1.BHPB: BHP Billiton Ltd./ BHP Billiton plc.
(ビー・エイチ・ピー・ビリトン)
1) 企業概要 本社※ BHP Billiton Ltd.: 豪州 Melbourne BHP Billiton plc.: 英国 London 主要事業〔鉱種〕 非鉄金属、ダイヤモンド、石油・石油製品、石炭、工業原料、鉄鉱石〔Cu, Zn, Pb, Au, Ag, Al, Ni, Mn, Mo, 鉄鉱石, ダイヤモンド, 石油, 石炭, 天然ガス〕 従業員数 46,370 人(※2012/’11 年度内平均、役員含む、合弁・関連会社を除く)
決算日 6 月末日
主要関連会社
・Minera Escondida Ltd.: 57.5%(ミネラ・エスコンディーダ社、チリ、銅鉱業) ・Minera Antamina SA:33.75%(ミネラ・アンタミナ社,、ペルー,、銅・亜鉛鉱業) ・Samarco Mineracao SA: 50%(サマルコ・ミネラソン社,、ブラジル、鉄鉱業) ・Mozal SARL:47.1%(モザル社、モザンビーク、アルミ製錬業)
・Alumar:(アルマール社、ブラジル、アルミナ精錬(40%)、 アルミ精製(36%)) ・Worsley:86%(ワースレイ社、豪、ボーキサイト、アルミナ精錬)
・Richards Bay Minerals : 50%→37.76%→0%(リチャード・ベイ・ミネラルズ社、南ア、ミネラルサンド鉱業) ※2012 年 2 月に Rio Tinto に全株式売却
※BHP と Billiton は 2001 年 6 月 29 日に正式に合併し、“二本社体制(Dual listed company structure)”となっ たが、本部(Headquarter)は Melbourne に置かれている。本稿では BHP Billiton Group の数値を基本とする。 2) 財務状況 (mUS$) 2012/’11 年度の売上高は、前年比 0.7%増の 72.2bUS$であった。鉄鉱部門や石油部門におけ る増収と、ベースメタル部門やステンレス原料部門での減収が相殺される形となった。当期 純利益は、前年比約35%減の 15.4bUS$であった。減益の要因は、2011 年 3 月に買収した天然 ガス資産や Nickel West 社(豪州)における「のれん」※の減損処理、プロジェクトの遅延や鉱 山の閉鎖、Olympic Dam プロジェクトの状況変化等が挙げられる。 ※「のれん」とは買収先企業の買収価格と帳簿上の純資産価格との差額のこと。帳簿上には表れない信用力、ブ ランド力、販売力、製品開発力といった目に見えない収益力、価値、資産などの総称。 年度 2010/’09 ※1 2011/’10 2012/’11 売上高 Revenue:Group production + Third party products〔①〕※2 52,798 71,739 72,226 当期純利益 Profit after taxation-Attributable to members of BHP Billiton
Group 〔②〕 12,722 23,648 15,417
売上高利益率 〔③=②/①〕 24.1% 33.0% 21.3%
資産 Total assets 〔④〕 88,852 102,920 129,273
流動資産 Total current assets 25,134 25,280 20,451 負債 Total liabilities 〔⑤〕 39,523 45,165 62,188 流動負債 Total current liabilities 13,042 19,738 22,034 純資産 Net assets 〔⑥=④-⑤〕 49,329 57,755 67,085 探鉱費 Exploration expenditure: Minerals ※3 516 683 1,097 ※1同社は6 月末締めの豪会計年度を使用している。
※2同社の売上高はアニュアルレポートに2 種類の記載があるが、トレーディング機能の売上高を含むもの即ち本 調査対象とする他の企業の売上高に相当するものを採用する。
※3 探 鉱 費 は"Minerals exploration"分の数値。アニュアルレポート、"BHP BILLITON EXPLORATION AND DEVELOPMENT REPORT FOR THE QUARTER"による。
<参考>:暦年ベース換算値 (mUS$)
暦年 2009 2010 2011
売上高 Revenue : Group production + Third party products〔①〕 45,007 62,388 75,053 当期純利益 Profit after taxation - Attributable to members of BHP
Billiton Group) 〔②〕 9,395 17,111 23,068
売上高利益率〔③=②/①〕 20.9% 27.4% 30.7%
探鉱費 Mineral exploration expenditure ※ 577 556 1,367 ※探鉱費は"Minerals exploration"分の数値。"BHP BILLITON EXPLORATION AND DEVELOPMENT REPORT FOR
THE QUARTER"による。 以下、図1.1、図1.2に係る注意書き (※1) 2005 年 6 月、WMC Resources を買収し、豪州の銅、金、ウラン、ニッケル、アルミ鉱業資産を獲得。 図1.1 BHPB: 財務状況の推移 図1.2 BHPB: 資産と負債の推移 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 2003/ '02 2004/ '03 2005/ '04 2006/ '05 2007/ '06 2008/ '07 2009/ '08 2010/ '09 2011/ '10 2012/ '11 売上高 当期利益 売上高利益率 (mUS$) (※1) -80,000 -60,000 -40,000 -20,000 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 資産 流動資産 負債 流動負債 (mUS$) (※1) 1.BHPB
3) 主要鉱産物の生産状況 〔※鉱山名(所在国、権益比率):生産量は権益分〕 2012/’11 年度の銅生産量は、主力の Escondida 鉱山の生産が Q1~Q3 まで生産活動が停滞し たことや品位が低下したことにより、前年比約 4%減の 1.09mt となった。この結果、銅副産 物である金、銀等の生産も減少している。一方、Antamina 鉱山でのモリブデン生産はリーマ ンショック後の価格低迷により減産が続いていたが、リーマンショック前の生産水準まで戻 している。また、世界シェア第1 位の鉛については、前年並みの生産量を維持した。 会計年度(豪会計年度:6 月締) 2010/’09 2011/’10 2012/’11 '11 年の世界シェア等 2009.7~ 2010.6 2010.7~2011.6 2011.7~2012.6 銅鉱(精鉱中含有量+SxEw カソード:kt) 1,075.2 1,139.4 1,094.5 第 3 位(6.5%) Escondida(チリⅡ、57.5%) 622.3 569.6 505.8
Olympic Dam(豪 SA、100%) 103.3 194.1 192.6 旧WMC 資産('05 年 6 月~) Antamina(ペルー Ancash、33.75%) 98.6 97.8 127.0 '01 年 10 月生産開始 Cerro Colorado(チリⅠ、100%) 85.2 92.4 83.4
