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わが国株式会社会計制度 塵≡お る凍る 伝統 的資本概念 の特質

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わが国株式会社会計制度 塵 ≡お る 凍る 伝統 的資本概念 の特質

会計理論における資本概念を財産分配局面で利用する合理性の民度 ( 3)

石 川 業

目 次

第 1拳 序説

第 1節 本稿 の 課題 と 方針 1 課題 の設 定

2 検 討 の 方針

第 2節 本稿 の結 論 ‑‑ ‑ ‑ 仮 説 と して の提 示

第 2 章 ドイ ツ株 式 会 社 会 計制度 にお け る資本概 念 の生 成

‑ わ が 国 にお け る起 源 に尋 ね る ( i ) 第 1節 序

第 2 節 「会社 資本」 と 「出賢 資本 」‑ 1 8 3 9 年 ヴユルテ ンベル ク商法 草案

第3 節 資 本金額 の定 款 へ の記 載 と株 式 へ の分 割

一 ‑ 1 8 4 3 年 プ ロ シア株 式 会 社 法 〜1 8 4 9 年 ドイツ普通 商法 草案

1 資 本 金額 の定 款 へ の記 戟 ‑ 1 8 4 3 年 プ ロ シア株 式 会社 法

2 資本 金額 の株 式 へ の 分割 ‑ ‑ 1 8 ̀ 1 9 年 ドイ ツ普通 商 法 草案

第 4 節 貸 借 対 照 表 に お け る分 配 可能 額 の 算 定 の 明 文 化 と資 本 金額 の 記 載 の 明 文化

1 貸 借 対照 表 にお け る分 配 可能額 の 算定 の 明 文化

2 貸 借 対照 表 にお け る資本 金額 の 記載 の 明文 化

‑ ‑ 1 8 7 0 年 改 正 普通 ドイ ツ 商 法 第 5 節 資本 金 の語 へ の統 一 化

‑ ‑1 8 8 4 年 改 正 普通 ドイツ商法 〜1 8 9 7 年 ドイツ商法

第 6 び ( 以 上 本 誌 1 5 5 号)

1 0 1 i‑ 2 3‑

(2)

第 3 章 ドイツ株 式 会 社 会 計 制度 に お け る質 本概 念 の確 立

第 1節 序

第 2 節 未 払込 資 本金 額 の 会 計処理 を め ぐる 2 つ の 見解

1 資産性 否定 説 ( 払込 資本額 記 載説 )と資産性 肯定 説 ( 資 本 金額 記載説 )

2 資産性 否定説 ( 払 込 資本額 記 載 説) の論拠 3 資産性 肯 定 説 (資本 金額 記 戟説 ) の論 拠

第 3 節 未 払 込 資 本 金額 の会 計 処 理 を め ぐる立 法 当局 の動 向 と資 本 金 概 念 の 確立

‑ 1 8 7 0 年 改 正 普通 ドイ ツ商法 〜1 9 6 5 年 ドイツ株 式 法 1 揖 去当局 の認 識 と不 対応

‑ 1 8 7 0 年 改 正 普通 ドイツ商法 〜1 8 8 4 年 改 r 仁普通 ドイ ツ商法

2 立法 当局 の 対応 と資本 金概 念 の確 立

‑ 1 8 9 7 年 ドイ ツ商法 ( 起 草段 階) 〜1 9 3 1 年 改 正 ドイツ商法 3 確 立 した資本 金概 念 の定 着

‑ 1 9 3 7 年 ドイツ株 1 ‑ ℃法 〜1 9 6 5 年 ドイ ツ株 式 法

へ の方 向性

‑ 1 9 8 5 年 改 正 ドイ ツ商法 。 株 式 法 〜現 行 ドイ ツ 商法 。株 式

1 引受 済 資本 金 と して の資本 金概 念 の 明 確 化

2 フ ロー に もとづ く資本 準 備 金 概 念 の生 成 。確 立 ( 1 8 8 ‑ 1年 改 正普通 ド イツ商法 〜)

3 払込 資 本額 記 戟説 へ の 方 向性 と賢 本金 概念 の変 化 の兆 し 第 5 節 結 び ( 以 上 , 本誌 1 5 6 号)

第 4 章 わが 国株 式 会社 会 計 制度 の展 開 と受 け継 がれ て きた伝統 的 資本 概 念 第 1 節 序

第 2 節 ドイツ株式 会 社 会 計 制度 か らの 資本 概 念 の継 受

r r ‑ ‑ ‑ 明 治 1 7 年 ( 1 8 8 4 年 ) ロ エ ス レル 草案 お よ び 明 治 2 3 年

( 1 8 9 0年) 旧 商法

1 資本 金額 の定 款 へ の記 載

2 資 本 金額 の株 式 へ の分 割

3 貸 借 対照 表 にお け る分配 可能 鶴 の算定 と資 本金鶴 の記 載

第 3 節 株 式 の額 面 超 過頻 の取 扱 い にみ る資 本 金概 念 と準 備 金概 念 との 相違

‑ m ‑ ‑ 明 治 3 2 年 ( 1 8 9 9 年 ) 新 商 法 〜 昭 商 法 利 1 3 年 ( 1 9 3 8 年 ) 改 正

1 ' A i r i 面超 過額 の 取 扱 いが 示 唆す る資本 概 念 の あ り方

2 頗 l 仙超過額 に対 す る利 益 と同様 の取 扱 い

‑一 一 一 一 JU l 治 3 2 年 ( 1 8 9 9年) 新商 法

一 2 ! 1 I l J 二 一

(3)

わ が 国株 式 会 社会 計 制度 にお け る伝 統 的 資 本概 念 の特 質 ( 3)

3 客勘毎超 過鮮湧、らの株 式 発 行 費 の控 除

‑ 1] J L i 和 1 3 年 ( 1 9 3 8 年 ) 改 ) 1ミ 商法 第 4 節 分 割 払込 制 の廃 止 と質 本概 念 の あ り 方

‑ 昭 和 2 3 年 ( 1 9 4 8 年 ) 改 f f : . 商法 1 分 割 払込 制 の あ り 方

2 分 割 払 込 制 の存続 と合 意 に もとづ く質 本金概 念 の 明堆 さ

3 分 割 払込 制 の 廃 止 と フ ロー に もとづ く資 本金概 念 の解 釈 第 5 節 合 意 に もとづ く資 本概 念 の メル クマ ー ルの転換 に よ る拡 張

一 一 ‑ ‑ ‑ 昭 和 2 5 年 ( 1 9 5 0 隼) 改 ) 即 行法 〜 平成 1 3 年 ( 2 0 0 1年) 6 月

改 正 . I ‑ f f 5 法

1 授 権 資本 制 度 。無額 面 株 式 制度 の導 入 と資本 準備 金 概 念 の確 立

一 一㌦‑ 牒 摘 r 2 5 年 ( 1 9 5 0 年 ) 改 正 商法

2 株 式 の 発行 価額 に もとづ く資本金 額 及 び 資 本準 備 金額 の許 し

‑ ‑昭和 5 6 年 ( 1 9 81 年 ) 改 正 商 法 〜 平 成 1 3 年 ( 2 0 01 年 ) 6 月 改 正商法

第 6 節 株 式 の 発行 価額 と合 意 に もとづ く資 本概 念 の意義

1 2 つ の 発行 価 額 と 2 つ の 引受 価 鶴

2 ′ 珪つ の価額 を め ぐる 合意 と資本額 とな る発行 価額 の意 味

3 密 浦川 斥 衛享 の 予定 発行 価額 と して の役 割

4 企業 に必 要で あ る と合 意 され た 金額 と して の 資 本概 念

5 合意 に もとづ く資本 概 念 の後退

第 7 節 合 意 に もとづ く賢 本概 念 か らフロー に もとづ く資 本概 念 へ の転換

‑ 昭 利 3 7 年 ( 1 9 6 2 年 ) 改 j f. 商 法 〜平 成 1 8 年 ( 2 0 0 6 年 ) 会 社計 算 規 則

1 貿 本の那の 表示 にみる資本 金額 及 び資 本準 備 金額 の通 説 的解 釈 の浸 透

算 書類 規 則 〜 、 自 我1 4 年 ( 2 0 0 2 年 ) 商法 施 行規 則 2 資本概 念 を め ぐる通 説 的解 釈 の規定 化 に向 けた動 き

‑‑ ‑ 平成 1 5 年 ( 2 0 0 3 年 )会 社 法 制 の現 代 化 に関す る 要綱 試 案 お よ び平 成 1 6 年 ( 2 0 0 4 年 ) 要綱 案

3 棒 式 の 発行 価 額 に もとづ く賢 本概 念 か ら払 込 金 額 に もとづ く資 本概 念 へ の 転換

‑ ‑ ‑ ‑平成 1 7 年 ( 2 0 0 5 年 う 会 社 法 お よ び 平成 1 8 年 ( 2 〔 ) ( ) 6 年 ) 会社 計 算規則

第 8 節 結 び 第 1節 序

第2節 本稿 の結 論 と 示 唆 第 3 節 本稿 の 限 界 と展 望

1 0 t ' ) ) 2 5

(4)

第 4 章 わが国株式会社会計制度 の展 開 と受 け継 がれ て きた 伝統 的資本概念

第 1 節 序

本 章で は, ここまでの準 備 的 な検 討 を展礎 に して, 本稿 に と って最 も重 要な, わが 国株 式会社 会計 制度 にお け る資本 概念 の検 討 を行 う 。 ここでの よ り具体 的 な 目的 は, 大 き く分 けて, 以 卜の 3 つ で あ る 。

1つ めの 目的 は, 第 2 章 お よび第 3 章 で検討 して きた, ドイ ツ株 式 会社 会計制度 にお け る伝統 的 な資本 ( 資本 金)概念 が, わが 国 にお け る初 期 の 株式会社会 計制度 に継 受 され た といえ るか ど うか, これ を確 か め る ことで あ る ( 第 2 節, それ に加 えて第 3 節 参照)。 その継 受 自体 は, 表面 的 には9 あ るいは もはや 当然 の ことと して受 け 止め られ て い るのか も しれ な い。 そ れ で もな お, ここでの 問題 とな るの は,継受 され た といえ る資 本概念 の実 質 的な 内容 で あ る 。

