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日本における眼筋型重症筋無力症の臨床像の検討 班

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Academic year: 2021

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日本における眼筋型重症筋無力症の臨床像の検討

班 員 松尾秀徳

1

共同研究者 成田智子

1

、南尚哉

2

、新野正明

2

、伊﨑祥子

3

、野村恭一

3

、 川口直樹

4

、村井弘之

5

、吉良潤一

5

、清水 潤

6

、岩佐和夫

7

、 吉川弘明

7

、畑中裕己

8

、園生雅弘

8

、清水優子

9

、野村芳子

10

研究要旨

日本における眼筋型筋無力症(OMG)臨床像を把握する目的で、2015年1月1日から 2015年12月31日までの期間に本研究班の10施設において診療したOMGについて検討 した。重症筋無力症(MG)患者総数1074例のうち、200例(18.6%)がOMGであった。こ のうちの101例について詳細な臨床像を調査した。性別は、男性52例、女性47例で、眼 筋型にも関わらず、15例でADLに支障をきたし、30例にQOL低下が認められた。77例

(76.2%)で抗AChR 抗体陽性であったが、陰性例では、その他のMG 関連自己抗体はほと

んどが未検であった。発症年齢別にみると、OMGは10歳代未満と60歳代に発症のピーク があった。10歳未満と50歳代以上では抗AChR抗体価が比較的高値であり、10〜40歳代 では抗体価が極端に高値もしくは極端に低値に2極化していた。甲状腺疾患の合併が10例 と最も多く、これらでは抗 AChR抗体価は陰性もしくは低値であった。MGの発症年齢、

臨床病型により、病因・病態が異なる可能性が推測された。

研究目的

重症筋無力症(myasthenia gravis: MG)で発症 後2年以上にわたり外眼筋症状のみを呈するもの を眼筋型MG(Ocular MG: OMG)と定義している。

近年、高齢発症のMGが増加してきており、これ らはOMGの頻度が高いとの報告がある。また、

OMGの経過をたどる抗MuSK抗体陽性MGの報 告や、抗AChR抗体のcell based assayによる測 定方法の開発など、MGに関連する自己抗体の種 類も増加してきている。今回、OMGの病態に迫 1)長崎川棚医療センター、2)北海道医療センター、

3)埼玉医科大学総合医療センター、4)神経内科 千葉、5)九州大学、6)東京大学神経内科、7)金 沢大学、8)帝京大学、9)東京女子医科大学、10) 野村芳子小児神経学クリニック

る一つの方策としてその臨床像・治療状況とMG 関連自己抗体の検索状況について検討した。

研究方法

一次調査:2015年1月1 日から 2015年12 月31 日の期間に診療した MG 患者総数および OMG 患者数について、厚生労働科学研究費補 助金 難治性疾患政策研究事業『エビデンスに 基づく神経免疫疾患の早期診断基準・重症度分 類・治療アルゴリズムの確立』研究班のMGグ ループ施設を対象に調査を行った。

二次調査:上記の施設にOMG の調査票を用い て臨床情報(年齢、生年月、性別、発症時年齢、

初診時年齢、初発症状、現在の症状、ADL/QOL への影響、経過、治療歴、合併症)のアンケー ト調査を行った。

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(倫理面への配慮)

本研究は、ヘルシンキ宣言および臨床研究に関 する倫理指針に則り、各実施医療機関の倫理委員 会の承認を得て実施した。被験者の個人情報につ いては連結可能匿名化し、漏洩することのないよ う厳重に管理を行った。

研究結果

一次調査では、MG患者総数1074例のうち、

200例(18.6%)が眼筋型であった。二次調査では、

OMG114 例のうち、13 例は胸腺腫合併のため 除外し、合計101例について検討した。性別は、

男性 52 例、女性 47 例。眼筋型にも関わらず、

15 例で ADL に支障をきたしており、30 例に QOL 低下が認められた。77 例(76.2%)で抗 AChR抗体陽性であったが、陰性者については、

その他のMG自己抗体はほとんどが未検であっ た。発症年齢別にみると、10 歳代未満と、60 歳代に発症のピークがあり、30歳代は少ない結 果であった。年齢別抗体価では、10歳未満と50 歳代以上のいわゆる Late onset MG では抗 AChR抗体価が比較的高値であり、10〜40歳代 のEarly onset MGでは抗体価が極端に高値も しくは極端に低値に2 極化していた。自己免疫 疾患合併例の中では、甲状腺疾患の合併が 10 例と最も多く、これらに関しては、抗AChR抗 体価は陰性もしくは低値であった。

考 察

これまでの報告では MG 全体(OMG+GMG) の発症年齢は、小児期を除くと50歳代にピーク があり、1 峰性のなだらかな分布を示した。今 回OMG について検討したところ、OMGは10 歳代未満と 60 歳代に発症のピークを示した。ま た、抗体価についても、年齢によって異なる分 布を呈することが明らかになった。

MG 関連自己抗体の種類が増加しているが、

OMGの自己抗体に関しては抗AChR抗体以外

については、これまであまり検討されていない ことが明らかとなり、今後検討する必要がある と考えた。

結 論

日本におけるOMGの臨床像が明らかとなり、

抗AChR抗体陽性率は76.2%で、陰性者について は、その他のMG自己抗体はほとんどが未検であ った。

文 献

1. GrobD.et al. Lifetime course of myasthenia gravis. Muscle Nerve. 2008;37:141-9.

2. Vincent A.et al. Myasthenia gravis.

Lancet.2001 ; 357(9274):2122-8.

3. Jacob S. et al. Presence and pathogenic relevance of antibodies to clustered acetylcholine receptor in ocular and

generalized myasthenia gravis. Arch Neurol.

2012 ;69:994-1001.

4. Kamada M,et al. Ocular myasthenia gravis with anti-muscle-specific tyrosine kinase antibodies: two new cases and a systemic literature review. Clin Exp Neuroimmunol 2016;7:168-173

健康危険情報 なし

知的財産権の出願・登録状況 特許取得:なし

実用新案登録:なし

参照

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