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ロシア語 における連結動詞 と主格名詞句 を 先導す る 9TO をめ ぐって
匹 田 剛
0. は じめ に(1)
ロシア語 には指示代名詞
BmOm
の中性 ・主格形 で あ る と考 え られ る∂ mo
と連結動詞6um b
,及 び主格名詞句 か らなる構文が ある.意味 は概 して「これ は〜で ある.」とい うものになる( 2)
O機能的 に見 る と,∂ mo
は文 の トピックの 機能 を果た し,主格名詞句 はコメ ン トの役割 を果たす(3)。(1)
3TO ¢ Z ( HH r a.
t hi s ‑ NOM. N. be‑ PR. book‑ NOM.
「これ は本 だ。」
(2)
3TO 6 b
tJ I a uK
OJ l a.
t hi s ‑ NOM. N. be‑ PA. F. s c hool ‑ NOM. F.
「これ は学校 だった。」
この様 な構文 で最初 の
∂ mo
は しばしば 「主語」 と呼 ばれ,最後 の主格名詞 句 は 「述語」 と呼 ばれてい る。 例 えば,Po 3 e H T a 此 ( 1 9 84:4 7 0)
は, しば しば主格 主語 として用 い られ る要素 を列挙 す る中でその
6
番 目に指示代名詞 を 挙 げ,以下 の ような∂mo
が用 い られてい る例文 を示 している。( 3 ) 3TO 6 b I J I
CJ I a B H b I H 6 a 3 a p.
t hi s ‑ NOM. N. be ‑ PA. s pl e ndi d‑ NOM. M. bazaa r ‑ NOM. M.
「それは楽 しい市場 だった。」
また,B
H H O r pa A O B( 1 9 72:25 6)
は指示代名詞Bm
Oが主語 として用い られ,主 格名詞句が述語 として用い られてい る例 として以下 の ような ものを挙 げている
。( 4) 3T O MO 員 6 p a T.
t hi s ‑ NOM. N. be‑ PR. my‑ NOM. M. br ot he r ‑ NOM. M.
「これ は私の兄 である。」
他 に も
Bar ne t ovまe tal( 1 97 9)
も主語 の位置が∂mo
によって占め られ,逮 語 の位置が主格名詞句 によって占め られてい る例 として以下の文 を示 している
。( 5) ∋T O 6 b I J I C O B pe Me H H b I
flr o p o A.
t hi s ‑ NOM. N. be‑ PA. M. mode r n‑ NOM. M. ci t y‑ NOM. M.
「それ は現代 的 な都市であった。」
( 6 ) ∋T O 6 b I J l a L u J I f l n a.
t hi s ‑ NOM. N. be‑ PA. F. hat ‑ NOM. F.
「それ は帽子で あった。」
以上 の ように
,∂mo
を主語 とし,後 ろの主格名詞句 を述語 と考 える文献 は 多数見 られ る。確 か に,意味的な観点か ら考 えれ ば この様 な構文で∂mo
は主 語であ り後 ろの主格名詞句 は述語 である と考 える方が正 しい と思われ る。しか しなが ら,多 くの文献が これ らをそれぞれ主語 と述語である と考 えて いる一方で, この考 え方 にはい くつかの問題点が指摘 で きる.
まず第 1
に, この構文 において主格形 を持 って現 れ る名詞句が2
つある と い うことで ある. ∂mo
が主語 で ある と考 えるので あれ ば∂mo
が主格 を持 っ ていることに問題 はない。 しか し, その場合問題 となるのは述語である と考 えられ る主格名詞句 であ る。 そ もそ もロシア語 において主格 は基本 的 に主語 名詞句 に与 え られ るべ き構造格( s t r uc t ur alcas e)
であ り, ここでみ られ る 様 に述語 と考 えられ る名詞句 に与 え られ るべ きもので は決 してない し, この 場合述語主格名詞句 に格 を与 えるのが困難 になって くる。第 2に挙 げ られ る問題点 として連結動詞
6bL m b
の一致の問題が ある.通常 ロシア語 の動詞 は主格主語 と一致 を示す。( 7 ) OH t l H Ta e T.
he‑ NOM. r ead‑ PR. 3. SG.
ロシア語 における連結動詞 と主格名詞句 を先導す る
9 T O
をめぐって289
「彼 は読書 してい る。」
( 8 ) 爪b l r y J I S l J M B I l a p K e . we ‑ NOM. wal k‑ PA̲ P
L. i n pa r k‑ LO
C.「私たちは公園 を散歩 していた。」
ところが,上 に示 した例文か らも明 らかなようにこの様 な
「∂mo + 6umb +主
格名詞句」か らなる構文で は
6umb
は必ず 「述語」 とされている主格名詞句 と一致 を示す。(9)
(
‑ 2)3TO 6 b I J I a l UK O J L a .
t hi s ‑ NOM. N. be ‑ PA. F. s c ho ol ‑ NOM. F.
「これ は学校 だった。」
( 1 0 ) * 3TO 6 b I J I O I DK O J I a .
t hi s ‑ NOM. N. be ‑ PA. N. s c hoo l ‑ NOM. F.
もし,伝統的 に考 え られてい るように
∂mo
が主語であ り,後 ろの主格名詞句 が述語で あるのであれ ば この様 な現象 はロシア語文法 の通常 の枠組 みで は決して説明がつかない。
本稿 で はこの様 な構文 にお ける 「主語」 と 「述語」 の問題 についてい くつ かの観点か ら考察 を加 えてい きたい。
1. 2
種類 の∂mo
につ いて前節 で は指示代名詞
∂mo
が連結動詞 と主格名詞句 を伴 って あ らわれ る構 文 において∂mo
は伝統的 に主語 である と解釈 されてい ることを述べた.しか しなが ら,中 には
∂∽
Oを主語 と呼ぶ ことを慎重 に避 けてい る文献 も見 ら れ る.例 えば,IlaR y t l e B a ( 1 9 8 1. '7 2 )
は∂mo
の用法 を説明す る際 に以下の ように述べている。
Oc H O B H O 員K O H T e l ( C T ,BK O T O p O M9 T Ou l H p O K Oy n O T p e 6 J I 只 e T C S TA J I 兄 O T C b I J t K H
KI l p e A Me T H O Mya H T e l l e A e H T y, ‑9 T OK O H T e K C T6 I I H O MI I H a T H B H O r On p e A J I O Xe H H f I
(BIl),T. e .r l p e A J I O Xe H H 只 ,0 6 p a 3 0 B a H H O r OA B yM只M Me H H b I MHr P yr l n a MH (
H「)ちH M.
