峰地光重の綴方指導研究
教 科 ・ 領 域 教 育 専 攻 言語系(国語)コース 鎌 田 憲 二
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研究の目的と方法本研究の目的を次のように定めた。
①峰地光重の綴方教育の実践と理念を明らか にすること。②峰地光重の綴方教育観が、時代 とともにどのように変化したのかを明らかにす ることo ③峰地の綴方実践が育てようとしてい た児童像を明らかにすること。
方法は、峰地の著作と雑誌に発表した論考を 読むことと、生活綴方および峰地の綴方教育に ついての先行研究に学ぶことで、行った。
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論 文 の 構 成本論文は、次の章で構成する。
序 章 研 究 の 目 的 と 方 法 第
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章 峰地光重と生活綴方 第2
章 峰地光重と初期の綴方教育 第3
章 峰地光重の綴方教育の成熟期 第 4章 峰地光重の綴方教育の到達点 一 『 は ら っ ぱ 教 室 』 の 実 践 ‑ 終 章 研 究 の ま と め と 今 後 の 課 題3
論文の概要第 1章では、峰地の生活綴方における位置と 峰 地 に お い て 重 要 な 「 生 活 指 導Jの概念を明ら かにした。
第
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章では、峰地の初期の綴方教育について「生活指導」観の生成と綴方教育観を考察した。
峰 地 は 大 正 自 由 主 義 の 教 育 の 中 で 、 主 に 芦 田 恵 之 助 の 随 意 選 題 の 綴 方 と 田 上 新 吉 の 『 生 命 の 綴 方 教 授 』 の 影 響 を 受 け た こ と が わ か っ た 。 峰 地
指導教員 村 井 万 里 子
自身は「児童経験録」を用いて児童の生活面の 指導を行っていたが、「意義ある生活」を送る ためには児童の生命を解放するだけではなく、
児童の「生活」を指導し、そのままでは伸びな い児童の「生命の方面Jを伸ばすことを行わな ければならないという考えにいたったことを明 らかにした。とくに綴方には、児童のありのま まの姿が表れるので、綴方に表れた児童の「生 活」を指導することにより、よりよい「生活J に導くことができるのだと考えたことを確かめ た。峰地は「生活指導」に
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つの方面があると 述べた。大正時代末期までに、児童によい綴方を書かせるために生活を指導する「表現のため の生活指導
j
の考えは生まれていたが、綴方に 表れた児童の生活を指導する「生活のための生 活 指 導j
の考えは新しいものであったことがわ かった。この峰地の「生活のための生活指導J の考えは、綴方指導を行っていた多くの教師の よりどころとなり、そこから生活綴方が生まれ ることになったことを考察した。峰地は大正期の随意選題と綴方と課題主義の 綴方の考えを統合し。独自の綴方教材論を発表 した。峰地の綴方教材についての考えは、自由 作は一切の将を設けず、課題作は実利実用的な 目的のためではなく、児童を触発し、「生活指 導
j
を行うものととらえているo 課題作は、「基 本 的 指 導 教 材J(生活指導の教材)と「附帯的 課 題 教 材J
(表現指導の教材)の2
つに分け、ハ
Uウiつω
「基本的指導教材
j
は教授細目上に位置づけた のに対して、「附帯的指導教材j
は教授細目上 に位置づけず、自由作や課題作の推蔽を行うと きに用いるものとしたことを確かめた。綴方に おける「生活指導Jは主に、文話と文例を用い て行っていることを明らかにした。第
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章では、峰地の「生活学習」の展開と「生 活指導」観・児童観の変化について考察した。峰地は大正
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年に『文化中心国語新教授法』を発表し、「生活」を教育の上位概念に位置づ けた。そして、東京の池袋児童の村小学校で「生 活学習」を展開した。この学習は、
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児 童 の 生 命 解 放Jを行うだけでなく、環境の多様化を図 り、「生活J
か ら 自 然 な 学 習 を 組 織 し よ う と す るものであったことがわかった。また児童の村 小学校での生活学習の実践を通して、峰地の「生 活指導」観は変化し、綴方自身を「生活」とみ なすという、峰地独自の「生活指導」観をもつ ようになったことを明らかにした。峰地は大正 期においては、「児童の生命J
にこだわって、その生命を伸ばすことに力を注いでいたが、児 童の村小学校での実践の中で、「社会的存在と しての子供Jという児童観をもつようになり、
このことにから故郷である鳥取で郷土教育に打 ち込むようになったことを考察した。
一方、峰地は昭和初期の綴方作品の分析から、
イ デ オ ロ ギ ー
児童に「社会的関心」を喚起し、観念形態をも たせることを主張した。合わせて、郷土という 社会を客観的科学的に認識し、考え、そのこと を文章に綴らせることを行った。その手段とし て 「 調 べ る 綴 方Jを用いたが、学級や個人の傾 向を把握し、手引きを行うことにより、題材と 作 者 の 関 係 を 「 密 着 」 さ せ 、 児 童 が 迷 う こ と な く、学習に取り込むことができるようにしてい ることがわかった
第
4章では峰地の「生活指導」の集大成であ
り、到達点である『はらっぱ教室』の実践につ いて考察を行った。峰地はまたこの実践で「バ ーバリズム(言語主義一引用者注)と事物中心 主義の握手」を行っている。峰地の「教育的生 涯」は、ひと言でいうと、峰地自ら述べている ように「バーバリズムと事物教育主義の結合に いたる道程」であったことがわかった。峰地の 理 想 と し た 教 育 は 自 然 、 教 師 、 児 童 が 三 位 一 体 として調和した教育であった。この三者のそれ ぞれが十分に生かされながら、その一方では互 いに制限をうけつつ、組織的高次なものへ進む ことを目指した。その三者が指向するところは
「生活Jであったことを明らかにした。
峰 地 は 「 生 活 指 導 」 に よ る 「 生 活Jの向上を 目指した。「生活」の向上をはかることで、絶 えず環境に対してはたらきかけ、そこから学ぶ
エタ一ナノレスチューデント
こ と の で き る 「 永 久 の 学 生Jを育てたいと考 えた。また峰地はそれぞれの児童に自分なりの 考えをもたせることに努めた。漫然と日々を過 ごし、物事を受動的に受け入れるのではなく、
自分の考えをもち、主体的に生きる児童を育成 しようとしたことがわかった。
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今 後 の 課 題今後の課題は、以下のとおりである。
①「児童の生命を大切にしながら、系統的な 作文指導を行う方法。②表現指導と「生活指導J のいずれも大切にしながら、作文指導を行うた めの工夫。③作文指導を通して生活指導を行う 方法を明らかにする。④科学的な物の見方を身 につけさせ、自分なりの考えをもって、環境に 主体的にはたらきかける児童の育成。
これらの課題をもって、これからも峰地光重 の研究を深め、次代を担う児童の育成を行って いきたい。
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