1
□市街化区域とは
□経緯と目的
無秩序な市街地の拡大による環境悪化の防止、計画的な公共施設整備などによる良好な市街地の形
成などを行うため、都市計画区域について、計画的な市街化を図るべき「市街化区域」と、市街化を
抑制すべき「市街化調整区域」に区分することを言い、一般的に「線引き」と呼ばれる。
区域区分の見直しの考え方について
昭和30年代後半から40年代にかけての高度経済成長の過程で、都市への急速な人口や諸機能の
集中が進み、必要な公共施設整備を伴わないまま、市街地の無秩序なスプロール化が進む等の都市
問題が深刻化した。
昭和43年に新都市計画法の制定により、はじめて導入された制度である。一体の都市として総合
的に整備、開発、保全すべき区域を都市計画区域として指定し、当該区域の無秩序な市街化の防止と
計画的な市街化を図るため、市街化区域と市街化調整区域とに区分された。
①既に市街化を形成している区域であり、相当の人口及び人口密度を有する市街地その他の既成
市街地(※)に接続して現に市街化しつつある土地の区域
②おおむね 10 年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
□区域区分とは
【都市計画法第 34 条各号の運用基準の一部】
第 4 号:農産物、林産物若しくは水産物の処理、貯蔵、加工に
必要な建築物等
(例:農産物等の貯蔵所、加工所など)
※許可を取得することにより、市街化調整区域で建築可能なもの(都市計画法第 34 条)
1 区域区分の考え方
資料4
□市街化調整区域とは
溢水、堪水等による災害の恐れのある区域や優良な農地等、優れた自然環境を有する区域として保
全すべき区域など市街化を抑制すべき区域であり、市街化を促進するような建築行為等が厳しく制限
されている。
【既成市街地(※)の区域】(省令第 8 条)
・50ha 以下のおおむね整形の土地で、40 人/ha 以上で連担し、3,000 人以上の地区
・上記の区域に接続し、50ha 以下のおおむね整形の区域において建築物の敷地等が 1/3 以上
の地区
【都市計画基準】(政令第 8 条)
・当該市街化区域における市街化の動向並びに鉄道、道路、河川及び用排水施設の整備の
見通し等を勘案して市街化することが丌適な土地の区域
・溢水、堪水、津波、高潮等による災害の発生のおそれのある土地の区域
・優良な集団農地その他長期にわたり農用地として保存すべき土地の区域
・優れた自然の風景を維持し、都市の環境を保持し、水源を涵養し、土砂の流出を防備する等
のため保全すべき土地の区域
写真:野菜の直売所
(古沢地区)
第 14 号:第 1 号から第 13 号に規定するもののほか、開発審査会の議を経て認められる建築物
(例:農家世帯の分家に伴う住宅等、社寺仏閣、運動・レジャー施設など)
写真:テニスクラブハウス
(片平・栗木地区)
写真:農家世帯の分家に伴う住宅
(黒川地区)
写真:社寺仏閣
(王禅寺地区)
【運用基準】
・畜産食料品製造業等の業種の用に供すること、生産物の処理
加工について生産地ですみやかに行う必要があること、製品
の需要が見込まれ事業の継続性があること、申請建築物は
必要最小限で周辺と調和することなど
2
区域区分の見直しの考え方について
・区域区分は昭和 45 年に指定され、その後、おおむね 5 年ごとに行われる都市計画基礎調査の
結果から把握した土地利用、建物現況、都市施設や市街地整備の状況等を踏まえ、昭和 52 年に
第 1 回見直しを行い、直近では平成 21 年に第 6 回線引き見直しを行っている。
・市域の約 88%が市街化区域、約 12%が市街化調整区域であり、大都市の中でも市域に占める市街
化区域の割合が高く、市街化が進んでいる。
・市街化調整区域は、主に多摩川・鶴見川の河川敷や臨海部の埋立地、麻生区の縁辺部に位置して
いる。
・前回の区域区分の見直しでは、5 つの地区の見直しを行っている。
□区域区分の指定状況(平成21年9月時点)
2 市街化区域と市街化調整区域の現況
出典:神奈川県 HP http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/26949.pdf
図 第 6 回神奈川県線引き見直し結果-区域区分の変更における
川崎都市計画区域区分の変更箇所
鶴見川系河川敷
浮島地区
図 市街化区域と市街化調整区域の変遷
13,617
14,124
14,263
14,347
14,435
14,435
14,435
(ha)
図 市域面積、市街化区域における
大都市との比較