次 いで その継受 の後, 会計 ( 翠) や会 計原 則 ◎基準 の展 開 と相 ま って独 自的 な発展 を続 けて きたわが 国株式 会社会計制度 にお いて も, 比較 的最近 まで,合意 に もとづ くとい う, 資本概念 の基本的な性 格 は変 わ らなか った。

それ に もかか わ らず, この資本概 念 につ いて, それ が フ ロー に もとづ くも の ( 払込 資本)で あ る とい う解釈 が, ほぼ通 説 的な地位 を得 る ことにな る。

これ らの 事情 な い し経 緯 を, その要 因 も含 めて確 認す るのが, 2 つ めの 目 的で あ る ( 第 4 節 〜第 7 節 2 参照)。

そ して, 3 つ めの 目 的 は, わが 国株 式会 社 会 計 制度 にお け る資本概 念 が 現 在, フ ロー に もとづ く資本概 念 に転 換 して い る, とい うことを確 認す る こ とで あ る 。 r L 耶 台2 3 年 ( 1 89 0 年) 以 来, わが 国 に も長 ら く存在 し続 けて きた合意 に もとづ く資本概 念 は, その示 唆 もと くに問題 にな らな い ま ま, 解 釈 論 にお いて優勢 にな って きた フ ロー に もとづ く資本概念 に取 って代 わ

‑ 2 6‑ 1 0 4

(5)

わ が l 甜 臣 に会社会計 制度 にお け る伝統 的資 本概念 の特質 ( 3)

られ る 。 その転換 が, 大 方の解 釈論 とは異 な って, ご く最近 の もので あ っ た こ とを確 か めて お こ う ( 第 7 節 3 参 照 ) 。 これ に よ り, 近 年 にな って 資 本概念 をめ ぐる見解 の相違 が 顕 在化 して いた こ とにつ き, その 要 因 と して 本稿 第 1 章第 2 節 で暫定 J 伽 こ示 してお いた仮説 が, た しか に説 明 力を もつ

もの と して確 認 され るで あ ろ う 。

これ らの 目的 に 向 けた作 業 は, 本稿 で は もはや, いわ ば手探 り的 に進 め られ るので はな い。 前 章までの検 討 によ って, ドイ ツ株 式会 社会 計制 度 に お ける資本概念 の加 茂と確 立の過程 が, おおす じなが らもす で に知 られて い る O それ を, わが 国 株式 会社 会計f r i r j 度 にお ける伝統 的 な資 本概念 の実質 (ドイ ツにお け るそれ との異 同) を 見分 け るた めの道 しるべ に しよ う 。 そ うす る ことで, ドイツか らわが国 まで にお け る, 賀本概念 をめ ぐる 適 時 的

な議論 が, 合意 とフ ロ‑ との違 い に着 日す る観点 か ら, 的確 に, しか もよ り意義 の あ るか た ちで整 理 され るはず で あ る

以 Lの よ うに特 定 され た 日 ◎方針 に照 らせ ば , 歴 史の素朴 な記述 や, 規定 ◎基準 の網 羅 的 ⑳逐 一 的な紹 介 は, 本稿 に と って最重 要 の作 業で はな くな るで あ ろ う。 もとよ り, わが 国株式会 社会 計制度 にお け る資本概念 の 歴 史につ いて は, す で に多 くの先行研 究 の蓄積 もあ る そ こで, 本稿 と し て も 異論 の ない点 につ いて は, あ らた めて詳細 に論 じ るこ とはせず に,必

要 最 低 限 と思 う記述 に とどめ る 。 その代 わ り,本稿 に とって独 自 に重 要 と 考え られ,一 般 的 な 見解 に対 して と くに付 け加 えた い部分 に, 記述 を集 中

す る こ とに した い 。

第 2 節 ドイツ株式会 社 会計 制 度 か らの資本概 念 の継受

‑‑ ‑ ‑ 明 治 1 7 年 ( 1 8 84 年 ) ロエ ス レル草 案 お よ び 明 治 2 3年 ( 1 8 9 0 年) 旧商 法

「 日 本政 府 の招 きで 来 日, 司法 省 の法 律顧 問 とな った ドイツの法 学 者 ロ

エ ス レル ( H. Roe s l e r) が 明 治 1 7 年 ( 1 884 年 ) に起 草 した H 本商法 草案

/ ( ) . ;

2 7

(6)

を基 に, 法 律 取 調会 の審 議 及 び元 老院 で の議 決 を経 て, 明治 2 3 年 ( 1 8 9 0

年 ) に商法 が 公布 され た 】 」。 同法 にお いて, わ が 国 で初 めて, 株 式 会 社 に

式 会社 会 計 制 度 が始 ま る 。

そ こで本節 で は, 上述 の よ うに ロエ ス レル に よ って起 草 され た 日 本 商法 事 案 ( 以 下. , ロエ ス レル 草案 と 呼ぶ ) 三と, そ れ を基 礎 に して公 布 され た l '

明治 2 3 年 の いわ ゆ る 旧 商法 を取 り上 げ る 。 こ こで の 関心 は, 前 章 まで取 り 上げて きた, 合意 に もとづ く資本概 念 (当事 者間 にお いて充実 され るべ

念 ) が, ドイ ツか らわ が 国 に継受 され た といえ るか ど うか, で あ る 。

「ロエ ス レル は事 案 の起 酎 こ当た り, 当時 の ヨー ロ ッパ諸 国 の 多 くの 商 法 を調 査 して い るが, 結 局 フ ラ ンス と ドイ ツの商法 を主 に参考 に した。 そ の た め に, 明治 2 3 年 商法 は フ ラ ンス法 と ドイ ツ法 の折 衷系 といわ れ る 1 」。

その 中 にあ って, た とえ ば商 業 帳簿 規 定 は, と くに ドイ ツ法 の影 響 を強 く 受 け た特 徴 を も って い る・ ‑ 1 . そ れ と同 じよ うに, 資 本 概 念 に関 わ る規 定 も また ドイツ法 にお け るの と同様 の特 徴 を もった といえ るの か ど うか, 本 節

1 安藤英義 『新版 商法会 計制度 論 』 白桃 書 房 ,1 9 9 7 年 ,3 9頁 。

2 I t Roe s l e r,Ent wul . fP i ne sHande l s ‑ Ge s e t z buc he sf t i rJapanni tCom‑

me nt a r ,Toki o. この ドイツ語の草案 は, 司法省によりl T 本語訳 され,明治 1 7 年に 『ロエスレル氏起稿商法草案』 として出版 されている ( 安藤 ,前 掲書, 1 4 頁,注 D 参照) 0

3 1 ‑ / rHT 省 『改 訂 増 補 商法総 論』 有斐 閣 吉 房, 大 r l : . 6 年 ,6 4 頁,および,安藤, 前守措書 ,3 9 貢参照。 また , 同法の施行か ら廃 l Lまでの経緯 について, 大隅健 一郎 l F l f b 一 法総 則 』有斐閣,昭和 3 2 年 ,1 9 ‑ 2 0 頁参照0

4 安 藤 , 前 書, 3 9 ‑ 4 0頁。 ち な みに, R oe s l e r ,前掲 草案における序の後 (管 案本文の前) には, フランス, スペ イン,オランダ, ドイツ, イタリア,およ び,エ ジプ トの商法の概要ない し構成が示 されている。

5 安藤 , 前 掲 書 ,L I O 1 4 4 貢参照。

2 8 1 0 6

(7)

わが 国株 式会社会計 制度 にお け る伝統 的資 本概 念 の特 質 ( 3)

で確 か めてみ よ う。 それ がで きれ ば, わが 国株 式 会社 会計 制度 にお け る資 本概 念 も, 合意 に もとづ く資本概 念 と して始 ま った, といえ る と思 うので あ る。

1 資本 金額 の定款 へ の記載

前章 まで検 討 して きた ドイツ株 式 会社 会計制度 にお け る資本概 念 につ い て は, 1 8 4 3 年 プ ロ シア株 式 会 社法 以 来, 当 事者 間 の契 約 な い し合 意 内容 と して の性格 を もつ定款 にお いて, その金額 が定 め られて きた。 この こと は, その資本概 念 の性質 , つ ま り, 合意 に もとづ いて充実 され るべ き金額 で あ る こ とを示す 1 つ の手 が か りにな って いた ので あ る (本稿 第 2 章 第 3 節 1 参 照 )。 そ こで, この特 徴 が, わが 国 に も引 き継 がれ た のか ど うか を 確 か めてみ た い 。

ロエ ス レル 草案{ j にお いて, 株 式 会 社 の発起 人 は, 会 社 創 起 の許 可 (い わ ば仮 免 許) 申請 お よび会社 設 立の免 許 ( いわば本免許 ) 仁 障青に際 して,

「 起 業 目論 見書」, お よび,「暇 申合 規 則」 な い し rL l ‑ 3合規則 」 ( 1 8 0 条 ,1 8 2

条 , 1 9 0 条, 1 9 2 条) を作 成 しな けれ ばな らな い, と定 め られ て いた。 な お, 恨 l 二 l i合規 則 は, 創 起 許可 を受 けた, 総 会 ( 1 9 0 条) の後 に, 申合規則 とな る もので あ る 。 本稿 に とって は, 暇 申 合規 則 と 申 合 規則 とを分 けて取 り扱 う必 要 が な い と思 われ るので,以 下で は, 両者 を ま とめて 申 合規 則 と 呼ぶ こ とにす る 。

同様 の こ とは, 続 く 明治 2 3 年 旧商 法 に も引 き継 が れ る 。 す なわ ち, 明 治 2 3 旧 商法丁にお いて は, 同 じ く発起 人が, 会 社 発起 の認 一 寸申請 お よび 会 社 設 立の 免 許 申請 を行 う際 , 「目論 見 書」, お よ び, 「仮 定 款 」 な い し

