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田中晴生氏は,昭和55年3月 北海道大学水産学部を卒業後,昭和

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Academic year: 2022

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(1)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

報告番号 博(生)甲 第 118 号 氏 名 田 中 晴 生

学 位 審 査 委 員 会

主 査 原 研 治

副 査 橘 勝 康

副 査 荒 川 修 副 査 長 富 潔

・論文審査の結果の要旨

田中晴生氏は,昭和 55 年 3 月 北海道大学水産学部を卒業後,昭和55年4 月 北 海道大学大学院水産学研究科修士課程に入学し、昭和 57 年 3 月、同大学院を修 了した。その後、味の素 ㈱に勤務し、平成 16 年 4 月長崎大学大学院生産科学研 究科博士後期課程に社会人特別選抜によって入学し,現在に至っている。

同研究科博士後期課程においては、海洋生産科学を専攻し、所定の単位を修得 すると共に、主論文「微生物由来トランスグルタミナーゼ製剤による水産塩干品 の改質に関する研究」を完成させ,平成 18 年 12 月に査読付参考論文 2 編(受理 2 編)を添えて長崎大学大学院生産科学研究科教授会に博士(水産学)の学位を 申請した。

同教授会は,平成 18 年 12 月 20 日の定例教授会において、予備審査委員会に よる予備審査の結果報告に基づいて、論文内容を検討し,学位申請の提出資格あ りと判定し,上記の委員会を選定した。審査委員会は主査を中心として,その論 文内容を慎重に審査し,公開論文発表会を行わせるとともに,口頭による専門分 野に関する質疑を行って最終試験とし,審査結果および最終試験結果を平成 19 年 2 月 21 日の研究科教授会に報告した。

本研究では、長崎県産のマアジを原料とし、塩干品製造時における魚肉タンパ ク質の特性を種々検討し、これにトランスグルタミナーゼ(以下、TGase)製剤 を組み合わせることで、さらなる品質向上の検討を行ったものである。また、

TGase製剤の添加効果を、対照と添加区間で詳細に比較することで食品添加物と しての有用性を検証することも目的としている。

第1章は序章であり、研究背景と目的について詳述している。

第2章では、魚肉の塩干品製造の主要工程である塩漬におけるTGase製剤の添 加効果について検討を行ったものである。採取したマアジ背肉を 1cm 角に切り 出し、これを2.0 M NaCl (pH 7.0) 溶液中で4℃にて最大24時間の塩漬処理を行 い、経時的に取り出したサンプルの各種特性(肉の物性、タンパク質組成)につ いて検討している。TGase製剤の添加は塩漬液に対して所定量の「アクティバ」

TG-S (味の素 ㈱ 製、畜肉練り込み用、100u/g)を加えることで行っている。

(2)

その結果、塩漬時間の経過に伴って魚肉の破断荷重は次第に上昇し、常にTGase 製剤添加区が対照よりも高い値を示すことを述べている。また、塩漬処理した魚 肉を8M尿素-2% SDS-2% 2-メルカプトエタノール混液(以下、尿素-SDS-メルカ プトエタノール混液)に溶解後SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分析し たところTGase製剤添加区は対照に比べてミオシン重鎖の重合度合いが顕著で、

重鎖多量体の生成を認めている。これらの検討結果からTGase製剤は塩漬処理中 に、架橋効果を発揮し魚肉の物性向上に影響を与えていることを確認している。

次に第3章では、第2章での検討結果をもとに、より実用系に近い系として、

近海で漁獲された新鮮なマアジをフィレー状に加工し、長崎県総合水産試験場の BP設備を借用して塩漬・乾燥処理実験、試作、評価を行った内容について述べて いる。最初に、塩漬時におけるマアジフィレー肉の表面部分と内層部分の塩分濃 度の差について検討している。その結果、最大24時間塩漬しても、塩漬液と直接 接触している外側部分と最奥部にあたる内層部分で浸透度合いが異なり、内層部 分の塩分濃度は表面のそれの50~70%程度に留まることを明らかにしている。微 生物由来TGaseは分子量が約38,000であり、長時間塩漬を行ってもTGase が肉の 内層部分まで浸透する可能性は低いと考察している。また6時間塩漬処理した魚 肉を用いて30℃における冷風乾燥処理を行った場合の特性について検討してい る。その結果、乾燥処理においては塩漬時ほどの大きなタンパク組成の差は見ら れなかったことを述べている。ただし、塩漬・乾燥処理の両過程において TGase 製剤添加区と対照区間で、筋原線維 Ca-ATPase 活性の経時変化について検討し たところ、乾燥処理工程では、TGase 製剤添加区の方が対照よりも活性低下の度 合いが遅いという興味深い結果を述べている。これらの結果より、TGase 製剤は 魚肉中の、塩漬液に接触している外側部分を優先的に架橋し、生成されたタンパ ク質の架橋重合物が乾燥の段階において内層部分のタンパク質の変性を抑制す ることを示唆している。

さらに、第4章では長崎大学水産学部学生をパネルとした、マアジフィレー肉 を使用した塩干試作品の加熱調理品による官能評価について調べている。その結 果、TGase 製剤添加区は対照よりも有意に好まれていること述べている。

これら一連の検討結果は、今後、水産塩干品製造時に TGase を加えることで、

物性コントロールや歩留まりの向上に本知見が活用されることが期待される。

以上のように,本論文は,水産塩干品の品質向上を目的とする食品学分野の進 歩に貢献するものであることを認め,博士(水産学)の学位に値するものとして 合格とした。

参照

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