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アゾ色素化トリアジノファン類の合成開発と金属イオン捕捉能の検討及び金属錯体のNMR測定技術の開発 利用統計を見る

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全文

(1)

アゾ色素化トリアジノファン類の合成開発と金属イ

オン捕捉能の検討及び金属錯体のNMR測定技術の開

著者

下村 与治

雑誌名

技術報告集

1 (1995年度)

ページ

15-20

発行年

1996-05-10

URL

http://hdl.handle.net/10098/7666

(2)

アゾ色素化トリアジノファン類の合成開発と金属イオン捕捉能の検討

及び金属錯体の NMR 測定技術の開発

第 2 技術室化学計測技術班 下村与治 新規な機能性色素としてのアゾ色素化トリアジノファン類の合成開発と、それらの応用技 術の開発を検討した。また、得られた金属錯体の NMR による測定法を検討し、他の分析か ら得られた情報と合わせて解析した。 【緒言] 近年、科学技術の進歩に伴いその特性を生かした新規な機能性色素が各方面で要望されて いる。一方、大環状化合物に色素を導入した色素化大環状化合物 1) は環内に含まれている窒 素、酸素、硫黄の配位原子が金属イオン、分子等のゲスト化合物を捕捉して錯体を形成し、そ の背後にある π 電子共役系と静電的相互作用をすることによって、それらが持つ諸機能を色 の変化として捉えることができるよう分子設計されたものである。今回の研修ではこれらの ホスト化合物に着目し、古くから染料、農薬、医薬、高分子材料など広範囲に利用されてい るトリアジン誘導体 2 )を構成核とした空孔径 3~4A のアゾ色素化トリアジノファン類の合 成、精製、応用および分析・解析の技術開発を行った。 【研修内容】

1

.合成技術の開発 原料 3 )および目的化合物[ N] の合成経路を Fig.

1

、 Fig.2 に示す。

NムN

α人件CI

[R ー IJ HN{C4H.), Acetone-H20

H2叶-<Q)-

N0

2

丈NH-<Q)--附2

I~'Nムα

[R-VJ N r 2

CI人外

[R-IIJ Fig.1 原料合成経路

-jfム)2f4同)2

CI息子N勾LCl

〆へ、、\ H2N NH, Xylene

-j!?H9)2FHぬ

fRmp目勾LPN

(3)

λ

人~

品店時五

1

。ょ Na!ぜ02-HC1 Cyclization Oxidation [R-V] [ 1 ] [11 ] Na2S NaH-CH31 Reduction

T

Alkylation [ 111] [IV] Fig. 2 環状化合物合成経路 反応は多段階に渡るため最終目的物 [N] を得るには、各単位反応は高収率であること が重要となってくる。一連の反応中、最重要ポイントとなる環化反応は、鎖状化合物の生 成を抑え環状化合物を得るため、高希釈状態での反応が必要不可欠の条件となる。また、 還元反応、アルキル化反応では副反応の抑制が必要となってくる。以上の理由から、各単 位反応ごとに反応条件等を詳細に検討して合成した。結果を Table 1 に示す。 この結果、環化反応における極端な収率低下の原因は 1 )高希釈反応の条件設定および 技術的操作ミス、 2 )原料であるメラミン体 [R-N] のアミノ基と空気中に存在する水分 および炭酸ガスとの反応で生成するカルパミン酸塩による反応の阻害、 3 )原料のジクロ ロ体 [R-V] とメラミン体 [R -N] の構造上からくる反応点遭遇確率の減少、などが考 えられる。一方、還元反応においてはアゾ基の還元が優先される副反応が同時に進行し、 収率低下の原因となった。これはニトロ基の窒素とトリアジン側に位置するアゾ基の窒素 の電子密度の微妙な差に起因するためで、トリアジン環に置換している置換基によって変 わってくる。しかし、反応条件等による反応場の環境によっても収率に影響があるものと 考えられる。 Molar Dropping Reaction MS ratlO Temp.(t)Ti皿e(hr) Temp.(t) Ti皿e(hr) Yield(:II) 皿p(t) M+(皿/z) [R-I] (C

.H

,) ,

NH bp('C/凶jg) [R-I] 1 。 0.5 0~4 3.5 77 112/0.17 [R-I] H

,

N(CH

,

)

3NH

,

[R-I] 2 40-50 2 40~50 5 82 13l~132 [R-I] H

,

N (CH

,

)

3NH

,

[R-f] l 50 reflux 3 reflux 6.5 89 [R-I] O,NC,H.N}制H, [R-Y] O~5 2 94 208~209(d) [R-f] [R-Y] [1] l reflux 11 ref I ux 13 7 132~140 [1] NaNO