「定 款 」 ( 1 5 7 条, 1 5 9 条 , 1 6 6 条 ) を作 成 しな けれ ばな らな い, と定 め ら

6 質料 は, Roe s l e l l , 前掲 事案 , お よび, 司法 省訳 , 前掲書。

7 肇 糾 . l ・ は, 我 妻栄編 集代 表 『 旧法令集』 有斐 閣, 昭和 43 年 r J

1 07 ‑ ‑ ‑ ‑29‑

(8)

れ て いた。 な お, 仮 定 款 は, 発起認 可を受 け, 創 業総 会 ( 1 6 3 条) の後 に, 定 款 とな る もの で あ る ( 1 6 6 条 )。 こ こで も本稿 に と って は, 仮 定 款 と定 款 とを分 けて取 り扱 う必 要が な い と思 わ れ るの で, 以 仁で は, 両者 を ま と

めて定款 と呼ぶ こ とにす る 。

r 二 記 の 作

書 類 の うち, 先 に作 成 さ れる ほ う, つ ま り, ロ エ ス レル 輩案 にお け る起 業 I H命見書 , お よ び, 明治 2 3 キ ロI 川 有 法 にお け る 目 論 見 書 に記 戟す べ き 事項 は, 明 文 を もって定 め られ て い る 。 そ して そ の 中 に は, 「会

社 資本 ( Ge s e l l s c haf t s c api t al ) の総 鶴 」 (ロエ ス レル 草案 1 81 条 5 号) , お よび, 「資 本 ノ総 額 」 ( 明治 2 3 年 旧商 法 1 5 8 条 4 ; 封 が 含 まれ て い る O

まず ロエ ス レル草 案 につ いて いえ ば, その会 社 貿本 の 詔 は, 「株 式 資本 」 ( Ac t i e ne api t al , た と え ば 1 9 5 条 3 号 参 照 ) の 語 と と も に 9 「資 本 」 ( Capi t a l , た とえ ば 1 7 5 条 参照 ) と 区別 な く用 い られ て い る と解 され る 。

つ ま り, こ こで あ げた 「資本 」 の ( 付 く)語 は, いず れ も同 じ意 味 内容 を もつ もの を指 して いた と解 され る 。 ドイ ツで も, こ うい った い くつ か の類 似 の語 が使 われ て も, 結 局 それ らが意 味 す る資本概 念 は 1つ で あ る, とい う状 況 はみ られ て いた の で あ った ( 本稿 第 2 章第 2 節 お よ び第 5 節 参照 )0

この ロエ ス レル草 案, そ して, その 司法 省 訳 にみ られ た 「資本」 の語 は, わ が 国 で は 明 治 2 3年旧 商法 を通 じて , 比 較 的 最 近 の 商 法 (平成 1 7 年

( 2 0 0 5 年 ) 改 正 前 商法 ) に至 るまで f 肌 、られ て きたt q 。 しか し本 稿 で は, 会

8 平成 1 6 年 ( 2 0 0 4 年) に 法制 審議会 の会社法 ( 現 代化関係 )部会が取 りま と めた r 会社法制の現代化 に関す る要綱案」 に至 って,会社法本体 における もの と して ほぼ確定 的 に , 「資本金 」 の 語 が 用 い られ るよ うにな った ( 第六 5 等参 照) 。 そ してそれ は, 平成 1 7 年 ( 2 0 0 5 年 ) 制定 の会社法 に採 り入れ られて い

る ( 4 4 5 条等) 0

なお ,貸 方の 項 目 ( 勘定科 目) に 「金」 を付 けることへの反省 につ いては, 新 l 札忠誓 「分 か りやす い勘定科 目の必要性 ‑ 日本簿記学会 。簿記教 育研究 部会 「勘定科 目に関す る研究」 での議論 を 卜 ▲ に 」 『企業会計 第5 6 巻 第6号 ( 2 0 0 4年6 月) 参 照 O

‑3 0‑ 1( ) 8

(9)

わが 国株 式会 社 会計制度 にお け る伝統 的資 本概 念 の特 質 ( 3)

計 ( 学 ) の慣 例, また,現 行 の会 社法 の表現 に従 って, ロエ ス レル草案 お よび明治 2 3 年 旧商法 にお け る もの も含め, わ が 国 にお け る伝 統 的 な商法 規定 に い う 「 ー 資本」 を もっぱ ら資本 金 と呼ぶ ことにす る 。 名称以 仁 に ここ で重 要な の は, それ が 意 味す る内容 で あ ろ う。

その資本金 の金額 は,起 業 目論 見 書お よび 口論 見書 に記載 され るべ き こ とは上述 の とお り明文化 され て い るので あ るが,他 方 , それ らの後 に作成 され る 中 食 規 則 (ロエ ス レル 草案) お よび定款 ( 明 2 3年 旧商法 ) に記 載 され るべ き事項 は条 文 仁, 明 らか に されて いな い。 とはいえ解釈 上 は, 次 に述 べ る とお り, 申 合 規 H l J お よび定款 に も資 本金 の金額 が記載 され るべ き こ とが想 定 され て いた よ うで あ る 。

まず, ロエ ス レル輩案 にお いて,起 業 目論 見書 はいわ ば綱 領書 で あ り, それ に対 して 申合規 則 はいわ ばその 細 目書 で あ る, とい う趣 旨の見方 が示 され て いた† ) 。 また , 明 治 2 3 旧 商法 に関す る文献 に よ る と, 定款 の 中 で 主 た る点 だ けを記 載 した のが 目 論 見書 で あ る, と解 され て い るI U 。 これ ら の ことか ら,一 般 に起 業 目論 見書 お よび 目論 見 書 に記載 され るべ き事項,

9 よ り詳 し くは , Roe s l e r , 前掲 草 案 ,2 97 頁 , お よび, 司法 省訳 , F 嗣軍書,

3 5 9 ‑ 3 6 0 頁 を参照 され た い。

1 0 この こ とにつ いて, 梅 謙 次 郎 『改 正商法 講義 』 有 斐 閣 , 明治 2 6 年 ,5 0 6頁

で は , 「

文二定 款 ノ中二必 ズ社 名, 営 業所 ヲ書 イテ帯 カ ンナ ラ ヌ ト云 フ コ ト

‑ ドコこ モ ア リマセ ヌケ レ ドモ‑ ‑ 目論 見書 卜云 フモ ノエ ソ レヲ掲 ゲテ置 カ 予

バナ ラ ヌ ト云 ブ コ トデ ア リマ ス , 而 シテ其 目 論 見書 卜云 フモ ノ‑通 常 定款 ノ 中

デ以 テ極 , 重ナ 邸 丈 ヲ書」二ゲ タモ ノデ ア リマ ス,普通 こ ‑定款 こ モ 社 名,営 業 所 卜云 フモ ノ‑必 ズ書イデアラウ ト思 7‑‑・ 賢本 ノ増減又‑資本 ‑増減 シナ ク ッ

デモ株 式 ノ高 ヲ轡 ズル・ ・ . ‑ サ ウ云 ウモ ノ‑皆 定款 ヲ蟹 ヘ ル ノデ ア リマ ス」 と説 明 され て い る 。同 書 ,51 8 頁 で は また , 「定 款 ノ蟹 更 ノ 中 デ重 ナ ル モ ノハ何 デ

ここで, 資本 な い し会社 資 本 ( 資本 金 )の金額 が定款 記載 事項 と して想定 さ

● ■

れ て いた と考えれ ば, その増 減 が定款 変 更 に当た る, とい う上記 の説 明 も読 み やす くな るで あ ろ う。

i t ' j t ( ) ‑ 31‑ 一 一 一 ‑

(10)

したが って上述 の とお り, その うちの資本金 の金額 は, よ り詳細 な申合規 則 お よび定款 に も記載 され るべ きことが想定 されて いた と解 され る。

もっとも,本稿 に とって は, 資本 金の金額 が定 め られ るのが,起 業 目 論 見書お よび 目論 見書 においてであれ, E F i 合規則 お よび定款 においてであれ,

どち らで もよいので あ るが 1 】 , ここで は とにか く, 資 本金 の金額 はわが 国

株式 会社会計制度 の成立期 か ら, 甲合規則 そ して定款 にお いて定 め られ る ことにな って いた と解 され ることを確認 して お きた い。

2 資本金額 の株式へ の分割

次 に問題 に したいの は, その資本金額 が合意 に もとづ くのか, フロー に もとづ くのか, とい う点 で あ る 。 資本金 の金額 が定款 において定 め られ る とすれ ば, それ は ドイツにおいてそ うだ った よ うに, 払込 み以前 の合意 に もとづ くものなので はな いか, と推測す ることはで き る 。 ただ,考 えの う えでは, フロー に もとづ けば定款 に記載 され ない, とい うことにな るわ け で もない。 要す るに,定款 に記載 され るか どうか とい うことだ けで は, 質 本金頻 の性質 を断定 で きないで あろ う 。

これ に関 して ドイ ツ株式会社会計 制度 では,定款上 の資本金額 が, 1 8 4 9

年 ドイツ普通商法 草案以来,株式 の額 仔 而 H i 額 に分 かたれ ることが明文化 さ れていた ( 本稿第 2章 第 3 節 2 参照) 。 さらにその額 面価額 は ,1 8 3 9 年 ヴユ ルテ ンベル ク 商法事案以 来 , 個別 のr L l ! 1 賢者 ( 株 主) によ って引 き受 け られ, そ して充実 され るべ き金額 であ ることを明確 に読 み取 れ る規定 が置 かれて いたので あ った (本 稿 第 2 章 第 2 節 参照)。 これ らの ことか ら, 株式 の額

