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神経筋電気刺激における有効な刺激強度と刺激時間の検証と棘下筋に対するトレーニング効果に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 170 43 巻第 2 号 170 ∼ 171 頁(2016 年) 理学療法学 第 43 巻第 2 号. 平成 26 年度研究助成報告書. 神経筋電気刺激における有効な刺激強度と 刺激時間の検証と棘下筋に対するトレーニ ング効果に関する研究 長谷川聡 1),簗瀬 康 1),梅原 潤 1),西下 智 2), 松村 葵 3),市橋則明 1) 1). 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻. 2). 関西リハビリテーション病院. 図 1 実験風景(電気刺激部位) 電極の貼付部位は,一方は棘下筋のモーターポ イント部分に,他方を筋腹部に貼付した.. 3). 京都大学医学部附属病院. キーワード:電気刺激,棘下筋,筋力トレーニング 背  景  肩関節疾患に対する棘下筋トレーニングは,三角筋後部線維 や肩甲骨周囲筋の代償動作などにより,効果的な筋力トレーニ ングを行えないことが多い。棘下筋に対する筋力トレーニング ‒5). 介入について様々な研究報告 1. があるが,棘下筋の筋力や筋. 断面積(cross sectional area:以下,CSA)がともに著明に増 加したという報告は少なく,棘下筋を選択的に肥大させ,筋力 を増強させるための方法はまだ明らかにはされていない。   一 方 で 神 経 筋 電 気 刺 激(Neuromuscular Electrical Stimu-. 図 2 各刺激強度における CSA の変化 90 mA 群,120 mA 群では NMES 前と比 較し,NMES 後に CSA が有意に増加した.. lation:以下,NMES)を用いた筋力トレーニングは以前から下 肢筋に対して行われ,その有効性については数多く報告されて ‒8). おり 6. ,局所的筋肥大をもたらし得るという特徴から,棘下. 筋の選択的トレーニングに用いることができるのではないかと. 標であると考えられている。CSA は超音波画像解析装置(GE. 考えられた。. ヘルスケア社製,LOGIQe)を用いて測定し,得られた超音波. 目  的. 画像を Photoshop Elements 12(Adobe 社製)を用いて繋ぎ.  本研究の目的は,以下の 2 つである。. 合わせることで棘下筋の筋断層画像を作成し,Image J を用い. 1.NEMS が棘下筋に与える即時効果を CSA および筋電図を. て CSA を算出した。肩関節外旋筋力の評価は等速性筋力測定. 指標として評価し,筋肥大,筋力増強に効果的な刺激強度. 装置(BIODEX Medical 社製,BIODEX System4)を用いて,. と刺激時間を明らかにすること。. 肩関節外転 90°,肘関節屈曲 90°位での等尺性外旋筋力と等速. 2.健常者の棘下筋に対する 6 週間の NEMS 実施による骨格筋 の変化を検証すること。. 性外旋筋力(60° /s,180° /s)を計測した。統計処理は,棘下 筋 CSA の測定時期−強度の 2 要因で分割プロットデザインに. 方  法. よる分散分析を用いて比較した。さらに,各群の NMES 前後. (研究 1). の CSA,肩関節外旋筋力を対応のある t 検定を用いて比較した。.   対 象 は 健 常 男 性 30 名( 平 均 年 齢 23.6 ± 2.9 歳,BMI22.6 2. また各群における NMES 前後の棘下筋 CSA の変化率を算出し,. ± 1.9 kg/m )の非利き手側とし,電流強度よりランダムに. Bonferroni 補正を用いた多重比較により 3 群間の比較をした。. 60 mA 群,90 mA 群,120 mA 群の 3 群に分けた。機器は低. 有意水準は 5%とした。. 周波電気刺激装置(ホーマーイオン研究所社製,オートテンズ. (研究 2). プロ)を使用した。刺激プロトコルは,周波数 20 Hz,パルス.  20 名の健常者(平均年齢 23.9 ± 3.4 歳)を,NEMS 群 10 名,. 幅 250 µ sec, duty cycle 5 秒 on 2 秒 off の指数関数的漸増波で. コントロール群 10 名にランダムに群分けを行った。NEMS 群. 20 分間実施した。