n a A e 〉 K e ,C OC B 只3KO f iH J I H6 e 3C B 5 I 3 K H …
( ∂mo
が具象的先行詞 を指示す るた め に広 く用 い られ る基本 的 な文脈 は,2
重主格構文( 6 H H O MH H a T H B H O eI l p e A J 1 0 Xe H H e )
,即 ち連結辞( cB 5 ] 3 K a )
が有 る 場合 と無 い場合が あるが,2
つの主格名詞句 か らな る文 で ある。)この様 に述 べた上 で,
I la A y t l e B a ( 1 9 8 1 )
は∂ mo
をその2
重主格構文 の 「第1
要素 (1 一 員K O Mn O H e H T )
」, その後 ろにある主格名詞句 を 「第2
要素 (2 ‑f i
K O Mn O H e H T )
」と呼 んでお り, そ こで は 「主語」あ るいは 「述語」とい う名称 は 決 して用 い られていない。I l a R yt i e B a
(1 9 8 1 )
の 目的 は∂ mo
の文法 的 な性質 を 明 らか にす る事 で はな く, その意味的 ・機能 的特徴 を明 らか にす る事 にある ので,何故 この様 な伝統 か らはずれた名称 を用 いてい るか は どこに も述 べ ら れていない し(4), また この第1
要素 と第2
要素 はいったい統語 的 に具体 的 には何 なのか とい うことに も一切触 れ られていない。
それで は これ らの
a m
Oと主格名 詞句 は統語 的 に どの ような性 質 を持 って い る と考 えるべ きなので あろうか。以下本節 で は この構文 の持 つ統語的性質をめ ぐった議論 を続 けてい きたい。
山崎
( 1 9 9 0 )
は∂ mo
には上 で触 れた ような用法 の他 に動詞文 の前 に置 かれ て 「形 式題」 として用 い られ る場 合が あるこ とを示 してい る。( l l ) Be eyI l l e J l h eO K a 3 a J 1 0 C b3 a J MT b l M BOAOf i .
「谷 間 は全域,水 に浸 っていた。」
3TO T a 5 1 J I C H e r B C e B e P O ‑ B O C T O t I H O 員 t hi s ‑ NOM. N.me l t ‑ PA. M.s now‑ NOM. M.i n no r t h‑ e a s LLO
C.F.q a c T H XP e 6 T a . par トLOC. F. r i dge‑ GEN.
「(
これ は)北東部 の峰 の雪が溶 けたのだ。」( 1 2 ) BR B e p bI l O 3 B O H H J I H .
「ドアのベ ルの音 が した。」
ロシア語 における連結動詞 と主格名詞句 を先導する 9TO
をめ ぐって291
Ha B e P H O e ,9 T O r O C T H n p HL uJ I n K J l e o I
lO J 1 0 b A y p r o ba b l yt h i s ‑ NOM. N.gu e s t ‑ NOM. P
L.c o me ‑ PA. P
L.t oLe o po l ' d H a A e H b p O XA e H I l 只.
O n day bi r t h‑ GEN.
「多分, レオポル ドの誕生 日で客が来たのだ ろう。」
山崎
( 1 9 9 0:4 6 )
は∂mo
には 「題 目に対 す る解説部 (述語部)を先導す る 働 きが ある」 としてい る。 また, この様 に動詞文 をコメン トとして先導す る∂mo
は,直後 に特 定 の個人 (あ るい は物) を指 す語 が続 く場 合,一致認 定( i de nt i f i c at i on)
の確認が行 われ るため一種 の強調構文 を作 ることがで きる とも述 べてい る。( 1 3 ) OHB A p yrr 1 0 L I yB C T B O B a J IC e 6 月T a K H MyC T a J I h I MHC n O K O e H H b l M ,…
「彼 は途端 にほっ として疲れ を感 じた,・・‑・」
I ( a K6 y A T O 9 T O O H H r p a
JtC O I I J B e A a M l 4 .
a si f t h i s ‑ NOM. N.h e ‑ NOM.pl a y‑ PA. M.wi t h Swe d e ‑ I NS. P
L.
「まるで 自分がスウェーデ ンのチーム と戦 っていたかの ように。」
これ は概 略,英語 の以下の ような分裂文
( c l e f ts e nt e nc e )
に相 当す る機能 を 果たす と考 え られ る。( 1 4 ) I twasacart hathebo ug htye s t e r day.
「彼が昨 日買 ったのは車 だった。」
いずれの場合 も
∂mo
は トピック としての機能 を果た している。山崎
( 1 9 9 0 )
は この様 な動詞文 を先導す る∂mo
と主格名詞句 を先導す る∂mo
を形式題 として同一 の物 として扱 ってい る。この主格名詞句 を先導 す る
∂mo
と動詞文 を先導す る∂mo
とを同一 に扱 う考 えには, 山崎( 1 9 9 0 )
では触 れ られ ていない ものの, それな りの根拠が ある と思われ る。まず第 1に,どち らの
∂mo
とも節の主動詞 との一致 を行 わない。動詞文 を 先導す るBm
Oの場合 は他 に主格 主語 が存在 す るわ けで あるか ら, 当然∂mo
が動詞 と一致 を行 うこ とはあ りえない。 また,連 結動詞 6bLmbと主格名詞句 を伴 う∂moは上 で も既 に述 べた ように決 して動詞 と一致 を示 す こ とが ない。
この ことはロシア語 の ように一致が強 く行 われ る言語 において は,この ∂mo が主語 でない と考 えな けれ ば決 して説 明す る ことはで きない。
第
2
に, どち らも機能 的 な観 点か ら見れ ば文 の トピックの役割 を担 ってい るが, この ことは語順 に も表 れてい る。ロシア語 を含 むスラブ話語 はは しば しば語順 が 「自由」 な言語 であ る と言 われ るが,
Mat he s i us( 1 9 3 9 )
はその 「自由な」語順 は機能的 な原則 に束縛 さ れた 自由である ことを明 らか に した。例 えば,以下 の例文 に見 られ るように, 原則 として トピ ックが前 に,コメ ン トが後 ろに置かれ る。(例文 はKp b l d O B a &
Xa B p O H H H a1 9 8 6:1 6
か ら。) ( 1 5 ) t l T OA e J I a e TO T e u?
「お父 さんは何 をして るのですか
?」
OT e l l p a 3 B O A H T uB e T b I .
f at he r ‑ NOM. c ul t i vat e‑ PR. 3 . SG. f l owe r ‑ ACC. P
L.
「父 は花 を育 ててい ます。」
ここで は omeq「父」が トピック として前 に置 かれ, pa380∂um Li8embL「花 を育 ててい る」が コメ ン トとして後置 されてい る。
(16)
KT OyB a Cp a 3 B O A H TI I B e T b I ?
「お宅 で は誰 が花 を育 ててい るのですか
?」
Pa 3 B O A H T l l B e T b I O T e u.
c ul t i vat e ‑ PR. 3. SG. f l o we r ‑ ACC. P
Lf at he r ‑ NOM.
「花 を育 ててい るの は父 です。」
例 文u6
)
でpa
380∂um li8embLが前置 され,ome14が後 置 され て い るの は ト ピック とコメ ン トとい う機能が例文( 1
5)とは逆 になってい るか らで あ る。この様 な機能的原則が あるロシア語 において,上述 の∂∽Oは両者 とも文頭 の位 置 に限定 され てい る。
ロシア語 における連結動詞 と主格名詞句 を先導す る 9TO
をめ ぐって293
田E
a) 3TO ¢ Ta H5 7.
t h i s I NOM. N.b e ‑ PR.Ta n j a ‑ NOM.
