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NICUにおける家族中心のケア(Family-Centered Care)実践と病棟の組織風土との関連

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Academic year: 2021

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NICUにおける家族中心のケア(Family-Centered Care)実践と

病棟の組織風土との関連

Relationships between nursing practice in family-centered care

and ward organizational climate in a neonatal intensive care unit

浅 井 宏 美(Hiromi ASAI)

* 抄  録 目 的 本研究の目的は,新生児集中治療室(NICU)における,看護師の家族中心のケア(Family-Centered Care;以下FCC)の実践と,その実践に影響すると予測される個人属性や病棟の組織風土との関連を明 らかにすることである。 方 法 43カ所の周産期母子医療センターNICUに所属する1700名の看護職を対象に,自記式質問紙調査を実 施した。FCC実践尺度および病棟の組織風土尺度の探索的因子分析,看護師のFCC実践を従属変数と した重回帰分析を行った。 結 果 質問紙は計 1700 部配布し,回収率 45.4%,有効回答 764 部を分析対象とした。対象者の平均年齢は 32.6±8.4歳,平均臨床経験年数は9.9±8.1 年であった。探索的因子分析の結果,FCC実践尺度は5因子 構造,それぞれ第1因子【全般的な情報提供】,第2因子【親子の絆を育む支援】,第3因子【思いやりの ある対応】,第4因子【敬意ある対応】,第5因子【子どもに関する具体的な情報提供】と命名した。病棟 の組織風土尺度は5因子構造,それぞれ第1因子【看護師間の良好なチームワーク】,第2因子【看護師– 医師間の良好なチームワーク】,第3因子【上司からの承認・サポート】,第4因子【ケアの方針決定への 参加しやすさ】,第 5 因子【先輩からの承認・サポート】と命名した。重回帰分析の結果,FCC 実践に は,病棟の組織風土(β=.293, p<.001),職務充実感(β=.199, p<.001),臨床経験年数(β=.184, p<.001) がそれぞれ影響していた。 結 論 FCC実践尺度および組織風土尺度は,共に5因子構造で,尺度全体での信頼性は高く,看護職対象の 継続教育等で活用できることが示唆された。また,FCCの実践には,個々の看護師の所属病棟の組織 風土が最も影響しており,次いで職務充実感,臨床経験年数が影響していることが明らかになった。 キーワード:家族中心のケア,組織風土,新生児集中治療室(NICU),尺度 2016年10月4日受付 2017 年5月21日採用 2017 年12月11日早期公開

埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科(Saitama Prefectural University, School of Health and Social Services, Department of Nursing)

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Abstract Purpose

The present study aimed to identify relationships between nursing practice in family-centered care (FCC), and individual nurse attributes and ward organizational climate, which are predicted to be related to nursing practice in a neonatal intensive care unit (NICU).

Methods

A self-reported questionnaire was conducted among 1,700 nurses in the NICUs of 43 perinatal medical centers in Japan. We performed exploratory factor analyses on an FCC scale for nursing practice and a ward organizational climate scale, and we performed a multiple regression analysis with nursing practice in FCC as the dependent variable. Results

From the 1,700 questionnaires distributed, 771 responses were collected (response rate: 45.4%), of which 764 were eligible for analysis. The participants’ mean age and mean clinical experience were 32.6±8.4 years and 9.9±8.1 years, respectively.

The factor analyses defined five factors to form the FCC scale for nursing practice: 1) provision of general information, 2) provision of support to enhance parent–child bonding, 3) display of interpersonal sensitivity, 4) treat-ment of people with respect, and 5) provision of specific information about the child. The ward organizational climate scale consisted of five factors: 1) team work among nursing staff, 2) team work between nurses and physicians, 3) approval and support from a nurse manager, 4) opportunities for decision-making about care policies of the ward, and 5) approval and support from senior staff. Organizational climate in the ward was positively correlated with nursing practice in FCC (Pearson'sr=0.382, p=0.000) and job satisfaction (r=0.428, p=0.000). Multiple regression analysis revealed that ward organizational climate (β=.293, p<.001), job satisfaction (β=.199, p<.00), and years of clinical experience (β=.184, p<.00) were related to nursing practice in FCC.

Conclusion

Both the FCC scale for nursing practice and the ward organizational climate scale had a five-factor structure and satisfactory reliability. The results suggest that both scales can be used for nurses, including for improvement of continuous nursing staff education. The organizational climate in the wards that individual nurses belong to was the most strongly related factor to nursing practice in FCC, followed by job satisfaction and years of clinical experience. Key words: family-centered care, organizational climate, neonatal intensive care unit (NICU), scale

