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聴覚障害者の聴こえに基づく聴覚補償の自動最適化

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

聴覚障害者の聴こえに基づく聴覚補償の自動最適化

高木, 英行

九州芸術工科大学

大崎, 美穂

九州芸術工科大学大学院

http://hdl.handle.net/2324/4481602

出版情報:日本音響学会講演論文集, pp.359-360, 1999-03. 日本音響学会 バージョン:

権利関係:

(2)

1 ‑2‑ 1 8   聴覚障害者の聴こえに基づく聴覚補償の自動最適化 *

0

嵩 木 英 行(I) 大 埼 美 穂(2) 九州芸術工科大学 (I)音押設計学科 (2)大学院

1.  はじめに

高齢化社会を迎え、高齢者の社会活動を支援す る技術が一層求められる時代になってきた。聴此 煕害補償では、近年実用化されたデイジタル補聴 器によって、アナログ補聴器にはない様々な信号 処理が可能になったが、補聴器はメガネほど広く 社会に受け入れられていないのが現状である。そ の理由として、 「疲れる」 「合わない」 「不快な 音がする」など、補償処理の技術的な問題と個人 に対応した細やかなフィッティングの困難さが挙 げられる。さら↓こ、デイジタル信号処理では調整 項目が多く、一庖フィッティングが難しい。

本 祐 で は こ の 問 題 を 克 服 す る た め 、 従 来 の 聴 箕阻害補償と根本的に異なるアプローチを提案す る。さらにこのアプローチによって、従来では得 られなかった新しい聴撹阻害補償上の知見が得ら れる可能性を示す。

2.  従来の補聴器フィッティングのアプローチ 従来の聴党障害補償は、 「個々の聴党特性を総 合して聴党防害者の聴こえを推定し、他聴者の聴 こえに近づければ良くなる」という仮定に基づい ていた。したがって、従来の補聴器フィッティン グは、補聴器ユーザの聴錢特性を事前に測定し、

他聴者に比べて劣っている特性を補正すること で、聴力の衰えや欠如を補おうというアプローチ であった。

しかし、この仮定には、下記に示すような多く の疑問がある。非生活音による感党・知枕レペル の聴伐特性のみで、複雑な生活音に対する認知や 感性レペルの最終的な聴こえを補償することは、

原理的に不可能である。個々に測定された聴此特 性を用いるため、各特性間の相互作用を考慇した 設定が困難である。聴虹障害者の聴此特性を他聴 者の聴詑特性に近づける補佑が、本当に聴こえを 良くするかは分からない。

本牧的に、誰にも補聴器ユーザの聴こえは分か らないのであり、聴こえが分からない他人が補聴 器フィッティングを行う事自体、従来のアプロー チの限界なのである(Fig.l左参照)。

3.  聴こえに基づく補聴器フィッティング 3.1  考え方

本稿で提案する補聴器フィッティングの考え方 は、事前計測した聴伐特性に基づくのではなく、

末梢から中枢までの総合特性としてのユーザ本人 の最終的な聴こえそのものに基づいてフィッティ

ングするべきである、というものである。現在、

補聴器ユーザが操作を行う自動フィッティングシ ステムが商品化されているが、これらは従来の聴 党陪害補依の方法論をそのまま用いたものであ る。一方、我々が提案するアプローチでは、従来 のアプローチでは解決困難だった多くの問題が根 本的に解決されると考えられる(Fig.I右参照)。

Fig. 1.  Conventional hearing aid fitting approach  (left) and proposed one (right). 

この考え方を実現するキー技術が、インタラ ク テ イ プ 進 化 計 符 論(Interactive Evolutinary  Computation: インタラクテイプEC)である。

3.2  インタラクティプ進化計豆論

インタラクテイプECは、人間とコンビュータ とが対話的にシステムを最適化する技術であり、

アート、工学、教育、ゲーム等の分野に応用され つつある [I)。インタラクテイプECでは、人間 がECに よ る シ ス テ ム 出 力 を 見 た り 聞 い た り し て、善し悪しを主観的に評価する。ECは評価値 に基づいて 選 択 、 交 叉 、 突 然 変 異 等 の 演 葬 を 行 い、 新たなシステム出力を生成する。この反復を 通じて逐次最適化を行う。

この考え方に基づき我々が提案する!ECフィ ッ ティングシステムでは、ECが補信の信号処理パ ラメータの候補を複数作成し、ユーザは提示され

* Automatic optimization of hearing aids based on‑how user hears  By Hideynki Takagi and Miho Ohsaki, Kyushu Inst,itut,e of Design. 

