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慢性疼痛と治療のアルゴリズム

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臨床講座

慢性疼痛と治療のアルゴリズム

井 上   紳

Chronic Pain and the Algorithm for Medication

Shin Inoue

Division of General Internal Medicine, Department of Perioperative Medicine, Showa University School of Dentistry

 昭和大学歯学部全身管理歯科学講座総合内科学部門 (2012628日受理)

 臨床のポイント

 慢性疼痛の治療として漫然と非ステロイド系消炎鎮痛薬が長期間,投与されているケースが ある.しかし,それらには薬剤耐性や疼痛閾値の低下,胃腸障害や腎障害,動脈硬化など種々 の問題が指摘されている.痛みの慢性化の過程で下降性痛覚抑制系の機能不全が関与している 場合があり,その賦活化にはGABA系,オピオイド系,セロトニン系,ノルアドレナリン系など,

脳内代謝に関わる薬剤投与を検討することが必要である.また,慢性痛については神経障害性 疼痛の概念が提唱され新たな薬物が開発された.疼痛の分類に応じた薬物の選択とともに支持 的精神療法も必要である.治療目標としては疼痛の受容と自己管理が重要である.

(2)

 はじめに

 慢性疼痛は患者の生活の質(QOL)を低下させ行動 範囲を制限するのみならず,患者家族へも多大な影響を 与える.急性炎症に対しては種々の消炎鎮痛剤が使用さ れているが,慢性疼痛に対しては必ずしも有効でなく,

連用による副作用や耐性が懸念される.慢性疼痛をきた す疾患は多いが,頭頚部では各種の頭痛のほか舌痛症や 顎関節症,非定型歯痛など歯科領域に関係するものが多 い.近年の慢性疼痛治療について概説する.

 慢性疼痛の分類

 慢性疼痛は発生部位と原因により大別される1).原因 別の分類では,精神病性障害(統合失調など原因不明の 内因性精神病に伴う疼痛),疼痛性障害(ストレスなど 心理的な要因が発症・持続に関係する心因性精神疾患),

神経障害性疼痛(身体疾患に伴う外因性神経障害)の3 つに大別される(表1).次に,発生部位別では,頭頚 部では緊張型頭痛,片頭痛,群発頭痛,三叉神経痛,側 頭動脈炎が有名である2).顎部では三叉神経痛や顎関節 症,口腔では舌痛症や非定型歯痛などがある.全身に目 を向けると肩関節周囲炎や頚椎症,胸部では肋間神経痛 や肋軟骨痛,胸肋関節痛,腹部では一部の機能性胃腸症 もこの範疇に入ると思われる.腰部では椎間板ヘルニア,

脊柱管狭窄症,変形性脊椎症,骨粗鬆症にともなう圧迫 骨折など,下肢では膝関節症やむずむず足症候群などが ある.全身に痛みが生じるものとして帯状疱疹後痛,糖 尿病神経症,癌性疼痛,線維筋痛症がある(表2).

 次にこれらと鑑別すべき疾患もある.仮面うつ病など 気分障害がその代表で,不快な刺激に対する閾値が低下 した状態である.このほか,詐病 (虚偽性障害),症状を 大げさに語るヒステリー (転換性障害)や心気症,さま ざまな症状を訴え続ける身体化障害も鑑別対象になる.

 慢性疼痛の治療

 痛みに対して種々の薬物を投与するに先立ち,基礎 疾患の有無に関する十分な診察および検査が必要であ

る.さらに,痛みを評価する指標として痛みの程度を,

まったくない状態 (0)から想像される最強の痛み (10)

まで数値で表すvisual analogue scale (VAS)があり,治 療効果の判定に用いられる.このほか心理学的要因の 検査としてMMPI (Minnessota Multiphasic Personality

Inventory) が,心気的傾向や抑うつ状態,ヒステリー的

要素の把握に用いられている3).心療内科などでは簡易 質問表により心理面からの患者評価を行う施設が多い.

一方,内科や歯科などのプライマリケア医では上記のよ うな診療体制をとることは困難なため,薬物治療を行い ながら後で述べる支持的精神療法を加味して経過を見る ことが一般的であると思われる.