Spence SxEw(チリⅡ、100%) 159.6 179.8 180.3
Pinto Valley (米 AZ、100%) 6.2 5.7 5.4 (SxEw は継続) メンテナンスのため'09 年 1 月生産中断
銅精鉱(精鉱中含有量:kt) 546.7 488.3 460.8
Escondida(チリⅡ、57.5%) 448.1 390.5 333.8 Antamina(ペルー Ancash、33.75%) 98.6 97.8 127.0
Pinto Valley(米 AZ、100%) メンテナンスのため'09 年 1 月生産中断
銅地金(SxEw カソード:kt) 528.5 651.1 633.7
Escondida SxEw(チリⅡ、57.5%) 174.2 179.1 172.0 Cerro Colorado SxEw(チリⅠ、100%) 85.2 92.4 83.4 Spence SxEw(チリ、100%) 159.6 179.8 180.3 Olympic Dam SxEw(豪 SA、100%) 103.3 194.1 192.6 Pinto Valley SxEw(米 AZ、100%) 6.2 5.7 5.4
亜鉛鉱(精鉱中含有量:kt) 198.3 152.2 112.2 第 9 位(1.2%) Cannington(豪 QLD、100%) 62.7 60.7 54.7 Antamina(ペルー Ancash、33.75%) 135.6 91.5 57.5 '01 年 10 月生産開始 鉛鉱(精鉱中含有量:kt) 248.4 244.6 239.9 第 1 位(5.1%) Cannington(豪 QLD、100%) 245.4 243.4 239.1 Antamina(ペルー Ancash、33.75%) 3.0 1.2 0.8 金鉱(t) 4.4 6.1 5.2 第 50 位(0.2%) Escondida(チリⅡ、57.5%) 2.4 2.6 1.6 Olympic Dam(豪 SA、100%) ※地金精製
量 2.0 3.5 3.7 旧WMC 資産('05 年 6 月~) Pinto Valley(米 AZ、100%) メンテナンスのため'09 年 1 月生産中断
銀鉱(t) 1,410.9 1,326.8 1,284.8 第 1 位(5.2%)
Escondida(チリⅡ、57.5%) 89.4 88.6 59.7
Antamina(ペルー Ancash、33.75%) 146.6 112.0 132.9 '01 年 10 月生産開始 Cannington(豪 QLD、100%) 1,159.4 1,095.6 1,064.0
Olympic Dam(豪 SA、100%) ※地金精製
量 15.6 30.5 28.2 旧WMC 資産('05 年 6 月~) Pinto Valley(米 AZ、100%) メンテナンスのため'09 年 1 月生産中断
ニッケル地金(kt) 176.2 152.7 157.9 Cerro Matoso SA(コロンビア CRD 州、99.94%) 49.6 40.0 48.9
Yabulu(豪 WA、100%)※地金精製量 2.8 '09 年 7 月売却 Nickel West(Leinster,Mt Keith:豪 WA、
100%) 123.8 112.7 109.0 コバルト(kt) Yabulu(豪 WA、100%)※地金 精製量 0.1 第13 位(1.6%)※2010 年データ '09 年 7 月売却 マンガン鉱 グロス量(kt) Samancor 社(60% 権益分) 3,250 3,787 4,193 第 1 位(10.0%)※2010 年データ Hotazel(南ア、60%→44.4%) 1,207 1,335 1,610 '09 年 7 月 Samancor 社が権益 26%を売却 GEMCO(豪、60%) 2,044 2,452 2,584 マンガン合金(kt) Samancor 社(60%権益分) 293.0 376.0 298.2 Hotazel(南ア、60%→44.4%) 161.6 215.8 179.4 '09 年 7 月 Samancor 社が権益 26%を売却 GEMCO(豪、60%) 131.4 160.2 118.8 モリブデン鉱(t) 813 1,445 2,346 第 15 位(0.9%) Antamina(ペルー Ancash、33.75%) 813 1,445 2,346
Pinto Valley(米 AZ、100%) メンテナンスのため'09 年 1 月生産中断 ウラン精鉱 U3O8(t) Olympic Dam(豪 SA、
100%) 2,279 4,045 3,885 第 4 位(6.1%)
チタン鉱(kt) Richard Bay Minerals(南ア、
37.8%) 317 366 384
第4 位(6.0%) '12 年 2 月に売却 ル チ ル(kt) Richard Bay Minerals( 南 ア 、
37.8%) 34 32 38 '12 年 2 月に売却
ジルコン(kt) Richard Bay Minerals(南ア、
37.8%) 83 83 100
第3 位(5.4%) '12 年 2 月に売却
鉄鉱石 グロス湿量(kt) 124,962 134,406 159,478 第 2 位(7.6%)
Mt Newman(豪 WA、85%) 32,097 45,245 51,326 MII( 三 井 物 産 + 伊 藤 忠 )10% 、IMEA(伊藤忠)5% Jimblebar(豪 WA、85%) 2010 年から Mt Newman と合算で公表 Goldsworthy(豪 WA、85%) 1,688 1,198 768 伊藤忠8%、三井物産 7%(リース) Goldsworthy、Area C JV(豪 WA、85%) 38,687 39,794 42,425 伊藤忠8%、三井物産 7% Yandi(豪、85%) 41,396 36,460 53,536 伊藤忠8%、三井物産 7% Samarco(ブラジル MG、50%) 11,094 11,709 11,423 Vale50% ボーキサイト(mt) ※参考:RMG データより 12 11 第5 位(4.5%) 2012 年度のデータ取得不可 Mount Saddleback (Worsley) B.M. 9 9 2012 年度のデータ取得不可 Trombetas B.M.(ブラジル、15%) 3 2 2012 年度のデータ取得不可
アルミナ(kt) 3,841 4,010 4,152
Worsley(豪 WA、86%) 3,054 2,902 2,917 日本アルミナ10、双日 4%
Paranam(スリナム、45%) 78 '09 年 7 月売却
Alumar(ブラジル Para、36%) 709 1,108 1,235 Alcoa60% アルミニウム(kt) 1,241 1,246 1,153 Hillside(南ア KN、100%) 710 711 621 Bay side(南ア KN、100%) 98 97 98 Alumar(ブラジル、40%) 174 174 170 Alcoa60% Mozal(モザンビーク、47.1%) 259 264 264 三菱商事ビーク政府3.9% 25%,IDCSAL24%,モザン 1.BHPB