日本音椿学会講演論文集

‑ 3 5 9 ‑

1999年 3月

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た処理音を聴いて、自分の聴こえに基づいた評価 値をECに返す。以上の処理を、 滴足する音が得

られるまで反復する (Fig.2参照)。

Fig.  2.  Interactive evolutionary computation for  hearing aid fitting. 

3.3 提案アプローチの長所と短所

IECフィッティングシステムでは、原理的に 医 師 や 補 聴 器 技 師 に 調 整 を 依 頼 す る 必 要 が な く なり、いつでもどこでも本人が補聴器特性を謂整 でき、毎日少しずつでも改善が可能である。さら に、任意の生活音によるフィッティングが可能な ため、音楽を楽しむ、雑踏の中にいる、オフィス で仕事をする、などの様々な状況に適応した設定 を得られる。また、フィッティングの方法論が補 償処理に依存しない。これらは、従来のアプロー チでは原理的に不可能だったことである。

一方、現状での課題の1つに、インタラクティ プECが生身の人間に多くの反復評価を要求する こ と に よ る 疲 労 問 題 が あ る。 こ の 課 題について は、収束速度の高速化とインタラクテイプECの インタフェース改善の面から様々な改善への取り 組みがなされている 111。

3.4  解析による聴党障害補償上の知見獲得

IECフ ィ ッ テ ィ ン グ シ ス テ ム は 、 認 知 や 感 性 レペルの最終的な聴こえによってバラメータを最 適化できるため、得られた補聴器の補償特性を解 析することで、聴虹特性や聴伐阻害補償に関する 新しい知見を得られることが期待できる。このア プローチでは、提案システムで最適化された補償 特性と、事前測定した聴撹特性に基づく従来の補 償特性を比較する。そして、生活音聴取と純音や 帯 域 雑音 の 聴取で聴此特性が異なるのか、提案シ ステムで得られたバラメータ設 定 が補償の対象音 に依存するのか、聴感上の好みが補償特性にどの ように反映されるのか、健聴者の聴伐特性に近づ けるように補償するという考え方が本当に正しい のか、などを解明していくことが可能になるであ ろう。

4.  評価実験

評価実験については、本語論集の文献12.3Jで 詳述するので、 こ こ で は 概 要 の み を 示 す。・実 験 で は 、 模 擬 難 聴 処 理 を 施 し た 健 聴 者 と 感 音 性 難 聴者に対し、数種類の音声と音楽を対象として、

提案システムの操作と評価を行った。その結果、

IECフ ィ ッ テ ィ ン グ シ ス テ ム が 明 瞭 度 向 上 だ け でなく、聴伐阻害者が音楽も楽しめる聴きやすい 音質を実現できることが示された。

第3.4節で述べた解析による聴覚防害補償上の 知見獲得については、ラウドネス関数や提案シス テムで得られるパラメータ設定の対象音依存性に 関する知見を得た1‑11。

5. まとめ

事 前計測した個々の聴党の基本特性を頼りに聴 伐限害補償を行う従来法に対し、巌終的な認知や 感性レペルの聴こえに基づいて最適化する、まっ たく新しい聴 此熙害補依法を提案した。この方 法の特徴を議論し、従来法と比較実験した結果、

各種対象音に対して、有意な効果が示された。さ らにこのアプローチによって、従来でほ得られな か っ た 新 し い 聴 伐 阻 害 補 償上の 知 見 も 得 ら れ 始 め た 圃、家庭でいつでも調整できる本手法が、

デ イ ジ タ ル 補 聴 器 の 性 能 を 十 二 分 に 発 揮 さ せ る ツールとなることのほか、聴覚研究上の有用な研 究ツールとなることを期待している。

なお、本研究は、実吉奨学会、およぴ日本科学 協会の援助を受けた。

参考文献

[l]高木英行,畝見達夫,寺野隆, 「対話型進化計 虹法の研究動向」人工知能学会誌, vol.13,no.5,  pp.692‑703 (1998) 

[2]大崎美穂,津村尚志,高木英行,島田真弓,「IEC

フィッティングシステムの音声聴取に対する評 価」平11年春季音講論

[3]大崎美穂,津村尚志,高木英行,島田真弓,「IEC

フィッティングシステムの音楽聴取への応用」平 11年春季音講綸

[4]大崎美穂,「進化的計葬手法を用いた聴伐障害補 償に関する研究」平10年12月九州芸工大院博士 論文

日本音響学会講演論文集

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参照

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