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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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様式8の1の2 別紙2

論文審査の結果の要旨

専攻名 システム創成工学専攻 氏 名 財津 拓三

東日本大震災以降、国内の電力は火力発電に依存している。火力発電では石炭、石油、天然 ガスなどを燃料として用いるが、このうち石炭は供給が安定しており、かつ安価であるため、石 炭を燃料とする火力発電所の稼働率が高くなっている。石炭を燃焼するとフライアッシュ(以降、

FAと表記)と呼ばれる微粒子状の灰が発生し、その有効利用が課題となっている。

古くから、FAはコンクリートの混和材料として利用されており、ポルトランドセメント(以 降、セメントと表記)の水和反応で生成したCa(OH)2と反応(ポゾラン反応)して、コンクリー トの強度を増加させるというメリットを有している。その反面、Ca(OH)2を消費してコンクリー トの中性化抵抗性を低下させるというデメリットを併せ持つため、建築用コンクリートにはFAが 積極的に利用されないという実情がある。FAの利用拡大を目指すためには、FAを混合したコンク リート(以降、FA混合コンクリートと表記)におけるFAのポゾラン反応が強度に及ぼすメリット と中性化抵抗性に及ぼすデメリットを定量的に評価・把握した上での利用が必要となる。

他方、微粒分が不足している砕砂等の細骨材に微粒子であるFAを加えることで、細骨材の品 質向上を図り、コンクリートのフレッシュ性状を改善しようとする利用方法がある。しかし、生 コンクリート製造工場にFAの保管設備や計量設備等を増設することは大きな金銭的負担となり、

積極的に導入されていない現状にある。そこで、あらかじめFAを砕砂に混合して粒度調整した細 骨材(以降、FASと表記)を製造し、それを生コンクリート製造工場に納入する方法が提案され ているが、FASがコンクリートの強度および耐久性に及ぼす影響が十分に検証されていない。

本論文は、上記の課題を解決するために取り組んだ研究の成果をまとめたものであり、その 概要は以下のとおりである。

1)各種調合および各種養生のFA混合コンクリート供試体を作製して実験を行い、FAの外割 り混合割合が増加するほど圧縮強度は増加するが、中性化抵抗性は低下する性状を確認している。

また、FAを混合したセメントペースト試料を作製して、X線回折分析を行うことでFAのポゾラン 反応によるCa(OH)2消費の進行状況を捉えるとともに、走査型電子顕微鏡によりFAの周囲にポゾ ラン反応生成物が形成されている様子を視覚的に観察している。

2)FAのポゾラン反応による組織の緻密化(圧縮強度の増加)に起因した中性化抵抗性への プラスの影響およびCa(OH)2消費に起因した中性化抵抗性へのマイナスの影響をそれぞれ定量化 し、これらを組み合わせることでFA混合コンクリートの中性化抵抗性を定量的に表す手法を提案 している。この独創的な手法を利用すればFA混合コンクリートの中性化抵抗性を予測できるため、

学術面のみならず実用面でも優れた成果と評価できる。

3)FASを細骨材に使用したコンクリート(以降、FASコンクリートと表記)は、同じ水セメ

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ント比のFA無混合コンクリートと同等以上の圧縮強度を示すことを明らかにした。また、FASコ ンクリートは同じ水セメント比のFA無混合コンクリートと大差ない中性化抵抗性を示すことを明 らかにした。すなわち、圧縮強度および中性化抵抗性の面から、FASを使用することによる問題 はないことを証明した。この成果は、FASというFAの新たな利用分野の拡大に貢献するものであ る。

以上のように、本論文にはフライアッシュを建築用コンクリート分野で積極的に利用する上 で有用な学術的知見が示されており、実用分野での貢献も期待できる。

本論文については、平成28年2月10日に審査委員全員および関連分野の研究者、実務者の出席 のもとに公聴会が開催され、研究内容の発表および質疑応答が行われた。公聴会終了後に学位審 査委員会を開催し、本論文の内容について詳細に審査した。その結果、本論文は建築材料分野に おける新たな知見を示したものであり、工学的に価値が高く、研究内容の独創性・実用性におい ても極めて優れていると評価した。

よって、本論文は博士(工学)の学位論文に値するものと認める。

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