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線維筋痛症治療薬の脊髄作用機序

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Academic year: 2021

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線維筋痛症治療薬の脊髄作用機序

田口徹1)、歌大介2)、坪島功幸3)、西条寿夫3) 1)新潟医療福祉大学 理学療法学科

2)富山大学大学院 医学薬学研究部 応用薬理学 3)富山大学大学院 医学薬学研究部 システム情動科学

【背景・目的】線維筋痛症(FM)は広範囲に及ぶ強い痛み を主訴とする慢性疼痛疾患である。本邦では約 200 万人 が罹患していると推計され。患者の日常生活やQOLは著 しく制限されるため、リハビリテーション領域での重要 性が注目されている。現在、FMの病態機構は未解明であ るが、脊髄での下行性疼痛抑制に関わるセロトニンやノ ルアドレナリンなどの神経伝達物質の枯渇がその原因と して挙げられている。また、近年、セロトニンやノルアド レナリンの再取り込み阻害薬(SNRI)がFM患者の治療薬 として有効であるという知見が得られている。しかしな がら、その詳細な鎮痛機構は不明である。

そこで本研究では生体アミンの枯渇剤であるレセルピ ンを投与し、下行性疼痛抑制系を機能減弱させた FMモ デルラットを用い、SNRIであるデュロキセチン(DLX)が FM に対して疼痛緩和を生じる神経生理学的メカニズム を脊髄レベルで解明することを目的とした。

【方法】 先行研究に準じ、生体アミンの枯渇剤であるレ セルピン (1 mg/kg) をラットの背部皮下に投与し、FM モデルを作製した1)。FMモデル作製の成否はレセルピン 投与後の顕著な体重低下から確認した。痛覚過敏の発症 が明らかなレセルピン投与後 1日目にラットをウレタン で麻酔し、脳脊髄定位固定装置に固定した。椎弓切除術を 施した後、後肢の痛覚情報伝達を担うL4およびL5腰髄 の後角表層ニューロンから、その活動をインビボ細胞外 記録法により電気生理学的に記録・解析した。解析項目は、

①安静時の自発放電、および②受容野への定量的機械刺 激(60 g)に対する機械反応とした。SNRI として DLX (0~1.0 mM) を用い、これを脊髄表面に灌流投与し、①お よび②の変化を記録・解析した。

なお、本研究は富山大学動物実験委員会の承認を受け、

関連する利益相反はない。

【結果】 FMモデルラットでは脊髄後角表層ニューロン の自発放電頻度が顕著に上昇した。これに対し、DLXを 脊髄表面投与すると FM モデルで上昇した自発放電頻度 が投与濃度依存的に減少した(図A)。同様にFMモデル ラットでは脊髄後角表層ニューロンの機械刺激に対する 放電頻度が顕著に上昇した。これに対し、DLXを脊髄表 面投与すると、投与前に上昇した機械放電頻度が有意に 減少した(図B)。このDLXによる機械放電頻度の減少 は、投与濃度依存的であった(図C)。

【考察・結論】 DLXはノルアドレナリンやセロトニンな ど、モノアミンの再取り込みを阻害する薬理作用をもつ。

これにより、シナプス領域のモノアミン量が増加したこ とで、下行性疼痛抑制系の機能が回復し、FMモデルで増 大した自発放電頻度および機械反応が減弱したと考えら れる。

SNRIであるDLXは線維筋痛症で感受性が亢進した脊 髄後角表層ニューロンの活動を抑制することで鎮痛効果 を示す可能性がある。

【謝辞】本研究は、科研費基盤(B) (19H03987)、AMED- CREST (19gm0810010h0604)、新潟医療福祉大学研究奨 励金A、私立大学研究ブランディング事業「リハビリテー ション科学とスポーツ科学の融合による先端的研究拠点

(SHAIN)プロジェクト」(SHAIN19-07)の助成を受けて 行った。

【文献】

1) Nagakura Y:Biogenic amine depletion causes chro- nic muscular pain and tactile allodynia accompanied by depression: A putative animal model of fibromyal-gia.

Pain, 146:26-33, 2009.

理-02

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第20回 新潟医療福祉学会学術集会

参照

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