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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博士(農学)

Mirasol F.Pampo

上lnO

    

学位論文題名

  Measurement of Nutrient Availability and Solute Transport in Soils with Ion Exchange Resin Capsules

(レジンカプセル法を用いた土壌中の養分の可給性と溶質輸送の測定)

学位論文内容の要旨

  土 壌 中 の 養 分 環 境 の 把 握 は、 農業 資 源を 効率 的に 活 用し 作物 生産 量を 高 め、 農業 由来 の 環 境 負 荷 を 軽 減 す る た め に 不 可 欠 で あ る 。 レ ジ ン カプ セル 法は 、 直径2cmの球 形の メッ シ ユ に2.2mmol。 の 強酸 型陽 イオ ン交 換 樹脂 と強 塩基 型陰 イ オン 交換樹脂 を詰めたレジンカプ セ ル を 、 一 定 期 間 土 壌 中 に 埋設 し、 レ ジン に吸 着し た 養分 量か ら養 分環 境 を把 握す るも の で あ る 。 レ ジ ン カ プ セ ル 法 は近 年、 養 分の 可給 性評 価 に多 く使 用さ れて き たが 、従 来の 土 壌 分 析 法 と の 関 係 憾 あ ま り 評価 され て いな かっ た。 本 研究 では まず 、レ ジ ンカ プセ ル法 と 従 来 の 土 壌 分 析 法 と の 比 較 を行 なっ た 。さ らに レジ ン カプ セル 法を 土壌 中 にお ける 硝酸 を は じ め と す る 溶 質 輸 送 の モ ニタ リン グ に利 用す るた め に、 従来 のモ ニタ リ ング 法で ある パ ンライシメータ法、セラミックカップ法との比較も行をった。

1.可給態養分測定

  土 壌 水 分 と 土 性 の 違 い に よる 窒素 ・ リン ・カ リウ ム の可 給性 を評 価す る ため にレ ジン カ ブ セ ル 法 と 従 来 の 抽 出 法 を 比較 した 。 北海 道の 畑圃 場 から 採取 した 砂質 土 壌と シル ト質 土 壌 を用 い、 水分 飽 和( 含水 比65%) お よび 水分 不飽 和( 含 水比32%)条件 で、25℃で28日間室 内 で培 養し 、レ ジ ンカ プセ ルへ の吸 着 量と 、従 来法 によ る 無機 態窒 素(1M‑KCI抽 出) 、 可給 態 リ ン(Bray法 ) 、 交 換 性 カ リ ウ ム(lM‑pH7酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム 抽 出 ) を 比 較 し た 。   1)レ ジ ン吸 着窒 素量 は土 壌 の無 機態 窒素 含 量と 高い 直線 関係 を 示し た。 ただ し、 そ の関 係 は 土 性 と 土 壌 水 分 に よ り 異な った 。 水分 不飽 和条 件 では 硝酸 化成 のた め 無機 態窒 素の 主 体 は 硝 酸 と な り 、 レ ジ ン 吸 着窒 素量 は 、硝 酸が 拡散 し やす い細 粒士 で多 か った 。一 方、 水 分 飽 和 条 件 下 で は ア ン モ ニ ウム が主 体 であ るが 、陽 イ オン 保持 能が 低い 粗 粒土 のほ うが レ ジン窒素量は多かった。

  2)リ ン のレ ジン への 吸着 量 は不 飽和 条件 で 著し く低 下し た。 こ のこ とは レジ ンカ プ セル 法 が 根 の り ン 吸 収 の ア ナ ロ グで ある こ とを 示し てい る 。供 試土 壌の 可給 態 リン 含量 はほ ば 同 じ で あ っ た が 、 レ ジ ン 吸 着 リ ン 量 は 土 粒 子 の 表 面 積 が 小 さ い 粗 粒 土 で 低 く か っ た 。   31カ リ ウ ム も り ン と 同 様 、不 飽和 条 件で レジ ンヘ の 吸着 量は 著し く低 下 した 。交 換性 カ リウムが多い土壌ほどレジン吸着カリウム量も多かった。

