論 文 要
旨等 報
告書
氏
授 与 し た 学 位 専 攻 分 野 の名 称 学 位 授 与 の番 号
野博歯博
田 欣 志
甲
士学
8 3
第
3 5
号学 位 授 与 の 日付 平 成
2 1
年3
月2 5
日′学 位 授 与 の 要 件 医歯薬学総合研 究科機能再生 ・再建科学専攻 (学位規則第
4
条第1
項鋲 当) 学 位 論 文 題 名 一般化推定方程式を用いた口腔インプラント脱落 に影響を及 ぼすリスク要因に関する
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年 間の後ろ向きコホート研究論 文 審 査 委 員 教授 森 田 学 准教授 高木 懐 教授 窪木 拓男
学 位 論 文 内 容 の 要
旨【緒言】口腔インプラン ト治療の予後は,イ ンプ ラン ト体に粗造な表面性状 を与えることによ り格段に改善 されたo したがって,最近ではほとん どのシステムが粗造な表面性状を与えたイ ンプラン ト体を提供 してい るが・ これ らのインプ ラン ト体の臨床予後は十分検討 されていると は言えない。また, 口腔イ ンプラン トの トラブル に関す る リスク要因についても,表面性状が 進歩 したことにより相対的に変化 した と考えられ るが,十分 な臨床エ ビデ ンスが蓄積 されてい ると僧 言えない。一方・多 くの臨床研究では,同一患者に埋入 されたイ ンプラン ト体 を独立 し た個々の観察対象 とす るため,同一患者内で複数 のイ ンプラン ト体が脱落 した場合には,年齢 や喫煙 といった患者個体 レ空ルの リスク要因を過大評価す る可能性 があった。近年,Liamg皮 zeger (1986)により一般化推定方程式 (GeneralizedEstimatingEquations:GEE)が開発 され, 対象の琴似性 を考慮 しつつ,冷凍効果に影響 を及ぼす リスク要因の同定が可能 となった。そこ で本研究では,GEE法を用いてイ ンプラン ト体脱落に甲す る リスク要因を同短す ることを目的 に,岡山大学医学部 ・歯学部附属病院補綴科 (クラウンブ リッジ)で埋入 された表面性状が粗 造な全インプラン ト体を対象 とした診療録ベースの後 ろ向きコホー ト研 究を行った。
【方法】対象は・1990年2月か ら2007年3月までに当科で口腔インプラン ト治療 を受けた全患者3 93名 に埋入 されたイ ンプラン ト体1062本か ら・①術者がオ ッセオインテグレーシ ヲンの獲得 と は関係なく何 らかの原因によ り除去 したインプラン ト体 (7本),②表面性状が滑沢なインプラ ン ト体 (250本),③喫煙習慣が不明な患者に埋入 されたイ ンプラン ト体 (糾本) を除外 した72 1本 (患者 :296名,平均年齢 :53.9±12.3歳,男/女 :110/186名)であるO 口腔インプラン ト 脱落の判断は,以下のいずれ かの理由により除去 もしくは脱落 した とい う記載が診療録に確認
された場合 とした。すなわち,① 自然‑もしくは上部構造撤去時に脱落,②イ ンプラン ト体埋入 部位 に痔痛や違和感 を訴えたため除去,③インプラン ト体が回転 ・動揺 したため除去,④デ ン タルエ ックス線写真上で明 らかな透過像 を藩めたため除去,⑤イ ンプラン ト体が破折 したため 除去 とい う記載を診療録で確課 した。
そ して, 口腔インプラン ト脱落の評価 は,インプラン ト体埋人か ら上部構造装着までのオ ッセ
′オインテグ レーション獲得期 と上部構造装着轡のオ ッセオイ ンテグレーシ ョン維持期に大別 し て行らたO オ ッセ オ イ ンテ グ レー シ ョン獲 得 率 は , イ ンプ ラ ン ト体 埋 入 本 数 に 対 す るオ ッセ オ イ ンテ グ レー シ ョン獲 得 イ ンプ ラ ン ト体 本 数 の 単 純 案 分 率 と して 算 出 し, オ ッセ オ イ ンテ グ レー シ ョン維 持 率 は ,
I T
で解 析 を用 い た 生 命 保 険 数 理 法 に よ り算 出 した。 この 際 , 口腔 イ ンプ ラ ン ト脱 落 に影 響 を及 ぼす 可 能 性 の あ るイ ン プ ラ ン ト体 個 々 の 要 因 と して , イ ンプ ラ ン ト体 の長 径 , 幅 径 ,埋 入 部 位 (上 顎 / 下 顎 ,ド 前 歯 部 / 白歯 部 ) ,外 科 術 式 (l回披/2
回法 ) ,骨 増 生術 の 有 無 , 上 部 構 造 装 着 後 の負 荷 開始 時 期 ,」二部 構 造 の維 持 機 構 を選 択 した。 ま た ,患 者 の個 体 レベ ル の 要 因 と して ,イ ン プ ラ ン ト体 埋 入 時 の年 齢 ,性 別 , 喫煙 習 慣 の有 無 ,残 存 歯 数 を選 択 し た。 そ して , リス ク要 因 の統 計 学 的検 討 は ,従 来 採 用 され て き た ロ ジ ス テ ィ ック 回 帰 分析 な ら'び にCox
の 比 例 ハ ザ ー ドモ デ ル に加 え,qEE
法( SPSS vers i on 16. 0
∫o rWi ndows
,SPSS I nc.