Ⅰ.諸   言

ハイリスク新生児の親・家族にとって,早産や我が 子 の 新 生 児 集 中 治 療 室(Neonatal Intensive Care Unit;以下 NICU)入院は予期せぬ出来事である。こ のストレスフルで危機的な体験は,親に自責の念や悲 しみ,抑鬱,怒りなどの様々な感情を引き起こすとさ れている。このような心理状況や親子分離状態におけ る家族に対するケア方針として,家族中心のケア (Family-Centered Care;以下,FCC)の理念が重要視 されている。周産期・小児医療分野において,FCC は,理念・原則・要素というかたちで定義づけられて い る(Coyne, O'Neill, Murphy, et al., 2011, pp.2563-2564;Harrison, 1993, pp.643-647;Mikkelsen & Fred-eriksen, 2011, pp.1155-1156)。FCC の理念を実現し, 実践を促す活動を行う米国の組織 Institute for Patient and Family-Centered Care(以下,IPFCC)とアメリカ 小児科学会(AAP)との共同声明には,①子どもとそ の家族の尊厳を守ること,②人種・民族的・文化的・ 社会的な多様性,家族の体験や認識を尊重すること, ③子どもに関する情報・記録への自由なアクセス,④ 家族と医療者のオープンで誠意ある継続的なコミュニ ケーション,⑤家族へのタイムリーで確実な情報提供 と共有などの重要性が示されており,小児医療・看護 における大きな指針となっている(Pediatrics, 2003, p.692)。日本でも,「重篤な疾患を持つ子どもの医療を めぐる話し合いのガイドライン」(日本小児科学会, 2012, pp.3-5)に,両親と医療スタッフの対等な立場で の信頼関係の形成,正確な情報提供や十分な説明の重 要性が明文化されており,家族が単なる面会者ではな く,ケアチームの一員として子どものケアや意思決定 に参画することの重要性が述べられている(加部, 2012,pp.1579-1580;水野,2009,pp.622-623)。 また,新生児医療は新生児科医・看護師・理学療法 士・臨床心理士など多職種の協働が重要な部門であ り,子どもと家族にとってより良いアウトカムを得る

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ためには,多様で対等な議論を経た意思決定と行動が 実践できる医療チームメンバーが重要であるとされて いる(中野,2014,p.118)。先行研究によると,NICU の看護師のFCC実践行動は,臨床経験年数やNICU経 験年数が長い程,実践しているとの認識が高く,看護 学の教育背景や役職の有無とも関連があることが明ら かにされており,また,病棟の組織風土,マンパ ワーやスタッフの教育支援体制など様々な要因が影響 している可能性が指摘されている(浅井,2009,p.16-17)。また,NICU 看護師を対象にしたグループ・イ ンタビュー調査からは,FCC 実践の促進要因として 【FCC に関するチーム活動】,【ケアの方針決定への参 画しやすさ】,【FCC に対する医師の理解・協力】が抽 出され,FCC 実践へのモティベーション向上のため には,若手スタッフも参画しやすい病棟の雰囲気や日 常的に医師–看護師間がコミュニケーションを図りや すい組織風土の重要性も明らかにされている(浅井・ 森,2015,p.160-161)このように,チーム医療とFCC 実践へのモティベーション維持・向上には共に働く チームメンバー同士の良好な人間関係,良好な組織風 土が重要な要素であると考える。組織論や経営学で は, 職 場 の 良 好 な 組 織 風 土 は, 個 人 の 行 動 ・ パ フォーマンスに影響し,仕事の能率・生産性の向上, 個人・組織全体共に良い成果が得られるとされている (北居,2014,p.129-130;Spreizer, G., Porath, C. L., & Gibson C. B., 2012,p.156-157)。しかし,病棟にお ける看護師の実践と組織風土との関連は十分に明らか にされていないため,本研究では,NICUにおける看 護師の FCC 実践と,その実践に影響すると予測され る個人属性や病棟の組織風土との関連を明らかにする ことを目的とした。目には見えない「組織風土」とい う,その組織に共有された認識と看護師個々の FCC 実践行動との関連が明らかになれば,次の段階とし て,どのような組織風土が看護師の FCC 実践を促進 ・阻害するのかが明らかとなる。その結果,家族への ケア向上を目指したNICUスタッフの継続教育・看護 管理の在り方に関する有用な示唆が得られ,日本の新 生児医療における FCC の実践を推進する一助となる と考える。

Ⅱ.概念枠組みと用語の操作的定義

1.本研究の概念枠組み 本研究の概念枠組みを図1に示す。研究者は,個人 の行動・パフォーマンスは組織風土の影響を受けると される組織論の理論に基づき,看護師個人の看護実践 は,個人属性や職務充実感,病棟の組織風土に影響を 受けるという仮説を立てた。本研究は,看護師の FCC実践と,その実践に影響すると予測される変数 間の関連をみるものである。 2.用語の操作的定義 1)家族中心のケア(Family-Centered Care;FCC) 子どもと家族を尊重し,家族と医療者の良好な パートナーシップを基盤としたケアを行うためのアプ ローチであり,具体的には,子どもと家族を尊重した 敬意ある対応,子どもの治療・ケアに関する具体的な 情報提供や情報の共有,意思決定の支援などを指す。 2)組織風土 個人の動機づけや行動に影響を及ぼすと考えられる 直接的あるいは間接的に個人が認識する仕事環境の測 定可能な組織の特性,または組織内の個々の認識が集 まった組織の特性である。本研究において,個人とは NICUの個々の看護師を指し,仕事環境および組織と はNICUを指す。

Ⅲ.方   法

1.研究デザイン 自記式質問紙による量的横断的記述研究である。 2.研究対象者と必要な対象人数(サンプルサイズ) 研究対象者は総合・地域周産期母子医療センター (以下,総合周産期センターまたは地域周産期セン ター)のNICUに所属する管理者以外の看護職である。 本研究は分析手法に因子分析を用いる探索的研究であ 性別・年齢 臨床経験年数 職位・教育背景