ダイヤモンド(k carats) Ekati(加 NT、80%) 3,050 2,506 1,784 石炭計(kt) 103,512 102,178 104,341 第 5 位(1.3%) 原料炭(kt) 37,381 32,678 33,230 一般炭(kt) 66,131 69,500 71,111 原油(k bbl) 84,387 80,591 71,201 天然ガス(b cubic feet) 368.6 405.1 822.3 NGL(k barrels) 12,749 11,283 14,085 (注)生産量はアニュアルレポート記載の 6 月末締め豪会計年度を基準にしたものを使用しているが、世界シェアお よび順位に関してはRaw Materials Group データの暦年データを使用
4) 沿革 (1) これまでの経緯 BHP は、1885 年豪 Broken Hill における鉱山開発を目的に設立された。その後、資源関連企 業を次々と買収することで、鉄鉱石などの鉄関連分野、更には石炭、石油、天然ガスなどの エネルギー資源分野に進出し、売上高、利益率などにおいて世界トップを競う総合資源メジ ャーに成長した。 <BHP>――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1885 年 探鉱、開発のために組織されたシンジケートが、豪 NSW 州 Broken Hill において、 当時世界最大と言われた銀・鉛・亜鉛鉱床を発見した。シンジケートは、自らが 創立者となってBHP を設立。 1888 年 世界 3 位の銀生産者となった。その後、BHP は、Broken Hill 鉱山の衰徴に伴い 鉄を中核として事業を展開した。
1899 年 豪 SA 州の鉄鉱石鉱床(Iron Knob、Iron Monarch)の鉱業権を取得する。 1915 年 Sydney 北部で鉄鋼生産を開始した。
1935 年 Australian Iron and Steel 社を買収し、新たな溶鉱炉建設など積極的な活動を展開 した。 1939 年 発祥地である Broken Hill 鉱山の操業停止。 1950 ~60 年 代 鉄関連事業を継続する一方で、新たな活動領域を求めて石油及び天然ガス資源の 開発に乗り出した。
1968 年 Ok Tedi 鉱山(PNG)が Kennecott Copper 社の地質技師によって発見された。 1970 ~80 年 代 前半、企業買収、新規プロジェクトの立上げ、既存プロジェクトの拡張により事 業を拡大した。中でもOk Tedi(PNG)及び Escondida(チリ)両銅・金鉱山への参入 が特筆される。 1975 年 Ok Tedi に関し、Kennecott 社の撤退を受けて、BHP を中心とするコンソーシアム が権益を取得した。 1980 年 Ok Tedi に関し、PNG 政府によりプロジェクトの承認を受けた。
1981 年 Escondida 銅鉱床が Getty Minerals 社と Utah International 社の JV により発見。 1984 年 BHP は、Utah International 社を買収することによって Escondida に参入。 1989 年 Pacific Resources 社を買収し、石油精製及びその下流分野に進出。
1996 年 BHP の 100%子会社 BHP Sub 社が Magma Copper 社を買収し、米国、ペルーにお
ける両社の銅資産を統合した。この際、BHP Sub 社は BHP Copper 社と社名を変
更し、当時世界2 位の銅生産者となった。
1999 年 銅の価格低迷と高コスト体質により 8 月までに米国銅資産の操業を全て停止し
<Billiton>―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1860 年 Billiton は、当時オランダ領であったインドネシア群島の錫鉱山開発のために設 立され、現在は豪州、南ア、南米を中心に事業を展開しており、アルミニウム、 ニッケル等の大生産者である。インドネシア群島の鉱山開発のために設立された 同社は、当初オランダで錫及び鉛製錬を行っていた。 1940 年 代 インドネシア及びスリナムでボーキサイトの開発を開始した。
1970 年 Royal Dutch Shell Group が Billiton を買収した。
1994 年 Gencor 社が Royal Dutch Shell Group から Billiton を買い取った。
1997 年 Gencor 社の貴金属以外の資産が分離独立し、現在の Billiton となった。
2000 年 10 月 、 Rio Algom 社 を 買 収 し 、 優 良 な 銅 資 産 ( 生 産 中 の 銅 鉱 山 : Cerro Colorado(100%、チリ)、Alumbrera(25%、アルゼンチン)、Highland Valley(33.6%、 加)、開発待ち資産:Spence(100%、チリ)、Antamina(33.6%、ペルー)、Crandon(100%、
米)を獲得することとなった。なお、Rio Algom 社買収に際して、Noranda 社や
CODELCO も名乗りを挙げていたが、最終的には Billiton が買収に成功した。 2001 年 4 月、AA は、所有していた Billiton の 165 万株(7.1%相当、754.3mUS$)を機関・
有資格投資家に売却。
<BHP Billiton>―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記に示すとおり 2 社は、鉱種、事業対象地域に重複がなく、相互補完の関係にあり、両
社の合併は金属鉱物及びエネルギー資源分野における、ダイナミックかつ有能な経営陣によ
る強力な資源開発企業に成り得るものと判断された。2001 年 6 月 29 日、正式に BHP Billiton
としてのスタートを切った。この合併では、両社はDual Listed Companies(DLC)として統合的
な経営を行う本社をMelbourne に置き、その下に、BHP Billiton (豪州)と BHP Billiton (英国)
の2 社体制の企業組織とするもので、それぞれ、これまでどおり豪 Melbourne と英 London 市
場を主要市場として上場し経営を行っている。 2001 年 6 月 29 日 BHP Billiton 成立。
2002 年 7 月、鉄鋼事業の Flat products 部門を“BHP Steel”として分離・独立させた。既に 2000 年に Long products 部門を“One Steel”として分離済みで伝統的中核事業であっ た鉄鋼事業から完全撤退し、非鉄・資源事業に専念することになった。
2005 年 5 月、Samancor Chrome 社をロシア Kerman Group に 469 mUS$で売却した。同社の
フェロクロム年間生産量は約1mt で、Xstrata(スイス)と並んで世界最大のフェロク
ロム生産者であった。
6 月、豪州“WMC Resources 社(※)”を Xstrata との買収合戦の末、7.3 bUS$で買
収した。資源・非鉄業界では過去3 番目に相当する大型 M&A 案件となった。 2006 年 6 月、Norilsk N.とロシアにおける探鉱・開発の包括的提携を発表。現地法人の出 資比率はNorilsk N. 51%、BHPB 49%。 2007 年 11 月、RT に対する買収提案を発表(RT はこれを拒否)。 2008 年 2 月、CHINALCO と Alcoa 社が BHPB による RT 買収阻止を目的として RT 株式の 9%を取得。 6 月、鉄鉱石資源量大幅増を発表(豪 WA 州鉄鉱石:資源量 46%増・埋蔵量 23%増、 Samarco 鉄鉱石:資源量 11%増・埋蔵量 30%増、Samancor マンガン鉱:資源量 82% 増)。 11 月、RT 買収断念を発表(株主の利益を尊重と声明。EC(欧州委員会)が鉄鉱石と 1.BHPB