出典:平成 25 年版大都市比較統計年表より抜粋
(km2
) (%)
1 浜 松 市 1 558.04 1 大 阪 市 94.8
2 静 岡 市 1 411.93 2 東 京 都 区 部 93.4
3 札 幌 市 1 121.12 3 名 古 屋 市 92.7
4 広 島 市 905.41 4 川 崎 市 8 8 . 2
5 京 都 市 827.90 5 横 浜 市 75.6
6 岡 山 市 789.92 6 堺 市 72.9
7 仙 台 市 785.85 7 さ い た ま 市 53.8
8 新 潟 市 726.10 8 福 岡 市 47.6
9 東 京 都 区 部 622.99 9 千 葉 市 47.3
10 神 戸 市 552.83 10 北 九 州 市 41.7
11 北 九 州 市 489.60 11 神 戸 市 36.9
12 横 浜 市 437.57 12 熊 本 市 27.6
13 熊 本 市 389.54 13 仙 台 市 22.9
14 福 岡 市 341.70 14 札 幌 市 22.3
15 相 模 原 市 328.83 15 相 模 原 市 20.6
16 名 古 屋 市 326.43 16 京 都 市 18.1
17 千 葉 市 272.08 17 新 潟 市 17.8
18 大 阪 市 223.00 18 広 島 市 17.7
19 さ い た ま 市 217.49 19 岡 山 市 13.2
20 堺 市 149.99 20 静 岡 市 7.4
21 川 崎 市 1 4 4 . 3 5 21 浜 松 市 6.3
平 均 601.08 平 均 43.7
平成25年10月1日 平成25年10月1日
市 域 面 積 市 街 化 区 域 面 積 割 合
古沢沿道地区
上麻生地区
戸手 4 丁目北地区
戸手 4 丁目中央地区
浮島町地区
東京都
横浜市
◆ 第 6 回線引き見直しの変更点
■市街化区域への編入
1)戸手4丁目中央地区
2)古沢沿道地区
3)上麻生地区等
4)浮島町地区等
■今後、市街化区域に編入する予定の地区
・戸手4丁目北地区
市街化調整区域に編入(第 2 回線引き見直し)
市街化調整区域に編入
(第 2 回線引き見直し) 市街化区域に編入(第 2 回線引き見直し)
市街化区域に編入(第 3 回線引き見直し)
市街化区域に編入(第 1 回線引き見直し)
市街化区域に編入(第 5 回線引き見直し)
多摩川河川敷
凡例
都市計画区域
現在の市街化区域
市街化区域に編入を予定している区域
市街化調整区域に編入を予定している区域
今後計画的な市街地整備の見通しが明らか
になった時点で市街化区域に編入する区域
想定している用途地域
準住居地域
第一種低層住居専用地域、
第二種中高層住居専用地域、
第一種住居地域、
第二種住居地域、準住居地域
第一種低層住居専用地域、
第一種住居地域、第二種住居地域、
準工業地域
番号
①
②
③
3
※農業振興地域とは、
総合的に農業の振興を図ることが相当な地域として都道府県知事が指定する地域であり、市街化
区域以外に指定されている。市町村は、農業振興地域について、農業振興地域整備計画を定め、
農業振興に関する各種施策を計画的かつ集中的に推進することにより、農業の健全な発展を図っ
ている。
※農用地区域とは、
農業振興地域内における集団的に存在する農用地や、土地改良事業の施行にかかる区域内の土地
などの生産性の高い農地等、農業上の利用を確保すべき土地として指定された土地。
農用地区域に指定した土地は、農業上の用途区分が定められており、原則としてその用途以外の
目的に使用することはできない。
・農地、緑地が多くを占める
・農業振興地域、農用地区域が多くを占める
・Aランク緑地、特別緑地保全地区が多い
・学校、病院、霊園など公的施設利用が多い
・自然的土地利用と都市的土地利用が混在している地区がある
・埋立地で暫定的な土地利用がされている
・河川区域内で溢水、堪水等の恐れがある
区域区分の見直しの考え方について
【凡例】
市街化調整区域:赤枠
市街化区域:赤枠以外
DID地区:黄色
市界・区界:青枠
※DID地区とは
人口集中地区といい、地区内の人口密度が 40 人/ha 以上、かつ、人口 5,000 人以上の地区
区域区分と DID 地区の範囲を比較すると、市街化区域内で一部 DID 地区となっていない区域や市
街化調整区域で DID 地区となっている区域があるが、概ね市街化区域と DID 地区は重複しており、
市街化区域に人口が集中していることが分かる。
□区域区分と人口分布の状況
□区域区分と農業振興地域・緑地・公園等の状況
