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武谷雄二

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Academic year: 2021

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1 日本生殖内分泌学会雑誌 Vol.11 2006

巻頭言

Japanese Journal of Reproductive Endocrinology

 この度,日本生殖内分泌学会誌

11

巻を刊行することができました.学術誌の発刊は学会のも っとも基本的な業務であり,いわば会員の協力・連携のための重要なツールともいえるでし ょう.

 毎年,一見あまり代わり映えのしない装丁の雑誌をお届けしているようにも見受けられるで しょうが,本誌の内容に関しては峯岸 敬編集委員長はじめ多くの方々が雑誌の充実化に向け 英知を出し合い,毎年工夫をこらしておりますことをご報告いたしたいと思います.

 さて,近頃やたらとtranslational researchとかbench to bed researchという言葉を耳にしま す.大学にもそのような講座が開設され,ベンチャー企業も創設されています.さらに,国も そのような仕事を重視し,研究計画や研究施設の質やアクティビティの評価の指標ともなって います.

 研究がこのような視点で評価されるようになった背景には,国が十分な研究費を支給できな くなり,企業,産業からの支援に頼らないと研究の遂行が困難となったということもあるでし ょう.さらに,研究者の評価が皮相的で大衆受けするものに偏重し,射幸心が旺盛な研究者が こぞって卑近な対象に研究の焦点を当てるようになったものともいえます.

 そもそも,translational researchということばが流行するようになったのはここ

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年間であ り, 癌治療, 遺伝子治療, 最近 では再生医療 などの研究 とほぼ同義 で 使われています.

evidence-based medicineも然りですが,以前から誰もがいわずもがなとみなしていた表象を

ややfashionableな響きを持たせたというだけのものであり,一種の

buzz word

でしょう.

申すまでもありませんが,生命科学の研究をtranslationalかnontranslationalか真剣に議論する 方は研究経験のない方か,研究をscientific mindの発露の最も中核となる手法とはみなしてい ない方でしょう.

 本会の主要課題である生殖内分泌学は

bed

に向くとしたら不妊症や避妊法の開発なので しょうが,結果的にはそのような目的に資するかもしれませんが,現在世間ではそのような研 究はあまりtranslational researchとはみなされてないようです.しかし,環境問題,人口問題 あるいは少子高齢化,先端生殖技術の実践などに伴う近未来の人類の健康,生活の質に関する 懸念など,現在地球規模で極めて重要だが見逃されやすい問題の解決には,本会が寄与すると ころは大変大きいものといえます.しかし,このようなことを平生は意識しないで,純粋に生 殖のからくりを知りたいという動機で研究に勤しめる時代を継続できるようにと願ってい ます.

理事長

武谷雄二

(東京大学教授)

参照

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