原料炭の資産売却を求めてくる可能性があると言及)。
2009 年 1 月、資源需要の落込みに対処し 6 月末までに 6,000 名の人員整理を発表。
8 月、インドネシア・エネルギー鉱物資源省へ同国内の全資産を売却するという書
簡を送付。Purnomo 同省大臣も書簡受領を認めた。
2010 年 6 月、リベリアの Goe Fantro、Kintoma、St.John River South、Tolo Range 鉄鉱石プ
ロジェクトの開発に向けリベリア政府と合意。総投資額は30 億 US$。
10 月、BHPB 及び RT は、2009 年 12 月 5 日に締結した豪 WA 州 Pilbara 地域にお ける鉄鉱石の生産統合事業に向けた合意を解消すると発表。
(2) 最近の動向
2011 年 9 月、Global Alumina 社(ギニア)のほか、Dubai Aluminum 社(UAE)及び Mubadala Development 社(インド)と共同でギニアに 300 万 t/年のアルミナ工場建設を計画。 5 月、ザンビアの Mumbwa 銅プロジェクトから撤退。同プロジェクトは豪州 Blackthorn 社が残りのシェアを全て引き受け。 9 月、環境問題などのために 2002 年 2 月に PNG の Ok Tedi 鉱山から完全に撤退し ていたが、このたびPNG 政府に対して Highlands 地方等での探鉱権を改めて申請。 10 月、豪 SA 州 Olympic Dam 鉱山の拡張計画を SA 州・NT 準州・連邦政府が承認。
10 月、ブラジルの鉄鉱石生産者である Ferrous Resources do Brasil 社について、同
社の最大株主であるヘッジファンド Harbinger Capital 社から株式を購入するかた
ちでの買収を交渉。
12 月、BHP Billiton Mitsubishi Alliance は、豪州建設林業鉱業エネルギー組合及び
幹部2 名に対して、豪州連邦裁判所を通じた損害賠償を要求。同組合が 2010 年2
月に豪QLD 州の 6 石炭鉱山で実施したストライキは取引慣習法に違反と主張。
2012 年 1 月、チリ第Ⅱ州に位置する Spence 鉱山で新しい鉱体を発見し、資源量は従来の 700%に。
2 月、南アでチタン鉱山を操業する Richards Bay Minerals 社の株式 37%を RT に売
却し、チタン鉱業から撤退。 2 月、DRC コンゴ西部のコンゴ中央州での建設が予定されていたアルミニウム製 錬所の計画を中止。 2 月、豪 TAS 州で操業する TEMCO マンガン製錬所(BHPB が 60%出資、残り 40% をAA が出資)について、製品相場の下落、豪ドル高、生産コスト高等から一時的 に操業を停止させると発表。 4 月、ガボンにおけるマンガン鉱山開発について、ガボン政府との協議を実施し、 合意の方向へ。
5 月、豪 SA 州 Olympic Dam 鉱山周辺の鉱区(Roxby Downs プロジェクト及び
Aphrodite 酸化鉄銅金鉱徴地を含む鉱区、Acropolis West プロジェクトを含む鉱区、
その他Olmpic Dam 鉱山の南西 90km に位置する鉱区)を探鉱会社から購入。 5 月、2012 年 2 月に発表した今後 5 年間の総額 800 億 A$規模のプロジェクトに ついて見直す可能性を発表。豪州国内における労使関係法、鉱物資源利用税等の 問題、欧州・中国・米国における経済的な不安定さが背景。 5 月、豪 TAS 州 TEMCO マンガン製錬所の操業を 8 月までに再開させると発表。 6 月、豪 SA 州 Olympic Dam 鉱山北方等に位置する 6 鉱区を買収することに探鉱会 社と合意。 1.BHPB
6 月、豪 NSW 州南部の Illawarra 地区の炭鉱を維持するために 8.4 億 A$を投資す ると発表。 7 月、豪 SA 州 Olympic Dam 鉱山周辺の鉱区(探鉱鉱区 4 鉱区、許可申請中の探鉱 鉱区5 鉱区)を買収。Olympic Dam 鉱山の拡張工事についてはいまだ最終判断を下 さず。 8 月、Olympic Dam の拡張工事については、新技術の適用を含む経済性が大幅に改 良される代替案の検討を行うと発表し、実質的な中止に至る。 9 月、2012 年 5~6 月に買収していた OlympicDam 周辺の鉱区のうち、Tasman
Resources 社から購入した鉱区(Olympic Dam 鉱山周辺の 6 鉱区(うち 1 鉱区は申請
中)1,176 ㎢を Tasman 社から 3 百万 A$で購入)を契約解除。 <※参考:WMC Resources 社の概要>―――――――――――――――――――――――― WMC 社は 1933 年、金鉱山操業を目的に豪 Melbourne で設立され、以後、事業はほぼ全て 豪州国内で行われてきた。1960 年には豪 WA 州でボーキサイト鉱床を発見し、Alcoa 社と合 弁でボーキサイト生産を開始、66 年には Kambalda ニッケル鉱床(豪 WA 州)を発見し 70 年か らニッケル生産を開始した。1980 年には QLD 州にリン酸塩鉱床の権益を取得し、85 年・Hi-Fert Pty 社の権益を取得して、化学肥料事業に参入した。
ニッケル事業は西豪州で行われ、鉱山はLeinster、Mount Keith 及び Kambalda にあり、製錬
所がKalgoorlie に、精製工場は Kwinana にある。
Olympic Dam 銅・金・ウラン鉱山は、SA 州 Adelaide の北西 560km に位置する WMC の最
重要な大規模鉱山で、1975 年に発見され、1988 年に生産を開始した。世界第 4 位の銅・金資 源及び世界最大のウラン資源(世界の 40%)を有すると言われている。 2001 年 12 月、アルミ事業と他の非鉄金属事業などを分離し、Aluminium 社と WMC Resources 社が誕生したが、WMC の事業は 世界第 3 位の鉱石生産量を誇るニッケルを中心として、銅、 ウラン、金及び化学肥料とした。 5) 事業内容 BHPB の大きな特色は製品、事業所の地理的所在及び販売市場すべてにおいて非常に多角 化していることで、世界の30 か国の約 100 に及ぶ事業所で、約 20 の製品を生産・製造して いる。同社は、合併当初、組織を①アルミニウム(アルミニウム、アルミナ)、②ベースメタル (銅、鉛、亜鉛、金、銀)、③炭素鋼原料(鉄鉱石、原料炭、マンガン)、④ステンレス鋼原料(ニ
ッケル、クロム)、⑤一般炭、⑥石油(原油、天然ガス)、⑦鉄鋼の 7 つの Customer Sector Group
に分けて事業を展開していた。しかし、2002 年 7 月に鉄鋼グループを BHP Steel 社として分 社したため、同年8 月に新たなグループとしてダイヤモンド・特殊品グループ(ダイヤモンド、 チタン鉱物、探鉱など)を設立している。ベースメタル部門の本部は、チリ Santiago にあるが、 それ以外の本部はすべて 豪 Melbourne にある。従来は石油の比重が大きかったが、近年、ベ ースメタル、鉄鉱石、原料炭・燃料炭の比重も拡大している。 1.BHPB
2011/'10 年度 2012/'11 年度 図1.3 BHPB: セグメント推移 (売上高と税引前利益) 表1.1 BHPB: セグメント別売上高、税引前利益、利益率 (mUS$) 2011/'10 年度 2012/'11 年度 項目 Revenues Profit from
Operation Revenues Profit from Operation
