博 士 ( 医 学 ) 小 野塚 貴 学位論文題名
Mutation analysis of the4TP2A2 gene
in two Darier Sdisease pedigrees wlthmarkeddif 睹renCeS inCliniCalSeVerityWithinaff .eCted 丘lrnilymemberS .
(家族内で臨床症状に著しい差異を生じたDarier 病2 家系における 4 TP2A2 遺伝子変異検索)
学 位 論 文 内 容の 要 旨
Darier病は臨床的に躯幹・四肢屈側・頭部に疣贅状丘疹または局面を呈する常染色体優 性 遺伝 形式 をとる遺 伝性疾 患である 。その原 因は12番 遺伝子長 腕上の23‑24.1に ある ATP2A2遺伝 子 の 変異 で あ る。ATP2A2遺伝子 は21のexonか らなり、 小胞体膜 上に存 在 しCa2+を 細胞質か ら小胞 体内に輸 送する蛋 白質sarco/endoplasmic reticulum Ca2+
ATPase2isoform (SERCA2)を コ ー ド し て い る 。SERCA2はSERCA2aとSERCA2bの 2つ のisoformを持ち、前者は心筋や骨格筋、後者は平滑筋や表皮、付属器に発現してい る。AT12A2遺伝子の 変異は 現在100以上発見されているが、その変異部位は遺伝子全体 に分布しておルホッ卜スポッ卜となる部分はなぃ。現在まで臨床症状と遺伝子変異の間に 明らかな関連性があったとする報告はない。
しかしなカュら他の常染色体性優性遺伝性疾患である単純型表皮水疱症(epidermolysis bullosa simplex)においては家系内で臨床症状の差異をみとめた症例でK5遺伝子にもう 1つの変異が発見された報告がある.。そのように変異の数によって臨床症状に差異が生じ る可能性が指摘されているが、Darier病の家系内においてもその可能性は否定できなぃ。
今回 の研究で 皮膚科 専門医に よって臨 床的・ 皮膚病理 組織学 的に診断された日本人 Darier病10家系についてその臨床症状を軽度・中等度・重度に分類し、かっそれぞれの 遺伝子変異検索を行った。
家系1‑3は家 族内発症 例で、 そのうち 家系1と2はその臨床症状に軽度‐重度の差が見ら れ、 家系3は全て重 度であ った。家 系4‑10はそれぞれ孤発例であり臨床症状は軽度から 重度まで認められた。
遺 伝 子検索 に譬患者 末梢血 の自血球 からgenomic DNAを抽 出し、polymerase chain reactonを 用 い てATP2A2遺 伝子 の21個のexonとexon‑intronの 境界領域 を全て を増幅 した 。その後ABI PRISM 3100 genetic analyzerを用いてdirect sequencingを行い変異 を 検 索 し 、 発 見 し た 変 異 は そ れ ぞ れ 適 切 な 制 限 酵 素 を 用 い て 確 認 し た 。 そ の 結果、10家系中7家系 でATP2A2遺伝 子の変異 が発見さ れた。 内容はmlssense変 異 が6種 類(MIVN39D,L180R,G233R,C318R,A838P)、insertion変 異 が1種 類 (2170insG)であ り 、 うち3種 類(L180R,G233R,2170insG)が 新たに発 見され た変異 であ った。変異の分布もATP2A2遺伝子上に散在しており、とくに集中は認めなかった。
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またそれぞれの家系内で変異は1種類ずっであり、複数の変異の存在は確認できなかった。
次に家系内で臨床症状に軽度・重度の差がある家系1と2において臨床症状とその遺伝子 変異 とを比 較検討し た。家 系1は77歳男性(軽度)とその50歳の息子(重度)であり、
遺 伝 子変 異 はG233Rであ った 。家系2は17歳 (重度) と13歳( 軽度)の 姉妹例 で遺伝 子 変 異 はC318Rで あ っ た 。G233RはSERCA2の3つ のcytoplasmic domainsの 中 で ロ
‑strand domainのC末 端に位置 してい た。SERCA2にお けるこ の部分の 明らか な役割は 未だ 不明で あるが、SERCA2内でCa2+が 輸送さ れる部位 の近傍に位置しており、何らか の 重 要な 機 能 が 示唆 さ れた 。またC318RはSERCA2の 膜通過 部位で全 部で10‑11個ある a ‑helix部分のうち、Ca2+の通路を形成する3本のうちの1本であるS4に位置していた。
特にこの部分は"Ca2+‑binding sites' となり、類縁の蛋白質であるSERCAlaにおける報 告で はこの 部位での 遺伝子 変異でSERCAlaの機能が約50%に落ちるという報告がなされ てお り、SERCA2に おいて もこの部 分がCa2+輸 送に重要 な役割を担っていることが示唆 された。
Darier病 の 臨 床症 状 と 遺伝 子 変 異の 関 連 につ い て の研 究 は こ れが 最 初 であ り、
Ca2十‑binding sitesおよびその近傍の変異が臨床症状の差異に関連する可能性が示唆され た。
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学 位 論 文 審 査 の 要旨 主 査 教 授 佐 々木秀 直 副 査 教 授 岩 永 敏 彦 副 査 教 授 清 水 宏
学位論文題名
Mutation analysis of theATP2A2 gene
in two Darier Sdisease pedigrees wlthmarkeddif [erenCeS inCliniCalSeVerityWithina 任.eCtedfamilymemberS .
