奈良教育大学学術リポジトリNEAR
材質中の傷の超音波写真について
著者 岡崎 良吉
雑誌名 奈良学芸大学紀要
巻 9
号 2
ページ 25‑28
発行年 1960‑02‑15
その他のタイトル Ultrasonic Photograph of Flaws in the Material URL http://hdl.handle.net/10105/4816
Jour. Nara Gakugei Univ. Vol.9, No.2,I960
材質中の傷の超音波写真について
門 ∴j I '. vf (奈良学芸大学物理学教室) (昭和34年11月10日受理)
Ultrasonic Photograph of Flaws in the Material
R. OKAZAK工
(Depertment of Physics, Nara Gakugei University)
Abstract
Ultrasonic photograph of flaws in the material are oもtained by scanning the sample bet‑
ween the sender and the receiver in oil,that is, they are obtained by recording the spots on the oscilloscope corresponding to intensity of ultrasonic waves which transmit through the each part of the sample.
For acquiring the better result, the considerations for the problems respecting the width of the wave beam, diffraction, the dimension of flaw, distance between sender and receiver, shaking of the sample or oil and the character of the material are neccessary.
And these conditions should be kept adequate. Among the above mentioned problems, especially, fine beam of the wave and no shaking of the material are most important and essential.
ま え が き
材質内の傷の超音波写真はトランス油坤に固定したsender とreceiverとの問で超音波beamが試料の全面を走査するよう に試料の方を移動させて撮ることができる。すなわち、材質 面の各点を透過する超音波beamの強度に応じたspotをcatho‑
edrey oscilloscope上に現出させ、これを写真乾板上に投影 する。この詳細については1953年当学紀要に発表した(Fig.
1)。その後これが一層艮い結果を得るには、種々の点につき 考慮しなげればならない点が明確になったので、それらの点 につき報告する。すなわち、音波beamの幅、傷の大きさ、
senderとreceiverとの間隔、試料或いは池の動揺、材質の特性 などの諸要素が超音波写真の成否に大なり小なり影響する。
26 岡 崎 良 書
実 験 と そ の 結 果
senderとreceiverとの問に各種の坂をおき、 oscilloscope上のy方向の偏りを検べるとFig.2
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のようである。これは超音波の透過度の 違いによって起るもので、超音波写真を 可能にする根本性質である。超音波によ
る良い写真を得るために、先づFig.3上 図のような透過度の大きい材質例えは金 属板に透過度の小さい材質例えばコルク 片を埋めた試料をつくり、この面内で超 音波beamによりⅩ方向に一回走査した 場合に下図のような写真が得られれば最 も理想的である。然し実際にはそうはな らない。比較的理想に近い場合でも現在 のところphoto.(1)のようにしかならな い。
今Fig.4のように、 senderとreceiverとのそれぞれに接近して射出瞳孔の直径dのスリット を持った板をおき、その間で幅Wの柱状の傷を内蔵
した試料を柱状方向に直角に移動した場合を考える。
senderの前の円孔から射出した音波は
sing‑1.22去・‑‑(1)
の関係に従って回折する。この回折波は直接には receiverに入らないが、試料が音波beamを横ざると き、試料内の傷の端でおこる第2次の回折波は試料の 傷の蔭の中に入りこみ、 beam は見掛け上太くなI
sender囲
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Fig. 3
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二〕 ∴
receiver囲
Fig. 4 Fig. 5 Fig. 6
り、傷は見掛け上小さくな る。傷が試料内浅い所にあ るときはreceiverを試料に 接近させてこの欠点を除け ばよいが、傷が深い部分に あるときは使用音波の波長 を短かくするとよい。しか し本法の特色から考える と、回折の問題は余り大き く影響しないで寧ろ他の要 素が問題になる。
傷の幅Wが瞳孔径dより大 きい場合、試料面をⅩ方
向に一回走査してoscilloscope上に出来る波形は、 Fig. 5に示すように回折を無視すれば、音の完 全不透部の長さはW‑dとなり、その両側に振幅が透晋部と不透音部との中間の部分が連り、その 長さは各々dになる。この形をFig. 3のような理想状態に持ってくるには瞳孔直径dを小さくすれ ばよいが、それでは射出音波の強度も小さくなるから或る程度以上に瞳孔径を小さくすることは できない。本実験ではプレ‑卜電流がTi‑90mA,T2‑50mAで瞳孔径d‑5mmが限度である と考えられる。また傷の幅が瞳孔径よりも小さい場合には波形には完全不透音部に当る微小振幅 部は存在しないで、この部の最小振幅は
y≒ りTEd盟/4 ‑wd
Tid/4 ‑。窓 蝣C2) (但し…透音部の振幅)
となり、最小振幅部がⅤ形の底になって、傷の蔭の全島はd‑Wとなる。この(2)式からWが小さ いほどyは大きくなって全体写真で傷の撮影が困難になる。
D+U) ‑ 「l
Fig.
