• 検索結果がありません。

超音波領域の音が人間に与える影響について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "超音波領域の音が人間に与える影響について"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

超音波領域の音が人間に与える影響について 

日大生産工(院)○伊藤  隆道    日大・理工(院)  山崎    恵 日大・理工        堀田  健治    日大生産工        山崎    憲

  1. はじめに

一般にヒトの可聴周波数帯域は、20[Hz]か

ら 20k[Hz]と言われている。これに基づきオ

ーディオ用コンパクトディスク(CD)やデジ タルオーディオテープ(DAT)の標準フォーマ ットではサンプリング周波数が 44,100[Hz]

あるいは 48,000[Hz]に定められている。しか

し近年、人工音であるガムラン民族楽器の音 や自然音である波の音に含まれている可聴域

外である 20k[Hz]以上の超音波領域の音が、

人間の脳波(α波)を活性化させるという報 告がある

1) 2)

そこで、本報では超音波領域の音が生理面 に与える影響の基礎的な資料を得ることを目 的として、脳波測定のみならず、手掌部発汗 測定、顔面皮膚温測定から分析を行い、超音 波領域の音を付加した時と非付加時の比較を 行った。

2. 実験の概要 2-1.被験者

学生 15 名(男性 13 名、女性 2 名、年齢

21〜23 歳)である。

2-2.実験環境

実験は、呈示音以外の音による影響を避け るために無響室を使用した。

被験者にはリラックスした姿勢で椅子に座 らせた。

2-3.呈示音

  実験に使用した音は、可聴音に渓流の音、

超音波領域の音にピンクノイズを用いて、可 聴音のみと可聴音+超音波領域の音の 2 種類 の音を被験者に呈示した。

可聴音は渓流の音をハイスピードディジタ ルデータレコーダ(SONY)で録音したデー タをあらかじめ CD に記録して用いた。

超音波領域の音はピンクノイズをハイスピ ードディジタルデータレコーダで録音したも のを用いた。

呈示音を無響室内で再生し 1/3 オクターブ 分析した周波数特性を図 1 に示す。なお、測 定 は 1/4 イ ン チ コ ンデン サ マ イクロ ホ ン

(B&K)を用いて被験者の耳の位置で行った。

渓流の音(可聴音) +ピンクノイズ(超音波)

音圧 [dB]

周波数  [Hz]

Autospectrum(Si gnal  1) -  Input Working : Input :  Input : CPB Analyzer

20 50 100 200 500 1k 2k 5k 10k 20k 50k

20 30 40 50 60 70 80 90 100

[Hz]

[dB/20.0u Pa] Autospectrum(Si gnal  1) -  Input Working : Input :  Input : CPB Analyzer

20 50 100 200 500 1k 2k 5k 10k 20k 50k

20 30 40 50 60 70 80 90 100

[Hz]

[dB/20.0u Pa]

20 40 60 80 100

20 100 500 2k 10k 50k

図 1  1/3 オクターブ分析した周波数特性

On the Effects by the Ultrasonic Waves

By Takamichi ITOH ,Megumi YAMAZAKI ,Kenji HOTTA and Ken YAMAZAKI

(2)

2-4.機器の構成

可聴音は CD レコーダで再生してスピーカ から発生させた。また、超音波領域の音はハ イスピードディジタルデータレコーダの出力 をフィルタに通して可聴音をカットし、ツィ ータから発生させて被験者に呈示した。機器 の構成を図 2 に示す。

2-5.音の呈示方法

  音の呈示方法として 30 秒間の安静時間を 設け、その後被験者に音を 2 分 30 秒間呈示 した。被験者に前の呈示音による影響が残ら ないよう 1 回の実験ごとに 20 分間の休憩時 間を設けた。また、可聴音のみと可聴音+超 音波領域の音を呈示する順序はランダムとし、

被験者に音の順序がわからないようにした。

実験のタイムチャートを図 3 に示す。

2-6.生理測定

  実験は、脳波測定と手掌部発汗測定、顔面 皮膚温測定を同時に行った。

2-6-1.脳波の測定 (a)脳波測定機器:

被験者が感じる束縛感をなるべく軽減する ために、被験者に装着した電極からの信号を 電波で送信し、離れた場所で受信して測定を することができる WEE-6124 テレメトリシ ステム(日本光電)を使用した。受信したデ ータはパーソナルコンピュータで記録した。

