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熱分解ガス化溶融システムの実証 高橋正光

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Academic year: 2021

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(1)

まえがき=わが国では年間発生する約 5 000 万トンの都 市ごみの大部分を,「焼却+埋立」により減容化,安定化 処理してきた。しかし,最終処分場の不足が深刻化する なか,さらにダイオキシン類問題をはじめとした環境負 荷の低減,リサイクルの推進といった観点からの従来の 焼却処理に対する見直しも含め,中間処理の「質的転換」

が求められている。

 これらに対応する技術として,当社はごみ焼却と灰溶 融を同時におこなうとともにリサイクル性にも優れてい る流動床式熱分解ガス化溶融システムに着目し,パイロ ットプラント試験を中心に実用化に向けた開発を進めて きた1)。さらに,青森県中部上北広域事業組合との共同 研究として,1998 年 9 月より 1999 年 4 月まで 30t/d 実 証プラントの運転をおこなってきた2)3)

 本稿では,流動床式熱分解ガス化溶融システムの概要 と実証試験でえられた成果について報告する。

1.流動床式熱分解ガス化溶融システム

1.1 システムフロー

 当社が提案している流動床式熱分解ガス化溶融システ ムの概略フローを第 1 図に示す。本システムは,

 ①稼動実績が多い信頼性の高い機器で構成されている。

 ②システムの構成がシンプルである。

ことが特長である。

 熱分解ガス化炉としては,都市ごみ焼却炉で実績の多 い流動床炉をもちいている。ごみを一次空気比 0.3〜0.6 の条件で部分燃焼させ,砂層温度を 500〜600℃ に維持し て低温熱分解をおこなう。燃焼溶融炉としては,下水汚 泥焼却灰の溶融で実績を有する縦型旋回流式溶融炉をも ちいている。熱分解ガス化炉で発生した熱分解ガスとダ ストを燃焼溶融炉に導き,全体空気比約 1.3 の条件下で熱 分解ガスおよびダスト中の可燃分を燃焼させる。燃焼溶 融炉ではごみの保有熱量を有効に活用することにより,

1 200℃ 以上の高温燃焼を実現し,灰分を溶融してスラグ として分離するとともに高いダイオキシン類分解率をえ ることができる。

1.2 主要機器の特長

1.2.1 流動床式熱分解ガス化炉

 熱分解ガス化炉は,炉本体は円筒型,炉床部はすり鉢 状構造としており,中心部に不燃物排出口が設置されて いる流動床炉である。

 熱分解ガス化炉では一次空気比を 0.3〜0.6 に制限して いるため,ごみは熱分解・ガス化し,発生した熱分解ガ スとダストは直結された燃焼溶融炉に導入される。さら に,砂層温度を 500〜600℃ の比較的低温に維持すること により,ガス化反応を緩慢にしてガス発生量の変動を抑 制することが可能となる。また,鉄・アルミなどの金属 を含む不燃物の排出は,炉床部のすり鉢状構造と旋回流 動にともなう砂の動きにより円滑におこなわれる。砂層 部は低温かつ還元雰囲気であるため,鉄,非鉄金属は酸 化度が低い資源価値の高い金属として回収することがで きる。

1.2.2 燃焼溶融炉

 燃焼溶融炉は,炉本体は縦型の旋回溶融部,傾斜型の

熱分解ガス化溶融システムの実証

高橋正光(工博)・伊藤 正・細田博之・多田俊哉**

都市環境・エンジニアリングカンパニー・開発部 **技術開発本部・機械研究所

Demonstration of a Fluidized Bed Pyrolysis and Melting System

Dr. Masamitsu Takahashi・Tadashi Ito・Hiroyuki Hosoda・Toshiya Tada

A  new  fluidized  bed  pyrolysis  and  melting  system  was  developed  as  a  new  form  of  municipal  solid  waste  incineration system. In 1998, a demonstration plant with a capacity of 30tons-MSW/day was constructed in  Aomori Prefecture. Experimental operation of the demonstration plant was carried out for seven months. In  this paper, the following experimental results related to the new system are reported on.

