルと£/シュレ㌧べ/ヨン分析  

−−7クー  

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〔8〕今川正,「経済学紅おける分析モデル_」立命館経済学第12巻5・6号(1964)  

〔9〕今川正,「財政金融政策の統計的分析」香川大学経済論叢第33巻算2・3号(1960)  

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O11tlook for19(∋5 ,  

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〔35:〕通商産業大臣官房調査統計部編,「日本済の巨視的計昼経済モデル」(1964)   

(20)

520   簡38巻 第5号   

ーβ0・岬  

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ム 5(19即)   

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