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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 長 谷 部 学 位 論 文 題 名

集成木材を使用した t まりおよび格子桁橋の      静 力 学 的 挙 動 に 関 す る 研 究

学位論文内容の要旨

  近年 ,木 材 が構 造材 料 とし て見直され,小規 模な橋梁の主構造 材料として集成木 材(以下「集 成 材」 とい う )が 使用 さ れて おり,国内各地に おいて歩道橘や林 道橋が架設されて いる。木橋に 関 する わが国の基準 としてfま昭和15年内務省制 定の「木道路橋設 計示方書案」があ り,形式上は 現 在も 生き て いる が, こ の示 方書案の中では集 成材にっいては触 れられておらず, 今後集成材橋 の 架設 を通 し て設 計資 料 の蓄 積を行い,集成材 に関するわが国独 白の設計基準を作 成することが 必 要で ある 。 木桁 の設 計 法は 耐荷カを基本とす る許容応力度設計 法が主流と思われ るが,橋梁部 材 とし て木 材 を用 いる 場 合は 曲げ耐荷カと変位 限界を明らかにし ておく必要がある 。また,はり の 支間 長と 桁 高の 比に よ って は耐荷カに及ぼす せん断変形の影響 を無視できない場 合もあり,せ ん 断変 形の 影 響も 考慮 し た弾 塑性解析が必要と なる。秋田営林局 土木課において計 画,建設した 坊川林道 橋と鵜養林道橋は ,秋田杉集成材を主桁と床版に使用した格子キ彳〒橋で,設計荷重は道路 橋 示方 書のT―14を 用い てお り ,自 動車 の 通行 が可 能なこれらの 集成材橋はわが国 初の試みであ る。

  本論 文は , 集成 材橋 の 設計 基準の資料の基礎 として,集成材を 使用したはりの弾 塑性挙動およ び格子桁 橋の弾性状態にお ける変形挙動を明ら かにしたものであ る。

  本論文 は,全6章 で構成しており, 各章の概要は以下 の通りである。

  第1章 は緒 論で あ り, 本論 文 に関 連す る 概往 の研 究を概括し, 本論文の目的と内 容にっいて述 べている 。

  第2章 では ,曲 げ とせ ん断 を 受け る集 成 材は りの 圧縮ひずみの ひずみ軟化を考慮 した弾塑性解 析 を行 った 。 まず ,ス ギ 材の 機械的性質を材料 試験により明らか にし,木材に適用 できる降伏条 件 を導 いた 。 っい で, 引 張試 験と圧縮試験の結 果に基づいて,集 成材を合む木材は りの圧縮側の ひ ずみ 軟化 を 考慮 した 応 力― ひずみ関係を用い ,はりの断面内ひ ずみ分布の直線性 を仮定するこ

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とによ り塑性 域分布 を求 め,集 中荷重 が載荷 する場 合荷 重点付 近でひ ずみ軟 化の 影響が 現れるこ とを明 らかに した。 また ,終局 モーメ ントfま, 圧縮強 さと引 張強 さおよびひずみ軟化の程度を表 す係数 の関数 で評価 でき ること を明ら かにし た。さ らに ,ひず み軟化 を考慮 した 直応カ とっり合 うせん 断応カ を新た に求 め,塑 性域に おける せん断 応カ の効果 を評価 した。 また ,補仮 想仕事の 原理を 弾塑性 状態の はル ヘ適用 し,破 壊に至 るまで の曲 げとせ ん断に よるは りの 変位を 求め,集 成材は りの変 位限界 が, 圧縮強 さと引 張強さ および ひず み軟化 の程度 を表す 係数 で評価 できるこ とを明 らかに した。 最後 に,集 成材は りの曲 げ破壊 実験 を行い ,ここ に提案 した 解析法 の検証を 行って いる。 ひずみ 軟化 を考慮 した集 成材は りのせ ん断 応力分 布と, 弾塑性 状態 におけ るひずみ 軟化を 考慮し た曲げ とせ ん断に よる変 位を初 めて求 めた 。

  第3章 では , 集 成 材 桁 と床 版 を 鋼 ず れ止め で合成 した合 成格 子桁橋 を想定 し,T型断 面を対 象 として 弾塑性 解析を 行っ た。床 版は, コンク リート 床版 と橋軸 方向に 配置し た集 成材床 版パネル を対象 とした 。圧縮 側の コンク リート 材と木 材の応 力― ひずみ 関係は 完全弾 塑性 とし, 引張側の 木部で は破断 点まで 直線 関係と するモ デルを 用い, 破壊 に至る までの 曲げに よる はりの 変位を求 めた。 また, はりの せん 断によ る変位 を求め ,塑性 域に おける せん断 応カの 効果 を評価 し,変位 と耐 荷 カ に 及 ばす せん 断変形 の影響 を無視 できな いこ とを明 らかに した。 さら に,T形断 面の模 型実験 を行い ,破壊 に至 るまで の合成 桁の変 位とひ ずみ を測定 し,完 全合成 桁と して解 析できる ことを 明らか にした 。

