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発症後の時期により、脊髄障害性疼痛の病態が異なると考えられた

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Academic year: 2021

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10. 

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)

分担研究報告書

[11C]-PK11195 PET/MRIを用いた脊髄障害性疼痛評価の試み 研究分担者  中嶋 秀明

福井大学学術研究院医学系部門 講師

研究要旨  後縦靭帯骨化症などの難治性疾患や脊髄損傷後、脊髄腫瘍術後の脊髄 障害に起因して引き起こされる難治性疼痛に対するニューロイメージングによる 脊髄機能評価・疼痛の客観的評価の確立を目指して、[11C]-PK11195 を用いた

PET/MRI撮影を行った。発症後1年以内の症例では有用な可能性が示唆された

が、それ以降の慢性期症例では疼痛の程度に関わらず画像での uptakeはみられ なかった。発症後の時期により、脊髄障害性疼痛の病態が異なると考えられた。

A.研究目的

脊髄障害性疼痛症候群は、後縦靭帯骨化 症や脊髄空洞症などの難病・難治性疾患や 脊髄損傷後、脊髄腫瘍術後などの脊髄障害 に起因して引き起こされる難治性の疼痛症 候群と定義される。我々は、「厚生労働省脊 髄障害性疼痛症候群の実態の把握と病態の 解明に関する研究班」による研究事業の一 環として行った全国アンケートの結果によ ると、原疾患の内訳は、圧迫性脊髄症(頚 椎症性脊髄症や後縦靭帯骨化症)が 46.3%

と最も多く、脊髄損傷が 17.4%であった。

損傷髄節レベル(at level)の疼痛は62.5%

の症例でみられ、疼痛の種類としては、異 常感覚、自発痛が多く、上肢のピリピリと したしびれや、焼けつくようなしびれの訴 えが多かった。一方、損傷髄節より下位レ ベル(below level)は38.7%の症例でみら れ、疼痛の種類としては、筋肉の異常感覚 の訴えが一番多く、発作痛の頻度は低かっ た。

脊髄障害由来の疼痛(灰白質あるいは白 質障害)発現の病態については未だ不明な 点が多いが、脊髄後角グリア細胞の活性化

や生化学的な変化が注目されており、免疫 担当細胞であるミクログリアが活性型ミク ログリアとなることが神経障害性疼痛の一 因であることが明らかとなっている。この 活性化ミクログリアの可視化が可能とな れば、脊髄障害性疼痛や慢性疼痛の生体 イメージングの開発につながると考えら れる。活性化ミクログリアに発現する末 梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)の特 異的リガンドである PK11195 が注目さ れ、3H-(R)PK11195 によるオートラジオ グラフィ、続いて11C-(R)PK11195による PET検査が、一部の神経変性疾患の診断 に 期 待 さ れ て い る (Cagnin A et al, Lancet 2001 )。 脊 髄 障 害 後 の

11C-(R)PK11195−PET による活性化ミ クログリアの動態解析は脊髄障害性疼痛 の臨床病態、評価に大変有用となると考 えられる。

B.研究方法

圧迫性脊髄症(頚椎症性脊髄症や後縦靭 帯骨化症)、頚髄損傷患者のうち障害脊髄高 位以下の保存療法抵抗性の脊髄障害性疼痛

(2)

10. 

を有する患者を対象とした。疼痛評価とし て、JOACMEQ、SF-36、Neuropathic Pain System Inventory Score (NPSI)を用いた。

PET-MRIは、[11C]-PK11195を静脈注射後、

30分でPET/MRI撮影を頚髄および腰膨大

部 を 中 心 に お こ な っ た 。 集 積 部 位 の

SUVmaxを計測した。

本研究は、福井大学医学部倫理委員会の 承認のもと行われ、研究対象者には研究目 的の十分な説明を行い、書類での同意を得 た。

 