個人属性

FCC実践

職務

充実感

病棟の

組織風土

図1 本研究の概念枠組み

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るため,最低必要なサンプルサイズを調査項目の5倍 とすると(石井,2007,pp.60-62),本研究の必要対象 者数は500名程度である。依頼施設の研究協力承諾率 50%,質問紙の回収率50%,有効回答率90%,NICU1 病棟あたりのスタッフ数を約 30~40 名と推測し,研 究協力依頼施設数を80施設と設定した。 3.調査方法 1)研究協力依頼および質問紙の配布・回収手順 総合・地域周産期母子医療センターの全国施設リス トに番号を付して系統的に抽出した計 80 施設の看護 部長宛てに研究協力依頼をした。そのうち,承諾が得 られた 43 か所に計1700 部の質問紙と返信用封筒を送 付し,窓口担当者を通して対象者へ配布し,回答者個 人から返信用封筒にて回収した。 2)データ収集期間:2014年7月~9月 3)プレテストの実施:測定用具の内容妥当性の検討 本調査の前に,質問紙の内容妥当性確保のため, NICUの看護師や臨床経験者など10名にプレテストを 実施した。回収した質問紙の回答所要時間や回答傾 向,修正意見等を踏まえて,小児看護学,母性看護学 および社会調査・統計学専門家などの複数の研究者で 内容妥当性を検討し,本調査で用いる質問紙を完成さ せた。 4)調査項目(測定用具) (1)NICU における家族に提供したケア(FCC 実践 尺度) これまでNICUで実際に家族に提供したケアについ て,質問項目に示した行動がどの程度,回答者にあて はまるかを7段階尺度で問うもので,得点が高いほど FCCの理念を反映した看護実践を行っていると認識 していることを示す。FCC 実践尺度(浅井,2009)を もとに,NICUの看護師が認識する「FCC実践」として 抽出されたカテゴリの内容(浅井・森,2015,p.158-159)を反映させて作成した質問項目を加え,計 34 項 目とした。 (2)所属病棟の組織風土 日本労働研究機構(2003)が開発した Human Re-source Management(HRM)チェックリストの仕事の 状況に関連した要因に対する認知を測定する「ワーク シチュエーション尺度」を参考に研究者が作成した。 個人が所属組織に対してどう認識しているかを5段階 尺度で問うもので,計 24 項目とした。得点が高いほ ど自分の所属組織の雰囲気やチームワークが良好であ ると認識していることを示す。「ワークシチュエー ション尺度」は,①職務,②上司・リーダー,③顧客 や同僚との関係,④ビジョン・経営者,⑤処遇・報 酬,⑥能力開発・福利厚生・生活サポートの 6 尺度, 計 84 項目から成るが,本研究では浅井・森(2015, p.160-161)の研究結果からも,FCC実践行動に影響す ると予測される職務や上司・リーダー,同僚との関 係,組織内の方針決定への参画しやすさなどに関する 質問項目のみ使用することとした。 (3)職務充実感(看護に対するやりがい) NICUの看護に対して好きである・満足している・ 喜びを感じる・誇りを感じる・やりがいを感じるかど うかを5段階尺度で問うものである。得点が高いほど 職務充実感を得ていることを示す。 (4)個人属性(デモグラフィックデータ) ①性別 ②年齢 ③臨床経験年数 ④ NICU/GCU での勤務経験年数 ⑤職位 ⑥職種 ⑦取得資格(認 定看護師/専門看護師) ⑧看護基礎教育機関 ⑨最 終学歴 4.分析方法 統計解析ソフト SPSS Statics Ver21.0 を使用し,① 各質問項目の基本統計量の算出,②各尺度の探索的因 子分析,③各尺度の尺度全体および下位尺度のクロン バックα係数(以下,α係数)の算出,④主要な変数間 の相関係数の算出,⑤ FCC 実践得点を従属変数とし た重回帰分析を行った。 5.倫理的配慮 研究協力は任意であり,協力しない場合にも研究対 象者や研究協力施設への不利益は一切生じないことを 研究協力依頼文に明記し,対象者の自由意思の尊重を 順守した。また,質問紙は無記名であり,回答者が個 別に返信用封筒にて返信する方法で回収し,対象者の 匿名性保持を厳守した。質問紙の返送をもって,研究 協力への同意を得たことした。なお,研究実施に際 し,聖路加国際大学研究倫理審査委員会の承認(承認 番号:14-008)を得た。