1)System adaptability to various refuse characteristics;

2)The operating abilities of fluidized bed pyrolysis and swirl-flow melting furnaces;

3)Flue gas characteristics;

4)Characteristics of slag and metal

■特集:環境との共生・調和−機械/プロセス編  FEATURE : Advanced Processing Technologies for Environmental Protection

(論文)

Air

Boiler MSW

Fluidized Bed  Furnace

Flue Gas

Slag Metal Dust

Pyrolysis Gas

Bottom Ash

Swirl-flow  Melting Furnace

第 1 図  熱分解ガス化溶融システム概要

Fig. 1 Schema of fluidized bed pyrolysis and melting system

(2)

スラグ分離部・スラグ排出部・二次燃焼部で構成され,

耐火物保護のため一部を水冷構造としている。

 熱分解ガス化炉で発生した熱分解ガスは,旋回溶融部 に接線方向から供給される。旋回溶融部の炉内温度は灰 分の溶流温度より高い 1 200℃ 以上に維持されており,熱 分解ガスと燃焼空気は強い旋回流に乗ることにより,十 分に混合・攪拌されるため,低空気比(全体空気比 1.3 程度)での良好な高温燃焼が可能となる。酸素(燃焼空 気)との十分な混合,1 200℃ 以上の高温条件により,

炉内でダイオキシン類は高い分解率をえることができ る。また,灰分は加熱・溶融され,スラグとなって炉内 壁をつたわり,スラグ出滓口から連続的に排出される。

2.実証試験

2.1 実証プラントの概要

 第 2 図に実証プラントのフローを,写真 1に外観を示 す。本プラントは 30t/d の処理能力を有しており,ごみ 供給設備,流動床式熱分解ガス化炉,旋回流式燃焼溶融 炉,廃熱ボイラ,ガス冷却室,排ガス処理設備,灰処理 設備などの主な設備で構成されている。

2.2 実証試験結果 2.2.1 試験の経緯

 実証プラントは,中部上北清掃センター(青森県上北 郡東北町)内に 1997 年 12 月建設着工され,1998 年 8 月 にしゅん工した。1998 年 9 月より 1999 年 4 月まで,試 験運転をおこなった。

 第 1 表に実証試験期間のごみ処理実績を示す。試験運 転をのべ 172 日おこない,1998 年 11 月 22 日から 12 月 27 日の間に 30 日以上の連続試験運転も実施した。

 この連続試験運転開始後は,外気温低下による配管の 凍結以外,ごみ投入停止につながる設備上でのトラブル 発生はなかった。

 実証試験期間中の総ごみ処理量は 3 163t である。ごみ

処理量は搬入ごみ全量を処理しているが,ごみ収集量が 定格処理量(30t/d)にくらべ少ないため,ごみピット残 量および搬入量を確認しつつ,負荷調整しながら運転を おこなった。

2.2.2 処理能力

 試験にもちいたごみは、青森県上北郡七戸町,東北町,

上北町および天間林村の 3 町 1 村から収集・搬入された MSW

t/d Total Operating Time MSW

Test Period t

h d

20.2   413.8   37

  347.8 1998.  9.28〜1998.11.17

27.8   759.0   40

  878.0 1998.11.18〜1998.12.27

25.5   586.4   29

  622.4 1999.  1.  6〜1999.  2.  3

23.1   722.6   35

  696.7 1999.  2.  9〜1999.  3.15

24.8   399.4   21

  412.8 1999.  3.21〜1999.  4.10

28.3   174.6   10

  205.7 1999.  4.17〜1999.  4.26

3055.8 172

3163.4 Total

Including Start-up and Shut-down 第 1 表 運転実績

Table 1 Operating results of demonstration plant 写真 1 実証プラント

Photo 1  Demonstration plant

Steam

Cooling Water

Gas  Cooler

Bag House

Ca(OH)2

Agent

IDF Stack

Catalyst  Reactor

Fly Ash Slag

Bottom Ash Slag Conveyor Fluidized 

Bed  Furnace

Sand Conveyor Waste  Feeder

Swirl-flow  Melting Furnace Air preheater

Air preheater Secondary 

FDF

Primary  FDF

Steam

Solid Waste

Boiler

Waste Conveyor

第 2 図 実証プラントフロー

Fig. 2 Demonstration plant flow diagram

(3)

ごみである。第 2 表にごみ質分析結果を計画ごみ質とあ わせて示す。収集・搬入状況により,ごみ質(組成,発 熱量)は大きく変動し,1 日内といった短期間での変動 幅も大きかった。

 実証試験結果に基づいた実証プラントの処理能力を第 3 図に示す。ごみ収集量が定格処理量(30t/d)にくらべ 少ないため,日処理量としては低負荷運転となっている が,収集ごみ量に余裕がある時間帯での処理能力は,計 画ごみ質の幅広い範囲において,ほぼ設計条件(熱負荷 制限による最大ごみ投入可能量)に相当する処理能力を 有していることが確認できた。

 第 4 図に各部炉内温度,バグフィルタ出口 CO 濃度,

蒸気回収状況の経時変化を示す。本プラントは 30t/d と 小規模炉ながら,ガス化,燃焼溶融および熱回収とも安 定していることがわかる。

2.2.3 熱分解ガス化炉の性能

 各ごみ質における一次空気比と砂層温度との関係を第 5 図に示す。図中の曲線は実証運転データを解析し,ご みの発熱量を推算するとともに,ごみ発熱量に応じた一 次空気比と砂層温度の関係を回帰したものである。図よ り,ごみ発熱量に応じて,一次空気比により砂層温度を 適正な範囲に制御できることが確認できる。したがって,

