漢方製剤 の記載 を含 む診療 ガイドラ イン
日本東洋 医学 会EBM委員会 診療 ガイドラ イン・ タスクフォース
以下の記載は、表題の診療ガイドラインから漢方製剤に関する記述を抽出したものです。診療にお いて漢方製剤を使用される場合には、必ず、ガイドライン全体をお読みになり、その位置づけを正し く理解された上で行ってください。
A-20
線維筋痛症診療ガイドライン
2013
線維筋痛症診療ガイドライン2013作成委員会
(委員長: 松本美富士 独立行政法人桑名市総合医療センター内科・リウマチ科顧問) 日本医事新報社、2013年3月10日 第1版発行
Grading Scale of Strength of Evidence I: systematic review、メタ解析によるデータ
IIa: 1つ以上のランダム化試験によるデータ
IIb: 非ランダム化試験によるデータ
III: 分析疫学的研究によるデータ、例: Case-Control Studyなど
IV: 記述疫学的研究によるデータ、例: 何例中何例が有効であったなど
V: 患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見
Grading Scale of Strength of Recommendation A: 行うよう強く勧められる
B: 行うよう勧められる
C: 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない
D: 行わないよう勧められる
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A20-1
十全大補湯、アコニンサン
疾患:
線維筋痛症 引用など:
戸田克広. 線維筋痛症がわかる本 2010
CPG中のStrength of Evidence:
IV: 記述疫学的研究によるデータ、例: 何例中何例が有効であったなど
(本邦ではV: 患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見)
CPG中のStrength of Recommendation:
C: 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない 有効性に関する記載ないしその要約:
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『漢方薬: 適切な診断基準を用いた研究に限定すると、十全大補湯 (10人中2人で有効) と アコニンサン以外は症例報告があるのみである。食前あるいは食間に投薬すべきという説に はエビデンスがないため、食後に投与しても問題はない。』
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A20-2
アコニンサン
疾患:
線維筋痛症 引用など:
戸田克広. エビデンスに基づく薬物治療 (海外の事例を含む) . 日本線維筋痛症学会編. 線維筋痛症診療ガイドライン 2011: 93-105.
CPG中のStrength of Evidence:
IV: 記述疫学的研究によるデータ、例: 何例中何例が有効であったなど
CPG中のStrength of Recommendation:
C: 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない 有効性に関する記載ないしその要約:
エビデンスに基づく薬物治療 (海外の事例を含む) の項に、下記の記載がある。
『アコニンサン: 加圧加熱処理をして附子の毒性を減じた加工附子末である。対照群のない 日本の研究で、9錠/日を3カ月以上投与すると23人中11人 (47.8%) で患者の自己評価 が改善した。』
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A20-3
アコニンサン
疾患:
線維筋痛症 引用など:
戸田克広. アコニンサンは線維筋痛症にはあまり有効ではない. 日本線維筋痛症学会 第4 回学術集会プログラム・抄録集 2012: 90.
CPG中のStrength of Evidence:
IV: 記述疫学的研究によるデータ、例: 何例中何例が有効であったなど
CPG中のStrength of Recommendation:
C: 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない 有効性に関する記載ないしその要約:
エビデンスに基づく薬物治療 (海外の事例を含む) の項に、下記の記載がある。
『アコニンサン: 対照群のない日本の研究でFM 【線維筋痛症】患者11人に9錠を平均34.4 日投与すると1人で痛みが90~95%になり、1人で痛みが少し軽減したが副作用で中止とな
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り、9人で鎮痛効果がなくそのうち3人では副作用で投薬が中止となった。証を考慮する必要 がある。』
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A20-4
漢方薬
疾患:
線維筋痛症 引用など:
班目健夫, 田中朱美, 川嶋朗. 疼痛が消失した線維筋痛症の2症例. 治療 2007; 89:
2385-8. MOL, MOL-Lib
有効性に関する記載ないしその要約:
治療の中の非薬物療法: 統合医療の項に、下記の記載がある。
『その他の治療法: 小児の線維筋痛症では低体温と冷えの問題は重大であるが、成人でも 状況は同じである。単純な漢方治療では線維筋痛症には多少の疼痛軽減効果の症例報告 が散見されるが、冷えの改善に留意した漢方治療では疼痛が完全に消失した症例報告があ る。』
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A20-5
アコニンサン
疾患:
線維筋痛症 引用など:
三木健司, 後藤眞, 行岡正雄, ほか. 慢性疼痛疾患: 線維筋痛症とリウマチ性脊椎関節炎 の治療反応の相違. 日本脊椎関節炎学会誌 2010; 2: 79-87. MOL, MOL-Lib
CPG中のStrength of Evidence:
IV: 記述疫学的研究によるデータ、例: 何例中何例が有効であったなど
CPG中のStrength of Recommendation:
C: 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない 有効性に関する記載ないしその要約:
治療の中の非薬物療法: 統合医療の項に、下記の記載がある。
『その他の治療法: 生薬単独投与では附子剤であるアコニンサン (エビデンスⅣ 推奨度C) は一般的には、疼痛緩和効果とともに冷えの改善にも効果があり、線維筋痛症のVASで判 定した疼痛緩和に有効であった。』
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<以上A20-1~A20-5の記載として> 備考:
巻末の添付資料の非薬物療法 (統合医療の観点から) の中に、冷えの改善: アコニンサン 疼痛緩和効果、冷えの改善に有効との記載がある。