 薬物治療を始めるにあたり効果判定は治療を継続する うえで極めて重要であるが,慢性疼痛に対して消炎鎮痛 薬は効果がないとされているにもかかわらず,徐々に増 量されて薬物依存に陥っている場合が少なくない.慢性 疼痛と診断したら鎮痛薬は最少量に抑え,身体疾患と痛 みの性状,精神的あるいは心理学的背景を考慮しながら 治療薬の増減を行う.

 用いる薬剤は原因疾患別に異なる.精神病性障害では 背景に統合失調症など内因性精神病があるため主にメ ジャートランキライザーを使用する.この場合は周辺症 状として疼痛が生じたと考えられるため,根本となる精 神疾患の治療が優先される.このため,歯科領域で問題 になることは少ないと考えられる.我々が日常診療で遭 遇することが多いのは疼痛性障害と神経障害性疼痛であ る.

 原因不明の慢性疼痛は,DSM-IV-TRで「疼痛性障害

(pain disorder)」の慢性型に相当し,基質的所見を上回 る症状や,原因疾患は治癒しているのに痛みだけが継続 している場合がこれにあてはまる.痛みを説明する器質 的な異常が見当たらないにもかかわらず,患者は痛みが 生じるのは何らかの身体的危機に対する警告と考えるた め不安や恐怖を覚える.これが持続して慢性化すると抑

2 慢性疼痛の発生部位別分類

1. 頭頚部:緊張型頭痛,片頭痛,群発頭痛,三叉 神経痛,側頭動脈炎

2.顎部:三叉神経痛,顎関節症 3.口腔:舌痛症,非定型歯痛

4. 上肢躯幹肩関節周囲炎,頚椎症,肋間神経痛,

肋軟骨痛,胸肋関節痛

5. 腰腹部:機能性胃腸症,腰痛,椎間板ヘルニア,

脊柱管狭窄症,変形性脊椎症,骨粗鬆症にとも なう圧迫骨折

6.下肢:膝関節症,むずむず足症候群

7. 全身帯状疱疹後神経痛,糖尿病神経症,癌性疼痛,

線維筋痛症

1 慢性痛の原因別分類

1.精神病性障害

(統合失調などに伴う痛み=内因性障害)

2.疼痛性障害

(ストレスと素因が発症・持続に関係する痛み=

心因性障害)

3.神経障害性疼痛

(身体疾患に伴う痛み=外因性障害)

4.その他の慢性痛

仮面うつ病(気分障害),詐病(虚偽性障害),

ヒステリー(転換性障害),心気症,身体化障害

(3)

うつ感を生じる.また,痛みに対する反応は個人差が大 であり,痛みを感じたときの環境的および心理的な状況 や個人の性格などが影響する.一方で,痛みはコミュニ ケーション手段として使われることもあり,大げさに訴 えて周囲の関心を引くヒステリー性格の人もいれば,で きるだけ我慢して周囲に知られまいとする人もいる.こ のような状況は歯科領域で遭遇する機会は多いと考えら れるが,その対応には慢性疼痛に対する十分な知識が必 要となる.薬物療法では抗不安薬や抗うつ剤が使用され る例が多いが,後述の支持的精神療法も重要である.

 神経障害性疼痛の代表は帯状疱疹,三叉神経痛,糖尿 病性神経症などである.しかし,これらに対する薬の多 くが線維筋痛症など全身の慢性痛に使用されており共通 する部分が多い.一方で,痛みの長期化に伴って生じた

「抑うつ」は傷み閾値を低下させ,さらに痛みが増強・

持続するという悪循環を生じる.このために抗うつ薬が 慢性疼痛治療薬に使用される機会が多い.一方で,カル バマゼピンなどの抗てんかん薬や抗不安薬も用いられて きた.近年,Caチャンネルα2δリガンドと呼ばれるプレ ガバリンやガバベンチンが開発され,難治の慢性疼痛に 効果をあげている.以下,薬理学的分類にそって述べる.

I.慢性疼痛に用いられる薬剤

 慢性疼痛に用いられる薬剤は,非オピオイド系,オピ オイド系,鎮痛補助薬の3種に大別される.それぞれに ついて概説する(表3).