photo.(2)に現われている。ま たFig.8のように receiverの 前に遮音瞳孔板を使用しない ときはdが‑そう長くなった と同様の結果になる。
従ってsender, receiver 何れの側にも遮音瞳孔板を使
これ等の点はFig.7の一回走査写真
用しないとき、或いは何れか一方の遮音瞳孔板を取り除いたときは photo.(3),(4),(5)のようになる。
また電源電圧の変動するときphoto.(6),発振状態が不安定のとき photo.(7).試料が動揺するときphoto.(8)言由の動揺するときphoto.
(9)など何れもy幸由振幅が動揺するので、美しい一定振幅の波形が得 られない。このうち池の動揺を防ぐには試料の前後を板で隔離する ことによって或る程度可能になる。
試料の全体写真を撮る場合にブラウン管のy振動の前面の適当な位置に適当な幅Fig.9のスリ ットをおくのであるが、それは一回走査波形から決定するのが良い。Fig. 10で走査波形の動揺が aa′のように少なければ、 pの位置にpよりも広い幅のスリットをおくことができる。 bb′のよう に中位の動揺であればスリットの幅はpが限度であるO更にcc′のように動揺すればスリットは東 に幅を縮めなければならない。透音部のminimumと不透音部の maximumとが接触或いは重 なるようでは撮影は不可
能である。他方スリット の幅によって走査線が重 なる場合と離れる場合と ができる。何れにしても aa/のようであれば透音 部と不透音部とのcontra‑
stが明瞭になる。もしス
9⑳
不適音部の糠幅 遥音節の准幅Fig. 9
、・‑・、 ‑ ‑ヽ一・・・ 、 ‑ ‑1‑ 、 ‑I‑‑
a t> c ' b′ C
走垂波形とスリットの位置反か.帽
Fig.ユ0
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リツトの位置をY振動の中心位置0におけば、不透音部ではこの部の輝度が大きいから、明暗 反対の写真がとれる。
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写 真 説 明
Fig. 3上のⅩ方向一回走査写真、理想形に近い
Fig. 7の F, 同 上 〝
u' h 〝 in' 上 ,/
Fig. 3 〝
¥‑i t 〝 同 上 〝 同 上 〝 同 上 〝
〝
遮音瞳孔板全く使用しないとき
〝 aを省く
〝 bを省く 電源電圧変動の影響 発振状態不安定 試料動揺の影響 油の動揺の影響 表面の傷の影響
Fig.11の全面写真、 Brown管前のスリットの位置が中央に近過ぎ、不透音部の振幅がスリットからは み出ている。
同上、スリットの位置は適当であるが、走査線は少い。
同上、スリットの位置は適当で、走査線は(A)の2倍
Fig. 3の全面写真、スリットの位置は適当で、走査線は(13)と同じ
Fig.1 (アルミニウム板、厚さ6mm、 3本の穴をあけたもの)の一回走査写真 同上、スリットの位置中央
同上、スリットの位置中央を離れた場所で適当のところ、走査線は紬と同じ
同上(アルミニウム板3枚合せ、厚さ3mm十8mm十3mm)スリットの位置、走査線共にq7)と同じ セメントブロック、厚さ7mm、内部にベニヤ板を埋める。この板の一回走査写真
同上全面走査写真
Fig.13セメントブロック、厚さ10.5mm、内部Kベニヤ板を埋めたものの全面走査写真 同上スリットを中央においた場合
Fig.14セメントブロック、厚さ21mm、内部軒こポリエチレンパイプを埋めたものの全面走査写真 同上スリットを中央においた場合