  第4章では ,秋田 杉集成 材を 主桁と 床版パ ネルに 使用 した坊 川林道 橘と鵜養林道橋の設計条件,

および 桁の製 作,架 設か ら舗装 までの 現地に おける 架設 手順に っいて 述べて いる 。また ,接着積 層 後 の 秋 田 杉 集 成 材 に ,CCA1号 の2% 水 溶 液 を 加圧 注 入 防 腐 処理 し た 場 合 の, 圧 力 注 入 に よ る木部 の強度 と接着 性能 に及ぼ す影響 ,およ び実橋 で使 用した 桁と床 版を結 合す るラグ ボルトの 引き抜 き耐カ に及ぼ す影 響を実 験的に 明らか にし, 圧力 注入防 腐処理 の影響 は実 用上問 題になら ない程 度であ ること を示 してい る。さ らに, アスフ ァル ト舗装 による 集成材 床版 パネル ヘの影響 にっい て,床 版の変 位に 及ばす アスフ ァルト 舗装による温度の影響は小さいことを明らかにした。

  第5章 では , 集 成材主 桁と 鋼トラ ス横桁 からな る格 子桁の 弾性状 態にお ける変 形挙 動を明 らか にする ために ,従来 用い られて いる剛 性法を 用いて 格子 構造の 解析を 行った 。横 桁取付 部におけ る集成 材主桁 と主桁 を貫 通する 丸鋼の 合成断 面部材 の断 面二次 モーメ ントは ,モ デル化 を行うこ とによ り評価 し,坊 川林 道橋の 二分の 一模型 桁の場 合, 鋼トラ ス横桁の断面二次モーメントの1/ 4.4に 滅 少 し, 坊 川林道 橋では175.3に減少 するこ とを示 してい る。 さらに ,ここ に提案 した 解 析方法 を確認 するた めに ,格子 桁の模 型実験 および 集成 材床版 パネル を設置 する 前に坊 川林道橋

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の現 場実験 を行い ,モデ ル化を 行わない計算法では実験値を十分評価できないことを明らかにし,

モデ ル化の 妥当性 を検証 してい る。 また, 本格子 桁の場 合, 変位に 及ばす集成材主桁のねじり剛 性を 無視で きるこ とを明 らかに した 。

  第6章で は,集 成材主 桁に集 成材 床版パ ネルを ラグボ ルトで 結合 し,鋼 トラス 横桁を 有す る格 子桁 橋の弾 性状態 におけ る変形 挙動 を明ら かにし た。ま ず, ラグボ ルトによる主桁と床版の橋軸 方向 の合成 効果に っいて ,スギ 材を 用いた 模型桁 の曲げ 試験 と有限 要素法による解析より,ラグ ボル トによ る橋軸 方向の 合成効 果は 無視で きる程 度であ るこ とを明 らかにした。さらに,秋田杉 集成 材を主 桁と床 版パネ ルに使 用し た本郷 橋の現 場実験 を行 い,実 橋においても主桁と床版の合 成効 果を無 視でき ること を確認 した。っいで,床版パネルを有する格子桁橋の横桁の曲げ剛性を,

鋼ト ラス横 桁と床 版の合 成断面 として評価し,剛性法を用いて格子桁橋の解析を行った。さらに,

坊川 林道橋 の二分 の一模 型実験 およ び坊川 林道橋 と鵜養 林道 橋の現 場実験を行い,解析法の妥当 性を 実験的 に確認 した。 また, 坊川 林道橋 と鵜養 林道橋 の現 場実験 と解析より,垂直変位に及ぼ す 笠木 の 影 響 を 無 視で きない こと を明ら かにし た。最 後に, アメ リカ道 路橋設 計基準(AASHTO) で規 定され ている 集成材 橋に対 する 荷重分 配係数 と,格 子桁 理論か ら得られる荷重分配係数を比 較 検討 し た 。 そ の 結果 ,AASHTOの 規 定値 は 荷 重 分 配を 過 小 評 価 し, 構造計 算や変 形計算 にお いて 安全側 の結果 を与え ること がわ かった 。

  最 後 に , 以 上 の 各 章 で 明 ら か に し た 諸 点 を 要 約 し て 本 論 文 の 総 括 を 行 っ た 。

学位論文審査の要旨

  近 年,木 材が構 造材料 として 見直 され, 小規模 な橋梁 の主 構造材 料として集成木材(以下「集 成材 」とい う) が使用 されて おり, 国内 各地に おいて 歩道橋 や林道 橋が 架設されている。木橋に 関す るわが 国の 基準と しては 「木道 路橋 設計示 方書案 」があ るが, 集成 材にっいては触れておら ず今 後集成 材橋 の設計 基準を 作製す るこ とが必 要であ る。

