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平成24年度 土木学会北海道支部 論文報告集 第69号

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Academic year: 2022

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焼成貝殻粉末を混入したモルタルの水酸化カルシウムの反射電子像観察

An observational analysis of calcium hydroxide in mortar containing burnt clam powder by SEM backscattered electron image 苫小牧工業高等専門学校 環境都市工学科 ○学生員 佐藤隼可(Junka Sato) 苫小牧工業高等専門学校 環境都市工学科 正 員 廣川一巳(Kazumi Hirokawa) 苫小牧工業高等専門学校 環境都市工学科 正 員 渡辺暁央(Akio Watanabe) 苫小牧工業高等専門学校 専攻科 環境システム工学専攻 学生員 石井允都(Masato Isii)

1. はじめに

現在水産系廃棄物の有効利用のシステムの確立が遅れ ており、その理由として処理コスト、最終処分場の不足、

法律の整備の遅れなどの問題があげられる。水産系廃棄 物の約半数が貝殻となっており、その研究が行われてい る。著者らは貝殻の中でも有効利用の遅れているホッキ 貝殻をコンクリート材料へ用いることができないか検討 している。既往の研究において焼成したホッキ貝殻をセ メントの一部と置換したモルタルを作製すると膨張現象 が認められた。これはホッキ貝殻を 1000℃で焼成する 際に貝殻のCaCO3がCaOに変化し、水と化学反応を起 こすことでCa(OH)2を生成するためと考えている1)。写 真-1 は普通モルタルと焼成ホッキ貝殻をセメントに対

して 10%置換したモルタルを比較した写真であり、焼

成ホッキ貝殻を混入したモルタルに異常膨張が認められ ている。一方でホタテ貝殻を使用して同様の実験を行っ たところ置換率 10%においてホッキ貝殻と同様の目視 でわかるほどの大きな膨張は認められなかった。また、

示差熱熱重量分析装置(TG-DTA)を用いてモルタル内部

のCa(OH)2の定量評価を行った結果はホッキ貝殻とホタ

テ貝殻を混入したモルタルのCa(OH)2の生成量に大きな

差はなくCa(OH)2の生成と膨張量の関係性は不明だった。

そこで、本研究では、Ca(OH)2の評価の手法の1つであ る走査型電子顕微鏡による反射電子像観察を行い、

Ca(OH)2の生成状況を視覚的に把握することを目的とす

る。

2. 実験概要

2.1 焼成貝殻粉末の製造方法

本研究で使用するホッキ貝殻およびホタテ貝殻は、実 験前に洗浄および乾燥後、粉砕し75µmふるいを通過し たものをホッキ貝殻粉末(以下、HP)およびホタテ貝殻粉 末(以下、SP)とした。これを 1000℃で焼成したものを 再度粉末化した。

2.2 供試体作製

普通ポルトランドセメント(密度:3.14g/cm3)(以下、

N)および厚真産普通砂(表乾密度:2.77g/cm3、吸水率:

1.96%)を使用し、JIS R 5201 に準じて、40×40×

160mm の角柱供試体を作製した。この配合をベースと

し て 、 焼 成 SP(密 度 :3.05g/cm3)、 焼 成 HP(密 度 : 2.95g/cm3)をセメントに対して 10%置換しモルタルを作 製した(以下、SP10、HP10)。打設直後 20℃の恒温室で

写真-1 膨張した供試体(40×40×160㎜)1)

表-1 配合表 W/C

(%) 水 (g)

セメント (g)

置換量 (g)