Ⅳ.結   果

1.質問紙の回収結果 43カ所の研究協力施設に計 1700 部の質問紙を送付 した結果,771 部回収(回収率 45.4%),回答項目に 1

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割以上の欠損値がある質問紙を除く764部を有効回答 とした。 2.対象施設の属性 認可種別は,総合周産期センター 25 施設(58.1%), 地域周産期センター 17 施設(39.5%)であった。病院 の種類は,割合の多い順に総合病院が41.9%,大学附 属病院が30.2%,国公立のこども病院・小児医療セン ターが23.3%であった。病院の所在地域は,割合の多 い 順 に 関 東 27.9%, 中 部 8 カ 所 18.6%, 東 北 6 カ 所 14.0%,その他の地域は 10% 以下であった。NICU ・ GCU総病床数は,割合の多い順に20床以上40床未満 が 48.8%,20 床未満が 34.9%,40 床以上 60 床未満が 14.0%であった。 3.対象者の属性(表1) 764名のうち,男性 3.0%,女性 95.8% であった。平 均年齢 32.6±8.4 歳で,20 歳代および 30 歳代が 7 割を 占めていた。平均臨床経験年数 9.9±8.1 年,NICU 平 均勤務経験年数5.1±4.9年,職位は,役職なし85.7%, 副師長・主任相当 12.0% であった。職種は,看護師 89.7%,助産師 9.2%,准看護師 0.1% であった。取得 資格としては,新生児集中ケア認定看護師 4.0%,小 児看護専門看護師 0.3%,母性看護専門看護師は該当 者がいなかった。看護基礎教育機関は,割合の高い順 に看護系養成所 50.6%,大学 27.7%,短期大学 13.8% であった。最終学歴は,割合の高い順に看護系養成所 43.4%,大学26.7%,短期大学13.9%であった。 4.対象者の職務充実感 対象者の職務充実感を問う5段階尺度 5項目の合計 点の平均値±標準偏差は 19.17±4.74 点であった。「そ う思う」の割合の高い項目から,NICUの看護が「好き である」(32.6%),「誇りを感じる」(28.4%),「やりがい を感じる」(28.0%),「喜びを感じる」(26.4%),「満足し ている」(24.3%)であった。 5.FCC実践尺度の因子構造及び信頼性の検討(表2) 尺度項目の記述統計量,尺度得点の床・天井効果の 確認を行ったところ,いずれの尺度も床・天井効果を 示す項目はなかった。また,各尺度の因子構造を検討 するため探索的因子分析(主因子法,プロマックス回 転,固有値 1.0 以上と設定)を行い,質問項目の選定 基準として,回転前の因子抽出後の共通性および回転 表1 対象者の属性 n % 性別  男性 23 3.0  女性 737 95.8  無回答 4 0.5 年齢  25歳未満 152 19.8  25歳以上 30歳未満 188 24.4  30歳以上 35歳未満 127 16.5  35歳以上 40歳未満 125 16.3  40歳以上 45歳未満 75 9.8  45歳以上 50歳未満 56 7.3  50歳以上 30 3.9  無回答 11 1.4 臨床経験年数  1年未満 55 7.2  1年以上5年未満 167 21.7  5年以上10年未満 194 25.2  10年以上 15年未満 126 16.4  15年以上 20年未満 87 11.3  20年以上 25年未満 70 9.1  25年以上 48 6.2  無回答 6 0.8 NICU・GCU勤務経験年数  1年未満 117 15.2  1年以上5年未満 299 38.9  5年以上10年未満 215 28.0  10年以上 15年未満 77 10.0  15年以上 20年未満 31 4.0  20年以上 13 1.7  無回答 12 1.6 職位  役職なし(スタッフ) 659 85.7  副師長・主任相当 92 12.0  その他 10 1.3  無回答 3 0.4 職種  看護師 690 89.7  助産師 71 9.2  准看護師 1 0.1  無回答 2 0.3 取得資格  新生児集中ケア認定看護師 31 4.0  小児看護専門看護師 2 0.3  母性看護専門看護師 0 0.0 看護基礎教育機関  看護系高等学校専攻科 44 5.7  看護系養成所(専門学校) 389 50.6  短期大学 106 13.8  大学 213 27.7  無回答 12 1.6 最終学歴  看護系高等学校専攻科 55 7.2  看護系養成所(専門学校) 334 43.4  短期大学(看護・医療系) 107 13.9  短期大学(看護・医療系以外) 8 1.0  大学(看護・医療系) 205 26.7  大学(看護・医療系以外) 27 3.5  大学院修士課程 16 2.1  大学院博士課程 0 0.0  無回答 12 1.6 n=764