,

[1] 2 rt 1.5 96 115~ 1l8 [1] Na

,

S [1] 2.3 60 reflux 38 115~ 1l 8 828 [1] NaH CH31 [r] l 4 4 40 4 64 120~123 856 Table 1 各単位反応における反応条件および結果

(4)

-16-2

.精製技術の開発 各単位反応ごとに合成した大環状化合物

[

1

]、[皿]、[ N] は類似性質の不純物を多 数含有しているため、再結晶による精製では純粋なものを得ることが出来ない。今回、精製 法の一つであるカラムクロマトグラフイーでの精製を試みた。 先ず、カラムクロマトの条件決定のため薄層クロマトグラフィーをおこない各種溶媒にお ける分離能の検討を行った。結果を Tab1e 2 に示す。 この結果、展開溶媒として化合物[

1

]、 [ill] は酢酸エチル、 [N] はクロロホルムー メタノールの 1

9 :

1 混合溶媒、充填剤としてシリカゲル(ワコーゲル C-2

0

0) 、カ ラムは 3cm 併 X60cm のガラスカラムを使用し、カラムクロマトグラフイーによる分離 精製をおこなった。 S 0 1 v e n t R f [ 1 1 CH3COOC

,

Hs O. 8 6 O. 7 5 立ムムよ

o

.

0 2 O. 0 0 [m 1 CH3COOC

,

Hs ♀...Q.._ß_ 0.3 3

o

.

2 8 O. 0 8 O. 0 0 [ N] C H C 13 一 CH 30 H ~ O. 5 9 O. 2 5 O. 0 7 O. 0 0 19

Plate Silica gel 70F.M. Plate(Wako) (5c田 x 20c皿); Activating te皿p., t i 皿e ・ 120-130 "C , 1-3hr

Table 2 化合物 [1]. [m] , [N] の薄層クロマトグラフィ

3

.応用技術の開発

化合物 [N] の応用を図るためアルカリ金属塩類 (LiC1 , NaCl , KCl , RuC1 , CsCl) 及び選移 金属塩 (CuC 12) との塩捕集実験を行い、その捕捉能を紫外・可視吸収スペクトルで検討した。

結果を Table 3 、 Fig. 3 に示す。

Molar ratio Ligand LiCl NaCl KCl RbCl CsCl CuCl,

[IV] / C,HsOH M 440.0 n阻 440.0 nm 441.0 nm 440.0 n皿 440.0 n 皿 440.0 n 血 526.0 n血 l 1 0 0 (24,200) (24,000) (24,100) (24,000) (24,000) (24,000) (37,000) [IV] /CHC1, M 439.5 n 田 482.5 nm 440.0 n 皿 440.0 n 皿 439.5 n 皿 439.5 n皿 540.0 nm 1 0 0 (23,500) (30,000) (23,500) (23,400) (23,400) (23,500) (24,900) Table 3 [ N ]ー金属錯体の可視吸収スベクトルデーター

(5)

3

.

0

0

0

ABS

0

.

0

0

0

7

0

0

6

0

0

5

0

0

4

0

0

3

0

0

n

m

[IV]• [IV] ー金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル(クロロホルム中) Fig.3 はリチウムイオンと銅イオンの 青紫色に変色した。 の空孔径 3~4A に対し捕捉したリチウムのイオン径は 1

.

5

A とかなり しかも化合物[町]の空孔径に近いイオン径を有するルピジウムイオン(

3

A)

(3.4A) を捕捉しなかったことはイオン選択性はないものと考えられる。 2 金属イオンを捕捉し錯体形成 アルカリ金属塩類にお しかし、 この結果、化合物[

NJ

することで、黄色からそれぞれ赤糧色、 いて化合物 [IV

J

小さく、 セシウムイオン また、選移金属である銅イオンにおいては錯形態がアルカリ金属イオンと異なり共有結合性 の強い相互作用により捕捉しているものと考えられる。 4. 分析・解析技術の開発 化合物 [NJ の金属錯体を分析するため NMR による測定を行い、その有用性を検討した。 また、他の分析から得られた情報と合わせて解析した。 Table 4 に NMR 測定におけるサン 4 にそれらの lH-NMR スペクトルを示す。

F

i

g

.

プル調製条件を、 13 C 1H T e m p. S 0 1 v r a t 0 M 0 1 a r [ lV ] 1 L i C 1 。 。 r t C D C 13 100 )

-( 。

0

0

0

0

0

0

r t r t r t r t C D C 13 C D 30 D C D 30 D DMSO-d

,

C D C 13 C D C 13 C u C 1 2 100 2 2 100 [ lV ] ( 1 ) ( 2 ) ( 3 ) ( 4 ) ( 5 ) ( 6 ) r t

o

.

