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新規な光機能性金属錯体色素の開発

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Academic year: 2021

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(1)

平成20年度埼玉大学総合研究機構研究プロジェクト

(

研究経費

)

研究成果報告書

プロジェクト名:

新規な光機能性金属錯体色素の開発

プロジェクト代表者:藤原 隆司(総合研究機構 科学分析支援センター・准教授)

1 目的

次世代の太陽電池として注目されている色素増感太陽電池の 色素として「光機能性金属錯体」が使われている。実用化にあ た っ て 必 要 と さ れ る 光 機 能 性 金 属 錯 体 は , 現 段 階 で は

cis-[Ru(NCS)

2

(dcbpy)

2

]

2-(図1,

N3

色素と略)

(H

2

dcbpy = 4,4’-

ビピリジンジカルボン酸

)

が有力視されている。申請者らはごく 最近この化合物の量産化に関する特許を取得した

(

特許

4084394)

。 一般に

[Ru

II

(H

2

dcbpy)

2

L]

n+錯体は色素増感型太陽電池の色素とし て幅広く用いられている.新規化合物の開発、物質特許,製法特 許などによって化合物・製法などの知財関係の権利をおさえるこ とが可能なことや機能性の高い色素については,大規模合成が可 能な企業に発信することでライセンス料など,大学への収益も期

待される。そこで、色素のさらなる機能向上を目指して、色素を構成する部分に、我々がこれまで 合成研究を行ってきた、分子内塩型ビス

(

ジエチルアミノ

)

カルベニウムジチオカルボキシラート

(

以 下

EtL)

を配位子とした組み込んだ新たなルテニウム

(II)

錯体色素の合成を行った。また,電子的性 質を明らかにするために量子化学計算を用いて分子軌道のエネルギー準位や電子状態についての 検討を行った。さらに

EtL

と金属イオンの間の配位結合性についての知見を得るために,

EtL

を種々 の金属イオンからなる錯体を合成し,その構造や電子的性質などを調べた。

図1.

N3

色素の構造

2 結果と考察

得られた錯体の1

H NMR

,元素分析,

質量分析を行った。錯体

1

については

[Ru(H

2

dcbpy)

2

(EtL)]ClO

4、錯体

2

につい てはアンモニウム部分の4つのエチル 基のうち半数が水素に置換した構造で あ る と 推 定 さ れ た ( 仮 に

[Ru(H

2

dcbpy)

2

(EtL-2Et)]ClO

4と表記)。

いずれも現在単結晶が得られていない ため、構造解析には至っていないが、

各種機器分析から、基本骨格構造は上

N3

色素と同じであると推定される。

1, 2

UV-vis

スペクトル(図3)は

450-600 nm

の範囲に幅広 い吸収がみられた。擬似太陽光を用いて電流密度

-

電圧曲線を求め、エネルギー変換効率を算出する と,

N3

色素(

[Ru(H

2

dcbpy)

2

(NCS)

2

]

)の変換効率と比べると,どちらもやや低い値を示した。今回の 錯体機器分析結果や量子化学計算から

HOMO

LUMO

のエネルギー準位を見積もり,

N3

色素と比 較すると,

TiO

2 の伝導帯と錯体の

LUMO

との準位の差は

N3

色素

< 2 < 1

であり,

I

-

/I

3

-の準位と錯体 の

HOMO

との差は

2 > N3

色素

> 1

であった。この系の場合,

TiO

2への電子移動の容易さでは

2

が有 利だが,

1

2

と比べて紫外可視のモル吸光係数が全領域で大きく,光吸収効率が大きいため,

1

S Ru

S NEt2

NEt2

N N

COOH

HOOC

N N

HOOC

COOH

- +

2+

S Ru

S NHEt

NHEt N

N COOH

HOOC

N N

HOOC

COOH

- +

2+

2

図2.

1, 2

の推定構造

(2)

平成20年度埼玉大学総合研究機構研究プロジェクト

(

研究経費

)

研究成果報告書

変換効率が大きくなったものと考えた。

これらのことから本研究で得られた色素 は、色素増感太陽電池の色素としては充分機 能するといえる。さらなる機能向上のために

EtL

配位子部分の異なる錯体を合成し、量子 化学計算などを加えて考察を行うことが今 後の課題である。また,機能的に優れた色素 が得られても,大量合成法(少なくとも~

10g

スケール程度)を開発しない限り工業的に活 用するのはコストなどの観点から困難であ る。従ってスケールアップについても検討す

る必要がある。さらにルテニウムのみならず,同族のオスミウムや白金族の白金なども色素としての 機能が期待されることから,他の配位子と

EtL

とを含む錯体を合成してその構造や電子状態について さらに検討し,より高機能の色素を開発していく必要があり,現在合成などの検討を行っているとこ ろである。

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

200 300 400 500 600 700

λ/nm

Abs

図3.1,

2

UV-vis

スペクトル

in EtOH

また,本プロジェクト研究に関連して,金属錯体色素の純度・含有不純物の解明や関連物質の結晶 構造を解明する研究(委託研究など)について,関連する企業とともに検討中である。

関連する発表等リスト 誌上発表

M. Kato, T. Takayanagi, T. Fujihara and A. Nagasawa Linkage isomerism of pentaammine (dimethylsulfoxide)ruthenium(II/III) complexes: a theoretical study, Inorganica Chimica Acta Vol 362, 1199–1203 (2009).

M. Kato, T. Fujihara and A. Nagasawa Anion Influence on Coordination Polymer Structures of Silver(I) Complexes with 2-Methylisothiazol-3(2H)-one CrystEngComm. Vol 362, 1199–1203 (2009)

学会発表

The 38th International Conference on Coodination Chemistry

Jerusalem(Israel) Transition Metal Complexes with 2-Methylisothiazol-3(2H)-one

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89

春季年会

芳香族性を有する新規な分子内塩型ジチオカルボキシラートとその金(I)錯体の合成,構造,および性質 齋藤 昇・菅谷知明・藤原隆司・永澤 明(2PA-012)

58

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分子内塩型ジチオカルボキシラートを配位子とする

6

族金属錯体の合成と性質

菅谷知明・大庭 剛・齋 史哉・眞嶋 茂・鵜浦 啓・藤原隆司・永澤 明(1PA-

025)

2-メチルイソチアゾール 3(2H)-オンを両座配位子としたルテニウム錯体の溶液内での酸化還元誘起

結合異性化

加藤 優・藤原隆司・永澤 明

(2Fb-04)

参照

関連したドキュメント

まとめ

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