第 6 図に示すような短期的なごみ質変動に対しても,一 次空気比を調整することにより安定した熱分解ガス化反 応を維持し,処理量をほぼ一定に維持することが可能で あった。さらに,砂層部と同様に熱分解ガス化炉のフリー ボード部に供給する二次空気比を調整することで,熱分 解ガス化炉出口温度を調整することが可能であることも 確認できた。

第 5 図 一次空気比と砂層温度の関係

Fig. 5 Relationship  between  bed  temperature  and  primary  air  ratio

第 6 図 ごみ質変動に対する応答性

Fig. 6 Response to fluctuation of MSW lower heat value Measured Value

Designed Value  Upper Basic

Lower

3.9〜12.8 9.8

7.4 5.1

Lower Heat Value MJ/kg

34.6〜67.6 41.5

48.3 57.3

Moisture      %

3.2〜9.5 7.8

7.5 6.7

Ash        %

25.7〜40.9 50.7

44.2 36.0

Combustibles    % 第 2 表 ごみ質分析結果 Table 2 MSW properties 

第 3 図 ごみ処理能力

Fig. 3 Demonstration plant capacity

0 1 2 3

Time  h

Temperature  ℃  Top of Melting Furnace

Outlet of Melting Furnace

Fluidized Bed

Time  h

0 1 2 3

0 1 2 3

CO(12%O2)  ppmSteam Generation Rate  kg/h

Time  h Steam Pressure Steam Generation Rate

Steam Pressure  MPa

1.8  1.7  1.6  1.5  1.4  1.3 1 400 

1 200   1 000  800  600  400  200    500  400  300  200  100  0

10 000  9 000  8 000  7 000  6 000  5 000  4 000  3 000  2 000  1 000  0     

第 4 図 経時変化

Fig. 4 Demonstration plant trends

Primary Air Ratio

6.7 MJ/kg  7.3 MJ/kg  8.1 MJ/kg  9.4 MJ/kg   

0.3 0.4 0.5 0.6

Bed Temperature  ℃ 

650      600         550      500         450  

9:00 15:00 17:00 19:0021:00

Hour 13:00 11:00 10 

0

2 000 

1 600 

1 200 

800 

400 

0

Lower Heat Value  MJ/kg MSW  kg/h

Designed Heat Value  Lower 

5.1MJ/kg

Basic  7.4MJ/kg

Upper  9.8MJ/kg

Lower Heat Value  MJ/kg 

MSW  t/d

Measured Value  Calculated Value  Upper Limit for Heat Load

3 6 9 12 15

40  30  20  10  0   

(4)

 また,不燃物の排出は炉床部中央の不燃物抜出口より 円滑におこなわれ,実証期間を通じて不燃物堆積による 流動阻害は認められなかった。

2.2.4 燃焼溶融炉の性能

 第 7 図に全体空気比と排ガス CO,NOxの関係を示す。

ごみ質,処理量の変動によりデータにばらつきはあるも のの,全体空気比 1.2〜1.4 の範囲にて CO 30ppm 以下,

NO150ppm 以下の安定した燃焼がおこなえている。

 また,本プラントでは熱分解ガス化炉において,金属 分を不燃物とともに事前に分離しているため,溶融する 灰分の溶流温度は 1 050〜1 150℃ であり,燃焼溶融炉の 旋回溶融部温度を 1 200℃以上,炉出口温度を 1 100℃ 以 上と比較的低い温度域に管理することでスラグを安定的 に出滓することが可能であった。

 第 3 表に本プラントにおけるスラグ化率を示す。各期 間とも,安定して 80%をこえるスラグ化率がえられてお り,飛灰循環をもちいなくても高効率の飛灰溶融がおこ なえていることが確認できた。

2.2.5 排ガス性状

 第 4 表にバグフィルタ出口の排ガス分析結果を示す。

燃焼溶融炉での低空気比,高温燃焼に加え,「乾式消石灰 吹込 + バグフィルタ」の排ガス処理により,良好な排ガ ス性状をえることができ,全ての排ガス成分において自 主的に設定した目標値を満足することができた。とくに,