仁 雄

守 彦

   

   

   

   

輿  

  忠

村 田

幡 内

芳 角

小 金

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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  本論文 は,集 成材橋 の設 計基準 の資料 の基礎 として ,集 成材を 使用し たはり の弾塑性挙動およ び 格子 桁橋の 弾性状 態にお ける変 形挙 動を明 らかに したも ので ある。

  本論文 は,全6章 から成 ってい る。

  第1章 は緒 論であ り,本 論文に 関連す る既 往の研 究を概 括し, 本論 文の目 的と内 容にっ いて述 べ てい る。

  第2章 では ,曲げ とせん 断を受 ける集 成材 はりの 圧縮ひ ずみの ひず み軟化 を考慮 した弾 塑性解 析 に成 功して いる。 まず, スギ材 の機 械的性 質を材 料試験 によ り明ら かにし ,木材に適用できる 降 伏条 件を導 いた。 っいで ,引張 試験 と圧縮 試験の 結果に 基づ いて, 集成材 を含む木材はりの圧 縮 側の ひずみ 軟化を 考慮し た応カ ーひ ずみ関 係を用 い,は りの 断面内 ひずみ 分布の直線性を仮定 す るこ とによ り塑性 域分布 を求め ,集 中荷重 が載荷 する場 合荷 重点付 近でひ ずみ軟化の影響が現 れ るこ とを明 らかに した。 また, 終局 モーメ ントは ,圧縮 強さ と引張 強さお よびひずみ軟化の程 度 を現 す係数 の関数 で評価 できる こと を明ら かにす ると同 時に 塑性域 におけ るせん断応カの効果 を 評価 した。 また, 補仮想 仕事の 原理 を弾塑 性状態 のはり へ適 用し, 破壊に 至るまでの曲げとせ ん 断に よるは りの変 位を求 め,集 成材 はりの 変位限 界が, 圧縮 強さと 引張強 さおよびひずみ軟化 の 程度 を表す 係数で 評価で きるこ とを明らかにした。さらに,集成材はりの曲げ破壊実験を行い,

こ こに 提案し た解析 法の検 証を行 って いる。 著者は ひずみ 軟化 を考慮 した集 成材はりのせん断応 力 分布 と,弾 塑性状 態にお けるひ ずみ 軟化を 考慮し た曲げ とせ ん断に よる変 位を本研究で初めて 明 らか にして いる。

  第3章 では ,集成 材桁と 床版を 鋼ず れ止め で合成 したT形断 面を対 象とし て弾塑性解析を行い,

破 壊に 至るま での曲 げによ るはり の変 位を求 めた。 また, 変位 と耐荷 カに及 ぼすせん断変形の影 響 を無 視でき ないこ とを明 らかに して いる。

  第4章 では ,秋田 杉集成 材を主 桁と床 版と した格 子桁橋 の建設 で作 製から 架設に までに 行った 種 々の 実験に っいて 述べて いる。 その 結果接 着積層 後の秋 田杉 集成材 に対す る圧力注入防腐処理 の 影響 は実用 上問題 になら ない程 度で あるこ と,お よびア スフ ァルト 舗装に よる温度の影響が小 さ いこ となど を明ら かにし ている 。

  第5章 では ,集成 材主桁 と鋼ト ラス横 桁か らなる 格子桁 の弾性 状態 におけ る変形 挙動を 明らか に する ために ,横桁 取付部 におけ る横 桁の曲 げ剛性 のモデ ル化 を提案 すると ともに,それに基づ い た剛 性法に よる解 析を行 ってい る。 そして ,ここ に提案 した 解析方 法を確 認するために,格子 桁 の模 型実験 および 集成材 床版パ ネル を設置 する前 に坊川 林道 橋の現 場実験 を行い,著者提案の モ デル 化の妥 当性を 検証し ている 。

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  第6章では,集成材主桁に集成材床版パネルをラグボルトで結合し,鋼トラス横桁を有する格 子桁橋の弾性状態における変形挙動を明らかにした。まずラグボルトによる橋軸方向の合成効果 は無視できる程度であることを明らかにした後,床版パネルを有する格子桁橋の横桁の曲げ剛性 を,鋼トラス横桁と床版の合成断面として評価する解析法を提案し,剛性法を用いて格子桁橋の 解析を行った。さらに,模型実験および坊川林道橋と鵜養林道橋の現場実験を行い,解析法の妥 当性を実験的に確認している。

  最 後 に , 以 上 の 各 章 で 明 ら か にし た 諸点 を要 約し て本 論 文の 総括 を行 っ てい る。

  これを要するに本論文は近年架設されるようになってきた集成木材を使用した橋梁構造物の静 力学的挙動に関し多くの新知見を見出すとともに,この種構造物の設計法確立のための有用な指 針を与えるもので橋梁工学の進展に寄与する所大である。

  よ っ て 著 者 は , 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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