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著作権の集中管理団体の現代的意義と競争政策 : Google Books事件を素材に

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117

著作権 の集中管理 団体 の現代 的意義 と競争政策

Google Books事 件 を 素 材 に

克 幸

1 は じ め に 著 作 権 の 集 中 管 理 団 体(1)が引 き起 こ す 競 争 政 策 上 の 問 題 は 、 特 に 米 国 に お い て は 、 音 楽 著 作 権 管 理 団 体 で あ るASCAP(American Society of

Composers, Authors and Publishers)やBMI(Broadcast Music, lnc.)に 対 す る 一 連 の 訴 訟 を 代 表 と し て 古 く か ら 認 識 さ れ て い る(2)。こ れ に 対 し、 わ が 国 の 場 合 、 長 ら く 「著 作 権 に 関 す る 仲 介 業 務 に 関 す る 法 律 」(以 下 、 「仲 介 業 務 法 」)が 存 在 し、 文 化 庁 の 厳 格 な 規 制 あ る い は 指 導 が 行 わ れ て い た こ と も あ っ て 、 著 作 権 の 集 中 管 理 団 体 が 競 争 法 あ る い は 競 争 政 策 と の 関 係 で 具 体 的 か つ 重 大 な 問 題 に発 展 す る ケ ー ス は ほ と ん ど な か っ た 。 し か し な が ら、 仲 介 業 務 法 が 廃 止 さ れ 、 著 作 権 等 管 理 事 業 法(2001年10月1日 施 行)へ と移 行 した 現 在 に あ っ て は 、 当 然 に 、 複 数 の 著 作 権 管 理 団 体 に よ る 競 争 が 生 じ得 る 状 況 と な っ て お り(3)、事 実 、 わ が 国 の 代 表 的 な 著 作 権 管 理 団 体 の1つ で あ る (1)本稿 にお いて 「著作 権 の集 中管理 団体 」 とい う場合 の著 作 権 に は、著 作 者 に与 え られ る著 作 財 産権 のみ な らず、 実演 家 や レコー ド製作 者 、放 送事 業 者等 に認 め られ る独 占 権 ・排他 権 と して の著作 隣接権 、 お よび私 的録 音録 画補 償 金請 求権 や 商業 用 レコー ド の二 次使 用料 請 求権 な どの報酬 請 求権 を も含 んで い る。 (2)ASCAPやBMIを 巡 る判 例 の流 れ につ い て は、 根岸 哲 「独 禁 法上 にお け る音 楽著 作 権 団 体 の法 的地 位 米 国 お よ びECの 展 開」今 村成 和 教授 退 官記 念 論集 『公 法 と 経 済法 の諸 問 題確(下)』363頁(有 斐 閣、1982年)、 池 端 亨 一 「ASCAPと ア メ リ カ独 占禁 止 法 」著 作 権研 究12号93頁(1984年)、 泉 克幸 「著作 権 の集 中管 理 と独 占禁 止法 」 商大論 集45巻4号1103頁(1994年)な ど参照 。 (3)仲介 業 務法 か ら著作 権 等管 理事 業 法へ と移行 した こ とに伴 い、 当該 事 業へ の参 入 につ い て は許可 制 か ら登録 制へ と、 また 、使 用料 の 設定 も認 可 制か ら届 出制へ と変 更 され た。

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118 京 女法 学 第1号 JASRAC(社 団法 人 日本 音 楽 著作 権 協 会)が 公 正 取 引 委 員 会 か ら、 放 送 等 の使 用 料 算 定 にお い て用 い て い る包括 徴 収 方法 を 問題 と され排 除措 置 命 令 を受 け る事 態 も生 じてい る(4)。 とこ ろで 、 昨 今 の デ ジ タル化 ・ネ ッ トワー ク化 の急 速 な進 展 は著 作 権 制 度 に大 きな影 響 を与 え てい る。 こ う した 認 識 は 、 た とえ ば、 本 年(2011年)1 月 に公 表 され た 著 作 権 分 科 会 の 報 告書 にお い て も明 確 に示 され て い る(5)。同 報 告 書 は、 著 作 権 分 科 会 の 下 に設 け られ た3つ の小 委 員会(基 本 問題 小 委 員 会 、 法 制 問題 小 委 員 会 、 国 際小 委 員 会)に お け る検 討 結 果 を と りま とめ る と い う体 裁 の もので あ るが 、 そ の うち基 本 問 題小 委 員会 は様 々 な 論 点 に つ い て 有 識 者 か らの ヒ ア リ ング等 を通 じて検 討 を行 った 上 で 、デ ジ タル ・ネ ッ トワー ク社 会 に対 応 した 著 作 権 シ ス テ ム を構 築 す る に 際 して の 課 題 の1つ と して 「権 利 の集 中 処 理 の 推 進 」 を取 り上 げ て い る(6>。デ ジ タル 化 、 ネ ッ トワ ー ク 化 の進 展 と と もに、大 量 の著作 物 が多 種 多 様 な形 で 利 用 され る機 会 が 増 大 し、 そ れ と共 に、 必 要 とな る権 利処 理 の数 も飛 躍 的 に増 加 して い る こ とが 背 景 に なっ て い る の で あ ろ う。 権 利 の 集 中処 理 は著 作 者 等 の 権 利 保 護 を確 実 な もの と し、 コ ンテ ンツ事 業 者 や 配信 事 業 者 とい っ た一 次 的 な利 用 者 の 経 済 的 利 得 の機 会 を増 大 させ 、 さ らに は、 最終 的 な利 用 者(多 くは 国民 一 人 ひ と り)の 満 足 度 を高 め る こ と に繋 が る とい う点 で は優 れ た とい っ た シ ス テ ム で あ り、 (4)公 取 委 排 除 措 置 命 令 平 成21年2月27日 審 決 集55巻712頁 〔JASRAC事 件 〕。 な お 、 本 件 は 審 判 が 開 始 さ れ て い る。 (5)「文 化 審 議 会 著 作 権 分 科 会 報 告 書 」(平 成23年1月)。 同 報 告 書 は 「は じめ に 」 の 中 で 、 「我 が 国 は 、 知 的 財 産 基 本 法 に 基 づ き、 『知 的 財 産 立 国』 の 実 現 に 向 け た 様 々 な 施 策 を 進 め て い る 。 こ う した 中 で 、文 化 審 議 会 著 作 権 分 科 会 に お い て も、急 速 な デ ジ タル ・ネ ッ トワ ー ク 社 会 の 進 展 等 に対 応 す る た め 、 著 作 権 に 関 す る様 々 な課 題 に つ い て 、 時 宜 を 逃 さ ず 検 討 を 行 っ て きた と こ ろ で あ り… 」 と 述 べ て い る。 (6)著 作 権 分 科 会 報 告 書 ・前 掲 注(5)18頁 。 報 告 書 は 次 の よ う に 述 べ る 。 「権 利 の 集 中 処 理 に つ い て は 、 近 年 、CDC〔 筆 者 注:一 般 社 団 法 人 著 作 権 情 報 集 中 処 理 機 構 〕 や 、 一 般 社 団 法 人 映 像 コ ン テ ン ツ 権 利 処 理 機 構(aRma)の 設 立 に見 られ る よ う に 、 民 間 で の 取 組 が 進 ん で お り、 こ う し た取 組 を検 証 す る 必 要 が あ る が 、 今 後 は 、 こ れ らの 取 組 以 外 の 分 野 に お け る権 利 処 理 の 集 中 管 理 の 在 り方 に つ い て 、制 度 面 で の 対 応 を含 め 、 検 討 を して い く こ と が 考 え ら れ る。」

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著作 権 の集 中管 理 団体 の 現代 的意 義 と競 争 政策(泉) ll9 文 化 の 発展 に寄 与 す る とい う意 味 で著 作 権 法 の 目的 に も叶 う もの と評 価 で き よ う 。 しか し な が ら、 他 方 で は 、 権 利 の 集 中 処 理 機 関 の あ り方 、 あ る い は推 進 され る権 利 の 集 中処 理 ス キ ー ム にお い て、 関連 す る市場 で の競 争 上 の弊 害 や 利 用 者 の 利益 を損 な う とい う問題 が 生 じる可 能 性 も看 過 す る こ とはで きな い(7)(8)。 周 知 の と お り、 ネ ッ ト ワ ー ク 産 業 あ る い はIT産 業 に お い て 、 現 在 最 も 成 功 して い る代 表 的 企 業 の1つ 、Google Inc.(以 下 、 「グ ー グ ル 」)が 開 始 した 書 籍 の 全 文 検 索 サ ー ビ ス 、 「Google Books」(以 下 、 「グ ー グ ル ブ ッ ク ス 」)が 著 作 権 法 上 大 き な 問 題 と な っ て い る 。 同 サ ー ビ ス に 対 し て は 全 米 作 家 組 合 (Authors Guild)が2005年 に 著 作 権 侵 害 に 当 た る と し て 訴 訟 を提 起 し、 そ の 後 、 大 手 出 版社 が 同 様 に起 こ した訴 訟 と併 合 され た もの の 、現 在 、 なお 結 論 (7)権利 の集 中処理 機 関 とは、一 般 的 には著作 権 等 の ラ イセ ンス許 諾等 の業 務 を一 括 して 行 う組織 を指 す。 そ の意 味 では権 利 の集 中管 理 団体 と同義 とい う ことに なる。 しか し な が ら、 た と えばCDC(前 掲 注(6)参照)で あれ ば、 「著 作物 等 の利 用 者及 び権 利 者 との連携 の下 に、 著作 物 等 の利用 状 況及 び権 利 関係 に関す る情 報 を収 集 し、独 自に開 発 した コ ンピュ ー タ シス テ ム に よ り整理 ・集 約 した うえ で、そ の結 果 を 関係 者 に提 供 す る こ と」 が事 業 の 内容 で あ り、 権利 の管理 あ る い は利用 許諾 等 の業務 は行 って い な い ようで あ る(同 機構HP参 照 〉。 そ れ ゆ え、基 本 問 題小 委 員 会 あ るい は著 作権 分 科 会報 告書 が 念頭 に置 く権 利 の集 中処 理機 関 と権 利 の集 中管 理 団体 とは役 割 また は次元 が異 なる もの で あ るか もしれ ない。 しか しなが ら、 両 者 と も多 種多 様 な著作 権 の権 利 処理 を迅速 か つ公 平 に行 うため の シス テ ムあ るい は制 度 で あ り、 大量 の著 作権 また は そ の関 連情 報 を一 括 して集 中的 に コ ン トロー ルす る とい う同 じ性格 を有 して い るので あ って 、 関連 市場 へ の影 響 とい う問 題 は共 通で あ る よ うに思 わ れ る(な お、 本稿 は既 存 の団体 に対 して個 別 的 に評 価 を行 う こと を 目的 とす る もので は ない)。 (8)この問題 は文化 庁 にお いて も強 く認 識 され てお り、委 託事 業 「著作 物 等 の流 通促 進 に 関 す る調査 研 究事 業 」 と して3年 間に亘 り継続 され てい る。 す で に21年度 お よび22年 度報 告 書が 公 表 され てお り(三 菱UFJリ サー チ & コ ンサル テ ィ ング 「諸 外 国の著 作 権 の集 中管 理 と競 争 政 策 に関 す る調 査研 究 」(平 成22年3月)、 同(平 成23年3月))、 文化 庁 のHPか ら入 手 で きる。