「これ はタ一二 ヤです。」
b)
*TaHf I9TO.
qE
a) ∋TO T 7 TMi l bI J E eT5 7 T.
t h i s ‑ NOM. N.b i r d ‑ NOM. P
L.f l y ‑ PR. 3 . P
L.
「鳥が飛 んでい るのです。」
b)
*I ITHub 19TO J l eTf I T.
C)
*neTf I T9TOI I THubT .
d)
*r lT叫 b lJ F eT 月T 9TO.
d)
*J l eT只Tr I THI l bI 9TO.
e) ∋TOJ I eT只T I I THub I .
これ らの例 で
∂mo
が許 され るの は文頭 の位置,即 ち トピック主題 が置かれ る べ き位置 のみで あ る。ところで,上 で述 べた ような語順 の原則 はあ くまで も原則 であって,トピ ッ クが文末 に置かれた りコメ ン トが文頭 に置 かれた りす る場合 もある。 この様 なタイプの文 を 「感情表 出的 に色付 けされた発話 (9K
CI l peCCHBHOOKpaueHHa 只
peqb)
」と呼 び, この道,即 ち上述 の語順 の原則 に従 った文 を 「感情表 出的 に 色付 けされていない発話( 9KCnpeCCHBHOHeOKpauJ eHHa只pet l b)」
と呼ぶ.(1g) 「A
eOTeu?
「お父 さんは どこですか?」
a) OTe l l yeXa此
f a t h e r ・ NOM. M . go away‑
PA.M.「父 は行 って しまった。 (その結果 ここにはいない
。)」
b) yexaJ IOTeI ユ.
ここで
( 1 9a)
が 「感情表 出的 に色付 けされ ていない発話」で,( 1 9 b)
が 「感情表 出的 に色付 けされた発話」である(5)。
ここで,興味深 い ことに,上 で示 した(
1 7 ) ,( 1 8 )
の∂mo
を用いた文 はいずれの 場合 とも 「感情表 出的 に色付 けされた発話」 としてさえ も容認可能性が極 め て低 い( 6)
. この ことは通常 の文以上 に∂mo
を用いた文 には機能 的な 「トピッ ク ・コメ ン ト」の関係が重要であることを示 している と思われ る。第
3
に,通常 どち らの∂mo
も文頭 の位置 に限定 されてはい るものの,疑問 詞 は∂mo
の前 に置かれ ることが可能である。( 2 0 ) KT O 9 T O q H T a e T C B O f O K H H r y?
who‑ NOM. t hi s ‑ NOM. N. r ead‑ PR. 3 . SG. s e l f ' s book‑ ACC.
「自分 の本 を呼 んでいるのは誰 ですか?」
( 2
1)KT O 9 T O I l p H ue J I ? who‑ NOM. t hi s ‑ NOM. N. c ome‑ PA. M.
「来たのは誰ですか?」
¢ 2 ) KT O 9 T O ¢?
who‑ NOM. t hi s ‑ NOM. N. be‑ PR.
「これ は誰 ですか?」
ただ し
, ∂∽
Oが疑 問詞 の前 に置かれ ることも可能 である。( 2 0 ' ) 3T OK T O q H Ta e TC B O f OK H H r y?
(21')
3T On PH t i l e J IK T O?
(22')
3T O¢ K T O?
以上 の現象 はロシア語 の
wh
移動 によって起 こっている と思われ る。また,ロ シア語 のwh
移動 が主節 において は義務 的 で はない こ とか ら∂mo
が文頭 に 置かれ る可能性 も残 されてい るのであろう。第
4
に,いずれの∂mo
の場合 において もある種 の副詞が前 に出て文頭 に置 かれ ることが可能 である。( 2 3 ) Ha B e p H O e , 9 T O ¢ ㊥a L u H C T.
pr o ba bl y t hi s ‑ NOM. N. be‑ PR. Fa s c i s t ‑ NOM.
「多分 それ はファシス トだ。」
ロシア語 にお ける連結動詞 と主格名詞句 を先導す る 9TO をめ ぐって 295
( 2
4)Ko H e q H O , 9 T O ¢ Ha T a L u a.
ofco ur s e t hi s ‑ NOM. N. be‑ PR. Nat as ha‑ NO M.
「もち ろん, これ はナタ‑ シャだ。」
( 2 5 ) Ec T e C T B e H H
O,9 T O I I T H l l b I J L e T m.
nat t ur al l y t hi s ‑ NOM. N. bi r d‑ NOM. P
L. f l y‑ PR. 3 P
L.「当然,飛 んで い るのは鳥 だ。」
( 2 6 ) 3TO i co B C eM P
e6e H O K.
t hi s ‑ NOM. N. be‑ PR.
qui t e c
hi
ld‑ N
OM.「それ は全 くの子供 だ。」
(26')
* Co B C e M9 T Op e 6 e H O K.
( 2 7 ) Ha A f I O T J I H t I H O B J I a A e e T 只 I I O H C K H M
Nad j a‑ NOM. pe r f e c t l y cont r ol ‑ PR. 3. SG. Ja pane s e‑ I NS.
5 7 3 b I K O M.
l anguage‑ I NS.
「ナ‑ ジャは完壁 に 日本語 をマスター してい る。」
(27')*
OT J L H t l H O 9 T O S T I I O H C K H M 5 1 3 b I K O M Ha R5 1 B J I a A e e T.
t hi s ‑ NOM. N.
( 2 8 ) CT O JI H uaAMe P H K H‑ Ba L lJ HH r T O H.
「アメ リカの首都 はワシン トンだ。」
B 只n o H I 4 H 9 T O To I く H O .
i n J apa n‑ LO
C. t hi s ‑ NOM. N. be‑ PR. TokyoI NOM.
「日本 で それ は東京 で\ある。」
ここで両者 ともに可能 な もの はいわ ゆる文 副詞
( s e nt e nc eadve r b)
の類 で あ り,(26'),(2榊こ見 られ るような類 の副詞で は非文 となって しまう。 また,(2 8 )
の ような場所 (あるい は時) をあ らわす副詞 の類 も広 い意味で の文副詞 とし て機能 す る ことが あ り, その場 合 も適格文 となる ことに も注意 すべ きであ ろう 。
第
5
点 として,どち らの ∂moも従属節 に表 れ る ことがで きる とい うことがあ る。
( 2 g )
只3 H a r O , q T O 9 T O H a t W KH H r y
I I NOM.kno w‑ PR. 1 . SG.t ha t t h i s ‑ NOM. N.o u r ‑ ACC. F.bo o k‑ ACC. F.
O H M t l H T a r O T.
t he y‑ NOM. r e ad‑ PR. 3. P
L.
「彼 らが呼 んでい るの は我 々 の本 だ とい うことを私 は知 ってい る。」
( 3 0 ) 只 3 H a f O , q T O 9 T O ¢ 1 皿O J l a .
Ⅰ ‑ NOM.kno w・ P
R.1 . SG.比a t t h i s ‑ NOM. N.b e ‑ P
R.s c h o o l ‑ NOM.