 1)非オピオイド鎮痛薬

  非 オ ピ オ イ ド 鎮 痛 薬 は 非 ス テ ロ イ ド 性 抗 炎 症 薬

(NSAIDs ; nonsteroidal anti-inflammatory drugs)がその 大半を占める.炎症を抑えるNSAIDsは手術後痛や外 傷に用いられるほか,頭痛や生理痛,腰痛等に頻用され る.しかし,炎症を伴わない痛みである三叉神経痛や糖 尿病性神経障害などには無効である.NSAIDsには胃炎 や胃潰瘍,腸管出血など胃腸障害の副作用がある.また,

長期連用により腎機能障害や動脈硬化の促進などが指摘 されている.さらに慢性疼痛に対する長期間連続投与に

より疼痛閾値の低下や薬物依存等が生じるため注意が必 要である.プロスタグランジン(PG)の合成を阻害す る薬物が多いが,近年,選択的シクロオキシゲナーゼ

(COX-2)阻害薬(セレコックス®が開発され,胃腸障害,

腎障害が少ないことが報告されている.しかし,これも 連用による動脈硬化の促進(心血管イベントの増加)が 報告されており,注意が必要である4)

 2)オピオイド鎮痛薬

 体内のオピオイド受容体に作用するものをオピオイド 鎮痛剤と呼ぶ.高度の痛みに適応があり,癌性疼痛に用 いるのが一般的である.弱オピオイドから強オピオイド までさまざまな種類があるが,コデイン,フェンタニル,

モルヒネ等が良く用いられる5).副作用として,吐き気,

便秘,めまい等がある.依存性については癌性疼痛に用 いる限り問題はない.近年,トラマドールなど上記副作 用の軽いオピオイド鎮痛薬が開発された.特徴はオピオ イド受容体に直接作用するほか,セロトニン・ノルアド レナリンの再取り込みを阻害することで,弱い抗うつ作 用を併せ持つ.これにより下行性疼痛抑制系を賦活し神 経因性疼痛への鎮痛効果が期待できる6)(図1).トラマ ンドールは日本ではアセトアミノフェンとの合剤(トラ ムセット®)として市販されている.

 3)鎮痛補助薬

 鎮痛補助薬は鎮痛薬の補助目的で投与される薬物であ る.抗うつ薬,抗けいれん薬,抗不安薬,抗不整脈薬,

局所麻酔薬などが挙げられる.鎮痛薬の効果を高め,副 作用を減少させる目的で慢性疼痛に対しては,特に海外 で積極的に使用されている.また,NSAIDsが効かない さまざまな神経痛にも使用される.しかし,日本では保 険適用がないか使用が一部の疾患に限定される薬物が多 いため,投与法の確立に至っていないものがある.

3 慢性疼痛治療薬の分類

 1)非オピオイド鎮痛薬  2)オピオイド鎮痛薬  3)鎮痛補助薬

i) 抗うつ薬

ii) カルシウムチャンネルα2δリガンド iii) 抗てんかん薬

iv) GABA関連薬 v) 抗不整脈薬

vi) ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物 vii) アルドース還元酵素阻害薬

1  感覚系と情動ストレス.慢性疼痛治療薬の作 用機序として下降性痛覚抑制系の賦活化があ り,それぞれが薬物療法の標的となる。近年,

GABA系作動薬,セロトニン系・ノルアドレ ナリン系作動薬が注目されている。文献6)よ り引用.

(4)

 i)抗うつ薬

 三環系抗うつ薬:イミプラミン50〜200 mg(トフラ ニール®),アミノトリプチン50〜150 mg(トリプタノー ®),ノルトリプチン50〜150 mg(ノイトレン®)等は 最も強力な鎮痛作用をもつ.その作用機序はノルアド レナリンやセロトニンの細胞内濃度を上昇させ,抑制系 神経活動を賦活化する点にある.副作用として抗コリン 作用があり,使用するにあたって十分な注意が必要であ る.そのため,これらの薬剤は熟練した精神科医が処方 するのが一般的であるが,これらの弱点を補いプライマ リケアにあたる内科医が使用しやすい薬剤として下記の SNRISSRIが開発された.

 SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻 害薬):一般臨床医に使用しやすい抗うつ薬としてSSRI

(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRIが導入 された.特にSNRIである塩酸ミルナシプラン50〜100

mg(トレドミン®)やデュロキセチン20〜60 mg(サイ

ンバルタ®)は,その疼痛軽減作用が注目されている.