電極は双極性の粘着パッド(5 cm × 5 cm). は非利き手側の棘下筋に対して,1 週間に 3 回,6 週間の電気. を使用し,一方は棘下筋のモーターポイント部分に,他方を筋. 刺激介入を行った。刺激プロトコルは,研究 1 と同様に行い,. 腹部に貼付した(図 1)。NMES 前後に棘下筋 CAS と肩関節外. 強度は 90 mA 以上で耐えうる強度とした(図 1)。コントロー. 旋筋力を測定した。筋力トレーニング直後の CSA 増加は,筋. ル群は介入を行わなかった。介入前と 6 週介入後に棘下筋(横. にメカニカルストレスが加わり,筋線維が微細損傷を起こして. 走線維・斜走線維)の CSA・筋厚,三角筋(中部線維・後部. 腫脹が起こっている状態であり,筋力トレーニング効果の指. 線維)筋厚,肩関節外旋筋力(等尺性収縮・等速性収縮 60° /s,.

(2) 棘下筋に対する電気刺激トレーニング. 171. 表 1 6 週間の NEMS 介入による CSA・筋厚・肩関節外旋筋力の変化 コントロール. NEMS. Pre. Post. Pre. Post. CSA(cm ) 棘下筋 棘下筋(横走線維). 11.71 ± 1.58 0.83 ± 0.14. 11.84 ± 1.08 0.84 ± 0.12. 10.99 ± 1.32 0.92 ± 0.19. 11.99 ± 1.02* 0.99 ± 0.16*. 棘下筋(斜走線維). 1.48 ± 0.17. 1.52 ± 0.19. 1.54 ± 0.41. 1.72 ± 0.40. 三角筋(中部線維). 1.34 ± 0.17. 1.31 ± 0.10. 1.32 ± 0.17. 1.30 ± 0.19. 三角筋(後部線維). 1.33 ± 0.23. 1.40 ± 0.19. 1.38 ± 0.17. 1.41 ± 0.23. 等尺性. 29.94 ± 4.88. 30.39 ± 5.58. 30.49 ± 7.14. 30.73 ± 6.22. 等速性(60° /s). 27.14 ± 4.75. 27.95 ± 4.01. 26.37 ± 5.47. 27.38 ± 5.75. 等速性(180° /s). 26.99 ± 4.50. 26.57 ± 4.63. 27.04 ± 4.71. 26.67 ± 5.65 * p < 0.05. 2. 筋厚(cm). 肩関節 外旋筋力 (Nm). NEMS 群の棘下筋 CSA および棘下筋横走線維筋厚に交互作用を認めた.NEMS トレーニングにより,棘下筋 CSA およ び棘下筋横走線維筋厚は増大したが,三角筋筋厚,肩関節外旋筋力は変化しなかった.. 等速性収縮 180° /s)を測定した。時期−群の 2 要因について分. NEMS トレーニングによって棘下筋横走線維の CSA は増加す. 散分析を行った。. るが,肩関節外旋筋力は変化しないことが明らかとなった。ま.  なお,本研究課題については,ヘルシンキ宣言を遵守し,本. た,三角筋の筋厚は変化しなかったことから,棘下筋の局所的. 学倫理委員会の承認を得て(承認番号 E-1994),文書および口. な筋肥大を目的としたトレーニングには有効であると考えられ. 頭にて研究の目的・主旨を説明し,同意が得られたものを対象. た。また,NEMS トレーニング単独では,棘下筋を肥大させ. とした。. ることはできても,肩関節外旋筋力を向上させるには至らない. 結  果. が,棘下筋の筋萎縮を起こしている患者に対しては,NEMS ト. (研究 1). レーニングと随意運動によるトレーニングを併用することで,.  60 mA 群では NEMS 前後で CSA に変化を認めなかったが,. 肩関節外旋筋力を効率的に増大させる可能性が示唆された。. 90 mA 群,120 mA 群 で は NMES 前 と 比 較 し,NMES 後 に. 文  献. CSA が有意に増加した(図 2) 。NMES 前後での CSA の変化 率 は,60 mA 群 3.6 ± 6.6 %,90 mA 群 6.6 ± 9.1 %,120 mA 群 12.5 ± 6.8%であり,60 mA 群と比較し 120 mA 群が有意に 大きかった。全群において,肩関節外旋筋力は NMES 前後で 等尺性,等速性(60° /s,180° /s)ともに有意差は認めなかった。 (研究 2) 2  NEMS 群 の 棘 下 筋 CSA( 介 入 前:10.99 ± 1.32 cm , 介 入. 後:11.99 ± 1.02 cm2),棘下筋横走線維筋厚(介入前:0.92 ± 0.19 cm,介入後:0.99 ± 0.16 cm)に交互作用を認めた。