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大阪府立産業技術総合研究所 No.

OSAKA OSAKAOSAKA OSAKA OSAKA

チタン酸ジルコン酸鉛、薄膜、スパッタリング、強誘電体 概要

概要概要 概要 概要

強誘電体は分極を持たせることができ、また 反転させることもできるという、半導体や金属 材料などとは異なった特徴を有している点で、

最近、強誘電体メモリーや、赤外線センサ、超 音波センサ、圧電アクチュエータ等の応用分野 で注目を浴びている材料です。特にチタン酸ジ ルコン酸鉛(Pb(ZrTi 1−x)O)は比誘電率、

残留分極、圧電係数、機械結合係数が大きく、

また高いキューリ温度**(328℃)なので、強誘 電体材料の中で最も種々の応用に利用されてい る材料です。

近年、電子デバイスの小型化の流れの中で、

強誘電体材料の薄膜化技術も積極的に研究開発 されています。ゾルゲル法、CVD 法、スパッタ 法、レーザアブレーション法など種々の方法が 試みられていますが、それぞれ特徴があり、PZT 薄膜の利用目的によって使い分けがなされるこ とになると考えられますが、バルク材料に比べ ると薄膜では十分な特性が未だ得られていませ ん。

当研究所では大阪府先導的研究プロジェクト

「スーパアイイメージセンサ研究開発」の中で薄 膜超音波センサ用の薄膜材料として PZT 薄膜を 取り上げました。この目的のためには自発分極 が大きく圧電常数の高い薄膜が必要です。この ためには結晶軸が基板に垂直に揃っていること が望ましく、また、できるだけ膜厚の厚い膜が 必要ですので、高速成膜が必要となります。 

対向ターゲットスパッタ成膜法 対向ターゲットスパッタ成膜法 対向ターゲットスパッタ成膜法 対向ターゲットスパッタ成膜法 対向ターゲットスパッタ成膜法

これらを満足する成膜法として対向ターゲッ トスパッタ法(FTS)を採用しました。この成膜法 では2つの同じターゲットを対向して配置し、

対向するターゲットを貫通してターゲット間に 磁力線を通す構造としています。2つのター ゲットに同じ電圧(直流あるいは高周波)を印 加するとターゲット間にプラズマが発生しま

す。基板はターゲット間のプラズマから少し離 れた位置にセットされているので、成膜中に基 板が高エネルギー粒子により、衝撃を受けるこ とは少ないことになります。高エネルギー粒子 によるダメッジが少ないことから、高配向性 ZnO や CoCr 薄膜を作製したという報告がありま す。また高速成膜が可能で SiO膜で 100nm/min という高速成膜を達成したという報告もありま す。しかしながらこの FTS による PZT 薄膜作製 は行われていませんでした。

PZT PZT PZT PZT

PZT 薄膜の作製と熱処理効果薄膜の作製と熱処理効果薄膜の作製と熱処理効果薄膜の作製と熱処理効果薄膜の作製と熱処理効果

PZT 薄膜の標準的な成膜条件は表1の通りで す。

直流スパッタ法により作製すると高速成膜が 達成できますが、ターゲット作製が困難である ため、酸化物ターゲットを使用して、高周波ス パッタ法により成膜しました。ターゲット組成 は Pb1.2Zr0.58Ti0.42O+dです。Pb は成 膜中に抜けるため少し多めにしています。

Pt/Ti/SiO/Si 基板の Pt は(111)配向してい ます。一般に PZT には 2 種類(パイロクロア構 造( 常誘電相)とペロブスカイト構造( 強誘電 相))の結晶構造が存在しますが、どの結晶相の 薄膜が得られるかは、成膜パラメータ(作製条 件:基板温度、高周波電力、全ガス圧、酸素分

表1 PZT成膜条件 表1 PZT成膜条件 表1 PZT成膜条件 表1 PZT成膜条件 表1 PZT成膜条件

強誘電体PZT高配向性薄膜の作製

99038

(2)

圧など)によって異なります。したがって成膜 パラメータを変化させて最適条件を見つけます が、4元化合物薄膜の結晶構造と配向制御を、

成膜のみ(As depo)で行うことは難しいもので す。そこでより早く目的の膜(強誘電結晶相で 配向性の高い膜)を得るために熱処理を行いま した。成膜条件の調整(表1)と空気中で熱処理 を加えることにより比較的容易にペロブスカイ ト単相で(111)配向の PZT 薄膜が得られました。

表2に熱処理条件を示します。

基板温度による PZT 薄膜のX線回折パターン の変化の様子を図1に示します。熱処理温度は 600℃です。図から分かるとおり成膜温度が高 いと熱処理により結晶再配列が進まなくてパイ ロクロア相も残り、また配向性は良くありませ ん。基板温度 280℃〜435℃程度で成膜した膜で ペロブスカイト単相となり、配向性が良くなり ます。

図2に熱処理条件による PZT 薄膜のX線回折

パターンの変化の様子を示します。600℃程度 の熱処理で(111)配向がほとんど 100% の膜が得 られました。この膜の P‑E特性(分極ヒステリシ スカーブ)を図3に示します。残留分極 45 μ C/

cm、飽和分極 79 μ C/cmが得られました。こ の値は PZT 薄膜として報告されている値の最高 値です。

このように高品質 PZT 薄膜を作製することが できたので、今後、超音波センサ作製や圧電ア クチュエータなど PZT 薄膜を利用した応用展開 を図って行きたいと考えてます。 

────────────────────

*  残留分極:電圧を外部から印加した後、電 圧を除いても電気的極性(+、−)が残る現象。

** キューリ温度:この温度以上では強誘電性 を示さない温度。この温度で結晶構造が変化する。

本件のお問い合わせは、情報電子部光材料系 田中 恒久まで。

Phone:0725‑51‑2665 

(作成者 鈴木義彦/2000年2月15日発行) 表2 PZT熱処理条件

表2 PZT熱処理条件 表2 PZT熱処理条件 表2 PZT熱処理条件 表2 PZT熱処理条件

図1 種々の基盤温度で成膜した熱処理 図1 種々の基盤温度で成膜した熱処理図1 種々の基盤温度で成膜した熱処理 図1 種々の基盤温度で成膜した熱処理図1 種々の基盤温度で成膜した熱処理

  PZT薄膜のX線回析パターン   PZT薄膜のX線回析パターン   PZT薄膜のX線回析パターン   PZT薄膜のX線回析パターン   PZT薄膜のX線回析パターン

((

((熱熱熱熱熱処処処処処理理理理温理温温温温度度度度度 600600600600600℃)℃)℃)℃)℃)

図2 PZT薄膜X線回析パターンの基板熱処 図2 PZT薄膜X線回析パターンの基板熱処図2 PZT薄膜X線回析パターンの基板熱処 図2 PZT薄膜X線回析パターンの基板熱処図2 PZT薄膜X線回析パターンの基板熱処

理温度による変化 理温度による変化 理温度による変化 理温度による変化

理温度による変化(((((成成成成膜成膜膜膜膜温温温温温度度度度度 360360360360℃)360℃)℃)℃)℃)

図3 分極ヒステリシスカーブ 図3 分極ヒステリシスカーブ図3 分極ヒステリシスカーブ 図3 分極ヒステリシスカーブ 図3 分極ヒステリシスカーブ

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