抗うつ薬の疼痛軽減作用は抗抑うつ作用のみでなく,モ ノアミンへの作用を介する下降性抑制系の賦活化や,オ ピオイド受容体への結合など,複数の機序が関与すると 考えられている.抗コリン作用等の副作用は少ないほか,

耐性が生じにくいため離脱がスムーズであり,臨床で使 用される機会が増加している.

 ii) N型カルシウムチャンネル拮抗薬(Caチャンネル α2δリガンド)

 プレガバリン:近年開発されたプレガバリン(リリカ®は,中枢神経系において電位依存性Caチャンネルの機 能に対して補助的な役割をなすα2δサブユニットと結 合することによりカルシウム進入を抑制,それによりグ ルタミン酸等の神経伝達物質遊離を抑制することが示唆 されている.1150 mg2で開始し300 mgまで増 量する.副作用として,めまい,浮動感,傾眠,浮腫な どがあるがいずれも軽度である.同様の作用機序を持つ 薬剤として抗てんかん薬として承認されたガバベンチン

(ガバベン®)があるが,こちらはGABA阻害による抗 不安作用も持っている.

 ⅲ)抗てんかん薬

 カルバマゼピン(テグレトール®)は三叉神経治療薬 として有名である.神経細胞のNaチャネルを遮断し,

膜活動電位の立ち上がりを阻害する.最近では気分障害 のひとつである双極性障害(躁うつ病)の薬としても用 いられるようになった7).アルツハイマー病の周辺精神 症状,特に焦燥性興奮にも有効とされている.通常,1

200〜400 mgから開始し,三叉神経痛には600 mg

で増量し分割投与する.てんかんや躁うつ病では1,200

mgまで増量する.副作用としては,眠気,運動失調,

倦怠感や脱力感がある.同様の機序と効能をもつ薬物と してラモトリキン(ラミクタール®)がある.

 iv)GABA関連薬

 GABA( γアミノ酪酸)は,大脳皮質や小脳,海馬,

脳幹部にある抑制系神経伝達物質で,その作用を増強 することで鎮静,抗痙攣,抗不安作用が表れる.GABA 受 容 体 の サ ブ ク ラ ス に はGABAA GABABが あ り,

GABAAが筋弛緩に,GABABが鎮痛に関与する.GABAA

受容体作動薬としてチオペンタール(ラボナール®)な どバルビツレート,プロポフォール,ベンゾジアゼピン 誘導体がある.GABAB受容体作用薬にはバクロフェン があり痙性麻痺に適応がある.

 GABAA受容体作動薬のうち,ベンゾジアゼピン誘導 体は不定愁訴や入眠障害に対して一般内科外来で特に頻 用されている.そのベンゼン環をチオフェン環に置き換 えたものがチエノジアゼピン誘導体で,エチゾラム(デ パス®)が有名である.ベンゾジアゼピン誘導体では,

緊張性頭痛や顎関節症など筋肉のこわばりに不随する症 状に対してアルプラゾラム(ソラナックス®),ロフラゼ プ酸エチル(メイラックス®)等が用いられる.いずれ も入眠導入作用があるが,ロフラゼプ酸エチルは血中半

減期が60〜300時間と超長時間作用型であるため効果は

24時間持続する.クロナゼパム(リボトリール®)の保 険適応はミオクロニー発作など各種てんかん症状である が,むずむず足症候群にも効果が認められている.

 v)抗不整脈薬

 メキシレチン塩酸塩:メキシレチン(メキシチール®

Class 1bNaチャンネル阻害作用をもつ抗不整脈薬

であるが,同様の機序をもつプロカインアミドやリドカ インなどと同様に鎮痛作用が認められている8).保険適 応は糖尿病性神経障害に伴う疼痛やしびれ症状である が,帯状疱疹後神経痛など神経障害性疼痛や癌性疼痛の 第二選択薬ともなっている.しかし,胃腸障害や催不整 脈作用があるため注意が必要である.

 vi)ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物(ノ イロトロピン®):腰痛および肩関節周囲炎など各種身体 痛に適応があるが,帯状疱疹後神経痛については発症後 6か月以上経過したものが適応となる.その作用機序は 不明な点が多いが,下降性抑制系の賦活化が推察されて いる.

 ⅶ)エバルレスタッド(キネダック®):アルドース還 元酵素阻害薬は神経内のソルビトールの蓄積を抑制する ことで糖尿病性神経障害における手足のしびれや痛み,

こむら返りなどの症状を和らげる.しかし,神経障害が 不可逆的になった際の効果は確立されておらず,投与後

(5)

3か月を経過して効果が認められない場合は他の薬物に 変更する.