棘下 筋斜走線維筋厚,肩外旋筋力(等尺性,等速性 60° /s,等速性 180° /s)に関しては,交互作用を認めなかった(表 1) 。 考  察  本研究の結果より,電流強度によって即時的な CSA 増加の 程度,つまり筋に加わるメカニカルストレスの強度が異なるこ とが明らかになった。また,60 mA では CSA の変化がなく, 90 mA,120 mA の電流強度でのみ NMES 前後に CSA が増加 し,さらに 60 mA と比較し 120 mA に効果があるとわかった。 これらより,棘下筋に対する NMES による筋力トレーニング 効果は,周波数 20 Hz,パルス幅 250 µ sec, duty cycle 5 秒 on 2 秒 off の指数関数的漸増波の条件の下においては,90 mA よ り高い電流強度で得られることがわかり,さらに電流強度が高 ければ大きな効果をもたらすことが示唆された。  健常者の棘下筋に対する 6 週間の NEMS の介入結果より,. 1)Moncrief SA: Effect of rotator cuff exercise on humeral rotation torque in healthy individuals. J Strength Cond Res. 2002; 16: 262‒270. 2)Sugimoto D, Blanpied P: Flexible foil exercise and shoulder internal and external rotation strength. J Athl Train. 2006; 41: 280‒285. 3)Kim K, Kim HD, et al.: Effects of the shoulder horn and lightweight dumbbell training on shoulder external rotators. J Phys Ther Sci. 2008; 20: 239‒242. 4)Niederbracht Y: Effects of a shoulder injury prevention strength training program on eccentric external rotator muscle strength and glenohumeral joint imbalance in female overhead activity athletes. J Strength Cond Res. 2008; 22: 140‒145. 5)多田 久:低負荷伸張性筋収縮トレーニングが肩関節外旋 筋群の筋断面積,筋厚および筋力に及ぼす効果.日本臨床 スポーツ医学会誌.2010; 18: 462‒469. 6)Hasegawa S, Kobayashi M, et al.: Effect of early implementation of electrical muscle stimulation to prevent muscle atrophy and weakness in patients after anterior cruciate ligament reconstruction. J Electromyogr Kinesiol. 2011; 21(4): 622‒630. 7)Spruit MA, Gosselink R, et al.: Resistance versus endurance training in patients with COPD and peripheral muscle weakness. Eur Respir J. 2002; 19: 1072‒1078. 8)Vivodtzev I, Pépin JL, et al.: Improvements in quadriceps strength and dyspnea in daily tasks after 1 month of electrical stimulation in severely deconditioned and malnourished COPD. Chest. 2006; 129: 1540‒1548..

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表 1 6 週間の NEMS 介入による CSA・筋厚・肩関節外旋筋力の変化

参照

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