「私 は これが学校 だ とい うことを知 ってい る。」
この ことは同様 に強 い トピ ック として機能 してい るいわ ゆる 「左方転移化 要素
( 1 e f Ldi s l oc at e d phr as e) 」
が従属節 には現 れ られ ない こ と(7)と比べて∂moの特徴 と考 え られ る。
( 3 B* oH H 3 H a I O T , q T O ma p M 5 I i ‑ 5 I e e i
t he y ‑ NOM.kn o w‑ PR. 3 . P L. t ha t Ma r i j a ‑ NOM.I ‑ NOM.s h e ‑ ACC .
J I r O6 J I f O.
l ove‑ PR. 1 . SG.
「彼 らはマ リヤ は私が愛 してい る とい うことを知 ってい る。」
また,以上 の ように∂moは どち らの場合 において も従属節 に現れ る ことが 可能 であ るが,関係詞節 に現れ るこ とはで きない。 これ も
2
つの∂moに共通 す る性質で あ る。( 3 2 )
*只o t l e H b H H T e p e C O B a J I C 只 KH H r O H , K O T O p a月 6 b I J T a I ‑ NOM.v e r y b ei n t e r e s t e d bo o kJNS. F.wh i c h‑ NOM. F.be ‑ PA. F.
9 T O .
t hi s ‑ NOM. N.
「 *
私 は これで あ る本 に大変興味が ある。」( 3 3 ) * Bo T H A e T n p
O4 ) e c c o p , K O T O p b l R 9 T O
he r e g o ‑ PR. 3 . SG.p r o f e s s o r ‑ NOM. M.wh i c h‑ NOM.t h i s ・ NOM. N.
ロシア語 における連結動詞 と主格名詞句 を先導する 9TO
をめぐって297 X a 4 ) e A p O 銃 p yc c K O r O f I 3 t ' ) K a X O p O u l O p yK O B O A H T.
c hai r ‑ I NS. Rus s i an‑ GEN . l anguage ‑ GEN. we l l l e ad・ PR. 3 . SG.
「 *
巧 く指導 しているのが ロシア語講座 である教授 が歩 いている。」以上,い くつかの点 に関 して
2
種類 の∂∽
Oが現れ る構造が見せ る共通点 を 概観 した.これ らの共通性 は連結動詞 と主格名詞句 を先導す る∂mo
と動詞文 を トピック として先 導す る∂mo
が同一 の もので あ り, ∂mo
によって先導 さ れ る連結動詞 と主格名詞句 も同様 に動詞文 を形成 していることを示唆 している と思われ るb
この他 に も, この
3m
Oに関 してB HHO r pa AO B ( 1972:256)
は興味深 い事実 を指摘 してい る。JI
I O6 onb I THO,t l TOC J I OBO∂mOm BI l pf I MOMOMyKa 3a TeJ I bHOM3HaL I eHH HHeMO Xe T 6b L Tbr T O AJ I e Xau l f l M r I PHCKa3yeMb I X ,Bb I Pa XeHHb I XCyqeC TBHTe J I bHb I MH.
(興味深 い ことに
,∂mom
とい う語 はその直接的指示 の意味 においては名詞 によって表現 された述語 を持 つ主語 にはな り得 ない。)少々理解 しず らいが, ここで重要 な ことは指示代名詞
∂mom
は,同 じ指示 代名詞mom
とは異 なって(8),連結動詞 と主格名詞句 を先導す る場合,中性形の
∂mo
Lか用 い られない ということで ある。( 3
4)∋TO MO蕗 6 pa T.
t hi s‑ NOM . N. be‑ PR my‑ NOM
.M .brot her‑ NOM . M .
「これ は私 の兄 だ。」
( 3 5 ) Ta ・MO S I CeC Tpa.
t hat ‑ F. be‑ PR. my‑ NOM . F. s i s t er ‑ NOM . F.
「あれ は私 の姉 だ。」
この こ とか らも
∂mo
が通常 の指示代名詞 として主語 の役割 を担 って述語名 詞句 を従 えてい るので はない ことが伺 い知れ る と思われ る。2
.名 詞 文 との 関連前節 で は,連結動詞及 び主格名詞句 を先 導す る
∂mo
が動詞文 を先導 す る∂mo
と同一 の ものであ り,述語名詞句 を従 えた主語 で はない ことを論 じた。この ことは山崎
( 1 9 9 0 )
において も述べ られてい る。 しか し, ここで問題 は 残 る。これ らの∂mo
が どち らも形式題 としての役割 を担 い,文 の文法的な項 構造 か らはずれた ものであ る とす る と∂mo
の後 に続 くもの は何 なので あ ろうか ? もちろん通常 の動詞文 を先導す る
∂mo
に関 して は この間題 は生 じ ない。後 に続 くものは完全 に通常の文 の形式 を保 ってい るか らである。 しか し,伝統的 に主語 であると考 えられて きた,連結動詞 と主格名詞句 を先導す る∂mo
に関 しては,それが主語で はない とす る以上,残 りの ものがいかなる 文 としての形式 を有 している ものなのか とい う問題 が生 じて しまう。山崎
( 1 9 9 0 )
はこの ような文 を「 NN
型」と呼び,1
つめの主格名詞句∂mo
が トピック,2
つめの主格名詞句が それ に対 す るコメ ン トとして機能 している
1
つの文型 を想定 している。そ して,この2
つのN
の うち2
つめのN
が動 詞文 に置 き変わ ってい る と考 え られ るのが前述 の動詞文 を先 導す る∂mo
を 持つ構文で ある。 しか しなが ら, この考 え方 に従 うと連結動詞 の存在が問題になるし,
2
種類 の∂mo
は形式題 としての機能 は同一である ものの,形式的 には異 なる性質 を持つ ことになって しまう。以下,本節で は山崎
( 1 9 9 0 )
の主張す る「 NN
型」の∂mo
に先導 され る部 分 も,同様 に動詞文であることを論 じる。ロシア語 には伝統的 に認 め られてい る 「名詞文
( H O MH H a T M B H O e r I P e A J I O Xe ‑ H H e )
」とい うタイプの文が ある。これ は,必須項 としての主格名詞句 と,それに形態的 に一致 した連結動詞
6um b
か らなるもので ある(9).( 3 6 ) ¢ Be c H a .
be ‑ PR. s pr i ng‑ NOM. SG. F.
「春だ。」
ロシア語 における連結動詞 と主格名詞句 を先導す る 9TO
をめぐって299 ( 3 7 ) Bh l J l a Be C Ha.
be‑ PA. SG. F. s pr i ng‑ NOM. SG. F.
「春だった。」
ここで,主格名詞句 は動詞 と一致す ること, そ して主格形 を示 してい るこ とか ら文 の主語である と判断す ることがで きる. それ故,同様 に 6umbが1 つの主格名詞句 を伴 う存在文 と形 式 的 には同 じものであ るかの よ うに見 え
る
。( 3 8 ) Ta M eC T b C a MO Ba p.
t her e be‑ PR. s amovar ‑ NOM. M.
「そ こにはサモ ワールがある。」
しか し,名詞文 と存在文 の違 いは 「〜 だ」,「〜が ある」 とい うような意味的 な違 いだけでは決 してない。
例 えば,存在文 の否定 の形式 と名詞文 の否定の形式 は異 なった形式 を示 し てい る。
鋤 Ta M He T C aMO Ba pa.
t her e notbe‑ PR. s amovar‑ GEN. M.