売上高 税引前利益 利益率 売上高 税引前利益 利益率 ベースメタル 14,152 6,790 48.0% 11,596 3,965 34.2% ステンレス原料 3,861 588 15.2% 2,993 32 1.1% アルミニウム 5,221 266 5.1% 4,766 -291 -6.1% 鉄鉱石 20,412 13,328 65.3% 22,601 14,201 62.8% マンガン 2,423 697 28.8% 2,152 235 10.9% 原料炭 7,573 2,670 35.3% 7,576 1,570 20.7% 燃料炭 5,507 1,129 20.5% 6,022 1,227 20.4% ダイヤモンド 1,517 587 38.7% 1,326 199 15.0% 石油 10,737 6,330 59.0% 12,937 6,348 49.1% その他 336 -405 -120.5% 257 -248 -96.5% 総計 71,739 31,980 44.6% 72,226 27,238 37.7% 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 ベ ース メ タ ル ス テ ンレ ス 原 料 アル ミニ ウ ム 鉄鉱石 マンガ ン 原料炭 燃料炭 ダ イ ヤモ ン ド 石油 売上高 税引前利益 (mUS$) 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 ベ ース メ タ ル ス テ ン レ ス 原 料 アル ミニ ウ ム 鉄鉱 石 マ ン ガ ン 原料 炭 燃料 炭 ダ イ ヤ モ ン ド 石油 売上高 税引前利益 (mUS$) 1.BHPB
図1.4 BHPB: 分野別の税引前利益率推移 図1.5 BHPB: 地域・国別の売上高 ※2009/08 年度以降は韓国のデータが公表されていない。同年度以降の「中日韓」の値は韓国を除いた数値である。 図1.6 BHPB: 地域・国別資産額の推移 -50% -40% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 石油 マンガン 鉄鉱石 ベースメタル 総計 アルミニウム ダイヤモンド ステンレス原料 税引前利益率 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 豪 北米 欧州 南米 南部ア フ リ カ アジ ア計 中日韓 中国 日本 韓国 そ の 他 ア ジ ア そ の他 ’10/09 ’11/10 ’12/11 (mUS$) 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 豪 北米 英国 南米 南部アフリカ その他 Unallocated assets ’10/09 ’11/10 ’12/11 (mUS$) 1.BHPB
(1) 銅
BHPB は、チリに Escondida、Cerro Colorado、Spence、ペルーに Antamina、豪州に OlympicDam、
米国にPinto Valley といった銅鉱山の権益を有する。 Escondida 銅鉱山(チリ第Ⅱ州、標高 3,100mSL、Antofagasta 市の南東 170km) BHPB が 57.5%の権益を有するオペレーターとなっている銅鉱山である。パートナーは、 RioTinto 30%、Jeco 12.5%(うち三菱商事 66% 、JX 日鉱日石金属 24%、三菱マテリアル 10%) である。Escondida は 2012/’11 年度の BHPB の権益分生産量が銅精鉱で 333.8kt(銅純分換算)、 SX-EW で 172.0kt(同)、合計 505.8kt(同)を誇る世界最大の銅鉱山となっている。1990 年に生産 開始以来、拡張を続けており、鉱山寿命は54 年と見積もられている。現在、Escondia 本山と Escondida Norte2つの露天掘りサイトがあり、SX-EW 法によって生産された電気銅について は、自社鉄道によってAntofagasta 港及び Mejillones 港まで運ばれ、銅精鉱は自社所有のパイ プラインでColoso 港まで運ばれるようになっている。エリア内には浮遊選鉱法による2か所 の選鉱場と2か所のSX-EW 法による湿式選鉱・製錬所がある。同鉱山における最大の課題は 電力及び用水の安定的かつ低コストでの確保である。現在必要とされる電力440MW のうち、 一部を2029 年までの契約(340MW)と 2016 年までの契約(252MW)で対応している。用水につ いても海水脱塩装置及びリサイクル設備の導入で対応するようにしている。
Spence 銅鉱山(チリ第Ⅱ州、Antofagasta 市の北東 150km)及び Cerro Colorado 銅鉱山(チリ第 I 州、 Iquique の東 120km)
Pampa Norte 地区には、Spence 銅鉱山と Cerro Colorado 銅鉱山の2つが存在している。Spence
銅鉱山はチリAntofagasta の北東方に位置する銅鉱山であり、Spence 銅鉱山はチリ Iquique の
東 120km に位置する銅鉱山である。いずれも BHPB が 100%権益を保有している。2012/’11
年度における両鉱山の生産はいずれもSX-EW 法によるものであり、Spence 銅鉱山で 180.3kt、
Cerro Colorado 銅鉱山で 83.4kt、合計で 263.7kt となっている(いずれも銅純分換算)。Spence
銅鉱山の鉱山寿命は11 年、Cerro Colorado 銅鉱山の鉱山寿命は 10 年と見積もられている。
Olympic Dam 銅・ウラン・金鉱山(豪 SA 州、Adelade の北西 560km)
Olympic Dam 銅・ウラン・金鉱山は 2005 年 6 月、WMC Resources 社の買収により獲得さ
れたものであり、BHPB が 100%の権益を保有している。2012/’11 年度における生産量は SX-EW
法による銅生産が192.6kt(純分換算)、同様に金生産が 117.8koz(同)、銀生産が 907koz(同)、酸
化ウラン生産が2,346t となっている。同鉱山の鉱山寿命は 57 年と見積もられている。
Antamina 銅・亜鉛・モリブデン鉱山(ペルー・Ancash 県、標高 4,300m、Lima の北 270km)
BHPB が 33.75%の権益を有する銅・亜鉛・モリブデン鉱山であり、パートナーは Xstrata(権
益比率33.75%)、Teck 社(同 22.5%)、三菱商事 (同 10%)である。2001 年 10 月に生産を開始し、
2012/’11 年度における生産量(権益分)は銅精鉱で 127kt、鉛精鉱で 8kt、亜鉛精鉱で 57.5kt とな
っている(いずれも純分換算)。このほかにも少量ながら、モリブデン、ビスマスなども生産し
ている。同鉱山の鉱山寿命は16 年と見積もられている。
Pinto Valley 銅鉱山(米 AZ 州、Phoenix の東 125km)
2006 年、Magma Copper 社の買収により獲得された。BHPB が保有する同鉱山の権益は 100%
である。2012/’11 年度における生産量は、SX-EW 法による銅生産が 5.4kt(純分換算)である。
このほか少量ながらモリブデンも産出している。同鉱山の鉱山寿命はあと 4 年とみられてい
る。