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後の因子負荷量が0.3以上とした。 1)FCC実践尺度の因子構造の検討 探索的因子分析の結果,34 項目のうち,因子負荷 量0.30未満の質問項目3項目を削除した31項目を最終 的なFCC実践尺度として採択した(表2)。抽出後の累 積寄与率は,51.18%であった。第2因子以外の4つの 表2 FCC実践尺度の探索的因子分析(主因子法–プロマックス回転) 因子負荷量 第1因子 第2因子 第3因子 第4因子 第5因子 第1因子:全般的な情報提供(8項目) α=0.84 (25)情報を得る方法や他の親との連絡のとりかたについてアドバイスした 0.73 −0.04 −0.02 −0.01 0.04 (26)きょうだいを含め家族全員が情報を得るための機会を提供した 0.72 −0.06 −0.03 0.01 0.03 (23)家族同士の親睦・情報交換・体験の共有のために,家族同士の「つながり」を促した 0.69 −0.04 −0.29 0.16 0.02 (27)両親の様々な心配事に役立つ全般的な情報を持っている 0.59 0.14 0.16 −0.14 −0.03 (11)どのような時期に,どのような種類の情報が欲しいか,両親に選んでもらった 0.56 −0.20 0.19 −0.02 0.13 (10)両親にとって何が大切かについて話せる機会を作った 0.43 −0.14 0.40 0.02 0.08 (24)子どもの慢性的な病状による影響に,家族が対処できるよう支援した 0.38 0.03 0.17 0.22 −0.01 (34)子どものきょうだい・祖父母が子どもとの絆を形成できるよう積極的に働きかけた 0.37 0.31 0.02 0.08 −0.08 第2因子:親子の絆を育む支援(7項目) α=0.88 (30)両親の面会時,早期から子どもと触れ合う機会を積極的に作った −0.14 0.91 −0.05 0.06 −0.05 (31)両親の面会時,どこまで子どものケアができそうかを見極め,徐々にケアへの参加 を促した −0.11 0.86 0.04 0.05 −0.02 (28)カンガルーケアや子どもの沐浴など,両親が子どものために実施できるケアについ て,積極的に伝えた −0.05 0.71 0.05 0.00 0.02 (29)子どもの今後の経過(見通し)について,両親がイメージできるよう伝えた −0.01 0.70 0.02 0.02 0.11 (32)子どもの入院早期から,退院に向けた支援を意識して,両親に関わった 0.37 0.66 −0.04 −0.17 0.02 (33)子どもの入院早期から,両親へ子どもと一緒に生活することをイメージをしてもら うよう働きかけた 0.44 0.49 −0.01 −0.09 −0.01 (13)両親の質問にきちんと答えた −0.25 0.30 0.21 0.25 0.20 第3因子:思いやりのある対応(7項目) α=0.86 (1)家族のニーズや生活スタイルに合ったケアの仕方を提案した 0.03 0.01 0.89 −0.09 −0.09 (3)両親と信頼関係を築くために時間をかけた 0.02 −0.06 0.78 0.01 −0.07 (2)両親に肯定的なフィードバックや勇気づけをした −0.15 0.06 0.74 0.09 −0.05 (8)特別なケアが必要な子どもを持っていることについて,家族の気持ちを一緒に話し 合った 0.02 0.04 0.59 0.16 −0.07 (4)子どもに起こりうる事について,意見やケア行動を統一するために,他のスタッフと 話し合った −0.05 0.19 0.58 −0.08 0.04 (5)子どものケアについて,両親に選択肢を伝えた 0.13 0.04 0.51 −0.01 0.13 (12)長期間,家族が少なくとも一人の担当看護師と安定した関係を築けるように支援した 0.22 0.00 0.39 −0.03 0.20 第4因子:敬意ある対応(6項目) α=0.84 (18)両親を患児の親としてだけでなく,対等な立場の人として対応した 0.05 −0.07 −0.14 0.76 0.06 (22)両親と子どもを「ケース」ではなく,対等な立場の人として対応した −0.07 0.11 0.01 0.74 0.01 (17)両親を「医学的な問題」のある子どもの「典型的な」親としてではなく一個人として対 応した −0.04 −0.04 0.01 0.72 0.09 (20)子どものケアにおいて,両親がパートナーである,と感じられるように両親を支援 した 0.34 −0.03 0.01 0.61 −0.11 (7)両親を子どものケアにおける「パートナー」として信頼した −0.02 0.04 0.12 0.49 −0.07 (21)両親が親としての役割を果たせている,と感じられるように支援した 0.12 0.19 0.18 0.46 −0.10 第5因子:子どもに関する具体的な情報提供(3項目) α=0.69 (16)子どものケアについて,その方法や理由,期間などの詳細を両親へ伝えた −0.06 0.08 0.11 0.08 0.65 (15)子どもの状態,経過,治療・ケアに関する書面にされた情報を提供した 0.20 −0.04 −0.13 −0.07 0.64 (14)子どもの検査結果やアセスメントした結果を両親へ伝えた 0.12 0.08 −0.11 0.12 0.49 尺度全体 α=0.94 回転後の負荷量平方和 6.60 8.07 9.05 7.05 5.99 因子相関 第1因子 1.00 第2因子 0.39 1.00 第3因子 0.57 0.70 1.00 第4因子 0.38 0.59 0.62 1.00 第5因子 0.51 0.51 0.62 0.53 1.00 抽出後の累積寄与率(%) 51.18 n=764