2.養分可給化のカイネティクス

  レ ジ ン カ プ セ ル へ の 吸 着 速度 の解 析 を行 なっ た。 砂 質土 壌と シル ト質 土 壌を 用い 、水 分 飽和(含水比65%)および水分不飽和(含水比32゜/。)条件で、25℃で1,7,14,28日聞室内で培養 し、レジンカプセルヘの吸着量の変化を得た。

‑ 65

(2)

  1

)培養期間中の窒素・リン・カリウムのレジン吸着曲線倣

RAQ=atb

で回帰された。

a

値 は可給量因子を示し、b 値は可給速度因子を示し、根への養分移動状態をシミュレートで きる。

  2

)窒素吸着曲線では、無機態窒素含量が高い試料ほど

a

値もb 値も大きくなった。この ことは、窒素の無機化による可給量の増加と、硝酸化成、イオン交換、拡散に影響される 可給速度の変化をよく反映している。

  3

)リンの吸着曲線の

b

値は土壌により変わらなかったが、

a

値は粗粒土で小さかった。

このことは、土粒子の表面積が小さい粗粒土でりン可給量が制限されやすいことを示して いる。

  4

)カリウム吸着曲線のb 値は土壌により変わらなかったが、a 値は交換性カリウムの多 い土壌 で大き く、イオ ン交換 による放 出は単 に吸着量 に依存す ることを示していた。

3

.圃場における養分可給性のモニタリング

  

北海道静内町の未熟火山性土の森林、草地、畑地において、植物生育期間中の作土と心 土の養 分状態をレジンカプセル法と従来法によルモニターした。レジンカプセルを深さ

15cm

50cm

に 埋設 し 、

1

ケ 月 間 隔で測定 した。 土壌試料 は

0‑15cm

30‑50cm

から 、採 取し分析に供した。

  

レジンカプセル法は圃場の養分状態を良く反映しており、森林、草地、畑地の上層、下 層における養分動態の違いが明らかに認められた。トウモロコシ畑における、硝酸、リン およびカリウムのレジン吸着量はトウモロコシ生育期間中低下していき、生育期間におけ る 養 分 状 態 の 把 握 が で き る 。 ま た 同 時 に 土 壌 養 分 の 空 間 変 動 も とら え ら れた 。

  

レジン吸着養分量と、従来法で測定された養分含有量の聞には正の有意な相関関係があ ったが、相関係数は低かった。このことは、レジンカプセル法が、ある期間、圃場にレジ ンを埋設して測定するために、植物吸収や溶脱などの養分変化を反映しているのに対して、

従 来 法 が そ の 時 点 の 養 分 状 態 を 示 し て い る こ と を 反 映 し て い る 。

4

.溶質輸送への適用

  

北海道三笠市の灰色低地土タマネギ畑において、作物生育期間を含む

7

ケ月間、パンラ イシメータ、サクションカップ、レジンカプセルを用いて養分の溶脱を測定するとともに、

深さ90cm に埋設された暗渠管からの排水中の養分流出を測定した。暗渠排水とパンライ シメータにより採取された溶液中の窒素のほとんどは硝酸で、常時lOmg 几を越えていた。

ただし、その硝酸濃度はポーラスカップで採取した土壌粒団中の土壌溶液濃度と異なって いた。このことは、硝酸が粗大孔隙を通り粒団を回避する流れにより溶脱していることを 示している。塩基性陽イオンも硝酸とともに粗孔隙流により溶脱していた。レジンカプセ ルによる表層での硝酸吸着量は、その測定期間の平均の暗渠排水の硝酸濃度と有意な高い 正の相関関係が認められた。このことは、表土で可給化した養分量に応じて下層へ溶脱が 生じていることを示している。

5

.結諭

  

レジンカプセル法は、植物根への養分輸送の支配因子である土性や土壌水分含量の違い を強く反映した結果を与えており、可給態養分の評価に有効な方法であると思われる。さ らにレジンカプセル法はバイパス流による養分溶脱を検出する有効な方法でもある。しか し、圃場での養分の可給化のモニタリングは充分な定量性が認められたわけではなかった。