表1.2 BHPB: 銅鉱山の埋蔵量 (Proven + Probable : 2012 年 6 月 30 日付) と 2012/'11 年度生産量 オペレーション名 権益 (%) 埋蔵量 (mt) ※2 品位 ※1 (%、Au:g/t) 採掘 タイプ 2012/’11 年度 銅生産量(kt) (権益分) Escondida (エスコンディーダ、チリⅡ州) 酸化鉱 57.5 116 T-Cu 0.89 OP (505.8) 879.7 〃 硫化鉱(精鉱対象) 4,928 T-Cu 0.71 〃 硫化鉱(SxEw 対象) 1,977 T-Cu 0.47 Escondida 計 7,021 T-Cu 0.65 Cerro Colorado (セロ・コロラド、チリ I 州) 酸化鉱 100 131 S-Cu 0.44 OP 83.4 T-Cu 0.61 〃 硫化鉱 71 S-Cu 0.13 T-Cu 0.65 Cerro Colorado 計 202 S-Cu 0.33 T-Cu 0.62 Spence (スペンス、チリⅡ州) 酸化鉱 100 36 S-Cu 0.62 OP 180.3 T-Cu 0.85 〃 酸化鉱(難溶性) 23 S-Cu 0.54 T-Cu 1.04 〃 硫化鉱 165 T-Cu 0.94 Spence 計 224 S-Cu 0.16 T-Cu 0.94
Olympic Dam (オリンピック・ダム、豪) 硫化鉱 100 629 T-Cu 1.76 UG 192.6 Pinto Valley (米 AZ 州) 硫化鉱 100 75 S-Cu 0.40 OP 5.4
〃 硫化鉱(SxEw 対象) 13 T-Cu 0.21 Antamina (アンタミナ、ペルー) Cu 硫化鉱 33.75 549 T-Cu 0.96 OP 376.3(127.0) 〃 Cu-Zn 硫化鉱 214 T-Cu 0.82 Antamina 計 763 T-Cu 0.92
※1:S-Cu は Soluble Cu、T-Cu は Total Cu を示す。
※2:BHPB のアニュアルレポートに掲載された埋蔵量は資源量の内数である。 (2) 鉛・亜鉛 Cannington 鉛・亜鉛・銀鉱山(豪 QLD 州)及び、Antamina 銅・亜鉛・モリブデン鉱山(ペルー Ancash 県)を有する。 Cannington 銀・鉛・亜鉛鉱山(豪 QL 州、Mt.Isa の南東 300km) 1990 年に鉱床が発見され、1997 年に精鉱生産が開始された銀・鉛・亜鉛鉱山である。BHPB が保有する権益は100%であり、2012/’11 年度における生産量は、精鉱中の銀が 34,208koz(純 分換算)、亜鉛が 54.7kt(同)、鉛が 239.1kt(同)である。精鉱は 187km を Yurbi 駅までトラック輸 送され鉄道輸送される。
Antamina 銅・亜鉛・モリブデン鉱山(ペルー・Ancash 県、標高 4,300m、Lima の北 270km)※前出
表1.3 BHPB: 埋蔵量 (Proven + Probable : 2012 年 6 月 30 日付) と 2012/'11 年度生産量 オペレーション名 権益 (%) 埋蔵量 (mt) 品位(%) 採掘 タイプ 2012/’11 年度 生産量(kt) (権益分) Cannington (キャニントン、豪 QLD) 100 23 Pb 7.0 UG Pb 239.1 Zn 3.7 Zn 54.7 Antamina (Sulfide Cu-Zn、アンタミナ、ペルー Ancash) 33.75 214 Zn 2.0 OP Zn 170.4(57.5)
(3) 金・銀 BHPB の金・銀の生産は、銅鉱山あるいは鉛・亜鉛鉱山の副産物として回収されている。 Cannington は鉛・亜鉛に加えて銀も主要鉱産物であり、世界最大級の銀生産量を誇る。2012/’11 年度の同社全体における精鉱中の金生産量は5.2t(純分換算)、銀生産量は 1,284.8t(同)である。 表1.4 BHPB: 埋蔵量 (Proven + Probable : 2012 年 6 月 30 日付) と 2012/'11 年度生産量 オペレーション名 権益 (%) 埋蔵量 (mt) 品位(g/t) 採掘 タイプ 2012/’11 年度 生産量(t) (権益分) Escondida (エスコンディーダ、チリⅡ州) 酸化鉱 57.5 - - - OP Au150.8 (50.9) Ag5,692 (1,921) Olympic Dam (Sulfide(硫化鉱)オリンピック・ダム、豪
SA) 100 629 Au 0.73 UG Au 3.7 Ag 3.36 Ag 28.2 Antamina (SulfideCu(Cu 硫化鉱)アンタミナ、ペルー Ancash) 33.75 549 Ag 8.7 OP Ag 393.8 (132.9) 〃 Sulfide Cu-Zn (Cu-Zn 硫化鉱) 214 Ag 14.4
Cannington (キャニントン、豪 QLD) 100 23 Ag 266 UG Ag 1,064.0 (4) ニッケル
コロンビアの Cerro Matoso 鉱山・製錬所でフェロニッケルを生産しているほか、西豪州
Nickel West 事業所には Leinster、Mt Keith、Cliffs の 3 鉱山に加え、Kambalda 選鉱場、Kalgoorlie
製錬所(自溶炉、マット生産)、Kwinana 精製所(Sherritt-Gordon アンモニア浸出法、Ni ブリケット・Ni
粉生産)を有する。Nickel West の一連の資産は 2005 年 6 月の WMC Resources 社の買収により
獲得された。
Cerro Matoso(セロ・マトッソ)ニッケル鉱山・FeNi 製錬所(コロンビア Cordoba 州)
同国政府、BHP、Hanna Mining 社により 1980 年に鉱山生産を開始し、1982 年にニッケル 生産を開始した。その後BHP は権益比率を次第に上げた(1989 年 53%、97 年 99.8%、2007 年 99.94%)。1999年生産能力が倍増され、2012/’11年度におけるフェロニッケル生産量は48.9kt(ニ ッケル純分換算)である。同鉱山にはフェロニッケル製錬所が併設されており、世界第 2 位の 生産規模を誇っている。同鉱山の鉱山寿命は32 年と見積もられている。 なお、同鉱山の採掘権は2012 年 9 月 30 日で失効となり、その延長申請を行っているが、 仮に受理、承認されずとも、コロンビア政府との間で締結されている基本契約によって2029 年までは採掘及び生産を継続することが可能であるとされる。
Nickel West(ニッケル・ウエスト)ニッケル鉱山(豪 WA 州、Kalgoorlie 北 375~460km)
Leinster(OP、UG、Kalgoorlie 北 375km)、Mt Keith(OP、同 460km)及び Cliffs(UG、同 430km)
の 3 鉱山からなる。Leinster は 1967 年に生産を開始し、1988 年に WMC 社に買収された。
Mt Keith は 1995 年 1 月 WMC 社により開発・生産された。Leinster 及び Mt Keith 両鉱山は 2005
年6 月の WMC 社買収により Nickel West を構成するニッケル鉱山として操業管理されること となった。3 鉱山いずれも BHPB が 100%の権益を保有している。Leinster 及び Mt Keith の鉱 山寿命はそれぞれ 8 年、13 年と見積もられており、今後拡張される可能性があるとされる。 またCliffs の鉱山寿命は 3 年と見積もられている。2012/’11 年度におけるニッケル精鉱の生産 量は109.0kt(純分換算)となっている。 これら3 鉱山で生産されたニッケル鉱石は Leinster 及び Mt Keith にある選鉱場へトラック や鉄道で運搬されて精鉱とされた後、Leinster から船積みされて Kalgoorlie にあるニッケル製 錬所(年間生産能力:ニッケルマットで 110kt)へ送られる。ここには他地域で調達されたニッ ケル精鉱も持ち込まれ、67%の品位を有するニッケルマットへと加工される。ここで生産さ 1.BHPB