「そ こにはサモ ワールがない。」
( 4 0 ) Ta M He 6 h l J Z O C aMO Ba P a.
t her e not be‑ PA. N. s amovar‑ GEN. M.
「そ こにはサモ ワールがなか った。」
存在 の否定文 で特筆すべ きことはここでは肯定文 で主格形であった名詞句 が生格形 にな る とい うことである。 これは一般 に 「否定生格」 と呼 ばれ る現 象であ る。 そして,例文軸のか らもわか るように, その場合,動詞 は生格名詞 句 とは一致 を行わず,中性形 を示す (未来時制 では
3
人称単数形。現在形 は いずれ にせ よ一切 の一致 を行 わない)o また現在形 で否定 の小詞( t l a C TH l l a)
ue が連 結 動 詞 と融 合 して FLem とい う形式 に変 わっている. それに対 して,名 詞文で は否定形 は以下の通 りである。( 4 1 )B
mocKBe ¢ He BeCHa.i n Mos c ow‑ LO
C. be‑ PR. not s pr i ng‑ NOM. F.
「モスクワは春で はない。」
細E
a)
BbMa He BeCHa.be‑ PA. F. not s pr i ng‑ NOM. F.
「春で はなか った。」
b)*He 6bIJla BeCHa.
no t be‑ PA. F. s pr i ng.
例 か らも見 て取れ る様 に,存在文 と異 な り,名詞文 の主格名詞句 は否定文 に なって も生格形 に変わ ることはない し,現在形で否定 の小詞 と連結動詞が融 合す る とい うこともない。 また,動詞 の主格名詞 句 との一致 も保 たれ る。 さ
らに,否定 を示す小詞である
f i e
が現れ る位置が異 なる。即 ち,存在文 ではF i e 6b L . W C L m O 8a P
aとい うように 6bLmbの前 に現れ るのに対 して,名詞文 におい ては6 u . i af L e8eC f L
aの ように主格名詞句 の前,つ ま り連結動詞J 6umb
の後 ろ にに置かれ る。この よ うな性質 を持 った名詞文 と
∂mo
によって先導 され る連結動詞及 び 主格名詞句 は同様 の性質 を示 し,∂mo
が先導す る ものは名詞文 と呼 ばれ る一 種 の動詞文 である と考 え られ る。先ず第
1
に,名詞文 の主格名詞句 は形態的 には主語であるものの,意味的 にみ ると述語的な性質 を示す。この ことは∂mo
によって先導 され る主格名詞 句 も同 じである。 また,機能的 にみて も, どち らも語順 に関 して非常 に強い 制約が あ り, いずれの場合 の主格名詞句 もコメン トとしての機能 に厳 し く限 定 されてい る。 この ことも両者 に共通す る▲性質である。第
2
に,形式的 な点か ら見 て も,両者 の否定文が同様 の特徴 を示 している ことがわか る。ロシア語 における連結動詞 と主格名詞句 を先導す る
9TO
をめ ぐって301
(43) (
‑4 1 )
B M. o c K B e ¢
i n Mos cow‑ LOC. be‑ PR.
H e B e C H a.
not s pr i ng‑ NOM. F.
「モ スクワは春で はない。」
掴 (
‑4 2 )
a)Bb Ma H e Be C H a.
be‑ PA. F. not s pr i ng‑ NOM. F.
「春 で はなか った。」
b) *He 6 b I 』a Be C H a.
not be‑ PA. F. s pr i ng.
( 4 5 ) 3T O ¢ 5 1 6 J I O K O.
t hi s ‑ NOM. N. be‑ PR. appl e‑ NOM. N.
「これ は リンゴだ。」
(46
) 3T O ¢ H e 5 1 6 J I O K O.
t hi s ‑ NOM. N. not appl e‑ NOM. N.
「これ は リンゴで はない。」
(47)
3T O 6 b I J I a Ha Ta l Ua.
t hi s ‑ NOM. N. be ‑ PA. F. Nat as ha‑ NOM. F.
「これ はナタ‑ シャだ った。」
( 4 8 ) 3T O 6 b I J I a H e Ha Ta I l l a .
t hi s ‑ NOM. N. be‑ PA. F. not Nat as ha‑ NOM. F.
「これ はナクー シャで はなか った。」
( 4 9 ) * 3T O H e 6 b I J I a Ha Ta I I I a .
t hi s ‑ NOM. N. not be‑ PA. F. Nat as ha‑ NOM. F.
まず
,Bm
Oによって先導 されている主格名詞句 は否定文 になって も主格形 の ままだ し,また,否定 を示す小詞 F t e
の位置 も主格名詞句 の直前である.もちろん現在形で
f i e
と連結動詞 が融合 を起 こす とい うこともない。以上 の よ うに∂mo
によって先導 され る部分,即 ち連結動詞 と主格名詞句 か らなる部分 も名詞文 と同様 の特徴 を示 してい ることがわか る.つ まり,∂mo
と6b L mb
及 び主格名詞句か ら成 る構文 は「BmO+
名詞文」とい う構造 を成 してい ると考 えられ るのである。
3
.問題点〜今後 の展望以上,第 1節で は連結動詞 と主格名詞句 を先導す る
Bm
Oが動詞文 を先導す る∂mo
と同一 の ものであることを論 じた。即 ち,この様 な∂mo
は従来考 え ら れて きた ような主語で はな く, トピック として機能 している とい うことであ るO また,第2
節 では∂mo
によって先導 され る連結動詞 と主格名詞句 はロシ ア語文法で伝統的 に認 め られている名詞文 と呼 ばれ るタイプの構文で あるこ とを論 じた。即 ち,この∂∽
Oが一般 の動詞文 を トピック として先導す るため の3m
Oと同一 である以上,それ に続 くもの も動詞文 でな くて はな らないが,これが名詞文で ある と考 えれ ばその間題 は解決す る。
この考 え方の大 きな特徴 は, ロシア語 の基底構造 に文法的な関係以外 に ト ピック ・コメン トとい う関係 を認 めている ことで ある。 即 ち
, ∂mo
は文 の ト ピック として機能 してお り, それ に先導 され る動詞文 はコメ ン トとして機能 している。そ して,この様 な∂∽
Oは基底部 で生成 された もの と考 えない と説 明がつか ない。 この様 に基底部で生成 され る トピックは他 に もあるのだ ろう か ?ロシア語 には以下の ような左方転移化要素
( l e f t ‑ di s l oc at e dphr a s e)
が観 察 され る。( 5 0 ) HH Z ( HTa Bo) KHKOBi‑ OHi OqeHb XOPO I 山H顔 J I HHrBHCT.