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因子名は先行研究の FCC実践尺度(浅井,2009)と同 様,それぞれ第 1 因子:【全般的な情報提供】,第 3 因 子:【思いやりのある対応】,第 4 因子:【敬意ある対 応】,第 5 因子:【子どもに関する具体的な情報提供】 と命名した。研究者が新たに作成・追加した質問項目 はすべて第2因子に含まれ,【親子の絆を育む支援】と 命名した。 2)FCC実践尺度の信頼性の検討 尺度全体と 5 つの下位尺度における α 係数は,第 5 因子のみ0.69と内的一貫性の基準とされる0.70をやや 下回ったが,それ以外はすべて0.80以上を示し,内的 一貫性について確認できた。また,因子間の相関係数 は,r=0.39~0.70で中程度~比較的強い正の相関を示 した。 3)下位尺度得点(項目平均値)の記述統計量 各下位尺度得点の平均値及び標準偏差は,平均値の 高いものから順に,第 2 因子【親子の絆を育む支援】 5.57±0.75,第 4 因子【敬意ある対応】5.33±0.74,第 3 因子【思いやりのある対応】5.23±0.76,第 5 因子【子 どもに関する具体的な情報提供】4.84±1.04,第1因子 【全般的な情報提供】4.30±0.91であった。 6.組織風土尺度の因子構造及び信頼性の検討(表3) 1)組織風土尺度の因子構造の検討 探索的因子分析の結果,5因子が抽出された。回転 前の第2因子までの累積寄与率は72.15%であり,すべ 表3 組織風土尺度の探索的因子分析(主因子法–プロマックス回転) 因子負荷量 第1因子 第2因子 第3因子 第4因子 第5因子 第1因子:看護師間の良好なチームワーク α=0.94 (8)看護スタッフ同士の人間関係は良い 0.88 −0.13 −0.02 0.09 0.04 (9)看護スタッフ同士,よくコミュニケーションがとれている 0.87 −0.05 −0.11 0.05 0.11 (11)看護スタッフメンバーの間には,良好なチームワークがある 0.82 0.02 −0.04 0.01 0.08 (7)病棟の先輩・後輩含め看護スタッフの多くに好感をもてる 0.80 −0.13 0.05 0.04 0.13 (6)病棟は友好的な雰囲気である 0.78 −0.12 0.03 0.14 0.07 (10)看護スタッフ同士,子どもと家族のケアに関する情報交換は活発である 0.47 0.17 −0.09 0.14 0.10 第2因子:看護師–医師間の良好なチームワーク α=0.89 (16)医師は,子どもの家族に対するケアについて関心がある −0.14 0.78 −0.01 0.00 0.10 (17)医師は,カンガルーケアや抱っこなど親子の早期接触に理解がある −0.31 0.78 −0.05 0.14 0.16 (18)医師は,家族が子どものケアに参加することに理解がある −0.26 0.75 −0.02 0.14 0.20 (14)看護師と医師は,子どもと家族のケア方針などを頻繁に話し合う機会がある 0.15 0.67 −0.04 0.04 −0.03 (15)看護師と医師は,病棟のケアの方針変更の際,一緒に話し合う過程を共有している 0.15 0.66 0.02 0.04 −0.06 (13)看護師と医師は,良くコミュニケーションがとれている 0.48 0.63 0.07 −0.17 −0.17 (12)看護師と医師の人間関係は良い 0.51 0.57 0.08 −0.15 −0.18 第3因子:上司からの承認・サポート α=0.94 (20)上司(看護師長)は,私の長所を生かそうとしてくれる −0.04 −0.03 1.00 0.00 −0.01 (21)上司(看護師長)は,私の看護実践能力が高まるよう配慮してくれる −0.04 0.03 0.89 −0.01 0.06 (19)上司(看護師長)は,私の看護実践を認めてくれる −0.03 −0.02 0.84 0.07 0.03 第4因子:組織内の意思決定への参加しやすさ α=0.79 (1)病棟のケアの方針変更や新たな取り組みの導入時,若手スタッフにも発言機会がある 0.04 0.10 −0.05 0.77 −0.10 (3)病棟全体に若手スタッフも含め個々の意見を受け入れる雰囲気がある 0.32 0.03 −0.02 0.62 −0.04 (4)仕事をすすめる上で,自分の意見は十分反映されている 0.15 0.04 0.16 0.48 0.02 (2)若手スタッフも日々のカンファレンスを運営する機会がある 0.10 0.04 0.02 0.47 −0.19 (5)自分の仕事に関わりのある病棟内の決定には,参加できる 0.08 −0.01 0.10 0.45 0.06 第5因子:先輩からの承認・サポート α=0.90 (22)先輩は,子どもと家族のケアについて,実践に役立つ助言をくれる 0.14 0.08 0.01 −0.13 0.86 (23)先輩は,子どもと家族のケアについて,私の実践能力に応じた関わりをしてくれる 0.16 0.08 0.04 −0.13 0.82 (24)先輩は,子どもと家族に対する私のケアが失敗した時,責めずに関わってくれる 0.22 0.02 0.06 0.03 0.57 尺度全体 α=0.94 回転後の負荷量平方和 8.51 6.53 6.03 6.31 5.78 因子相関 第1因子 1 第2因子 0.53 1 第3因子 0.49 0.41 1 第4因子 0.59 0.42 0.51 1 第5因子 0.49 0.37 0.56 0.56 1 抽出後の累積寄与率(%) 65.49 n=764