5 r t

dissolution(CHCI3) • shaking • filtration • evaporat íon • drying(rt)• dissolution(CDC13)

O. 0 5

(1). (2)

1H 一. 13C-NMR 謹tl 定における試料調製条件

4

(6)

この結果、金属錯体においてアミノ基 プロトンピークがリチウム錯体から銅錯 体になるにつれより高磁場に移動した。 しかし、もっとも期待した架橋鎖メチレ ンプロトンあるいはフェニルプロトンに おいては顕著な変化は認められなかった。 また、サンプル調製条件において化合物 [町]に対する C

u

C 1

2 のモル比が l よ り小さい時のみ lH-NMR スペクトルピ ークは観測されたが、 l より大きい時に は満足できるスペクトルは得られなかっ た。また、 13C-NMR ではいずれの金属 錯体においてもスベクトルピークが小さ く解析できなかった。 一方、他の分析法として赤外線吸収ス ペクトルを Fig. 5 に、個体状態での紫 外・可視吸収スベクトルを Fig. 6 に示す。 Fig. 5 [lV]ー金属錯体の赤外吸収スベクトル 「一一一 Cu"- [lV] 1. 1 ・ [lV] [lV] Fig. 4 [lV]ー金属錯体の lH-NMR スペクトル Fig. 6 [lV]ー金属錯体の紫外・可視吸収スベクトル (KB r 錠剤中) これらのスペクトルからは明かな変化が観測され、赤外線吸収スベクトルにおいてはトリ アジン環 C=N 二重結合に基ずく波数 1

,

5 0 0

~

1

,

6 0

0 の吸収が 1

,

6 2

0 に、波数 810 の吸収が 780 にそれぞれ移動した。一方、今回、紫外・可視吸収スペクトルにおい て個体状態でのスペクトルを得るため透過性個体サンプルを試作した。 従来より赤外線吸 収スペクトル用サンプルとして使用している KBr 錠剤法を応用することにより透明なプ

(7)

レートを作成した。この方法により試料が個体でも測定できることが実証された。 これら のスペクトルからリチウム錯体ではクロロホルム溶液中での吸収位置 482.5nm に対し、 かなり長波長である 5

4 0

n

m 付近に吸収が観測された。 また、銅錯体では溶液中のそれ とあまり変化がなかったことから、弱い結合状態にあるリチウム錯体の方が溶媒の影響を強 く受けているものと考えられる。以上の分析・解析から化合物[ NJ は金属を捕捉し錯体を 形成していることが確認された。 [研修成果 1

1

.合成技術の開発 目的化合物のアゾ色素化トリアジノファン[ NJ はトータル収率 2% で得られた。この 低収率の原因はおもに単位反応における収率の低下が影響している。 特に環化反応におけ る極端な収率低下は、今回行った全合成を支配している重要なポイントとなる反応であった。 今後、この反応での技術開発が望まれる。 2. 精製技術の開発 目的化合物[ NJ はクロロホルムーメタノール(1 9: 1) を展開溶媒としてシリカゲルカラ ムクロマトグラフイーでの単離精製に成功した。 しかし、アルキル化反応における多種の 副生成物の存在は分離操作における目的物の損失につながり、収率低下の一因となった。 3. 応用技術の開発 目的化合物[ NJ とアルカリ金属塩類および遷移金属塩との塩捕集実験では、Li+イオン と C

u

2 +イオンで錯体を形成し、それぞれ黄色( il

max 4

3

9

.

5nm 、 ê

max

23 , 500) から赤樫色

( il

ma x 4

8

2

.

5

nm 、 ê

max

30 , 000) 、青紫色( li

max 5

4

0

.

Onr目、 ê

max

24 , 900) に変色した。

これらのことから目的化合物[ NJ は Li +イオンと Cu2+ イオンの 2 金属イオンを捕捉するこ とが確認された。 4. 分析・解析技術の開発 目的化合物[町]の Li +イオン、 Cu2+ イオン錯体において、赤外線吸収スベクトル、紫外 可視吸収スベクトルで顕著な変化が確認された。 しかし、目的とした NMR 測定による分 析では、何れの錯体においても満足できる結果が得られず、今後の課題となった。 最後に、今回の研修を実施するにあたり深いご理解を賜りました、材料化学科物質応用化 学講座有機合成研究室の卯西昭信教授を始め諸先生方に厚く御礼申し上げます。 {参考文献 1

1

)武田裕行 編者, r 機能性大環状化合物の分析化学への応用 j 第 8 章,アイピーシー

(1990)

2)

J

.

T. T h u r s

t 0

n

,

e

t .

a 1.

,

J

.

A m. C h e

m. S

0 C .,ヱ_3_,

2 9 8 1

(1951)

3

)北島英彦,毛海敬ら,有合化,立_fi_,

7

7

9 (

1

9

7

8

)

4

)日本学術振興会染色加工第 120 委員会編集 「染色事典 j n u

参照

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