面価 額 の元 であ る資 本金額 は,合意 に もとづ いて充実 され るべ き金額 の総

1 1 明治 2 3 年 旧商 法 にお け る 目 論 見書 は, 定款 に代 わ る役割 を 果た して いた と い う見方 もあ る ( 上柳 克 郎 ‑ 鴻常 大 ‑1 A / rr ノ l昭夫編 集 代 表 『新 版 注 釈 会 社法 ( 2 ) 株式会社の設立』有斐閣,昭 和 6 0 年 ,1 7 3 頁 ( 前 田蛮行)参照) 0

‑3 2 1 10

(11)

わがl 射株式会社会計制度 における伝統的資本概念の特質 ( 3)

頻 で あ る, とい え た わ けで あ る 。 そ こで, この よ うな特 徴 が, 日本 で の ロ エ ス レル草 案 お よ び 明治 2 3 年 旧商法 に も引 き継 が れ た といえ るか ど うか, 確 認 して み よ う。

起 業 目論 見 書 お よ び 申 合規 則 (ロエ ス レル 草 案 ), な らび に, 「I 論 見 書 お よ び定 款 (明治 2 3 年 旧 商 法 ) に記 載 され る と解 され る質本 金 の金 額 は, 各 株 式 の 金 額 す な わ ち額 面 価 額 に一 定 i l ^ ' A ‑ 等 に分 か たれ る (ロエ ス レル 草案

1 7 5 条 , 明 治 2 3 年 旧 商 法 1 5 4 条 お よ び 1 7 5 条)。 そ して, 会 社 が設 立す る に 至れ ば, 株 式 の 引受 募 集 に応 じて 申 込 み を行 って い た株 式 申込 人 は, そ の 各株 式 につ いて の払 込 み を行 う義 務 を 負 う こ とにな り (ロエ ス レル 草案

1 8 5 条 , 明治 2 3年旧 商 法 1 6 2 条 ), と くに会 社 設 立の 免 許 が 与え られ た と き に株 主とな る者 に は, まず 株 式 の金 額 ( 頗 面 ′ 「 l L F 蘭 i ) の 4 分 の 1 の払 込 み が 請 求 され る こ とに な って い た (ロエ ス レル草 案 1 9 3 条 , 明 治 2 3 年 l 廿 商

法 1 6 7 条 2項 ) 。

これ らの こ とか ら, ロエ ス レル 草案 お よ び 明治 2 3 年 旧 商法 に お け る株 式 の額 面 価 額 も, そ して, そ の 元 で あ る資 本 金 の 金頻 も, 合意 に も とづ い て充 実 され るべ き ( 払 い込 まれ るべ き) 金 額 で あ る とい え る 1 2 0

1 2 この ことに関 して,後の明治 3 2 年 ( 1 8 9 9 年) 新商法以降に明 確 な論点 とな ることであるが, ここであわせて次のことを確認 しておきたい。

資本金額が,発行 され る株式の額面価額 に分かたれ る以上,その時点で,質 本金額 と当該額面価額の総 額 が同額 にな っているのは必然である 。 しか し,そ の 時 点 よ り後に は ,それ ら 2 つ の金額が一致 しな くなる場合があ り得 ると いう

解釈 もみ られた それは,株式のいわゆる利益消 却 が行われた場合 ( 昭和 1 3

年 ( 1 9 3 8 年)改正l 捕商法 1 5 1 条 2 墳 但 書,昭和 1 3 年改正商法 2 1 2 条 2 項但書) , すなわち,額 面株式が利益額 ( 分配 可能額)を もとに消 却 された場合には , 該

金額が額 面価 額総額を上回る, とい う解釈である ( たとえば, 田 中緋太郎 『 改 正禽此法概論』岩波書店,昭和 1 4 年 ,7 3 4 1 7 3 6 頁参 照 )0

ここで述べておきたいのは,その解釈 は,本文で述べた資本金概念の本質を

E i J J : i : ' '

(12)

3 貸 借 対照 表 に お け る分 配 可能 額 の 算 定 と資 本 金額 の 記 載

定 款 に記 載 され る資本 金 額 が, 当 事者 間 の合 意 に も とづ い て 充 実 され る べ き金鞘 で あ る とす る と, 本稿 の場 合 , あ とは そ れ が, 貸 惜 対 照 表 に「 = ; ‑ L i , r r 曳

され るの か ど うか, つ ま り, 会 計 ( 株 式 会 社 会 計 制 度 ) 上の 資 本 概 念 で あ るの か ど うか を確 か め る必 要 が あ る 。 「賢 本 」 と付 く 語 で あ るか ら とい っ て, そ れ が即 , 貸借 対 照 表 に記 載 され る こ とを意 味 す るわ けで は な い‑ 1 ' 〜 O

これ に 関 して ドイ ツ株 式 会 社 会 計 制 度 の も とで は, と くに 1 8 7 0 隼 改 正 の 普通 ドイ ツ商法 以 来 の こ とで あ るが, 解 釈 に も後 押 しされ な が ら, 定 款

変え な い, とい うこ とで あ る。 上述 の利 益消却 は, 資本 金額 が維 持 され るべ き

金 願 と して 転用 され るよ うにな ってか ら行 われ る こ とで あ って, 資本 金額 が ま ず は充実 され るべ き金額 と して生 じるこ とを変 え な いか らで あ るO また, 消滅 す る 頻面価 額 につ いて は, 末払込 み分 が あ ったの な ら, た しか に利 益 消 却 後 に 出賢 者の払込 み に よ る充実 は もはや行 われ な い こ とにな るが, それ に よ って 資 本金和 は変 わ らな い ままで あ る。 そ して その資本 金額 は ,上 汁/ , l i ' 三 分 配 の 局r 仙 こお いて維持 され るべ き金額 と して転用 され るか ら, 【 二 記 の よ うに末払込 み分が あ っ た場 合 に今度 は , 出資 者の払込 み によ ってで はな く,経 営 活動 を通 じて 充実 さ れ るべ き金額 にな るわ けで あ る。 この よ うに, 充実 の され 方は変 わ るに して も, 資本 金額 が合 意 に もとづ いて 充実 され るべ き金額 で あ る こ とは変 わ らな い。 ,他 方, 消 却 され る紬 面株式 に未払込額 が残 って いなか った ケー スな ら ,賢 本金朝 は, す で に充実 され た金瑚 で あ るに して も, それ以 棺 に, 充実 され るべ き金頻 と して生 じて い るO この ケー スにお いて もや は り, 上記 の賀春概 念 は変 わ らな いわ けで あ るL l

ちなみ に , 昭 和 2 5 年 ( 1 9 5 0 年 ) の 商法 改 正以 後 は さ らに, いわ ゆ る準備 金 の資 本 組 入 れ に よ って資 本金額 が増 加す る こ とで, また, 利益 消 却 お よび償還 株式 の償還 に よ って頗 面価額 総額 が減少 す る ことで, 資本 金種 が 頗 面 価頗総額 を 口 可る こ とにな る ( 弥 永 真 里 粁 資本」 の会 計 』中 央経 済 社, 平成 1 5 年 , ll

貢 , 脚 注5 ) 参照 )O しか し, これ らの場 合 も, Lの段 落 と結 論 は 同 じで あ る 0

1 3 た とえ ば, ドイ ツの認 可資本 ( Ge I l e hmi gt e sKapi t a l J の金頻 や, ア メ リカ の授 権 賢 本 ( aut h o r i z e dc api t a l ) の 金額 は必 ず しも, 貸 情 対照 表 に記載 され るわ けで はな い。 〕

‑ 3 4‑ 11 2

(13)

わが 匝† 株式 会社 会計 制度 にお け る伝統 的 資 本概念 の 特 質 ( . 3)

仁の 資 本 金 頻 が 貸 借 対 照 表 仁に も記 載 さ れ る と い う 見 方 が 定 着 して い た 。 合 意 に も とづ く充 実 さ れ る べ き 金 額 が , 株 式 会 社 会 計 制 度 に お け る 賢 本 概 念 と な って い た わ け で あ る (本 稿 第 2 章第 4 節 2 参 J J J . i , )O

そ こ で , こ の ドイ ツ で の こ と を 念 頭 に 置 き な が ら, わ が l 鋸 こお け る 明 治

1 7 隼 ( 1 884 年 ) ロ エ ス レル 草 案 お よ び 明 治 2 3 年 ( 1 890 年)旧 商 法 の も と で の , 会 計 上の 資 本 概 念 の あ り 方 を 確 認 しよ う。 ま ず , ロ エ ス レ ル 草案 に お い て , そ れ に 関 わ る と思 わ れ る 条 文 は , 次 の と お りで あ る 一E .

ロ エ ス レ ル 草 二 案 第2 6 8 条

株 式 会 社 は , 半年 ご と に 決 算 を 行 い , 財 産 目録 お よ び 貸 借 対 照 表

( Bi l anz ) 1 : 'を 作 製 し, 監査 役 ( Auf s i c ht s r a t h) に よ る 監 査 を 受 け ,

1 4 本 文で後 に続 く ,明治 2 3 年 I l r 商法 第 21 8 条 お よび第 21 9 条 は, 原 文 (旧仮 名遣 い) の ま ま示 した が, ロエ ス レル 輩案 第 2 6 8 条, 第 2 6 9 条, お よび, 節 2 7 0 条 につ い て は, 意 l 勅 勺容 (と くに第 2 6 9 条 の そ れ につ いて, 本稿 脚注 1 6

参 照) と読 み やす さを 考慮 して ,旧 仮 名遣 いの 司法 省訳 を参 考 に しつつ, あ ら た めて私 が, ドイツ語 の原 文を H本 語 ( 現 代仮 名遣 い) に 訳出 した C ,

参 考に, 同条 の 亜 去省訳 を示せ ば, 次 の とお りで あ る O

第 2 6 8 条

件式 倉 柾 ‑ 半 年 毎 こ決 算 シテ 紬i r l ' 川 録 告及 ヒ比 較 表 ヲ製 シ取締 役 ノ検 査 ヲ受 ケ l L 禽 J l i 【 二ノ認 允 ヲ緯 タル後′ 之ヲ公 告 スル ノ義 務 ア ル者 トス‑‑ ( 第 2 文 省 略)

