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干潟域,密度場を考慮した三次元流動モデルの検討

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Academic year: 2022

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(1)II-058. 土木学会西部支部研究発表会 (2011.3). 干潟域,密度場を考慮した三次元流動モデルの検討 熊本大学大学院自然科学研究科. 学生会員 ○末益. 潤. 熊本大学沿岸域環境科学教育研究センター. フェロー. 滝川. 清. 熊本大学工学部技術職員. 正会員. 矢北 孝一. 1. はじめに. の値を保持させ,次の冠水時にその値を参照するように. 広大な干潟を有し,また河川流量が多いために沿岸域. している.一方で上げ潮時は,周囲四方の冠水セルの水. で密度成層の強さの変化が起こりやすい有明・八代海の. 位の平均値を干出セルに外挿して(図‑1)水深を計算し,. 流動解析を行う際には,干潟域,密度場を考慮した解析. 閾値以上であれば冠水セルとして計算領域に戻す.. 1). を行う必要がある.これまでに,例えば西田ら が干潟を. 2.3 境界セルの水温値,塩分値の扱い. 考慮した流動モデルを構築し,有明海へ適用することで. 図‑2 に本プログラムのフローチャートを示す.陸海の. 流動特性について検討しているが,干潟域,密度場を十. 判断材料となる水位変動値は外部モード(平面二次元計. 分に再現した流動モデルはまだ確立しておらず,有明・. 算)で計算される一方で,水温値・塩分値などは内部モ. 八代海の流動特性,密度構造は十分に議論されていない.. ード(三次元計算)で計算される.そこで,内部モード. そこで本研究では,干潟域,密度場を考慮した流動モ. においても境界移動に伴う計算処理を検討した.ここで. デルを構築し,有明・八代海に適用するとともに,湾内. 検討したのは水温値,塩分値である.セルが干出した場. の流動特性,密度構造を検討することを最終目標として. 合,干出セルは移流・拡散計算が起こらないように,一. おり,流動モデルの構築のために必要な干潟の冠水・干. 方で冠水が起こる場合,境界移動の再現手法と同様に,. 出過程に伴う陸海境界移動,境界付近の密度値(水温,. 周囲四方の冠水セルの水温値,塩分値の平均を干出セル. 塩分)の扱いを検討し,モデルに組み込むことを試みた.. に与えるように設定した.冠水過程において上記のよう な設定を行. 2. 干潟域を考慮したプログラムへの改良. ったのは,. 2.1 基本数値モデルの概要. 周囲の海水. START 外部モード開始 (平面二次元計算). 内部モード開始 (三次元計算). 本研究で使用する基本数値モデルは,Princeton 大学が. がそのまま. 潮位. 鉛直流速. 開発した σ 座標系準三次元モデル POM(Princeton Ocean. の水温値,. 冠水・干出判定. 乱流エネルギー. Model)である.オリジナルの POM には,干潟の冠水・干. 塩分値で干. 平面二次元流速. 密度 (水温,塩分). 出にともなう陸海境界の移動を再現するアルゴリズムが. 出セルに流. 含まれていない.そこで,境界移動(干潟の冠水・干出). れ込む過程. の再現と境界が移動する際の境界セルの水温値,塩分値. を再現する. の扱いについてプログラムの改良を行った.. ためである.. Yes. No. 外部モード終了 三次元水平流速 No. 境界移動の再現手法はこれまで様々な提案がなされて 2). いるが,本研究では加藤ら の手法を参考にした.水深に. 3. 矩形湾での計算・検討 3.1 計算条件・領域 改良したプログラムの検証のために,矩形湾を設定し,. 閾値を設け,下げ潮時の水位低下とともに,水深が閾値. 計算を行った.図‑3,図‑4 に計算領域を示す.格子幅は. 以下となった場合は 陸域. 干出セルと仮定し,. リアせずに干出する 直前の計算ステップ. 400[m]×400[m]で鉛直方向を 6 分割している.計算条件 は,西境界から振幅 2[m]の M2 分潮(周期 12.42[hr])を与. 流入出する流速をゼ. 水位変動値をゼロク. Yes. STOP. 図‑2 プログラムフローチャート. 2.2 陸海境界移動の再現. ロとする.その際,. 全計算終了. え,北・南境界は放射条件とした.水深閾値は 0.1[m]と. 海域 外挿される水位 外挿時に使用する水位. 図‑1 水位の外挿イメージ. している.ここでの計算は干潟を含む領域において境界 移動,水温値,塩分値の処理が可能かどうかを検証する ものであるため,水温,塩分の初期値は空間一様(水温: -255-.