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120 京女 法学 第1号 を得 る に至 っ て い な い(9)。同 訴 訟 にお い て は純 粋 の著 作 権 法 上 の観 点 か らの み な らず 、 競 争 法(反 トラ ス ト法)上 の懸 念 も問題 とな っ て い る。 同サ ー ビ ス は書 籍 情 報 に関 す るグ ー グ ルの 一・局管 理 あ る い は独 占的 な コ ン トロー ル と い う危 険性 を孕 む もの で あ り、 関 連 す る市 場 や取 引 に悪 影 響 を及 ぼ しか ね な い か らで あ る。 グ ー グル ブ ックス は多 くの書 籍 情 報 お よ び著 作 権 の 管 理 ・処 理 を グー グル が 一括 して行 う とい う点 で著 作 権 の集 中管 理 団体 と類 似 の機 能 を果 た す もの で あ り、両 者 の競 争 政 策上 の 問題 点 も共 通 す る部 分 が あ る(特 に、 グ ー グ ル ブ ッ ク ス 実 現 の た め に 設 け られ る 「レ ジ ス トリ(Registry)」 は権 利 集 中管 理 団 体 と類 似 ま た は共 通 の性 格 を有 して い る)。 そ れ ゆ え、 著 作 権 の 集 中 管 理 団体 を競 争 政 策 の 観 点 か ら議 論 す る際 に は、 グ ー グ ルブ ッ ク ス 事 件 の検 討 ・分 析 が役 立 つ もの と思 わ れ る。 そ こで本 稿 で は 、 デ ジ タル社 会 あ るい は ネ ッ トワ ー ク社 会 にお い て そ の 意 義 が 高 ま る著作 権 の 集 中管 理 団体 につ い て 、 そ の競 争 政 策 上 の 問題 の ポ イ ン トや 解 決 の 方 向性 な ど を明 らか にす るた め に、 グ ー グ ル ブ ック ス事 件 を紹介 し、 若 干 の検 討 を試 み る こ と とす る(し た が っ て、 本 稿 は グ ー グ ル事 件 そ の もの に評価 を加 え る こ とを 目的 とす る もの で は な い)。

2

グ ーグル ブ ックス事件 の概要

後 述 す る よ う に 、 米 政 府 は グ ー グ ル と作 家 お よ び 出 版 社 と の 間 で 合 意 さ れ た2度 の 和 解 案 そ れ ぞ れ に 対 し て 、 反 ト ラ ス ト法 上 の 懸 念 を 示 し て い る 。 そ の 懸 念 が ど の よ う な も の で あ る か を 理 解 す る た め に 、 ま ず 、 グ ー グ ル 事 件 の 経 緯 と グ ー グ ル ブ ッ ク ス の サ ー ビ ス 内 容 に つ い て 概 観 し て お く。 (9)グ ー グ ル ブ ッ ク ス 事 件 の 経 緯 と解 説 につ い て は 、 松 田 政 行=増 田雅 史 「Google Books 和 解 案 の 不 承 認 決 定 に 関 す る解 説 」NBL953号32頁(2011年)、 骨 董 通 り法 律 事 務 所 「米 国 に お け る 著 作 権 関 連 訴 訟 文 書 に 係 る 法 的 論 点 整 理 及 び 分 析 等 」 調 査 報 告 書(平 成22 年3月1日)(http://www.bunka.go.j p/chosakuken/pdf/beikoku_bunseki_houkokusho_ itaku.pdfよ り入 手 可 能)な ど参 照 。

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著 作権 の集 中管 理 団体 の現代 的 意義 と競 争政 策(泉) 121 (1)グ ー グ ル ブ ッ ク ス 事 件 の 経 緯(io) 2004年 、 グ ー グ ル は 複 数 の 研 究 図 書 館(11)との 間 で 、 そ れ ら 図 書 館(「 提 携 図 書 館 」 と呼 ば れ る)が 所 蔵 す る 書 籍 等 を デ ジ タ ル 複 写 す る こ と で 合 意 した 旨 、 発 表 した 。 そ れ 以 降 、 グ ー グ ル は1200万 冊 以 上 の 図 書 を ス キ ャ ン し て き た 。 そ して 、 同 社 は デ ジ タ ル コ ピ ー を提 携 図 書 館 へ 提 供 し、 図 書 の 電 子 デ ー タベ ー ス を 作 成 し 、 さ ら に は 、 図 書 の 全 文 を オ ン ラ イ ン検 索 可 能 な よ う に し て い る 。 グ0グ ル の ユ ー ザ ー は 同 社 の 「デ ジ タ ル 図 書 館(digital library)」 を 検 索 し て 、 デ ジ タ ル コ レ ク シ ョ ン に 含 ま れ る 図 書 か ら 「ス ニ ペ ッ ト (snippets)」 と呼 ば れ る 抜 粋 を 見 る こ と が で き る 。 グ ー グ ル ブ ッ ク ス ・プ ロ ジ ェ ク トの 恩 恵 は 大 き い 。 た と え ば 、 図 書 館 、 学 校 、 研 究 者 お よ び 障 害 者 が ず っ と 多 くの 図 書 に ア ク セ ス で き る よ う に な る 。 しか し な が ら、 グ ー グ ル が ス キ ャ ン し た 多 く の 図 書 は 未 だ 著 作 権 が 生 き て お り、 に も か か わ ら ず 同 社 は 許 諾 な く ス キ ャ ン を 行 っ た 。 そ の た め 、 作 家 や 出 版 社 か ら著 作 権 侵 害 を 理 由 に 、 損 害 賠 償 お よ び 差 止 め を 求 め る ク ラ ス ア ク シ ョ ン(class action)(iz)を提 起 さ れ る こ と と な っ た(以 下 、 「本 件 訴 訟 」 とい う)。 こ れ に 対 し 、グ ー グ ル は 米 国 著 作 権 法107条 が 定 め る フ ェ ア ユ ー ス(fair use)を 中 心 と す る 主 張 を 行 っ た 。2008年10月28日 、 両 当 事 者 は 長 期 に わ た (io)以下 の 記 述 は 、 グ ー グ ル ブ ッ ク ス 事 件 に お け る修 正 和 解 案(後 掲 注(16))を 認 め な か っ た 米 国 連 邦 地 方 裁 判 所 の 決 定(後 掲 注 ⑲)の 「事 実 お よ び 訴 訟 経 緯(The Facts and Prior Proceedings)」 に 主 と して 拠 っ て い る 。 (11)ミシ ガ ン大 学 、 ス タ ン フ ォ ー ド大 学 、 ハ ー バ ー ド大 学 、 オ ック ス フ ォー ド大 学 の 各 図 書 館 、 ニ ュ ー ヨ ー ク公 共 図 書 館 な ど。 (12)クラ ス ア ク シ ョ ン と は、 「共 通 点 を 持 つ 一 定 の 範 囲 の 者 を 代 表 し て 、1人 ま た は 複 数 の 者 が 全 員 の た め に 原 告 と して 訴 え ま た は 被 告 と して 訴 え ら れ る訴 訟 形 態 を い う 。 『ク ラ ス 』 と は 、 こ の よ う に 当 該 訴 訟 に参 加 せ ず と も訴 訟 の 効 力 が 及 ぶ 範 囲 を い う。 ク ラ ス ア ク シ ョ ン 手 続 は 大 き く3つ の 類 型 に 分 か れ る が 、 本 件 は 、 そ の う ち も っ と も利 用 が 多 く、3類 型 の 中 で 唯 一 、 ク ラ ス ア ク シ ョ ン とす る か ど う か が 訴 訟 当 事 者 に よ っ て 任 意 に 選 択 さ れ る 類 型 で あ る 『オ プ トア ウ ト型 ク ラ ス ア ク シ ョ ン』 に 当 た る 。 同類 型 で は 、 ク ラ ス 構 成 員 が ク ラ ス か ら オ プ トア ウ ト(離 脱)す る こ と に よ っ て 、 判 決 や 和 解 の 効 力 を避 け る こ とが で き る」(松 田=増 田 ・前 掲 注(9)32頁)。