第 2 6 9 条

利 足 及 ヒ利 益 ‑損 失二依 テ 禽 J 吐資本 ノ減 少 セサ ル時二非 サ レ‑之 ヲ計算 シ又 ‑配 常 スル コ トヲ得 ス E r ̲ 資 本 ノ減額 アル トキ ‑利益 ヲ以 テ第 一 こ典 減

額 ヲ 補 償 スヘ シ

第 2 7 0 条

株 式 禽 柾 こ於 テ‑ 命社 費本 ノl j L T 分 一二満 ル準備 金 ヲ蓄積 スル篤 メこ毎 年

ヲ篤 スコ トヲ得 ス

1 5 この. 紺 こつ いて は, 安 藤. 前掲 書 ,6 2 貢参 招 . 十 ,

1I一 l ) ) , 3 5‑

(14)

かつ, 会社 に よ る承 認 を得 た後, これ らを 公告す る義 務 を 負 う 。

( 第 2 文 省 略)

同第 2 6 9 条

利 子 お よ び 配 当 ( Di vi de nde n 川) は , 会 社 資 本 ( Ge s e l l s c haf t s‑

c api t a l ) が損 失 ( Ve r l us t e) に よ って 減 少 させ られ て い な い場 合 に

1 6 この語 に対 して,本稿 脚 注 1 4に示 した よ うに, 司法省訳で は 「利 益」 とい う訳が当て られてい る 。 しか し, ロエ ス レルが用 いた原語 は本文に示 した とお り, " Di v i d e nde n" であ り, これは一般 的 には配 当 と訳 され る語 であ る。 そ こ でなお, 司法省訳 における 「 利益」 の語 に もとづ けば , 原語 による場 合には 生

じない,解釈 に関わ る論点が出て くるであろ う。 その論点 とは, 本文の訳 にお ける 「各年度 の利益」以降の条文 と, それ よ り前の条 文 とが, 同 じ内容 の繰 り 返 しに過 ぎないのか どうか, とい うものであ る (これにつ いては, た とえば, 最近 の論功 と して,久保大作 r l f f j 法上 の会計規範の決定 に関す る 一 考 察 仁 一) J

『法学 協会雑誌」 ]第 1 2 4 巻第 1 2 号 ( 2 0 0 7 年 1 2 月) ,7 ‑ 8 貢参照) 0

私 見によれば,本文 に示 した訳 でい う 「各年度 の利益 J 以 降の条文 ( 以 下, 厳密ではないが,第 2 文 と呼ぶ) と, それ よ り前の条文 ( 以下,厳密で はない が,第 1 文 と呼ぶ) とでは少 な くとも意味が違 う, とい うよ うに理解 しなけれ ば,次 に述べ る理 由で, この第 2 6 9 条全体 が意味不明 にな って しま うと思 われ る。す なわ ち,第 1 文 は, いわゆる資本欠損の有 り 。 無 しが配当の不i i 摘巨 ◎可

能 の規準 であ ることを示す条文 で あ る 。 それ に対 して, 第 2 文 は , 「各 年度 の 利益」 とい う表現 か ら,本文で も示す,続 く第 2 7 0 条の 「 年次利益」 とい う表 現 とともに,期間利益 の計算を も想定 させ得 る ものであ り, そ してそ こで計算 され る期 間利益額 が,資本欠損の填補 に用 い られな ければな らない ことを定 め る条文であると解 され る。 と くに第 2 文 は, この よ うに解 さな けれ ば, 資本欠 損の場 合に,期間 . 「 「 利 益 」 は ともか く,第 1 文 に もとづ いて配 当可能 「利益」

(司法省訳) はない ( 算定 されない) ことにな るはず だか ら, そ もそ もない も のを填補のために用い ることもで きず, したが って第 1 文 の繰返 しに さえ もな

らず に,単 に意味の通 らない条文 とな るであろ う 。

もっとも,以上の理解 によるとき,第 1 文 と第 2 文 とは, いずれ に して も同 じ内容 の繰返 しではない とい うことはいえ るが, それで も結局 は同 じ配 当規制

‑ ‑ ‑ ‑ 3 6一 11 4

(15)

わが 国株 式会 社 会 計 制度 にお け る伝統 的 資本概 念 の特 質 ( 3)

の み, 算 定 され, あ るい は, 支 払 わ れ得 るの で あ り, 各 年 度 の 利 益 ( Gewi nnj e de s J ahr e s ) は,まず,減少 させ られ て い る資本 ( Capi t a l ) の填補 の た め に 周 い られ な けれ ばな らな い。

同 第 2 7 0 条

利 子 あ る い は 配 当 の 分 配 が 可 能 で あ る と き , 準 備 金 ( Re s el l ve f ond) に は, それ が会 社 資 本 の 4 分 の 1に逮 す るまで, 少

を もた らす こ とに変 わ りが な い。 なぜ な ら, " Di v i de nde n" の語 を 「利益」 と 理 解 しよ うが 利 益 . 「 配 当」 と 理 解 しよ うが,結 局 は資本 欠損 時 に配 当はで きな い とい う結 論 にな るか らで あ る。 しか し, 存 在 す る と思 われ る 1 つ の違 いは, 後 考のL l 冊, ' I 1 ‑ に よ る とき , Lの段 落 で述 べ た とお り ,期日 胴三 唱左計算 が想定 され得 る, したが って わが 国の株 式 会社 会 計 制 度 は当初 か ら , 同計算 を採 り込 み得 る 素地 を もって いた とい う理 解 も しやす くな る と思 われ る こ とで あ る (旧来の 商 法 の もとで の′ 別間利 益 計算 につ いて, こ こで は と くに , 岩肌巌 「商法 にお け る 計 理鱒系 」 『禽計 」 ] 復 l 二 I J 第 1 号 ( 昭利 2 4年 2 月) 参照) 。

さ らに. そ こで 計 算 され る期 間利 益 は, 上でふ れ た とお り,続 く第 2 7 0 条が 定 め る 「年次 利 益 」か らの準備 金額 の計 上 ( 積 立て) につ なが り得 る と理 解 さ れ るL l この よ うな, 期 間利 益か らの準備 金額 の 計 Lは フ ラ ンス会社法 等 に伝統 的 な もので あ り ( 安 藤 ,前掲 書, i : ' ' 右1 3 8 頁参 照) , それが ロエ ス レル 草案 か ら

も読 み取 れ る とす れ ば, ロエ ス レル が準 備 金 制 度 につ いて, まず フ ラ ンス法 ( 会 社法 ) に言 及 して い た こ と と, よ り整 合 的 な理 解 が 得 られ るよ うに思 われ る ( Rr ) e s l e 1 ‑ , 前 掲 箪案 ,3 4 6 貿参照) , ,

そ して, その理解 は, ロエ ス レル 草案 第 2 6 9 条原 文にお け る " Di v i de nde n

を , 「配 、 l ' r 」 と訳 した場 合 の ほ うが 得 られ やす い し上述 の論点 が 問題 にな らず,

r 各 年度 の利 益J な い し 「 ー 年次 利 益 」が際 { I I つ か ら), とい うこ とが, この J I J r : ・ T l 往 1 6 全体 を もって示 され て い るで あ ろ う, ,

な お, l 二 述 の論点 は明治 2 3 年 の r l r 商法 以 降, 本 文で 示 して い く規定 か ら読 み取 れ るよ うに, と くに問題 にな らな い( 。準備 金額 の 計 上 ‑ ̲( 積 立て )の もとに な る 「利 益」 は, 期 間利 益 か分 配 (可能 )微 か とい う論点 も, これ以 降 は取 り

口 ナず に, 本稿 の もっぱ らの検 討 対象 で あ る賢 本概 念 それ 自体 に記述 を集 中 し て い くO

1 1 5 ー 3 7

(16)

な くと も年 次 利 益 ( j a hl l l i c he rGe wi l l n) の 1 ) 0 分 の 1が 積 み 立て られ な けれ ば な らな い。

次 に, 明治 2 3 年 I H l 海法 にお け る, 会 計 上の 賢 本概 念 に 関 わ る と思 わ れ る規 定 を 示 す。

† リ 丹 台2 3隼 旧 商法 第 2 1 8 条

会 社 ‑ 毎 咋 少 ナ ク トモ ー 回 計 算 ヲ閉鎖 シ 計 1 7 , 財 産 目録 , 持借

対 照 表, 事業 報告書 , 利 息 又 ‑ 配 当金 ノ分 配案 ヲ作 り監 査役 ノ検 査 ヲ 受 ケ総 会 ノ認 定 ヲ 得 タル 後 北川オ J ' ; t r i 日 録 及 ヒ 貸情 紺 黒衣 ヲ公 告 ス‑ ‑

( 第 2 文 省 略)

同第 2 1 9 条

利 息 又 ‑ 配 当 金 ‑損 失 二 因 リテ滅 シ タル 賢 本 ヲ 填補 シ及 ヒ規 定 ノ準 備 金 ヲ 拙 除 シタル 後 こ非 サ レ‑之 ヲ分 配 スル コ トヲ 得 ス

準 備 金 カ資 本 ノ四/ J J L‑こ 達 ス ル マ テ ‑ 毎 年 ノ利 益 ノ少 ナ ク トモ ニト / J j L ‑ヲ準 備 金 トシテ積 [ ' ; J ' l T 二クコ トヲ要 ス

い わ ゆ る資 本 の 欠損 に よ って (r l L Hz I A = l r T 加こ) 賀 本金領 が 減 少 す るか の よ う な 表現 , す な わ ち, ロエ ス レル 草案 第 2 6 9 条 に お け る 「 ー 会 社 資 本が 損 失 に よ って 減 少 させ られ て」 . 「減 少 させ られ て い る賢 本 の填 補 」 とい った 表現 や, 明 治2 3 咋 HT r 師 去第 21 9 条 第 1 項 に お け る 「 損 失 こ 園 リテ 減 シ タル 資 本 ヲ 填 補」 とい った 表現 は気 にな る。 そ れ は, 資 本 の減 少 の 認 識 , ひ い て

