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診療データベースからみた難治性重症筋無力症の疾病負荷

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Academic year: 2021

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1) 国際医療福祉大学 2) アレクシオン・ファーマ合同会社 3) クレコンメディカルアセスメント株式会社 4) 総合花巻病院

- 72 -

診療データベースからみた難治性重症筋無力症の疾病負荷

班      員    ○村井弘之1)

研究協力者    長谷部美紀2) 、村田達教3) 、槍沢公明4)

研究要旨 

  診療データベースを用いて難治性重症筋無力症(MG)の疾病負荷を検討した。難治 MGを定義し、該当する165名を抽出、非難治性MG 3137名、および対照疾患(パ ーキンソン病)3168 名と比較した。入院回数、入院日数は難治性 MG で有意に高く、

これらの患者が医療資源を多く使用していることが明らかとなった。また、RDI>1.1(す なわちステロイド量が増加した)の割合は難治性MGで高かった。難治性MG は、社 会的にも活躍が期待できる年齢にも関わらず、多くの疾病負荷を抱えており、ステロイ ドの量も多いことが明らかとなった。

研究目的 

  重症筋無力症(MG)では、良好な患者 QOLを早期に達成することを目指し、治 療戦略が見直されている。本研究では、

難治性MG と非難治性MG、および神経 疾患の代表としてパーキンソン病患者を 比較し、難治性MG における疾病負荷を 評価することを目的とした。

研究方法  

  日本の大規模レセプトデータベース

(メディカル・データ・ビジョン株式会 社のMDV database)を用いた。初診日 を起点とし 12 か月以上のデータを有す 18歳以上の患者データを2008年から 2016 年 の 期 間 で 後 向 き に 評 価 し た 。 ICD-10 診断コード[G70.0]を付した患 10297名のうち、想定される保険病名 患者や、同コードの申請が 1 回のみの患 者を除外後、解析した。

  難治性の定義は、

1)3剤以上の免疫抑制薬[IST:アザチオ

プリン、シクロスポリン、タクロリムス、

ミコフェノール酸、メトトレキサート又 は経口ステロイド]

2)1 剤以上の IST および[シクロホス ファミド又はリツキシマブ]

3)1 剤以上の IST および[持続的な血 液浄化又は免疫グロブリン療法]

のいずれかに分類されたものとした。上 記に合致しないMGを非難治性とした。

  ICD-10 診断コード[G20]を付したパ ーキンソン病患者を抽出し、MG と年齢/

性別をマッチさせコントロールとした。

  各群での入院回数、入院日数、救急外来 受診回数等を検討した。

また、MGにおいて、ステロイドの相対 用量強度(relative dose intensity/RDI)

を計算した。RDIは、[起点から1年間の 実際の投与積算量]を[起点直後の 1 日ス テロイド量×365 日]で除したものとした。

(倫理面への配慮)

(2)

- 73 -   今回の研究では患者の個人情報を扱う ようなことはなかったため、該当なし。

研究結果 

  165名の難治性MG、3137名の非難治 MG が同定された。また対照としてパ ーキンソン病3168人が抽出された。平均 年齢は、難治性MG56.9歳、非難治性 MG62.1歳と難治性MGは有意に若か った。

起点から 12 ヵ月間での入院回数/在院 日数は、難治性MG0.68回/22.19日、

非難治性MG0.09回/2.81日と難治性 MG で医療資源を利用している患者が有 意に多かった。パーキンソン病との比較 では、医療資源利用が難治性MG では有 意に多く、非難治性MG でも多い傾向で あった。

  また、RDI>1.1(すなわちステロイド 量が増加した)の割合は難治性 MG 30.5%、非難治性MG 10.1%と難治性 MG で多かった。逆に、RDI<0.8(すな わちステロイド量が減少した)の割合は 難治性 MG 39.1%、非難治性 MG 56.9%と非難治性MGで多かった。

考  察 

  今回の研究により、診療データベース を用いてMGの臨床や医療資源の利用状 況を検討することが可能であることが示 された。これは治療におけるアンメット ニーズの抽出や、新規治療法の開発にお いて重要であるとともに、医療経済的側 面からの考察が可能である、という面か らもきわめて大きな意義をもつものであ ると考えられる。

  一方で、この方法にはさまざまな制約 もある。第一に、これはあくまでもレセ プトデータベースの情報であるため、実 際の臨床とは異なる可能性があるという ことがあげられる。第二に、この研究対 象はすべてDPC病院であることから、よ り重症度の高い患者が集まっている可能 性があり、全国の平均的な臨床像を反映 していない可能性もある。第三に、患者 が転院した場合にはフォローができなく なる、という欠点もある。本研究を評価 するにはそれらの制約を考慮する必要が ある。

結  論 

  難治性 MGは、社会的にも活躍が期待 できる年齢にも関わらず、多くの疾病負 荷を抱えており、ステロイドの量も多い ことが明らかとなった。また、診療デー タベースを用いた研究で診療の実態がよ く描出されることも示された。

 

健康危険情報    なし   

知的財産権の出願・登録状況    特許取得:なし 

  実用新案登録:なし 

参照

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