所(年間生産能力:ニッケル地金で 65kt)でニッケル地金へと精錬される。 表1.5 BHPB: 埋蔵量 (Proven + Probable : 2012 年 6 月 30 日付) と 2012/'11 年度生産量 オペレーション名 権益 (%) 埋蔵量 (mt) 品位(%) 採掘 タイプ 生産量(kt) (権益分) Cerro Matoso(セロ・マトッソ:鉱山・製錬所、 コロンビア Coldoba) 99.8 1.03 1.03 OP 49.0(48.9) Nickel West(ニッケル・ウエスト:Leinster 及び Mt
Keith 鉱山、 豪 WA) 100 0.68 0.68 OP/ UG 109.0 (5) マンガン
BHPB は AA と合弁で Samancor Manganese 社を保有し(BHPB 60%: AA 40%)、南ア及び豪州 でマンガン鉱を採掘している。現在、世界最大のマンガン鉱石及びマンガン合金の供給事業
者となっている。採掘された鉱石の約80 %は世界中のフェロアロイ生産業者向けに外販され
ているが、残りはグループ内の合金工場(Metalloy、TEMCO)で加工している。
Hotazel マンガン鉱山(南ア Kalahari Basin)
世界における高品質マンガン鉱石の80%は南ア Northern Cape 州の Hotazel 近くに埋蔵して
いるとされる。BHPB と AA の合弁会社である Samancor Manganese 社は、この付近の鉱山権
益を有するHotazel Manganese Mines社の株式74%を保有している(南アで実施されているBEE
政策(黒人の経済的権利拡大政策)のために出資比率に制限がある)。Hotazel Manganese Mines
社は、露天掘りのMamatwan 鉱山と坑内掘りの Wessels 鉱山を所有しているが、両鉱山で産出
するマンガン鉱石の品位が高いために、大がかりな選鉱を必要とせず、粉砕プロセスおよび
簡単な選別プロセスのみを経て出荷している。2012/’11 年度における Hotazel Manganese Mines
社のマンガン精鉱の権益分生産量は1,610kt である。Mamatwan マンガン鉱山の鉱山寿命は 21
年、Wessels マンガン鉱山の寿命は 46 年と見積もられている。
GEMCO マンガン鉱山(豪 NT 準州 Groote Eylandt)
豪州ではBHPB が 60%、AA が 40%を出資する Groote Eylandt Mining Company 社(GEMCO) によってマンガン精鉱の生産が行われている。同社が保有するマンガン鉱山は港湾に近接し
ており、輸送コストが低いという利点を有している。2012/’11 年度における GEMCO のマン
ガン精鉱の権益分生産量は2,584kt である。鉱山寿命は 12 年と見積もられている。
このほか、豪TAS 州には同様の出資比率でマンガン製錬会社 Tasmanian Electro Metallurgical
Company 社が設立されており、水力発電によって得られた安価な電力を強みとして、上記鉱 山から航送されたマンガン精鉱を製錬している。主にアジア市場向けの需要に応えている。 (6) 鉄鉱石
鉄鉱石の生産拠点としては豪WA 州の Yandi 鉱山、Area C 鉱山など Pilbara 地域に集中する
鉄鉱山とブラジルMinas Gerais 州の Samarco 鉱山がある。2010 年に入っての豪州での優遇ロ
イヤルティ撤廃、鉱物資源利用税導入など動きもあり、BHPB はギニア、リベリアでの鉄鉱
石開発プロジェクトといった豪州外への投資を加速させている。
豪州生産拠点
WA 州 Pilbara 地域に Jimblebar 鉱山と 3 つの JV(Yandi、Mt Newman、Mt Goldsworthy)を擁し
鉄鉱石生産システムを形成し、1,000km の鉄道と 2 つの港湾を保有する。主要鉱山は以下の
とおり。
Yandi 鉱山 : Mt Newman の北北西約 100km に位置し、BHPB は、Mt NewmanJV
として 85%の権益を保有する(残りは三井物産子会社である MIOD
社が7%、伊藤忠子会社である IMEA 社が 8%)。資源量は、867mt(Fe
品位57.2%)で、2012 年度における鉄鉱石の権益分生産量は 53,536kt
である。鉱山の操業はコントラクターによって行われているが、鉱 石の出荷施設(Hedland 港の Finucane Island 及び Nelson Point)への
輸送は、BHPB 運営の鉄道路線で行われている。関連設備として、 一次鉱石粉砕設備、陸上輸送コンベア(年間 75mt の輸送能力)など がある。 Mt Newman 鉱山 : BHPB は Mt Newman JV の 85%権益を保有している(残り権益は、 三井物産及び伊藤忠の関連会社である MII 社が 10%、伊藤忠子会 社であるIMEA が 5%保有)。実際に BHPB 社が操業を行うのは Mt Whaleback 鉱山のみで、近接の衛星鉱山はコントラクターが操業を 行っている。Mt Newman の埋蔵量は、周辺鉱体も含め、1,211mt(Fe 品位62.5 %) である。2012/’11 年度における鉄鉱石の権益分生産量 は、51,326kt である。関連設備として、一次及び二次鉱石粉砕設備、 選鉱設備(年間処理能力 53mt)、重液選鉱設備、鉱石ストックヤード などがある。
Goldworthy 鉱山 : Mt Newman 北西部 120km に位置する。BHPB は、Mt Goldsworthy JV として 85%の権益を保有する(残りは三井物産子会社である MIOD 社 7%、IMEA 社 8%)。埋蔵量は 769mt(Fe 品位 61.9%)で、 2012/’11 年度における鉄鉱石の権益分生産量は、Mt Goldsworthy JV Northern、Mt Goldsworthy JV Area C の合計で 43,193kt である。港 湾までの鉄道路線と支線で連携している。関連設備として、一次鉱 石処理設備及び陸上輸送コンベア(年間 50mt の輸送能力)、露天掘 りのピット内で遠隔操作可能な鉱石粉砕機などがある。 Jimblebar 鉱山 :1989 年 3 月に生産開始した鉱山で、BHPB が 100%の権益を保有す る。2010 年に鉱山の拡張プロジェクトが開始され、現在建設が進 められている。拡張部分の生産開始は2014 年初めを見込んでいる。 関連設備としては、試運転段階にある一次及び二次鉱石粉砕設備が ある。 Samarco 鉱山(ブラジル南東部) Vale との JV による鉄鉱山であり、それぞれが保有する権益は 50%ずつである。ペレット生 産の設備を備えており、鉱山とは396km の精鉱スラリー輸送パイプラインでつながっている。 ペレット生産設備の年間生産能力は22.2mt であり、2012/’11 年度における権益分のペレット 生産量は10.7mt である。 1.BHPB
(7) アルミニウム
合弁会社を通して2 つのボーキサイト鉱山(Boddingto 鉱山、Trombetas 鉱山)を保有する他、
5 つの製錬所(Hillside、Bayside、Mozal、Worsley、Alumar)を有する。 Boddington 鉱山・Worsley 製錬所(豪 NA 州、Perth の南東 123km)