区域区分と農地・緑地・公園等の位置を比較すると、農業振興地域は市街化調整区域に位置し、
都市計画緑地は多摩川沿いなどの市街化調整区域に分布し、都市計画墓園である緑ヶ丘霊園と早野
聖地公園は、概ね市街化調整区域と重複している。
□市街化調整区域の現況
緑ヶ丘霊園
早野聖地公園
多摩川河川敷
鶴見川系河川敷
麻生区
多摩区
高津区
宮前区
中原区
幸区
川崎区
【凡例】
:市街化区域
:市街化調整区域
:農業振興地域
:都市計画緑地
:特別緑地保全地区
:都市計画公園
:都市計画墓園
:市界・区界
麻生区
多摩区
高津区
宮前区
中原区
幸区
川崎区
4
区域区分の見直しの考え方について
◆地区計画制度の市街化調整区域への拡充(平成 4 年)
従来、市街化区域に限られていた地区計画制度の対象地域が市街化調整区域まで拡大され、地区
計画制度の一層の拡充が図られ、一定のルールの基で土地利用が可能となった。
◆開発許可制度の見直し(平成 19 年)
開発許可制度は、公益性の高いものは許可なくできるが、都市の周辺部における無秩序な市街化
を防止するため、昭和 43 年の新都市計画法制定時に区域区分を市街化調整区域の立地規制により
担保する制度として創設された。
平成 19 年の都市計画法の改正により、従来、開発許可が丌要とされていた、医療施設、社会福祉
施設、学校等の建築を目的としていた開発行為についても、開発許可制度の対象となり、都市の
土地利用規制が厳しくなってきた。
◆政令市への権限移譲(平成 24 年)
人口減尐や尐子高齢化など社会構造の激しい変化や、経済のグローバル化や情報通信の高度化、
さらには地球規模での厳しい環境・エネルギー・食料制約といった資源制約等の課題に直面し て
いる。
これらの課題に適切に対応するために地域主権改革が必要であり、地域住民が自らの判断と責任
において地域の諸課題に取り組むことができるようにするため、住民に身近な行政はできる限り
地方公共団体に委ねることを基本としている。
区域区分について神奈川県から川崎市への権限移譲により、事務処理の迅速化、地域住民の意向
を反映した主体的な意思決定や地域の特色を活かした行政の展開が可能となった。
◆都市再生特別措置法の改正(立地適正化計画の創設)(平成 26 年)
市街化区域の中で都市全体の観点から、住居や福祉・医療・商業施設等がまとまって立地し、
公共交通によりこれらの生活利便施設等にアクセスできるなど、都市全体の構造を見直し、コンパ
クト+ネットワーク化を進めることが方針として示された。
◆見直しの経緯
本市では、区域区分において昭和45年6月に当初決定し、これまで概ね6年から7年ごとに全6
回の見直しを行ってきた。
これまでは、主に土地区画整理事業や地区計画などの事業に伴う人口増加に対応して、市街化調整
区域を市街化区域に編入してきた。
※昭和48年12月時点の都市計画図
◆整序誘導区域における地区計画の運用基準
市街化調整区域は、緑地や農地などの環境
の保全が期待される一方で、農業従事者の高
齢化や継承者丌足、土地利用の混在等が課題
となっている。
神奈川県は、そのような背景から平成 21 年
に 市 街 化 調 整 区 域 の 性 格 を 維 持 し な が ら 、
一定の土地利用を可能とする「整序誘導区域
における土地利用の基準」を新たに定めた。
こ れ は 県 下 一 律 の 基 準 で あ る た め 、 住 宅 ・
宅地需要が高い本市の地域特性に応じた独自
基準として、平成 22 年に本市基準を制定した。
本市基準に基づき、「整序誘導区域」におけ
る 住 民 発 意 の 地 区 計 画 を 活 用 す る こ と で 、
本 市 の 地 域 特 性 に 応 じ た 、 き め 細 か な ま ち
づくりを行うことが可能である。
□国の動向
□本市の取組
3 これまでの取組と動向
当初決定
第 1 回線引き見直し
第 2 回線引き見直し
第 3 回線引き見直し
第 4 回線引き見直し
第 5 回線引き見直し
第 6 回線引き見直し
第 7 回線引き見直し
昭和45年 6月10日
昭和52年 3月30日
昭和59年12月25日
平成 2年12月25日
平成 9年 4月28日
平成15年 3月25日
平成21年 9月18日
今回
5
区域区分の見直しの考え方について
4 区域区分の見直しの考え方
1) 区域区分については、区域区分の区域変更の有無にかかわらず、区域境界の状況等を調査し、
必要な見直しを行うものとする。
2) 区域区分の見直しは、人口等の適正な配置による、安全で快適な住環境の整った住宅地の