(家族内で臨床症状に著しい差異を生じたDarier 病2 家系における 4 TP2A2 遺伝子変異検索)
Darier病は12番遺 伝 子 長腕 上 に あるA7P2A2遺 伝子 の 変 異で 発 症 する 常 染 色体 優 性 遺伝 形 式 を とる 遺 伝 性疾 患 で ある 。A7P2A2遺 伝子は21のexonからな り、小胞 体膜上 に存任しCa+ を 細 胞 質 か ら 小 胞 体 内 に 輸 送 す る 蛋 白 質sarc0/aldopl皺mcr面a】lllmCa2+」 冊 譌e2 i恥fonn(S凪〔:A2)をコードしており、SE彊℃A2aとsE彊℃A2bの2つのi蚶師nを持つ。イヱア鮒2 遺 伝 子の 変 異 は現 在100以 上 発見 さ れ てい る が 、 その 変 異 部位は遺 伝子全 体に分布 してお りhmspotと な る 部分 は た い。 ま た現在 まで臨床 症状と 遺伝子変 異の問に 明らか な関連性 が あっ たとする 報告は ない。し かし他 の常染色 体性優性 遺伝性 疾患である単純型表皮水疱症(
叩id鰤 。りsisbuuoSa血npleX)にお いては家 系内で 臨床症状 の差異 をみとめた症例でK5遺伝 子 に もう1つの変異 が発見 された報 告があ る。その ように 変異の数 によって 臨床症 状に差異 が 生 じる 可 能 性がD証er病 の 家系 内 に おい て も 否 定は で き ない。今 回の研 究で10家系 の日 本 人D面er病 患者に っいてそ の臨床症 状を軽 度・中等 度・重 度に分類 し、か っそれぞ れの遺 伝 子 変異 検 索 を行 っ た 。家 系1うは 家 族 内発 症 例 で 、そ の うち家 系1と2は その臨床 症状に 軽度 ‐重度の 差が見 られ、家 系3は 全て重 度であっ た。家 系4‐10はそれぞれ孤発例であり臨 床 症 状 は 軽 度 か ら 重 度 ま で 認 め ら れ た 。 遺 伝 子 検 索 に は 患 者 末 梢 血 の 白 血 球 か ら genornicDNAを 抽 出 し 、polymerasech血rea甜onを 用い て ィ7磁 舵 遺 伝 子の21個のeXonと eXon‐inn.onの 境ニ界領 域を全 てを増幅 した。その後ABIP恥SM3100gen面canalyZerを用いて dir餓嘲uencing斟孔ヽ 変異を検 索し、 発見した 変異は それぞれ 適切な制限酵素を用いて確認 した。
その 結 果 、10家 系中7家 系で イ7E瀰2遺 伝子の変 異が発 見された 。内容 はnusSense変異 が 6種 類M1VN391) ,L18呱G233RC31眠A838P) 、 砥emn変 異 が1種 類 く2170むlsG) で あ り 、 う ち3種 類 に180R( 氾33R2170ぬG) が新 た に 発見 さ れ た変 異 で あっ た 。 変異 の 分 布 もイ ?P刎2遺伝 子上に 散在して おり、 とくに集 中は認 めなかっ た。またそれぞれの家系内で 変異は1種類ずっであり、複数の変異の存在は確認できなかった。
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次 に家 系内 で臨 床症 状に 軽 度・ 皷の 差が ある 家系1と2にお いて 臨床 症状 とそ の遺伝子変 異と を比 較検 討し た。 家系1は77歳男 性( 軽度 )と その50歳の息子.(重度)であり、遺伝 子変異はG233Rであった。家系2は17歳(重度)と13歳(軽度)の姉妹例 で遺伝子変異はC318R で あ っ た 。G233RはSERCA2の3つ のcytoplasmic domamsの 中 で ロ ‐ 蜘lddoma血 のC末 端 に 位 置 し て い た 。SERCA2に お け る こ の 部 分 の 明ら かな 役割 は未 だ不 明で あ るが 、SERCA2 内でCa2+ が輸 送さ れる 部位 の近 傍に 位置 して おり 、何 らかの重要な機嘗が示唆された。ま たC318RはSERCA2の 膜 通 過 部 位 で 全 部 で1皿11個 あ るQ41e叔 部 分 の う ち 、Ca2+ の通 路を 形成する3本の うちの1本であるs4に位置し ていた。特にこの部分は Ca2十lbindingsiteぐ と な り 、 類 縁 の 蛋 白 質 で あ るS凪CAlaに お け る 報 告で はこ の部 位で の遺 伝子 変異 でSERCAla の 機 能 が 約50% に 落ち ると いう 報告 がな され て おり 、SERCA2にお いて もこ の部 分がCa2+ 輸送 に重 要な 役割 を担 って い るこ とが 示唆 され た。Dむer病の臨床症状と遺伝子変異の関連 についての研究はこれが最初であり、Ca2+‐bindむlgSitesおよびその近傍の変異が臨床症状の差 異に関連する可能性が示唆された。
公 開発 表に 際し 、副 査の 岩 永敏 彦教 授か らは 、SERCA2の正 常皮 膚細 胞で の働 きにっいての 質 問、 副査 の清 水宏 教授 からは検索した症例での神経疾患の合併の 有無と変異の関係にっい て の質 問、 主査 の佐 カ木 秀直教授からは複数の遺伝子変異をもって 重症化する他の皮膚疾患 の有無および 変異が見っからなかった症例での考察についての質問など、その他多くの質問が 有ったが、申請者は大棚適切な回答をなし得た。
こ の論 文は 、遺 伝性 皮膚 疾患のDarier病において臨床症状と遺伝子 変異の関連にっいての初 めての研究で ありこの点を高く評価された。審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院 課程における研鑚や取得単位なと.、も併せ申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を 有するものと判定した。