,Japan)
を応 用 した。統 計 学 的 な結 果 の信 頼 性 を 向 上 さ せ るた め,変 数 減 少 法 を用 い て要 因 を絞 り込 み ,全 て の 要 因 のp値 が0. 1
未 満 に な っ た 時 点 で 評価 した。 なお 全 診 療 録 の 開 発 は一 人 の 検 者 が複 数 回行 っ た。 ま た ,本 研 究 は 岡 山大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 疫 学 研 究 倫 理 審 査 委 員 会 の 承 静 を得 て 行 っ た (倫 理 委 員 会 承 罷 番 号213)。【結果】7名に埋入 された11本のインプラン ト体が上部構造装着までに脱落 したため,オッセ オイシ テグレーション獲得率は98.5%となった。また,上部構造装着後には8名 に埋入 された 10本のイ ンプラン ト体が脱落 してお り,その うち7本は4年以内 と比較的早期に脱落 していた。
その結果,10年累積オ ッセオインテグレーシ ョン維持率は94.0%となった。 さらに,オ ッセオ インテグ レーシ ョン獲得失敗の有意な り不ク要因 として 「インプラン ト体埋入時に喫煙習慣が あること」がロジスティック 回帰分析 (p<0.01)̲および
GEE
法 (p<o・01)において同定 された。さらに,オ ッセオインテグレーシ ョン維持喪失の有意な リスク要因 として,Coxの比例ハザ‑
'ドモデルによって 「上部構造の維持機構が患者可撤式であること」
(
p<0. 0
1)が同定 されたが,GEE
法では 「上部構造の維持機構が患者可撤式であること」 b<
0.01)に加 え, 「インプラント体埋入時に喫煙習慣があること」
(
p=0.02)が追加同定 された。【考察】本研究で導 き出 されたオ ッセオイ ンテグ レーシ ョン獲得率な らびに維持率は,他の国 内外の報告 と大差なく,本研究結果の高い外的妥 当性 が示唆 された。 また,同一 口腔内に複数 の処置を含む ことが多い歯科の腐 床評価 において,処置 を独立 したもの として扱 う従来の多変 量解析に加 え,同一 自腔内であることの類似性 を加味できる
GEE
法 を用い ることにより,よ り 信頼性の高い臨床評価を行 うことができる可能性が示唆 された。論 文 審 査 結 果 の 要 旨
口腔インプラン ト治療の臨床成練は,インプラン ト体に粗造な表面性状を与えること によ り,以前に比べ格段に向上 されたが,いまだイ ンプラン ト体の除去 といった失敗 が わずかなが ら存在 し,その失敗は患者 に多大な損失 を与えている. しか し,これ ら粗造 な表面性状 を有するインプラン ト体の失敗に影響 を与えるリスク要因については十分 な 検討がなされていない.さらに近年,イ ンプラン ト体個々を対象 とす る従来の多変量解 析に加 え,同一対象の類似性 を加味できる一般化推定方程式
( GEE)
が開発 され,よ り 患者が持つ個体 リスクを考慮 した検討が実現できるようになった.本研究では,岡山大学病院補綴科 (クラウンブ リッジ)にて 口腔インプラン ト治療 を 受けた全患者
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名,イ ンプラン ト体1 06 2
本を対象に,粗造なイ ンプラン ト体の予後調 査をI TT
解析 により行い, さらにイ ンプラン ト体脱落に関す る リスク要因の検討 をオ ッ セオインテグ レーシ ョンの獲得 と維持 にわけ,ロジステ ィック回帰分析やCox
の比例ハ ザー ドモデル ならびにGEE
法を用いて行 った.その結果,オ ッセオインチグレーシヲン獲得率は
9 8・ 5%
,上部構造装着後の1 0
年累積 オッセオインテ グレーション維持率は9 4. 0
%であった.そ して,オ ッセオイ ンテグレー シ ョン獲得に影響を及ぼす リスク要因 として, ロジステ ィック回帰分析お よびGEE
法両 者により 「イ ンプラン ト体埋入時に喫煙習慣があること」が同定 された.また,オ ッセ オイ ンテグレーシ ョン維持に影響 を及ぼす リスク要因 として,Coxの比例ハザー ドモデ ルにより 「上部構造が患者可撤式であること」のみが同定 されが,GEE
法を併用す ることで 「喫煙習慣があること」が追加 された.
本研究は,後 ろ向き研兎ではあるが,厳密 な研究デザインにより遂行 された全数調査 であ り,患者 の臨床決断を促す最新 の臨床エ ビデ ンスと提供 し得た といえる.そ して, 従来の多変量解析に加 え,