形成、成熟社会に対応した計画的な市街地の再編整備、効率的かつ効果的な都市整備の推進
並びに良好な自然的環境の保全及び農林漁業との 調和を図りつつ、川崎市の特性及び市街化
の動向等を勘案して行うものとする。
3) 市街化区域の規模は、将来の人口等の見通しに基づき、都市の将来像を踏まえ、公共施設の
整備水準、良好な市街地の形成などに配慮しつつ適正に想定するものとし、いたずらに拡大
することのないよう努めるものとする。
4) すでに市街地を形成している区域及び優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域は、自然的
環境の整備又は保全に配慮し、優良農地の保全等の面から農林漁業との調和が図られるものに
ついては、市街化区域へ編入を検討するものとする。
5) 公有水面埋立法による埋立地においては、計画の進捗を踏まえ、市街化区域へ編入を検討
するものとする。
6) 市街化区域の土地で、市街化調整区域に接し、現に市街化されておらず、当分の間営農が
継続することが確実と認められる土地及び斜面緑地等の自然的環境が残された土地等は、
市街化調整区域への編入を検討するものとする。
7) 本都市計画区域における人口等の見通しから、目標年次における推計人口(以下「人口
フレーム」という。)のすべてを具体の土地に割り付けることなく、その一部を保留する制度
(保留フレーム方式)を活用し、計画的な市街地整備の具体化に合わせて、随時区 域区分の
見直しを行うものとする。
□整開保等の見直しの視点と区域区分の基本的な考え方
□区域区分の見直しの考え方
1)「災害に強い都市づくり」について
・区域区分に関わらず、災害のリスクがある地区の周知を図るとともに大規模な地震による
建物被害や延焼被害の軽減に向け、都市基盤や公共施設等の防災機能の強化や密集市街地等
防災上課題のある地区の改善等を進める。
・河川区域など溢水、冠水の恐れのある区域については市街化調整区域とする。
・災害に強い都市づくりの観点から、計画的な市街地整備の見込みがない地区については区域
区分の見直しの対象としないものとする。
2)「誰もが暮らしやすい都市・住まいづくり」について
・誰もが安心して暮らせる住まいと住まい方の充実や、ユニバーサルデザインに配慮された
住まいづくりやまちづくりを進める。
・計画的な市街地整備により区域区分の見直しを検討する際は、誰もが暮らしやすい都市
づくりに資する計画とするよう配慮するものとする。
3)「緑と水の豊かな環境に配慮した都市づくり」について
・区域区分に関わらず、様々な制度を活用した緑地の保全を進めるとともに自然環境、景観、
防災などの多面的な機能を有する農地の保全・活用の促進を図る。
・貴重な緑地や農地として保全を図るべき区域については 、建築行為に一定の制限がある
市街化調整区域とすることを検討する。
4)「産業の発展を支える都市づくり」について
・臨海部について戦略的な産業集積と基盤整備を進めるとともに、ものづくり産業の集積や
研究機関の集積を活かし多様な産業の連携、既存産業の活性化などさらなる産業集積を図る
ものとする。
・臨海部の埋め立て完了区域については、土地利用計画等の検討状況踏まえ適切に区域区分を
見直していくものとする。
5)「魅力ある都市づくり」について
・本市の広域拠点や地域生活拠点等においては必要な都市機能の集積や土地の高度利用、基盤
整備を進めるものとする。
・計画的な市街地整備により区域区分の見直しを検討する際は、魅力ある都市づくりに資する
計画とするよう配慮するものとする。
6)「人口減少を見据えた持続可能で効率的な都市づくり」について
・駅近接エリアなど交通利便性の高い地区においては多様な世代が居住できる環境整備の推進
を 図る。
・良好な住環境が維持され、人口減尐や高齢化が進行する地区においては、ファミリー世帯等
の居住や多様な住まい方の誘導を誘導する。
・計画的な市街地整備により区域区分の見直しを検討する際は、将来人口の推計等を踏まえ、
人口等の適正な配置、効率的かつ効果的な都市整備、良好な市街地の形成に配慮するものと
し、いたずらに市街地が拡大することがないようにする。
7)「市民が主体となる身近な地域づくり」について
・区域区分に関わらず地域が主体的に課題解決に取り組む事ができるまちづくりの推進を図る。
・市街化調整区域にあっては、土地利用等に関する地域課題の改善とともに土地利用と自然
環境が調和したまちづくりを進める。
・計画的な市街地整備により区域区分の見直しを検討する際は、地域の課題の解決に資する
よう配慮するものとする。