(6)

122 京 女 法学 第1号 る 議 論 の 結 果 、 和 解 案(以 下 、 「旧 和 解 案 」)(13)を提 出 し、11月17日 に 裁 判 所 は こ れ を 仮 承 認 し た(preliminarily approved)。 こ の 旧 和 解 案 は 全 世 界 に 向 け て 通 知 さ れ た と こ ろ(14)、数 多 く の 反 対 が 申 し 立 て ら れ 、 米 国 政 府(司 法 省)も 、2009年9月18日 、 意 見 書(以 下 、 「第 一 次 意 見 書 」(15))を裁 判 所 に 提 出 し た 。 そ の 後 、 両 当 事 者 は 反 対 意 見 の 中 で 示 さ れ た い くつ か の 懸 念 を 解 消 す べ く、 旧 和 解 案 に つ い て 可 能 な 修 正 に つ き 議 論 を 開 始 し、2009年11月13日 、 修 正 和 解 案 ⑯を 裁 判 所 に 提 出 し た 。 こ の 修 正 和 解 案 は 同年11月19日 に仮 承 認 が な され た。 修 正和 解 案 も広 く通知 が な され た が、 旧和 解 案 と同 じよ う に、 ク ラス構 成 員 の 多 くか ら反 対 意 見 が 出 され 、 一方 で賛 成 意 見 は少 なか った 。 司 法 省 も再

(13)Settlement Agreement, Authors Guild, Inc. v. Google, Inc., No.05-CV-8136-JES (S.D.N.Y. Oct.28,2008),available at http://www.googlebooksettlement.com/intl/en/

Settlement-Agreement.pdf.旧 和 解 案 を 詳 細 に 解 説 す る も の と し て 、 松 田 政 行=増 田 雅 史 「Google Book Searchク ラ ス ア ク シ ョ ン 和 解 の 実 務 的 検 討(上)(下)」NBL

905号7頁 、906号88頁(2009年)。 (14)旧 和 解 案 に お い て は 、 和 解 の 効 力 を 受 け る ク ラ ス の 範 囲 が 、 概 ね 、 「2009年1月5日 ま で に 公 表 さ れ た 書 籍 等 に つ い て 、 米 国 著 作 権 法 上 の 著 作 権 等 の 権 利 を 保 有 し て い る す べ て の 人 物 」 と 認 証 さ れ た た め 、 ベ ル ヌ 条 約5条1項 等 の 各 種 条 約 の 効 力 に よ り 、 グ ー グ ル ブ ッ ク ス 事 件 の 影 響 は 全 世 界(わ が 国 を 当 然 に 含 む)に 及 ぶ こ と と な っ た の で あ る(松 田=増 田 ・前 掲 注(9)33頁)。 し か し な が ら 、 こ の 点 は 、 後 述 す る 修 正 和 解 案(§1.19参 照)で は 、 「①2009年1月5日 ま で に 公 表 さ れ 米 国 著 作 権 局 に 登 録 さ れ た 書 籍(登 録 要 件)、 ま た は 、 ② 同 日 ま で に カ ナ ダ 、 イ ギ リ ス 、 オ ー ス ト ラ リ ア の い ず れ か の 国 に お い て 公 表 さ れ た 書 籍(出 版 地 要 件)に つ い て 米 国 著 作 権 法 上 の 権 利 を 保 有 す る 者 に 限 定 さ れ た 」 た め 、 「わ が 国 の ほ と ん ど の 著 者 お よ び 出 版 社 等 に は 、 和 解 の 効 力 は 及 ば な い こ と と な っ た 」(松 田e増 田 ・前 掲 注(9)34頁)。

(15)Statement of Interest of the United States of America Regarding Proposed Class Settlement, Authors Guild, Inc. v. Google Inc., No.05-CV-8136-DC(S.D.N.Y. Sept.18, 2009),available at http://www.justice.gov/atr/cases/f250100/250180.pdf.

(16)Amended Settlement Agreement, Authors Guild, Inc. v. Google, Inc., No.05-CV-8136-DC(S.D.N.Y. Nov.13,2009),available at http://thepublicindex.org/docs/amended_

settlement/amended_settlement.pdf.修 正 和 解 案 の 作 成 の 経 緯 と そ の 内 容 に つ い て は 、 松 田 政 行=増 田 雅 史 「Google Books問 題 の 最 新 動 向 お よ び 新 和 解 案 に 関 す る 解 説(上) (下)」NBL918号38頁 、921号50頁(2010年)参 照 。 ま た 、 骨 董 通 り法 律 事 務 所 ・前 掲 注(9)の 別 冊 に お い て 本 修 正 和 解 案 の 邦 訳 が な さ れ て お り、http://www.bunka. go.jp/chosakuken/pdf/beikoku_bunseki_houkokusho_bessatsu.pdfか ら 入 手 で き る 。 本 稿 で は 修 正 和 解 案 お よ び 旧 和 解 案 の 日 本 語 訳 に つ き 、 同 別 冊 を 参 考 と し た 。

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著作権 の集 中管理 団体 の現 代 的意義 と競 争 政策(泉) 123 度 意 見 書 を 提 出 し(以 下 、 「第 二 次 意 見 書 」αの)、改 善 は み ら れ る も の の 、 な お 問 題 が 残 っ て い る と し て 修 正 和 解 案 に 関 す る 懸 念 を表 明 し た 。 ま た 、 修 正 和 解 案 を 支 持 す る 法 廷 助 言 書 と反 対 す る 法 廷 助 言 書 の 両 方 が 提 出 さ れ 、 裁 判 所 に よ る 公 聴 会(fairness hearings)も2010年2月18日 に 開 催 さ れ た 。 以 上 の よ う な 経 緯 を辿 っ た グ ー グ ル ブ ッ ク ス 事 件 の 本 件 訴 訟 は 、2011年3 月22日 、 「修 正 和 解 案 は 公 正 、 適 切 お よ び 合 理 的(fair, adequate, and reasonable)で は な い 」⑱ と 判 断 さ れ る こ と と な っ た(以 下 、 「本 件 地 裁 決 定 押)。 本 件 地 裁 は 修 正 和 解 案 を 認 め な か っ た こ と の 理 由 と して 、 ① ク ラ ス 通 知 の 適 切 性 、 ② ク ラ ス 代 表 者 の 適 切 性 、 ③ 規 則23条 に よ り救 済 さ れ る 範 囲 、④ 著 作 権 法 上 の 問 題 、⑤ 反 トラ ス ト法 上 の 問 題 、⑥ プ ラ イ バ シ ー の 問 題 、 ⑦ 国 際 法 上 の 問 題 を指 摘 し た 。 (2)グ ー グ ル ブ ッ ク ス の サ ー ビ ス 内 容 次 に 、 グ ー グ ル ブ ッ ク ス が い か な る もの で あ る か と い う こ と を 明 ら か に す る た め 、ユ ー ザ ー に 提 供 す る サ ー ビ ス 内 容 に つ い て 概 観 す る 。 な お 、そ の 際 、 修 正 和 解 案 を 基 本 とす る が 、 適 宜 、 旧 和 解 案 に つ い て も触 れ る こ と とす る 。 グ ー グ ル は 書 籍 を全 文 ス キ ャ ン し、 デ ジ タ ル デ ー タ を得 た 後 、 こ れ を 用 い て 様 々 な サ ー ビ ス を提 供 す る こ と に な る 。 そ の 中 心 は 「表 示 使 用(Display .Uses)」 と 呼 ば れ る も の で あ り、① ア ク セ ス 使 用(Access Uses)、 ② プ レ ビ ュ ー

使 用(Preview Uses)、 ③ ス ニ ペ ッ ト表 示(Snippet Display)、 ④ 冒 頭 表 示 (Front Matter Display)の4形 態 よ り成 る 。 グ ー グ ル ブ ッ ク ス の 対 象 と な

(17)Statement of Interest of the United States of America Regarding Proposed Amended Settlement Agreement, Authors Guild, Inc. v. Google Inc., Case No. 05-CV-8136-DC(S.D.N.Y. Sept.18,2009), available at http://www.justice.gov/atr/ cases/f255000/255012.htm.

(is)本 件 訴 訟 の 和 解 は 連 邦 民 事 訴 訟 規 則(Federal Rules of Civil Procedure)第23条(以 下 、 単 に 「規 則23条 」 と も い う)に 基 づ く も の で あ る が 、 同 条(e)(2)は 、 「公 聴 会 を 経 た 後 で あ り 、 か つ 、 和 解 内 容 が 公 正 、 合 理 的 お よ び 適 切(fair, reasonable and adequate) で あ る と 判 断 し た 場 合 に の み 裁 判 所 は 当 該 和 解 を 承 認 す る こ と が で き る 」 と 定 め る 。 (19)Authors Guild v. Google, Inc.,770 F.Supp.2d 666(S.D.N.Y., March 22,2011).