(2) II-058. 土木学会西部支部研究発表会 (2011.3). 28[℃],塩分:32[PSU])とし,淡水流入,日射等の外部. 4. まとめ. からの密度フラックスは与えていない.. 本研究では,干潟域,密度場を考慮した流動モデル構. 3.2 計算結果. 築のために,移動境界手法と境界移動場における水温値,. 図‑5 に,図‑3 の湾奥(四角で囲む領域)における,(a). 塩分値の扱いについてプログラムの改良,検討を行い,. 上げ潮時,(b)満潮時,(c)下げ潮時,(d)干潮時の水深分布. 境界の移動と水温値,塩分値が安定していることを確認. および流速ベクトル(平面二次元)を示す.無着色領域. した.今後は,有明・八代海に適用し,外力(淡水流入,. は陸域である.図より,初期状態で X=108[km]であった. 日射,風)を考慮した計算を進めていくことで,海域の. 汀線位置が,満潮時には X=110[km](初期水深-2.5[m]). 流動特性,密度構造を検討していく.. 付近まで,干潮時には x=106[km](初期水深 2.5[m])付近 まで移動していることが確認できる.また,上げ潮時,. 《参考文献》. 下げ潮時の流速ベクトルについて,水深が比較的浅い汀. 1)西田修三,入江政安,橋本基,海江田洋平(2006):干潟を考慮. 線付近においても異常な流速は見られず,境界移動を再. した流動モデルの構築と有明海への適用,水工学論文集,第 50. 現できていると判断される.. 巻,pp1441-1446. 図‑6 に, 図‑3 の地点 A における計算開始 684 時間後 (29. 2)加藤一正,田中則男,灘岡和夫(1985):干潟上の潮流計算およ. 日 13 時間後)から 732 時間後(31 日 12 時間後)の水温. び干潟変形予測の手法,港湾技術研究所報告,Vol.18,No.4,. および水位変動の時系列グラフを示す.地点 A の初期水. pp3-75. 深は 0[m]であるため,水位変動値が 0.1[m]のときは干出 しているとみなせる.図より,境界が移動する際(特に 冠水する時)に水温が増減していることが分かる.塩分 についても同様の結果を示した.この理由として,冠水 時の水位の外挿により,水温計算に誤差が生じたこと, そして冠水時に周囲の水温値を参照するために冠水する 瞬間に値が増減することが考えられる.本計算では初期 条件で水温を空間一様に与えているために,主要な要因 (b) 満潮. (a) 上げ潮. は前者であり,前者が生じたのちに後者も生じていると. Depth. 考えられる.しかし,増減値は 10-2 のオーダーであり, 30 日たった値も初期値 28[℃]から大きく変化していない ため,境界移動にともなう水温値,塩分値の処理が適切 に実施されていると判断している.. 20 km. 60 km. 88 km. A (c) 下げ潮時. 8 km. y. 図‑5 水深分布および流速ベクトル temparature. x. 図‑3 計算領域(水平断面図). x. 4 km 50 m. 1/800. 3. 28.05. 2. 28 1. 27.95 27.9 684. 68 km. elevation. 28.1 temparature [℃]. 111.2 km. z. (d) 干潮. 690. 696. 702. 708. 714. 720. 726. time [hr]. 40 km. 図‑6 水温および水位変動の時系列グラフ. 図‑4 計算領域(鉛直断面図) -256-. 0 732. elevation [m]. 20 km.

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