細骨材 (g) N

50 218

436 0 1113 SP10

HP10 392 44

24 時間静置し、脱型後 20℃の水中養生を行った。配合 を表-1に示す。

2.3 TG-DTA および XRD

材齢7日の供試体を破砕して粉末化し、プロパノール で水和反応を停止させ、真空乾燥させた試料を作製した。

この試料について示差熱熱重量分析装置(TG-DTA)およ び粉末X線回折(XRD)を用いてCa(OH)2の定量評価を行 った。

2.4 反射電子像観察

材齢7日セメントモルタル供試体にて供試体中央部か ら 10mm2程度に試料片を切り出し、プロパノールに浸 漬して水和反応を停止させた。真空樹脂含浸装置を用い てエポキシ樹脂を含浸させた。樹脂が硬化したら試料を 耐水研磨紙およびダイヤモンドスラリーを用いて観察面 に対して注意深く研磨をし、その表面にプラチナによる 蒸着処理を施し、反射電子像観察試料とした。

4 分割型反射電子検出器を備えた走査型電子顕微鏡を 用いて、観察倍率500倍でセメントペースト部分の反射 電子像の撮影を行った。

焼成ホッキ貝殻を混入したモルタル(HP10)

普通モルタル(N)

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3. 実験結果および考察 3.1 示差熱熱重量分析(TG-DTA)2)

図-1は材齡7日のTG-DTAによるCa(OH)2の定量評 価の結果である。普通モルタルには約1%の Ca(OH)2が 含まれておりSP10、HP10には約2%のCa(OH)2が含ま れている。SP10と HP10の Ca(OH)2の含有量に大きな 差は見られなかった。

3.2 粉末 X 線回折(XRD)2

図-2は材齡7日のXRD の結果である。SP10 は普通 モルタルと同程度の Ca(OH)2のピークであったが HP10 の 18 度付近のピークが非常に大きくなっていることが わかる。TG-DTAの結果からHP10、SP10のCa(OH)2の 含有量に大きな差はなかったがHP10の供試体は目視で 確認できるほどの膨張が発生しており 18 度付近のピー クの差が膨張と何らかの関係性がある可能性があると考 えられる。

3.3 反射電子像観察(SEM-BEI)

写真-24はN、SP10およびHP10の反射電子像の例 である。白色の粒子の相が未水和セメントの相、明るい 灰色の相がCa(OH)2の相であり、黒色の相は粗大毛細管 空隙である。Nはセメント粒子程度の大きさのCa(OH)2 の結晶が見られた。SP10のCa(OH)2の生成量はNより 多く、小さな結晶が集合して形成されている。HP10 の Ca(OH)2の生成量もN より多く、SP10 と量的な差はな いようである。HP10のCa(OH)2の生成状況はNと同様 にセメント粒子程度の大きさのCa(OH)2の結晶が確認で きたが、きめが粗いようであり小さな結晶が緻密に集ま っているように感じられる。SP10 と HP10 の Ca(OH)2

の生成の違いは小さい結晶の密集度が異なっていると考 えられ、HP10 の供試体が SP10 より膨張しているのは 結晶の密集度の違いで膨張量の違いにつながるからと推 察される。

4. まとめ

本研究ではモルタル内部のCa(OH)2の生成状況の把握 をするために反射電子像によるCa(OH)2の観察を行った。

結果をまとめると以下のようになる。

(1) HP10は全体にまとまってCa(OH)2を生成するのに 対しSP10のCa(OH)2は散らばって生成されている。

(2) Ca(OH)2の生成の仕方がモルタルの膨張量に大き な影響を与えると推測できた。

参考文献

1) 上村清志、渡辺暁央、廣川一巳:焼成ホッキ貝殻を 使用したモルタルの膨張特性について、プレストレスト コンクリート技術協会 第20回シンポジウム論文集、

pp.519-522,2011

2) 石井允都、渡辺暁央、廣川一巳:焼成貝殻粉末を称 したモルタルの膨張特性について、プレストレストコン クリート工学会 第21回シンポジウム論文集、pp.541- 544、2012

0 1 2 3

N SP10 HP10

含有量(%)

写真-2 N

写真-3 SP10

写真-4 HP10

N SP10 HP10

図-2 XRD分析結果

●:Ca(OH)2

図-1 Ca(OH)2の含有量

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