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124 京 女法 学 第1号 り得 る 書 籍 は 市 販 さ れ て い る か 、 市 販 さ れ て い な い か で ま ず 二 分 さ れ る⑫◎。 市 販 さ れ て い な い 書 籍 は 原 則 と して 「表 示 書 籍(Display Book)」 に 分 類 さ れ る(修 正 和 解 案 §3.2(b))。 表 示 書 籍 に 分 類 さ れ る と グ0グ ル に よ る 利 用 を 許 す こ と と な る た め 、 そ れ を望 ま な い 権 利 者 は そ の 旨 の 意 思 を 表 明 す る 必 要 が あ る(オ プ トア ウ ト方 式)。 上 記4形 態 の う ち 第1の ア ク セ ス 使 用 と は 、 米 国 著 作 権 法 上 保 護 さ れ て い る マ テ リ ア ル(書 籍 等)を ユ ー ザ ー に 対 し て 表 示 す る こ と を い い 、 「機 関 購 読(lnstitutional Subscriptions)」 、「消 費 者 購 読(Consumer Purchase)」 、「パ ブ リ ッ ク ・ア ク セ ス ・サ ー ビ ス(Public Access Service)」 の3つ の 具 体 的 な 使 用 態 様 が グ ー グ ル に 認 め られ る(同 §1.1)。 ま ず 、 機 関 購 読 と は 、 グ ー グ ル が 機 関(図 書 館 、 会 社 等)に 対 し有 料 で 提 供 す る 期 間 限 定 の サ ー ビ ス で あ っ て 、 デ ー タ ベ ー ス の 全 内 容 を オ ン ラ イ ン で ア ク セ ス お よ び 閲 覧 す る こ と を許 可 す る も の を い い 、 書 籍 の 一 部 を コ ピ ー & ペ ー ス トお よ び 印 刷 す る こ と も 可 能 と な る も の で あ る(同 §1.77、 §4.1)。 消 費 者 購 読 と は 、 購 入 者 に よ る 書 籍 の ぺ0ジ の 閲 覧 、 コ ピ ー & ペ ー ス トお よ び 印 刷 を 可 能 化 す る も の で あ る(同 §4.2)。 ま た 、 パ ブ リ ッ ク ・ア ク セ ス ・サ ー ビ ス と は 、 グ0グ ル に よ り公 共 図 書 館 お よ び 非 営 利 高 等 教 育 機 関 に 対 し て 提 供 さ れ る サ ー ビ ス で あ っ て 、 ユ ー ザ ー が デ ー タ ベ ー ス の 全 部 を 検 索 お よ び 閲 覧 す る こ と を 許 可 し、 表 示 書 籍 を料 金 徴 収 の 上 、 印 刷 す る こ と も可 能 とす る も の で あ る(同 §1.117、 §4。8(a)(ii))。レ ジ ス ト リ(後 述)と グ ー グ ル は コ ピ ー ・シ ョ ッ プ お よ び そ の 他 の 団 体 に 対 し 、 料 金 を徴 収 し た 上 で 、 商 業 的 な パ ブ リ ッ ク ・ア ク セ ス ・ サ ー ビ ス を 利 用 可 能 に す る 旨 を合 意 す る こ と が で き る(同 §4.8(b))。 2番 目 の プ レ ビ ュ ー 使 用 と は 、ユ ー ザ ー が 書 籍 の 購 入 の 決 定 を す る た め に 、 グ ー グ ル が そ の 一 部 を 表 示 す る も の で あ る(同 §4.3(a)参 照)。 表 示 で き る の ⑳ 旧和 解 案 で は市販 され てい るか 否か の 区別が 「権 利 者 が米 国 内で販 売 して い るか」 を 基 準 に なされ て いた ため(旧 和 解 案 §1.28)、米 国以外 の外 国で のみ 流通 してい る書籍 (わが 国 の大 部 分 の 書籍 が 該 当す る)に つ い て は表示 書 籍 と分 類 され、 グー グ ル に よ る利 用 が原則 として認 め られて しまう とい う問題 が あ った。

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著 作権 の集 中管 理 団体 の現代 的意義 と競 争政 策(泉) 125 は 総 ペ ー ジ 数 の20%が 上 限 で あ り、連 続 し て5頁 ま で と い っ た 制 約 が あ る(同 §4.3(b)(i)(1))。 ま た 、 権 利 者 あ る い は レ ジ ス ト リ の 承 諾 が な け れ ば コ ピ ー & ペ ー ス トや 印 刷 は で き な い(同 §4.3(b)(i)(3))。 3番 目の ス ニ ペ ッ ト表 示 は 、 ユ ー ザ ー に 対 し て 最 大3か 所 の 抜 粋(各 抜 粋 は 概 ね3行 ∼4行 の テ キ ス ト)を 表 示 す る と い う 使 用 形 態 で あ る(同 §1.147)。 ま た 、最 後 の 冒 頭 表 示 と は 、ユ ー ザ ー に 対 し て 、書 籍 の 表 題 ペ ー ジ 、 著 作 権 表 示 ペ ー ジ 、 目次 な ど を 表 示 す る こ と で あ る(同 §1.61)。 (3)レ ジ ス ト リ の 役 割 グ ー グ ル ブ ッ ク ス の 運 営 に お い て は 、 新 た に 設 立 さ れ る 「レ ジ ス ト リ (Registry)」 が 重 要 な役 割 を 果 た す こ と に な る 。 レ ジ ス トリ の 基 本 的 な 権 能 、 機 能 あ る い は 特 徴 と して は 、 ① 権 利 者 を 代 理 す る 権 限 が 授 与 さ れ て い る 、 ② 書 籍 、そ の 作 家 お よ び 出 版 社 に 関 す る 権 利 情 報 デ ー タ ベ ー ス を保 有 し て い る 、 ③ 書 籍 の 権 利 者 の 所 在 を確 認 す る よ う合 理 的 な 努 力 を 行 う 、 ④ 権 利 者 を代 表 して 、 グ ー グ ル か ら の 支 払 を 受 領 し、 そ の 支 払 額 を 作 家 お よ び 出 版 社 に 分 配 す る 、 ⑤ 権 利 者 と の 問 に お け る 紛 争 の 解 決 を 支 援 す る こ と 、 な どが あ る(修 正 和 解 案 §6.1参 照)。 レ ジ ス ト リ は 非 営 利 団 体 と し て 組 織 ・運 営 さ れ(同 §6.2 (a))、 そ の 理 事 は 作 家 お よ び 出 版 社 の 代 表 者 に よ っ て 構 成 さ れ る(同 §6.2 (b)(ii))。レ ジ ス トリ の 設 立 お よ び 運 営 に 必 要 な 資 金 は グ ー グ ル が 拠 出 す る(同 §6.4(a))。 グ ー グ ル は サ ー ビ ス に よ っ て 得 た 利 益 の う ち 、 標 準 で63%を レ ジ ス トリ に 支 払 い 、 レ ジ ス ト リ は こ れ を 各 権 利 者 に 分 配 す る(同 §2.1(a))。 こ の よ う に 、 レ ジ ス トリ は 、 一 方 で 作 家 お よ び 出 版 社 か ら書 籍 に 関 す る 権 利 の 行 使 を す る権 限 を授 権 さ れ 、 他 方 で 書 籍 に 関 す る 様 々 な 使 用 態 様 に つ き グ ー グ ル に 許 諾 し て 使 用 料 を 徴 収 し 、 権 利 者 に こ れ を 分 配 す る の で あ っ て 、 そ の 性 格 は 権 利 の 集 中 管 理 団 体 そ の もの で あ る こ と が 分 か る 。

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126 京 女法 学 第1号 3 グ ー グ ル ブ ッ ク ス と 反 トラ ス ト法 旧 和 解 案 、 修 正 和 解 案 そ れ ぞ れ に 対 し て 政 府(司 法 省)が 提 出 し た 第 一 次 意 見 書 お よ び 第 二 次 意 見 書 は 、 い ず れ も 規 則23条 の 観 点 と反 トラ ス ト法 の 観 点 の2方 面 か ら な さ れ て い る 。 以 下 で は 本 稿 の 関 心 に 従 い 後 者 の み を 取 り上 げ 、 司 法 省 が 示 した グ ー グ ル ブ ッ ク ス が 有 す る 反 トラ ス ト法 上 の 懸 念 に つ い て 明 らか に す る 。 な お 、 第 一 次 意 見 書 は 、 司 法 省 の 見 解 と し て 旧 和 解 案 に は 2つ の 重 大 な 問 題 が あ る と述 べ る 。 第1の も の は 、 集 団 行 為 を 通 じ て 作 家 お よ び 書 籍 出 版 社 は価 格 競 争 を制 限 す る こ と が で き る と い う も の で あ り、2つ 目 は 、 旧 和 解 案 の 結 果 、 他 の デ ジ タ ル 配 信 業 者 が デ ジ タ ル ラ イ ブ ラ リ 製 品 や 将 来 の 他 の 派 生 的 製 品 の 販 売 に お け る グ ー グ ル と の 競 争 か ら事 実 上 排 除 さ れ る 可 能 性 が あ る と い う 問 題 で あ る 。 前 者 は 、 作 家 と 出 版 社 同 士 の 水 平 的 協 定 (カ ル テ ル)と い う 問 題 、 後 者 は デ ジ タ ル 配 信 市 場 に お け る 競 争 排 除(市 場 閉 鎖)の 問 題 と 言 い 換 え る こ とが で き る 。 こ う し た 捉 え 方 は 第 二 次 意 見 書 で も踏 襲 さ れ て い る伽。 以 下 、 本 稿 で も こ の 区 分 に 従 い 、 そ れ ぞ れ 司 法 省 の 考 え 方 を 詳 し くみ る こ と と す る 。 (1)作 家 お よ び 出 版 社 同 士 の 水 平 的 協 定 第 一 次 意 見 書 は 、 旧 和 解 案 が 少 な く と も3つ の 点 で 作 家 お よ び 出 版 社 同 士 の 価 格 競 争 を 制 限 して い る よ う に 見 え る と し て 、 ① 卸 売 段 階 に お い て 、 全 作 品 に 対 して 適 用 可 能 な 業 界 全 体 に 及 ぶ 収 入 分 配 方 式 を 作 り出 し て い る 点 、 ② 小 売 段 階 に お い て 、 グ ー グ ル に よ っ て 標 準 価 格(default price)が 設 定 さ れ 値 引 きが 実 質 的 に 禁 止 さ れ る 点 、 ③ 著 作 権 者 の 判 明 し て い る 書 籍 に つ い て 権 利 を 有 す る作 家 と 出 版 社 が 、 そ う した 書 籍 と競 争 関 係 に 立 つ 著 作 権 者 の 判 明 して い な い 孤 児 作 品(orphan books、 orphan works)⑳ の 価 格 を コ ン トロ ー ⑳ 両 意 見書 に対 し、本 件地 裁 決定 ・前掲 注 ⑲ はグー グ ルが事 実 上 の独 占的 地位 を獲 得す る こ とに懸 念 を示 し、 後 者 の 点 を 中心 に議論 を展 開 して い る(Authors Guild,770 F. Supp.2d at 682-683)o