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ての項目において因子負荷量が0.4以上を示したため, この結果を採択した(表 3)。抽出後の累積寄与率は, 65.49%であった。因子名は,第 1 因子:【看護師間の 良好なチームワーク】,第 2 因子:【看護師-医師間の 良好なチームワーク】,第3因子:【上司からの承認・ サポート】,第4因子:【組織内の意思決定への参加し やすさ】,第 5 因子:【先輩からの承認・サポート】と 命名した。 2)組織風土尺度の信頼性の検討 尺度全体と5つの下位尺度におけるα係数はすべて 0.70以上を示し,内的一貫性について確認できた。ま た,因子間の相関係数は,r=0.37~0.59と中程度の正 の相関を示した。 3)下位尺度得点(項目平均値)の記述統計量 各下位尺度得点の平均値及び標準偏差は,平均値の 高いものから順に,第 5 因子【先輩からの承認・サ ポート】3.73±0.86,第 2 因子【看護師間の良好なチー ムワーク】3.57±0.82,第 3 因子【上司からの承認・サ ポート】3.54±0.91,第2因子【看護師–医師間の良好な チームワーク】3.42±0.77,第 4 因子【組織内の意思決 定への参加しやすさ】3.40±0.79であった。 7.対象者の属性,FCC実践,組織風土等の変数間の 相関係数(表4) 主要な各変数間の相関係数の算出結果を表 4 に示 す。以下,いずれも統計的に有意な相関がみられた。 「組 織 風 土」と「職 務 充 実 感」に は, 弱 い 正 の 相 関 (r=.428, p=.000),「FCC実践」と「組織風土」には,弱 い正の相関(r=.382, p=.000),「FCC 実践」と「職務充 実感」には,弱い正の相関(r=.326, p=.000),「職務充 実感」と「NICU 臨床経験年数」には,弱い正の相関 (r=.247, p=.000)が,「FCC実践」と「NICU臨床経験年 数」には,弱い正の相関(r=.223, p=.000)がそれぞれ みられた。 8.FCC実践に影響する要因(表5) 対象者のFCC実践得点に影響する要因を探索するた め,FCC実践尺度得点を従属変数,対象者の臨床経験 年数,職務充実感および病棟の組織風土得点を独立変 数として,重回帰分析を行った。その結果,「組織風 土」(β=.293, p<.001)「職務充実感」(β=.199, p<.001) 「臨床経験年数」(β=.184, p<.001)が抽出され,決定係 数は.209(p<.001),自由度調整済み決定係数は.206で あった。以上より,看護師のFCCの実践には,所属病 棟の「組織風土」が最も影響しており,次いで「職務充 実感」,「臨床経験年数」が影響していた。

Ⅴ.考   察

1.FCC実践尺度および組織風土尺度の構成概念妥当 性と信頼性 FCC実践尺度の探索的因子分析の結果,研究者が作 成した質問項目はすべて第2因子として抽出されたこ とから,第2因子【親子の絆を育む支援】は,他の項目 とは種類の異なるNICUに特有の家族へのケアである と考えられる。この因子を含め,FCC実践尺度は,5 つの因子に分かれ,各因子の α係数は 0.69~0.88 を示 した。一般的にα係数を計算するデータ数は少なくと も50以上であり,α係数は少なくとも0.70より大きけ れば尺度の信頼性(内的一貫性)は検証されたとされ, また,信頼性係数は尺度に占める項目数が大きく,項 目間の相関係数が高いほど,高くなる傾向にあるとさ れる(柳井・井部,2012,p.17)。したがって,第5因 子【子どもに関する具体的な情報提供】は,質問項目 が3項目のみであることがα係数0.67と低くなった要 表4 各尺度得点と対象者の属性等の変数間の相関係数 年齢 臨床経験年数 経験年数NICU FCC実践 組織風土 充実感職務 年齢 p値r 1 臨床 経験年数 r .937 ** 1 p値 .000 NICU 経験年数 r .526 ** .578** 1 p値 .000 .000 FCC実践 rp値 .000.143** .170.000** .223.000** 1 組織風土 r −.031 −.033 −.036 .382 ** 1 p値 .405 .373 .330 .000 職務 充実感 r .017 .038 .247** .326** .428** 1 p値 .644 .304 .000 .000 .000 r=Pearsonの相関係数,*p<.05**p<.01(両側) 表5 FCC実践に影響する要因(重回帰分析) 独立変数 B β 組織風土 .416 .293*** 職務充実感 .941 .199*** 臨床経験年数 .512 .184*** R2 .209*** 調整済みR2 .206*** N 764 従属変数:FCC実践得点 *p<.05,**p<.01,*** p<.001