ダイオキシン類は 30t/d の小規模炉にもかかわらず,約 0.01ng-TEQ/Nm3と目標値を十分に下回る濃度まで低減 することが可能であった。

2.2.6 回収物性状

 実証プラントでは,スラグは燃焼溶融炉下部の出滓口

から連続的に水封コンベアに落下し,水冷スラグとして 回収された。第 5 表に本プラントでえられたスラグの溶 出試験結果(環境庁告示第 46 号)を示す。スラグからの 重金属類の溶出値は,「一般廃棄物の溶融固化物に係わる 目標基準値」(生衛発第 508 号)を全て満足しており,本 プラントでえられたスラグは再生利用可能であることが 確認できた。

 写真 2に熱分解ガス化炉より回収された鉄分,アルミ 分の外観を示す。回収された金属表面には,砂の融着,

未燃分の付着は認められなかった。第 8 図に鉄分,アル ミ分の組成分析結果を示す。熱分解ガス化炉では砂層温 度が 500〜600℃ と低く,還元雰囲気であるため,鉄,非 鉄金属は酸化度が 3%未満と低く,また,資源価値の高 い金属として回収することができる。

むすび=のべ 100 日以上の長期間にわたる実証試験によ り,以下のことが確認できた。

第 7 図 空気比と CO, NOxの関係

Fig. 7 Relationship between CO/NOx and air ratio(12%O2

Slagging Ratio Fly Aah

Slag Test Period

84.8%

  1 365kg    7 640kg

80.4%

  1 569kg    6 430kg

82.1%

  6 996kg   32 160kg

86.1%

  3 509kg   21 780kg

83.5%

(Average)

13 439kg   68 010kg

Total 第 3 表 スラグ化率

Table 3 Slagging ratio in the melting furnace

Self Standard Bag House Exit

Run 2 Run 1

0.01

<0.001

<0.001 Dust  g/Nm3

50 8

10

HCl  ppm

20 16

12 SOx  ppm

150 85

98 NOx  ppm

0.1 0.013

0.013 DXNs  ng-TEQ/Nm3

30 17

18

CO  ppm

第 4 表 排ガス分析結果

Table 4 Flue gas analysis(Dry, 12%O2

Environmental Quality Standard for Soil Contamination Run 2

Run 1

≦0.01

<0.001

<0.001

Cd  mg/l

≦0.01

<0.001

<0.001

Pb  mg/l

  ≦0.05  

<0.02  

<0.02   Cr6+  mg/l

≦0.01

<0.001

<0.001

As  mg/l

≦0.01

<0.001

<0.001

Se  mg/l

   ≦0.0005   <0.0005

  <0.0005 T-Hg  mg/l

第 5 表 スラグ溶出試験結果 Table 5 Slag leaching test results

100  90  80  70  60  50  40  30  20  10 

01.0 1.1 1.2 1.3

Air Ratio

CO  ppm

1.4 1.5 1.6

200  180  160  140  120  100  80  60  40  20 

01.0 1.1 1.2 1.3

Air Ratio NOx  ppm

1.4 1.5 1.6

(5)

 ①幅広いごみ質において安定した処理が可能である。

 ②低空気比,高温燃焼によりダイオキシン類の抑制が 可能である。

 ③実証プラントからえられたスラグは再生利用可能で ある。また,資源価値の高い鉄,非鉄金属が回収可 能である。

 さらに中部上北広域事業組合から国内初の流動床式熱 分解ガス化溶融施設(60t/d:30t/d × 2 基)を 1999 年 4 月に受注し,前述した実証試験でえられた知見を設計 に反映しながら,2000 年 10 月に無事しゅん工した(本 施設の外観を写真 3に示す)。現在,本施設は組合職員 による直営運転にて順調に運転が続けられている。

 最後に,本実証をおこなうにあたり,中部上北広域事 業組合,中部上北清掃センターの多大なご協力をいただ いたことに感謝の意を表する。

参 考 文 献

 1 )  須鎗護ほか:神戸製鋼技報,Vol.47, No.3(1997), p.52.

 2 )  高橋正光ほか:第 10 回廃棄物学会研究発表会講演論文集

(1999), p.698.

 3 )  伊藤 正ほか:第 21 回全国都市清掃研究発表会講演論文集

(2000), p.196.

写真 2 回収鉄・アルミ

Photo 2  Steel and aluminum during pyrolysis operation

写真 3 商用施設 Photo 3  Commercial plant 第 8 図 鉄・アルミの酸度

Fig. 8 Oxidation of steel and aluminum during pyrolysis Fe2O

1%  FeO 

0% 

M-Fe  99% 

Steel Can Aluminum Can

M-Al  98% 

Al2O

2% 

Steel Can Aluminum Can

Fig.  5  Relationship  between  bed  temperature  and  primary  air  ratio 第 6 図 ごみ質変動に対する応答性 Fig
Fig.  7  Relationship between CO/NO x  and air ratio(12%O 2 )

参照

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