II.心理学的治療  支持的精神療法

 慢性疼痛が続く背景として自己の健康や心身の不調に 対する過度の囚われがあり,症状を治療者に訴え続ける 心気症状がある.こうした患者は,痛みを改善してくれ るのではないかという依存願望と,治療によって症状が 改善しないという恨みの,両価的な感情を治療者に向け やすい1).これは治療者を不快にし,検査と投薬,説得 を繰り返すという悪循環を生じやすい.これに対して,

支持的精神療法では患者の痛みを事実として受けとめ,

受容共感の態度を積極的に示すことが重要である.その ためにはまず問診をしっかり行い,続いて念入りな理学 的身体診察を行う.これのみで症状が軽減することもあ

る(表4).問診に際して痛みの発症経過を,i)準備段

階(パーソナリティおよび生活行動様式,ストレス対処 行動),ii)誘発要因(疼痛を起こした経緯と環境におけ るストレス要因の有無,当時の心情),ⅲ) 持続要因(発 症後の医療体制,周囲のサポート,疾病利得の有無)に 分けて聞き取り,患者とともに考える.この経過によ り,患者は苦しみを理解してもらえた満足感を得るとと もに,本人なりの症状の受容が生じてQOLが改善する と考えられている.一方で,医療者側は痛みを根治しよ うという従来の医療モデルでの関わりから脱却し,症状 が続くことを前提として患者自身による痛みの自己管理 と生活機能の改善を最終目標とすることが重要である.

まとめ

 慢性の痛みは多くの高齢者が抱えており医療機関に対 する最大の受診動機であるがプライマリケアでの診療体 制は十分とはいえない.このため,患者は医療不信を募 らせがちでドクターショッピングを繰り返えすことにな りやすい.また,核家族化やITストレスなど社会環境 の変化も痛みの慢性化に影響する.患者自身が原因不明 の痛みを受容し,それを管理しながら日常生活を営むた めの医療環境を提供することが口腔領域のプライマリケ アにおいても必要であると考えられる.

文   献

1)大場真理子,益子博文,丹羽真一:精神障害の臨床―

慢性疼痛.日本医師会雑誌,131:S150 S151, 2004 2)日本ペインクリニック学会神経障害性疼痛薬物治療

ガイドライン作成ワーキンググループ編:神経障害 性疼痛薬物療法ガイドライン.東京,2011,真興交 易医書出版部,p 13

3)新井達潤:症例から学ぶ頭痛・顔面痛―ペインクリ ニック診療医のために.東京,1990,真興交易医書 出版部,pp 2 27

4) Solomon SD, Wittes J, Finn PV, Fowler R, Viner J, Bertagnolli MM, Arber N, Levin B, Meinert CL, Martin B, Pater JL, Goss PE, Lance P, Obara S, Chew EY, Kim J, Arndt G, Hawk E, Cross Trial Safety Assessment Group:

Cardiovascular risk of celecoxib in 6 randomized placebo-controlled trials: the cross trial safety analysis.

Circulation, 117: 2104 2113, 2008

5)並木昭義,表 圭一編:オピオイド.東京,2007,

克誠堂出版,pp 129 138

6)西条寿夫,堀 悦郎,小野 武:ストレス反応の身 体表出における大脳辺縁系―視床下部の役割.日本 薬理学雑誌,126:184 188,2005

7) Reinares M, Rosa AR, Franco C, Goikolea JM, Fountoulakis K, Siamouli M, Gonda X, Frangou S, Vieta E: A systematic review on the role of anticonvulsants in the treatment of acute bipolar depression. Int J Neuropsychopharmacol, 10: 1 12, 2012

8) Stracke H, Meyer UE, Schumacher HE, Federlin K:

Mexiletine in the treatment of diabetic neuropathy.

Diabetes Care, 15: 1550 1555, 1992

4 支持的精神療法のプロセス

1)痛みの経過の問診

 i) 準備段階:既往歴,生活歴,家族歴,パーソ ナリティおよび行動様式,ストレス対処行動

ii) 誘発要因:疼痛を起こした経緯と当時の環境

および心情

iii) 持続要因発症後の医療体制,周囲のサポート,

疾病利得の有無 2)身体診察

3)必要最小限の検査

参照

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