また、電極は国際標準 10-20 電極配置法に 基づき 12 ヶ所(Fp

1

,Fp

2

,F

7

,F

8

,F

z

,C

3

,C

4

,T

5

, T

6

,P

z

,O

1

,O

2

)に配置した。頭部の脳波電極測 定位置を図 4 に示す。

(b)脳波の評価方法:

脳波はδ波(4[Hz]未満)、θ波(4[Hz]以

上、8[Hz]未満)、α波(8[Hz]以上、13[Hz]

未満)、β波(13[Hz]以上、13[Hz]は含まな い)の周波数帯域ごとに分類される。本解析 ではα波の含有量に着目し、音に対しての生 理的評価を行った。

2-6-2.手掌部発汗測定 (a)手掌部発汗測定機器:

発汗の測定にはペアセンサ差分方式 2ch デ ジタル発汗計 SKD-2000(スキノス製)を使 用した。発汗計を無響室内に置き、パーソナ ルコンピュータで記録した。発汗計の測定位 置は両手の拇指の第一間接より先の位置とし た。手掌部発汗の測定位置を図 5 に示す。

データレコーダ

プリアンプ

フィルタ

パワーアンプ

ツィータ

〔超音波領域の音〕

CDレコーダ パワーアンプ

スピーカ

〔可聴音〕

データレコーダ

プリアンプ

フィルタ

パワーアンプ

ツィータ

〔超音波領域の音〕

CDレコーダ パワーアンプ

スピーカ

〔可聴音〕

図.2 音の呈示機器の構成

測定開始

音の呈示開始

測定終了

実験の繰り返し

30秒間 安静

2分30秒間 音呈示

20分間 休憩

測定開始

音の呈示開始

測定終了

実験の繰り返し

30秒間 安静

2分30秒間 音呈示

20分間 休憩

図 .3 実験のタイムチャート

(3)

(b)手掌部発汗の評価方法:

精神性の発汗が引き起こされる両手拇指の 発汗量を測定し、音に対しての生理的評価を 行った。

被験者の緊張による発汗を除くために発汗 量が落ち着いてから実験を行った。

2-6-3.顔面皮膚温測定 (a)顔面皮膚温測定機器:

  顔面皮膚温の測定には赤外線サーモグラフ

ィ TVS-700 (日本アビオニクス製)を使用し

た。サーモグラフィを無響室内に置き、パー ソナルコンピュータで記録した。得られたサ ーモグラフィの画像データを図 6 に示す

(b) 顔面皮膚温の評価方法:

  サーモグラフィより得られた画像データか ら鼻と額の皮膚温度差の変化より被験者の情 動ストレスの影響を調べ、音に対しての生理 的評価を行った。

3. 実験結果

3-1.脳波測定の結果

  頭部に装着した 12 電極の含有量の平均を 求め、α波含有量から検討を行った。また、

それぞれの結果より t 検定を行った。図 7 に 0[sec]を基準とした時の、被験者全員のα波 含有量の平均の変化量を示す。

図 7 より可聴音のみと可聴音+超音波領域 の音を比較すると、可聴音+超音波領域の音 を呈示した場合にα波含有量を増加させる傾 向が見られた。検定結果では有意水準 P が 0.01 未満であった。

3-2.手掌部発汗の結果

図 8 に 0[sec]を基準とした時の、被験者全

員の手掌部発汗量の平均の変化を示す。

O 2

O 1

5

P z

T 6

A 1 C 3 C 4 A 2

F 7

F z

F 8

Fp1  Fp2 

P 3 P 4

T 3 C z T 4

F 3 F 4

図 4. 頭部の脳波電極測定位置

図 5. 手掌部発汗の測定位置

図 6. サーモグラフィの画像

可聴音のみ 可聴音+超音波 可聴音のみ 可聴音+超音波

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

0 60 120 180

時間[sec]

α波含有量の変化量[μV

-600 -400 -200 0 200 400

2]

600

図 7. α波含有量の変化

(4)

図 8 より可聴音のみと可聴音+超音波領域 の音を比較すると、 30 秒付近に見られる発汗 量の上昇は音呈示直後における動揺であると 考えられる。2 種類の呈示音のどちらにおい ても発汗量は減少する傾向にあるが、可聴音 のみと比較し、可聴音+超音波領域の音の方 がより発汗量が減少する傾向がみられた。検 定結果では有意水準 P が 0.01 未満であった。