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因であり,概ねこの基準を満たしていることから,尺 度の信頼性は確保されたといえる。 また,組織風土尺度の探索的因子分析の結果,組織 風土尺度は 5 因子構造であり,各因子の α 係数は 0.79~0.94 を示し,前述の尺度の信頼性の基準(柳井 ・井部,2012,p.17)を満たしていることから,本尺 度の信頼性は確保された。 2.FCC実践尺度および組織風土尺度の今後の活用 FCC実践尺度の原版は,カナダの小児リハビリ テーション領域の多職種の専門職を対象に開発された 尺度である。しかしながら,原版尺度は汎用性が高い 利点がある一方で,職種間の役割の違いなどから NICUの看護職が家族へ提供するケア実践を測る尺度 としては不十分な点もあったことから,新たにNICU における FCC 実践評価尺度として作成した。今後, 本尺度が日本のNICU看護職がFCCの実践を自己評価 する尺度として臨床での継続教育などで活用できると 考える。 また,病棟の組織風土尺度は,NICUに限らず,病 院や診療所などに勤務する看護職対象に,所属組織に 対する個人の認識を測定するのに広く活用できると考 える。さらに,同じ病院内で所属病棟ごとに集団の平 均値を病棟間で比較する,あるいは複数の施設間で各 施設の平均値を比較するなど,「個人の認識」だけでな く,個人の総意である「集団の認識」としての組織風 土得点を測定することも可能で,組織の変革を組織成 員が評価するツールとするなど様々な活用方法が考え られる。 3.看護師のFCC実践に影響する病棟の組織風土 FCC実践尺度得点を従属変数とした重回帰分析の 結果から,FCC の実践には,個々の看護師の病棟の 「組織風土」が最も影響しており,次いで「職務充実 感」,「臨床経験年数」が影響することが明らかになっ た。このように,本研究により病棟の組織風土は看護 師の FCC の実践への強い影響要因であることが明ら かとなり,FCC 実践への促進要因として組織風土の 重要性を述べた先行研究(浅井・森,2015,p.160-161)を支持するものであった。 「組織風土」とは,仕事環境で生活し,活動する個 人が,直接的あるいは間接的に認知し,組織成員個人 の動機づけおよび行動に影響を及ぼすと考えられる一 連の仕事環境の測定可能な特性,または組織内の 個々の認識の集合体から生まれた全体的な認知とされ ている(宮入,2012,p.207)。本研究における病棟の 組織風土は,個人が自分の所属組織をどう捉えている かという個人の認識を測定したものであり,前者を指 している。一方,後者は個人の得点を施設毎に平均化 した値は個人の認識が集まった組織の特性となる。今 後,個人の認識である組織風土だけでなく,集団の認 識である組織風土をはじめとして,個人の実践に影響 を与える組織的な要因を明らかにする必要があると考 える。 組織論や経営学の研究では,組織の成員を動機づ け,ポジティブな成果を促進する要素として,お互い の仕事ぶりや努力を褒める・承認する組織風土,組織 成員の合意による組織の意思決定が重要であるとされ て い る(Laschinger, Leiter, Day, et al., 2012, pp.323-324;Lefton, 2012;pp.337-338)。これらのことから組 織風土尺度の下位尺度である【良好なチームワーク】 や【組織内の意思決定への参加しやすさ】は個々の看 護実践に対するモティベーションを高めるために重要 な要素だと考える。具体的には,日頃から若手ス タッフが意見を述べ,カンファレンスなどの進行役を 担う機会を作るなど,若手も組織に参画しやすい風土 を醸成することが,一つの対策として提案できる。こ れらの成果は,個人と集団の強みに焦点を当てる「ポ ジティブ心理学(Positive Psychology)」,ポジティブ な成果,過程ならびに組織やメンバーの特性などを研 究する「ポジティブ組織研究」の成果であり,看護の 分野においても,スタッフの主体性を高めチームを活 性化するために看護における「ポジティブ・マネジメ ント」の重要性が述べられており(手島,2014,pp.2-24),本研究はこれらの研究成果を支持するものであ ると考える。 4.本研究の限界と今後の課題 本研究の対象者は,研究への参加に協力的で,かつ 組織への参画意識の高い集団の回答であることが推測 され,母集団からの選択バイアスが生じていることが 考えられるため,母集団である日本のNICU看護職一 般の認識を反映しているとは限らない。また,FCC 実践得点を従属変数とした重回帰分析の結果,組織風 土,職務充実感,臨床経験年数の 3 つの説明変数は FCC実践の 20% 程度を説明しているに過ぎず,他に も未知の要因が影響している可能性があることは本研 究の限界である。さらに,本研究では,「組織風土」を

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個人の認識として捉え,個人レベルでのみ検討した。 今後は,各施設の平均値を算出し,集団の認識である 集団レベルの「組織風土」を変数として,集団レベル の組織風土得点が高い施設の教育・管理体制や看護管 理者の方針など施設特性と個人の FCC 実践との関連 について明らかにすることが課題である。

Ⅵ.結   論

国内43か所の周産期医療センターのNICUに所属す る看護職を対象に自記式質問紙による量的横断的調査 を実施した。有効回答764部を分析対象とし,記述統 計量の算出,因子分析および重回帰分析を行った結 果,以下の結果を得た。 1. FCC実践尺度は探索的因子分析の結果,5 因子 構造となり,α 係数は,尺度全体および下位尺 度ではα=0.69~0.94と内的一貫性が確認された。 2. 組織風土尺度は探索的因子分析の結果,5因子構 造となり,α 係数は,尺度全体および下位尺度 ではα=0.79~0.94と内的一貫性が確認された。 3. FCC実践尺度および組織風土尺度は,ともに全 項目での信頼性は高く,看護職対象の継続教育 等で活用できることが示唆された。 4. FCCの実践には,個々の看護師の所属病棟の 「組織風土」が最も影響しており,次いで「職務 充実感」,「臨床経験年数」が影響していることが 明らかになった。 謝 辞 本研究にご協力くださいました研究協力施設の看護 職の皆様に深く感謝申し上げます。また,本研究にあ たりご指導頂きました聖路加国際大学大学院森明子教 授に心より感謝致します。なお,本研究は聖路加国際 大学大学院博士論文の一部を加筆・修正したものであ り,公益信託山路ふみ子専門看護教育研究助成基金の 研究助成を受けて実施しました。 利益相反 本研究に関する利益相反はありません。 文 献 浅井宏美(2009).NICUにおける看護師のファミリーセン タードケアに関する実践と信念.日本新生児看護学 会,15,10-19. 浅井宏美,森明子(2015).NICUの看護師が認識する家族 中心のケア(Family-Centered Care)の利点および促 進・阻害要因.日本看護科学学会誌,35,155-165. Coyne, I., O'Neill, C., Murphy, M., Costello, T., & O'Shea, R.

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