今後、その使用方法の規格化を検討する研究が必要である。

66 ‑

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査

教授 教授 助教授

波多野 山口 中原

隆介 淳一

    

    

学位論文題名

  Ix/Ieasurement of Nutrient Availability and Solute Transport in Soils with Ion Exchange Resin Capsules

(レジンカプセル法を用いた土壌中の養分の可給性と溶質輸送の測定)

  

本 論文 は4 章 から なり 、図33 、表

8

、引用文献51 を含む総頁数

93

の英文論文である。

別に参考論文が4 編添えられている。

  

土壌中の養分環境の把握は、農業資源を効率的に活用し作物生産量を高め、農業由来の 環境負荷を軽減するために不可久である。レジンカプセル法は、直径2 cm の球形のメッシ ユに2.2 mmole の強酸 型陽イオン交換樹脂と強塩基型陰イオン交換樹脂を詰めたレジンカ プセルを一定期間土壌中に埋設し、レジンに吸着した養分量から養分環境を把握するもの である。本研究ではまず、レジンカプセル法と従来の土壌分析法との比較を行ない、さら にレジンカプセル法を土壌中における硝酸をはじめとする溶質輸送のモニタリングに利用 するために、従来のモニタリング法であるパンライシメータ法、セラミックカップ法との 比較を行なった。以下にその結果を要約する。

1

.可給態養分弼定

  

土壌水分と土性の違いによる窒素・リン・カリウムの可給性を評価するためにレジンカ プセル法と従来の抽出法を比較した。北海道の畑圃場から採取した粗粒土と細粒土を用い、

水分飽和(含水比65 %)および水分不飽和(含水比32 %)条件で、25 ℃で28 日問室内培養し、

レジンカプセルヘの吸着量と、従来法による無機態窒素(1M‑ ℃1 抽出)、可給態リン(Bfay 法 ) 、 交 換 性 カ リ ウ ム (

1M

pH7

酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム 抽 出 ) を 比 較 し た 。

  1

)レジン吸着窒素量は土壌の無機態窒素含量と高い直線関係を示した。ただし、その関 係は土性と土壌水分により異なり、硝酸主体の水分不飽和条件下のレジン吸着窒素量は、

雨酸が拡散しやすい細粒土で多かった。一方、アンモニウム主体の水分飽和条件下では陽 イオン保持能が低い粗粒士のほうがレジン窒素量憾多かった。

  2

)リンのレジンヘの吸着量は不飽和条件で著しく低下した。供試土壌の可給態リン含量 はほほ同.c であったが、レジン吸着リン量は土粒子の表面積が小さい粗粒土で低くかった。

  3

)カリゥムもりンと同様、不飽和条件でレジンヘの吸着量は著しく低下した。交換性カ リウムが多い土壌ほどレジン吸着カリウム量も多みゝった。

2

.養分可給化のカイネティクス

  

レジンカプセルへの吸着特性の解析により:と壌養分の可給化の機作を推定した。前記の

(4)

粗粒士と細粒土を用い、水分飽和(含水比65。/。)およぴ水分不飽和(含水比320。)条件で、25℃ で171428・ 日 問 室 内 で 培 養 し 、 レ ジ ン カ プ セ ル ヘ の 吸 着 量 の 変 化 を 得 た 。   1)培 養 期間 中の 窒素・ リン・カリウムのレジン吸着 ,曲線憾これまでの研究と 同様、吸着 量くRAQ)は時 間(りによりRAQ =甜で回 帰された。a値憾可給態プー ル因子を示し、b値は可 給 速 度 因 子 を 示 す が 、 大 き なa値 で あ っ て もb値 が 小 さ けれ ば、 実 際の 可給 量は 少な く な る 。 と く にb1謝 直 物 吸 収 量 と 正 の 相 関 関 係 が あ る こ と が 知 ら れ て い る 。   2)窒 素・ リン ・ カリ ゥム の吸 着曲 線 のa値 は りン ・カ リウ ムで は 水分 含量 が高 いほ ど 高 く 、 窒 素 で は さ ら に 無 機 態 窒素 含量 が 高い 試料 で高 かっ た 。b値 は 飽和 条件 では 、粗 粒 土 で 明 らか に 高か った 。不 飽和 条 件で は、 粗粒 士 のり ンで 著し く低 か った が、 他は 飽和 条 件 と ほ ぼ 同 じ で あ っ た 。 こ れ らの こと か ら、 養分 可給 性の 土 壌問 差はb値 によ り特 徴づ け ら れ、同亠土壌での可給量の変動はa値により特徴づけられる。