] 7 この 「計算書」 が 本来,系譜か らい って , 損益計算 書を意味す る ものではな か ったはずであることについて,安藤 , 前 掲 , 守,第 6章 第 3 節 目 と くに 2 37 貞)

参照。

ー 3 8 1 1 6 1

(17)

わがI 射精 に会社会 計 制 度における伝統的資本概念の特質 ( 3)

は, 資本 概 念 に関 わ る よ うに も思 わ れ るか らで あ る (本稿 第 2 章第 5 節 参 照 )。 と は い え, ドイ ツで も, 合意 に も とづ く資 本 概 念 の生 成 期 に 同 様 の 表 現 が あ った (本 稿 第 2 軍第 3 節 ] ̲参 照 )。 こ こで は, 上記 の よ うな 表現 が あ る こ とを確 認 す る に と どめ て お こ う 。

よ り 注目 した い の は, ロエ ス レル草 案 も明 治 2 3 年 旧 商法 も, 貸借 対 照 表の作 成 を義 務 づ け, そ して そ こで の, 資 本 金 お よ び準 備 金 を規 準 な い し 尺 度 と した 分 配 可能 額 の 算 定 を指 示 して い る と解 され る こ とで あ る 1 1 ㌔ 仁

の ロエ ス レル 箪案 第 2 6 9 条 お よ び 明 治 2 3 年 旧 商法 第 2 1 9 条 で 想 定 され て い る はず の, い わ ゆ る資 本 の欠 損 は, 貸 借 対照 表 上で 判定 され るはず で あ ろ うO この こ とか ら, 賢 本 金額 の貸 借 対 照 表 へ の 記 載 も 想 定 され て い る こ とが わ か る。

も っ と も, 貸 借 対 照 表 仁の 資 本 金額 は定 款 上の それ で あ る, とい うよ う な こ とを 明 確 に定 め る規 定 は な い。 しか し, す で にふ れ た とお り, 「賢 本 」

の 語 什 質 本 」 の 付 く語 ) は, 他 の 関連 規 定 で も使 わ れ て い るが , それ ら が 異 な る意 味 で 使 わ れ て い る よ うに も思 わ れ な い。 つ ま り, 定 款 に 記 載 さ れ る もの も, 貸 借 対照 表 に記 載 され る こ とが想 定 され て い る もの も, いず れ も同 じ 「賢 本J, す な わ ち。 貿 本 金 で あ る と考 え られ て い た とみ られ る。

実 際, 当 時 か らの解 釈 論 と して も, 定 款 に定 め られ た 資 本金 の 金額 が, 貸 借 対照 表 に記 載 され, 分 配 可能 覇 の 算 定 にお い て維 持 され るべ き 金額 と し て 用 い られ る, とい うの が‑ ‑ ‑ 凋k L 的 な解 釈 で あ った よ うで あ る 川 。

以 仁の よ うにぅ ロエ ス レル 草案 お よ び 明 治 2 3年 Hr 商法 にお い て , 合 意

1 8 本文に示 した, とくに財産分配 ( 刺青 制配当)に関わる規定の沿 榊 こついては, た とえば,弥永, 前掲 書,1 7 0 ‑ 1 7 2 貢が, より詳 しい。

1 9 司法 省訳, 前 掲 F 等 ,L 1 2 7 ‑ 4 2 8 真参 照O また, た とえば, 、 封 義元彦 『株式 動 圧

封5 貢参照。

11 7 ー3 9‑

(18)

に もとづ き充実 され るべ き金額 と して生 じる資本 金額 は, 貸借 対照 表 に記 戟 され, 分 配可能領 の算定 に際 して は, 維 持 され るべ き金額 と して転用 さ れ る こ とが想定 され て いた。 この こ とか ら, 明治 2 3 年 旧 商法 に始 ま るわ が国株式 会社 会計 制 度 は, ロエ ス レル事案 を通 じて, ドイツ株 式 会社 会計

; 抑変にお け る資本金概念 を継 受 した, とい って よいで あ ろ うご り 。

その結 論 の た め に, 本節 で は, ドイ ツ株 式会 社 会 計 ; 細 動 こお け る資本 金 概念 の生成 ◎確 立を道 しるべ に しなか ら, わが国株式 会社 会計 制 度 に も, 資本 金額 の定款 へ の記 載, 株式 へ の分割, お よび, 貸 借 対 照 表へ の記 載 と

2 0 ちなみ に, Roe s l e l ‑ , 前掲 草案 ,3 4 5 ‑ 3 4 6 頁か らは, ドイツ株 式 会 社会 計 制 度 にお け る分 配規 制が もっぱ ら 想 定 され て い る こ とを, 読 み取 る こ とが で き る。

た だ, ロエ ス レル章 案 お よび明 治 2 3 年 I H商法 にお け る, 個 別 の株 i 三 な い し 株式 に対す る財産分 配 ( 配当) の 金額 は, 引 き受 け られ た株式 の 頗而 価頗 で は な く, 払 い込 まれ た 金額 に もとづ いて算定 され る (ロエ ス レル 草 案2 7 2 条, 明 治 2 . ' 川 川]商法 2 2 1 条 ). これ は ,1 8 3 9 年 の ヴ ユルテ ンベ ル ク商法 箪案 (本稿 第 2 章第 2 節 参照 )以 来の ドイツ株式 会 社会 計 制 度 にお け るの とは違 って, わ が 国で は明 文で規定 され て いた点 で あ る。 ,これ は さ らに, ロエ ス レル 草案 お よ び明治 2 3 年 l 川海法 にお いて は , 旧 賢 音によ って払 い込 まれ た金額 , ひいて は, フロー に もとづ く資本概念 につ いての認識 が あ った こ とを想起 させ 得 る 事実 と いえ るか も しれ な い。

しか し, 他 方で議決 権 につ いて は ,1 株 につ き 1つ が 与え られ て いた (ロエ ス レル 草案 2 4 4 条 , 明 治 2 3 旧商法 2 0 4 条)。 つ ま り, 末払込 金額 が残 って い る株 式 につ いて も, 仝' / a' i 払込 済 み の株 式 と同 じよ うに 1つ の議 決権 が 与え られ て いたわ けで あ るL l こ うい った こ と もふ まえ る と, 個別 の 当斬 首や地 域 にお け る利 書 調 整 の あ り万は必 ず しも, 会計 【 二 の資本概念 の あ り方 に連 動 な い し蔭 結

す る もの で はな いので あ ろ う。 つ ま り, た とえ 財 産 分 配 や議決 権 が払込 金 額 に もとづ くもので あ った と して も, それ が必 然 ( 杓に, 会 計 l ・ ̲ の賢 本概念 と して も 払込 資本 概念 が採 られて い る こ との証拠 にな るわ けで はな い, とい うことの よ

うで あ る。

ここで注 目す べ きは, あ くまで I I 封妾I ' 加 こ, 会計 Lの資本概念 それ 自体 で あ る, とい うことで あ ろ う。

1 0 11 8

(19)

わが国株 式 会社会 計制度 にお け る伝 統 的資 本概 念 の特 質 ( 3)

い う特 徴 が継 受 され た とみ られ る こ とを確 認 して きた。 そ こで は, 会 計 ( 株 式 会 社 会 計 制度 ) に お け る資 本 概 念 に注 目 して い たか ら, ひ とまず , そ の 金額 が 貸借 対照 表 に記 載 され る こ とは 当然 の 条件 で あ ろ う 。 そ うで あ れ ば, あ とは, 上記 の 賢 本 金額 に独特 な特 徴 (メル クマ ー ル) は, 定 款 へ の 記 載 と, 株 式 へ の分 割 とい うこ とにな る 。

そ こで, 以 後 の わ が 国株 式 会 社 会 計制度 を取 り L 二 げ る際 に も, まず は, それ らの存 否 に 往 H して い こ う 。 それ が, 合 意 に もとづ く資 本概 念 の存 否 に も関 わ る, 一 定 の 手か か りにな る o また, 資 本金額 の貸借 対照 表へ の記 載 につ いて は, それ が 当 然 の 条件 で あ る と して も, あ とは, 記 載 の され 方

が 問題 にな る 。 そ こに, ドイ ツ株 式 会社 会 計 制度 にお け るよ うに, 資本金 概念 の性 質 , 位 置づ け,解 釈 が反 映 され得 る, とい うこ とで あ る ( 本稿 第

3 章第 3 節 2 お よび 3 , な らび に , 同 第 4 節 1お よ び 3 参照 )。 そ こで, 質 本金額 の貸情 対照 表‑ の記 載 方法 につ いて も, 注 目 して い くこ とに しよ う。

と こ ろで, ロエ ス レル 草案 お よ び明治 2 3 年 旧 商法 に は, 準 備 金概 念 も み られ て いた。 これ は, ドイツ以 仁に, よ り直接 的 に は フラ ンスの 制 度 を 参 考 に した もの とみ る こ とが で き るで あ ろ うが 2 1 , そ れ は あ くまで 準 備 金 概 念 につ いて の こ とで あ る 。 わが 国 で, 当時 の フ ラ ンスにお け る 「損 F l l S計 算 書利 益 増 の 配当 規 制 二 〇 」 で は な く, ドイツ と同様 の 「貸 情 対照 表 利 益 型

21 Roe sl e r , 前掲 章案 ,3 / / 1 6 貢 参照O ドイツ 商法 ◎株 式 会社法 自体 か, 準 備 金 制 度 を採 り入 れ る際 に フ ラ ン スの 制度 も 手本 に した の で あ った (た とえ ば, EnL wuI , fP i l l ( ‑ ) SGe s e t z e she L r e f f e nddi eK( ) mmandi t ge s e l l s c haf t e naufAkt i e n ur l ddi eAkt i e nge s e l l s e haf 血Ine bs tBe grL l l l dungundAnl E l ge n,Be r l i n ,1 8 8 3