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著作 権 の 集 中管 理 団体 の現代 的意 義 と競 争政 策(泉) 127 ル す る と い う点 、 を 指 摘 す る 。 以 下 、 本 稿 で は こ れ ら3つ の 指 摘 を取 り上 げ る が 、 そ の 前 に 、 当 事 者 か らの 反 対 主 張 と こ れ に 対 す る 司 法 省 の 見 解 に つ い て 触 れ て お く。 こ の 当 事 者 と 司 法 省 と の 議 論 に つ い て は 、ASCAPやBM Iな ど音 楽 著 作 権 管 理 団 体 と の 関 係 で 論 じ ら れ て い る 点 で 、 本 稿 の テ ー マ に と っ て 重 要 で あ る か らで あ る 。 原 告 の 第 一 の 反 論 は 、 「旧 和 解 案 の 価 格 条 項 は 、 シ ャ ー マ ン法1条 に 基 づ き訴 追 可 能 な 作 家 お よ び 出 版 社 に よ る水 平 的 な 集 団 行 為 の 一 形 態 と み な さ れ る べ き で は な く、 グ ー グ ル か ら 各 権 利 者 に 対 し て 行 わ れ る 一 定 条 件 で の 契 約 の 一 方 的 申 込 に 過 ぎ な い 」 と い う も の で あ る 。 こ の 反 論 に 対 し、意 見 書 は 「互 い に 競 争 関 係 に あ る ク ラ ス 代 表 者 が 、 全 権 利 者 を 代 表 し て 当 該 価 格 条 件 に つ い て 集 団 的 に 交 渉 し た の で あ る 。 個 々 の 作 家 や 出 版 社 の 中 に は 当 該 条 件 か ら オ プ トア ウ ト した 者 が い る と し て も 、 競 争 者 に よ る 集 団 的 行 為 の 産 物 で あ る こ と に 変 わ り な い 」 と 述 べ て い る(k 次 意 見 書18頁)。 次 に 、 和 解 当 事 者 は 、 旧 和 解 案 はBMI事 件 ㈱で 問 題 と な っ た 共 同 事 業 と 同 様 の も の と考 え ら れ る べ き で あ る と主 張 し て い た 。 意 見 書 は 、 同 事 件 に お い て 連 邦 最 高 裁 が 音 楽 演 奏 権 団 体 で あ るASCAPお よ びBMIが 発 行 し価 格 設 定 を 行 う 当 該 ブ ラ ン ケ ッ トラ イ セ ン ス(一 括 ラ イ セ ン ス)は シ ャ ー マ ン 法1条 に つ い て 原 則 違 法 と は な ら な い と判 示 し た こ と は 認 め て い る が 、 そ の 事 情 と し て 以 下 の4点 を 指 摘 した 。 ① 当 該 ブ ラ ン ケ ッ トラ イ セ ン ス は 作 曲 家 自 身 が 販 売 で き る い か な る 製 品 と も全 く異 な る 統 合 さ れ た 製 品 に つ い て 許 諾 を 与 え る もの で あ る 、② 当 該 ブ ラ ン ケ ッ トラ イ セ ンス は 取 引 費 用(transaction cost)を 実 質 的 に 低 減 させ る こ と 、 ③ 作 詞 ・作 曲 家 の 楽 曲 の 利 用 に 対 し て 利 用 料 が 支 払 わ れ る べ き と す る な ら 、 当 該 ブ ラ ン ケ ッ トラ イ セ ンス は 現 実 に 必 要 な も の で あ る こ と 、 ④ASCAPお よ びBMIは 司 法 省 と の 同 意 判 決 に 従 い 、 既 に 事 業 を 行 っ て い た こ と(同)。 意 見 書 は 、 本 件 和 解 は こ れ ら の 点 でBMI事 件 と は 事 情 が 全 く異 な る と の (23)Broadcast Music, Inc. v. Columbia Broadcast. System, Inc.,441 U.S.1(1979).

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128 京 女法 学 第1号 見 解 を示 す 。 す な わ ち 、 「ど の よ う な 新 規 の 統 合 製 品 を グ ー グ ル は 提 供 す る か と い う こ と と は 全 く無 関 係 に 、本 和 解 案 に よ っ て 獲 得 す る 権 利 を 利 用 し て 、 グ0グ ル は 共 同 販 売 代 理 人 と し て も行 動 し、 個 々 の 権 利 者 の 書 籍 を 個 人 向 け の 販 売 に 供 す る の で あ る 。BMI事 件 判 決22頁(個 別 に ラ イ セ ン ス さ れ る 楽 曲 と は 明 確 に 区 別 さ れ る ブ ラ ン ケ ッ トラ イ セ ン ス の み 容 認 し て い る)を 参 照 せ よ。 ま た 、 和 解 案 に 含 ま れ る 収 入 分 配 条 項 は 、 作 家 と 出 版 社 が グ ー グ ル と の 二 者 間 で の 交 渉 を 通 じて 卸 売 段 階 で 競 争 す る イ ン セ ン テ ィ ブ を損 な う も の で あ る 。 他 方 で 、ASCAPお よ びBMIは 権 利 者 と の 問 で 個 別 に 二 者 間 契 約 に つ い て 常 に 交 渉 を して お り、 ブ ラ ンケ ッ トラ イ セ ン ス か ら の 収 入 の 分 配 に 関 し て 権 利 者 間 の 競 争 が 留 保 さ れ て い る(こ の こ と は 、(パ ー トナ ー プ ロ グ ラ ム を 通 じ て)グ ー グ ル と ア マ ゾ ン ド ッ トコ ム や ソ ニ ー 等 の ラ イ バ ル 会 社 が 、 多 く の 出 版 社 と の 問 で 競 争 関 係 に あ っ た こ と と 同 様 で あ る)。 さ ら に 、 放 送 電 波 上 で 、 自 ら の 楽 曲 が 瞬 間 的 に(fleeting)利 用 さ れ る こ と を 見 つ け る た め にASCAPやBMIと い っ た 団 体 を 必 要 と す る音 楽 著 作 権 者 と は 異 な り(BMI事 件 判 決19頁 参 照)、 書 籍 の 作 家 や 出 版 社 は 集 団 的 に 交 渉 す る と い う価 格 メ カ ニ ズ ム が な け れ ば 、 自 ら の 作 品 の 利 用 に対 し て 利 用 料 を得 る 現 実 的 な 手 段 を 有 し て い な い と い う こ と を 証 明 して い な い 。 最 後 に 、ASC

APと もBMIと も 異 な り(BMI事 件 判 決10-15頁 、24頁 参 照)、 司 法 省

と の 同 意 判 決 に よ っ て 市 場 支 配 力 を 抑 制 さ れ る 関 係 者 は い な い(同 同 意 判 決 は 、 特 に 、 ラ イ セ ン ス 価 格 の 設 定 を 裁 判 所 に 請 求 す る こ と を ラ イ セ ン シ ー に 認 め て い る)」、 と 述 べ る(同19-20頁)。 そ し て 、 旧 和 解 案 に 修 正 が 施 さ れ な け れ ば 、 司 法 省 は 本 和 解 案 は 反 ト ラ ス ト法 違 反 に 当 た る と 判 断 す る 可 能 性 が 非 常 に 高 い と し て い る(同20頁)。 (i)卸 売 条 件 に関 す る集 団 的合 意 第一 次 意 見 書 は、 現 在 であ れ ば 出版 社 は グー グ ル を含 む 卸 売 業 者 に対 して 紙 媒 体 の書 籍 や デ ジ タ ル ブ ッ ク を販 売 す る条 件 に つ い て競 争 して い る もの