3.園揚における養分可給性のモニタリング

  北海 道静 内町 の 未熟 火山 性土 の森 林 、草 地、畑地に おいて植物生育期間.中レ ジンカプセ ル を 作 土 の 深 さ15cmと 下 層 土 の50cmに 埋 設 し1ケ 月 間 隔 で 測 定 す る と と も に 、O15cm と30−50cmの土壌を採取し可給態養分を測定した。

  レ ジン カ プセ ル法 は圃 場の 養 分状 態を 良く 反 映し てお り、 森林 、 草地 、畑 地の 上層 、 下 層 に おけ る 養分 動態 の違 いが 明 らか に認 めら れ た。 トウ モロ コシ 畑 に韜 ける 、硝 酸、 リ ン お よび カリ ウム の レジ ン吸 着量 はト ウ モロ コシ生育期 間ヰ低下していき、生育期 間.におけ る 養 分 状 態 の 把 握 が で き る 。 ま た 同 時 に 土 壌 養 分 の 空 間 変 動 も と ら え ら れ た 。   レ ジン 吸 着養 分量 と、 従来 法 で測 定さ れた 養 分含 有量 の聞 には 正 の有 意ぬ 相関 関係 が あ っ た が、 相 関係 数は 低か った 。 この こと 絃、 レ ジン カプ セル 法が 、 ある 期間 、圃 場に レ ジ ン を埋 設し て測 定 する ため に、 植物 吸 収や 溶脱などの 養分変化を反映しているの に対して、

従来法がその時点の養分状態を示していることを反映している。

4.硝酸溶脱モニタリングヘの適用

  北 海 道 三 笠 市 の 灰 色 低 地 土タ マネ ギ 畑に おい て、 作物 生 育期 間を 含む7ケ 月間 、パ ン ラ イ シ メー タ 、サ クシ ョン カッ プ 、レ ジン カプ セ ルに より 土壌 中の 硝 酸動 態を 測定 する と と も に 、 深 さ90cmの 暗 渠 排 水 中 の 硝 酸 濃 度 を 測 定 し た 。 その 結果 、 暗渠 排水 とパ ンラ イ シ メータにより 採取された溶液中の硝酸濃度 ぬ常時10皿ぜN・I一IIを越えて・おり、またそれはポ ー ラ スカ ッ プで 採取 した 土壌 粒 団中 の土 壌溶 液 濃度 と著 しく 異な る こと を認 めた 。そ の 理 由に、硝酸が 粗大孔隙を通り粒団を回避す る流れ(バイパス流)によ り溶脱したと推論した。

作 土 のレ ジ ンカ プセ ルに よる 硝 酸吸 着量 は、 そ の測 定期 間に おけ る 暗渠 排水 中の 平均 硝 酸 濃 度と 有意 な高 い 正の 相関 関係 にあ る こと を認め.、 表土で可給化した養分量に 応じて溶脱 が生じると推論した。

  以 上の よ うに 本論 文倣 、生 産 性を 維持 しつ つ環 境 への イン パク ト を軽 減す るた めに 精密 な養 分管 理 が要 求さ れて いる 農 地に おけ る栄 養塩 状 態の モニ タリ ン グ方 法の ーっ とし てレ ジン カプ セ ル法 が有 効で ある こ とを 示し たも ので あ り、 その 成果 は 学術 的に も高 く評 価さ れる。よって審査員一 同は、MirasolF.Pattpolinoは博士(農学)の学位をう けるのに十分な 資格を有するものと認 めた。

参照

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