C.研究結果

PK11195 は正常中枢神経組織には取り

込まれないとされているが、健常者では取 り込みがないことを確認した。

図1. 健常者での[11C]-PK11195 PET/MRI

対象患者 5名に行ったPET/MRI 結果に いて表1に示す。いずいれも NPSI>10の 突痛の強い患者を対象としたが、PET/MRI

でのuptakeが確認されたのは、術後経過1

年以内の症例のみであった。

表1. [11C]-PK11195 PET/MRI結果

D.考察

PK11195 の高集積部分の大部分が活性

化ミクログリアであることは動物実験にて 確認している。[11C]-PK11195 が標識率や 血液脳関門の高い透過性をはじめとした PET用リガンドとしての性質を満たしてい ることが報告されている。

PET/MRIは容易に正確な fusion画像を より短時間の撮影で得ることができた。本 研究の結果から、発症後1年以内のat level pain, below level painの評価としては有用 な可能性があるが、慢性期患者ではuptake はみられず、これらの患者群における脊髄 障害性疼痛には、活性化ミクログリア以外 の病態が関与している可能性があると考え られた。

より亜急性期の症例や治療前後の評価で はより有用な結果が得られる可能性があり 今後の検討課題である。また活性化ミクロ グリアの動態を観察することで、治療成績 との関連性も評価したい。

E.結論

[11C]-PK11195を用いて脊髄障害性疼痛 のニューロイメージングを試みた。発症後1 年以内の症例には有用な可能性があるが、

疼痛が強い症例であっても、慢性期には[11 C]-PK11195の取り込みは確認されなかっ た。慢性期の脊髄障害性疼痛には、マイク ログリアの活性化以外の病態の関与が考え られる。

F.健康危険情報

総括研究報告書にまとめて記載 G.研究発表

1.論文発表

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10. 

1. 竹浦直人, 中嶋秀明, 髙橋  藍, 他. 圧 迫性頚髄症モデル(twyマウス)を用 いた脊髄障害性疼痛に関する基礎的研 究. 中部整災誌59(4), 675-676, 2016 2. 中嶋秀明. 脊髄障害性疼痛;特集「日 常診療と慢性疼痛の管理」. 成人病と 生活習慣病46(7), 835-838, 2016

2.学会発表

1. 中嶋秀明. 脊髄再生・疼痛. 第38回日 本疼痛学会(2016, 6)、札幌

2. 中嶋秀明, 渡邉修司, 本定和也, 他. 脊 骨髄間葉系幹細胞移植は疼痛関連シグ ナルおよび炎症細胞浸潤抑制を介して 脊髄損傷後疼痛抑制に寄与する. 第31 回日本整形外科学会基礎学術集会 (2016.10), 福岡

3. 杉田大輔, 中嶋秀明, 竹浦直人, 他. ヒ ト 頚 椎 OPLL 骨 化 巣 に お け る mechanical strainとIhh signalingの 発現に関する検討. 第31回日本整形外 科学会基礎学術集会(2016.10), 福岡 4. 竹浦直人, 中嶋秀明, 髙橋  藍, 他. 慢

性圧迫脊髄における MRI 輝度変化と 血液脊髄関門の透過性変化. 第31回日 本 整 形 外 科 学 会 基 礎 学 術 集 会 (2016.10), 福岡

5. 髙橋  藍, 中嶋秀明, 本定和也, 他. 脂 肪由来幹細胞と骨髄由来幹細胞のスト レス耐性比較および脊髄損傷に対する 治療効果. 第31回日本整形外科学会基 礎学術集会(2016.10), 福岡

6. 本 定和 也, 中嶋 秀明, 髙橋   藍, 他.

CCL21 欠損マウス脊髄損傷モデルに

おける疼痛関連評価および損傷部・腰 膨 大 部 の microglia/ macrophage

phenotype と炎症性サイトカインの評

価. 第31回日本整形外科学会基礎学術 集会(2016.10), 福岡

7. 北出  誠, 中嶋秀明, 渡邉修司, 他. ラ ット脊髄損傷における microglia の

11C]-PK11195によるPETイメージ ング. 第31回日本整形外科学会基礎学 術集会(2016.10), 福岡

H.知的財産権の出願・登録状況 特になし

参照

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