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著作 権 の集 中管 理 団体 の現代 的意 義 と競争 政策(泉) 129 の 、 旧和 解 案 が 示 す 価 格 条 件 は競 争 を制 限 す る よ うに見 え る と述べ る。 旧和 解 案 §2.1(a)によれ ば、 和 解 当事 者 らは使 用 料 率 を グ ー グ ル が得 る総 収 入 の 63%に 固定 して い るが 、 意 見書 は この 条件 は価 格 の下 限 と して機 能 し、 個 々 の作 家 や 出版 社 が 割 引 す る こ とや購 入 者(消 費者)に とって よ り好 ま しい条 件 を 中 し 出 る とい うイ ン セ ンテ ィ ブ を低 下 させ る こ とに な る と評 価 して お り、 そ れ ゆ え、 作 家 お よび 出版 社 が 本 和 解 案 の条 件 に基 づ か ず 、個 別 に交 渉 で き る とい う こ とは、反 トラス トの 目的 に照 らせ ば重 要 で は な い と述 べ る(第 一 次 意 見 書19-20頁) 次 に、 デ ジ タル ブ ッ クに 関 し、 活 気 あ る市 場 を創 出 す るに は こ の種 の 業 界 全 体 にわ た る価 格 メ カニ ズ ム が必 要 だ とい う当事 者 らの 主 張 につ い て は、 現 実 と一 致 して い ない との 認識 を意 見 書 は示 してい る。何 百万 の デ ジ タル ブ ッ クが す で に購 入 可 能 で あ る し、 そ の 中 にお い て は絶 版 の書 籍 も増 え て お り、 こ う した こ と は卸売 業者 と個 々の 権 利 者 との2者 問 に よる交 渉 の結 果 達 成 さ れ て い る か らで あ る(同20頁)。 ま た、 グ0グ ル と 出版 社 間 の取 引 費用 を減 少 させ る とい う論理 に基 づ い て も、 画 一 的 な使 用 料 率 を正 当化 す る こ とは困 難 で あ る と意見 書 は述 べ る(同20頁)。 旧和 解 案 、修 正和 解 案 を通 じて 、 グー グル は収 入 の63%を レジス トリ に支 払 うが 、 これ に関 し、 旧和 解 案 で は権 利 者 の み が価 格 の交 渉 を行 う権 限 を有 す る こ とに な って い た とこ ろ、 作 家 お よ び出 版 社全 体 の交 渉 力 を持 った代 表 が交 渉 した価 格 とは別 の価 格 を、 大 部 分 の 権 利 者 は選択 しな い で あ ろ う とい う問 題 が あ っ た(第 二 次 意 見 書17頁 注13参 照)。 修 正 和 解 案 は、63%と い う 卸 売 段 階 で の収 入 配分 につ い ての 交 渉 権 限 を グー グル に も認 め、 か つ 、 交 渉 が不 調 に終 わ っ た場 合 に は権 利 者 の 書 籍 を除外 す る権 限 を グ ー グ ル に与 えた (修正 和 解 案 §4.5(a)㈹参 照)。 第 二 次 意見 書 は、 こ の修 正 は、 権 利 者 集 団 と グ ー グ ル 問 の卸 売 収 入 配 分 に 関 して 認 め られ る問題 の あ る水 平 性 の 影 響 を弱 め る よ うな積 極 的評 価 の で きる前 進 で はあ るが 、 以 下 の重 要 な2つ の 面 で 効 果 が 限 定 され る の で、 さ らな る修 正 が 必 要 で あ る と述 べ て い る。

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130 京 女法 学 第1号 第 一 に 、 グ ー グ ル が 価 格 に つ い て 再 交 渉 で き る の が 「市 販 さ れ て い る (Commercially Available)」 作 品 に 限 定 さ れ て い る こ と で あ る 。 そ れ ゆ え 、 作 家 お よ び 出 版 社 は 市 販 さ れ て い な い 作 品 に つ い て は 価 格 競 争 を 回 避 す る 水 平 的 合 意 を 行 う こ とが で き る 点 で あ る(第 二 次 意 見 書17頁)図 。 第 二 に 、 修 正 和 解 案 §4.5(a)(iii)は作 品 の 価 格 に つ い て グ ー グ ル が 再 交 渉 す る 権 限 を 有 し て い る こ と を 定 め る が 、 反 トラ ス ト法 の 観 点 か ら は 、 価 格 と 品 質 は 同 じ コ イ ン の 表 と裏 な の で あ っ て 、 同 条 項 か ら非 価 格 条 件 を 除 外 す る こ と で 、 権 利 者 は 品 質(本 件 の 場 合 で あ れ ば 、た と え ば デ ジ タ ル 著 作 権 管 理 や 利 用 制 限 な ど) に つ い て 互 い に 競 争 を し な い と い う集 団 的 合 意 を行 っ て い る 点 を 指 摘 し て い る(同19頁)。 (ii)小 売 価 格 の 競 争 制 限 旧 和 解 案 に よ れ ば 、 書 籍 の 権 利 者 は 消 費 者 購 読 に つ い て そ の 価 格 を 決 定 す る こ と に な る が 、 そ の 際 、 「指 定 価 格(Speci丘ed Price)」(権 利 者 自 身 が 希 望 す る 金 額 を 指 定 す る も の)と 「和 解 管 理 価 格(Settlement Controlled Price)」(権 利 者 は 自 身 の 書 籍 に つ い て の 価 格 を グ ー グ ル が 決 定 す る こ と を 許 可 す る も の 。 グ ー グ ル は 一 定 の 計 算 方 法(「 価 格 ア ル ゴ リ ズ ム 」)を 用 い 、 権 利 者 の 収 入 が 最 大 化 す る 最 適 価 格 を見 つ け る)の い ず れ か を 選 択 す る こ と が で き る(旧 和 解 案 §4.2(b)(i))。 こ の う ち 、後 者 の 和 解 管 理 価 格 に 関 し 、グ ー グ ル は 価 格 ア ル ゴ リズ ム を 開 発 し 、 当 該 価 格 ア ル ゴ リ ズ ム の 合 理 性 を確 保 す る た め に 販 売 デ ー タ を 分 析 す る も の と さ れ て い る(同 §4.2(c)(11))。和 解 管 理 価 格 で 販 売 さ れ る 書 籍 に つ い て は 、 グ ー グ ル と レ ジ ス トリ が 合 意 し た 事 前 固 定 価 格(pre-de丘ned prices)の セ ッ ト(「 プ ラ イ シ ン グ ・ビ ン(Pricing Bins)」 と呼 ば れ る)が 用 い ら れ 、 各 書 籍 は 、 係 る価 格 の い ず れ か に 値 付 け (24)意見 書 で は、修正 和解 案 に おい て 「市 販 され てい る」の定 義が 驚 くほ ど狭 く(た とえば、 新 品販 売 されて い る こ とが 求め られ てい る。修 正和 解 案 §1.31参照)、 また、紙 媒体 で

の書籍 が前 提 で あ り(同 §1.19参照)、 電 子 ブ ック に対 す る配 慮 が ない とい う不都 合 に つ い て指摘 す る(第 二 次意 見書17頁 注14)。

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著作 権 の集 中管理 団体 の 現代 的意 義 と競争政 策(泉) 131 さ れ る こ と に な る(同 §4.2(c)(i))。 第 一 次 意 見 書 は 、旧 和 解 案 に お け る 上 記 の よ う な 内 容 に着 目 し、和 解 に よ っ て 規 律 さ れ る個 々 の 書 籍 の 標 準 小 売 価 格 を 設 定 す る た め に価 格 ア ル ゴ リ ズ ム の 開 発 を 旧 和 解 案 は グ0グ ル に 命 じ て い る と評 価 し、 こ の こ と は 問 題 で あ る と して 、 従 来 、 裁 判 所 が 価 格 設 定 メ カ ニ ズ ム を 共 同 し て 設 立 す る こ と に対 し て は 、 原 則 違 法 と し て 繰 り返 し拒 絶 して き た こ と 、 ま た 、 競 合 製 品 の 価 格 を 設 定 す る た め に 競 争 者 間 で 合 意 し た 定 式 を 使 用 す る の は 原 則 違 法 で あ る と裁 判 所 は 判 断 し て き た こ と 、 を 強 調 す る(第 一 次 意 見 書21頁)。 ま た 、 第 一 次 意 見 書 は 、 旧 和 解 案 が レ ジ ス トリ の 許 諾 お よ び 権 利 者 へ の 通 知 が な い 場 合 に は グ ー グ ル が 権 利 者 の 定 価(List Price)の 割 引 を 制 限 し て い る こ と(25)も指 摘 す る 。 意 見 書 は 、 こ う し た 条 件 で は グ ー グ ル が 割 引 価 格 を 提 示 し権 利 者 の た め に 十 分 な 利 益 を 上 げ よ う と す る こ と(他 の 小 売 業 者 で あ れ ば 可 能 で あ る が)の 意 欲 を 失 わ せ て し ま う し、 ま た 、 許 容 さ れ る 割 引 が 40%に 制 限 さ れ て い る こ と も 問 題 で あ る と す る(同)。 そ し て 、 事 案 は 異 な る と は し な が ら も 、 い くつ か の 判 決 例 を 引 き 、 「割 引 に 関 す る そ の よ う な 集 団 的 制 限 行 為 は シ ャ ー マ ン法1条 の 下 、 原 則 違 法 で あ る と判 断 さ れ て き て い る 」 と述 べ て い る(同21-22頁)。 修 正 和 解 案 で は 上 述 し た 割 引 の40%の 制 限 が 削 除 さ れ る な どの 改 善 が み ら れ た(修 正 和 解 案 §4.5(b)(ii))。しか し な が ら、 第 二 次 意 見 書 に お い て も、 政 府 は 、 「作 家 お よ び 出 版 社 同 士 は 水 平 的 合 意 を 行 い 、 そ う し た 方 法 で グ ー グ ル に 自分 た ち の 作 品 の 価 格 付 け を 行 わ せ て い る こ と」 に 懸 念 を 表 明 し、 「競 争 者 が 共 通 の 代 理 人 に 自分 た ち の 全 商 品 の 価 格 決 定 権 を委 任 す る 旨 を相 互 に 合 意 す る こ と は 違 法 で あ る 」 と の 考 え 方 を 示 し た(第 二 次 意 見 書19頁)。 そ し て 、 旧 和 解 案 に 比 べ て 改 善 は 認 め られ る が 、 修 正 和 解 案 に お い て も 「作 家 (25)旧和 解案 §4.5(b)㈹は、 「レジス トリは、40%を 上 限 に書 籍 を定 価 か ら割 引価格 で消 費 者購 買 に よ り販 売 す る こ とを グー グル に対 し、 許諾 す る こ とがで きる。 ただ し、 かか る割 引 が当 該書 籍 の権 利 者 に通知 され、 当該 権利 者 に 当該割 引 を承 認 しない機 会が 与 え られ る こと を条 件 とす る」 と規 定す る。