隼, 2 65 頁 , お よ び, F J nt Wur fP i ne sGe s e t z e sbe tl でf f e nddi eKommaI l di t

, ‑

ge s e l l s c haf t e naufAkt i ( l nuI l ddi eAkL i e nge s e l l s ( ・ haf t e nne bs tMot i ve nun( i Al l l age n,Re i c hs t E l g 5. Le gl S l at ul ・ ‑ Pe r i o〔 l eI V.Se s s i on ,1 8 8 4 年 ,1 7 5 貞 参照。

また, 安 藤 , 前 掲 書, 1 1 3 頁 もあわせ て参照 )0

2 2 これ につ いて は,安 藤, 前 掲 乱 第 ′ / 1 章第 2 節 参照, J

11 9 肝 √ l l‑ ‑

(20)

の 配 当規制 1 ' ・ ミ 」 が採 用 され , そ して そ こで 利 用 され た 賢 本 金 概 念 で あ る こ と もふ まえ れ ば, 資本 金概 念 の ほ うは, ドイツ に お け るそ れ と形 式 。実 質 と もに 同様 で あ る もの を継 承 した とい え よ う J l . 。 した が って 結 局 , 上の 結 論 は変 わ らな い とい うわ けで あ るが , そ れ は そ れ と して , (資 本 ) 準 備 金 概 念 は ドイ ツ に お い て は質 本 金概 念 に も関 わ って い った 論 点 で あ るの で, 次 節 で も う少 し詳 し く取 り 上げ る こ とに しよ う 。

第 3 節 株 式 の額 面 超 過 額 の取 扱 い にみ る資本 金概 念 と準 備 金概 念 との

相違

商法

本 節 で は, I l J J 治 3 2 隼 ( 1 8 9 9 年 ) に 公 布 され た い わ ゆ る新 商法 と , 同法 につ い て の 昭 和 1 3 年 ( 1 9 3 8 年 ) に お け る改 l l i を取 り上 げ る 。 そ こで の 関 心 は, 以 仁の とお りで あ る 。

明治 3 2年 新 商 法 は, 、 円 或1 7 咋 ( 2 0 0 5 隼 ) 改 山 狩ま で に お け る商 法 ◎ 株 式 会 社 法 の 主要 な 基礎 で あ った とみ られ る二 ・ R ' 。 した が って , 同法 の も と で の 賢 本 金概 念 を検 討 して お くこ との必 要性 は, 後 の わ が 国株 式 会 社 会 計 制度 を題 材 にす る ときの た め に も, 必 ず しも否定 され な いで あ ろ う , J た だ,

前 節 に お い て , 明治 2 3 年 旧商 法 が ドイ ツ株 式 会社 会 計 制 度 か ら 継 受 した とみ られ る資本 金概 念 につ い てふ れ た が, そ の性 質 は, 本 節 で1 1 が 〕 日 デる

明 治 3 2 年 新 商法 にお い て も変 わ らな い ヨ r ; o

2 3 これについては,安藤 ,前 掲 , ‑ i ̲ 芸 : ,第 4 章第 3 節 参 照で 〕

2 4 他 方の, フランス会計 制 度における資本概念については,別橘で 検 討 したい〔 、 2 5 たとえば,浜田道代 「 会社 立法の歴 史的変 遷」 中央経済社編 『企業会 計 特 別

保存版 新 「会社法」詳解』, 平成 1 7 年参上 姓,

2 6 資本金額 の,定款への記巌については明治 32年紬 商法第 1 2 0 条 第 3 号,株 式‑の分 割 については 同 第 1ま 3 条 ( 額 面 価額が充実 され るべき金額であること

/ i ) ( )

(21)

わが 国株式会 社 会計制度 にお け る伝統 的 賢本概 念 の特 質 ( : 3)

それ よ りも, こ こで の 直 接 的 な 関心 は , 同 法 の 制定 に よ って新 た に生 じ 得 るよ うにな った株 式 の 鶴 面超過額 の, 会 計 上の 取 扱 い に 向 け られ る 。 と い うの も, それ は後述 の とお り, わ が国で も 〔 資本 ) 準備 金概念 に関 わ る 論 点 とな るか らで あ る。 次 い で 昭 和 1 3 年改 f 自 摘 法 を取 り 上げ るの も, 同 様 の 論点 が 追 加 され るか ら, とい う 理 由 に よ る, 。

そ こで の検 討 か ら, 傍 証 的 に , 前節 まで検 討 して きた賢本 金概念 の あ り 方 を 確 か め る。 明治 3 2 年新 商法 か ら 昭 利 1 3 年 政 府 摘法 にお け る, 準 備 金 概 念 な い し 紬 桁超 過願 の取 扱 いが, 資本 金概 念 の あ り方 を際 立たせ て くれ るの で あ る′ 。 この 附 青につ いて は次 に, 具 体 的 な規定 を検 討す るにあた っ て の 前 聞 き と して, も う少 し詳 しい説 明 を 加 え て お こ う。

1 褐' i 而 超 過頻 の取 扱 いが 示唆す る賢本概 念 の あ り 方

株 式 の 斬 而 超過願 は, 本稿 第 3 章第 4節 2 でふ れ た よ うに, ドイツ株 式 会 社 会 計 制度 にお いて は 当初, 財産 分 配局 面 にお いて 利益 と同様 の 位 置づ け ◎取 扱 い を受 けて い た ( 1 9 3 7 年 ドイ ツ株 式 法以 前)。 しか し, それ は次 第 に 明 確 に, 賢 本 と して の 位匿 づ け ◎ 取扱 い を受 け るよ うにな って い った の で あ る ( 1 9 6 5 年 ドイツ株式 法 以 降)。

この こ と も本稿 に と って 重要な点 で あ ったが, も う 1つ 重要で あ った こ とは, いず れ に して も,J 紅 l : [ 厨超 過頻 は フ ロ‑ に もとづ く金額 で あ る とみて よ い, と考え られ る こ とで あ った. この 見 J fの うえ に, その箱 師 超過 額 が 資 本 と して の 位 置T l I づ けを 与え られ る と, フ ロー に もとづ く賢本概 念 が 隼 じ る こ とにな った らで あ る√ 〕

そ の ドイツで は, もと もとは合意 に もとづ く金卿 で あ る賢 本金概念 が,

については吊 1 2 9 条 1 頃,1 2 8 条 ′ 等) , そ して ,持 借 対 照表‑の記載について

は 吊 第 1 9 0 条第 2 号, 第 1 9 4 条 り;文で 後述 工 お よび, 第 1 9 5 条 (本 文で後 述 ) を 参照 され た いr ,

1 21 4 3 ‑

(22)

フ ロ‑ に もとづ く金額 と して生成 o確立 した資本 準備 金概念 を 追 いか け る よ うに して, フ ロー に もとづ く金額 と しての傾 向をみせ るよ うにな って い た。 そ こには, 1 つ の連続 的 な展 開 をみて とる こ とが で きたの で あ る ( 本 稿 第 3 章第 4 節 2 お よ び 3 参 照) 。 そ して それ を遡 って みれ ば, 御面 超 過 額 を含 む ( 資本)準備 金概 念 の あ り方が, 全体 と して の資本概念 の あ り方 な い し資 本金概念 の動 向を示 唆 して いた, とい うわ けで あ る 。

ところが, よ り詐 し くは後述 の とお り, わが 国 にお いて は , 同 じよ うな 展陽‑ Hまみ られ な い。 む しろ, ドイツにお け る展 開 とは逆 に, 資本 準備 金概 念 の ほ うが, 資本 金概 念 に接近 す るか た ちで合意 に もとづ く資本概 念 に取 り込 まれ る こ とにな る 。 これが 厳 密 な理解 で あ る とは思 われ るが , 他 方で は, 資 本金概 念 も資本準備 金概念 もフ ロー に もとづ く資本 概念 で あ る とい う表 面的 な解釈 の素地 が, 会 計 に と って外 生 的 な 要因の影響 を受 けて/ 生ま れ る こ とにな る 。 この展 開 は, それ らの概 念 自 体 の意 味 内容 に 着目 した選

択 の 結 果 で あ る とはい い きれ な い とい う 意 味 で,必 ず しも連続 的 な展 開で はなか った よ うに さえみえ る。

その大 きな展 開 を明 らか にす るには, 次節以 降 の検 討 内容 もふ まえ る必 要が あ るが, その ための L台 づ くりと して の役割 を, 本節 にお け る以 Fの 作業 が果 たす ことにな る 。 つ ま り, 上述 の とお り本節 で は 当面,額 面超過 額 の取 扱 い にみ る準 備金概念 の特 徴 に, よ り直接 的な関心 が 向 け られ る 。

それ によ って, 仁の段 落 でふれ た よ うな展 開が生 じる以 前には ドイ ツにお け るの と同 じよ うに,額 面超 過 額 を含 む 準備金 と, 資本金 につ いて, 取 扱 いが違 って いた こ とが確 か め られ るで あ ろ う 。 具体 的 な題 材 も 意識 して, よ り r寧 にい うと, と くに明治 32 年新 商法 か ら 昭利 1 3 年 改 l 王商 法 の もと で準備 金 と して計 Lされ る金額 の うち, 株 巨に よ って払 い込 まれ た 金額 で あ る 頻 l r 日 J f 超過額 につ いて の取扱 いが,続 く本節 2 お よび 3 で 確 認す るよ う に, それ とは対照 的 な, 合 意 に もとづ く資 本金概 念 の あ り方 につ いて, 示 唆 を 与え て くれ るので あ る 。

l r l I i ) i )

(23)

わが 国株式会社 会 計 制 度 にお け る伝 統 的資本概 念 の特 質 ( 3)