Ni ki t aVoz hi ko v‑ NOM. he‑ NOM. ve r y good l i ngui s t
「ニキータ ・ヴォジコフは非常 に優秀 な言語学者である。」
これ は通常 のか きまぜ
( s c r a mbl i ng)
による トピック と異 な り, い くつかのロシア語 にお ける連結動詞 と主格名詞句 を先導す る 9TO
をめぐって303
理 由か ら基底部 で生成 されている と考 え られ る。以下 はその理 由の内の主 なものである(
10) 0
左方転移化要素が移動 によらず基底部 で生成 されている と考 え られ る理 由 の 1つめは格 の問題 である。
( 5 B 州a p H 5 7 i ‑ 5 7 e e i m O6 J I f O.
Mar i j a‑ NOM. Ⅰ ‑ NOM. s he‑ ACC. l ove‑ PR. 1 . SG.
「マ リヤは私が愛 してい る。」
ここで左方転移化要素M apuEが主格 を付与 されてい るの に対 して, それ と 同一指示である
e
eは対格 を付与 されてい る。 この ことはCho ms ky ( 1 9 86)
で提案 されている,1
つのCHAI N
は格 を1
つのみ与 えられ るとい う考 え方に反す ることになる。
第
2
に,従属節 の内部 と外部 をつな ぐ左方転移化要素があ る。( 5 2 ) Te J l e B H 3 0 p b l i ‑ f I 3 H a 1 0 , q T O B 9 T O M Ma r a 3 H H e t e l e vi s i o n s I NOM.I I NOM.kno w‑ P
R.1 . SG.t h a t i n t hi s s ho p
H Xi MH O r O.
t he y‑ GEN. many
「テ レビは この店 にた くさんあることを私 は知 っている。」
左方転移化要素 はこの様 に従属節 の内部 の要素 と同一指示 になることが可能 であるが,通常 ロシア語で は従属節 の内部か ら外部への移動 は不可能である
( Hi ki t a 1 992)
。 この ことか らも左方転移化要素 は移動 によらず,基底部 で 生成 されてい ることがわか る。また,
Ada me c( 1 9 7 4 )
はロシア語 の基底部での文 の構造 を以下 の ように仮 定 してお り,基底部 での トピック とコメ ン トの別々の生成 の必要性 を主張 している
(ll) 0 6g
TOPI C COMMENT
∠○ゝ ∠ =ゝ
● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
例 えば
,( 5
射ま(W),( 5 5 )
は(55')の ような基底構造 を持 つ とされ る.( 5
4)[ T 。 P I 。 nH p e K TO p] [ 。 。 MME N T H 3 yq a e T n p O e K T ].
di r e ct or ‑ NOM. s t udy‑ P R. 3 . SG. pr oj e c t ‑ ACC .
「社長 は計画 を検討 してい る。」
醐
TOPI C l 窄
COM M ENT 電i i ES Act Obj AH pe K TO p M 3 yt J a Tb r l pOe K T
( 5 5 ) [ T。P I 。I IpoeK TH3yt l ae T] [ 。 。 MME NT A HpeKTOp] .
( 5 5 ' )
TOPI C
電 i i E璽
OI ) j Act
COM M ENT l 空 r I pOe K T I 4 3 yt i a T b RH Pe K TO p
この主張 は左 方転移化要素 のみな らず,か きまぜ による語順 の変異 を も基底 部 での生成 によって説明 しようとしている
。
筆者 は この考 えには賛成 しない が (匹田1 993)
,ロシア語 の形式的統語論 に トピック とコメ ン トの構造 を導入した
1
つの考 え方 として興味深 い。さ らに, 日本語文法 において三上章 は主 ・述関係 よ りも トピック ・コメ ン トの関係 を重視 すべ きで あ る こ とを主張 してい るが,柴谷
( 1 9 78)
は三上( 1960)
で 「先行」と呼 ばれてい るタイプの トピックについて基底部 での生成 を主張 している(12)0( 5 6 ) [ T。PI 。
辞書 は][ 。 。 MME N T
新 しい辞書がいい]( 5 7 ) [ T。P I 。 魚 は] [ 。 。 MME N T 鯛 が い い]
以上 の ように, ロシア語, あるいは日本語 の文法 において トピックを移動 によらず基底部で生成す る とい う考 え方 は決 して目新 しい もので はない。
ロシア語 における連結動詞 と主格名詞句 を先導す る 9TO をめ ぐって 305
次 に格付与 の問題が ある。通常
,GB
理論 の中で広 く認 め られている主格 を 付与 す るための格理論 は以下の ような ものである。( 5 8 ) NPi sno mi na t i vei fgo ve r ne dbyAGR.i( Choms ky 1 9 8 1:1 7 0 )
そ して,
AGR
と一致す る名詞句 について は以下 の ように述べてい る。伽) AGRi scoi nde xe dwi t hNPi tgo ve r ns . ( Choms ky 1 9 8 1:2 1 1
) この考 え方 に従 うと主格 の付与 は動詞が一致 を示す名詞句 にのみ限定 され る ことにな り,いずれの場合 の∂mo
にも主格 は付与 されない ことになって しま う。 この こ とは近 年 の生成 文 法理 論 にお け る新 しい展 開 で あ るいわ ゆ る" Mi ni mal i s tPr o gr a m〟
において も同様 で ある。 この理論で は全 て をs pe c‑
he ad
の関係 によって説明 しようとしてお り,Cho ms ky ( 1 9 9 3:7 )
には以下 の ような言葉 があ る :" Weno w r e gar d bo t h a gr e e me ntand s t r uc t ur al Cas easmani f e s t at i onso ft heSpe c‑ he adr e l at i o n.
〟即 ちGB
理論 と同様 に 主格 の付与 は一致 を行 うNP
のみに行 われ ることになるのである。この様 に主格 の付与及 び動詞 と主語名詞句 の一致 をある意味で同一視 して い る生成文法理論 で は
∂mo
に対 す る主格 の付与 は説 明がつかない現象 で あ る。 これ に対 してBa bby ( 1 9 8 6:2 1 0 )
はロシア語の主格 の付与 について従来 の生成文法 の方向性 とは若干異 なる新 しい定式化 を提案 している。(60
) Nomi nat i veCas eAs s i gnme nt
A nounp hr as et hati snotgo ve r ne dbyal e xi c alc t e gor yi sa s ‑ s i gne dt henomi nat i vec a s e.
この定式化 に従 う と,この様 な
∂mo
に対 す る主格 の付与が説明で きるように なる.また この主格付与 の方法 は∂mo
や主格主語 のみな らず,他 に も左方転 移化要素,「呼格 的」名詞句,引用形 な どの多 くの主格名詞句 の格形が説明 を 可能 にす るのである(13)0Ba bby
の研究 は生成文法 の一般理論 に対 して新 しい 提案 を示 してい るものであ る と思われ る。また,
Dane 昌( 1 9 7 2 )
の ような機能主義 の立場 か らも, ∂mo
の ような トピッ ク として機能 してい る要素 は主格 を与 え られ るのが最 も典型的で ある とす る 考 え方が あ り,トピックであ る∂mo
に主格 を付与す ることはそれ ほ ど特別 なことで はない と思われ る。
次 に
,∂mo
の位置 は統語構造上 の どこにあるのか とい う問題が あるが, こ の点 についてはか な りの議論 を今後重 ね る必要がある と思われ る。トピック としての機能 を果た してい る とい う点, そ して語順が文頭 に厳 し く限定 されてい る とい う点, さらに同様 に基底部で生成 されてい る とい う点 か ら考 えて左方転移化要素 と同 じ位 置 を仮 定 す る こ とが可能 で あ る。
匹 田
(1 9 9 3)
は左方転移化要素の位置 をCOMP
に支配 されてい る との考 えを提案 した. しか しなが ら,∂mo
と左 方転移化要素 の位置 を同一 と考 えるこの考 え には問題が ある。第
1
に,∂mo
はある種 の副詞 と疑問詞 をその前 に置 くことが可能 であ り, 必ず しも文頭 の位置 に限定 され ないが,左方転移化要素 はその前 にいかなるもの も置 くことがで きない。
(6
B* KT O Ma p 胴i‑ e e i J T l 06 H T?
who‑ NOM. Mar i j a‑ NOM. s he‑ ACC. l ove ‑ PR. 3. SG.