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132 京女 法学 第1号 お よ び出 版社 は 、 レ ジス トリを通 じて 、作 品 の割 引 に共 同 して 資 金 を出す と い う グー グル お よび個 々 の権 利 者 の合 意 を阻害 す る 門番 と して 集 団 的 に行 動 す る能力 を保 持 して い る」 と評 価 して い る(同20頁)⑫ ⑤。 (III)孤 児作 品 の販 売条 件 第 一 次 意 見 書 は、 孤 児 作 品 の販 売 に 関 して も、 「旧和 解 案 は レジ ス トリが 主 導 す る交 渉 メ カニ ズ ム を通 して、 権利 者 が判 明 してい る作 品 と競合 す る可 能 性 の あ る孤 児 作 品 の 将 来 的 な価 格 設 定 を コ ン トロ ール す る力 を出 版社 に与 え る こ と に よ り、価 格 競 争 を制 限 して い る よ うに見 え る」 と述 べ 、 以 下 の よ うな見 解 を示 す 。 「レジ ス トリ は大 商 業 出 版 社 に よ っ て事 実 上 支 配 さ れ る。 それ ゆ え、孤 児作 品 の価 格 設定 を レジス トリに認 め る こ とは権 利 者 が 判 明 し て い る作 品 の 権利 者 に対 し、競 合 す る書 籍(す な わ ち権 利 者 が 判 明 して い な い書 籍)の 販 売価 格 を決 定 す る こ とを可 能 にす る。 権 利 者 が 判 明 して い る書 籍 の権 利 者 は、孤 児作 品 が効 果 的 な競 争 に供 され な い こ とを確 実 にす るあ ら ゆ る イ ンセ ンテ ィブ を有 して い る よ う に思 える」(第 一 次 意 見 書22頁)。 これ は、 出版 社 が 孤 児作 品 につ い て高 い価格 を設 定す る こ とで、 自 らが 権 利 を有 す る書 籍 との 競 争 を 回避 す る強 い動 機 を有 して い る 点 を 問題 視 してい る と考 え られ る。 旧和 解 案 で は、権 利 者 が レジ ス トリに登 録 しな い場 合 、 当該 作 品か ら得 ら れ る利 益 は まず レ ジス トリの 運営 費 に充 て られ 、続 い て登 録 した権 利 者 へ と 分 配 さ れ る こ と と な っ て い た た め(旧 和 解 案 §6.3、添 付 書 類C§1.1(e)、 §2.3)、絶 版 で あ る孤 児 作 品 の権 利 者 の立 場 が 登 録 権 利 者 に比 べ 不 利 だ とい う問題 が あ った 。 修 正 和 解 案 で は、 修 正 和解 案 に基 づ く未 請 求 の書 籍 の 利 用

に 関 して 「未 請 求 作 品 受 託 者(Unclaimed Works Fiduciary)」 が 設 け られ 、

(26)具体 的 に は 、 修 正 和 解 案 §4.5(b)(ii)指摘 し て い る こ と か ら して 、 消 費 者 購 読 の 価 格 に 対 す る 割 引 が 、 権 利 者 に 通 知 さ れ 、 許 諾 が な け れ ば 行 な う こ と が で き な い 点 を 指 し て い る と 思 わ れ る 。

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著 作権 の集 中管理 団体 の現代 的 意義 と競 争政 策(泉) 133 出 版 済 み の 作 家 で も 出 版 社 で も な い 個 人 ま た は 団 体 が そ の 地 位 に 就 く こ とが 規 定 さ れ た(修 正 和 解 案 §6.2(b)㈹ 参 照)。 第 二 次 意 見 書 は 、 こ う し た 修 正 は 正 し い 方 向 に 向 か う 意 味 あ る 動 き だ と しつ つ も、 懸 念 は な お 残 る とす る 。 そ の 例 と して 意 見 書 は 、 レ ジ ス ト リ の 理 事 会 に 従 属 す る 受 託 者 の 独 立 性 は 、 依 然 、 明 確 で は な い と述 べ る(第 二 次 意 見 書20頁)。 そ し て 、 和 解 当 事 者 は 不 在 の 権 利 者 の 利 益 を 守 る の に 必 要 と な る 多 く の 権 限 を 受 託 者 に は 与 え て い な い と し て 、 そ の 具 体 的 な 権 限 と して 、63対37の 収 入 配 分 を 再 交 渉 す る 権 限 (修 正 和 解 案 §4.5(a)㈹)、 作 品 の 価 格 を 設 定 す る 権 限(同 §4.2(b)(i)(1))、 表 示 書 籍 を 非 表 示 書 籍 に 変 更 す る 権 限(同 §3.2(e)(i))を 指 摘 し て い る(第 二 次 意 見 書20頁)。 (2)デ ジ タ ル 配 信 市 場 に お け る 競 争 排 除 第 一 次 意 見 書 は 、 旧 和 解 案 が 有 す る 反 トラ ス ト法 上 の 問 題 と し て 、 孤 児 作 品 の デ ジ タ ル 配 信 に 関 し 、 グ ー グ ル が 事 実 上 独 占 的 地 位 を獲 得 し 、 競 合 事 業 者 を 排 除 し て し ま う お そ れ に つ い て も 問 題 視 して い る 。 意 見 書 は 以 下 の よ う な 見 解 を 示 す 。 旧 和 解 案 は デ ジ タ ル ブ ッ ク の 新 し い 商 業 的 利 用 に つ い て 全 ク ラ ス の 代 表 と し て グ ー グ ル と 交 渉 す る た め に レ ジ ス ト リ を 指 定 し て お り伽、 グ ー グ ル は そ う し た 新 しい 利 用 か ら 生 じ る あ ら ゆ る 著 作 権 責 任 か ら免 除 さ れ る(旧 和 解 案 §10.1(f)、 §10.2(b)参 照)。 旧 和 解 案 に よ れ ば 、 レ ジ ス ト リ は こ れ ら の 作 品 に つ い て 第 三 者 ヘ ラ イ セ ン ス す る こ と が 禁 じ ら れ て い る わ け で は な い も の の 、 「法 が 認 め る 範 囲 内 に お い て(to the extent permitted by law)」 と い う 限 定 付 き で あ る(同 §6.2(b>)。 当 事 者 は 、 著 作 権 者 の 同 意 が な け れ ば 著 作 権 の あ る 書 籍 を ラ イ セ ン ス す る 権 限 と能 力 を レ ジ ス トリ は 欠 い て い る と の 意 ㈲ 旧和 解 案 §4.7は、 当初 グー グル に認 め られ る機 関購 読や消 費 者購 読 等 の収入 モ デル に

加 え、 「新 規 の収入 モ デ ル(New Revenue Models)」 につ い て グー グル とレ ジス トリ が合 意 す る こ とが で きる 旨を定 め、 具体 的 な モデ ルが列 挙 す るが 、 それ は 限定列挙 で

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134 京 女 法学 第1号 見 を、政 府 に対 して表 明 して い る。 そ して、 そ う した 同 意 は孤 児 作 品 の著 作 権 者 か らは得 られ な い ので あ る。 当事 者 の意 見 が 正 しい とす る な らば 、本 和 解 案 が承 認 さ れ た場 合 に グー グル が提 供 で きる書 籍 一 式 に 匹敵 す る よ うな も の を公 衆 に提 供 す る こ とを可 能 とす る ライ セ ンス を、 レジ ス トリが競 争 事 業 者 に対 して与 え る能 力 を有 さ ない こ とに な る。 また 、 グ0グ ル の競 争 事 業 者 が 、 グ ー グ ル と同等 の 権 利 を独 力 で獲 得 で きる とい う こ と もあ り得 な い。 彼 らは、 本 和 解 案 を通 じて グー グル が乗 り越 え よ う と して い る の と同 じ問題 一 一 す な わ ち、何百万 もの判明 していない権利者一人 ひとりを特 定 して交渉 す る とい う問題 に直 面 す る こ とに な る。 さ ら に、本 和 解 案 に含 まれ る 「最

恵 国 待 遇(most favored nation)」 条 項(同 §3.8(a))⑳に従 え ば、 潜 在 的 競

争 事 業 者(権 利 者 が 支 援 す る者 を含 む)は グ0グ ル よ り有 利 な 条件 を獲 得 で きな い とい う理 由か ら、 グー グル に続 い てデ ジ タル ブ ック の販 売 に踏 み切 る 意欲 を失 って しま う(以 上 、 第 一 次意 見 書23-24頁)。 意見 書 は 、 「上 記 の よ うな(少 な くと も孤 児 作 品 に 関す る)事 実 上 の独 占 性 は、 図 書 館 や研 究 機 関 に対 して包 括 的 なデ ジ タル ブ ック の購 読 を売 り込 む 能力 を グ ー グ ルの み が 有 す る こ とに な る とい う危 険性 を生 ず る 。不 完 全 な(す な わ ち、 何 百 万 とい う孤 児作 品 を含 ん で い ない)デ ー タベ ー ス の売 手 は、 包 括 的 な 商 品 の 売 手 とは効 果 的 に競 争 で き ない 」 と評 価 した 上 で 、 「新 規 参 入 者 の排 除 は シ ャ ーマ ン法 が対 処 し よ う とす る競 争 上 の 影 響 そ の もの で あ る」 と述 べ る(同24頁)。 ま た、 旧和 解 案 に修 正 を加 え る こ とで、 グ ー グル との 競 合 企 業 が 孤 児 作 品 へ の 包括 的 な ア ク セス が 可 能 とな る メ カ ニ ズ ム を設 定 で きる ので あ れ ば、 前 記 の よ う な市 場 閉鎖 の 危 険 性 は解 消 され る可 能 性 につ い て言 及 す る もの の 、 そ う した修 正 条 項 の 分析 に は規 則23条 の制 限 を考 慮 に入 れ な けれ ば な らず 、 他 方 で 、 そ う した規 則23条 の 制 限 は反 トラス ト分 析 に重 要 な影 響 を及 ぼす 旨の 考 え を示 す(同25頁)。 fig)同規 定 は 、 レ ジ ス ト リが 第 三 者 に 対 し て グ ー グ ル よ り も有 利 な 条 件 で ラ イ セ ン ス を 許 諾 した 場 合 に は 、 グ ー グ ル に も 同 じ条 件 が 適 用 され る 旨 、 定 め る 。