3-3.顔面皮膚音の結果

サーモグラフィから得られた画像データよ り、額部と鼻部の皮膚温の差による被験者の 情動ストレスの影響を調べ、音に対しての生 理的評価を行った。

図 9 に 0[sec]を基準とした時の被験者全員

の額部と鼻部の皮膚温度差の平均の変化量を 示す。図 9 より可聴音のみと可聴音+超音波 領域の音を比較すると、可聴音+超音波領域 の音の方が皮膚温度の変化が増加する傾向が みられた。検定結果では有意水準 P が 0.01 未満であった。

4. おわりに

今回の実験では、自然環境音である渓流の 音の可聴音にピンクノイズの超音波領域の音 を含んだ音、及び、渓流の音の可聴音のみの 2 種類の音を被験者に呈示し、超音波領域の 音が人間に及ぼす影響について検討した。

その結果、脳波測定ではα波の活性化、 手 掌部 発汗測定では発汗量の抑制、顔面皮膚温 測定では皮膚温の上昇する傾向がみられた。

この結果より、脳波測定以外である 手掌部 発汗測定、顔面皮膚温測定からも、可聴音に 超音波領域の音を加えた音を呈示した場合、

人間にリラックス効果を与えることが確認さ れた。

参考文献   

1)

仁科エミ,大橋力,河合徳枝,不波本義孝,当魔昭子:

「ガムラン音高周波成分の生理的影響について(ハイ パーソニック・エフェクトに関する研究  その

1)

」 日本音響学会講演論文集、pp.395-396(1992)

2)

崔鍾仁,堀田健治,山崎憲:「超音波を含む波音の再 生音が人間の生理・心理に及ぼす影響に関する研究- 聴覚誘導電位の挙動・心理・性格検査を用いて その

1-」日本建築学会計画計論文集第 563

pp327-333

(2003)

3

)小林正義,牛山美和,牛山喜久,千島亮,大橋俊夫:

「気分状態の精神性発汗現象に及ぼす影響」発汗学

Vol.4,No.1,pp16-18 (1997.04)

4)

善住秀行

,

野澤昭雄

,

田中久弥,井出英人:「鼻部皮 膚温度変化による快−不快状態の推定」電気学会論 文誌

vol.124pp213-214(2004)

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

0 60 120 180

時間[sec]

0 0.1

-0.1 0.2

-0.2

手掌部発汗量の 変化量[mg/cm2]

可聴音のみ 可聴音+超音波 可聴音のみ 可聴音+超音波

図 8. 手掌部発汗量の変化

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

0 60 120 180

時間[sec]

0.8 0.6 0.4 0.2 0

額部と鼻部の皮膚温度差の 変化量[℃]

可聴音のみ 可聴音+超音波 可聴音のみ 可聴音+超音波

図 9. 額部と鼻部の皮膚温度 差の変化

図 8 より可聴音のみと可聴音+超音波領域 の音を比較すると、 30 秒付近に見られる発汗 量の上昇は音呈示直後における動揺であると 考えられる。2 種類の呈示音のどちらにおい ても発汗量は減少する傾向にあるが、可聴音 のみと比較し、可聴音+超音波領域の音の方 がより発汗量が減少する傾向がみられた。検 定結果では有意水準 P が 0.01 未満であった。 3-3.顔面皮膚音の結果  サーモグラフィから得られた画像データよ り、額部と鼻部の皮膚温の差による被験者の 情動ストレスの影響を調べ、音に対しての生 理

参照

関連したドキュメント

C =>/ 法において式 %3;( のように閾値を設定し て原音付加を行ない,雑音抑圧音声を聞いてみたところ あまり音質の改善がなかった.図 ;

c加振振動数を変化させた実験 地震動の振動数の変化が,ろ過水濁度上昇に与え る影響を明らかにするため,入力加速度 150gal,継 続時間

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

 TV会議やハンズフリー電話においては、音声のスピーカからマイク

攻撃者は安定して攻撃を成功させるためにメモリ空間 の固定領域に配置された ROPgadget コードを用いようとす る.2.4 節で示した ASLR が機能している場合は困難とな

また適切な音量で音が聞 こえる音響設備を常設設 備として備えている なお、常設設備の効果が適 切に得られない場合、クラ

その後、時計の MODE ボタン(C)を約 2 秒間 押し続けて時刻モードにしてから、時計の CONNECT ボタン(D)を約 2 秒間押し続けて

では、シェイク奏法(手首を細やかに動かす)を音