「誰がマ リヤの ことを好 きなのですか?」
(62)*
「A e T e J I e B H 3 0 pb l l‑ H Xi I l p O Aa I OT?
whe r e t el e vi s i on‑ NOM. P
Lt he y‑ ACC. s e l l ‑ PR. 3. P
L.
「テ レビはどこで売 ってい ますか?」
(63)
* 3a B T p a XO p O I na 5 7 C T y Ae H TK a i ‑ 5 1 e el
t omor r ow good‑ NOM. F. s t ude nt ‑ NOM. F. Ⅰ ‑ NOM. s he‑ ACC.
6 yA y B H Ae T b.
wi l ト1. SG. s e e
「明 日私 はその優秀 な女学生 に会 う。」
そ して第 2に
,∂mo
は既 に上で も示 した ように従属節 の内部 に現 れ る こと がで きるの に対 して左 方転移化 要素 は従属 節 の内部 に現 れ る ことがで きない 。
糾
( ‑2 9 )
ロシア語 にお ける連結動詞 と主格名詞句 を先導す る 9TO
をめ ぐって307
只
3 H a T O, q T O 9 T O H a u J y K H H r y
LNOM.kno w・ P
R.1 . SG.t ha t t h i s ‑ NOM. N.o u r ‑ ACC. F.bo o k‑ ACC. F.
O H H t l t 4 T a I OT .
t he y‑ NOM. r e ad‑ PR. 3. P
L.
「彼 らが読 んでいるの は我々の本だ とい うことを私 は知 ってい る。」
(65)
( ‑3 0 )
只
3 H a l 0, q T O 9 T O ¢ L L RO J I a .
Ⅰ ‑ NOM.kno w‑ P
R.1 . SG.t ha t t hi s ‑ NOM. N.be ‑ P
R.s c ho o LNOM.
「私 は これが学校 だ とい うことを知 ってい る。」
榊 ( ‑3 1 )
* OH H 3 H a I O T , t l T O Ni a p H f I i 一 月 e e i
t he y‑ NOM.kn o w‑ PR. 3 . P
Lt ha t Ma r i j a ‑ NOM.Ⅰ ‑ NOM.s h e ‑ ACC.
J L I O6 J I t O.
l ove ‑ PR. 1 . SG.
「彼 らはマ リヤ は私が愛 している とい うことを知 っている。」
第
3
に,∂moはそれ と同一指示 の左方転移化要素 をさらに持つ ことがで きる (14) 0
(67
) 「e l
iH免I l y uK H H a‑ 9 T O A y q C B e T a B g e ni u s I NOM.Pu s h ki n ‑ GEN.t hi s I NOM. N.r a y ‑ NOM. M.l i g ht ・ GEN.i n T e MH O M l l a p C T B e .
dar k‑ LO
C. r e al m‑ LOC.
「プー シキ ンの天賦 の才 は暗い時代 の一条 の光明で ある.」
この ことは左 方転移化要素が複数現れ ることがで きない ことと考 え合わせ る と3mOと左 方転移化要素 を同一視 す る ことが不可能 である ことを強 く裏付 けてい る。
(6
g )* Ba J t e p a i 3MMa i‑ O H i e e j J I t 0 6 H T .
Va l e r a ‑ NOM.Em a ‑ NOM.h e ‑ NOM.s h e ・ ACC.l o v e ‑ PR. 3 . SG.
「 *
ワレ‑ ラ,エ ンマ,彼 は彼女 を愛 している。」以上 の点 か ら
,∂ ∽
Oが左方転移化要素 と同 じ位置 に生成す る ことが不可能 であ ることがわか った。 この間題 を解決す るには今後 の研究 の成果 を待 たねばな らない。
また,連結動詞 と主格名詞句 を先導す る
∂ mo
を形式題 と解釈す る本稿 での 結論 はひ ょっ とす る と発展 して他 の構文 に も適用す ることが可能か も知れな い.即 ち, ここで議論 した 「∂ mo+
連結動詞 +主格名詞句」の構文 だ けでな く「主格名詞句 +連結動詞 +主格名詞句」の構文 にも適用の可能性が ある。 つ ま り,形式題 としての
∂ mo
の代わ りに一般 の主格名詞句が用 い られている とい う考 え方で ある。( 7 0 )5 I ≠ c T y AeH T.
Ⅰ ‑ NOM. be‑ PR. s t udent ‑ NOM.
「私 は学生 だ。」
この考 え方 は魅力的であ り,「主格名詞句 +連結動詞 +主格名詞句」とい う構 文 において主格名詞句が述語 として用 い られているのはなぜか とい う伝統的 な疑問 に答 える可能性 を持 っている と思われ る。 しか し, これ ら
2
種類 の構 文 の間 にはい くつかの類似点 も見 られ るものの (匹田1 9 9 4
を参照),逆 にいくつかの相違点 もある。
例 えば, ここで は動詞が一致 を示す対象 になるの は主格 「主語」である。
(71)
oH 6 h I J I C BO6 o AHa 只 n T Hua.
he‑ NOM. M. be‑ PA.
M.f r ee‑ NOM. F. bi r d‑ NOM. F.
「彼 は自由な鳥であった。」 また,否定文 の形式 も異 なる。
(72
) nH H r BH C THK a He e C Tb yB J I e t l e HH e.
l i ngui s t i cs ‑ NOm. not be‑ PR. pl eas ur e‑ NOM.