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著作 権 の集 中管 理 団体 の現代 的意 義 と競争 政策(泉) 135 修 正 和 解 案 で は 問 題 が 指 摘 さ れ て い た 最 恵 国 条 項 が 削 除 さ れ た 。 し か し な が ら、 第 二 次 意 見 書 で は 、 以 下 の よ う な 観 点 か ら して 、 グ ー グ ル の 事 実 上 の 独 占 性 に つ い て 、 な お 懸 念 を 表 明 し て い る(第 二 次 意 見 書21-23頁)。 まず 、 グ ー グ ル は 修 正 和 解 案 が 認 め られ る と 、 こ れ ま で の 分 と合 わ せ て 数 千 万 も の 書 籍 を ス キ ャ ンす る こ と に な る の に 対 し 、 一・番 の 競 争 者 で あ る ア マ ゾ ン で も 300万 程 度 で あ り、 そ の 差 は 歴 然 で あ る 。 競 争 者 も グ ー グ ル の よ う に ク ラ ス ア ク シ ョ ン に 期 待 し て 許 諾 な くス キ ャ ン を す れ ば よ い との 提 案 は 公 の 秩 序 と し て は 不 適 切 で あ り、 反 トラ ス ト法 が 競 争 事 業 者 に 求 め る と こ ろ の も の で も な い 。 ま た 、 修 正 和 解 案 が 認 め られ る と 、 グ ー グ ル が 既 に 検 索 サ ー ビ ス の 市 場 で の 有 力 事 業 者 と し て の 地 位 が 、 さ ら に 強 固 な も の と な る 。

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総括

これ まで 、 グー グル ブ ックス に対 して 米 国 司 法省 か ら提 出 され た2つ の 意 見 書 の 内容 をみ て きた 。最 後 に、 著 作 権 の権 利 集 中 団体 を競 争 政 策 か ら規律 す る 際 の 重 要 なポ イ ン トを含 ん で い る と思 われ る点 をい くつ か摘 示 した上 で 、 そ こか ら示 唆 を得 る こ と とす る。 まず 、 司 法 省 は グー グル ブ ック スが 権 利 者 に よ る共 同行 為 、 す な わ ち カル テ ル と して の 性 格 を有 す る点 を 問題 視 す る。 この 点 につ い て 司法 省 は、 反 ト ラス ト法 の 観 点 か らも事 業 が許 容 され て い る既 存 の 著作 権 管 理 団体ASCA Pお よびBMI(以 下 、 「ASCAP等 」 とい う)の 事 業 とグ ー グ ル ブ ック ス との相 違 点 と して、 次 の5点 を指 摘 す る。 第1に 、 著作 物 の利 用 料 の決 定 につ い て、ASCAP等 は権 利 者 に対 して一 方 的 に 中込 を行 って い る の に対 し、 グ ー グ ル ブ ックス で は権利 者 が 共 同 決 定 してい る こ と に言 及 す る。 個 人 の著 作 者 一 人 ひ と りが 「事 業 者 」 で あ り、 また 同業 者 が 「競 争 業者 」 で あ る との位 置 づ け を前 提 とす る もの で あ るが 、 こ う した認 識 が 高 い と は思 わ れ な い わ が 国 で は注 意 を要 す るで あ ろ う。 第2に 、ASCAP等 が 利 用 者 に提 供

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136 京 女法学 第1号 す る ブ ラ ン ケ ッ ト ラ イ セ ン ス は 個 々 の 権 利 者 が 提 供 す る 個 別 の ラ イ ン セ ン ス と は 異 な る 別 の 、 あ る い は 新 し い 商 品 で あ る こ と を 重 視 して い る 。 こ の よ う に 、 市 場 に 従 来 存 在 し な か っ た 新 規 商 品 を 生 み 出 す 効 果 を 有 す る 場 合 に は 、 権 利 者 間 の 集 団 行 為 が 許 容 さ れ 得 る 方 向 で 考 慮 が な さ れ る こ と に な る 。 第3、 第4の 点 と し て 司 法 省 は ブ ラ ンケ ッ ト ラ イ セ ンス が 有 す る 取 引 費 用 お よ び 著 作 物 の 無 断 利 用 に 係 る 監 視 費 用 の 低 減 効 果 に つ い て 触 れ る 。 司 法 省 はASCAP等 が 有 す る こ れ ら の メ リ ッ トは 承 知 しつ つ も、 グ ー グ ル ブ ッ ク ス の 場 合 は和 解 案 の 内 容 、 著 作 物 の カ テ ゴ リ ー や 利 用 の 実 態 な どの 点 で 事 情 が 異 な る と す る 。 こ の こ と は 、 著 作 権 の 管 理 団 体 に は 一 般 的 に は 取 引 費 用 お よ び 監 視 費 用 の 低 減 と い っ た 競 争 促 進 的 な 効 果 を 認 め る こ と が で き る も の の 、 最 終 的 に は 当 該 ス キ ー ム の あ り方 、 著 作 物 の カ テ ゴ リー 、 利 用 の 実 態 と い っ た 要 因 を考 慮 し た 上 で 、 競 争 に 与 え る 影 響 を ケ ー ス バ イ ケ ー ス で 判 断 す る こ と を 示 して い る 。 第5に 、ASCAP等 の 事 例 で は 司 法 省 と の 同 意 判 決 に よ る 規 制 が 存 在 し㈲、 特 に 、 団 体 と 利 用 者 と の 間 で 使 用 料 に つ い て 合 意 に 至 ら な い 場 合 、 料 金 裁 判 所(rate court)に よ る 決 定 手 続 が 準 備 さ れ て い る こ と を 司 法 省 は 指 摘 す る 。 集 団 行 為 に よ る 価 格 決 定 に 対 して は 、 第 三 者 機 関 が 介 入 す る こ と で 反 競 争 効 果 を 低 減 さ せ る こ と の 可 能 性 お よ び 必 要 性 を 示 した も の と い え よ う。 次 に 、 司 法 省 は グ ー グ ル ブ ッ ク ス が 書 籍 の デ ジ タ ル 配 信 市 場 に お い て 事 実 上 の 独 占 の 地 位 を グ ー グ ル に 与 え る こ との 懸 念 を示 し て い る 。 こ れ に つ い て は 、 た と え レ ジ ス ト リ が グ ー グ ル 以 外 の 事 業 者 に 対 し て も管 理 す る 権 利 を 許 諾 す る こ と が 認 め ら れ る ス キ ー ム で あ っ た と し て も、 言 いi換 え れ ば 、 レ ジ ス ト リ を 通 じて の 権 利 者 の グ ー グ ル に 対 す る 許 諾 が 独 占 的 ・排 他 的 な もの で な (29)ASCAPお よ びBMIに 対 す る 同意判 決 に至 る経緯 とそ の内容 につ い ては、 前掲 注 (2)に挙 げ た各論 文参 照 。 また、ASCAPに 対す る同意判 決 は2000年 に修 正 され てお り、 同修 正 判決 につ いて は、 泉克 幸 「著作 権 管理 団体 に対 す る競 争 政 策的 観点 か らの 規律 とASCAP第 二 次修 整 終局 判決 」公 正取 引631号21頁(2003年)を 参 照 され たい。

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著作 権 の集 中管理 団体 の現代 的 意義 と競争 政 策(泉) 137 くと も、競 争 法 上 の 問題 は発 生 す る とい う意 味 で重 要 で あ る。 また 、 グ ー グ ル が競 争 事 業 者 を積 極 的 な意 思 を もって 、 あ るい は 明確 に不 当 と思 わ れ る行 為 に よつ て排 除 しな くと も、 競 争 事 業 者 が 追 随 で きな い結 果 、 現在 グー グ ル が 有 す る市 場 力 が保 持 され て しま う場 合 には 、 当該 ス キ ー ム に対 して競 争 政 策 上 の 問題 が あ る と評価 され得 る とい う点 も重 要 で あ ろ う。

5

最後 に

本稿 は著 作 権 の 集 中 管 理 団体 に 関 し、 競 争 政 策 上 の 問題 や競 争 政 策 の観 点 か ら規律 す る場 合 の ポ イ ン トな どを 明 らか にす る 目的 で グ ー グ ル ブ ッ クス事 件 を素材 に、司 法省 の 見解 を中心 に取 り上 げ て きた もの で あ る。 した が っ て 、 司 法 省 の見 解 そ の もの の 是 非 や本 件 訴 訟 の 妥 当 性 に つ い て述 べ る もの で は な い 。 事 実 、 グ ー グ ル ブ ッ クス は、 競 争 促 進 的 で あ る と評価 す る考 え方 も多 く み られ る とこ ろ で あ る㈹。 そ の よ うな考 え方 に対 す る 分析 も含 め 、 さ らな る 検 討 につ い て は今 後 の 課 題 と した い。 〔付 記 〕 本 稿 は 科 研 費 補 助 金(基 盤 研 究(C)23530125)に よ る研 究 成 果 の 一 部 で あ る 。

(30)代 表 的 な も の と し て 、Einer Elhauge, Why the Google Books Settlement is Procompetitive, 2J. Legal Analysis 1(2010)(http://ssrn.com/abstract=1459028よ り 入 手 可 能)や Mark A. Lemley, An Antitrust Assessment of the Google Book Search Settlement(July 8, aoo9>(http://ssrn.com/abstract=1431555よ り 入 手 可 能)な ど 。

参照

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