BHPB が 86%出資する Worsley Alumina 社(残りの権益は双日と伊藤忠商事)が鉱山と製錬所
を一体的に運営している。採掘されたボーキサイトは鉱山から 62km の長距離コンベヤーシ
ステムによりWorsley 製錬所に運ばれる。同鉱山における鉱石粉砕設備の能力は年間 19mt で
ある。2012/’11 年度の Worsley 製錬所におけるアルミナの権益分生産量は 2,917kt であり、同
製錬所で生産されたアルミナは、南ア及びモザンビークに位置するBHPB100%出資のアルミ
ニウム製錬所(南アの Hillside 精錬所及び Bayside 精錬所、モザンビークの Mozal 精錬所)をは
じめ、世界各地に販売される。 Trombetas 鉱山(ブラジル Pará 州)
BHPB が 14.8%出資する Mineracao Rio De Nortes 社の運営によるボーキサイト鉱山であり、
同社の筆頭株主はVale(40%)となっている(残りは Alcoa 社とその関連会社が 18.2%、Rio Tinto
Alcan 社が 12%、Votorantim 社が 10%、Hydro 社が 5%)。ここで採掘されたボーキサイトはブ
ラジル国内に立地する Alumar 製錬所に運ばれ、アルミナへと加工される。2012/’11 年度の
Alumar 製錬所におけるアルミナの権益分生産量は 1,235kt となっている。
6) 探鉱活動 (1) 概要
BHPB は、世界中 4 か所(Singapore、Perth(豪州)、Johanesburg(南ア)、Santiago(チリ))に探鉱 事務所を置き拠点としている。
四 半 期 毎 に “QUARTERNARY REPORT ON EXPLORATION AND DEVELOPMENT
ACTIVITIES”を発行している。これによれば、過去 3 か年の探鉱費実績は、2012/’11 年度 1,097mUS$、2011/’10 年度 683mUS$、2010/’09 年度 516mUS$と 2012/’11 年度は対前年で 61% 増となった。 アニュアルレポート2012/’11 年度版によれば、同年度の探鉱費 1,097mUS$の内、グリーン・ フィールド(初期段階探鉱)324mUS$、ブラウン・フィールド(周辺探鉱など)773 mUS$であった。 図1.7 BHPB: 探鉱費 (実績額) の推移 (出典:アニュアルレポート) (2) 対象段階・対象鉱種・対象地域 MEG によれば、BHPB の 2012 年(暦年)探鉱予算 623mUS$を探鉱段階別に見ると、Mine Site(鉱山周辺探鉱)205.0mUS$(32.9%)、Late Stage(後期ステージ探鉱・FS)202.5mUS$(32.5%)、 Grass Roots 探鉱 215.5mUS$(34.6%)であり、前年度と比較して Late Stage の比率が上昇した。 鉱 種 別 に 見 る と 、 ベ ー ス メ タ ル 408.5mUS$(65.6%) 、 そ の 他 ( 鉄 鉱 石 ・ 石 炭
等)185.0mUS$(29.7%)、ウラン 17.5mUS$(2.8%)となっており、引き続きベースメタル中心の探
鉱投資に注力する様子が伺える。
エリア別では、中南米228.5mUS$(36.7%)、カナダ 172.0mUS$(27.6%)、豪州 135.5mUS$(21.7%)、
アフリカ 42.5mUS$(6.8%)、その他 44.5mUS$(7.1%)となっており、中南米、カナダ、豪州で の探鉱活動に重点を置いていることが伺える。 288 547 695 516 683 1,097 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 2007/'06 2008/'07 2009/'08 2010/'09 2011/'10 2012/'11 (mUS$) 1.BHPB
(3) 最近の動向
Olympic Dam 銅・ウラン・金鉱山の拡張工事及び周辺の探鉱(豪 SA 州、Adelade の北西 560km) 2005 年 6 月に WMC Resources 社からの買収で入手した鉱山であり、これまで拡張工事が予
定されていた(拡張後の生産能力は、銅 750kt、酸化ウラン 19kt、金 800koz(約 24.9t)となる予
定であった)。しかし、2012 年 8 月に BHPB は 300 億 A$に及ぶとされる拡張工事について、
新技術の適用を含む経済性が大幅に改良される代替案の検討を行うと発表し、実質的な中止
に至っている。また、2012 年 5~6 月には同鉱山の周辺鉱区を複数買収していたが(Roxby
Downs プロジェクト及び Aphrodite 酸化鉄銅金鉱徴地を含む鉱区、Acropolis West プロジェク
トを含む鉱区、その他Olmpic Dam 鉱山の南西 90km に位置する鉱区)、9 月になってこれら鉱
区のうち、Tasman Resources 社との条件付き契約(Olympic Dam 鉱山周辺の 6 鉱区(うち 1 鉱区
は申請中)1,176 ㎢を Tasman 社から 3 百万 A$で購入)を解除している。
Escondida 銅鉱山の周辺探鉱(チリ第 II 州、標高 3,100mSL、Antofagasta 市の南東 170km) Escondida 鉱山は世界最大の銅鉱山であり、BHPB が 57.5%の権益を有しているが、その周
辺で盛んに探鉱が行われている。既存設備の周辺にある Pampa Escondida 新鉱床及び Pinta
Verde 新鉱床では、新たに広大な銅鉱床が発見されており、2012 年には総額 104.7mUS$の探 鉱投資が行われる見込みである。
Antamina 銅・亜鉛・モリブデン鉱山の拡張工事(ペルーAncash 県、標高 4,300m、Lima の北 270km) BHPB は Antamina 鉱山の権益を 33.75%有しており、その拡張工事を行っている。2012 年 には総額 1.3bUS$の探鉱投資が行われる見込みであり、38%ほど生産能力が増加する予定で ある。これらの投資には粉砕機のほか、送電設備、選鉱設備などへの投資も含まれる予定で ある。 Resolution Copper 銅鉱床の探鉱(米 AZ 州、BHPB:45%・RT:55%) 2012 年現在、地下鉱体の探査などといった事前 FS を行っており、いくつかの竪坑を地下 に進めながら、鉱化作用の状況や変成作用の状況などを確認している。
Cerro Matoso ニッケル鉱山の拡張工事(コロンビア Cordoba 州、Montelibano)
1982 年に生産を開始したニッケル鉱山であり、その後 BHPB が権益比率を次第に上げて 2007 年以降は 99.94%になっている。現在、鉱山拡張に向けた基礎的な探鉱を行っている。 豪 WA 州 Pilbara 地区における第 24 鉄鉱床の探鉱(豪 WA 州、Pilbara 地区、50%) 既存のNewman 鉱山の北方 10km に位置する鉄鉱床であり、2011 年に総額 822mUS$を投 じて開発されることが決定された。同鉱床は Newman 鉱山を衛星鉱山として開発される予定 である。
GEMC マンガン鉱山(豪 NT 準州 Groote Eylandt)
世界最大級のマンガン鉱山である同鉱山は、BHPB が 60%、AA が 40%を出資する Groote
Eylandt Mining Company 社によって運営されており、第 2 次拡張工事計画が 2011 年 3 月に取
締役会で承認されている。この拡張工事計画は2013 年後半に終了することが見込まれている。