「言語学 は遊 びで はない。」
上で既 に示 した ように
a m
Oによって先導 され る文 では否定 の小詞f l e
は名詞ロシア語 にお ける連結動詞 と主格名詞句 を先導す る
9TOをめ ぐって 309
文 にお けるの と同様 に連結動詞 の後 に置かれ る。しか し
∂mo
以外 の主格名詞 句 に先導 され る文 の場合,F l e
は連結動詞 の前 に置かれ るので ある。仮 にこれ ら2
つの構文 を同一視 で きる とすれ ば, そのためには多 くの残 された問題 を 解決 しなけれ ばな らない。以上,本稿 で は連結動詞 と主格名詞句 を先 導す る
∂mo
の性 質 を考察 し,3m
Oは通常動詞文 を先導す る とされ る形式題 の∂mo
と同一 で あ り,先導 さ れ る連結動詞 と主格名詞句 は名詞文 を成 している と結論づ けた。 この考 え方 には,統語的な位置 の正確 な決定 な ど解決すべ き問題 も残 るが,将来 の発展 の可能性 もある。近
(1
)本稿 のグロスで用いた略記 は以下 の通 りである。NOM. ‑no mi nat i vec as e;H Me H f l T e J I h H b 泊r 7 a R e
X ;主格GEN.‑ge ni t i veca s e;p o A n T e J l b H b 泊n a A e )
K;生格 DAT.‑dat i veca s e;且a T e J I b H b I nI l a A e
X ;与格ACC .‑ac c us at i vec as e;B H H H T e J I b H b
Jhr 7 a Z L e
X ;対格I NS. ‑i ns t r ume nt alca s e;T B O p H T e J I b H I
,I hr l a A e )
K;造格LOC. ‑l oc at i veca s e;I l p e A J I O XH b 泊I l a A e
X ;前置格1. ‑1 s tpe r s o n;
1・ e J I H uO;1
人称2. ‑2 ndpe r s on; 2 ・ e J I H u O;2
人称3. ‑3 r dpe r s o n:3l e J M uO:3
^#PR. ‑pr e s e ntt e ns e;H a C T O f I 叫e eB p e M
fI;現在時制 PA.‑pas tt e ns e;r l p O l 山e L L ue eB p e M
57;過去時制FU. ‑f ut ur et e ns e; 6 y A y L ue eB p e M只
;未来時制 SG.‑s i ngul ar;e A H H C T B e H H O e q H C J 1
0;単数P
L.‑pl ur al;MH O Xe C T B e H H O e t l H C J I O
;複数M. ‑mas c ul i ne;My) KC K O f ip o
b;男性F. ‑f e mal e;xe H C K H f iP O
A;女性 N.‑ne ut e r;c p e AH H 拐p o
A;中性なお,本稿 で は必要 に応 じてグロス中の名詞 に付 してある性別 とそれ以 外 の動詞や形容詞 に付 してある性別 とを一切 区別せず に付 してあるが,こ れ はあ くまで も便宜上 の ものである。実際 には名詞 の性別 はその名詞 の持 つ固有 の性質であるのに対 して,動詞や形容詞 の性別 は何 らかの名詞句 に 一致 した結果の形であ り, それ 自体 が固有 に持 つ もので はない。
また,本稿 でグロス に記 した意味的・文法的情報 はその要素 の持 つ全て の性質で はな く, あ くまで も論述上必要 と思われ るもののみで ある。
(2
)ロシア語 の典型的連結動詞で\ある6b L mb ( t o be )
はecmb
とい う現在形 を持つが, これ は通常 その上 に論理強勢( J I O r H t l e C K O eyA a P e H H e )
が置かれ ない限 り顕在的 な形式 を持たず に ¢ となる。 また,正吾法上 そ こに "‑〟が記 され る場合 も記 されない場合 もある。
(3
)ここで用 いてい る 「トピック」,「コメン ト」と同一 の概念 を表す用語 は 多 い。例 えば,「トピック」 は 「題 目」,「テーマ」,「主題」,「
旧情報」等 の名称 も可能だ し,「コメ ン ト」 は 「解説」,「レ‑マ」, 「述語」 あるいは「新情事臥 等 とも称 され る。 これ らの用語 には厳密 には区別 され る場令 も あるが本稿 で は同一 の もの とみなす。 また原則 として 「トピック」と 「コ メ ン ト」 を用 い るが,他 の文献 をその まま引用 した場合 は原典 に従 った。
(4
)あるいは この様 な名称 を用 いたのは直感 的な「卓見」による ものであ り, その客観 的な根拠 は無 いのか も知れ ない。この様 な ことは伝統的な手法 に 基づ く文法研究 ではしばしば見 られ ることである。Hc a q e H K
O(1 96 6)
はそ のロシア語 の文法的語順 に関す る論文 の まとめの中で 自らの研究成果 に ついて以下 の ように述べてい る。Pe3 yJ l b Ta Tb I Ha L l l e r O HC C J I e AO Ba H H f I B OCHO BHOM C OBI l a Aal 0T e
MH e H H e M6 0 J l b u I H HC T B a P yC C K H X r Pa MMa T H C T O B , 1 4 H T y I 4 T H B H O C t l H Ta B L I J H X
c J 1 0 B O I 1 0 p f I AO K,pa C C Ma T P H Ba e Mb l 員 H a M H K a I くr p a MMa TH t l e C K H f i , ̀ ̀ I I P f I Mb l M' '
ロシア語 にお ける連結動詞 と主格名詞句 を先導す る 9TO
をめぐって311
rIOPSlAKOM CJIOB,a HapyuJeHHe 9TOrO CJ10BOnOp只AKa ‑ 14HBePCHe臥O
RHaKO TaKOrOpOAaHHTyHuH只HyXAaeTCSlBTeOPeTHtleCKOM O60cHOBaHHH.(我々 の研究 の結果 は大多数のロシア語文法研究者 の意見 と基本 的 に一 致 してい る。彼 らは我 々が文法的な語順 と考 えているものを直感 的 に「正 の (r
l
p57MOf i )」
語順 とみな し, この語順 か らの逸脱 を 「倒置」 と考 えてい る。 しか しなが ら, この様 な直感 には理論 的な根拠が必要である。)つ ま り,伝統文法 にお けるしばしば 「直感 的な」の研究成果 を理論的 に確認す る ことも理論言語学 の重要 な任務 の一 つで ある と考 えているのである。(5
)ちなみに,この様 な語順 の違 い を補 うのがイ ン トネー シ ョンな どの超分 節 的 (suprasegmental)な要 素 で あ る。 例 え ばKpbIJIOBa&
XaBpOHHHa( 1 986:1 40)
では以下 の ように述べている。 先ず 「感情表 出的 に色付 けさ れていない発話」 に関 しては :a)yAapeHHeHIIOHHXeHHeTOHaBKOHIleIlpeAJIOXeHH
f
I,TaM,㌻且eHaXOAHT‑CflpeMa.
6)Bb
l
AeJI
eH
HePeMblrOJI
OCOM He3HaqHTeJl bHOe.
(a
) 強勢 と下降音調 はレ‑マが置 かれ てい る文末 にあ る;6)
声 に よるレ‑マの際立たせ方 は弱 い.)と述べてい る。 また 「感情表 出的 に色付 けされた発話」で は :
a)yAapeHHe H IIOHHXeHHe TOHa TaM,rAe Tertepb HaXOAHTC只 peMa,B HallaJIenpeAJIO)KeHH只.
6)BbIAeJleHHepeMblrOJIOCOM 60JIeeCHJlbHOe,60JleeBbIpa3HTeJlhHOe.
(a)
強勢 と下 降音調 は レ‑マ の あ る文 頭 に置 かれ る;6)
声 に よる レ‑マの際立 たせ方 はよ り強 く, よ り表現力 に富む。)としてい る。この間題 をもっぱ らイ ン トネー シ ョン研究 の立場 か ら詳述 し てい るものにBpbI3ryHOBa(1969)が ある。詳 し くはそち らを参照 された し。