2 額 面超 過 額 に対 す る利 益 と同様 の取 扱 い

‑ ‑ ‑ ‑明治 32 年 ( 1 8 9 9 年 ) 新 商法

ロエ ス レル草 案 お よ び 明治 2 3年 旧 商 法 に お いて は, 株 式 の額 面 価 額 で の 禿行 ( 額 面 発行 ) だ けが許 容 ◎想 定 され て いた と解 され る 。 そ こへ, 明 治 32 年 新 商 法 に お い て は, 株 式 の額 面 価 額 を超 え る金額 で の発 行 ( 額 f F H

超 過 発 行 ) を許 容 や想 定 す る規 定 が 設 け られ た ( 1 2 2 条 2 号, 1 2 6 条 3 項 ,

1 2 9 条 2 項 等 参照 )。 また, 部分 的 に はそれ に伴 って, 分 配 可 能 額 の算定 , お よ び, 準 備 金 につ いて の規 定 も,次 の よ うに改 め られ た L ' T 。

第 1 9 4 条

禽社 ‑其 資本 ノr f L T 分 ノー ニ迂 スルマ テ‑ 利益 ヲ配 常 スル毎 二準 備 金 トシテ其 利 益 ノ 二 十分 ノー 以 上 ヲ積 立 ツル コ トヲ要 ス

額 面以 上ノ慣額 ヲ以 テ株 式 ヲ発 行 シタル トキ‑其額 面 ヲ超 ユ ル 金額

‑ 前項 ノ斬 こ達 スル マ テ之 ヲ準 備 金 二組 入 ル ル コ トヲ要 ス

第 1 9 5 条

禽 社 ‑損 失 ヲ填 補 且 前 条第 ‑ 項 こ定 メ タル準 備 金 ヲ控 除 シタル後 二非 サ レ‑利 益 ノ配 当 ヲ篤 ス コ トヲ得 ス

まず, 分 配 可 能額 の算 定 に関 わ る第 1 9 5 条 の 「損 失 ヲ填 補 シ 」 とい う文 言の意 味 を確 認 して お こ う 。 この文言 は, 内容 的 に対 応 す る明治 2 3 年 旧 商 法 第 2 1 9 条 第 1 項 と比 べ る と, 損 失 に よ って直 接 的 に資 本 金額 が減 少 す るか の よ うな表 現 で はな くな って い る。 しか しそれ は, 資本 金額 概 念 につ いて の理 解 に深 ま りが あ った ため とい うよ りは, 表 現 の簡 素化 (まわ り く

2 7 質料 は,我 妻編 集 代 表 , 前掲 書L l

1 2 3 ー45

(24)

どい表現 の 回避) が 図 られ た こ とJ Hに伴 う, い わ ば偶 然 の結 果 で あ って, 本稿 に と って実 質 的 な 重 要 性 はな い 。

その意 味 内 容 につ いて いえ ば, この 文 言は, 明治 32年 新 商 法 の元 にな っ た, 明治 23年 旧 商法 につ い て の修 正案 に 含 まれ て い た 文 言で あ り, そ し て そ の 理 由 書等 に よれ ば, 明 治 23 作 目 T F 海法第 2 1 9 条第 1 項 に お け る 「 山 損 失 こ 因 りテ減 シタル賢本 ヲ 填補 シ」 とい う文 言の い いか え に過 ぎな い, と 説 明 され て い るコ L ) o Lたが って, 明 治 23隼 旧 商 法以 来 の 賢本 金概 念 (な い

しそ の理 解 ) に, と くに変 化 はな い といえ るで あ ろ う。

次 に,準 備 金 に関す る第 1 94 条 につ いて で あ るO 上述 の とお り, 明 治 2 3

年 旧商法 にお いて は株式 の 紬 仙超過 発行 が 許 容 ◎ 想 定 され て いなか ったが, (そ の修 正案, そ して, それ が成 立 した) 明 治 32 咋新 商法 にお いて ,頗 両 超過 発行 が許容 ◎想 定 され たので あ った。 それ に よ って生 じ得 る こ とにな っ た額 面 超 過額 は, 仁の 同 法 第 1 94 条 第 2 J 創 こよ って, 資 本金 鶴 と して は 計

上され な い こ とにな る 。 そ して第 1 95 条 お よ び第 1 94 条第 1 〕 創 こよ って, 利 益 と と もに, 準備 金 とい う 1つ の 項 目の もとで の取 扱 いを受 け, また, す で に 計 上した準備 金鶴 が法 の定 め る計 上割 合 (資 本金願 の 4 分 の D を 超 え る場 合 に は, 利 益 と と もに額 面 超過 微 も分 配 可能 頻 に含 まれ得 る こ と にな って い る 。

これ らの こ とか ら,額 面超 過額 は利 益 と 同 様 の取 扱 い を受 けて い るよ う にみ え る。 それ を指 示 す る規 定 につ いて, 理 由 書等 で は, 次 の よ うな説 明 が行 わ れ て い た‑ H J o す な わ ち, 準 備 金額 が 資 本 金頻 の 4 分 の 1を遇 え る 場

2 8 その経緯については,弥永,前掲 乱 1 7 2 貢を参照 されたい。

2 9 法典質疑会 『 商 法修[ 1 : ̲ 案参考書J ] ,明治 31 年 ,1 8 7 貢, および ,『 商 法修 I I ・ ‑ . 案 理由 書』 東京博 文堂 蔵版, 明治 31年,1 6 9 貢参 黒鳥 よ り艮体的な意味l ) 昭i ' については, 安 藤 , 摘 掲 書 ,1 4 0 ‑ 1 41 貞参県鳥

3 0 法典質疑会, 前掲書 ,1 8 6 ‑ 1 8 7 真参照。 ただ し, 本稿の 関心 に合わせて, 朝

雨超過額の性質に関わる部分が強調されるよう,説明の F r r 購 ' ; を変えてある , ,説 明の趣 旨まで変わ らないように注意 したつ もりであるが ,1 7 : ̲ 招 = : な理研を 期 して,

ー ‑ ‑ 4 6 ‑ ‑ ‑ ‑ 1 2 4

(25)

わが 国株 式 会 社会 計 制 度 にお け る伝統 的 資 本概 念 の特 質 ( 3)

合は, 頗 面超過 額 も分 配 可能額 に含 まれ得 る。 もっと も,額 面超 過額 は, 営 業か ら得 られ た 利 益 : う ̀とは異 な り, すべ て準備 金 と して 計 r ‑ . され る こ と が必 要で はあ る。

た しか に, 仁の第 1 9 4 条第 2 頃 で も, それ につ いて の説 明で も,額面 超 過願 は利 益 で あ る, とい うよ うな表現 は されて いな い。 この点 は, ドイツ にお け るの と異 な って い る ( 本 稿 第 3 章第 4 節 2 参照 )。 もとよ り ,財蕨

分 配 面 にお いて, 分 配 可能頻 と して利 益 と 同 様 の取 扱 いを受 け る とい う こ とが即,額 面 超過額 も利 益で あ る ( 資本 でな い) といえ る決定 的 な根拠 にな るわ けで もな いで あ ろ う 。 ,しか し他 方で, 仁の規定 にお いて 斬 面 超過

次 に 原 文を 引用 して お こ うO

「 本 修 ( 明治 32 咋 新 商法 第 1 9 4 条 ‑ 石 川)節‑ ‑ ‑ ‑ 墳 ‑ 現 行 商法 ( l I ) 持 台2 3 年 旧 商 法 一 石 川) 第 T I A 卜九 修 第 二項 二 該常 シ単 二 其 字 句 ヲ修 t l : . シ クルニ 週 キ ス之 こ反 シテ本修 第 二 墳 ‑ 本 案 こ 於 テ 額 面 ヲ逝 ユ ル債 願 ヲ以 デ スル株 式 発 行 ヲ認 メ タル 結 果 トシテ規 定 シ タル モ ノナ レ‑株 式 額 面以 ( A . ノ発行 卜共 二 現

行 商 法 中 二其 規 定 ヲ存 セ サ リシ トス 抑 モ額 面以 I 二ノ債額 ヲ以 テ株 式 ヲ発行 セ

● ●● ○

ア ラサ ル ヲ以 テ之 ヲ株 主二 配 常 スル ノ必 要ナ ク若 シ此 配常 ヲ是 認 スル ニ於 テ

◎ 匂

日 豆( /‑ 石 川) 此 ノ差額 ‑ 全 ク準 備 金 中二 組 入 レシム ル コ ト必 要 ナ リ然 レ ト モ此 場 合 卜 雌 モ亦 準 備 金 ノ組 額 資 本 ノ 四 分 )‑ニ達 スル ヲ以 テ足 レ リ トス 即 チ1 , 1 ( . [ 雄I ‑ ' J = 金 ノ総 額 カ賢 本 ノ四 分 ノ ・ 二速 スル トキ ‑株 式 ノ額 面 以 トノ発行 こ 閃 リテ 得 タル差額 ‑之 ヲ準 備 金二 親 入 ル ル ト将 夕叉之 ヲ楳 i 三 二 配常 スル トキ ‑ 之 ヲ禽社こ ‑ 1 モス ル コ ト直J 貴サ リ トス是 レ本修 ノ規定 ヲ設 ケ タル所以 ナ l 仁」

( 法 典質 疑 会 ,前 掲 書 ,1 86‑ 1 87 日)

前掲 『 商 法 修 r f : . 案 理由 書。 J J , 1 6 8 真 に も, 上 とほぼ 同 文 が 記載 され て い るO また, 久保, 前 掲 論 文 ,1 2 4 頁 注 し 30) も参照 され た い。

31 ちな み に, この 明治 32 年 新 商法 にお いて, 株 式 会 社 (の 取 締 役 ) に対 して, 損 益 計 算 書の作 成 が義 務 づ け られ た ( 1 9 0 条 4 号)。 そ こで あ り得 べ き損 益

算 にお け る資 本概 念 の あ り方 につ いて は, 森 田 哲捕 「財 産 法 の 損 益 計 算方 式 」 [ Fビジネス ◎レビュー 』第 9 巻 第 2 5 才 ( 昭 和3 6年 1 0 月) 参 照 L l

1 2 , , I ) I 47‑ ‑

参照

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